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【発明の名称】 移動ラック装置
【発明者】 【氏名】増田 勝一
【住所又は居所】大阪市東成区大今里南6丁目1番1号 コクヨ株式会社内

【氏名】小出 勝彦
【住所又は居所】奈良県大和郡山市今国府町603 明興工業株式会社内

【要約】 【課題】駆動源によってラックを移動させる移動ラック装置において、複雑な制御回路などを設けることなく比較的簡単な構成で、複数のラックを、アクセス通路を形成すべく所望の位置に移動させることができる移動ラック装置を提供する。

【解決手段】複数のラック2を、駆動源たると電動モータ5によって移動可能にした移動ラック装置において、電動モータ5と移動用の車輪6を各ラックにそれぞれ設けるとともにそれぞれの電動モータ5に電源供給をする操作部7を各ラック2ごとに設け、各ラック2ごとに設けた電動モータと車輪とに介在させた単位伝導機構8を具備し、この単位伝導機構8に電動モータ5と車輪6との動力伝達状態を断切するクラッチ9を設けて構成した動力伝達手段Dを設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】複数のラックと、これらのラックを移動させるための駆動源とを備え、この駆動源の動力により、前記ラックを移動させて所望のラック間にアクセス通路を選択的に形成し得るようにした移動ラック装置において、前記アクセス通路に面すべきラックを特定するための操作部と、この操作部に加えられた指令に基づいて対応する特定のラックに駆動源の動力を伝達して自走状態にするとともに、他のラックに対する動力の伝達を遮断して開放状態にする動力伝達手段とを具備してなることを特徴とする移動ラック装置。
【請求項2】各ラックに、駆動源と移動用の車輪とをそれぞれ設けるとともに、操作部を各ラックの駆動源に対応するように設けておき、動力伝達手段を前記駆動源と前記車輪との間に介在させて各ラックにそれぞれ設けた複数の単位伝導機構を備えたものにし、各単位伝導機構に、対応する駆動源と車輪との間の動力伝達状態を断続させるためのクラッチを具備させてなる請求項1記載の移動ラック装置。
【請求項3】駆動源が、電動モータであり、操作部が、対応するラックに設けた電動モータに電力を供給するための複数の電源供給スイッチを備えたものであり、クラッチが、対応する電動モータの作動条件下においてのみ動力伝達状態に切り替わるように構成したものである請求項2記載の移動ラック装置。
【請求項4】クラッチが、駆動源の作動時にその作動力を利用して動力遮断状態から動力伝達状態に切り替わるように構成した機械式のものである請求項2又は3記載の移動式ラック装置。
【請求項5】クラッチが駆動源より回転駆動される駆動側回転体と、車輪に接続された従動側回転体と、これら駆動側回転体および従動側回転体を相対的に離間させて駆動源から車輪への伝導状態を遮断する離間機構と、この期間機構による離間力に抗して前記駆動側回転体および従動側回転体を相対的に押し付けて駆動源から車輪への伝導状態を確立させる押付機構とを具備してなるものであり、前記押付機構が、駆動側回転体に加えられる駆動源からのトルクを利用して駆動側回転体と従動側回転体とを相対的に密接させ得るように構成したものである請求項4記載の移動ラック装置。
【請求項6】操作部が、各電源供給スイッチに操作が加えられている間だけ対応する電動モータに電力を供給し得るようにしたものである請求項3乃至5記載の移動ラック装置。
【請求項7】複数のラックを所定方向に移動し得るように案内するとともに、これらのラックに対して共通の駆動源を設けておき、動力伝達手段を、前記駆動源から動力をうけてラック移動方向に作動する作動部材と、操作部に加えられた指令に対応するラックのみを前記作動部材に連結する選択連結機構とを具備してなるものにしている請求項1記載の移動ラック装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、保管庫や書庫等において好適に使用され、複数のラックを駆動源によって移動させるように構成した移動ラック装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、このような移動ラック装置は、複数のラックと、これらのラックを移動させるためのモータなどの駆動源と車輪とを各ラックに設け、車輪と駆動源とを連結して取り付け駆動源の動力を伝達して車輪を回転させて、それぞれのラックを駆動源によって自走させるようにしている。