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【発明の名称】 ウォールキャビネット
【発明者】 【氏名】青島 圭吾
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工株式会社内

【氏名】内藤 昌也
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工株式会社内

【要約】 【課題】キッチンキャビネットに備えた調理機器の上方付近に配設されるウォールキャビネットにおいて、たとえば輸送時など、地板に衝撃や振動が加わっても、基材と不燃材の層間に割れが生じるのを簡便に抑制する。

【解決手段】天板、地板(5)が、それぞれ、左右両側板の上端部、下端部にダボ接合され、背板とともに箱状に組み立てられ、キッチンキャビネットに備えた調理機器の上方付近に配設され、地板が、基材(5a)の裏面に不燃材(5b)が積層一体化された複合材であるウォールキャビネットにおいて、左右両側板下端部にダボ結合される地板の左右両木口面(51)に硬質の補強シート(11)が配設され、この補強シートの表面から地板左右両側部に向け、複数のダボ(10)が所定間隔で打ち込まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 天板、地板が、それぞれ、左右両側板の上端部、下端部にダボ接合され、背板とともに箱状に組み立てられ、キッチンキャビネットに備えた調理機器の上方付近に配設され、前記地板が、基材裏面に不燃材が積層一体化された複合材であるウォールキャビネットにおいて、左右両側板下端部にダボ結合される地板の左右両木口面に硬質の補強シートが配設され、この補強シートの表面から地板左右両側部に向け、複数のダボが所定間隔で打ち込まれていることを特徴とするウォールキャビネット。
【請求項2】 補強シートは、天板、地板及び左右両側板の表に見える木口面に配設される化粧シートと同一のシート材である請求項1記載のウォールキャビネット。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、ウォールキャビネットに関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、たとえば輸送時など、加わる衝撃や振動により地板において基材と不燃材の層間に生じやすい割れを簡便に抑制することのできる、改善されたウォールキャビネットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】キッチンにおける備品などの収納量の増大を図るキャビネットとして、シンク、調理機器などを備えたキッチンキャビネットの上方に配設される、いわゆるウォールキャビネットが知られている。たとえば図2に示したように、ウォールキャビネット(1)は、キッチンキャビネット(2)の上方のキッチン内壁面や天井面に固定され、対面式カウンターキッチンにも採用される。
【0003】このようなウォールキャビネット(1)の内、キッチンキャビネット(2)に備えた調理機器(3)の上方付近に配設される、たとえばレンジフード(4)の隣に位置するなどのウォールキャビネット(1a)では、調理機器(3)を用いた加熱調理時に、その輻射熱が地板(5)の裏面部に伝わるため、火災などの危険を未然に防止するように、地板(5)の裏面部には不燃材が使用され、防火性を確保している。
【0004】具体的には、図3に示したように、地板(5)は、木質系などとすることのできる基材(5a)の裏面に、JIS A 5440に規定されている火山性ガラス質複層板などの不燃材(5b)が積層一体化された複合材とされている(特開2001-37570号公報)。
【0005】このような地板(5)は、図4に示したように、天板(6)、左右両側板(7)(8)及び背板(9)とともに箱状に組み立てられるが、ウォールキャビネット(1a)において、地板(5)、天板(6)は、それぞれ、左右両側板(7)(8)の上端部、下端部にダボ接合される。このために、地板(5)には、図3に示したように、左右両木口面(51)に所定間隔で複数のダボ孔が形成され、それぞれのダボ孔にダボ(10)が打ち込まれる。このダボ(10)は、図4に示した左右両側板(7)(8)の下端部に、地板(5)の左右両木口面(51)と同様に形成されたダボ孔に嵌め込まれ、嵌合し、地板(5)が左右両側板(7)(8)の下端部に接合される。このようなダボ接合は、ウォールキャビネット(1a)の天板(6)の左右両側板(7)(8)へのダボ接合に共通している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図2に示したようなキッチンキャビネット(2)に備えた調理機器(3)の上方付近に配設されるウォールキャビネット(1a)については、以上の地板(5)に解決すべき課題が見出される。
【0007】前述のとおり、地板(5)は、防火性を確保するために、基材(5a)の裏面に不燃材(5b)が積層一体化された複合材とされているが、左右両木口面(51)に形成されるダボ孔は、基材(5a)と不燃材(5b)の層間を跨ぐように設けられ、その結果、図3に示したように、ダボ(10)は、基材(5a)と不燃材(5b)の層間及びその周辺に打ち込まれる。このため、たとえば輸送時など、地板(5)に衝撃や振動が加わると、基材(5a)と不燃材(5b)の層間に割れが生ずることがしばしばある。特に、基材(5a)がMDF(中密度繊維板[Medium Density Fiberboard])であると、上記割れは頻繁に生ずる。
【0008】以上の地板(5)における基材(5a)と不燃材(5b)の層間に生じやすい割れを抑制するために、特開平10-23934号公報に記載された、樹脂をダボ孔に注入してダボ孔周囲に含浸させ、補強するという技術の適用が一案として考えられる。
【0009】しかしながら、そのような樹脂含浸によるダボ孔の補強は、確かに効果的ではあるが、現実性にやや欠ける。なぜならば、補強樹脂の注入は、ダボ孔一つずつに対して行う必要があるからであり、したがって、非常に手間と精度を要する作業であり、地板(5)の生産性、ひいてはウォールキャビネット(1a)の生産性に少なからず悪影響を及ぼすと推測される。
