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【発明の名称】 ヘッドレストステー
【発明者】 【氏名】山田 伸雄
【住所又は居所】愛知県刈谷市井ヶ谷町下前田25番地の1 日本テクニカ株式会社内

【要約】 【課題】シート組立工程では、同棒状部位を同軸孔に対して容易に挿入することができなかった。また、自動車の乗員がヘッドレストの高さを変更する場合には、軸線方向へのスムーズな移動が困難であった。

【解決手段】棒状のパイプ材33と、略L字形状にプレスされた板材34,35と、パイプ材31,32とを組み合わせてかしめ固定し、略コの字形状のヘッドレストステー30を形成する。このため、ヘッドレスト20から突出するパイプ材31,32の間隔を容易にヘッドレストサポート11,12の配置間隔に合わせることができる。このため、シート組立工程における作業性を向上させるとともに、スムーズなヘッドレスト20の上下動を実現させることが可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ヘッドレストに組み付けられて同ヘッドレスト内から一対の棒状部位を突出させるヘッドレストステーであって、屈曲部材と棒状部材とを組み合わせて連結し、略コの字形状に形成されることを特徴とするヘッドレストステー。
【請求項2】 上記請求項1に記載のヘッドレストステーにおいて、略L字形状に形成された一対の屈曲部材と、各端が各屈曲部材の一端に連結される第一棒状部材と、一端が各屈曲部材の他端に連結される一対の第二棒状部材とを備えることを特徴とするヘッドレストステー。
【請求項3】 上記請求項1に記載のヘッドレストステーにおいて、略コの字形状に形成された屈曲部材と、一端が同屈曲部材の各端に連結される一対の棒状部材とを備えることを特徴とするヘッドレストステー。
【請求項4】 上記請求項1〜請求項3のいずれかに記載のヘッドレストステーにおいて、上記屈曲部材は、板面の幅方向へ屈曲する板材により形成されていることを特徴とするヘッドレストステー。
【請求項5】 上記請求項1〜請求項4のいずれかに記載のヘッドレストステーにおいて、上記棒状部材は、管体により構成され、上記屈曲部材の端部を開口に挿入し、当該棒状部材における端部付近の外壁面を軸芯に直交する方向からプレスしてかしめ固定されることを特徴とするヘッドレストステー。
【請求項6】 上記請求項5に記載のヘッドレストステーにおいて、上記屈曲部材は、端部が上記棒状部材の開口に挿入されるとともに、内壁面が当該屈曲部材の外壁面と同棒状部材の開口付近における外壁面とに当接可能な略L字形状の位置決め孔に収容され、同端部と同棒状部材とが互いに平行となるように位置決めされることを特徴とするヘッドレストステー。
【請求項7】 上記請求項1〜請求項6のいずれかに記載のヘッドレストステーにおいて、上記棒状部材は、内径が徐々に狭まる曲面を奥面の外周部位に有し、内壁面が当該棒状部材の外壁面に当接可能な有底円筒状の型孔に他端側から挿入されるとともに、一端側から同奥面に向けてプレスされ、他端開口の周縁に丸め加工が施されることを特徴とするヘッドレストステー。
【請求項8】 上記請求項1〜請求項7のいずれかに記載のヘッドレストステーにおいて、上記棒状部材は、内壁面が当該棒状部材の外壁面に当接可能な円筒状の位置決め孔に挿入されるとともに、外壁面が当該棒状部材の内壁面に当接可能な円柱状の入れ子を挿入し、同軸芯に直交する方向から当該棒状部材の外壁面をプレスして同外壁面に切り溝が形成されることを特徴とするヘッドレストステー。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヘッドレストステーに関し、特に、ヘッドレストに組み付けられて同ヘッドレスト内から一対の棒状部位を突出させるヘッドレストステーに関する。
【0002】
