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【発明の名称】 フレーム構造の椅子
【発明者】 【氏名】管 智士
【住所又は居所】大阪市城東区今福東1丁目4番12号 株式会社イトーキクレビオ内

【要約】 【課題】複数の枠材を接続して脚フレームを構成している椅子において、枠材の加工や組み立て作業の能率を向上させる。

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】互いに交差した方向に延びる複数の枠材で構成されるフレームによって脚を構成して成る椅子であって、前記交差した枠材を、それら枠材の端部が嵌まる継手によって連結している、フレーム構造の椅子。
【請求項2】左右の脚を側面視で入字状に交差した前足と後足とで構成し、正面視で後足を前足よりも左右外側にずらす一方、座を跳ね上げ式とすることにより、複数の椅子を脚が前後に嵌まり込んだ状態で水平スタッキング可能としており、前足と後足とを前記継手で接続している、請求項1に記載した折り畳み式で水平スタッキングが可能な椅子。
【請求項3】前記継手は、後足が内側から嵌まる筒状部と、前足が外側から嵌まるボス部とを備えており、正面視で筒状部がボス部よりも左右外側寄りにずれた形状になっている、請求項2に記載した椅子。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フレーム構造の椅子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】脚をフレーム構造とした椅子は、その素材として金属パイプ(鋼管やアルミ管)を素材としていることから一般にパイプ椅子と呼ばれており、折り畳み式椅子やスタッキング式椅子に多用されている。
【0003】このパイプ椅子において、例えば左右の脚を、それぞれ互いに交差した方向に延びる複数の足材によって構成することが行われており、従来は、互いに交差した足材を溶接によって接続していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のように足材の相互間を溶接して接続する方法では、溶接箇所に荷重が掛かることから十分な溶接強度を確保できるように丁寧に溶接しなければならず、このため溶接工程に多大の手間がかかるばかりか、品質のバラつきも大きいという問題があった。
【0005】また、椅子をスタッキング可能とするために一方の足材を他方の足材よりも左右いずれかの方向にずらしており、このため足材の上端部だけを小さい曲率で湾曲させなければならないが、この上端部だけを湾曲加工するのに多大の手間がかかるという問題もあった。
【0006】つまり、金属パイプを例えばその中央部においてく字状に曲げる場合は、湾曲部の両側にベンダーの掴み代があるため簡単に行えるが、金属パイプの端部だけを湾曲させる場合は、湾曲部の片側にベンダーの掴み代がないため、曲げ加工が難しいのであった。
【0007】本発明は、このような現状を改善することを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項の発明では、前記課題を解決するため、互いに交差した方向に延びる複数の枠材(或いは枠部)で構成されるフレームによって脚を構成して成る椅子において、前記交差した枠材を、それら枠材の端部が嵌まる継手によって連結している。
【0009】請求項2の発明では、請求項1において、左右の脚を側面視で入字状に交差した前足と後足とで構成し、正面視で後足を前足よりも左右外側にずらす一方、座を跳ね上げ式とすることにより、複数の椅子を脚が前後に嵌まり込んだ状態で水平スタッキング可能としている。そして、前足と後足とを前記継手で接続している。
【0010】請求項3の発明では、請求項2において、前記継手は、後足が内側から嵌まる筒状部と、前足が外側から嵌まるボス部とを備えており、正面視で筒状部がボス部よりも左右外側寄りにずれた形状になっている。
【0011】
【発明の作用・効果】本発明では、交差する方向に延びる枠材を継手で接続しているため、従来のような溶接による接続作業に比べて、接続作業の能率を著しく向上できると共に、品質も均一化することができる。
【0012】また、枠材の端部を曲げ加工してから溶接していた従来技術に代えて、例えば請求項3に記載したように継手の接続部を互いにずらすことにより、枠材自体には特別の曲げ加工を施す必要がなくなるため、枠材の加工の手間を大幅に省くことができる。従って、スタッキング椅子において特に有益である。
【0013】なお、継手はダイキャストや鋳造、或いは樹脂成形のような型を使用した成形法によって製造できるため、その加工は簡単である。
