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【発明の名称】 歯ブラシのヘッド
【発明者】 【氏名】青山 芳博

【要約】 【課題】1本の歯ブラシで各個人の口腔内状況に適応させた歯ブラシのヘッドを提供する提供する。

【解決手段】植毛面11に毛束20あるいはスポンジ体90等からなる清掃部材を植設した歯ブラシのヘッド10において、上記植毛面に非植毛エリア13を構成したもので、毛束20の一部または全部をヘッド10の中央縦軸15あるいは中央横軸16に対して、非対称位置に植毛したり、毛束20を植毛した植毛エリアおよび非植毛エリアをヘッド10と別体のパーツ51によって構成し、このパーツ51をヘッド10に対して着脱自在に装着する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 植毛面に毛束を植毛した歯ブラシのヘッドにおいて、上記植毛面に非植毛エリアを構成したことを特徴とする歯ブラシのヘッド。
【請求項2】 植毛面に毛束を植毛した歯ブラシのヘッドにおいて、上記毛束の一部または全部をヘッドの中央縦軸に対して、非対称位置に植毛したことを特徴とする歯ブラシのヘッド。
【請求項3】 植毛面に毛束を植毛した歯ブラシのヘッドにおいて、上記毛束の一部または全部をヘッドの中央横軸に対して、非対称位置に植毛したことを特徴とする歯ブラシのヘッド。
【請求項4】 毛束を植毛した植毛エリアおよび非植毛エリアをヘッドと別体のパーツによって構成し、かつこのパーツをヘッドに対して着脱自在に装着することを特徴とする歯ブラシのヘッド。
【請求項5】 上記ヘッドの先端を曲折したことを特徴とする請求項1、2、3、4記載の歯ブラシのヘッド。
【請求項6】 上記ヘッド全体をホルダに対して曲折可能としたことを特徴とする請求項1、2、3、4記載の歯ブラシのヘッド。
【請求項7】 上記植毛面に、毛束に代えてスポンジ様の清掃部材を植設したことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6記載の歯ブラシのヘッド。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、1本の歯ブラシにより、各個人の有する口腔内の個性に対応できる歯ブラシのヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】個人毎に異なる口腔内環境、すなわち歯列、歯牙形態、噛み合わせ、舌の大きさ、口腔周囲筋等の諸条件により歯牙清掃の難易度、完成度等は異なっている。さらに、使用者の個性、例えば右ききと左きき、男女差による力の違いなどによって、歯ブラシの毛先が口の上、下、左、右に対して接し方が異なり歯牙清掃の条件は異なってくる。一方、従来の歯ブラシは全ての人を対象にして作成されているため、上記のような使用者個人の特殊な口腔内環境に適合することは稀であった。そのため、1本の歯ブラシでは完全な歯牙清掃は望めず、さらには清掃後の爽快感や満足感などが得られないため、やむなく歯ブラシだけでなく歯間ブラシ等の補助清掃具を利用して完全なる清掃を試みていた。
【0003】このような状況に鑑み、歯ブラシのヘッドにおける毛束の植毛について、植毛方法、種類等を変化させたり、密度、毛先の形状等を変化させた歯ブラシが考えられたが、これらの歯ブラシの毛束の植毛位置は、すべて歯ブラシの長手方向(縦軸方向)に対し対称形となっていた。また、長手方向の植毛間距離を対称かつ均等に形成していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、補助清掃具を利用して清掃を行うと、清掃作業が複雑となるため清掃意識の低下あるいは清掃回数の減少につながるおそれがある。また、従来の方法で歯ブラシの毛束の植毛方法、種類等を変化させても、口腔内の清掃は不完全であった。また、ヘッドに植設された毛束が歯や歯ぐきを傷める場合もあった。そこで、本発明は、1本の歯ブラシにより、可能な限り各個人の口腔内状況に適応させた歯ブラシのヘッドを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明の要旨とするところは、植毛面に毛束を植毛した歯ブラシのヘッドにおいて、上記植毛面に非植毛エリアを構成したことを特徴とする。