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【発明の名称】 重ね収納式可動椅子
【発明者】 【氏名】宮坂 譲二
【住所又は居所】東京都新宿区四谷四丁目28番4号 株式会社ゼクス内

【要約】 【課題】不使用時にコンパクトに重ね収納できるようにしたものでありながら、椅子のみならず歩行補助具として使用できるようにすることにより、老人ホーム等のように高齢者や身障者の多い施設においても、使用者が自ら椅子の取り出しや収納を行うという椅子の利用ルールを無理なく適用できるようにする。

【解決手段】可動椅子10は、脚部13にキャスター16を備え、同一構造の可動椅子本体11が前後方向に入れ子状態で重なることを許す可動椅子本体11と、前記可動椅子本体11の入れ子空間に設けられ、常時は跳ね上げ状態に付勢される着座部12と、前記可動椅子本体11の後部に設けられ、前記可動椅子本体11を移動するとき、手で押される手押し部20とを備えて構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 脚部にキャスターを備える可動椅子本体であって、同一構造の可動椅子本体が前後方向に入れ子状態で重なることを許すものと、前記可動椅子本体の入れ子空間に設けられ、常時は跳ね上げ状態に付勢される着座部と、前記可動椅子本体の後部に設けられ、前記可動椅子本体を移動するとき、手で押される手押し部と、を備えることを特徴とする重ね収納式可動椅子。
【請求項2】 前記可動椅子本体は、前記着座部の後方に立設される背凭れ部を備え、該背凭れ部の上端部に前記手押し部が設けられることを特徴とする請求項1に記載の重ね収納式可動椅子。
【請求項3】 前記可動椅子本体は、トレーを載置可能なトレー受け部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の重ね収納式可動椅子。
【請求項4】 前記可動椅子本体は、平面視で前記着座部の左右両側に沿う肘掛け部を備え、該肘掛け部が前記トレー受け部に兼用されることを特徴とする請求項3に記載の重ね収納式可動椅子。
【請求項5】 前記肘掛け部は、前記トレーのフランジ部を支持すると共に、前記トレーの側面部に接当して、その左右への移動を規制することを特徴とする請求項4に記載の重ね収納式可動椅子。
【請求項6】 前記肘掛け部は、前記トレーのフランジ部よりも幅狭に形成されることを特徴とする請求項5に記載の重ね収納式可動椅子。
【請求項7】 前記肘掛け部は、前記トレーの前方への移動を規制するストッパ部を一体的に備えることを特徴とする請求項4〜請求項6の何れかに記載の重ね収納式可動椅子。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、椅子のみならず歩行補助具やトレー運搬カートとして使用でき、しかも、不使用時にはコンパクトに収納することができる重ね収納式可動椅子に関する。
【0002】
【従来の技術】食堂、集会場その他の共用スペースでは、多くの椅子が使用されている。一般に、これらの椅子は、その設置スペースを占有するため、清掃の邪魔になる許りでなく、共用スペースの多目的利用を阻害する不都合があるが、共用スペースで用いる椅子を可動式とし、不使用時に所定の収納スペースに収納すれば、上記の不都合は解消される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、老人ホーム等のように高齢者や身障者の多い施設では、収納スペースからの椅子の取り出しや、使用後における椅子の収納を使用者自身に要求することが難しい。また、老人ホーム等の食堂においては、下記に示すような問題点も指摘されており、その改善が望まれている。
(1)歩行に障害がある人にとっては、ダイニングテーブルや配膳カウンターに対するアプローチが容易ではなく、また、食堂に歩行補助具を持ち込むと、スペースを圧迫したり、食事の邪魔になる可能性がある。
(2)セルフサービスの食堂では、利用者が配膳カウンターでトレーを受け取り、これをダイニングテーブルまで運ぶ必要があるが、多くの食器を載せたトレーは、運搬が容易ではなく、特に老人や身障者にあっては、食器を落す等のトラブルが発生する可能性がある。
(3)車椅子を利用する人にとっては、ダイニングテーブルの周りに据置式の椅子があると、ダイニングテーブルに対するアプローチの邪魔になるため、誰かが椅子を撤去する必要がある。