そして、所望のラック間にアクセス通路を選択的に形成し得るように、駆動源から拘束された状態になっている複数のラックの移動を制御する制御回路を備えている。このような制御回路は、例えば、ラック同士の接合を検出するべく設けた検出手段の検出信号などによって、それぞれのラックの移動方向を決定し、各ラックに設けた駆動源に対して相当する正転または逆転の電力の供給を開始および保持、また停止させる複数の回路から構成したものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述のような複数の回路からなる制御回路を設けると、移動ラック装置の構成が複雑になるとともに、非常に高価なものになってしまう。また、一旦、この制御回路に故障を生じるとどの制御回路の部分に故障を生じたかを特定するのが困難になり、修理に時間を要してしまうことになってしまう。
【0004】そこで、以上のような不具合を解決するために、駆動源によってラックを移動させる移動ラック装置において、複雑な制御回路を設けることなく簡単な構成で、複数のラックを、アクセス通路を形成し得るように所望の位置に移動させることができる移動ラック装置を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、複数のラックと、これらのラックを移動させるための駆動源とを備え、この駆動源の動力により、ラックを移動させて所望のラック間にアクセス通路を選択的に形成し得るようにした移動ラック装置において、アクセス通路に面すべきラックを特定するための操作部と、この操作部に加えられた指令に基づいて対応する特定のラックに駆動源の動力を伝達して自走状態にするとともに、他のラックに対する動力の伝達を遮断して開放状態にする動力伝達機構とを具備してなることを特徴とする。
【0006】このようなものであれば、操作部に加えられた指令に基づいて、アクセス通路に面すべきラックを特定して自走状態とし、その他のラックを移動可能な開放状態とすることで、特定のラックを移動方向に存在するラックごと所望の位置まで移動させることができるようになる。すなわち複雑な制御回路などを設けずに、比較的簡単な構成で複数のラックを所望の位置に移動させて、アクセス通路を形成することができるようになる。さらに、通常時は、ラックを開放状態することによって、地震の際のこのラックの移動方向に沿った横揺れに対して移動可能にし、免震効果も得ることができるようになる。
【0007】このような移動ラック装置の具体的態様としては、ラックに駆動源と移動用の車輪とをそれぞれ設けるとともに、操作部を各ラックの駆動源に対応するように設けておき、動力伝達手段を、駆動源と車輪との間に介在させて各ラックにそれぞれ設けた複数の単位伝導機構を備えたものにし、各単位伝導機構に、対応する駆動源と車輪との間の動力伝達機構を備えたものにし、対応する駆動源と車輪との間の動力伝達状態を断続させるためのクラッチを具備して構成するものが挙げられる。このようなものであれば、アクセス通路に面すべきラックを、このラックに設けたクラッチにより、駆動源と車輪とを動力伝達状態にして自走状態とし、他のラックを、これらのラックに設けたクラッチにより、駆動源と車輪との動力伝達を遮断して開放状態とすることができるようになる。
【0008】駆動源としては、電動モータが好適である。このような場合においては、操作部を、対応するラックに設けた電動モータに電力を供給するための複数の電源供給スイッチを備えたものにし、クラッチを、この電動モータの作動条件下においてのみ動力伝達状態に切り替わるように構成したものにするのが望ましい。
【0009】このようなクラッチとしては、電磁式や、機械式のものなどが挙げられるが、より簡単な構成にするためには、クラッチが、駆動源の作動時にその作動力を利用して動力遮断状態から動力伝達状態で切り替わるように構成した機械式のものであることが好ましい。このようなものであれば、電磁式クラッチのようにクラッチに電力を供給するための回路を設けずともよい。