【0014】
【発明の実施形態】次に、本発明の実施形態を図面(図1〜図12)に基づいて説明する。
【0015】■.概要まず、図1〜図4に基づいて概要を説明する。図1(A)は椅子の右側面図、図2は正面図、図3は折り畳んだ状態(座を跳ね上げた状態)での正面図、図4はスタッキングした状態での側面図である。椅子は、金属パイプ製(丸棒製でも良い)の左右の脚1と、座(或いは座部)2と、背もたれ3とを備えている。
【0016】左右の脚1は、「入」字状に交差した前足4と後足5とを備えており、両者は継手6で接続されている。両足4,5の下端にはキャスター7を取り付けている。また、左右の前足4はその上部において横杆8で連結されている。横杆8は前足4に溶接されている。
【0017】座2は、金属パイプで四角形に形成した受け枠9と、この受け枠9に固定した合成樹脂製の座板10とを備えており、受け枠9の後部を、前足4の上端部に設けた軸受け11にピン12で連結している。このため、図1に一点鎖線で示すと共に図3に示すように、座2はピン12を中心にして跳ね上げ回動させることができる(すなわち、折り畳むことができる)。
【0018】座板10には受け枠9を囲う下向きの凸条10aが形成されており、凸条10aの後部には、前記軸受け11との干渉を防止するための凹所13を形成している。凸条10aの前部にも凹所13を形成している(その意義は後述する)。
【0019】受け枠9には、正面視で上向き凹状に曲がった支持杆14を溶接によって固定している。この支持杆14は、合成樹脂製の受け具15を介して前記横杆8で支持されるようになっている。
【0020】背もたれ3は合成樹脂製であり、左右両側部の下端には下向き開口の筒部3aを形成し、この筒部3aを後足5の上部に嵌め込んでいる。筒部3aは図示しないねじで後足5に固定されている。背もたれ3には複数列のスリット群16を設けている。背もたれ3にクッションを取り付けても良いが、その場合、スリット群16を利用してクッションを取り付けることも可能である。
【0021】前足4は正面視でほぼ鉛直状に延びている。他方、後足5は、正面視で後足5よりもやや外側に位置し、かつ、下方に行くほど外側に広がるように緩い角度で傾斜し、左右の後足5は正面視ハ字状になっている。
【0022】そして、椅子の正面視で後足5が前足4よりも外側に位置している(或いは前足4が後足5よりも内側に位置している)ため、図4のように、多数の椅子を、脚1と脚1とを前後方向に嵌め込んだ状態でスタッキングする(重ねる)ことができる。
【0023】なお、前後足4,5の下端間を水平部によって一体に連続させても良い(この場合は前後足4,5は1本のパイプで形成されるため、弾性変形させることによって継手6で接続されることになる)。
【0024】■.継手継手6についての詳細は図5及び図6に示されている。図5は要部の一部破断側面図、図6のうち(A)は右脚用の継手6の正面図、(B)は一部破断右側面図である。
【0025】継手6は、後足5が内側から嵌まる筒部6aと、前足4が外側から嵌まるボス部6bとをからなっており、正面視でボス部6bは筒部6aよりも内側に位置している。このため前足4の上端部に曲げ加工を施す必要はなく、真っ直ぐのままで良い。従って、前足4の加工はごく簡単である。
【0026】継手6はアルミ等の軽合金のダイキャスト製又は鋳造製としたり、合成樹脂の成形品としたりすることができ、その素材は問わない。
【0027】前後足4,5と継手6とを固定する必要があるが、前後足4,5と継手6とが同種金属である場合は、溶接によって固定しても良い。また、ねじによる固定や、強制嵌合によるしまり嵌めを採用することも可能である。
【0028】なお、継手6を後足5に溶接によって固定する場合、この溶接は抜け止めのためのもので、溶接箇所に荷重が掛かるものではないため、いわばスポット的な簡単な溶接でよく、溶接作業に手間を掛ける必要はない。
【0029】継手6のうち前足4が嵌まる部分を筒状に形成することも可能であるが、そうすると、前足4と継手6の前端との間に段差ができて美観を損なう虞がある。これに対してボス部6bに前足4を外側から嵌め込む構成にすると、前足4と継手6との外面を揃えることができるため、すっきりとして体裁が良い。
【0030】本実施形態では前後足4,5の接続に継手6を使用しているが、前足4と横杆8との接続に継手を使用しても良い。また、継手6は、3本の枠材を接続する構造とすることも可能である。更に、図示した形態の継手は一種のT型継手であるが、2本の枠材をL字状に接続する構造とすることも可能である。