【従来の技術】従来のヘッドレストステーは、棒状のパイプ材を略コの字形状に屈曲させて形成される。そして、ヘッドレストに組み付けられ、同ヘッドレスト内から一対の棒状部位を突出させる。また、シートバックの上部には、軸孔を鉛直方向へ配向させつつ所定間隔をおいて一対のヘッドレストサポートが配置されている。このため、各軸孔に対して上記突出されるヘッドレストステーの各棒状部位をそれぞれに挿入し、ヘッドレストをシートバックに支持させる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のヘッドレストステーにおいては、上記棒状部位の間隔が各ヘッドレストサポートの配置間隔と一致するようにパイプ材を屈曲させているが、パイプの内径、硬度、弾性率などに応じて公差が生じるという課題があった。このため、ヘッドレストから突出する棒状部位の先端とヘッドレストサポートの軸孔との位置が一致せず、シート組立工程では、同棒状部位を同軸孔に対して容易に挿入することができなかった。
【0004】また、自動車の乗員がヘッドレストの高さを変更する場合には、上記棒状部位が上記軸孔と干渉して抵抗感を生じさせるため、軸線方向へのスムーズな移動が困難であった。本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、シート組立工程における作業性を向上させるとともに、スムーズなヘッドレストの高さ変更を実現させることが可能なヘッドレストステーの提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、ヘッドレストに組み付けられて同ヘッドレスト内から一対の棒状部位を突出させるヘッドレストステーであって、屈曲部材と棒状部材とを組み合わせて連結し、略コの字形状に形成される構成としてある。上記のように構成した請求項1にかかる発明においては、屈曲部材と棒状部材とをそれぞれ個別に形成し、これらの屈曲部材と棒状部材とを組み合わせて連結することにより、略コの字形状のヘッドレストステーを形成する。
【0006】このように形成されたヘッドレストステーは、ヘッドレストに組み付けられると、略コの字形状の翼辺に相当する一対の棒状部位を同ヘッドレスト内から突出させる。そして、この突出する一対の棒状部位をシートバックの上部に所定間隔をおいて配置された一対のヘッドレストサポートの軸孔にそれぞれ挿入し、上記ヘッドレストを同シートバックの上部に支持させる。ここで、当該ヘッドレストステーには、あらかじめ所定の屈曲形状を有する屈曲部材が用いられるため、この屈曲部材を形成する時点で上記棒状部位の間隔を決定することができる。すなわち、上記棒状部位の間隔を上記ヘッドレストサポートの配置間隔に合わせて、棒材を略コの字形状に折り曲げる必要がなくなる。従って、棒材を折り曲げる際、硬度や弾性率などに応じて生じていた公差が解消され、上記ヘッドレストサポートの配置間隔に合わせて上記棒状部位の間隔を設定することが可能となる。
【0007】上記組み合わせて連結される屈曲部材と棒状部材の一例として、請求項2にかかる発明は、上記請求項1に記載のヘッドレストステーにおいて、略L字形状に形成された一対の屈曲部材と、各端が各屈曲部材の一端に連結される第一棒状部材と、一端が各屈曲部材の他端に連結される一対の第二棒状部材とを備える構成としてある。上記のように構成した請求項2にかかる発明においては、略L字形状に形成された一対の屈曲部材と第一棒状部材と一対の第二棒状部材とをそれぞれ個別に形成する。そして、第一棒状部材の各端を各屈曲部材の一端に連結し、各第二棒状部材の一端を各屈曲部材の他端に連結することにより、略コの字形状のヘッドレストステーを形成する。
【0008】また、上記組み合わせて連結される屈曲部材と棒状部材の別の一例として、請求項3にかかる発明は、上記請求項1に記載のヘッドレストステーにおいて、略コの字形状に形成された屈曲部材と、一端が同屈曲部材の各端に連結される一対の棒状部材とを備える構成としてある。上記のように構成した請求項3にかかる発明においては、略コの字形状に形成された屈曲部材と一対の棒状部材とをそれぞれ個別に形成する。そして、各棒状部材の一端を屈曲部材の各端にそれぞれ連結することにより、略コの字形状のヘッドレストステーを形成する。
