トップ :: A 生活必需品 :: A47 家具;家庭用品または家庭用設備;コ−ヒ−ひき;香辛料ひき;真空掃除機一般




【発明の名称】 消臭性カーテンおよびその製法
【発明者】 【氏名】鈴木 政幸
【住所又は居所】愛知県蒲郡市浜町36番地 株式会社鈴寅内

【氏名】鈴木 欣子
【住所又は居所】愛知県蒲郡市浜町36番地 株式会社鈴寅内

【氏名】鈴木 敏和
【住所又は居所】愛知県蒲郡市浜町36番地 株式会社鈴寅内

【氏名】鈴木 隆啓
【住所又は居所】愛知県蒲郡市浜町36番地 株式会社鈴寅内

【要約】 【課題】光触媒被膜自体の耐久性は低下しても、光触媒被膜を除くカーテン地および耐食性被膜の耐久性やカーテンとしての防炎性は低下させずに、光触媒被膜の製造コストを大幅に低下させ、その再生を容易にして光触媒機能の維持を図る。

【解決手段】合成繊維布帛からなり、その表裏両面に耐食性被膜を介して金属酸化物からなる光触媒被膜が形成されたカーテンにおいて、上記の耐食性被膜を物理蒸着膜で形成し、上記の光触媒被膜を金属酸化物および接着用樹脂を含む塗料組成物で処理して形成し、上記金属酸化物の固形分付着量を0.5〜10g/m2、接着用樹脂の固形分付着量を0.1〜0.9g/m2に設定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 合成繊維布帛からなり、その表裏両面に耐食性被膜を介して金属酸化物からなる光触媒被膜が形成されたカーテンにおいて、上記の耐食性被膜が物理蒸着膜からなり、上記の光触媒被膜が金属酸化物および接着用樹脂を含む塗料組成物による処理で形成されており、上記金属酸化物の固形分付着量が0.5〜10g/m2、接着用樹脂の固形分付着量が0.1〜0.9g/m2であることを特徴とする消臭性カーテン。
【請求項2】 合成繊維布帛の表裏両面に耐食性被膜を物理蒸着により形成した後、金属酸化物および接着用樹脂を含む塗料組成物で処理して上記の布帛に上記の金属酸化物を0.5〜10g/m2の固形分付着量で、また上記の接着用樹脂を0.1〜0.9g/m2の固形分付着量でそれぞれ付着させて光触媒被膜を形成し、得られた光触媒被膜付き布帛を裁断、縫製し、仕上げ加工を施すことを特徴とする消臭性カーテンの製法。
【請求項3】 請求項1に記載された消臭性カーテンが使用された後、この使用済み消臭性カーテンを洗濯、乾燥し、しかるのち金属酸化物および接着用樹脂を含む塗料組成物で処理して上記洗濯後のカーテンに上記の金属酸化物を0.5〜10g/m2の固形分付着量で、また上記の接着用樹脂を0.1〜0.9g/m2の固形分付着量でそれぞれ付着させて光触媒被膜を再生し、得られた光触媒被膜付きカーテンに仕上げ加工を施すことを特徴とする消臭性カーテンの製法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、光触媒を利用した消臭性カーテンおよびその製法に関し、防炎性を失わず、しかも安価に製造が可能で、例えばリネンサプライ方式で病院やホテル等に供給するのに適した消臭性カーテンを提供するものである。
【0002】
【従来の技術】消臭性カーテンとして、合成繊維布帛の表面にチタン・銅合金、ニッケル・銅合金またはステンレス鋼からなる耐食性被膜をスパッタリングで形成し、この耐食性被膜の上に酸化チタンや酸化亜鉛等の金属酸化物からなる光触媒被膜をスパッタリングで形成したもの(特開平7−215295号公報参照)および上記の耐食性被膜を二酸化ケイ素、酸化アルミニウムまたは酸化ジルコニウム等で透明にが形成したもの(特許第2880707号公報参照)が知られている。