【0010】この出願の発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、たとえば輸送時など、加わる衝撃や振動により地板において基材と不燃材の層間に生じやすい割れを簡便に抑制することのできる、改善されたウォールキャビネットを提供することを解決すべき課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、以上の課題を解決するものとして、天板、地板が、それぞれ、左右両側板の上端部、下端部にダボ接合され、背板とともに箱状に組み立てられ、キッチンキャビネットに備えた調理機器の上方付近に配設され、前記地板が、基材裏面に不燃材が積層一体化された複合材であるウォールキャビネットにおいて、左右両側板下端部にダボ結合される地板の左右両木口面に硬質の補強シートが配設され、この補強シートの表面から地板左右両側部に向け、複数のダボが所定間隔で打ち込まれていることを特徴とするウォールキャビネット(請求項1)を提供する。
【0012】またこの出願の発明は、補強シートは、天板、地板及び左右両側板の表に見える木口面に配設される化粧シートと同一のシート材であること(請求項2)を一態様として提供する。
【0013】以下、図面に沿ってこの出願の発明のウォールキャビネットについてさらに詳しく説明する。
【0014】
【発明の実施の形態】図1は、この出願の発明のウォールキャビネットにおける地板の一実施形態を示した分解斜視図である。
【0015】この出願の発明のウォールキャビネットもまた、前述した従来のウォールキャビネット(1a)と同様に、図4に示したように、天板(6)、地板(5)が、それぞれ、左右両側板(7)(8)の上端部、下端部にダボ接合され、背板(9)とともに箱状に組み立てられ、図2に示したように、キッチンキャビネット(2)に備えた調理機器(3)の上方付近に配設されるものである。
【0016】また、この出願の発明のウォールキャビネットでは、図1に示したように、地板(5)が、MDF、パーティクルボード、合板などの木質系などとすることのできる基材(5a)の裏面に、JIS A 5440に規定されている火山性ガラス質複層板などの不燃材(5b)が積層一体化された複合材とされている。
【0017】一方、この出願の発明のウォールキャビネットでは、図4に示した左右両側板(7)(8)の下端部にダボ結合される地板(5)の左右両木口面(51)に、図1に示したように、硬質の補強シート(11)が配設されている。また、複数のダボ(10)は、その補強シート(11)の表面から地板(5)の左右両側部に向けて所定間隔で打ち込まれている。ダボ(10)の打込みに際しては、たとえば、所定位置において補強シート(11)の表面からダボ孔を従来と同様に地板(5)の左右両側部へ向けて開孔し、次いで、このダボ孔若しくはダボ(10)にポリ酢酸ビニル系などの接着剤を塗布し、そして、ダボ孔にダボ(10)を打ち込むことができる。
【0018】このようなダボ(10)の打込みによっても、この出願の発明のウォールキャビネットでは、上記のとおり、左右両側板(7)(8)の下端部にダボ結合される地板(5)の左右両木口面(51)に硬質の補強シート(11)が配設されているため、基材(5a)と不燃材(5b)の積層一体化を補強することができ、ダボ(10)の打込み位置が、基材(5a)と不燃材(5b)の層間及びその周辺であっても、たとえば輸送時など、地板(5)に衝撃や振動が加わっても、積層一体化された基材(5a)と不燃材(5b)の層間に割れが生ずるのが抑制される。しかも、従来、基材(5a)と不燃材(5b)の層間に生じやすかった割れの抑制は、硬質の補強シート(11)の配設という、前述の特開平10-23934号公報に記載された、樹脂をダボ孔に注入してダボ孔周囲に含浸させ、補強することに比べ、はるかに簡便である。したがって、実用技術としてきわめて有効であると考えられる。
【0019】硬質の補強シート(11)としては、PVC、ABS、PET、DAPなどの樹脂製のシートが例示され、厚さは、0.5mm前後でも十分である。好ましくは、補強シート(11)は、図4に示した天板(6)、地板(5)及び左右両側板(7)(8)の表に見える木口面(61)(52)(71)(81)に配設される、図1に示した化粧シート(12)と同一のシート材とする。化粧シート(12)は、一般に、上記の樹脂製で、厚さも同等若しくはほぼ同等であり、したがって、補強シート(11)として化粧シート(12)を採用することは、専用の補強シート(11)を作製する必要がなくなり、品数の増大、コストの高騰などの諸問題を解消することができ、有利である。
【0020】また、化粧シート(12)の採用が可能な補強シート(11)は、地板(5)の左右両木口面(51)に接着などにより配設することができる。たとえば、補強シート(11)の裏面にプライマーを塗布した後、ホットメルト接着剤を用いて地板(5)の左右両木口面(51)に接着することができる。
【0021】実際に、図4に示したように、集中荷重(F)を加え、地板(5)の耐荷重を測定し、従来品と比較した。なお、この出願の発明のウォールキャビネットでは、地板(5)の左右両木口面(51)に、化粧シート(12)に使用されているPVCシートを前記のとおり接着した。その結果、184.25kgf→265.42kgfの強度の向上が確認された。
【0022】もちろん、この出願の発明は、以上の実施形態によって限定されるものではない。ウォールキャビネットの細部の構成、構造及び形状、補強シートの材質、厚み及び配設方法などについては様々な態様が可能であることはいうまでもない。
【0023】
【発明の効果】以上詳しく説明した通り、この出願の発明によって、キッチンキャビネットに備えた調理機器の上方付近に配設されるウォールキャビネットにおいて、たとえば輸送時など、地板に衝撃や振動が加わっても、基材と不燃材の層間に割れが生じるのを簡便に抑制することが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000005832
【氏名又は名称】松下電工株式会社
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1048番地
【出願日】 平成14年4月16日(2002.4.16)
【代理人】 【識別番号】100093230
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 利夫
【公開番号】 特開2003−304943(P2003−304943A)
【公開日】 平成15年10月28日(2003.10.28)
【出願番号】 特願2002−113341(P2002−113341)