| 【発明の名称】 |
ブラシの製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】斎藤 祐紀 【住所又は居所】栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会社研究所内
【氏名】木村 俊次 【住所又は居所】栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会社研究所内
【氏名】森若 博文 【住所又は居所】東京都墨田区文花2−1−3 花王株式会社研究所内
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| 【要約】 |
【課題】用毛束の整列性、成形性に優れ、低コストで、植毛基部の薄型化や多品種少量生産にも対応することができるブラシの製造方法を提供すること。
【解決手段】植毛孔を複数有する植毛基部を、該植毛基部の外形の輪郭と略同等形状に形成された凹部及び該植毛孔と略同等形状に形成された挿入部を有する用毛保持治具に配し、前記挿入部と前記各植毛孔とを通じさせて該植毛孔を介して該挿入部に用毛を挿入し、該植毛孔及び該挿入部内に該用毛を保持した状態で、該各用毛における該植毛孔から突出する部分を溶融させて溶融塊を形成する工程を具備している。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 植毛孔を複数有する植毛基部を、該植毛基部の外形の輪郭と略同等形状に形成された凹部及び該植毛孔と略同等形状に形成された挿入部を有する用毛保持治具に配し、前記挿入部と前記各植毛孔とを通じさせて該植毛孔を介して該挿入部に用毛を挿入し、該植毛孔及び該挿入部内に該用毛を保持した状態で、該各用毛における該植毛孔から突出する部分を溶融させて溶融塊を形成する工程を具備しているブラシの製造方法。 【請求項2】 形成された前記溶融塊を被覆して植毛部を形成する工程を具備している請求項1記載のブラシの製造方法。 【請求項3】 前記植毛基部を前記用毛束保持治具とともに成形装置に配して該植毛基部と該成形装置の金型との間に樹脂を射出し、前記溶融塊を被覆する請求項1又は2記載のブラシの製造方法。 【請求項4】 所定長さに切断された所定本数の前記用毛を予め用毛の導入部に導入しておき、該導入部から前記用毛を送出して前記挿入部に挿入する請求項1〜3の何れかに記載のブラシの製造方法。 【請求項5】 用毛を送出する送出手段の先端部が前記挿入部の先端部の形態に対応した形状に設けられている請求項4記載のブラシの製造方法。 【請求項6】 前記植毛基部側から前記植毛孔を通じて前記挿入部に前記用毛を挿入する請求項1〜5記載のブラシの製造方法。 【請求項7】 複数の植毛孔を有する植毛基部が配される台座部と、前記台座部に配された前記植毛基部を位置決めする位置決め手段とを備えており、前記台座部は、前記植毛基部が該台座部に位置決めされたときに前記各植毛孔にそれぞれ連通する用毛の挿入部を有しているとともに、前記各植毛孔を通じて前記各挿入部に挿入された用毛を保持する用毛保持機構を備えている用毛束保持治具。 【請求項8】 前記台座部が、前記挿入部を前記用毛の挿入方向において分断するように分割可能に設けられている請求項7記載の用毛束保持治具。 【請求項9】 前記用毛保持機構が、分割された前記台座部の一部を、前記各挿入部に挿入された前記用毛に対してせん断方向に移動させて該各用毛を保持するように設けられている請求項7又は8記載の用毛束保持治具。 【請求項10】 前記挿入部における前記用毛の挿入方向の先端部が、挿入される前記用毛の先端部を所定の整列形態に整列させる形状に設けられている請求項7〜9の何れかに記載の用毛束保持治具。 【請求項11】 前記台座部は、前記挿入部を前記用毛の挿入方向における先端部の近傍において分断するように分割可能に設けられている請求項7〜10の何れかに記載の用毛束保持治具。 【請求項12】 複数の前記挿入部の一部又は全部が異なる方向に配向されている請求項7〜11の何れかに記載の用毛束保持治具。 【請求項13】 前記挿入部の挿入口が、外方に向けて拡開するように設けられている請求項7〜12の何れかに記載の用毛束保持治具。