また、上記毛束の一部または全部をヘッドの中央縦軸に対して、非対称位置に植毛したことを特徴とする。また、上記毛束の一部または全部をヘッドの中央横軸に対して、非対称位置に植毛したことを特徴とする。また、毛束を植毛した植毛エリアおよび非植毛エリアをヘッドと別体のパーツによって構成し、かつこのパーツをヘッドに対して着脱自在に装着することを特徴とする。また、上記ヘッドの先端を曲折したことを特徴とする。また、上記ヘッド全体をホルダに対して曲折可能としたことを特徴とする。また、上記植毛面に、毛束に代えてスポンジ様の清掃部材を植設したことを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は歯ブラシのヘッドの第1実施形態の植毛面の平面図、図2は同他例を示す平面図である。
【0007】図1に示す第1実施形態は、歯ブラシのホルダ30の先端に構成したヘッド10の表面の植毛面11に、多数の穴12、12・・を形成し、そこに毛束20を植設したものである。そして、穴12は、ヘッド10表面の両側の縦軸方向に、中央縦軸15の左右の対称位置に設けられおり、中央部分には設けられておらず非植毛エリア13を構成している。この非植毛エリア13は、本実施形態及び以下の実施形態では植毛が全くなされていない状態について説明するが、非植毛エリアはこれに限定されず、後述するような毛束20の働きを妨げない程度の短い毛が植毛されている場合も含むものとする。
【0008】図2に示す第1実施形態の他例は、穴12に植毛された毛束20は、中央縦軸15の左右の対称位置に設けられているが、非植毛エリア13が上記と異なっている。
【0009】図3に示す第2実施形態は、ヘッド10の表面に構成した穴12、12・・が、ヘッド10表面の中央縦軸15に対して左右の非対称位置に設けられおり、その穴12に植毛された毛束20、20の間隙に非植毛エリア13が不規則に構成されている。
【0010】また図4に示す第2実施形態の他例は、ヘッド10の表面に構成した穴12、12・・が、ヘッド10表面の中央横軸16に対して上下の非対称位置に設けられおり、その穴12に植毛された毛束20、20の間隙に非植毛エリア13が不規則に構成されている。
【0011】上記第1および第2実施形態の毛束20の植毛方法は、まず個人の歯並び等の口腔内の状況に対応してヘッド10の表面の所定位置に穴12を形成し、その後この穴12に毛束20を植えていくものである。その他の方法としては、図5に示すように予めヘッド10の一部または全面に穴12を形成しておく。そしてこの穴12のうち、所定の位置に毛束20を植毛することもできる。さらには上記すべての穴12に毛束20を植毛し、使用時に各個人の口腔内の状況に応じて歯科医師等が所定の毛束20を抜き取って非植毛エリア13を構成するようにすることもできる。
【0012】また、図6(a)に示すヘッド10aは、先端部分が中央縦軸15に対して水平方向の右もしくは左に曲折しているものである。このヘッド10aによれば、歯並び等の個人特有の歯牙条件により的確に対応できるのである。歯ブラシの使用は全て口腔前方の口唇方向から挿入され、かつ噛合平面に対して斜め方向からの挿入となっている。すなわち、従来の歯ブラシでは、ブラシが歯牙、歯頚部に対して斜め方向からあたってしまう。そこで、あらかじめヘッドに対して斜めの植毛(非対称植毛)が必要となるか、あるいはヘッド自体の一部あるいは全部をホルダに対して角度を変える必要がある。図6(b)に示すヘッド10bは、ヘッド全体が可動部30aによって中央縦軸15に対して水平方向の右もしくは左に曲折しているものである。このヘッド10bによっても、歯並び等の個人特有の歯牙条件により的確に対応できるのである。
【0013】上記のように構成したヘッド10によって口腔内の清掃を行う状態を示す模式図7ないし図9に基づいて説明する。図7は、奥歯80、81、82の最も奥にある歯82の後方側面82a(最遠心部)を清掃している状態を示している。この場合、ヘッド10の前方の毛束21が後方側面82aに当たり清掃を可能にしている。すなわち、従来の歯ブラシであれば、植毛面の非植毛エリア13にも毛束が植毛されていたため、この部分の毛束が歯82の上面に当たり、ヘッド10が上方に押戻されるため、前方の毛束が十分下方位置に至らず、その毛先は歯82の後方側面82aの下端に届かなかった。しかし、本実施形態では、非植毛エリア13の働きで、ヘッド10前方の毛束21は歯82の後方側面82aの下端まで届いて十分な清掃ができるのである。