【0004】本発明の目的は、不使用時にコンパクトに重ね収納できるようにしたものでありながら、椅子のみならず歩行補助具やトレー運搬カートとして使用できるようにすることにより、老人ホーム等のように高齢者や身障者の多い施設においても、使用者が自ら椅子の取り出しや収納を行うという椅子の利用ルールを無理なく適用することができる重ね収納式可動椅子を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため本発明の重ね収納式可動椅子は、脚部にキャスターを備える可動椅子本体であって、同一構造の可動椅子本体が前後方向に入れ子状態で重なることを許すものと、前記可動椅子本体の入れ子空間に設けられ、常時は跳ね上げ状態に付勢される着座部と、前記可動椅子本体の後部に設けられ、前記可動椅子本体を移動するとき、手で押される手押し部とを備えて構成される。
【0006】また、前記可動椅子本体は、前記着座部の後方に立設される背凭れ部を備え、該背凭れ部の上端部に前記手押し部が設けられることが好ましい。この場合においては、背凭れ部を手押し部の支持部に兼用し、構造の簡略化を図ることができる。
【0007】また、前記可動椅子本体は、トレーを載置可能なトレー受け部を備えることが好ましい。この場合においては、可動椅子をトレー運搬カートとして使用することを可能にし、老人や身障者によるトレーの運搬を補助することができる。
【0008】また、前記可動椅子本体は、平面視で前記着座部の左右両側に沿う肘掛け部を備え、該肘掛け部が前記トレー受け部に兼用されることが好ましい。この場合においては、専用のトレー受け部を設ける必要がないため、部品点数の削減や構造の簡略化を図ることができる。
【0009】また、前記肘掛け部は、前記トレーのフランジ部を支持すると共に、前記トレーの側面部に接当して、その左右への移動を規制することが好ましい。この場合においては、左右移動によるトレーの落下を防止でき、しかも、肘掛け部にストッパを設けることなく、トレーの左右移動を規制できるため、部品点数の削減や構造の簡略化を図ることができる。
【0010】また、前記肘掛け部は、前記トレーのフランジ部よりも幅狭に形成されることが好ましい。この場合においては、肘掛け部にトレーを載せるとき、トレーと肘掛け部との間に指を挟むことがなく、また、肘掛け部からトレーを取り出すとき、肘掛け部が邪魔になる不都合を回避することができる。
【0011】また、前記肘掛け部は、前記トレーの前方への移動を規制するストッパ部を一体的に備えることが好ましい。この場合においては、前方移動によるトレーの落下を防止でき、しかも、肘掛け部は、トレーの前方への移動を規制するストッパ部を一体的に備えるため、部品点数の削減や構造の簡略化を図ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面に沿って説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る可動椅子の側面図、図2は、可動椅子の平面図である。これらの図に示されるように、可動椅子10は、可動椅子本体11と、着座部12とを備え、さらに、可動椅子本体11は、該可動椅子本体11を支える脚部13と、椅子としての使用時に使用者の背中を支える背凭れ部14と、椅子としての使用時に使用者の肘を支える肘掛け部15とを一体的に備えて構成される。本実施形態の可動椅子本体11は、後述する歩行補助具やトレー運搬カートとして使用する際の安定性を考慮し、比較的重量がある集成材等の木質系材料を用いて構成されるが、スチールパイプ等の金属系材料や強化プラスチック等の樹脂系材料を用いて構成してもよい。
【0013】脚部13は、その下端部に複数のキャスター16を備える。これらのキャスター16は、脚部13の下端部から外方に突出するキャスターブラケット16aに回動自在に設けられ、可動椅子本体11の任意方向への移動を許容する。脚部13は、前側が開口する平面視U字形状に形成されており、その左右幅寸法は、前側ほど広くなるように設定される。これにより、同一形状の脚部13が前後方向に入れ子状態で重なることが許容される。
【0014】脚部13の上端部には、平面視U字状のベース板17が一体的に設けられ、該ベース板17の後端部に背凭れ部14が一体的に立設される。肘掛け部15は、前側が開口する平面視U字形状に形成され、その後端部が、背凭れ部14に一体的に連結される一方、左右前端部が、連結部材18を介して脚部13に一体的に連結される。肘掛け部15の左右幅寸法は、前側ほど広くなるように設定されており、同一形状の肘掛け部15が前後方向に入れ子状態で重なることを許容する。