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ブラシの製造方法に関わり、特に、歯ブラシの製造に好適なブラシの製造方法及びこれに用いる用毛束保持治具に関する。 【0002】 【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ブラシの製造方法に関する従来技術としては、例えば、下記特許文献1に記載の技術が知られている。この技術では、キャビティを形成する金型の一部に用毛の植毛孔を形成しておき、植毛孔に用毛を挿入し、該キャビティ内に樹脂を充填して植毛するものである。 【0003】この技術は、金型に設けた植毛孔に直接用毛を挿入して成形を行うため、溶融樹脂が用毛間に滲み出してバリができて成形不良を起こしやすいものであった。この問題を解決するために、用毛束の根元の部分を囲繞するように環状凹部を形成することも試みられているが、歯ブラシの最終形態として、植毛基部を薄くする場合には強度低下を招くほか、該環状凹部に水等が溜まりやすくなるため、不衛生であった。また、成形に用いる高価な金型(下記特許文献1においては、「インサート」)を多数必要とするため、該技術は、多品種少量生産を行うには不向きであった。 【0004】一方、下記特許文献2には、内部に空間を有する受け型に、該空間を覆うように植毛孔を有する基板を配しておき、該植毛孔に用毛を挿入して切断した後に、用毛の切断端部を溶融させて溶融塊を形成し、該溶融塊を覆うように裏蓋をはめ込んで植毛部を形成するものである。 【0005】しかしながら、この技術では、植毛孔の端に用毛を挿入しているだけであるため、溶融塊の形成の際に用毛束の毛先が広がり易く、特に植毛基部を薄くする場合にはこの傾向が強くなり、好ましくなかった。また、受け型内の空間を覆うように基板を配しているため、前記溶融塊を覆うように射出成形によって植毛部を成形する場合には、受け型をそのまま用いることは基板の強度的にも不可能であり、溶融塊を形成した後に基板を移し替える必要が生じ、生産効率が低くなる問題もあった。 【0006】 【特許文献1】特表2001−513685号公報【特許文献2】特公昭50−14465号公報【0007】従って、本発明の目的は、用毛束の整列性、成形性に優れ、低コストで、植毛基部の薄型化や多品種少量生産にも対応することができるブラシの製造方法及び該方法に用いて好適な用毛束保持治具を提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明は、植毛孔を複数有する植毛基部を、該植毛基部の外形の輪郭と略同等形状に形成された凹部及び該植毛孔と略同等形状に形成された挿入部を有する用毛保持治具に配し、前記挿入部と前記各植毛孔とを通じさせて該植毛孔を介して該挿入部に用毛を挿入し、該植毛孔及び該挿入部内に該用毛を保持した状態で、該各用毛における該植毛孔から突出する部分を溶融させて溶融塊を形成する工程を具備しているブラシの製造方法を提供することにより、前記目的を達成したものである。 【0009】また、本発明は、複数の植毛孔を有する植毛基部が配される台座部と、前記台座部に配された前記植毛基部を位置決めする位置決め手段とを備えており、前記台座部は、前記植毛基部が該台座部に位置決めされたときに前記各植毛孔にそれぞれ連通する用毛の挿入部を有しているとともに、前記各植毛孔を通じて前記各挿入部に挿入された用毛を保持する用毛保持機構を備えている用毛束保持治具を提供することにより、前記目的を達成したものである。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、本発明を、その好ましい実施形態に基づいて、図面を参照しながら説明する。 【0011】図1は、本発明の用毛束保持治具の一実施形態を示すものである。図1において、符号1は用毛束保持治具、11は歯ブラシ本体、12は植毛基部を示している。 【0012】図1に示すように、用毛束保持治具1は、複数の植毛孔12a(図2参照)を有する植毛基部12が配される台座部2と、台座部2に配された植毛基部12を位置決めする位置決め手段3とを備えている。 【0013】図2に示すように、台座部2は、植毛基部12が台座部2に位置決めされたときに前記各植毛孔12aにそれぞれ連通する用毛の挿入部20を複数有しているとともに、各植毛孔12aを通じて前記各挿入部20に挿入された用毛13を保持する用毛保持機構4を備えている。 