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【発明の名称】 取っ手
【発明者】 【氏名】河口 三男

【要約】 【課題】基材に接着された手掛部材に大きい力がかかる場合にも剥がれるのを防止するとともに、デザイン上の自由度の大きい取っ手を得る。

【解決手段】平板部Bの一辺に近接してハンドルHを一体に設けた手掛部材Cの上記平板部BのハンドルHに近接した一辺Tから両側縁にそれぞれ延長部E1,E2を設け、基材Mの嵌合凹部Pの少なくとも両側面に連設した挿入溝S1,S2に上記平板部Bの延長部E1,E2を挿入するとともに上記平板部Bの裏面と基材Mの嵌合凹部Pの表面P’とを接着した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】平板部Bの一辺に近接してハンドルHを一体に設けた手掛部材Cの上記平板部BのハンドルHに近接した一辺Tから両側縁にそれぞれ延長部E1,E2を設け、基材Mの嵌合凹部Pの少なくとも両側面に連設した挿入溝S1,S2に上記平板部Bの延長部E1,E2を挿入するとともに上記平板部Bの裏面と基材Mの嵌合凹部Pの表面P’とを接着したことを特徴とする取っ手。
【請求項2】平板部Baの一辺に近接してハンドルHaを一体に設けた手掛部材Caの上記平板部BaのハンドルHaに近接した一辺Taから両側縁にそれぞれ延長部Ea,Ebを設け、上記手掛部材Caの平板部Baと同一形状の基材Maの嵌合凹部Paの両側面に連設した挿入溝Sa,Sbに上記平板部Baの延長部Ea,Ebを挿入することを特徴とする請求項1に記載の取っ手。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抽斗、あるいは、引き戸や扉などの開閉を容易にするために、これら抽斗の前面板や引き戸、扉などに設けられている取っ手の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図3は抽斗を引き出すために用いられた従来の取っ手の例を示すもので、例えば木材からの削り出しや金属プラスチックのモールドなどにより、平板部bとその前面に指をかけるためのハンドルhを一体に形成した手掛部材cを抽斗dの前面板である基材mに固着するもので、手掛部材cの裏面と基材mの表面fとを接着剤で接着することによって固着するが、この接着強度を高めるために、手掛部材cの接着面積を大きくして接着面積を拡げたり、あるいは、釘などの取付金具を併用することがあった。
【0003】しかしながら、接着剤の他に釘などを併用すれば、余分な材料、したがって余分な費用を要するばかりでなく、釘などの取付金具で手を痛めないように取付ける手間が必要になるというような問題が生じる。
【0004】なお、図3の従来例では、基材mの表面fに手掛部材cを接着しているが、この場合には手掛部材cが基材mの表面fから出っ張るため、この手掛部材cを接着する基材mの表面fの部分に凹部を設けて、手掛部材cの平板部bが基材mの表面fと面一となるようにすることも行われる。
【0005】また、この従来例を示した図3では、抽斗を手前方向に引き出すために、指をかけるための凹部を手掛部材cのハンドルhに設けているが、扉や引き戸などを開閉するのに用いる場合には取っ手と直角方向に操作することになるため、この凹部は設けられない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上に説明したような、手掛部材を接着剤で基材に接着する従来の技術においては、例えば抽斗を引き出す際に物が挟まったり、あるいは、引き戸を開ける際に滑りが悪かったりすると、手掛部材と基材との間に大きな力が加わり、手掛部材が例えば抽斗の前面板から剥がれたり、引き戸などから手掛部材が取れてしまうという問題があった。
【0007】前述のように、接着剤による接着の他に釘などの取付金具を併用したり、あるいは、基材の裏面からネジなどで手掛部材を固定すれば、手掛部材が取れ易いという問題は解決されるが、余分な材料、したがって費用を要するばかりでなく、この取付金具で手を痛めないように取付ける注意が必要になるなどの問題が生じる。