【0010】また、ラックが移動範囲に設定した位置まで移動した場合にこのラックの動きを自動的に停止するリミットスイッチなどを設けず、必要最小限の電源供給回路のみを具備するようにするためには、電源供給スイッチを、操作力を加えている間のみ、対応する電動モータに電力を供給するように構成することが望ましい。このようなものであれば、電源供給スイッチをオフ状態にする操作をせずとも、例えばスイッチを押下していた手を離すなどすれば、自動的にラックの自走を止めることができるようになる。
【0011】また、請求項1の発明の別の態様としては、複数のラックを所定方向に移動し得るように案内するとともに、これらのラックに対して共通の駆動源を設けておき、動力伝達手段を駆動源から動力をうけてラックの移動方向に作動する作動部材と、操作部に加えられた指令に対応するラックのみを作動部材に連結する選択連結機構とを具備してなるものしているものが挙げられる。このようなものであれば、共通の駆動源による動力によって移動方向に作動する作動部材に連結させることで、特定のラックのみを移動させ、その他のラックをこのラックに移動方向の力によって移動させることができるようになる。
【0012】なお、このような作動体としては、例えば、共通の駆動源から動力をうけて移動方向に往復運動するラックの移動方向に沿って設けたシャフトや、共通の駆動源から動力をうけて正転および逆転する移動方向の両端に設けたスプロケットに架け渡したチェーンなどが挙げられる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0014】図1に示した移動ラック装置1は、書庫や倉庫として使用されるもので、床に敷き設けたレールRに複数のラック2を配置し、このラック2を駆動源たる電動モータ5によって前後(図中X方向およびY方向)に移動可能に形成したものである。
【0015】それぞれのラック2は、ベース部3とこのベース部3の上方に載せ設けられる本体部4とから構成される。ベース部3は、図2に示すように内向コ字形の対をなす長手方向の底枠材30及び短手方向の底枠材31を枠体状に組み、適宜部位を複数の補強枠材32によって補強している。そして、このベース部3の上面複数箇所に平面視矩形上をなす支柱挿入孔33を設けている。一方、本体部4は、前記支柱挿入孔33に下端を挿入して起立させて設けた支柱40と、ベース部3の短手方向に設けた左右の側板部41と、これら支柱40及び側板部41の上端部に設けた天板42とを具備してなり、適宜位置に棚板43を架け渡して設けている。また、移動方向両端面に位置するラック2は、その外側の移動端面を閉塞し、移動方向両端面以外のラック2は、その移動方向両端面側に棚空間を開口させている。
【0016】このように構成した移動ラック装置1において、本実施の形態においては、電動モータ5と移動用の車輪6を各ラックにそれぞれ設け、それぞれの電動モータ5に電源供給をする操作部7を設け、特定のラック2を電動モータ5による自走状態とするとともに他のラック2を開放状態とする動力伝達手段Dによってラック2を移動させ、所望のラック間にアクセス通路Sを形成し得るように構成している。
【0017】電動モータ5は、各ラック2に後述する減速機80と一体化して設けられたもので、補強部材32に並行して設けた取付部材32bに、取り付けたものである。
【0018】車輪6は、レールRに転動可能に設けたものであり、ラック2ごとに、電動モータ5の動力を伝達されて直接的に回転する一対の第1の車輪60と、この第1の車輪60に従動する第2の車輪61とを、それぞれ移動方向両端に1対ずつ設けたものである。第1の車輪60は、後述する単位伝導機構8によって電動モータ5の図示しない出力軸と連結して電動モータ5の動力により回転する長尺な従動軸60aに左右の第1の車輪60とも取り付けて、最も外側に位置する補助部材32aに回転可能に支持させたものである。一方、第2の車輪61は、それぞれ左右の車輪を分離して車軸61aに取り付けて、回転可能に補助部材32aに支持させたものである。