【0014】台座部2は、挿入部20を用毛13の挿入方向において分断するように3分割可能に設けられている。本実施形態では、台座部2は、上板部20aと、その下方に配された中板部20bと、さらにその下方に固定された下板部20cとが分割可能に設けられている。 【0015】上板部20aには、植毛基部12の外形に対応した凹部30が設けられている。中板部20bは、上板部20aと下板部20cとの間で所定範囲でスライド可能に弾性部材(図示せず)を介して配されており、通常は、この弾性部材の弾性力によって挿入部20が断続されるように付勢されている。前記弾性部材には、スプリング、板バネ等の公知のものを用いることができる。下板部20c内には前記挿入部20の先端部が形成されており、この部分を取り替えることによって、挿入部20の挿入方向はそのままで、先端形状のみを変更できるようになっている。 【0016】前記挿入部20は、前記植毛基部12の植毛孔12aに連通するように植毛孔12aの挿入方向と同方向に挿入方向が設けられている。挿入部20の挿入口は、上方に向けてテーパー状に漸次拡開するように設けられており、植毛孔12aを通じて用毛13を挿入する際に、植毛孔12aと挿入部20の位置決めが正確になされていなくても用毛の挿入がスムーズに行え、またその際の用毛の引っかかりも防止できるようになっている。 【0017】植毛基部12を位置決めする前記位置決め用の凹部30は、植毛基部12を用毛束保持治具1に確実に位置決めして固定を行うために、植毛基部12の外形と相似形の形状を有していることが好ましく、大きさは植毛基部よりも0.05〜0.2mm大きくすることが好ましい。前記位置決め用の前記凹部30は、植毛基部12に対応して位置決め精度以上で立体的に形成されていること好ましいが、その他形態として、凸形状で位置決め用の部分的な壁面で2点若しくは3点での固定、又は凹部と凸部の組合せ等の形態を適且選択可能である。 【0018】挿入部(先端部を除く)20の挿入方向に直交する方向の断面形状は、植毛孔12aの挿入方向に直交する方向の断面形状と相似形状に設けられている。挿入部(テーパー部を除く)20は、その内周と植毛孔12aの内周の間に0.05〜0.2mmの隙間を有するように植毛孔12aよりも広く設けることが好ましい。0.05mm未満では、植毛基部の位置決め精度のふれによって実質的に挿入面積が狭くなりすぎてしまい、用毛の挿入ミスや毛立ちの不良が発生する場合がある。また、0.2mmを超えると、用毛の保持力が不十分となり、用毛先端部の整列形態が広がり易くなる。 【0019】また、挿入部20の中の用毛束密度は用毛束の形状を保持する上で40〜75%にすることが好ましく、特に50〜70%にすることが好ましい。該用毛束密度が40%未満であると、溶融塊の形成や射出成形により溶融塊を被覆する工程において、用毛束先端が広がる等の用毛の乱れが生じやすい。用毛束密度が75%を超えると、用毛束の挿入時に用毛束の各用毛が長さ方向に相対的にずれて用毛束先端の形態を正確に形成することができなかったり、用毛の一部が折れ曲がり挿入時の不具合が発生しやすい。なお、前記の用毛束密度は、挿入部20の長さ方向に直交する断面積を、挿入部20に挿入される各用毛の長さ方向に直交する断面積の総和で除した値をいう。 【0020】図3に示すように、一部の前記各挿入部20の前記用毛13の挿入方向における先端部20dは、挿入される前記各用毛13の先端部を所定の整列形態に整列させる形状に設けられている。 【0021】前記位置決め手段3は、本実施形態では、前記位置決め用の凹部30と、前記歯ブラシ本体11のネック部分を固定するロックアーム31とを備えており、ブラシ本体11を確実に保持し、各挿入部20と各植毛孔12aとを精度良く連結する。このロックアーム31は、アーム31aと、アーム31aを支持するロックピン31bとを備えており、ロックピン31bを中心にアーム31aが回転する機構(図示せず)及びアーム31aの上下動を可能とする上下動機構(図示せず)が配置されている。 【0022】ブラシ本体11を用毛保持治具1に装着する場合は、ロックアーム31をブラシ本体11の装着に支障が無いように回転移動させ、ブラシ本体11を装着した後は、所定位置にロックアーム31を戻し、ブラシ本体11をロックアーム31で固定する。前記固定は、前記上下動機構によりアーム31aを降下させてブラシ本体11を押さえつけて行う。 