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【発明の名称】 医薬品搬送用キャビネット
【発明者】 【氏名】湯山 正二
【住所又は居所】大阪府豊中市名神口3丁目3番1号 株式会社湯山製作所内

【氏名】青山 修治
【住所又は居所】大阪府豊中市名神口3丁目3番1号 株式会社湯山製作所内

【氏名】本領 晃敏
【住所又は居所】大阪府豊中市名神口3丁目3番1号 株式会社湯山製作所内

【要約】 【課題】不使用時の占有スペースが少なく、しかも簡単な構造であるにも拘わらず、種々のサイズの薬剤バケットを支持する。

【解決手段】キャスター4を備えた移動自在な基台2上に、医薬品を収容する薬剤バケット7を多段に支持する複数の薬剤バケット支持部材3を設ける。薬剤バケット支持部材3は、基台上に所定間隔で並設し、対向部分に薬剤バケット7の両側縁をそれぞれ支持する支持部8を有する。また、薬剤バケット支持部材3は、薬剤バケット7を全て取り外した状態で、複数のキャビネット1を並設した場合、少なくとも隣接するキャビネット1の基台2とは干渉しない位置に形成する。これにより、各キャビネット1の薬剤バケット支持部材3を重ね合わせて配列可能とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 キャスターを備えた移動自在な基台上に、医薬品を収容する薬剤バケットを多段に支持する複数の薬剤バケット支持部材を備えた医薬品搬送用キャビネットにおいて、前記薬剤バケット支持部材は、基台上に所定間隔で並設され、対向部分に薬剤バケットの両側縁をそれぞれ支持する支持部を備え、前記薬剤バケットを全て取り外した状態で、複数のキャビネットを並設した場合、少なくとも隣接するキャビネットの基台とは干渉しない位置に形成することにより、各キャビネットの薬剤バケット支持部材を重ね合わせて配列可能としたことを特徴とする医薬品搬送用キャビネット。
【請求項2】 前記各薬剤バケット支持部材は、間隔を調整可能に設けたことを特徴とする請求項1に記載の医薬品搬送用キャビネット。
【請求項3】 前記各薬剤バケット支持部材は、前記基台に対して回動可能に設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の医薬品搬送用キャビネット。
【請求項4】 前記各薬剤バケット支持部材の支持部に支持された薬剤バケットを取り外し不能とする係止機構を設け、該係止機構を特定箇所で集中して操作可能としたことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の医薬品搬送用キャビネット。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医薬品を搬送する際に使用する医薬品搬送用キャビネットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、病院内で、例えば調剤室から病棟の各病室まで医薬品を搬送する場合、医薬品を薬剤バケットに収容し、この薬剤バケットをキャスターを備えたキャビネットに多段に積層した状態で行えるようにした構成が公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記キャビネットでは、占有スペースが大きいため、医薬品を搬送しない場合の保管場所を確保しなければならない。キャビネットの台数が増えれば増えるだけその保管場所に大きなスペースが必要となる。
【0004】また、前記薬剤バケットを一律に同一サイズにすると、患者に処方される医薬品の数量が多くて入り切らないことや、逆に少なくて余分なスペースが大きくなるといった問題がある。このため、一般に、種々のサイズの薬剤バケットが用意されているが、そのような薬剤バケットを保持するためのキャビネットの構造は複雑となる。
【0005】そこで、本発明は、不使用時の占有スペースが少なく、しかも簡単な構造であるにも拘わらず、種々のサイズの薬剤バケットを支持することのできる医薬品搬送用キャビネットを提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解決するための手段として、キャスターを備えた移動自在な基台上に、医薬品を収容する薬剤バケットを多段に支持する複数の薬剤バケット支持部材を備えた医薬品搬送用キャビネットにおいて、前記薬剤バケット支持部材は、基台上に所定間隔で並設され、対向部分に薬剤バケットの両側縁をそれぞれ支持する支持部を備え、前記薬剤バケットを全て取り外した状態で、複数のキャビネットを並設した場合、少なくとも隣接するキャビネットの基台とは干渉しない位置に形成することにより、各キャビネットの薬剤バケット支持部材を重ね合わせて配列可能としたことを特徴とする医薬品搬送用キャビネット。
