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【発明の名称】 乗り物用シート
【発明者】 【氏名】中野 伸行
【住所又は居所】神奈川県綾瀬市小園771番地 ジョンソン コントロールズ オートモーティブ システムズ株式会社内

【要約】 【課題】面状体を確実に支えて、所望の支持感を得られるようにした乗り物用シートを提供する。

【解決手段】中央に開口6を有するシートバックフレーム5と、該シートバックフレーム5の該開口6を覆うと共にシートバックフレーム5に弾性的に配されてなる面状体14とを少なくとも備えることで、着座者の背もたれとなるシートバック2を構成してなる乗り物用シートにおいて、前記面状体14の上下方向のほぼ中間部には、ヒンジ機構19により、前記面状体14を前後動可能に軸支してなり、前記面状体14のヒンジ機構19より下側の後側には、ランバーサポート機構20のロッド部21が配されて、前記面状体14を前側に押出可能なるものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 中央に開口を有するシートバックフレームと、該シートバックフレームの該開口を覆うと共に前記シートバックフレームに弾性的に配されてなる面状体とを少なくとも備えることで、着座者の背もたれとなるシートバックを構成してなる乗り物用シートにおいて、前記面状体の上下方向のほぼ中間部には、ヒンジ機構により、前記面状体を前後動可能に軸支してなり、前記面状体のヒンジ機構より下側の後側には、ランバーサポート機構のロッド部が配されて、前記面状体を前側に押出可能なることを特徴とする乗り物用シート。
【請求項2】 請求項1に記載の乗り物用シートであって、前記面状体は、剛性を有する部材より形成されてなることを特徴とする乗り物用シート。
【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の乗り物用シートであって、前記ランバーサポート機構のロッド部には、前記面状体と当接する部位を有し、該当接部位間は、面状体と離間するように形成されてなることを特徴とする乗り物用シート。
【請求項4】 請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の乗り物用シートであって、前記面状体は、上側から上下中央位置にかけて後側へ湾曲してなると共に上下中央位置から下側にかけて前側へ湾曲してなることを特徴とする乗り物用シート。
【請求項5】 請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の乗り物用シートであって、前記ヒンジ機構は、前記面状体に一体に形成されてなることを特徴とする乗り物用シート。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、乗り物用シート、特にその背もたれ構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、図5に示すように、従来の乗り物用シートのシートバック30としては、中央に開口31を有するシートバックフレーム32と、該シートバックフレーム32の該開口31を覆うと共に前記シートバックフレーム32にコイルスプリング33及び連結部材36により弾性的に配されてなる枠状の枠体34と、該枠体34に架橋されてなる支持体35とを少なくとも備えることで、着座者の背もたれとなるシートバック30を構成して成る。前記支持体35により、着座者の背中を柔らかく保持し、枠体34の上部でコイルスプリング33の作用により着座者の背中を前後動可能とし、ストローク感を増大させるようにしている。類似技術として、特開平8−299103号公報がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の技術にあっては、枠状の枠体34をコイルスプリング33で吊設しているので、安定感が無く、乗員にとって安定的に支持されている感じを与えることが出来ないおそれがある。
【0004】この発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、面状体を確実に支えて、所望の支持感を得られるようにした乗り物用シートを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明は、中央に開口を有するシートバックフレームと、該シートバックフレームの該開口を覆うと共に前記シートバックフレームに弾性的に配されてなる面状体とを少なくとも備えることで、着座者の背もたれとなるシートバックを構成してなる乗り物用シートにおいて、前記面状体の上下方向のほぼ中間部には、ヒンジ機構により、前記面状体を前後動可能に軸支してなり、前記面状体のヒンジ機構より下側の後側には、ランバーサポート機構のロッド部が配されて、前記面状体を前側に押出可能なるものである。
【0006】請求項1に記載の発明によれば、着座者の背中からの影響を最も受けにくい面状体の上下方向のほぼ中央部にヒンジ機構を設けたので、面状体が確実に保持され、着座者を確実に保持出来る。また、面状体の上側を後側に押すか、或いは面状体のヒンジ機構より下側に配されるランバーサポート機構のロッド部によって面状体の下部を前側に押すことによって、着座者の腰部周りを、面状体の下部が所望の支持感で保持できることになる。
【0007】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の乗り物用シートであって、前記面状体は、剛性を有する部材より形成されてなる。
【0008】請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、面状体が剛性を有する部材よりなるので、ランバーサポート機構のロッド部により前側に押した分だけ面状体の下部は前側に移動できるし、着座者がシートに着座して面状体の上部を後側に押し込む分だけ面状体の下部は前側に確実に移動できることになり、着座者の支持感が著しく向上する。