【0023】前記用毛保持機構4は、分割された前記中板部20bを前記各挿入部20に挿入された前記用毛13に対してせん断方向に移動させて各用毛13を保持するように設けられている。中板部20bの厚みは、挿入された用毛の長さに対して、30〜60%であることが好ましい。中板部20bが厚すぎると用毛の長手方向中央の比較的自由度のある位置をせん断保持できず、保持状態が不安定となる場合があり、薄すぎると用毛に対し、大きな剪断力がかかり、用毛の変形や傷つきが発生する場合がある。 【0024】本実施形態では、前記中板部20bを弾性部材(図示せず)の弾性力で付勢させることによって、前記上板部20aとの間で前記挿入部20内に挿入された用毛13にせん断方向に挟持力を作用させて当該用毛13を保持できるようになっている。中板部20bを付勢させる弾性力は、1〜5N程度あれば十分である。また、本実施形態では、用毛束保持治具の一部のパーツである上板部20a、中板部20b、下板部20c及び後述の先端部20dの一部またはすべてを変更することで、植毛基部12、植毛パターン、用毛束の長さや太さ、用毛先端部の整列形態などを低コストで容易に変更することができる。 【0025】次に、本発明のブラシの製造方法を、その好ましい実施形態として、前記用毛束保持治具1を用いた歯ブラシの製造方法に基づいて説明する。 【0026】先ず、図1及び図2に示すように、前記植毛基部12を先端部に有する歯ブラシ本体11を、当該植毛基部12を台座部2の上板部20aの上に配し、前記位置決め手段のアーム31aで固定する。そして、前記中板部20bを前記弾性部材の弾性力に対向して押圧してスライドさせ、各挿入部20と前記各植毛孔12aとを通じさせる。 【0027】次に、図2に示すように、所定長さに切断された所定本数の用毛13を予めスリーブ14に(用毛の導入部)に導入し、押出ピン15で用毛13を押し出して植毛孔12a及び挿入部20に挿入する。このように、用毛13を植毛基部12の植毛孔側から挿入することには、以下の(1)〜(3)点で好ましい。 (1)植毛孔の用毛束保持治具側にテーパーを設ける必要がないので、水分等が溜まらないため衛生的で、肉厚減少による植毛基部の強度低下や成形の際の樹脂漏れが生じにくい。 (2)挿入部の挿入方向に直交する方向の断面と、植毛孔の挿入方向に直交する方向の断面の大きさを最適な状態に設定しやすいので、挿入時の挿入抵抗、溶融塊形成工程や射出成形工程で用毛束に作用する力の影響による用毛束の乱れが生じにくく、また挿入ミスも生じにくい。 (3)本実施形態におけるスリーブによる用毛束挿入方向と植毛孔及び挿入部の挿入方向が傾斜している場合には、挿入部内での用毛束が屈曲した状態で溶融塊形成工程が行われることがないので、最終製品の用毛束の配向状態と整列状態をより良くすることができる。 【0028】用毛13には、従来から歯ブラシの用毛に用いられている通常の材質、形態のものを特に制限なく用いることができる。用毛13の材質としては、ナイロン等のポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステルが挙げられる。用毛13の長さは、5〜20mmであることが好ましく、8〜18mmであることがより好ましい。用毛13の太さは、6〜10mil(127〜254μm)であることが好ましく、7〜9mil(178〜229μm)であることがより好ましい。 【0029】本実施形態では、スリーブ14の外表面は、当該ノズル部を用毛の集合に差し込む際の抵抗を抑える点から、無電解メッキを施したり、ポリテトラフルオロエチレン樹脂等で表面加工を施す等することによって、表面を潤滑に仕上げることが好ましい。 【0030】図3に示すように、押出ピン15には、その先端部15aが、挿入部20の先端部の形状に対応した形状に設けられたものを用いることが好ましい。そして、この押出ピン15をスリーブ14内に挿入し用毛13を押し出すときに、押出ピン15の先端部15aによって用毛13の後端部を整列させ、用毛13の先端部を予め整列させた上で前記植毛孔12aを通じて挿入部20に挿入する。このように用毛13を挿入部20に挿入する前に予めその先端部の整列形態を整列させておくことによって、用毛13の先端部の整列形態を挿入部20の先端部20dに対応した所望の形態とすることができる。 