【0019】操作部7は、各ラック2の側板部41に設けたもので、各ラック2を前方向および後方向に移動させる操作部材たる操作スイッチ70aおよび70bと、電動モータ5に電力を供給するため電源供給回路を構成する図示しない配線コードなどを具備してなるものである。この操作スイッチ70a、70bは、例えば押しボタン式のモーメンタリスイッチで、当該操作スイッチ70a、70bの押下状態を維持している場合に、対応する電動モータ5に電源供給するものである。そして、それぞれの操作スイッチ70a、70bを押下することによって、正転または逆転の電力を供給するように構成し、電動モータ5の回転方向を変更するようにしている。
【0020】動力伝達機構Dは、各ラック2に設けた電動モータ5と車輪6との間に介在させて設けた単位伝導機構8から構成し、この各単位伝導機構8に、電動モータ5と車輪6との動力伝達状態を断続させるためのクラッチ9を設けたものである。
【0021】動力伝達機構Dを構成する単位伝導機構8は、電動モータ5と接続する減速機80と、この減速機80によって速度を減速された電動モータ5の回転を出力する出力軸81と、この出力軸81の先端に設けたギア部81Gと、このギア部に噛み合うようにクラッチ9のハウジング90の表面に設けたギア部90Gと、クラッチ9の出力軸98と接続させた中間軸82と、この中間軸82に固定したスプロケット83と、このスプロケット83に対応して従動軸60aの中途に固定したスプロケット85と、これら二つのスプロケット83、85に跨って取り付けた輪状のチェーン84とを具備してなるものである。
【0022】クラッチ9は、図5、図6に示すように、円筒状の回転可能なハウジング90内に、電動モータ5に接続される駆動側回転体91と、車輪6に接続された従動側回転体92と、駆動側回転体91を従動側回転体92から離間させて電動モータ5から車輪6の伝導状態を遮断する離間機構Sと、この離間機構Sによる離間力に抗して駆動側回転体91従動側回転体との接合位置までを押し付けてモータ5から車輪6への伝導状態を確立させる押付機構Pとを具備してなるものである。
【0023】駆動側回転体91は、ハウジング90内に空転可能に設けた中空円筒状の中間部材94内に設けたもので、従動側回転体92に対向する面に鋸歯状の接合面91aを有しており、外周部分に設けたボール96と、中間部材94の内周面に形成した溝部97とによって、中間部材94に対して軸方向にのみ移動可能に保持されている。
【0024】また、従動側回転体92は、中間部材94内に空転可能に設けたもので、駆動側回転体91と同軸上に設け、接合面91aと噛み合って接合する接合面91bを具備するとともに、車輪6の従動軸60aに接続するクラッチ9の出力軸98を固定して設けたものである。
【0025】離間機構Sは、従動側回転体92と従動側回転体91と間に、両回転体91、92の相対回転を阻害しないようにしてコイルバネBを設け、コイルバネBの弾性力によって駆動側回転体91を従動側回転体92から離間させ離間状態(図5)を維持するようにするものである。
【0026】押付機構Pは、ハウジング90に取り付けた蓋部材93の円周方向に沿って複数(例えば3つ)の台形状に突出するカム面94aを備えた突起部材94と、このカム面94aに対向するカム面94aと略同形状のカム面95aを備えて駆動側回転体91の接合面9aと反対側に設けた突起部材95と、駆動側回転体91に設けたボール96と、このボール96を収容可能に中間部材92軸方向に沿って設けた溝部97とによって構成したものである。そして、電動モータ5のトルクによってハウジング90とともに回転するカム面94aを、駆動側回転体91のカム面95aに当てて、ボール96と溝部97とで回転方向の移動を規制し直線方向の力に変換し、離間機構SのコイルバネBによる離間力に抗して、駆動側回転体91を、接合面91aと92aとを接合するように従動側回転体92側に押し付け、さらに、電動モータ5の一定速度以上の回転によって、これら接合面91aと92aとの接合状態(図6)を維持させるようにしたものである。
【0027】次に、このように構成した移動ラック装置1のラック2を移動させる場合について説明する。