【0014】図8は、上記図7の奥歯80、81、82の噛合面観であり、最も奥にある歯82の後方側面82aと共に、歯82と歯81の間隙81a(隣接部)を清掃している状態を示している。この場合も、ヘッド10の前方の毛束21が後方側面82aに当たり清掃を可能にしていると共に、後方の毛束22の先端は両歯81、82の間隙81aに入り、当該部分の清掃を行なう。本図に於いても非植毛エリア13の働きで、ヘッド10前方の毛束21は歯82の後方側面82aを清掃でき、後方の毛束22は歯の間隙81aの清掃を行なえることが分かる。
【0015】図9は、歯ブラシ10の両側の毛束23、24の働きを示すものであり、歯83と歯84の間隙83a(歯頚部ポケット)を清掃している状態を示している。この場合も、歯ブラシ10の側方の毛束23の先端は、非植毛エリア13の働きで両歯83、84の間隙83aの清掃を行なえることが分かる。
【0016】上記のように、本実施形態によれば、従来の歯ブラシであれば、個人の使用法により全く接しないエリア、例えば奥歯の側面や歯の間隙等を、残すことなく毛先を到達させることができる。そのために、予めその個人の清掃不得意部分すなわち未清掃ゾーンを分析し、植毛を非対称とする事で左右差あるいは不得意部位をなくすことができるのである。
【0017】次に、図10ないし図12に基づいて毛束の植毛方法について説明する。図10(a)は、予めヘッド10に形成した穴12に毛束20を固定する方法を示している。この場合、毛束20は穴12に対して嵌合して底部20aを固定する方法や底部20aと穴12を螺合して固定する方法が考えられる。図10(b)は、予めヘッド10に孔12b、12c、12dを穿設し、この孔に毛束20を固定する三つの方法を示している。図中左側に示すものは、孔12bを下部に向かって開拡して形成し、毛束20を固定する底部20bもこの孔12bと嵌合する形状に作成している。図中中央に示すものは、孔12cを円筒状に形成し、毛束20を固定する底部20cもこの孔12cと嵌合する形状に作成している。この場合底部20cの下面に底部20cより大きい固定板(図示せず)を設けても良い。図中右側に示すものは、孔12dを上部に向かって開拡して形成し、毛束20を固定する底部20dもこの孔12dと嵌合する形状に作成している。上記のように構成した底部20b、20c、20dは孔12b、12c、12dに嵌合してあるいは螺合して固定するのである。
【0018】図11に示すものは、ヘッド10の表面に枠体52を形成すると共に、穴12を形成したブロック51を別体のパーツとして形成する。そして上記枠体52内にブロック51を嵌合した後、ブロック51の穴12に毛束20を固定する。もちろんブロック51の穴12には予め毛束20を植毛しておいても良い。この場合、ブロック51を嵌合しない枠体内は非植毛エリア53となる。
【0019】図12に示すものは、ヘッド10の表面に平行な枠体62を形成すると共に穴12を任意の位置に形成した長尺状のブロック61を別体のパーツとして形成する。そして、上記枠体62、62の間にブロック61を嵌合する。その後ブロック61の穴12に毛束20を固定する。もちろんブロック61の穴12には予め毛束20を植毛していおいても良い。また、この場合、ブロック61を嵌合しない枠体は非植毛エリア63となるが、穴12の位置や個数によっては、ブロック61上にも予め植毛エリアと非植毛エリア63が設けられている場合もある。そして、上記実施形態で説明したヘッド10、10aは、通常の歯ブラシはもとより電動超音波ヘッドにも使用できる。
【0020】図13に示すものは、ヘッド10に植毛された毛束20に代えて、スポンジ様の清掃部材としての直方体状のスポンジ体90を構成したものである。この例によれば、スポンジ体90の表面が歯及び歯ぐきに面接触の状態で当るため、毛束90の場合に比べ刺激が少なく歯及び歯ぐきを傷つける度合いが少なくなると共に、より接触面積が増大することにより効率的である。
【0021】上記スポンジ様の清掃部材とは、清掃あるいはマッサージ効果を目的とした部材をいう。そして、弾性あるいは非弾性の高分子材料等の人工材料、あるいは自然物を用いて作製され、多数の小孔を有するスポンジ体、あるいはシリコン等の材料に切り込みを入れて細かい線状体の集合を形成し一塊と見えるようにしたものである。このような清掃部材は、歯に適切な圧力で接触するため必要以上の刺激がかからず、かつ柔軟な素材のため口腔内の細部まで到達できるのである。