【0009】上記屈曲部材の構成例として、請求項4にかかる発明は、上記請求項1〜請求項3のいずれかに記載のヘッドレストステーにおいて、上記屈曲部材は、板面の幅方向へ屈曲する板材により形成されている構成としてある。上記のように構成した請求項4にかかる発明においては、板面の幅方向へ屈曲する板材により形成されている屈曲部材と上記棒状部材とを組み合わせて連結する。すると、上記ヘッドレストサポートは、所定間隔をおいて車幅方向へ一対配置されることから、これらのヘッドレストサポートに各棒状部位を挿入した際、上記屈曲部材の板面が車両の前後方向へ配向される。すなわち、同屈曲部材は、厚み方向が車両の前後へ配向され、幅広となる方向が車両の左右へ配向されるため、車両の前後方向へ撓みやすくなる。従って、急制動時、乗員の頭部に対して後方へ衝撃が加わり、ヘッドレストが前方から押圧された場合、上記屈曲部材が下端部位を支点に後方へ弓なりに反って衝撃を吸収することができる。このように、上記屈曲部材を板材で構成することにより可撓性を持たせると、ヘッドレストに加わる衝撃を吸収させることができる点で有用となるが、かかる構成は一例にすぎず、本発明にかかるヘッドレストステーは、屈曲部材と棒状部材とを組み合わせて連結されるものであれば良いとの観点から、板面の幅方向と直交する側へ肉厚な角柱形状であっても良いし、円柱形状などであっても良い。
【0010】ところで、上記屈曲部材と棒状部材とを組み合わせて連結する際の手法の一例として、請求項5にかかる発明は、上記請求項1〜請求項4のいずれかに記載のヘッドレストステーにおいて、上記棒状部材は、管体により構成され、上記屈曲部材の端部を開口に挿入し、当該棒状部材における端部付近の外壁面を軸芯に直交する方向からプレスしてかしめ固定される構成としてある。上記のように構成した請求項5にかかる発明においては、管体により構成された棒状部材の端部開口には、上記屈曲部材の端部が挿入される。そして、当該棒状部材における端部付近の外壁面を軸芯に直交する方向からプレスする。すると、同棒状部材の壁面とともに、同屈曲部材の壁面が一体的に押し潰され、かしめ固定される。
【0011】このようにかしめ固定を行うにあたり、各部材を位置決めするための手法の一例として、請求項6にかかる発明は、上記請求項5に記載のヘッドレストステーにおいて、上記屈曲部材は、端部が上記棒状部材の開口に挿入されるとともに、内壁面が当該屈曲部材の外壁面と同棒状部材の開口付近における外壁面とに当接可能な略L字形状の位置決め孔に収容され、同端部と同棒状部材とが互いに平行となるように位置決めされる構成としてある。上記のように構成した請求項6にかかる発明においては、上記屈曲部材の端部が上記棒状部材の開口に挿入され、略L字形状の位置決め孔に同屈曲部材と棒状部材とが収容される。
【0012】このとき、上記屈曲部材の外壁面と上記棒状部材の開口付近における外壁面とを上記位置決め孔の内壁面に当接させ、同屈曲部材の端部と同棒状部材とを互いに平行となるように位置決めする。このため、上記屈曲部材の端部と上記棒状部材とが互いに平行となった状態で同屈曲部材と同棒状部材とがかしめ固定される。従って、ヘッドレスト内から突出される一対の棒状部材の間の間隔を上記屈曲部材の屈曲角度だけで決めることが可能となる。
【0013】また、ヘッドレスト内から突出される棒状部材の先端形状を工夫することにより、上記ヘッドレストサポートへのスムーズな挿入を実現させることも可能である。その際の構成例として、請求項7にかかる発明は、上記請求項1〜請求項6のいずれかに記載のヘッドレストステーにおいて、上記棒状部材は、内径が徐々に狭まる曲面を奥面の外周部位に有し、内壁面が当該棒状部材の外壁面に当接可能な有底円筒状の型孔に他端側から挿入されるとともに、一端側から同奥面に向けてプレスされ、他端開口の周縁に丸め加工が施される構成としてある。上記のように構成した請求項7にかかる発明においては、上記棒状部材の端部開口の周縁に丸め加工が施される。
【0014】すなわち、上記棒状部材の外壁面を内壁面に当接させつつ、同棒状部材を有底円筒状の型孔に他端側から挿入する。そして、同棒状部材を一端側から奥面に向けてプレスする。すると、上記型孔の奥面には、内径が徐々に狭まる曲面が外周部位に形成されているため、上記棒状部材の他端開口周縁に丸め加工が施される。従って、上記ヘッドレストサポートに対して棒状部材の先端を挿入する際、開口周縁に形成された曲面により、同棒状部材の先端が同ヘッドレストサポートの軸孔に誘導され、スムーズな挿入が実現される。
