| 【発明の名称】 |
電磁調理器用調理具およびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】森 義久
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| 【要約】 |
【課題】陶磁器材料、ガラスおよびセラミックスなどを主原料とし、大がかりな設備や装置を使用せず比較的簡単に製造することができ、耐久性、耐熱性、耐食性、耐退色性、安全性、耐環境性などに優れ、装飾性に富む電磁調理器用調理具を提供する。
【解決手段】電磁調理器用調理具1においては、強化磁器材料である石英、セリサイト、カオリナイト、アルミナなどを主原料として焼成された鍋形状の調理具本体1aの底部下面を全体的に被覆するように発熱層2が形成され、この発熱層2を全体的に被覆するように保護層3が形成されている。発熱層2は銀などを含有し、保護層3は酸化ケイ素、酸化ホウ素、酸化ナトリウム、酸化カリウムなどを含有している。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 誘電性無機物質を主原料とする調理具本体の少なくとも底部下面に、白金、銀の少なくとも一方を含有する発熱層と、前記発熱層を被覆して剥離を防止する保護層とを備え、前記保護層が酸化ケイ素、酸化ホウ素、酸化ナトリウム、酸化カリウムのいずれかを含有することを特徴とする電磁調理器用調理具。 【請求項2】 前記発熱層の厚さが1μm〜80μmで前記保護層の厚さが1μm〜1000μmである請求項1記載の電磁調理器用調理具。 【請求項3】 誘電性無機物質を主原料とする調理具本体の少なくとも底部下面に、白金、銀の少なくとも一方とガラスフリットとエチルセルロースとターピネオールとを含有する発熱用ペーストを塗布した後、前記発熱用ペーストを焼結して発熱層を形成する第一焼結工程と、酸化ケイ素、酸化ホウ素、酸化ナトリウム、酸化カリウムのいずれかを含有する保護層用ペーストを前記発熱層の表面に塗布した後、前記保護層用ペーストを焼結して前記保護層を形成する第二焼結工程とを有することを特徴とする電磁調理器用調理具の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、電磁調理器を用いて加熱調理することのできる電磁調理器用調理具およびその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】電磁調理器は、炎なしで食材を加熱調理することができ、二酸化炭素などの燃焼ガスが発生せず、天ぷら料理の際に天ぷら油などへ引火するおそれもなく、エネルギ効率も高いので、近年は一般家庭にも徐々に普及しつつある。 【0003】ところが、電磁調理器に使用できる鍋などの調理具は、電磁調理器に載せたときに渦電流が発生して自己発熱する素材で形成されたものに限られているため、土鍋、ガラス鍋あるいはセラミックス製鍋などの調理具などは使用できない。このため、食卓を囲んで食することの多い土鍋料理などには電磁調理器が好適であるにも関わらず、これを利用できないという欠点があった。 【0004】そこで、このような需要に応えるものとして、電磁調理器にも使用できる陶磁器製あるいは非金属製の調理具が開発され、特開平9−100184号公報、特開2000−23837号公報などに開示されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】特開平9−100184号公報に開示されている調理具は、陶磁器の底部の下面に銀および白金からなる発熱皮膜が設けられ、この発熱皮膜を覆うようにケイ酸カルシウムなどからなる剥離防止皮膜が設けられているが、発熱皮膜の厚さが約0.1mm程度と比較的厚いので、電磁調理器による加熱調理を繰り返した場合、陶磁器と発熱皮膜との熱膨張係数の違いにより発熱皮膜に微細なクラックや亀裂が発生したり、発熱皮膜が部分的に剥離したりすることがある。 【0006】発熱皮膜にクラックなどが発生すると発熱皮膜が部分的に断線した状態となるので、電磁調理器に所定通り載置しても発熱皮膜に十分な渦電流が発生しなくなり、発熱量が著しく低下することがある。また、発熱皮膜が部分的に剥離すると、発熱皮膜から陶磁器への熱伝導が阻害されるので、熱効率が大幅に低下することがある。 【0007】一方、特開2000−23837号公報に開示されている調理用容器は、非金属製容器などにショットブラストを施し、銅合金などを溶射した後、耐熱コーティング材を塗布固着させ、さらに液状ガラスを塗布するという複雑な工程を経なければ製造できないので、製造に多大な手間がかかるだけでなく、大がかりな設備や装置を必要とし、製造コストがかかる。 【0008】本発明が解決しようとする課題は、陶磁器材料、ガラスおよびセラミックスなどを主原料とし、大がかりな設備や装置を使用せず比較的簡単に製造することができ、耐久性、耐熱性、耐食性、耐退色性、安全性、耐環境性などに優れ、装飾性に富む電磁調理器用調理具を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明の電磁調理器用調理具は、誘電性無機物質を主原料とする調理具本体の少なくとも底部下面に、白金、銀の少なくとも一方を含有する発熱層と、前記発熱層を被覆する保護層とを備え、前記保護層が酸化ケイ素、酸化ホウ素、酸化ナトリウム、酸化カリウムのいずれかを含有することを特徴とする。 