【0031】一つの挿入部20についての用毛13の挿入が完了した後、次に用毛13を挿入する挿入部20が挿入位置に位置決め決めされるように前記用毛束保持治具1を移動させた後、上記の手順で用毛13の挿入を行う。そして、全ての挿入部20への用毛13の挿入を終えたら、前記用毛保持機構4による前記中板部20bの押圧を解き、各挿入部20に挿入された用毛13を保持する。 【0032】次に、図4(a)に示すように、用毛束保持治具1を歯ブラシ本体11とともに溶融魂を形成する工程に移送して位置決めする。そして、前記用毛13における前記植毛孔12aから突出する部分を熱源5によって溶融させ、図4(b)に示すように、植毛孔12aを塞いで溶融塊130を形成する。熱源5の種類に特に制限はないが、溶融塊を個々に形成できる点から、レーザー光、ハロゲン光源を用いたヒーター、超音波等を用いることが好ましい。溶融塊130は、単独で形成してもよいし、隣接する溶融塊どうしを連結させてもよい。 【0033】本実施形態では、植毛基部12を用いるため、溶融樹脂が仮にもれた場合でも植毛孔12a内で留まり、製品の外観を損なうことがない。また、植毛孔12aの挿入口が上方に向けて漸次拡開されてテーパー状に設けられているため、この部分を利用して溶融塊130を形成することで、植毛基部12を薄くした場合にも用毛の毛立ちの安定性を得ることができる。また、溶融塊130を形成する場合にも、前記用毛保持機構4によって用毛が挟持固定されているため、溶融塊130の形成に伴う用毛のずれを抑えることができ、得られる用毛先端部の整列形態を良好なものとすることができる。 【0034】次に、形成された前記溶融塊130を被覆して植毛部(ヘッド)を形成する。本実施形態では、図5に示すように、ブラシ本体11を前記用毛束保持治具1とともに成形装置6の金型60に対して位置決めする。この際、金型60で植毛基部12を押圧し、植毛基部120を弾性変形若しくは塑性変形させて植毛基部と金型60との間の密閉性を高めることで、高い射出圧力で成形を行うことができる。この密閉性をより高める上で、植毛基部12の背面の凹部12bの開口縁部は、フラットに設けておくことが好ましい。 【0035】上述のように用毛束保持治具1を成形装置6の金型60に対して位置決めした後、充填装置7から注入口61を通じて植毛基部12と金型60との間に充填材を射出する。そして、前記溶融塊130を被覆被覆して植毛部(ヘッド)110を成形し、植毛基部12に用毛13を固定化する。 【0036】、充填材には、前記植毛基部12と同種の材料を用いることが好ましい。このような材料としては、ポリエチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン重合体、ポリカーボネート、ポリメチルメタアクリレート等が挙げられる。 【0037】植毛基部12に対して所望の接着性が得られる材料であれば、植毛基部12と充填材とを異なる材料で成形するもできる。この場合には、充填材は、植毛基部12や前記溶融塊130との間の接着性を考慮し、これらの間との熱接着性や化学的接着性のよい材料を選択することが好ましい。また、植毛基部12を温めたり、金型を高温にして熱接着性を高めたり、充填材自体の注入時の溶融温度を高めたりすることも接着性の向上に有効である。さらに、植毛基部12の表面に、コロナ放電処理やプラズマ放電処理を施したり、プライマー剤を塗工する等の処理を施した後、充填材を注入する方法も接着性の向上に有効である。 【0038】このようにして植毛基部12と異なる材料の充填材を用いた場合には、得られる歯ブラシに種々の特徴を付与することができる。例えば、植毛基部12にポリプロピレン樹脂を用い、充填材に熱可塑性エラストマーを用いることで、得られる歯ブラシに弾力性を付与することもできる。また、植毛基部12と充填材とで着色を変えることで、外観性に特徴を付与することもできる。 【0039】本実施形態では、前記溶融塊130によって植毛孔12aが塞がれているため、溶融樹脂のもれが防止され、溶融樹脂が仮にもれた場合でも植毛孔12a内にとどめられ、製品の外観を損なうことがない。 【0040】また、本実施形態では、植毛基部12が用毛保持治具1の台座部2の上面に設けた凹部30内に配されて安定的に支持され、且つ、個々の用毛束を前記用毛保持機構4に保持しているので、植毛基部12を薄くした場合でも、植毛基部12を用毛保持治具1で保持可能であり、射出圧力による植毛基部12の撓みなどを抑えることができる。