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【発明の名称】 引き手
【発明者】 【氏名】田中 誠
【住所又は居所】大阪市東成区大今里南6丁目1番1号 コクヨ株式会社内

【要約】 【課題】美観を損ねることなく、引き手に通気部を設ける。

【解決手段】使用者の手を挿入可能とする挿入空間Sと、使用者が握持する手掛かり部313とを有する引き手3において、前記手掛かり部313により隠蔽される位置に、前記挿入空間Sに連通する通気部5を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】使用者の手を挿入可能とする挿入空間と、使用者が握持する手掛かり部とを有する引き手において、前記手掛かり部により隠蔽される位置に、前記挿入空間に連通する通気部を設けることを特徴とする引き手。
【請求項2】使用者の手を挿入可能とする挿入空間と、使用者が握持する手掛かり部とを有する引き手において、前記挿入空間に連通する通気部を設けると共に、当該通気部を前記手掛かり部と同一またはそれよりも小形に構成し、前記手掛かり部により隠蔽される背面側に位置させることを特徴とする引き手。
【請求項3】使用者の手を挿入可能とする挿入空間と、使用者が握持する手掛かり部とを有する引き手本体と、通気部を有する裏当材とを別部材にて構成することを特徴とする請求項1または2記載の引き手。
【請求項4】手掛かり部に名差しホルダを設けたことを特徴とする請求項1乃至3記載の引き手。
【請求項5】通気部を、手掛かり部と略同一の幅寸法を有する複数の通気孔により構成することを特徴とする請求項1乃至4記載の引き手。
【請求項6】被取付物に対して一部を埋め込む埋め込み式であることを特徴とする請求項1乃至5記載の引き手。
【請求項7】調理台の引出に取り付けたことを特徴とする請求項1乃至6記載の引き手。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、机の引出等に使用される引き手に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、机の引出やロッカーなどに取り付けられる引き手は、使用者の手を挿入可能とする挿入空間と、使用者が握持する手掛かり部とを有しており、この引き手により引出や扉の開閉を可能としている。
【0003】また、この引き手を取り付けた引出やロッカーの収納空間内が密閉されてしまわないように、この引き手に外部へと連通する通気孔を設けて通気できるように構成したものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記通気孔は、使用者の手を挿脱するために前面に向けて開口された挿脱口の背面位置、つまり、引出やロッカー等の表側から見える位置に配置されており、美観を損なう要因となっていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の問題点を解決するために、本発明は、次のような構成を採用したものである。すなわち、本発明は、使用者の手を挿入可能とする挿入空間と、使用者が握持する手掛かり部とを有する引き手において、前記手掛かり部により隠蔽される位置に、前記挿入空間に連通する通気部を設けることを特徴とする。
【0006】これにより、何らカバー部材等の他部材を設けることなく、美観を損ねる要因となっていた通気部を効果的に隠蔽することが可能となる。
【0007】具体的な態様としては、使用者の手を挿入可能とする挿入空間と、使用者が握持する手掛かり部とを有する引き手において、前記挿入空間に連通する通気部を設けると共に、当該通気部を前記手掛かり部と同一またはそれよりも小形に構成し、前記手掛かり部により隠蔽される背面側に位置させることが望ましい。
【0008】更に、使用者の手を挿入可能とする挿入空間と、使用者が握持する手掛かり部とを有する引き手本体と、通気部を有する裏当材とを別部材にて構成することで、容易に引出等の被取付物に取り付けることができる。
【0009】加えて、手掛かり部に名差しホルダを設けることにより、通気部を隠蔽することも考えられる。
【0010】また、効果的に通気できるように、通気部を手掛かり部と略同一の幅寸法を有する複数の通気孔により構成することも考えられる。
【0011】更に、引き手の一部を引出などの被取付物に埋め込むことにより、省スペースにて引き手を設けることができる。
【0012】加えて、中に食器などを入れる調理台の引出は、通気性が重要視されるため、このような調理台の引出に当該引き手を設けるとより一層効果的である。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0014】図1は、調理台Dの全体を示す斜視図であり、図2は、引出Hの分解斜視図である。