【0015】着座部12は、例えばベースとなる板上に、ウレタンフォーム等のクッション材を接着し、これらを布等のシート材で覆うことにより形成される。着座部12の後端部は、ベース板17の上面後部に対し、左右一対の蝶番19を介して上下回動自在に支持される。これにより、着座部12は、ベース板17に沿う使用姿勢と、背凭れ部14に沿うように跳ね上げられた跳ね上げ姿勢とに変姿することが可能になる。また、着座部12の回動支点近傍には、図示しない付勢手段(バネ、ダンパー等)設けられる。着座部12は、常時は付勢手段の付勢力で跳ね上げ姿勢に保持されており、可動椅子10を椅子として使用する場合は、付勢手段の付勢力に抗して着座部12を前方に倒すことにより、着座部12に座ることが許容される。
【0016】図3は、重ね収納状態を示す可動椅子の平面図である。この図に示されるように、可動椅子10は、同一構造の可動椅子10が前後方向に入れ子状態で重なることを許容し、不使用時において複数の可動椅子10をコンパクトに圧縮収納することを可能にする。即ち、可動椅子10を、同一構造の可動椅子10に対して前後方向から近づけると、各可動椅子10の脚部13および肘掛け部15同士が相互に入れ子状態で重合する。このとき、着座部12は、跳ね上げ状態を維持しており、可動椅子10の重ね収納を妨げることはない。
【0017】図4は、手押し部を示す背面図である。この図に示されるように、背凭れ部14の上端部には、手押し部20が一体的に設けられる。手押し部20は、背凭れ部14の上端部から左右に突出するように設けられており、その両端部を両手で握ることにより、可動椅子10を容易に押し引き移動させることが可能になる。また、可動椅子10は、利用者によって押し引きされるとき、利用者の支えにもなり、そのため歩行に障害がある人は、可動椅子10を手押し車式の歩行補助具として使用することが可能になる。
【0018】図5は、肘掛け部にトレーを載置した状態を示す平面図、図6は、図5のX−X断面図、図7は、トレーの平面図である。これらの図に示されるように、肘掛け部15には、トレー21を載置することができ、この状態では、可動椅子10をトレー運搬カートとして使用することが可能になる。トレー21は、所定の深さ寸法を有するトレー本体21aと、該トレー本体21aの左右両側部に突出形成されるフランジ部21bとを一体的に備える。トレー本体21aの左右幅は、肘掛け部15の内幅寸法よりも僅かに狭く設定される。これにより、肘掛け部15にフランジ部21bを載せたとき、トレー本体21aの左右両側面が肘掛け部15の内側面に沿い、トレー21の左右および後方への移動が肘掛け部15によって接当規制される。また、肘掛け部15の先端部には、ストッパとしての凸部15aが一体形成されており、該凸部15aがフランジ部21bの前端部を係止することにより、トレー21の前方への移動が規制される。さらに、肘掛け部15は、トレー21の外側端よりも内側に位置するように幅狭に形成される。これにより、肘掛け部15にトレー21を載せるとき、トレー21のフランジ部21bと肘掛け部15との間に指を挟むことがなく、また、肘掛け部15からトレー21を取り出すとき、肘掛け部15が邪魔になる不都合が回避される。
【0019】次に、老人ホームの食堂における可動椅子10の使用例を図面に沿って説明する。但し、上記食堂においては、出入り口の近傍に確保される可動椅子収納スペースと、トレー21に載せた状態で飲食物を提供する配膳カウンターと、食事をするためのダイニングテーブルと、使用済みの食器やトレーを返却する返却カウンターとを備えるものとする。図8は、可動椅子の使用例を示すフローチャートである。この図に示すように、食堂を利用する人は、食堂の出入り口に重ね状態で収納された可動椅子10を取り出す(S801)。また、日常的に歩行補助具を使用している人は、可動椅子収納スペースの近傍に歩行補助具を置き、可動椅子10を取り出す。次に、可動椅子10を押しながら食堂の配膳カウンターまで移動する(S802)。このとき、可動椅子10は、歩行補助具として機能する。次に、配膳カウンターでトレー21を受け取り、可動椅子10の肘掛け部15に載せ(S803)、その後、トレー21を載せた可動椅子10を押しながらダイニングテーブルまで移動する(S804)。このとき、可動椅子10は、歩行補助具およびトレー運搬カートとして機能する。次に、可動椅子10からトレー21を取り出し、ダイニングテーブルに載せ(S805)、その後、着座部12を倒して座る(S806)。このとき、可動椅子10は、椅子として機能する。食事が終わって立ち上がると(S807)、着座部12は自動的に跳ね上げ状態になる。トレー21を再び可動椅子10の肘掛け部15に載せた後(S808)、可動椅子10を押しながら返却カウンターまで移動する(S809)。このとき、可動椅子10は、歩行補助具およびトレー運搬カートとして機能する。返却カウンターにトレー21を返却した後(S810)、可動椅子10を押しながら可動椅子収納スペースまで移動する(S811)。このとき、可動椅子10は、歩行補助具として機能する。その後、可動椅子10を可動椅子収納スペースに重ね収納し(S812)、可動椅子10の1回の使用サイクルが終了する。