【0003】上記の消臭性カーテンは、光触媒被膜を有するので、太陽や照明器具からの光を受けて空中の酸素を活性化し、この活性酸素で室内空気を消毒し、タバコ臭等の悪臭を消すことができると共に、光触媒被膜の下側に耐食性被膜を有するので、活性酸素で合成繊維布帛が侵されて脆化することがない。特に、耐食性被膜を透明に形成したものは、布帛の有する色や柄模様が見えるため、ファッション性も良好である。しかしながら、上記の消臭性カーテンは、耐食性被膜および光触媒被膜の双方がスパッタリングで形成されるため、耐久性にも優れ、上記の布帛が防炎加工布であっても、その防炎性を損なうことがない反面、生産性が低く、製造コストが高くなっていた。
【0004】一方、金属酸化物および接着用樹脂を含む水系ゾルに前記の合成繊維布帛を浸漬し、脱水、乾燥して光触媒被膜を形成した消臭性布帛が知られているが、この場合は、金属酸化物の微粒子が接着用樹脂で包まれているため、光触媒機能が弱くなり、また布帛の風合いが悪くなり、かつ使用により発生した活性酸素で接着用樹脂が脆化して剥落し、耐久性が低くなり、また樹脂分を多量に含むため、布帛に防炎加工が施されていても、その防炎性が低下するという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、耐食性被膜および光触媒被膜の両者を備えた消臭性カーテンにおいて、耐食性被膜および光触媒被膜の両者をスパッタリングで形成したものに比べて光触媒被膜自体の耐久性は低下しても、光触媒被膜を除くカーテン地および耐食性被膜の耐久性やカーテンとしての防炎性は低下させずに、上記光触媒被膜の製造コストを大幅に低下させ、その再生を容易にし、この再生を繰返すことによって光触媒機能を維持し、もって室内空気の連続的かつ能率的な消毒、消臭を可能にするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明に係る消臭性カーテンは、合成繊維布帛からなり、その表裏両面に耐食性被膜を介して金属酸化物からなる光触媒被膜が形成されたカーテンにおいて、上記の耐食性被膜が物理蒸着膜からなり、上記の光触媒被膜が金属酸化物および接着用樹脂を含む塗料組成物で処理されて形成されており、上記金属酸化物の固形分付着量が0.5〜10g/m2、接着用樹脂の固形分付着量が0.1〜0.9g/m2であることを特徴とする。
【0007】従来の消臭性カーテンでは、金属酸化物の固形分付着量が1〜10g/m2、接着用樹脂の固形分付着量が1〜5g/m2であったのに対し、この発明の消臭性カーテンでは、金属酸化物の固形分付着量が0.5〜10g/m2、好ましくは1〜5g/m2に設定され、従来とほぼ同等である一方、接着用樹脂の固形分付着量が0.1〜0.9g/m2、好ましくは0.1〜0.3g/m2に設定され、従来よりも少ないため、光触媒被膜が剥落し易い反面、金属酸化物の光触媒機能が十分に発揮され、かつ消臭性カーテンが防炎加工を施したものであっても、その防炎性を損なうことがない。
【0008】そして、光触媒被膜の下層に耐食性被膜を有するので、耐食性被膜の下のカーテン地が活性酸素で侵されて脆化することがない。しかも、上記の耐食性被膜が物理蒸着膜で、カーテン地に対して強固に付着し、耐剥離性に優れている。したがって、光触媒被膜が洗濯等によって剥離しても、光触媒被膜を上記同様の樹脂加工で再度形成することにより、消臭性カーテンとしての機能を容易に、かつ安価に再生することができる。
【0009】ただし、金属酸化物の固形分付着量が0.5g/m2未満の場合は、光触媒機能が不足し、反対に10g/m2を超えた場合は、光触媒被膜が剥離し易くなり、かつ不経済である。また、接着用樹脂の固形分付着量が0.1g/m2未満の場合は、カーテンの使用中に光触媒被膜が容易に剥離し、その触媒機能が失われ、反対に0.9g/m2を超えた場合は、金属酸化物の微粒子が接着剤で被覆されて光触媒機能を十分に発揮できなくなり、かつカーテン地が防炎性を備えている場合、その防炎機能が低下する。