【0015】本実施の形態における名差しホルダ41は、調理室などに設けられる調理台Dの引出H等に設けられるものである。
【0016】この調理台Dは、図1に示すように、コンロや流し場を設けた天板面部D1と、この天板面部D1を支える基台部D2とから構成される。この基台部D2には、左側から順に、左右一対の扉T及び左開きの扉T、更にはその右側に引出Hを垂直方向に複数段設けられており、その内部に収納スペースを形成している。
【0017】この扉Tは、板金を折曲して形成した正面視方形のもので、基台部前面開口部の略4分の1の幅寸法と、開口部と略同一の高さ寸法とを有し、開口部の側板に設けた蝶番を介して開閉可能に基台部D2の前面に取着されている。また、配設される扉Tには、図示しない引き手3を取着するための引き手取付孔が前後面に貫通した状態に設けられていて、その引き手取付孔に嵌め入れられた状態で後述する引き手3が取着されている。
【0018】また、引出Hは、図2に示すように、例えば、フォークやスプーンなどを収納する収納空間を有した引出本体1と、この引出本体1の前面に取り付けた鏡板2と、この引出Hを開閉するための引き手3とを具備する。
【0019】引出本体1は、一枚の板金に曲げ加工を施し、底壁11と、この底壁11の各側縁からそれぞれ立ち上げた左右側壁12とを一体的に形成するものであり、これら側壁12及び底壁11の後端部に図示しない後壁を取り付けている。そして、前方及び上方に開口する直方体形状を成して内部に収納空間を形成している。
【0020】鏡板2は、その前面及び後面が鉛直面である均等厚のもので、前記後面の下半部を、引出本体1の側壁12及び底壁11の前端に押し当てて前記収納空間の前方への開口を閉塞するように、当該引出本体1に固定してある。
【0021】詳述すると、この鏡板2は、絞り加工により成形した金属薄板製の鏡板本体21と曲げ加工により成形した金属薄板製の鏡裏板22とからなるものであり、前記鏡板本体21の幅寸法を前記鏡裏板22の幅寸法と略等しく設定してある。
【0022】鏡板本体21は、後方に開口する箱状のものであり、正面視矩形状をなす前板211と、この前板211の上縁、下縁及び各側縁からそれぞれ後方に延びるように一体に屈曲させた上屈曲板212、下屈曲板213及び一対の側屈曲板214とを具備してなる。
【0023】一方、鏡裏板22は、前方に開口する箱状のものであり、鉛直に起立させた正面視矩形状をなす本体板221と、この本体板221の上縁、下縁及び各側縁からそれぞれ前方に延びるように一体に屈曲させた天壁となる上屈曲板222、底壁となる下屈曲板222及び別体の左右側壁となる一対の側屈曲板223とを具備してなる。左右の側屈曲板223の間は、その外寸を、前記引出本体1の左右側壁12間の内寸と略同寸となるように設定されており、引出本体1の内方に鏡裏板22が嵌まり合うように構成している。
【0024】そして、各開口を対向させてこれら鏡板本体21と鏡裏板22とを結合し、内部が中空の鏡板2が形成されるようにしている。
【0025】更に、前記鏡板本体21の前板211及び前記鏡裏板22の本体板221に、図2に示すように、引き手3を取着するための引き手取付孔23が鏡板2の前後面に穿って設けられていて、その引き手取付孔23に嵌め入れられた状態で引き手3が鏡板2に取着されている。
【0026】以下、引き手3について引出Hに取り付けられるものを例にして説明する。
【0027】当該引き手3は、図2乃至図5に示すように、引出Hの表面に表出する引き手本体31と、引出Hの裏面に表出する裏当材32とから構成される。そして、前記鏡板本体21の前板211に開口された引き手取付孔23から当該引き手本体31を挿入し、後述する鍔部312の裏面を引出Hの前面に衝き当てた状態に取り付け、引出Hに対してその一部を埋め込む。更に、前記鏡裏板22の表面を鏡板2の裏面に衝き当て、この裏当材32及び前記引き手本体31とにより引出Hの鏡板2を挾持して引き手3を引出Hに取着している。
【0028】この引き手本体31は、図5等に示したように、主として合成樹脂等により型成形されるもので、使用者の手を挿入可能とする挿入空間Sを内方に形成する本体部311と、この本体部311の周辺に形成される鍔部312と、使用者が握持する手掛かり部313と、使用者の指を挿脱する挿脱口314とを有している。