【0015】さらに、上記ヘッドレストサポートに設けられるロック片に係合可能な切り溝を上記棒状部材に形成する手法の一例として、請求項8にかかる発明は、上記請求項1〜請求項7のいずれかに記載のヘッドレストステーにおいて、上記棒状部材は、内壁面が当該棒状部材の外壁面に当接可能な円筒状の位置決め孔に挿入されるとともに、外壁面が当該棒状部材の内壁面に当接可能な円柱状の入れ子を挿入し、同軸芯に直交する方向から当該棒状部材の外壁面をプレスして同外壁面に切り溝が形成される構成としてある。上記のように構成した請求項8にかかる発明においては、上記棒状部材の外壁面を内壁面に当接させつつ、同棒状部材が円筒状の位置決め孔に挿入される。また、円柱状の入れ子が当該棒状部材の内壁面に外壁面を当接させつつ挿入される。そして、上記棒状部材の外壁面を軸芯に直交する方向からプレスし、同外壁面に切り溝を形成する。なお、上記請求項5〜請求項8にかかる成形工程または組立工程は、それぞれ個別に行っても良いし、同時に行っても良く、各工程の実行タイミングが限定されるものではない。
【0016】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、ヘッドレストから突出する棒状部位の間隔を容易にヘッドレストサポートの配置間隔に合わせることが可能となる。このため、シート組立工程における作業性を向上させるとともに、スムーズなヘッドレストの上下動を実現させることが可能なヘッドレストステーを提供することができる。また、請求項2にかかる発明によれば、屈曲部材を小型化させることにより、同屈曲部材を切り出す際に生じる原材料の無駄を少なくすることができる。さらに、請求項3にかかる発明によれば、部材数を低減させることにより、組立工程の簡略化を図ることができる。
【0017】さらに、請求項4にかかる発明によれば、緩衝機能を持たせることができる。さらに、請求項5にかかる発明によれば、各部材を容易に連結させることができる。さらに、請求項6にかかる発明によれば、連結角度を正確に決めて各部材を連結することができる。さらに、請求項7にかかる発明によれば、ヘッドレストサポートの軸孔へのスムーズな挿入が可能な棒状部材を形成することができる。さらに、請求項8にかかる発明によれば、棒状部材に対して容易に切り溝を形成することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】ここでは、下記の順序に従って本発明の実施形態を説明する。
(1)シートバック上部における構成の説明:(2)ヘッドレストステーにおける構成の説明:(3)丸め加工の説明:(4)テーパプレス加工の説明:(5)位置決めおよびかしめ固定の説明:(6)切り溝形成の説明:(7)ヘッドレストステーの変形例1:(8)ヘッドレストステーの変形例2:(9)まとめ:【0019】(1)シートバック上部における構成の説明:図1は、シートバック上部の構成を斜視図により示している。同図において、自動車に搭載されたファーストシート(セカンドシート)のシートバック10の上部には、軸線が鉛直方向へ配向された一対の筒状ブラケットが取り付けられている。また、各筒状ブラケットの上方開口からは、概略筒状のヘッドレストサポート11,12がそれぞれ挿入され、各ヘッドレストサポート11,12の上方開口からは、ヘッドレスト20から略鉛直下方へ突出されたヘッドレストステー30を構成する棒状のパイプ材31,32がそれぞれ挿入される。なお、パイプ材31の外壁面には、長さ方向へ所定間隔で切り溝31aが設けられており、ヘッドレストサポート11の上端付近には、切り溝31aに対して進退可能なロック片11a1を有するロック機構11aが設けられている。かかる構成により、切り溝31aのいずれかがロック片11a1に対向する際、このロック片11a1を切り溝31aに挿入させ、ヘッドレスト20の上下動を規制して所望の高さにロックしている。