【0008】そこで本発明は、基材に接着された手掛部材がこの基材から剥がれるのを防止するばかりでなく、抽斗に物品が挟まれたり引き戸の摩擦が大きくなった場合など、ハンドルに大きい力がかかる場合にも耐えられるようにした取っ手を得ることを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】特許請求の範囲の請求項1に記載した本発明の取っ手は、抽斗の取っ手に本発明を適用した原理的な実施例である図1に示したように、平板部Bの一辺に近接してハンドルHを一体に設けた手掛部材Cの上記平板部BのハンドルHに近接した一辺Tから両側縁にそれぞれ延長部E1,E2を設け、基材Mの嵌合凹部Pの少なくとも両側面に連設した挿入溝S1,S2に上記平板部Bの延長部E1,E2を挿入するとともに上記平板部Bの裏面と基材Mの嵌合凹部Pの表面P’とを接着したことを特徴とする。
【0010】なお、この請求項1を含めて、特許請求の範囲の各請求項に記載した「基材」は、開閉を行う抽斗の前面板や扉、引き戸など取っ手を取付ける部材であり、また、「取っ手」は、「基材」の開閉を容易にするために、その開閉の際に手をかけ操作するためのものである。
【0011】前述した図3図示の従来例においては、抽斗を引き出すために手掛部材cのハンドルhを手前の方向に引くと、この引く力はすべて手掛部材cを基材mに接着している接着部にかかるので、この手掛部材cが基材mから剥がれ易いという問題があった。
【0012】この請求項1に記載した発明では、手掛部材Cの平板部BのハンドルHに近接した一辺Tから両側縁にそれぞれ延長部E1,E2を設けて、基材Mの嵌合凹部Pの少なくとも両側面に連設した挿入溝S1,S2に上記平板部Bの延長部E1,E2を挿入しているので、この延長部E1,E2と挿入溝S1,S2とが直接係合し、接着部を介することなく手掛部材Cと基材Mとの間で力を伝えることができる。
【0013】したがって、抽斗に物品が挟まれたり引き戸の摩擦が大きくなった場合などにハンドルHに強い引っ張り力がかかっても、手掛部材Cの上記延長部E1,E2から基材Mの挿入溝S1,S2を介してこの引っ張る力が手掛部材Cから基材Mに直接伝えられるので、接着部に大きな力がかかることがなく、手掛部材Cが基材Mから剥がれたり取れたりすることがないという格別の効果が得られる。
【0014】また、この請求項1記載の発明によれば、広い面積の手掛部材を用いることができ、この手掛部材自体がこの取っ手を取付けた物品のデザイン上のポイントとなり、この手掛部材の材質や色などを抽斗前面や戸などの基材と異ならせて美観を向上させるなどの効果が得られる。
【0015】請求項2に記載した発明による取っ手は、図2の実施例に示したように、請求項1に記載の発明において、平板部Baの一辺に近接してハンドルHaを一体に設けた手掛部材Caの上記平板部BaのハンドルHaに近接した一辺Ta(図2(b)参照)から両側縁にそれぞれ延長部Ea,Ebを設け、上記手掛部材Caの平板部Baと同一形状の基材Maの嵌合凹部Paの両側面に連設した挿入溝Sa,Sbに上記平板部Baの延長部Ea,Ebを挿入することを特徴とする。
【0016】すなわち、この請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明における基材Mの嵌合凹部Pの形状を平板部Bと同一形状としたこと、および、このような嵌合凹部Pの形状によって、この嵌合凹部Pの下縁には挿入溝が設けられていないことを特定したものである。
【0017】この請求項2に記載した発明によれば、基材Maの嵌合凹部Paの形状と手掛部材Caの平板部Baの形状が同一であるために、基材Maの嵌合凹部Paの下縁にはその両側面に連設したような挿入溝を設ける必要がないので、この挿入溝に塵埃が入り込むことがないばかりでなく、嵌合凹部Paの両側縁に設ける挿入溝Sa,Sbが図2に示すようにハンドルHaに近い上部だけに設けても足りるので、手掛部材や挿入溝を設けるための加工が容易であるという効果が得られる。