【0010】このような構成の電磁調理器用調理具を電磁調理器の所定位置に載置すると、電磁調理器から発生する交番磁界によって当該調理具の底部の発熱層に渦電流が生じ、この渦電流が発熱層を流れるときの電気抵抗発熱によって発熱層が発熱し、この熱が調理具本体に伝達されるので、調理具内に収容されている食材を加熱調理することができる。すなわち、調理具本体が陶磁器材料、ガラスおよびセラミックスなどを主原料としていても電磁調理器による加熱調理が可能な調理具が得られる。 【0011】また、発熱層は白金、銀の少なくとも一方を含有しているため、誘導加熱の効率が高く発熱量が比較的大であるほか、厚膜印刷などの簡単な方法によって薄膜化が可能であるとともに、パターン化が容易で、セラミックスとの密着性が良好であり、耐久性、信頼性にも優れている。また、前記保護層が酸化ケイ素、酸化ホウ素、酸化ナトリウム、酸化カリウムのいずれかを含有しているため、発熱層との密着性が良好であり、洗剤や塩などの化学薬品に侵されず、耐久性、耐熱性、耐食性、耐退色性、安全性、耐環境性などに優れ、装飾性にも富んでいる。 【0012】ここで、前記発熱層の厚さを1μm〜80μm、前記保護層の厚さを1μm〜1000μmとすることにより、電磁調理器による加熱調理を繰り返してもクラックや剥離などが生じない耐久性に優れた発熱層および保護層となるほか、食材の加熱調理に必要とする十分な熱を発揮できるだけでなく、陶磁器が本来具備している調理上の優れた効果を維持することができる。 【0013】また、本発明の電磁調理器用調理具の製造方法は、誘電性無機物質を主原料とする調理具本体の少なくとも底部下面に、白金、銀の少なくとも一方とガラスフリットとエチルセルロースとターピネオールとを含有する発熱用ペーストを塗布した後、前記発熱用ペーストを焼結して発熱層を形成する第一焼結工程と、酸化ケイ素、酸化ホウ素、酸化ナトリウム、酸化カリウムのいずれかを含有する保護層用ペーストを前記発熱層の表面に塗布した後、前記保護層用ペーストを焼結して保護層を形成する第二焼結工程とを有することを特徴とする。ここで、ガラスフリットとは酸化ケイ素、酸化ホウ素などであり、ターピネオールとは樹脂を溶解する溶剤であり、自然環境や人体に悪影響を及ぼすことのない無鉛溶剤である。 【0014】このような構成とすることにより、前述したように、耐熱性、耐火性、耐水性、耐食性、耐退色性、耐久性、耐薬品性、対環境性などに優れ、装飾性に富む電磁調理器用調理具を形成することができ、これらの製造工程は従来の陶磁器製造設備を利用して実施することができるので、大がかりな設備や装置を使用せず比較的簡単に電磁調理器用調理具を製造することが可能となる。 【0015】 【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の形態である電磁調理器用調理具を示す一部切欠側面図である。電磁調理器用調理具1においては、強化磁器材料である石英、セリサイト、カオリナイト、アルミナなどを主原料として焼成された鍋形状の調理具本体1aの底部下面を全体的に被覆するように発熱層2が形成され、この発熱層2を全体的に被覆するように保護層3が形成されている。発熱層2は銀などを含有し、保護層3は酸化ケイ素、酸化ホウ素、酸化ナトリウム、酸化カリウムなどを含有している。 【0016】電磁調理器用調理具1を電磁調理器4の所定位置に載置すると、電磁調理器4から発生する交番磁界によって調理具1の底部の発熱層2に渦電流が生じ、この渦電流が発熱層2を流れるときの電気抵抗発熱によって発熱層2が発熱し、この熱が調理具本体1aに伝達されるので、調理具1内に収容されている食材Fを加熱調理することができる。 【0017】このように、調理具本体1aが磁器材料などを主原料とする非導電性物体であっても電磁調理器4による加熱調理が可能であるため、調理具1は磁器製の調理具本体1aによって得られる調理上の優れた効果、例えば、加熱された磁器より放射される遠赤外線により食材をその内部からじっくりと加熱して芯から温めることで食材を美味しくする効果や、保温性に優れている点などを維持しつつ電磁調理器4を利用することができるので、便利である。 【0018】また、発熱層2は銀を含有しているため、誘導加熱の効率が高く発熱量が比較的大であるほか、厚膜印刷などの簡単な方法で薄膜化が可能であるとともに、パターン化も容易であるという優れた効果が得られ、保護層3は酸化ケイ素、酸化ホウ素、酸化ナトリウム、酸化カリウムを含有しているため、発熱層2との密着性が良好であり、洗剤や塩などの化学薬品による腐食が防止され、耐久性が向上する。 【0019】本実施形態では、発熱層2の厚さを約11μmとし、保護層3の厚さを約400μmとしたところ、電磁調理器4による加熱調理を繰り返してもクラックや剥離などが生じることがなく、優れた保温性、耐久性が得られ、無鉛であるため衛生的であり、人体にも害がない。 