【0020】(2)ヘッドレストステーにおける構成の説明:図2および図3は、ヘッドレスト20に組み付けられたヘッドレストステー30の主要構成を示している。ヘッドレストステー30は、略コの字形状に形成され、一対の自由端を鉛直下方へ突出させつつヘッドレスト20の内部に組み込まれている。ヘッドレストステー30には、金属製の棒状パイプ材33が備えられており、パイプ材33の各端開口には、図4および図5に示すように、略L字形状にプレスされた樹脂製の板材34,35の一端がそれぞれに挿入されてかしめ固定される。また、所定角度だけ屈曲された各板材34,35の他端は、パイプ材31,32の上端開口に挿入されてかしめ固定される。ここで、パイプ材33、板材34,35、パイプ材31,32は、それぞれ本発明にいう第一棒状部材、屈曲部材、第二棒状部材を構成する。
【0021】ここで、ヘッドレスト20の前面側に傾斜した板材34,35は、ヘッドレスト20の幅方向へ幅広に形成されるとともに、ヘッドレスト20の前後方向へ肉薄に形成されている。このため、急制動時、乗員の頭部に対して後方へ衝撃が加わり、ヘッドレスト20が前方から押圧された場合、図6に示すように、パイプ材31,32に支持される下端部位を支点に後方へ弓なりに反って衝撃を吸収することができる。なお、板材34,35の下端側には、図7に示すように、打ち出し構造が形成されており、図2における紙面奥方から押圧された肉が紙面手前側へ突出している。このように、打ち出し構造を形成すると、同図における紙面に直交する方向への折り曲げ強度を高めることができるため、図6に示すように、下端部位を支点に撓ませるにあたり、耐久性を向上させることが可能となる。
【0022】ところで、各パイプ材31,32の下端側を各ヘッドレストサポート11,12にそれぞれ挿入する際、パイプ材31,32の間隔がヘッドレストサポート11,12の配置間隔と一致していないと、ヘッドレストサポート11,12への挿入が困難となり、また、高さ調節時におけるヘッドレスト20のスムーズな上下動が困難となる。そこで、本実施形態では、ヘッドレストステー30をパイプ材33、板材34,35、パイプ材31,32の合計五つの部材に分けて構成し、各部材の組付角度に公差が生じないように互いを連結させている。かかる手法により、一本のパイプ材を略コの字形状に屈曲させる場合のように自由端間距離に生じる公差を解消させている。以下、パイプ材31〜33を成形し、パイプ材33、板材34,35、パイプ材31,32の各部材を組み付け、パイプ材31,32に切り溝31aを形成する際の各作業工程について詳細を説明する。
【0023】(3)丸め加工の説明:まず、パイプ材31,32の下端開口に丸め加工を施す。パイプ材31,32は、通常、長いパイプ材を所望の長さに切り出して使用するため、開口端部の切断面は、鋭く角張っている。このため、ヘッドレストステー30をヘッドレストサポート11,12に差し込む際、作業者の手に触れたり、ヘッドレストステー30をヘッドレストサポート11,12から引き抜く際、利用者の手に触れるおそれがあるパイプ材31,32の切断面に丸め加工を施して滑らかな端面を形成している。
【0024】丸め加工治具40は、図8に示すように、パイプ材31,32の外径と概ね同等な内径で、パイプ材31,32の全体長よりも浅い有底円筒状の型孔41を備えている。また、型孔41には、側壁面から奥面41aに向けて、内径が徐々に狭まるように曲面が形成されている。かかる構成により、パイプ材31,32の下端側を型孔41の奥面41a付近まで挿入すると、パイプ材31,32の上端が型孔41の上方開口から突出する。ここで、パイプ材31,32の上端から奥面41aに向けて鉛直下方へプレスすると、パイプ材31,32の下端が奥面41aの曲面形状に沿って変形し、開口端部の切断面に丸みを付けることができる。
【0025】(4)テーパプレス加工の説明:そして、パイプ材31,32の上端開口付近にテーパプレス加工を施す。パイプ材31,32の開口端部は円形状であり、そのままでは図4および図5に示す幅広な板材34,35を挿入することができない。このため、パイプ材31,32の開口端部を板材34,35の断面形状に合わせて成形しておく必要がある。そこで、パイプ材31,32の外周面が先端に向けてテーパ状に変形するようにテーパプレス加工を施す。