【0028】まず、図1で示したアクセス通路Sを広げるために、このアクセス通路Sに面する前方側(図中矢印X方向)のラック2の側板部41に設けた前方向への移動させるスイッチ70aを押下すると、このラック2に取り付けられた電動モータ5が、前方へ移動させる向きに回転する。この電動モータ5の回転に伴いクラッチ9が、自動的に駆動側回転体91を従動側回転体92に押し付けて接合面91aと92aとを接合する。そして、電動モータ5の動力が、動力伝達状態である単位伝導機構8を介して車輪6の従動軸60aに伝達され、ラック2が前方へと自走状態で移動する。ラック2の移動方向である前方に位置する3つのラック2は、アクセス通路Sに面するラック2の移動によって後方から移動方向の力を受ける。これら前方に位置する電動モータ5を作動させていない3つのラック2は、それぞれに設けたクラッチ9が駆動側回転体91と従動側回転体92とを離間させた状態となっており、すなわち車輪6が電動モータから非拘束な開放状態となっているため、後方から移動方向の力によって前方に移動する。このように、アクセス通路Sに面するラック2の電動モータ5のみ作動させてやれば、その移動方向に存在するラック2ごと移動させることができる。一方、このアクセス通路Sに面するラック2の操作スイッチ70aの押下をやめれば、電動モータ5の回転を停止し、ラック2の移動を停止する。さらに、このアクセス通路Sに面するラックからの力を加えられなくなった移動方向にあるラック2も、車輪6とレールRとの摩擦力によって停止する。
【0029】以上詳述したように、本実施の形態は、電動モータ5を駆動源として備え、所望のラック2間にアクセス通路Sを選択的に形成し得るようにした移動ラック装置1において、各ラック2に対応する操作部7と、各ラック2に設けた電動モータ5の車輪6との間の動力伝達状態を断続させるためのクラッチ9を具備した単位伝導機構8から構成した動力伝達手段Dを設けたので、アクセス通路Sに面するラック2のみ、対応する電源供給スイッチ70a、70bを押下して電動モータ5による自走状態とすれば、開放状態にした移動方向に存在する開放状態であるラック2ごと移動させることができる。すなわち、複雑な制御回路などを設けることなく、簡単な構成によって、ラック2を移動させて所望のラック2間にアクセス通路Sを形成ことができる。さらに、電源供給スイッチ70a、70bを押下しない通常時には、大きな地震の際にレールR方向に震動する横揺れに対してラック2をレールRに沿って移動し得るようにして免震性を持たせることができる。
【0030】また、クラッチ9を、対応する電動モータ5の作動条件下においてのみ押付機構Pによって駆動側回転体を従動側回転体に押し付けて動力伝達状態に切り替わるように構成したので、電動モータ5に電力供給する電源供給スイッチ70a、70bに指令を加えるだけで、電動モータ5の動力を車輪に伝達してそのラックを自走状態とすることができとともに、電源供給スイッチ70a、70bを操作しないラック2を開放状態とすることができる。
【0031】またクラッチ9が、電動モータ5に接続された駆動側回転体91と、車輪6に接続された従動側回転体92と、駆動側回転体を従動側回転体から離間させて電動モータ5から車輪6の伝導状態を遮断する離間機構Sと、この離間機構Pによる離間力に抗して駆動側回転体91従動側回転体との接合位置までを押し付けてモータ5から車輪6への伝導状態を確立させる押付機構Pとを具備し、電動モータの作動時にその回転力を利用して動力遮断状態から動力伝達状態に切り替わるように構成した機械式のものであるので、電磁クラッチを採用した場合と比較して操作部7によって電動モータ5にのみ電源を供給するように構成すれば良いので、より構成を簡単にできる。
【0032】また、操作スイッチ70aおよび70bを押下している間だけ、対応する電動モータ5に電力を供給し得るようにしたので、手を離すことによって即座にラック2停止させることができる。すなわち、操作スイッチ70aおよび70bがオン状態になったままになることがないので、レールRの移動方向両端でラック2の移動を規制するリミットスイッチを設けずともよく、より簡単に移動ラック装置1を構成することができる。さらに、操作スイッチ70aおよび70bが押下されない通常時に、自動的にラック2を開放状態とするので、免震効果を有効に得られる。
【0033】本発明は、以上のような実施の形態に限られない。
【0034】例えば、本実施の形態では、ラック2を床に敷き設けたレールRに車輪6によって移動可能に設けたが、天井設けた天井レールに、この天井レール内を走行可能な車輪を備えて下方に吊するように設けた懸吊体によって、ラックを移動可能にしたものでもよい。