【0022】図14に示すものもスポンジ様の清掃部材の一例であり、上述のように上記スポンジ体90に切りこみを入れて、スポンジ体90を適当な間隔で分け、多数のスポンジ束901の集合91としたものである。これによれば、各々のスポンジ束901、901・・が、歯や歯ぐきの形状や凹凸に対応して、より的確に追随でき、清掃効果を上げるものである。
【0023】図15に示すものは、ヘッド10に、植毛された毛束90に代えて細い繊維を密集して植設し、密集体92を構成したものである。この例によれば、密集体92の表面は細い繊維が隙間なく密集しているため、歯及び歯ぐきに面接触の状態で当るり、毛束90の場合に比べ刺激が少なく歯及び歯ぐきを傷つける度合いが少なくなる。上記密集体92は、極細の繊維をヘッド10の上面に密集して植設してもよく、またヘッド10の上面に直方体状の材質を固定し、これを上方から切りこみを入れて繊維の密集状態とすることもできる。
【0024】次に、図16及び図17に基づいて上記スポンジ体90のヘッド10への取り付けについて説明する。図16は、予めヘッド10に形成した穴12に毛束20を固定する方法を示している。この実施例は上記図10(a)及び図10(b)に示した例と比べ、毛束20をスポンジ体93、94に置き換えた以外は同様であるので説明を省略する。さらに、図14で示したようにスポンジ体90を適当な間隔で分け多数のスポンジ束901の集合91としたものや、図15で示したようにスポンジ体90を適当な間隔で分け多数のスポンジ束901の集合91としたものも、上記と同様な方法でヘッド10へ取り付けることができる。
【0025】以上のように上記各実施形態記載の歯ブラシによれば、左きき、右きき等の各個人の個性、歯牙の欠損の有無を考慮し、かつ1本の歯ブラシのみでの清掃力向上、かつ歯ブラシによる弊害を除去することができる。すなわち清掃ポイントとして、歯頚部ポケット、最遠心部、隣接部が存在する。これとは逆に自浄作用は、噛合面、各軸面に作用しやすい。本来、口腔内清掃においては小さな集束ブラシですみずみまで磨くこともできるが、それには多大な時間がかかり効率も悪い。これらの観点から、本実施形態では、その植毛密度の差、非植毛エリアの存在により歯ブラシの安定が図れ清掃部への毛先の到達が達成できるから、目的部位別に選択植毛により1本の歯ブラシで対応できる。本実施形態の歯ブラシのヘッドを、特許第3051120号に記載したような複数の部分ヘッドで構成すれば、一つのヘッドに作用集束部位、ヘッド安定部位、清掃部位と三つの部位あるいはそれ以上の機能部位を設けることができ、1本の歯ブラシで口腔内環境の整備が可能となるのである。
【0026】さらに歯牙への安定を目的としヘッドの中央に非植毛エリアを設けることにより、加わる力により全面植毛に比べ弱い力で安定が可能となる。このことにより過度の力の分散を図ると共に、作用集束部位の歯牙への到達がさらに深くなるのである。
【0027】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、歯ブラシの毛束の位置、大きさ、数量、あるいは毛先の種類、太さ等を使用者の口腔内の状態に合わせて自由に選択、交換することができるため、口腔内の清掃をすべて1本のブラシで済ますことができるのである。さらに同一製品で、各個人に対して調節可能であり、かつ単一種類の毛によっても効果の変化、力具合の調整、目的別エリアを作り、使い分けることが可能となり、材料の無駄を省くと共にコストダウンが図れる。また、ヘッドの歯の清掃部分として、上面に設けたスポンジ体や細い繊維を密集して植設したものを用いた場合は、歯及び歯ぐきの損傷を効果的に防止できると共にマッサージ効果も有するのである。
【出願人】 【識別番号】397046490
【氏名又は名称】青山 芳博
【出願日】 平成14年5月31日(2002.5.31)
【代理人】 【識別番号】100083507
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 二郎
【公開番号】 特開2003−289944(P2003−289944A)
【公開日】 平成15年10月14日(2003.10.14)
【出願番号】 特願2002−159631(P2002−159631)