【0029】本体部311は、前面及び後面を開口する枠体であり、その形状は、図6に示すように、上部を下向きコの字形状に形成すると共に、下部を下向きに膨出した半楕円形状であって僅かに上部よりも幅広な形状としている。そして、図7に示すように、奥行き寸法を鏡板本体21の前板211及び鏡裏板22の本体板221との隙間寸法と略同様とし、その中空内部を使用者の手を挿入可能とする挿入空間Sとしている。また、その内方に四隅位置に後述する裏当材32をねじを介して取り付けるための取付部311aを設けている。尚、その下端部には、取付部311a等を覆い隠すためのカバー片311bが設けられている。
【0030】鍔部312は、図7や図8等に示すように、前記本体部311の前面開口部周縁に一体に外方へ向けて突出させた状態に形成されるもので、引き手3が鏡板2に取着された際に露出するその表面は角が形成されないように面取りしてあり、裏面は鏡板2を挾持し得るように平面状に形成されている。
【0031】手掛かり部313は、前記本体部311の前面開口部略半分、つまり引き手3の上半分を閉塞するように配設されたものである。そして、引出Hを開閉する際に握持しやすい厚みを有すると共に、前記鍔部312と面一に形成されている。
【0032】挿脱口314は、前記手掛かり部313の下方に設けられる開口部であり、側面視下向きに膨出した半楕円形状を成している。そして、この挿脱口314は前記挿入空間Sと連通して使用者の手掛かりを可能としている。
【0033】裏当材32は、図2や、図9、10に示すように、前記鍔部312の外形形状と略同形の外形形状を成しており、合成樹脂等により型成形されるものである。
【0034】そして、前記本体部311の外形形状と略同形を成す有底の溝部321を設け、前記引き手本体31を裏当材32に嵌め合わせられるようにしている。また、その溝部321内方四隅位置に取付孔322を設けてボルトを用いて前記引き手本体31に取り付け可能としている。
【0035】以上のような構成に加えて、本案は、前記引き手3の手掛かり部313に名差し部4を設けると共に、この手掛かり部313により遮蔽される位置に通気部5を設けている。
【0036】名指し部4は、図5に示すように、名差し42を保持する名差しホルダ41と、この名差しホルダ41に差し込まれるもので、その表面に名前等を記載する名差し42と、この名差し42を保護する名差しカバー43とから構成される。
【0037】名差しホルダ41は、図4、5に示すように、名差し42の両端部42cを保持する保持部411と、名差し42の裏面を支持する支持部412、名差し42の取り外しを容易とするための取り外し凹部413とを有しており、この保持部411及び支持部412を用いて前記名差し42の両端部42bより、その両端間の中央部42cを側面視表側に突出する状態に保持している。
【0038】左右一対の保持部411は、図5乃至図7に示すように、前記名差し42の左右両端42cを差し込み可能とする差し込み孔411aを開口することにより構成している。詳述すると、前記鍔部312の両端及び後述する支持部412の両端412aとの間に設けられているものであり、鍔部312の裏面により名差し42の表面を、支持部412の表面により名差し42の裏面を保持している。
【0039】支持部412は、図5乃至図7に示すように、前記手掛かり部313の中央部412bを正面視長方形状に凹ませて構成しているものである。そして、その底部を名差し42を支持する支持面とすると共に、その支持面を端部412aに比して中央部412bを側面視表側に膨出する凸形状に形成している。
【0040】取り外し凹部413は、図3に示すように、下向き半円形状を成して前記支持部側に開口する凹部、つまり、名差し42の取付時において名差し42の上端部に接する凹部であり、この凹部からシャープペンシルなどの先端の尖ったもので名差し42を浮き上がらせることで名差し42を取り外しできるように構成している。
【0041】名差し42は、図5に示すように、紙などを素材としてその表裏面に名前などを記載できる記載部42aを有している。また、その形状は、前記支持部412と略同寸の縦寸法、及び前記支持部412より長い横寸法、つまり名差し42の端部42bを支持部412の両端に設けられた差し込み孔411aに差し込み可能とする寸法を有する長方形状を成している。
【0042】名差しカバー43は、図5に示すように、透明体である薄いアクリル板であり、前記支持部412形状に沿って湾曲するに足りる可撓性を有している。また、その形状は前記名差し42と略同一、つまり、その端部を支持部412の両端に設けられた差し込み孔411aに差し込み可能とする寸法を有する長方形状を成している。
【0043】通気部5は、図7に示すように、前記挿入空間Sに連通するものである。そして、正面視において、前記手掛かり部313と同一またはそれよりも小形に収まる形状を成すと共に、挿入空間Sを隔てて正面視において前記手掛かり部313により隠蔽される背面側位置に設けられている。