【0035】また、クラッチ9を、中間軸82の中途位置や、中間軸82と従動軸60aとの間など、取り付け得る位置であれば単位伝達機構手段8のどの位置に設けたものでもよい。
【0036】また、本実施の形態においては、操作部7を各ラック2の側板部41に設けたが、一つのラック2の側板部41や移動ラック装置1を設置した室内の壁面などに、対応するラック2の電動モータ5に電源を供給する指令を加える電源供給スイッチ70a、70bを一カ所に集中させて設けた操作部としてもよい。
【0037】また、電源供給スイッチとして、モーメンタリ式スイッチである電源供給スイッチ70a、70bを設けたが、オルタネイト式スイッチを採用したものでも良い。また、電源供給スイッチ70a、70bに電源供給状態からひ電源非供給状態にするオフスイッチをさらに設けたものでも良い。
【0038】また、本実施の形態においては、クラッチとして機械式のクラッチ9を採用したが、オン型の電磁式クラッチを用いて、操作部7をモータ6への電源供給に伴って、この電磁式クラッチにも電力を供給するように構成したものでもよい。
【0039】また、本実施の形態では、駆動源たる電動モータ5と、ラック2を移動可能にする車輪6を各ラックに設けて、各ラック2に設けた電動モータ5の動力を伝達してそれぞれのラックを移動させるよう構成したが、複数のラック2に対して動力を与える共通の駆動源を設けたものであってもよい。このような場合は、動力伝達手段を、この共通の駆動源から動力をうけてラック2を移動方向に作動する作動部材と操作部に加えられた指令に対応するラックのみをこの作動部材に連結する選択連結機構とを具備し、該選択連結機構で作動部材に連結させたラックのみを駆動源によって移動させるように構成する。このような作動部材としては、複数のラックに対して共通となる駆動源から動力をうけて移動方向に往復運動するラックの移動方向に沿って設けたシャフトや、共通の駆動源から動力をうけて正転および逆転する移動方向の両端に設けたスプロケットに架け渡したチェーンなどが挙げられる。
【0040】その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0041】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0042】すなわち、本発明は、複数のラックと、これらのラックを移動させるための駆動源とを備え、この駆動源の動力により、ラックを移動させて所望のラック間にアクセス通路を選択的に形成し得るようにした移動ラック装置において、アクセス通路に面すべきラックを特定するための操作部と、この操作部に加えられた指令に基づいて対応する特定のラックに駆動源の動力を伝達して自走状態にするとともに、他のラックに対する動力の伝達を遮断して開放状態にする動力伝達機構とを具備してなることを特徴とする。
【0043】このようなものに構成したので、操作部に加えられた指令に基づいて、アクセス通路に面すべきラックを特定して自走状態とし、その他のラックを移動可能な開放状態とすることで、特定のラックを移動方向に存在するラックごと所望の位置まで移動させることができる。すなわち、それぞれのラックの移動を制御するための複雑な制御回路などを必要とせずに、比較的簡単な構成で複数のラックを所望の位置に移動させて、アクセス通路を形成することができる。さらに、通常時は、ラックを開放状態することによって、地震の際のこのラックの移動方向に沿った横揺れに対して移動可能にし、免震効果も得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市東成区大今里南6丁目1番1号
【識別番号】592065405
【氏名又は名称】明興工業株式会社
【住所又は居所】奈良県大和郡山市今国府町603番地
【出願日】 平成13年9月20日(2001.9.20)
【代理人】 【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博 (外2名)
【公開番号】 特開2003−88429(P2003−88429A)
【公開日】 平成15年3月25日(2003.3.25)
【出願番号】 特願2001−286928(P2001−286928)