【0031】椅子を水平スタッキング可能とするためには、後足5は正面視で鉛直状の姿勢とし、前足4は正面視でハ字状に広がる形態とすると共に、椅子の正面視で前足4を後足5の外側にずらすことも可能であるが、その場合は、継手6のボス部6bを正面視で筒部6bの左右外側にずらせば良い。
【0032】■.座次に、図7〜図12に基づいて座の構造を説明する。図7は図1の VII-VII視断面図、図8は図7の VIII-VIII視断面図であり、これらの図に示すように、座板10の上面には、中間板18とクッション材19とを積層している。
【0033】中間板18は例えば合成樹脂製で適度の硬さと弾性とを備えており、クッション材19に接着剤で接着されている。また、中間板18と座板10とは例えばねじで固定している(接着剤による接着や、係合爪と係合穴(又は係合爪同士)によるスナップ係合とすることも可能である)。
【0034】クッション材19の表面には布製等のクロス(表皮材)20が接着剤によって接着されている。クロス20の周縁は中間板18を抱き込んだ状態になっており、クロス20と中間板18とも接着されている(中間板18をクロス20の縁に下方から重ねても良いが、実施形態のようにすると、中間板18の縁が見えないため体裁が良い)。
【0035】図9のうち(A)は座2の一部破断平面図、(B)は中間板18の平面図である。この図に示すように、座板10には、その撓み変形を容易ならしめて座り心地を良くするため、多数のスリット群21を形成している。スリット群21は、人の体圧が強くかかるところに集中して設けている)。
【0036】図3では座板10はスリット群21は省略しているが、実際には、座2を跳ね上げると、座板10のスリット群21が見える状態になる。
【0037】中間板18のうち着座した人の体圧が強く掛かる部分には、変形容易化手段の一例としてくり抜き穴22を設けている。このようにくり抜き穴のような変形容易化手段を設けているのは、中間板18を設けたことによって座板10の撓み変形機能が損なわれることを防止するためである。
【0038】ところで、座板10にクッション材19を接着剤で接着する場合、図12に示すように、座板10の上面に接着剤23を塗布してこれにクッション材19を重ねて加圧することになるが、座板10にスリット群21が形成されていると、接着剤23がスリット群21から垂れ落ちて外側に露出してしまう。そのため、図3のように座板10を跳ね上げると、スリット群21から垂れ落ちて固まった接着剤23が露出して、美観を損なうことになる。
【0039】そこで、中間板18を使用して、中間板18をクッション材19に接着してから、中間板18を座板10に固定するようにしたものである。その工程は図10及び図11に示すとおりである。
【0040】すなわち、まず、図10に示すように、中間板18の上面に接着剤23を塗布してからこれとクッション材19とを重ねることにより、中間板18をクッション材19に接着する。これと同時に、またはその後に、クロス20とクッション材19との接着と、クロス20と中間板18との接着を行う。
【0041】それから中間板18と座板10とをねじ止め等の手段で固定する。これにより、たとえ中間板18の縁に接着剤23が垂れ落ちた状態で固まっていても、接着剤23が座板10の外側に露出することはないため、座2を跳ね上げても美観を損なうことはない。
【0042】座板10の撓み変形を損なわないように中間板18に設ける変形容易化手段はくり抜き穴22を形成することには限らず、着座した人の体圧が強く作用する部分をごく薄肉に形成したり(この場合はクッション材19と中間板18との接着強度が高い利点がある)、中間板18に多数のスリットやパンチ穴、或いは多数の切り込みを形成するなどしても良い。
【0043】なお、中間板18を使用することは、継手6を使用することとは関係なく独立した発明たり得る。
【0044】■.座と受け枠との関係ところで、受け枠9の横杆8は上向き凹状に曲がっているため、座板10が下向きに沈むように撓み変形することが許容され、座板10にスリット群21を形成したことの意義が実効あらしめられている(座板10は撓み変形すれば足り、必ずしもスリット群21を形成している必要はない)。
【0045】この場合、支持杆14を設けずに、受け枠9を前足4で支持することも可能であるが、支持杆14を設けると受け枠9を補強して強度を向上できる利点がある。また、左右の脚1を接続するために必須の横杆8で支持杆14を支持するものであるため、それだけ椅子の構造を簡単化することができる。
【0046】更に、従来は、座を撥ね上げた状態で移動させるに際して、背もたれの縁や座の縁を手で掴んで移動させるようにしていたが、背もたれの縁や座の縁は掴みにくい欠点があったのに対して、本実施形態のように構成すると、図3に示すように、座2を跳ね上げると支持杆14が前向きに突出するため、この支持杆14をハンドル(把手)替わりにして手で掴むことができて、椅子を移動させやすいという利点もある。