【0009】請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の乗り物用シートであって、前記ランバーサポート機構のロッド部には、前記面状体と当接する部位を有し、該当接部位間は、面状体と離間するように形成されてなる。
【0010】請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は請求項2の効果に加え、前記ランバーサポート機構のロッド部の当接部位によって面状体の下部を前側に押し出す機能を維持しつつ、シートに着座したことにより、面状体が後側に撓む時に、該ロッド部が面状体から離間していることで、着座者はロッド部に干渉せず、乗り心地を向上できる。
【0011】請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の乗り物用シートであって、前記面状体は、上側から上下中央位置にかけて後側へ湾曲してなると共に上下中央位置から下側にかけて前側へ湾曲してなる。
【0012】請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至請求項3の何れか1項の効果に加え、面状体は、上側から上下中央位置にかけて後側へ湾曲してなると共に上下中央位置から下側にかけて前側へ湾曲してなるので、着座者の背中の曲線に沿う形となり、着座者にとって背凭れやすいものとなる。
【0013】請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の乗り物用シートであって、前記ヒンジ機構は、前記面状体に一体に形成されてなる。
【0014】請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至請求項4の何れか1項の効果に加え、ヒンジ機構が面状体の成形時に同時に成形できるので、製造原価が安価になる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、この発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。尚、FRを前側、RRを後側、UPは上側、LWRは下側として説明する。
【0016】図1乃至図3は、この発明の一実施形態を示すもので、符号1は「乗り物」としての自動車のシートで、シートバック2とシートクッション3とより構成されてなる。
【0017】前記シートバック2を構成するシートバックフレーム5は、両側部に配されてなる左右対称の鉄板よりなるサイドフレーム10,10と、該サイドフレーム10,10の上端部10a,10aの前側FR間に略水平状に架設されてなる断面略コの字状の鉄板製のアッパクロスメンバ11と、前記サイドフレーム10,10の下端部10b,10bに略水平状に架設されてなる鉄板製のロアクロスメンバ12とよりなるパネルフレームより略四角枠状に形成されているが、パイプを略四角枠状に屈折して形成されたパイプフレームから形成されていても良い。該シートバックフレーム5を正面から見た状態での中央には、開口6を有する。前記サイドフレーム10,10と、前記アッパクロスメンバ11と、前記ロアクロスメンバ12とは、相互に溶接GWにより支持されて方形をなす。前記アッパクロスメンバ11には、図1に示すように、図示しないヘッドレストスティのホルダーブラケット用の透孔24が上下方向に貫通して左右一対に形成されている。
【0018】前記シートバックフレーム5の前記開口6の位置には、該開口6を前側から覆うと共に前記シートバックフレーム5のサイドフレーム10,10にスプリング13により弾性的に配されてなる面状体14と、該面状体14に架橋されてなる支持体15とを少なくとも備える。
【0019】前記面状体14は、剛性を有する部材より形成されてなるもので、例えば中空パイプを前側から見て方形の閉ループ状に形成されてなる。大きさは、着座乗員の背中の左右幅及び肩から尻部にかけての上下幅を有する。前記支持体15は、面状体14の内部に適宜の間隔で設けられた複数の鋼線状のものであるが、S字ばねやパネルであっても良い。前記スプリング13は、コイル状に巻装されたもので、サイドフレーム10と面状体14の側部14aの後述するヒンジ機構19の上部と下部とに左右一箇所づつ弾性的に架橋されているが、コイルスプリングに限定されるものではなく、復帰力を有するバネ材であっても良い。前記面状体14及び支持体15とを一体にしたパネル状のものでも良い。
【0020】前記面状体14の上下方向のほぼ中間部には、ヒンジ機構19により、前記面状体14を前後動可能に軸支してなる。前記ヒンジ機構19より下側LWRの位置で、前記面状体14の後側RRの位置には、ランバーサポート機構20のロッド部21が配されることで、前記面状体14の下部14cを前側FRに押出可能としている。前記ランバーサポート機構20は、図示しない操作手段により回転制御されると、前記ロッド部21は、前後に適宜動き且つその適宜の位置で停止できるので、乗員の腰部を好む力で保持できることになる。
【0021】前記ランバーサポート機構20のロッド部21が、前記シートバックフレーム5のサイドフレーム10,10の下部10bの内側に配されるので、前記面状体14と交差する関係にあるが、図3に示すように、前記面状体14と交差する部位では、確実に面状体14に当接する部位21a,21aを確保し、該当接部位21a,21a以外の間の部位21bは、面状体14の配される前後位置よりも前後方向で離間するように、換言すると、後側RRに湾曲した形に形成されてなる。
【0022】また、前記面状体14の側部14a、14aは、上側UPの上部14bから上下中央位置にかけて、前側FRを中心とした円弧により、後側RRへ湾曲してなると共に上下中央位置から下側LWRの下部14cにかけて、後側RRを中心とした円弧により、前側FRへ湾曲してなることで、側面から見て略S字状に湾曲形成されている。