【0010】この発明において、上記の消臭性カーテンは、合成繊維布帛の表裏両面に耐食性被膜を物理蒸着により形成した後、金属酸化物および接着用樹脂を含む塗料組成物で処理して上記の布帛に上記の金属酸化物を0.5〜10g/m2の固形分付着量で、また上記の接着用樹脂を0.1〜0.9g/m2の固形分付着量でそれぞれ付着させて光触媒被膜を形成し、得られた光触媒被膜付き布帛を裁断、縫製し、仕上げ加工を施すことによって製造される。
【0011】上記の合成繊維布帛は、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリアクリロニクリル繊維等の合成繊維からなる織物、編物、不織布等のカーテン地用布帛であり、上記の合成繊維は、特にフィラメントが好ましく、織物や編物ではモノフィラメント糸またはマルチフィラメント糸の形で使用される。そして、この発明では、上記の布帛に、あらかじめカーテン用として適当な浸染、捺染および防炎加工を施すことができる。
【0012】上記の合成繊維布帛において、表裏両面の耐食性被膜は、活性酸素に対する耐食性に優れ、かつ光反射性を有する金属または金属酸化物で形成される。上記の耐食性金属としては、チタン・銅合金、ニッケル・銅合金またはステンレス鋼等の合金が例示される。また、金属酸化物としては、上記の耐食性および光反射性に加えて透明性を備えた二酸化ケイ素、酸化アミニウムおよび酸化ジルコニウムが例示される。これらの耐食性被膜は、耐食性に加えて光反射性を有するため、光触媒被膜を透過した紫外線等を反射して布帛への入射を防ぐことができる。特に金属酸化物は、透明性を有し、布帛の色彩や柄模様が見え、布帛の風合いが損なわれず、ファッション性に優れる点で好ましい。
【0013】上記の耐食性被膜は、スパッタリング等の物理蒸着によって形成される。特に金属製の耐食製被膜は、密閉チャンバー内で上記の布帛を広げ、その表面に対向してアノードおよび上記の被膜用耐食性合金からなるターゲットを、アノードが布帛とダーゲットの間に位置するように配置し、上記のチャンバーを減圧し、不活性ガスを導入し、しかるのちアノードとターゲット間に直流電圧を印加してターゲットから被膜用合金をスパッタ蒸発させ、これを上記の布帛に吸着させることにより形成される。一方、金属酸化物製の耐食製被膜は、上記のチャンバー内を不活性ガスと酸素の混合ガス雰囲気とし、ターゲットをチタン等の金属で形成し、この金属をスパッタ蒸発させ、布帛に向かう蒸発金属を混合ガス中の酸素で酸化し、その他は上記同様にして形成される。
【0014】上記耐食性被膜の厚みは、1〜100nm、特に3〜10nmが好ましく、この厚みが1nm未満ではカーテン地の保護機能が不十分となり、カーテン地が活性酸素で侵され易くなり、反対に100nmを超えると、コストが上昇し、不経済となる。なお、上記の耐食性被膜は、カーテン地の表裏の片面に形成した後、このカーテン地を反転し、以下前記同様にして表裏の他面に形成される。
【0015】この発明では、上記の耐食性被膜上に光触媒被膜を樹脂加工法、例えば浸漬、塗工、スプレイ等で形成する。ただし、金属酸化物を含む塗料組成物は、従来よりも濃度を低くして使用される。例えば、浸漬の場合、布帛目付け量にもよるが、従来の塗料組成物は、水100重量部に付き1〜10重量部の金属酸化物および1〜5重量部の接着用樹脂を配合して調製されていたが、この発明では、水100重量部に付き1〜5重量部の金属酸化物および0.1〜0.9重量部の接着用樹脂を配合した塗料組成物が使用され、この塗料組成物で前記の布帛を処理、乾燥し、上記の配合量や浸漬時の脱水率等によって金属酸化物の固形分付着量が0.5〜10g/m2、好ましくは1〜5g/m2に、また接着用樹脂の固形分付着量が0.1〜0.9g/m2、好ましくは0.1〜0.3g/m2に制御される。