【0007】この構成により、薬剤バケット支持部材から全薬剤バケットを取り外せば、各キャビネットを薬剤バケット支持部材が重なるように整列させることが可能である。したがって、キャビネットの数が増えても、占有スペースが増大することはない。
【0008】また、前記各薬剤バケット支持部材の間隔を調整可能に設けると、幅寸法の異なる薬剤バケットであっても、支持することが可能となる点で好ましい。
【0009】さらに、前記各薬剤バケット支持部材を前記基台に対して回動可能に設けると、特に、複数のキャビネットを重なるように整列させた場合、各薬剤バケット支持部材を沿わせるように回動させて、より一層占有スペースを抑制することが可能となる点で好ましい。
【0010】さらにまた、前記各薬剤バケット支持部材の支持部に支持された薬剤バケットを取り外し不能とする係止機構を設け、該係止機構を特定箇所で集中して操作可能とすると、取り扱いに便利となる点で好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。
【0012】図1は本実施形態に係る医薬品搬送用キャビネット1の正面図、図2はその平面図を示す。このキャビネット1は、ステンレス、スチール、アルミ合金等からなり、基台2と、該基台2に並設される複数の薬剤バケット支持部材3とで構成される。
【0013】基台2は、ベースビーム2aと、該ベースビーム2aの両端の下面に取り付けられたクロスビーム2b,2cとからなる略H字形状に形成され、クロスビーム2b,2cの両端にキャスター4が設けられることにより、床面上を移動自在となっている。
【0014】各薬剤バケット支持部材3は矩形の格子板状に形成され、横桟5(図3)からは側方に支持片6がそれぞれ突設されている。そして、隣接する薬剤バケット支持部材3の対向部分に形成される両支持片6で、薬剤バケット7を支持する支持部8を構成している。
【0015】基台2の両端部及び中間部2箇所に位置する薬剤バケット支持部材3aは、上下横桟5aの中央部に突部9a,9bがそれぞれ形成されている。そして、上方側の突部9aが補助ビーム10によって連結され、下方側の突部9bが基台2のベースビーム2a上に固定されることにより、薬剤バケット支持部材3aは所定間隔で並設される。突部9a,9bを設けることにより、薬剤バケット支持部材3aを基台2及び補助ビーム10から離間させて配置することが可能である。各薬剤バケット支持部材3aの間隔は、使用する薬剤バケット7のサイズに応じて適切な寸法に設計可能である。
【0016】また、基台2の他の中間部2箇所に位置する薬剤バケット支持部材3bには、図3に示すように、基台2のベースビーム2aと補助ビーム10に設けたスライド軸11にスライドベアリング12を介してスライド移動可能に取り付けられている(図3では、上方側のみ図示)。なお、前記薬剤バケット支持部材3bの位置決めには、例えば、図15(a),(b)に示すクイックセットカラー30(商品名)とボールキャッチ40を使用すればよい。クイックセットカラー30は、スライド軸11に結合されるリング31に形成した切欠き溝にロックレバー33を収容し、支軸37を中心として回動自在に支持し、スプリング35によって図15中反時計回り方向に付勢したものである。図15(b)に示す位置で、スプリング35の付勢力により、ロックレバー33の下端部がスライド軸11に圧接し、ロック状態となる。そして、ロックレバー33を点線で示す矢印方向に押すと、下端部が持ち上げられてスライド軸から離間し、アンロック状態となり、薬剤バケット支持部材3bはスライド移動可能となる。一方、ボールキャッチ40は、図16(a)及び(b)に示すように、外周面に雄ネジが形成された本体41内に、スプリング43によって上方に付勢した状態でボール45を収容し、その突出量が40%となるようにフランジ47でガイドしたものである。ボールキャッチ41は、スライドベアリング12の代わりに設けられ、フランジ47をガイドするガイドレール(図示せず)が補助ビーム10に設けられている。これにより、ボール43がガイドレールに沿ってスライドし、所望の位置に停止すると、ボール43がスプリング41の付勢力によりガイドレールに圧接し、薬剤バケット支持部材3bが位置決めされる。なお、この位置決め状態を確実なものとするために、ガイドレールにはボール43を固定可能な凹部を設けるのが望ましい。