【0018】なお、上記した請求項1および請求項2記載の発明の説明に引用した図1および図2では、抽斗を図の手前方向に引き出すためにハンドルH,Haには指をかけるための凹部をその下面に設けているが、本発明の取っ手を扉や引き戸などを開閉するに用いる場合にはこの凹部を設ける必要が無いことは従来例について説明したと同様である。
【0019】本発明によれば、広い面積の手掛部材を用いることができ、この手掛部材自体がこの取っ手を取付けた物品のデザイン上のポイントとなり、この手掛部材の材質や色などを抽斗前面や戸などの基材と異ならせ、さらには形状を任意に選択して美観を向上させるなどの効果が得られる。
【0020】
【実施例】先に引用した図1は、請求項1に記載した発明による取っ手を抽斗の取っ手として用いた実施例を示す図であり、手掛部材Cを抽斗Dの前面板である基材Mに設けた嵌合凹部Pに組み付けるもので、この基材Mに設けた嵌合凹部Pの左右両縁に連設した挿入溝S1,S2および嵌合凹部Pの下縁に連設した挿入溝S3に手掛部材Cの平板部Bの両縁に設けた延長部E1,E2および下縁に設けた延長部E3をそれぞれ挿入するとともに上記平板部Bの裏面と基材Mの嵌合凹部Pの表面P’とを接着したものである。なお、この実施例は抽斗Dを手前に引き出すものであるため、ハンドルHの下面には指をかけるための凹部が設けられている。
【0021】この実施例においては、図1から明らかなように、手掛部材Cの平板部Bの長さを基材Mの嵌合凹部Pの上下方向の長さより大きくして平板部Bの下縁が嵌合凹部Pの下端よりも下方に延びる延長部E3を形成するようにするとともに、基材Mの嵌合凹部Pの下方に挿入溝S3が連設されており、これによってこの延長部E3は嵌合凹部Pの下方の挿入溝S3に挿入されるので、3つの延長部E1,E2,E3と3つの挿入溝S1,S2,S3とが直接係合して、手掛部材Cと基材Mとを接着している接着部に大きな力がかかるのを防ぎ、手掛部材Cが基材Mから剥がれるのをより強力に防止することができる。
【0022】なお、基材Mの上縁と手掛部材Cの上縁を同じ高さに揃えるためには、手掛部材Cの平板部Bの長さを基材Mの上縁から嵌合凹部Pの下方に連設されている挿入溝S3の底までの長さと同じにすればよく、また、加工精度を高めるためには、手掛部材Cの平板部Bの長さをこれより若干短くすればよいことは明らかであろう。
【0023】さらに、基材Mに嵌合凹部Pと両縁の挿入溝S1,S2のみを設けるとともに、手掛部材Cの平板部Bの形状を、嵌合凹部Pと両縁の延長部E1,E2からなる形状と同一に形成すれば、基材Mの嵌合凹部Pの全面を手掛部材Cで覆うことができ、手掛部材Cの平板部Bは操作者の手当たりになって基材Mが手あかなどによって汚れることがなく、しかも、上述した実施例で嵌合凹部Pの下方に連設されている挿入溝S3とこの挿入溝S3に挿入されている手掛部材Cの平板部Bとの間隙にゴミなどが入る心配がないという格別の効果が得られる。
【0024】なお、手掛部材Cを基材Mに接着するためには、平板部Bの裏面に接着剤を塗布した後、この挿入溝S1,S2,S3にこの手掛部材Cの平板部Bから延長された延長部E1,E2,E3をそれぞれ挿入し、その後平板部Bをほぼ垂直方向に加圧すればよい。
【0025】請求項1および後述する請求項2に記載した本発明によれば、手掛部材を大きくすることができることから、この手掛部材自体がこの取っ手を取付けた物品のデザイン上のポイントとなり、この手掛部材の材質や色などを抽斗前面や戸などの基材と異ならせることによって、この取っ手を設けた物品の美観を向上させるなどの効果が得られる。
【0026】図2は請求項2に記載した発明の実施例を示すもので、(a)図および(b)図は手掛部材Caの構成を示す図であり、その(a)図は手掛部材Caの平面図である(b)図の上方から見た手掛部材Caの正面図であり、さらに、この(b)図の右には手掛部材の2種類の断面図をCa’,Ca”として示してある。
【0027】この(b)図の右に示した2つの断面図の、左側に示した手掛部材Ca’は図の下に付した矢印方向(図で左方向)に引くのに適するようにハンドルHa’の下面に凹部を設けたものであり、右側に示した手掛部材Ca”は図の下に付した矢印のように上下方向に引くのに適するハンドルHa”を備えたものである。なお、Ba’およびBa”は、それぞれの手掛部材Ca’,Ca”の平板部である。