【0016】ただし、金属酸化物の配合量が1重量部未満では、固形分付着量が不足して光触媒機能が不十分になり易く、反対に5重量部を超えると、固形分付着量が過剰になって無駄になり易い。また、接着用樹脂の配合量が0.1重量部未満では、固形分付着量が不十分となり、光触媒被膜の強度が不足して剥離し易くなり、反対に0.9重量部を超えると、固形分付着量が過剰になり易く、金属酸化物の光触媒機能が発揮困難になる。
【0017】上記のようにして合成繊維布帛の表裏両面に耐食性被膜および光触媒被膜を順に形成して得られたカーテン地は、所定の形状に裁断、縫製し、必要な襞を形成し、アイロン掛けその他の仕上げ加工を施すことによって商品カーテンに仕上げられる。そして、この消臭性カーテンは、所望の室内の窓際等に掛けて使用される。その際、太陽や照明灯の光を受けると、光触媒被膜が機能して室内空気中の酸素を活性化し、その作用で空気を消毒、浄化し、悪臭を除去する。
【0018】そして、上記の消臭性カーテンが使用により汚れた場合は、この使用済み消臭性カーテンを洗濯、乾燥し、しかるのち金属酸化物および接着用樹脂を含む塗料組成物で処理して上記洗濯後のカーテンに上記の金属酸化物を0.5〜10g/m2の固形分付着量で、また上記の接着用樹脂を0.1〜0.9g/m2の固形分付着量でそれぞれ付着させて光触媒被膜を再生し、得られた光触媒被膜付きカーテンに仕上げ加工を施すことによって再び消臭性カーテンとして使用可能になる。なお、洗濯は水洗またはドライクリーニングのいずれでもよく、この洗濯で光触媒被膜は脱落するが、続く樹脂加工によって再生される。
【0019】
【発明の実施の形態】合成繊維布帛として、合成繊維好ましくはポリエステル繊維のマルチフィラメント糸からなるカーテン用の織物または経編地を用意し、この布帛に任意の浸染または捺染を施し、更に難燃剤溶液で処理し、乾燥する。次いで、得られた難燃性布帛を十分に乾燥した後、上記の布帛を密閉チャンバー内にセットし、スパッタリングにより上記の布帛に耐食性被膜を形成する。
【0020】上記の密閉チャンバには、回転自在の水冷シリンダとその表面に対向するアノードおよびターゲットとが設置され、前記の布帛が水冷シリンダの片側から巻回されて反対側に移送されるようになっており、上記の密閉チャンバー内圧力を1.3×10-3Pa程度に減圧し、次いでアルゴンガスおよび酸素を導入してチャンバ内圧力を1×10-1Pa程度に調整し、しかるのちアノードとターゲット間に直流電圧200〜1000Vを印加してターゲットからターゲット材料のケイ素やアルミニウム、ジルコニウム等の金属をスパッタ蒸発させ、これをチャンバー内の酸素と反応させ、金属酸化物として上記の布帛に付着させ、好ましくは二酸化ケイ素からなる透明な耐食性被膜を形成する。
【0021】そして、布帛の片面に対する耐食性被膜の形成が終わると、密閉チャンバに対する布帛のセットをやり直し、布帛の他面に対して同様のスパッタリングを行って布帛の表裏両面に透明で、光反射性を有する耐食性被膜を形成する。なお、上記耐食性被膜の厚みは、布帛の走行速度を調節することにより、1〜100nm、好ましくは3〜10nmに制御される。
【0022】次いで、上記の布帛は、水100部に対し1〜5重量部の金属酸化物および0.1〜0.9重量部の接着用樹脂を含む塗料組成物に浸漬し、脱水、乾燥することにより、表裏の耐食性被膜上に金属酸化物、好ましくは二酸化チタンからなる光触媒被膜が形成される。ただし、金属酸化物の固形分付着量は0.5〜10g/m2、好ましくは1〜5g/m2に設定される。また、接着用樹脂の固形分付着量は0.1〜0.9g/m2、好ましくは0.1〜0.3g/m2に設定される。