【0020】次に電磁調理器用調理具1の製造方法について説明する。電磁調理器用調理具1は、磁器材料やアルミナなどを焼成して形成された調理具本体1aの底部下面に、銀とガラスフリットとエチルセルロースとターピネオールとを含有する発熱用ペーストを塗布する。この場合、発熱用ペーストはスクリーン印刷法または溶射法によって塗布することができるが、スクリーン印刷法の方が塗布厚さの均一性に優れている。なお、発熱用ペーストの塗布厚さは20μm〜40μm程度が望ましい。調理具本体1aの底部下面に塗布した発熱用ペーストが十分に乾燥したら、調理具本体1aを800℃前後に加熱することによって発熱用ペーストを焼結させて発熱層2を形成する。 【0021】発熱層2が形成された調理具本体1aが室温程度まで冷えたら、酸化ケイ素、酸化ホウ素、酸化ナトリウム、酸化カリウムなどを含有する剥離防止用ペーストを発熱層2の表面に塗布し、十分に乾燥させた後、再び850℃程度に加熱することによって剥離防止用ペーストを焼結させて保護層3を形成する。 【0022】このようにして形成された発熱層2は調理具本体1aに対する優れた密着性を発揮するが、このような優れた密着性は発熱用ペーストに含まれるガラスフリット、エチルセルロース、ターピネオールなどの成分および銀などによって得られるものと推察される。 【0023】また、保護層3は発熱層2と強固に密着してその剥離を防止するだけでなく、保護層3自体も硬くて傷つきにくく、耐熱温度も850〜900℃程度なので優れた耐久性が得られる。これは、保護層3に含まれる酸化ケイ素、酸化ホウ素、酸化ナトリウム、酸化カリウムなど、特に、酸化ナトリウム、酸化カリウムなどによるものと推察される。 【0024】このように本実施形態の電磁調理器用調理具1は、電磁調理器4を利用した加熱調理において専用調理具と同様の優れた性能を発揮するが、電磁調理器用調理具1は通常のガスコンロや電気コンロなどの直接加熱方式の調理器にも使用することができ、その場合も優れた耐久性が得られる。 【0025】なお、電磁調理器用調理具1を構成する調理具本体1aの材質は磁器材料に限定するものではないので、調理具本体が、ペラタイト、粘土、蛙目などの陶器材料、ガラス、セラミックスあるいはアルミナなどの金属材料などを主原料するものであっても本発明の電磁調理器用調理具を形成することができる。 【0026】 【発明の効果】本発明により、以下に示す効果を奏する。 【0027】(1)誘電性無機物質を主原料とする調理具本体の少なくとも底部下面に、白金、銀の少なくとも一方を含有する発熱層と、この熱層を被覆する保護層とを備え、保護層が酸化ケイ素、酸化ホウ素、酸化ナトリウム、酸化カリウムのいずれかを含有することにより、陶磁器材料、ガラスおよびセラミックスなどを主原料とし、大がかりな設備や装置を使用せず比較的簡単に製造することができ、耐久性、耐熱性、耐食性、耐退色性、安全性、耐環境性などに優れ、装飾性に富んだものとなる。 【0028】(2)発熱層の厚さを1μm〜80μm、保護層の厚さを1μm〜1000μmとすることにより、電磁調理器による加熱調理を繰り返してもクラックや剥離などが生じない耐久性に優れた発熱層および保護層となるほか、食材の加熱調理に必要とする十分な熱を発揮できるだけでなく、陶磁器が本来具備している調理上の優れた効果を維持することができる。 【0029】(3)誘電性無機物質を主原料とする調理具本体の少なくとも底部下面に、白金、銀の少なくとも一方とガラスフリットなどを含有する発熱用ペーストを塗布、焼結して発熱層を形成する第一焼結工程と、酸化ケイ素、酸化ホウ素などを含有する保護層用ペーストを前記発熱層表面に塗布、焼結して保護層を形成する第二焼結工程とを有する製造方法により、大がかりな設備や装置を使用せず従来の陶磁器製造設備を利用して、耐熱性、耐火性、耐水性、耐食性、耐退色性、耐久性、耐薬品性、対環境性などに優れ、装飾性に富む前述の電磁調理器用調理具を比較的簡単に製造することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】501095576 【氏名又は名称】株式会社大慶
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| 【出願日】 |
平成13年12月19日(2001.12.19) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100099508 【弁理士】 【氏名又は名称】加藤 久
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| 【公開番号】 |
特開2003−180516(P2003−180516A) |
| 【公開日】 |
平成15年7月2日(2003.7.2) |
| 【出願番号】 |
特願2001−386416(P2001−386416) |
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