また、用毛束の整列性に対しても効果がある。このため、植毛部のより薄い歯ブラシの製造が可能である。 【0041】また、本実施形態では、植毛基部12と成形装置の金型60との間に充填材を射出して前記溶融塊を被覆するので、植毛基部、溶融塊に隙間無く充填材が注入されて植毛基部及び溶融塊と固化一体化される。このため、植毛基部に板状のプラスチック部材を貼り付けて被覆する方法(図示せず)等に比べて、植毛部(ヘッド)の内部に空間が発生せず、歯磨き時に水分がヘッド内に入り込むことがないので、衛生的である。 【0042】射出成形の終了後、前記用毛保持機構4による用毛13の保持を解き、前記金型を離型する。そして、前記位置決め手段3によるブラシ本体11の固定を解いて、図6に示すように、歯ブラシ10を用毛保持治具1から取り外す。必要に応じてトリミング等の後工程の処理を行った後、歯ブラシの製造を完了する。 【0043】また、用毛束保持治具1は、成形金型に比べて厳しい精度を必要としないため、アルミニウム等の素材で安価に製作が可能である。更に用毛束保持治具1は成形金型よりも小型で軽量であるため、工程間の搬送が成形金型よりも簡便である。よって用毛束保持治具1を多数用い、各用毛束保持治具に植毛基部を配して固定した状態で、用毛の挿入工程から植毛部の成形までの各工程に応じた必要量を供給することで、設備全体の能力を最大限に発揮させることができる。また、モデルチェンジの際等において、各工程で生じた生産能力の違いを吸収させることができるなどフレキシビリティに富んだ生産システムを構築することができる。 【0044】以上説明したように、本実施形態の用毛束保持治具1及びこれを用いた歯ブラシの製造方法によれば、用毛束の整列性、成形性に優れ、低コストで、植毛基部の薄型化や多品種少量生産にも対応することができる。 【0045】本発明は前記実施形態に制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。 【0046】また、本発明は、前記実施形態におけるように、スリーブによって用毛(束)を一束ずつ挿入することが好ましいが、複数のスリーブを植毛パターンに対応するよう集合させたものを用いて、複数の用毛束を一度に挿入することもできる。 【0047】本発明は、前記実施形態におけるように、前記植毛基部を前記用毛束保持治具とともに成形装置に配して該植毛基部と該成形装置の金型との間にキャビティを形成し、該キャビティ内に樹脂を射出して前記溶融塊を被覆することによって、植毛部を形成することが好ましいが、これ以外の手法、例えば、プラスチック板を接着剤により接着する、プラスチック板を超音波や高周波等により熱接着させる、又はプラスチック板をはめ合わせる等の方法によって、前記溶融塊を被覆して植毛部を形成することもできる。 【0048】本発明は、前記実施形態におけるように、歯ブラシの製造に特に好適であるが、歯ブラシ以外のブラシの製造、例えば、ヘアブラシ、マッサージブラシ、洗浄ブラシその他の各種ブラシの製造にも適用することができる。 【0049】 【発明の効果】本発明によれば、用毛束の整列性、成形性に優れ、低コストで、植毛基部の薄型化や多品種少量生産にも対応することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000918 【氏名又は名称】花王株式会社 【住所又は居所】東京都中央区日本橋茅場町1丁目14番10号
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| 【出願日】 |
平成15年2月25日(2003.2.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100076532 【弁理士】 【氏名又は名称】羽鳥 修 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−310355(P2003−310355A) |
| 【公開日】 |
平成15年11月5日(2003.11.5) |
| 【出願番号】 |
特願2003−48267(P2003−48267) |
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