【0044】詳述すると、図9に示すように、前記引き手本体31と別体にて構成された裏当材32の上半分に、同一形状を成す通気孔51を複数開口することにより構成している。
【0045】この通気孔51は、手掛かり部313と略同一の縦幅寸法を有する縦長の楕円形状を成すスリットで、横方向に一定間隔をおいて複数個設けられている。
【0046】以上の構成により、前記手掛かり部313により隠蔽される位置に、前記挿入空間Sに連通する通気部5を設けることにより、何らカバー部材等の他部材を設けることなく、美観を損ねる要因となっていた通気部5を効果的に隠蔽することが可能となる。
【0047】更に、使用者の手を挿入可能とする挿入空間Sと、使用者が握持する手掛かり部313とを有する引き手本体3と、通気部5を有する裏当材32とを別部材にて構成することで、容易に引出H等の被取付物に取り付けることができる。
【0048】加えて、手掛かり部313に名差しホルダ41を設けることにより、手掛かり部313透明体にて形成されている場合であっても、通気部5を確実に隠蔽することができる。
【0049】また、通気部5を手掛かり部313と略同一の幅寸法を有する複数の通気孔51により構成することで、効果的に通気できる。
【0050】更に、引き手3の一部を引出Hなどの被取付物に埋め込むことにより、省スペースにて引き手3を設けることができる。
【0051】加えて、中に食器などを入れる調理台Dの引出Hは、通気性が重要視されるため、このような調理台Dの引出Hに当該引き手を設けるとより一層効果的である。
【0052】なお、本発明における構成は、以上説明したものに限定されないのは勿論である。例えば、本実施の形態においては、引き手3を調理台Dの引出Hや、扉Tに設けているが、他の収納家具、例えば、ロッカーやワゴンなどに応用しても良い。また、本実施の形態においては、通気部5を複数の通気孔51により構成しているが、大なる開口部としても良い。更に、本実施の形態においては、名差しホルダ41を引き手3に設けているが、他の家具などの扉Tや引出Hの表面、学習机の氏名表示部や、ファイルの背部、または名札など名前などを表記するあらゆる箇所に適用できる。また、本実施の形態においては、名差し42をその両端42bと比較してその両端42b間の中央部42cを突出させる形状としているが、中央部42cに限らず両端42b間であれば良い。従って、例えば、両端42bのいづれかに偏った位置を突出させる形状としても良いし、また、突出箇所は一カ所に限らず複数箇所でも同様の作用効果を奏する。その他の構成も本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0053】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような構成で実施され以下に記載されるような効果を奏する。
【0054】すなわち、本発明は、前記手掛かり部により隠蔽される位置に、前記挿入空間に連通する通気部を設けることにより、何らカバー部材等の他部材を設けることなく、美観を損ねる要因となっていた通気部を効果的に隠蔽することが可能となる。
【0055】更に、使用者の手を挿入可能とする挿入空間と、使用者が握持する手掛かり部とを有する引き手本体と、通気部を有する裏当材とを別部材にて構成することで、容易に引出等の被取付物に取り付けることができる。
【0056】加えて、手掛かり部に名差しホルダを設けることにより、手掛かり部透明体にて形成されている場合であっても、通気部を確実に隠蔽することができる。
【0057】また、通気部を手掛かり部と略同一の幅寸法を有する複数の通気孔により構成することで、効果的に通気できる。
【0058】更に、引き手の一部を引出などの被取付物に埋め込むことにより、省スペースにて引き手を設けることができる。加えて、中に食器などを入れる調理台の引出は、通気性が重要視されるため、このような調理台の引出に当該引き手を設けるとより一層効果的である。
【出願人】 【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市東成区大今里南6丁目1番1号
【出願日】 平成14年3月29日(2002.3.29)
【代理人】 【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博 (外1名)
【公開番号】 特開2003−289968(P2003−289968A)
【公開日】 平成15年10月14日(2003.10.14)
【出願番号】 特願2002−97161(P2002−97161)