【0026】テーパプレス加工治具50は、図9に示すように、互いに近接または離間する方向へ移動可能な一対の可動型51,52を備えている。各可動型51,52は、それぞれに型面51a,52aを有しており、図10〜図12に示すように、各型面51a,52aは、移動方向へ浅く、同移動方向と直交する方向へ幅広な矩形形状の開口成形部51a1,52a1と、同移動方向へ同開口成形部51a1,52a1の下端から徐々に深さを増し、同移動方向と直交する方向へ同開口成形部51a1,52a1の下端から徐々に幅狭となるテーパ成形部51a2,52a2とから構成されている。また、テーパプレス加工を施すにあたっては、図9〜図12に示すように、型締め時における開口成形部51a1,52a1間の寸法から、パイプ材31,32の肉厚の2倍に相当する寸法を概ね差し引いた厚みを有する入れ子53がパイプ材31,32に挿入される。
【0027】かかる構成により、可動型51,52に設けられた開口成形部51a,52aの間に、入れ子53が挿入されたパイプ材31,32の上端部位を介在させ、図10に示すように、各可動型51,52を互いに近接させると、図11および図12に示すように、パイプ材31,32の上端部位が入れ子53に押し当てられるまで型面51a,52aにより押し潰される。すると、型面51a,52aの開口成形部51a1,52a1により押し潰されたパイプ材31,32の上端開口は、プレス方向へ平たく押し出され、同プレス方向と直交する側へ幅広となる。このとき、パイプ材31,32の上端開口は、プレス方向への内径が板材34,35の厚みよりも僅かに長くなる程度まで押し潰され、同プレス方向に直交する側への内径が板材34,35の幅よりも僅かに長くなる程度まで押し広げられる。
【0028】また、パイプ材31,32は、型面51a,52aのテーパ成形部51a2,52a2によってもプレス方向へ押し潰される。このため、パイプ材31,32は、型面51a,52aによりプレスされない下方部位から上端開口に向けて徐々に幅狭となるようにテーパ面が形成される。このとき、同プレス方向に直交する側へは、型面51a,52aによりプレスされない下方部位から上端開口に向けて徐々に幅広となるようにテーパ面が形成される。なお、パイプ材33の両端開口についても、パイプ材31,32と同様の手法でテーパプレス加工が施される。
【0029】(5)位置決めおよびかしめ固定の説明:次に、各パイプ材31〜33と各板材34,35とを位置決めさせつつ、各部材31〜35をかしめ固定する。位置決め治具60は、図13および図14に示すように、互いに近接または離間する方向へ移動可能な一対の可動型61,62を備えており、各可動型61,62には、それぞれ概略コの字形状の位置決め面61a,62aが設けられている。各位置決め面61a,62aの屈曲部位は、開口幅を広くして奥行きを浅くした断面矩形形状の空間を形成し、各位置決め面61a,62aにおける残りの他部位は、屈曲部位の開口幅よりもわずかに小さい内径を有する断面半円形状の空間を形成している。
【0030】また、上記屈曲部位の各端部から上記他部位に向けては、開口幅が徐々に狭くなり、奥行きが断面半円形状に近づくように徐々に深くなっている。かかる構成により、パイプ材33の各端開口に板材34,35の一端をそれぞれ挿入するとともに、パイプ材31,32の上端開口に板材34,35の他端をそれぞれ挿入し、概ねコの字形状に組まれたヘッドレストステー30を各可動型61,62の間に挟み込む。すると、位置決め面61a,62aがヘッドレストステー30の各部位に押し当てられ、この位置決め面61a,62aの形状に合わせて各部材31〜35の位置が微調整される。そして、各可動型61,62を互いに当接させた状態でリング状の型締め部材63を内側に締め付けていくと、可動型61,62の間の隙間が解消されて型締めされる。この時点で、ヘッドレストステー30の各部材31〜35は、それぞれ直線的に組み付けられた状態となる。つまり、パイプ材31〜33の中心軸と板材34,35の各端部における中心軸とが一致するように、各パイプ材31〜33と各板材34,35とがそれぞれ位置決めされる。