【0028】この手掛部材Caの平板部Baには、本発明によって、ハンドルHaの両脇に相当する位置からそれぞれ(b)図の下方に向けて、延長部Ea,Ebの側縁と手掛部材Caの下縁とが、後述する基材Maに設けた挿入溝Sa,Sbに挿入する際に引っかかったりしないように連続的な曲線となるように形成されており、この実施例では、延長部Ea,Ebの幅はハンドル側で例えばそれぞれ5mm程度としてある。
【0029】図2の(c)図および(d)図はこの実施例における基材Maの構成を示す図であって、(c)図は基材Maの平面図、(d)図は(c)図のd−d線での断面を示す断面図であり、基材Maの嵌合凹部Paの両側壁の基材Maの裏面Pa’寄りには上記手掛部材Caの平板部Baに連設されている上記延長部Ea,Ebが挿入される挿入溝Sa,Sbが設けられる。
【0030】手掛部材Caの平板部Baとその延長部Ea,Ebによって構成される形状は、基材Maに設けられる嵌合凹部Paと挿入溝Sa,Sbによって構成される形状と同一であり、したがって、嵌合凹部Paの下縁の曲線は手掛部材Caの平板部Baの下縁の形状と一致しているので、嵌合凹部Paは手掛部材Caの平板部Baによって完全に覆われて、実質上、手掛部材Caの平板部Baと基材Maの嵌合凹部Paの下縁との間には隙間は存在しない。
【0031】このため、この隙間に塵埃などが入り込むことがないばかりでなく、嵌合凹部Paの両側縁に設ける挿入溝Sa,Sbが(c)図に示すようにハンドルHaに近い上部だけでも足りるので、これらの挿入溝Sa,Sbを設けるための加工が容易であるという格別の効果が得られる。
【0032】なお、基材Maに手掛部材Caを接着するには、手掛部材Caの平板部Baの裏面Ra(図2(a)参照)に接着剤を塗布してから、手掛部材Caを押しながらその平板部Baの延長部Ea,Ebを基材Maの挿入溝Sa,Sbに挿入し、この手掛部材Caが嵌合凹部Paに完全に格納される位置までさらに手掛部材Caを押し付け、その後、手掛部材Caを嵌合凹部Paの表面Pa’に手などで加圧すればよい。
【0033】この実施例では、図1に示した実施例と同様に、手掛部材Caの平板部Baの延長部Ea,Ebと嵌合凹部Paの挿入溝Sa,Sbとが係合しているので、手掛部材Caの平板部Baと嵌合凹部Paの表面Pa’との間の接着剤が剥がれるのを防止する能力がさらに高められるという格別の効果が得られる。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、手掛部材に設けた延長部が基材の嵌合凹部に連設した挿入溝に挿入されているため、手掛部材のハンドルに大きな力が加わっても、この延長部と挿入溝との噛み合いによって手掛部材から基材に力が直接伝達されるので接着部に大きな力は加わらず、基材と手掛部材との接着が剥がれるのを防止できるという格別の効果が得られる。
【0035】また、大きい手掛部材を用いることができるので、その平板部がハンドルをつかむ際の手当たりとなって基材が汚れるのを防止できるばかりでなく、抽斗の前面や戸などの基材とこの手掛部材とを接着する面積が広くなり、手掛部材が剥がれたり外れたりし難くなるという効果が得られる。
【0036】さらに、手掛部材の面積を大きくすることができることから、この手掛部材自体がこの取っ手を取付けた物品のデザイン上のポイントとなり、この手掛部材の材質や色などを抽斗前面や戸などの基材と異ならせて美観を向上させることができるなどの効果が得られる。
【出願人】 【識別番号】502104653
【氏名又は名称】河口 三男
【出願日】 平成14年4月2日(2002.4.2)
【代理人】 【識別番号】100088409
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 尚 (外1名)
【公開番号】 特開2003−289969(P2003−289969A)
【公開日】 平成15年10月14日(2003.10.14)
【出願番号】 特願2002−99890(P2002−99890)