【0023】得られたカーテン地は、所望の大きさに裁断、縫製し、所望の襞を形成し、アイロン等を施して仕上げられ、その天部に吊りフックを取付けて病院やホテル、旅館、一般家庭その他の窓際に吊られて使用され、この使用により、ホテル、旅館、一般家庭その他の室内空気を消毒し、タバコ臭その他の悪臭を消すことができる。そして、上記の消臭性カーテンが使用により汚れたり、または使用期間が一定期間に達したりした場合は、窓際から降ろされ、そのフックが外され、ドライクリーニングや丸洗い等の任意の方法で洗濯され、乾燥される。
【0024】そして、洗濯、乾燥により光触媒被膜が剥離したカーテンは、再び前記の塗料組成物に浸漬され、脱水、乾燥により、表裏に残されている耐食性被膜上に上記同様の光触媒被膜が形成される。すなわち、光触媒被膜が再生される。ただし、上記金属酸化物の固形分付着量は0.5〜10g/m2、好ましくは1〜5g/m2に設定される。また、接着用樹脂の固形分付着量は0.1〜0.9g/m2、好ましくは0.1〜0.3g/m2に設定される。したがって、この光触媒機能が再生されたカーテンを再び前記の室内に掛けて使用することにより、室内空気を再び消毒し、悪臭を消すことができる。
【0025】上記の消臭性カーテンの好ましい使用態様として病院やホテル、旅館等での使用が例示される。すなわち、カーテンとして、合成繊維布帛からなり、その表裏両面に耐食性被膜を介して金属酸化物からなる光触媒被膜が形成されたカーテンにおいて、上記の耐食性被膜が物理蒸着膜からなり、上記の光触媒被膜が金属酸化物および接着用樹脂を含む塗料組成物で処理されて形成されており、上記金属酸化物の固形分付着量が0.5〜10g/m2、好ましくは1〜5g/m2に、また接着用樹脂の固形分付着量が0.1〜0.9g/m2、好ましくは0.1〜0.3g/m2にそれぞれ設定されたものを2組以上用意し、これを交互に使用し、一方を使用中に他方を洗濯、乾燥し、しかるのち金属酸化物および接着用樹脂を含む塗料組成物で処理して上記洗濯後のカーテンに上記の金属酸化物を0.5〜10g/m2の固形分付着量で、また上記の接着用樹脂を0.1〜0.9g/m2の固形分付着量でそれぞれ付着させて光触媒被膜を再生し、得られた光触媒被膜付きカーテンに仕上げ加工を施し、次の交換使用の準備をすることにより、病院やホテル等の室内空気を連続的に、かつ効率的に消毒し、悪臭を消すことができる。
【0026】
【実施例】カーテン用の合成繊維布帛として、ポリエステルマルチフィラメント糸からなる布帛重量200g/m2のサテンを用い、この布帛を精錬、セットの後、分散染料を用いて液流染色機で染色し、ソーピング、湯洗の後、乾燥した。次いで、リン系の難燃剤溶液に浸漬し、乾燥、熱処理を施して防炎性を付与し、しかるのち得られた防炎性布帛をスパッタリング用密閉チャンバにセットし、ターゲットにケイ素板を用い、アルゴンガスと酸素の存在下でスパッタリングを行い、上記防炎性布帛の片面に二酸化ケイ素からなり、透明で、光反射性を有する厚み5nmの耐食性被膜を形成した。そして、このスパッタリングを防炎性布帛の他面にも行い、表裏両面に上記の耐食性被膜を形成した。
【0027】上記の耐食性被膜付き布帛に二酸化チタンからなる光触媒被膜を浸漬法で形成するため、塗料組成物を調製した。すなわち、二酸化チタンの水系ゾル(堺化学社製「チタニアゾルCSB」、アナターゼ型二酸化チタン含有量:40重量%)およびウレタン系接着用樹脂と溶媒とからなる樹脂溶液(バイエル社製「インプラニールDLN」、樹脂含有量:50%)をそれぞれ用意し、水100部に対し、上記のチタニアゾルを3部、樹脂溶液を0.3部加え、混合して水100部に対し、1.2部の二酸化チタンおよび0.15部の接着用樹脂を含む塗料組成物を調製した。