【0031】図15は、位置決め治具60に収容されたパイプ材31と板材34との境界付近における構成の詳細を拡大図により示し、図16は、図15に示す部位を紙面の右側から見た際の図を示している。各可動型61,62には、縦横方向へ互いに離間させつつ貫通孔61b,62bが設けられている。各貫通孔61b,62bは、可動型61,62の位置決め面61a,62aと外壁面とを連通させており、円柱形状のかしめ部材64がそれぞれに挿入されている。このため、可動型61,62が型締めされた際、かしめ部材64を奥方へ押し込むことにより、パイプ材31の壁面を押し潰すことができる。すると、この押し潰されたパイプ材31の肉が板材34に向けて食い込むことにより、板材34はパイプ材31に対してかしめ固定される。
【0032】この際、板材34は、可動型61側からの4箇所と、可動型62側からの4箇所とで両面側からパイプ材31に固定されるため、パイプ材31に対する回転が規制され、パイプ材31に対する連結角度が不動となる。なお、上記説明では、パイプ材31と板材34との連結部位についてだけ説明しているが、パイプ材33と板材34との連結部位、パイプ材32と板材35との連結部位、パイプ材33と板材35との連結部位においても、同様に各板材34,35が各パイプ材31〜33にかしめられる。以上のように、型締めされた状態で各板材34,35が各パイプ材31〜33にかしめ固定された後、各かしめ部材64を貫通孔61b,62bから引き抜き、可動型61,62を図13における紙面の手前側と背面側とにそれぞれ退避させる。すると、各板材34,35が各パイプ材31〜33に対して直線的に連結されたコの字形状のヘッドレストステー30が取り出される。
【0033】(6)切り溝形成の説明:そして、図17に示す切り溝形成治具70を用いて、パイプ材31に切り溝31aをする。切り溝形成治具70には、パイプ材31の外径よりも僅かに大きい内径を有する円筒形状の位置決め孔71aと、この位置決め孔71aの軸線に直交する方向へ設けられて位置決め孔71aと外部とを連通させる開口部71bとを有する固定型71が備えられている。開口部71bには、位置決め孔71aとの対向面に鉛直方向へ所定間隔で凸面72a1が形成された型面72aを備え、位置決め孔71aの軸線に直交する方向へ進退する可動型72が挿入されている。
【0034】また、位置決め孔71aには、位置決め孔71aの内径よりもパイプ材31の厚み分だけ小さい外径を有する入れ子73が挿入可能となっており、この入れ子73には、可動型72に設けられた凸面72a1との対向位置に凹部73aが形成されている。なお、入れ子73は、軸線に直交する方向へ分割可能となっている。この分割される各部位は、図18に示すように、軸線方向へ設けられた凹凸ガイド73bを介して互いに組み付けられており、それぞれに位置決め孔71aの軸線方向へ引き出し可能である。
【0035】かかる構成により、固定型71の位置決め孔71aにパイプ材31を挿入し、可動型72の凸面72a1に凹部73aを対向させつつ、パイプ材31の内部に入れ子73を挿入する。この際、パイプ材31の下方における位置決め孔71aの内周面と入れ子73の外周面との間には、パイプ材31の厚み分だけ隙間が発生するが、この隙間には、図19に示すように、軸線方向へ複数の切り欠き74aを形成した筒状の押し出し部材74が挿入されている。
【0036】ここで、図20に示すように、可動型72を固定型71の位置決め孔71aに向けて移動させ、型面72aに設けられた凸面72a1によりパイプ材31を入れ子73の凹部73aに向けて押し潰すと、この凸面72a1の形状に沿ってパイプ材31の壁面に切り溝31aが形成される。この切り溝31aが形成された後、固定型71の位置決め孔71aから可動型72から退避させ、入れ子73における凹部73aが形成されていない側の部分を位置決め孔71aから軸線方向へ引き出す。そして、図21に示すように、パイプ材31の内部に残された入れ子73に設けられた凹部73aを切り溝31aから退避させ、押し出し具74によりパイプ材31の下端を押し上げると、パイプ材31が位置決め孔71aの上方開口から押し出される。