【0017】また、補助ビーム10の一端側には、図1〜図3に示すように、回転操作可能なロックハンドル13が設けられている。ロックハンドル13は、駆動シャフト14に連結され、当該駆動シャフトはギアを介して従動シャフト15に連結されている。受動シャフト14、従動シャフト15およびギヤは、補助ビーム内に配設されている。従動シャフトはラック&ピニオン機構を介して昇降ロッド16に連結されている。昇降ロッド16は、ロックハンドルの13の下方に位置する薬剤バケット支持部材3aを除く薬剤バケット支持部材3aに設けられ、スプリング16aによって上方に付勢されている。(薬剤バケット支持部材3bに設ける場合には、そのスライド移動と共にラック・ピニオン機構がスライドする構成とする必要がある。)。昇降ロッド16には各支持片6毎にアーム部17が形成され、その先端には、後述する薬剤バケット7の鍔部7aの段部7cに係脱する係合突部18が形成されている。これにより、キャビネット1に支持させた複数の薬剤バケット7を、特定の1箇所に設けたロックハンドル13を集中して操作するだけで、ロック状態又はアンロック状態とすることが可能となる。なお、ロックハンドル13に施錠機構を採用することにより、薬剤バケット7の装着後、解錠しなければ、収容した薬剤を取り出すことができないようにすることも可能である。これにより、第三者が搬送途中の薬剤を覗いたり、勝手に持ち出したりすることを確実に阻止することが可能となる。但し、前記実施形態では、最上部に位置する薬剤バケット7に蓋等を設けて施錠できるようにする必要がある。
【0018】前記薬剤バケット7は、図3及び図8に示すように、塩化ビニル、ポリカーボネート、ABS樹脂等の合成樹脂からなり、上面が開口する箱状としたものである。本実施形態では、幅寸法及び高さ寸法の異なる4種類の薬剤バケット7が使用され、輸液バッグ19(図3)や薬剤容器20を収納可能となっている。幅広タイプの薬剤バケット7は、輸液バッグ19を取出容易なスペースを残して3本並べて収容可能であり、幅狭タイプの薬剤バケット7は1本収容可能である。嵩高タイプの薬剤バケット7は輸液バッグ19を上下2段に収容可能であり、嵩低タイプの薬剤バケット7は1段でのみ収容可能である。薬剤バケット7の上方開口縁部は、縦側(長手方向)の鍔部7aが横側(幅方向)の鍔部7bに比べて低い位置に設けられることにより段部7cを形成され、そこには前記ロックハンドル13に連動する係合突部18が係脱する。また、薬剤バケット7の側壁には複数の矩形孔21が並設されている。矩形孔21は、薬剤バケット7内に設ける仕切板(図示せず)の取付けや、次に示す薬剤容器20の固定に利用される。薬剤容器20は、前記薬剤バケット7と同様な合成樹脂をからなり、上面が開口する箱状に形成したものである。薬剤容器20には、ある患者に投与する1回分のアンプル等の薬剤が収容される。したがって、ある患者に朝・夕2回の投与を行う場合には、2つの薬剤容器20が必要となる。薬剤容器20は係止部材22によって薬剤バケット7内に固定される。係止部材22は、合成樹脂からなり、略U字形に形成したもので、薬剤バケット7の矩形孔21に係止する係止腕部22aと、薬剤容器20の上方開口縁部を挟持する挟持部22bとからなり薬剤容器20を位置決めする。
【0019】なお、前記係止部材22は、図5に示すように、前記薬剤バケット7の側面に一体的に設けた係止部23で構成してもよい。
【0020】また、前記薬剤バケット7の側面に、図6や図7に示す突出部24を形成してもよい。図6では、突出部24は雫状の突起25で構成されている。薬剤容器20を積み重ねた際、上方側の薬剤容器20の突起25が下方側の薬剤容器20の上方開口縁部に当接するので、側壁の内外面が互いに密着して分離しにくくなることを防止する。但し、この突起25の形状は、雫状には限定されず、楕円形等、積み重ねた薬剤容器20が密着することを防止できるのであれば、どのような形状であってもよい。図7では、突出部24は、所定間隔離れた一対の係止突起6で構成されている。この係止突起26は、積み重ねた薬剤容器20を容易に分離させる役割だけでなく、前記薬剤バケット7の矩形孔21の側縁部に係止することにより薬剤容器20を位置決めする役割も果たす。