【0047】また、横杆8に側面視で上向き凹状の受け具15を設けると、受け具15に支持杆14が嵌合して支持杆14はずれ不能に保持されるため、人が着座しても座2はガタ付きのない状態に保持され、椅子の耐久性を向上できる利点がある。
【0048】このような座板の受け構造も、継手6や中間板18とは関係なくそれ自体で独立した発明たり得る。
【0049】■.関連発明(図13〜図15)
図13〜図15では、本願発明に関連した発明に係る椅子を示している。図13は正面図、図14のうち(A)は側面図、(B)は(A)のB−B視断面図、図15は積み重ねた状態での側面図である。
【0050】この発明では、椅子の脚1は側面視で略上向き開口コ字状に形成されており、左右の脚1の前部上端は前部横杆25で一体に連結されている。つまり、1本のパイプ(又は棒材)を曲げ加工することによって左右の脚1を形成している。そして、左右脚1の後部に、座2を支持する後部横杆26を溶接によって接続している。左右脚1には前後一対の接地体27を装着している。
【0051】左右脚1の後部は正面視で略ハ字をなすように緩く傾斜しており、このため、図15に示すように、多数の椅子を、上段の椅子を下段の椅子よりも手前にずらした状態で積み重ねることができる。
【0052】この例では、座板10と背もたれ3とは本願発明の実施形態で使用したものと同じものを使用している(断面も同じ構造になっている)。そして、この例では、座板10の前部に形成した凹所13が前部横杆25に嵌まっている。従って、同一種類の座板10を、本発明の実施形態とこの図13〜図15の例とに共用することができて、コストを抑制できる。
【0053】左右脚の前部には、複数の椅子を積み重ねたときに上段の椅子の前部接地体27が載る前部ストッパー(スペーサ)28を設けている。他方、後部横杆26の左右端部は側面視で後傾状に傾斜しており、この傾斜部26aの下面に、椅子を積み重ねたときに上段の椅子の傾斜部26aに載る後部ストッパー29を固定している。
【0054】後部横杆26の傾斜部26aに後部ストッパー29を設けると、傾斜部26aのガイド作用により、上段の椅子は後方にずれ移動し勝手になるため、積み重ねた椅子が前後にずれることを防止できる利点がある。後部ストッパー29を正面視で下向き凹状の断面に形成して、積み重ねた椅子が左右方向にずれることを防止することも可能である。
【0055】なお、傾斜部26aが直接に重なる形態でも良い(但し、後部ストッパー29を設けると、当たりが均一化する利点がある)。また、傾斜部26aは後部横杆26に設けることには限らず、前後方向に延びる脚上部に形成しても良いし、積み重ねたときのための専用部材として特別に設けても良い。
【0056】更に、積み重ねた椅子が前後にずれることを防止するためには、他のずれ防止手段を設けることも可能である。
【0057】なお、図13〜15の例では座板は前後横杆25,26で支持されていて下方には撓み許容空間が空いているため、本発明の実施形態において受け枠9で支持したのと同じ効果を得ることができる。
【0058】■.肘当ての取付け(図16)
図16では、本願実施形態の椅子や前記関連発明の椅子において、背もたれ3の筒部3aを利用して肘当て31を取付けた状態を示している。
【0059】すなわち、この例では、背もたれ3の筒部3aを上下に開口している一方、肘当て31には後足5に上方から嵌まるロッド32を一体に設けることにより、肘当て31を背もたれ3に取付けている。肘当て31を使用しない場合は、筒部3aの上向き穴はキャップ33で塞がれる。
【0060】筒部3a自体に肘当て31のロッド32を嵌め込むことも可能であるが、背もたれ3は合成樹脂製であって割れる虞があるため、本例のように後足5に挿入すると、支持強度を確保できる利点がある。
【出願人】 【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキクレビオ
【住所又は居所】大阪市城東区今福東1丁目4番12号
【出願日】 平成13年9月17日(2001.9.17)
【代理人】 【識別番号】100079131
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 暁夫 (外2名)
【公開番号】 特開2003−88442(P2003−88442A)
【公開日】 平成15年3月25日(2003.3.25)
【出願番号】 特願2001−399225(P2001−399225)