【0023】図1に示すように、前記ヒンジ機構19は、前記面状体14の両側部14a、14aの中間部に固着された第1ブラケット25と、前記サイドフレーム10,10に溶接GWにより固着された第2ブラケット26と、前記第1,第2ブラケット25,26の貫通穴に挿通されて支持されるかしめピン27とから構成されている。
【0024】次に、この実施形態に係る作動を説明する。
【0025】着座者の背中からの影響を最も受けにくい面状体14の上下方向のほぼ中央部にヒンジ機構19を設けたので、面状体14が確実に保持され、着座者を確実に保持出来る。また、面状体14の上側UPの上部14bを後側RRに押すか、或いは面状体14のヒンジ機構19より下側LWRに配されるランバーサポート機構20のロッド部21によって面状体14の下部14cを前側FRに押すことによって、着座者の腰部などを保持する面状体14のストローク感を増大させることが出来、着座者の姿勢に対応して着座者の腰部を所望の支持感で保持できる。また、前ずれして着座している場合にも、着座者の腰部を確実に保持することができ、腰椎部及び骨盤部などもしっかりと保持できることになる。
【0026】また、前記面状体14は、剛性を有する部材より形成されてなるので、ランバーサポート機構20のロッド部21により前側FRに押した分だけ面状体14の下部14cは前側FRに移動できるし、着座者がシート1に着座して面状体14の上部14bを後側RRに押し込む分だけ面状体14の下部14cは前側FRに確実に移動できることになり、着座者の支持感が著しく向上する。
【0027】また、前記ランバーサポート機構20のロッド部21には、前記面状体14と当接する部位21aを有し、該当接部位21a間は、面状体14と離間するように形成されてなるので、前記ランバーサポート機構20のロッド部21の当接部位21aによって面状体14の下部14cを前側FRに押し出す機能を維持しつつ、着座者がシート1に着座して、面状体14に架橋されてなる支持体15を後側RRに撓わませる時に、該ロッド部21の当接部位21a以外の部位21bが面状体14から離間していることで、着座者はロッド部21に干渉せず、乗り心地を向上できる。
【0028】また、前記面状体14は、上側UPの上部14bから上下中央位置にかけて側部14aが後側RRへ湾曲してなると共に上下中央位置から下側LWRの下部14cにかけて前側FRへ湾曲してなるので、着座者の背中の曲線に沿う形となり、着座者にとって背凭れやすいものとなる。
【0029】前記実施形態では、ヒンジ機構19は、面状体14及びサイドフレーム10とは別体の第1,第2ブラケット25,26よりなるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、前記面状体14及びサイドフレーム10と一体に形成されてなるものでも良く、かかる場合、ヒンジ機構が前記面状体14及びサイドフレーム10の成形時に同時に成形できるので、製造原価が安価になる。
【0030】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、着座者の背中からの影響を最も受けにくい面状体の上下方向のほぼ中央部にヒンジ機構を設けたので、面状体が確実に保持され、着座者を確実に保持出来る。また、面状体の上側を後側に押すか、或いは面状体のヒンジ機構より下側に配されるランバーサポート機構のロッド部によって面状体の下部を前側に押すことによって、着座者の腰部周りを、面状体の下部が所望の支持感で保持できることになる。
【0031】請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、面状体が剛性を有する部材よりなるので、ランバーサポート機構のロッド部により前側に押した分だけ面状体の下部は前側に移動できるし、着座者がシートに着座して面状体の上部を後側に押し込む分だけ面状体の下部は前側に確実に移動できることになり、着座者の支持感が著しく向上する。
【0032】請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は請求項2の効果に加え、前記ランバーサポート機構のロッド部の当接部位によって面状体の下部を前側に押し出す機能を維持しつつ、シートに着座したことにより、面状体が後側に撓む時に、該ロッド部が面状体から離間していることで、着座者はロッド部に干渉せず、乗り心地を向上できる。
【0033】請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至請求項3の何れか1項の効果に加え、面状体は、上側から上下中央位置にかけて後側へ湾曲してなると共に上下中央位置から下側にかけて前側へ湾曲してなるので、着座者の背中の曲線に沿う形となり、着座者にとって背凭れやすいものとなる。
【0034】請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至請求項4の何れか1項の効果に加え、ヒンジ機構が面状体の成形時に同時に成形できるので、製造原価が安価になる。
【出願人】 【識別番号】000210089
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ オートモーティブ システムズ株式会社
【住所又は居所】神奈川県綾瀬市小園771番地
【出願日】 平成13年11月27日(2001.11.27)
【代理人】 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和 (外7名)
【公開番号】 特開2003−159146(P2003−159146A)
【公開日】 平成15年6月3日(2003.6.3)
【出願番号】 特願2001−360812(P2001−360812)