【0037】(7)ヘッドレストステーの変形例1:上述した実施形態では、ヘッドレストステー30を五つの部材から構成しているが、ヘッドレストサポート11,12の上方開口に挿入される部位の間隔に公差を生じない構成であれば良いとの観点から、図22に示すように、三つの部材から構成することも可能である。すなわち、パイプ材33と板材34,35を用いる代わりに、略コの字形状にプレス成形された樹脂製の板材36を用い、上述した本実施形態の場合と同様に、位置決め治具60を用いてパイプ材31,32にかしめ固定しても良い。ここで、板材36とパイプ材31,32とは、それぞれ本発明にいう屈曲部材と棒状部材とを構成する。
【0038】このとき、板材36は、ヘッドレスト20の幅方向へ幅広に形成されるとともに、図23に示すように、ヘッドレスト20の前後方向へ肉薄に形成されている。このため、板材34,35と同様に、可撓性を備えてヘッドレスト20における緩衝機能を発揮することが可能となる。さらに、図22における板材36の水平部位の変形を抑制するために、板材36の形状を工夫しても良い。すなわち、図24および図25に示すように、ここにいう板材36の水平部位を短手方向へ丸め、断面を概略リング形状とする。すると、同水平部位における変形が抑制され、図22に示す鉛直部位における可撓性だけを効果的に発揮させることが可能となる。また、ヘッドレスト20を板材36に支持させるにあたり、板材36における水平部位が概略円筒形状であると、同水平部位の軸線を回転軸としてヘッドレスト20を回転可能に支持することができる。このため、ヘッドレスト20の傾斜角度を調節するための機能を付加する場合などに有用な構造となる。
【0039】(8)ヘッドレストステーの変形例2:上述した実施形態では、板材34とパイプ材31とをかしめ固定しているが、ヘッドレストサポート11,12の配置間隔に合わせてパイプ材31,32の間隔を設定することができれば良いとの観点から、別の手法を採用して板材34とパイプ材31とを連結することも可能である。例えば、図26に示すように、テーパプレス加工時、型面51a,52aの対向方向に凹凸形状が設けられた入れ子54を用いる。すると、加工後のパイプ材31には、図27に示すように、内壁に凹凸形状が形成される。このため、図28に示すように、板材34とパイプ材31との角度を調節しつつ板材34をパイプ材31に圧入するだけで、連結部位に歪みを生じさせることなく、所望の連結角度で板材34とパイプ材31とを連結させることができる。
【0040】また、別の手法として、図29に示すように、板材34の各端をあらかじめ断面くの字形状としておく。そして、板材34の先端部位を入れ子54などの代わりにパイプ材31へ挿入し、パイプ材31に対する板材34の連結角度を決めつつ、図30に示すように、テーパプレス加工を施すと、図31に示すように、板材34が型面51a,52aの形状に沿って変形する。従って、テーパプレス加工を施すだけで板材34とパイプ材31とを連結させることができるため、ヘッドレストステー30の製造工程数を低減させることが可能となる。
【0041】(9)まとめ:このように、棒状のパイプ材33と、略L字形状にプレスされた板材34,35と、パイプ材31,32とを組み合わせてかしめ固定し、略コの字形状のヘッドレストステー30を形成する。このため、ヘッドレスト20から突出するパイプ材31,32の間隔を容易にヘッドレストサポート11,12の配置間隔に合わせることができる。このため、シート組立工程における作業性を向上させるとともに、スムーズなヘッドレスト20の上下動を実現させることが可能となる。
【出願人】 【識別番号】593141090
【氏名又は名称】日本テクニカ株式会社
【住所又は居所】愛知県刈谷市井ケ谷町下前田25番地の1
【出願日】 平成13年11月29日(2001.11.29)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−159143(P2003−159143A)
【公開日】 平成15年6月3日(2003.6.3)
【出願番号】 特願2001−364001(P2001−364001)