【0028】得られた塗料組成物に前記の耐食性被膜付き布帛を浸漬し、遠心脱水機を用いて絞り率70%で脱液し、乾燥、熱セットを行い、二酸化チタンの固形分付着量が1.68g/m2で、接着用樹脂の固形分付着量が0.21g/m2の光触媒被膜を形成した。得られたカーテン地を裁断し、ミシンで四周を端縫いし、天部に多数の襞を形成し、更に多数本の円筒状ビームヒータを用いて上下方向のプリーツを多数本平行に、断面が波形となるように形成して製品とした。
【0029】上記の製品カーテンを3カ月間使用した後、そのフックを外して丸洗い洗濯を行い、乾燥した後、上記の塗料組成物に再び浸漬し、上記同様に絞液し、乾燥、熱セットを行い、更に多数本の円筒状ビームヒータを用いて上下方向のプリーツを多数本平行に、かつ断面が波形となるように形成した。
【0030】上記のカーテンについて消臭機能を試験した。すなわち、上記のカーテンまたはカーテン地から縦横150mmの試験片を切り取り、この試験片を試験用チャンバ内に吊り下げ、ブラックライト(紫外線強度:150mW/cm2 )で照射しながら、上記チャンバに封入した所定量のアセトアルデヒドの濃度変化を測定した。その結果を下記の表1に示す。なお、表中、実施例1は上記の光触媒被膜を形成したもの、比較例1は3カ月間使用して洗濯した後のもの、実施例2は洗濯後に光触媒被膜を再生したもの、比較例2は二酸化チタンの固形分付着量を10g/m2とし、接着用樹脂の固形分付着量を0g/m2としたものである。
【0031】
【表1】

【0032】上記の表1に示すとおり、新しく光触媒被膜を形成した実施例1および使用し洗濯した後に光触媒被膜を再生した実施例2は、いずれも良好な消臭機能を示したが、使用後に洗濯した比較例1は、消臭機能がほとんど消失していた。また、接着用樹脂を用いない比較例2は、消臭機能が優れる反面、光触媒被膜を構成する二酸化チタンが布帛に固着してないため、試験用チャンバから取出して風に触れると直ちに二酸化チタンが飛散し、消臭機能が失われる結果になった。
【0033】また、上記の実施例1、2について、防炎性の試験をしたところ、耐食性被膜を形成する前後において、また洗濯後においても常に良好で、日本防炎協会のラベル基準(イ)に適合していた。なお、光触媒被膜を形成する際の生産性は、スパッタリングに比べて10倍以上であり、またコストは1/5以下であった。
【0034】
【発明の効果】上記のとおり、請求項1に係る消臭性カーテンは、光触媒機能に優れ、カーテン地本体の防炎性を損なうことがなく、かつ光触媒被膜の生産性が高く、低コストで光触媒被膜を再生できるので、光触媒被膜が剥落しても、再生することによって光触媒機能(消臭機能)を維持することができ、病院やホテル等にリネンサプライ方式で供給するのに好適である。また、請求項2に係る発明は、上記請求項1に係る消臭性カーテンを容易に製造することができる。また、請求項3に係る発明は、請求項1に係る消臭性カーテンが汚れた場合に、その洗濯の機会を利用して光触媒被膜を再生するようにしたものであるから、消臭性カーテンの清潔性および光触媒機能の双方を容易に維持することができる。
【出願人】 【識別番号】591158335
【氏名又は名称】株式会社鈴寅
【住所又は居所】愛知県蒲郡市浜町36番地
【出願日】 平成14年5月15日(2002.5.15)
【代理人】 【識別番号】100081662
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 了司
【公開番号】 特開2003−325311(P2003−325311A)
【公開日】 平成15年11月18日(2003.11.18)
【出願番号】 特願2002−139449(P2002−139449)