【0020】以上の如く、本実施形態によれば、可動椅子10は、脚部13にキャスター16を備え、同一構造の可動椅子本体11が前後方向に入れ子状態で重なることを許す可動椅子本体11と、前記可動椅子本体11の入れ子空間に設けられ、常時は跳ね上げ状態に付勢される着座部12と、前記可動椅子本体11の後部に設けられ、前記可動椅子本体11を移動するとき、手で押される手押し部20とを備えて構成される。つまり、可動椅子10は、不使用時にコンパクトに重ね収納することができる許りでなく、歩行補助具としても使用することができ、その結果、老人ホームのように高齢者や身障者の多い施設においても、使用者が自ら可動椅子10を収納スペースから取り出し、使用後に収納スペースに戻すという利用ルールを無理なく適用することができる。しかも、老人ホームの食堂において、上記の可動椅子10を採用した場合、ダイニングテーブルの周囲に椅子が無い状態を作り出すことができるため、清掃が容易になる許りでなく、ダイニングテーブルに対する車椅子のアプローチが容易になる利点がある。
【0021】また、前記可動椅子本体11は、前記着座部12の後方に立設される背凭れ部14を備え、該背凭れ部14の上端部に前記手押し部20が設けられるため、背凭れ部14を手押し部20の支持部に兼用し、構造の簡略化を図ることができる。
【0022】また、前記可動椅子本体11は、トレー21を載置可能なトレー受け部を備えるため、可動椅子10をトレー運搬カートとして使用することを可能にし、老人や身障者によるトレー21の運搬を補助することができる。
【0023】また、前記可動椅子本体11は、平面視で前記着座部12の左右両側に沿う肘掛け部15を備え、該肘掛け部15が前記トレー受け部に兼用されるため、専用のトレー受け部を不要にし、部品点数の削減や構造の簡略化を図ることができる。
【0024】また、前記肘掛け部15は、前記トレー21のフランジ部21bを支持すると共に、前記トレー21の側面部に接当して、その左右への移動を規制するため、左右移動によるトレー21の落下を防止でき、しかも、肘掛け部15にストッパを設けることなく、トレー21の左右移動を規制できるため、部品点数の削減や構造の簡略化を図ることができる。
【0025】また、前記肘掛け部15は、前記トレー21のフランジ部21bよりも幅狭に形成されるため、肘掛け部15にトレー21を載せるとき、トレー21と肘掛け部15との間に指を挟むことがなく、また、肘掛け部15からトレー21を取り出すとき、肘掛け部15が邪魔になる不都合を回避することができる。
【0026】また、前記肘掛け部15は、前記トレー21の前方への移動を規制する凸部15a(ストッパ部)を一体的に備えるため、前方移動によるトレー21の落下を防止でき、しかも、トレー21の前方への移動を規制する凸部15aを肘掛け部15に一体的に形成することにより、部品点数の削減や構造の簡略化を図ることができる。
【0027】以上、本発明の一実施形態を図面に沿って説明したが、本発明は前記実施形態において示された事項に限定されず、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者がその変更・応用を行うことができる範囲が含まれる。
【0028】
【発明の効果】以上の如く、本発明の重ね収納式可動椅子によれば、不使用時にコンパクトに重ね収納できるようにしたものでありながら、椅子のみならず歩行補助具やトレー運搬カートとして使用できるようにすることにより、老人ホーム等のように高齢者や身障者の多い施設においても、使用者が自ら椅子の取り出しや収納を行うという椅子の利用ルールを無理なく適用することができる。
【出願人】 【識別番号】501367130
【氏名又は名称】株式会社チャーミング・エイジ研究所
【住所又は居所】東京都新宿区四谷四丁目28番4号
【出願日】 平成13年9月18日(2001.9.18)
【代理人】 【識別番号】100086759
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 喜平
【公開番号】 特開2003−88440(P2003−88440A)
【公開日】 平成15年3月25日(2003.3.25)
【出願番号】 特願2001−282883(P2001−282883)