【0021】次に、前記構成の医薬品搬送用キャビネット1の使用態様について説明する。
【0022】医薬品等を搬送する場合には、医薬品等を薬剤バケット7に収容し、この薬剤バケット7を各支持部8に支持させる。この場合、輸液バッグ19であればそのまま、他の形態の薬剤、例えば、アンプル、分包薬等であれば、患者の1回分毎に薬剤容器20に収容して薬剤バケット7に収納する。薬剤容器20は、係止部材22を使用して位置決めする。薬剤容器20は、図8(a)に示すように、薬剤バケット7の側面に形成した多数ある矩形孔21のいずれを利用しても、係止部材22によって確実に位置決めすることができる。また、係止部材22による位置決め後、図8(b)に示すように、係止部材22に対して薬剤容器20をスライド移動させ、例えば、薬剤容器20を薬剤バケット7の隅部に位置させることも可能である。これにより、キャビネット1を移動させる際、患者毎に、あるいは、薬種毎に分けていた薬剤、が混在するといった不具合を確実に防止できる。また、使用する薬剤バケット7のサイズに応じてスライド式の薬剤バケット支持部材3bをスライドさせ、適切な間隔に設定する。これにより、薬剤バケット7のサイズの違いに拘わらず、適切に支持することが可能となる。
【0023】薬剤バケット7の取付けが完了すれば、ロックハンドル13を回動させ、各薬剤バケット7の段部7cに係止部23を係止し、薬剤バケット7をロック状態とする。これにより、キャビネット1を病棟等に移動させる際に、薬剤バケット7が脱落したり、薬剤が落下する等の不具合を防止することができる。
【0024】また、不使用時、複数のキャビネット1を保管する場合には、薬剤バケット7を完全に取り外し、図9及び図17に示すように、互いに重なり合うように配置する。薬剤バケット支持部材3は、突部9a,9bの存在により、基台2のベースビーム2aと補助ビーム10の間に位置しているので、互いに干渉することはない。また、図14(a)に示すように、ベースビーム2aとクロスビーム2b,2cはそれぞれ連結部材2dによって連結され、この連結部材2dによってベースビーム2aがクロスビーム2b,2cよりも上方に位置するため、この部分でも互いに干渉することはない。したがって、複数のキャビネット1を保管する場合であっても、占有スペースを縮小することが可能となる。
【0025】なお、薬剤バケット支持部材3は、基台2のベースビーム2aと補助ビーム10に対して回動可能に設け、図10に示すように、全て同一方向に斜めに回動させたり、図11に示すように、中央の2つの支持部材3が手前側に向かって広がり、両側の2つの支持部材3がこれらと平行になるように回動させることができる。これにより、より一層、キャビネット1の保管スペースを減少することが可能となる。
【0026】また、前記キャビネット1への薬剤バケット7の位置決めは、図12に示す構成により行うようにしてもよい。すなわち、昇降ロッド16から延設したアーム32に係合凸部33を形成し、この係合凸部33を薬剤バケット7の鍔部7aに形成した係合孔34に係合する。
【0027】また、前記薬剤バケット支持部材3は全て基台2及び補助ビーム10に固定するようにしてもよい。また、スライド機構を、図13に示すように構成してもよい。すなわち、薬剤バケット支持部材3bの上下の突部9a,9bを基台2及び補助ビーム10に形成した案内溝36に挿通して、複数組のローラ35を設け、これにより薬剤バケット支持部材3bを案内溝36に沿ってスライド自在とする。
【0028】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明によれば、各キャビネットの薬剤バケット支持部材を重ね合わせて配列可能としたので、キャビネットの数量が増えたとしても、保管スペースを縮小することができる。
【出願人】 【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
【住所又は居所】大阪府豊中市名神口3丁目3番1号
【出願日】 平成14年7月26日(2002.7.26)
【代理人】 【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆 (外3名)
【公開番号】 特開2003−159134(P2003−159134A)
【公開日】 平成15年6月3日(2003.6.3)
【出願番号】 特願2002−218729(P2002−218729)