| 【発明の名称】 |
歯ブラシ |
| 【発明者】 |
【氏名】久保 充幸 【住所又は居所】東京都墨田区文花2−1−3 花王株式会社研究所内
|
| 【要約】 |
【課題】植毛台の先端部分のコシの強い毛束によって奥歯を効果的に磨くことができると共に、奥歯の奥まった部分についても効果的に刷掃を行うことを可能にする歯ブラシを提供する。
【解決手段】複数本のブリッスル11を束ねてなる毛束12a,12b,12cが植毛台14に植設されている歯ブラシ10において、植毛台14は段差部13によって先端側上段部14aと後端側下段部14bとに区画されており、先端側上段部14aに植設される毛束群16aを構成する毛束12a,12bは、植毛台14の最外周部分に配置される周縁毛束12aの毛丈が、これらの内側に配置される内側毛束12bの毛丈よりも0.2〜1.0mm高くなっている。また後端側下段部14bに植設される毛束12cの先端高さは、先端側上段部14aに植設される内側毛束12bの先端高さと同等となっている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数本のブリッスルを束ねてなる毛束が植毛台に複数植設されている歯ブラシにおいて、前記植毛台は、前記歯ブラシの長手方向と垂直な方向に延設する段差部によって先端側上段部と後端側下段部とに区画されており、前記先端側上段部に植設される毛束群を構成する複数の毛束は、植毛台の周縁部に近接する最外周部分に配置される周縁毛束の毛丈が、これらの内側に配置される内側毛束の毛丈よりも0.2〜1.0mm高くなっている歯ブラシ。 【請求項2】 前記後端側下段部に植設される毛束群を構成する複数の毛束の先端高さは、前記先端側上段部に植設される内側毛束の先端高さと同等となっている請求項1記載の歯ブラシ。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、複数本のブリッスルを束ねてなる毛束が植毛台に複数植設されている歯ブラシに関する。 【0002】 【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】歯ブラシは、複数本のブリッスルを束ねてなる毛束を、例えば植毛台に設けられた複数の植毛穴に平線を打ち込んだり熱で融着させる方法等によって植設固定することにより形成されるものである。また、歯ブラシは、歯面部、歯間部、歯頸部等の歯の部位や、前歯、奥歯等の歯の種類に応じた適切な刷掃を効率良く行うことができるように、毛束の配置やブリッスルの毛先の形状等に様々な工夫がなされている。 【0003】奥歯を効率良く磨けるようにするには、特に奥歯の刷掃に寄与する植毛台の先端部分に植設される毛束を、コシが強く硬いものとすることが効果的である。植毛台の先端部分の毛束のコシを強くするには、例えば植毛台の先端部分の高さを一段高くして、この先端側上段部に低い毛丈でを毛束を植設することにより、当該毛丈の低い毛束によって硬い感触が得られるようにする方法が知られている。 【0004】しかしながら、このような先端部分の毛束のコシを強くした従来の歯ブラシによれば、奥歯の歯面を効果的に磨くことができる一方で、奥歯同士の歯間部や奥歯の咬合面の溝等の奥まった部分については、硬い感触の先端部分で十分な刷掃を行うことが困難である。 【0005】本発明は、植毛台の先端部分のコシの強い毛束によって奥歯を効果的に磨くことができると共に、奥歯の奥まった部分についても効果的に刷掃を行うことを可能にする歯ブラシを提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は、複数本のブリッスルを束ねてなる毛束が植毛台に複数植設されている歯ブラシにおいて、前記植毛台は、前記歯ブラシの長手方向と垂直な方向に延設する段差部によって先端側上段部と後端側下段部とに区画されており、前記先端側上段部に植設される毛束群を構成する複数の毛束は、植毛台の周縁部に近接する最外周部分に配置される周縁毛束の毛丈が、これらの内側に配置される内側毛束の毛丈よりも0.2〜1.0mm高くなっている歯ブラシを提供することにより、上記目的を達成したものである。 【0007】また、本発明の歯ブラシは、前記後端側下段部に植設される毛束群を構成する複数の毛束の先端高さを、前記先端側上段部に植設される内側毛束の先端高さと同等とすることが好ましい。 【0008】ここで、後端側下段部に植設される毛束の先端高さを、内側毛束の先端高さと「同等とする」とは、一般に、一つの毛束において複数本のブリッスルの先端高さを均一に揃えることが困難であることから、各毛束を構成する複数本のブリッスルの先端高さの平均が同等であることを意味し、また「同等」には、同一であることの他、歯ブラシにおける技術常識において実質的に同じ高さとされる程度の誤差を含む趣旨である。また、先端側上段部に植設される毛束群において、周縁毛束の毛丈を内側毛束の毛丈よりも0.2〜1.0mm高くするとは、各毛束を構成する複数本のブリッスルの毛丈の平均にこのような差があることを意味し、歯ブラシにおける技術常識において実質的にこのような差があるとされる程度の誤差を含む趣旨である。 【0009】そして、本発明の歯ブラシによれば、段差部によって区画された植毛台の先端側上段部に植設される毛束群のうち、内側毛束は、段差部の高さ分だけその毛丈が低くなっているので、この内側毛束はコシが強く硬い毛束を形成して十分な掻き取り力を発揮し、効率良く奥歯の表面を刷掃することが可能になる。また先端側上段部に植設される毛束群のうち、内側毛束よりも毛丈が0.2〜1.0mm高くなった周縁毛束は、内側毛束で奥歯の表面を刷掃する際に奥歯を包み込むようにして磨くことを可能にすると共に、毛丈が高くなった分コシが弱くなって奥歯同士の歯間部や奥歯の咬合面の溝等の奥まった部分に入り込みやすくなり、これらの奥まった部分を十分に刷掃することが可能になる。 【0010】また、後端側下段部に植設される毛束群を構成する複数の毛束の先端高さを、先端側上段部に植設される内側毛束の先端高さと同等としておけば、同一の高さの面が大きくなることよって、特に奥歯に対してさらに安定した状態で刷掃を行うことが可能になる。また、奥歯だけでなく前歯の歯面を磨くときも安定して刷掃することが可能になる。 【0011】 【発明の実施の形態】本発明の好ましい実施形態について説明する。本発明の一実施形態に係る歯ブラシ10は、図1及び図2に示すように、把持部(図示せず)と植毛台14とこれらを連結する首部15とからなる歯ブラシ本体の植毛台14に形成した複数の植毛穴17a,17bに、複数本のブリッスル11を束ねてなる毛束(タフト)12a,12b,12cを各々植毛(植設)することによって構成される。 【0012】そして、本実施形態の歯ブラシ10によれば、植毛台14は、歯ブラシ10の長手方向Xと垂直な方向に延設する段差部13によって先端側上段部14aと後端側下段部14bとに区画されており、厚さが例えば5.4mmの先端側上段部14aに植設される先端側毛束群16aを構成する複数の毛束12a,12bは、植毛台14の周縁部に近接する最外周部分に配置される周縁毛束12aの毛丈が、これらの内側に配置される内側毛束12bの毛丈よりも0.2〜1.0mm高くなっている。 【0013】また、本実施形態によれば、厚さが例えば4.4mmの後端側下段部14bに植設される後端側毛束群16bを構成する複数の後方毛束12cの先端高さは、先端側上段部14aに植設される内側毛束12bの先端高さと同等となっている。 【0014】歯ブラシ本体は、例えばポリプロピレン、ABS樹脂等の合成樹脂からなり、本実施形態によれば、その植毛部14の平坦な表面には、先端側上段部14aに11箇所の植毛穴17aが、後端側下段部14bに12箇所の植毛穴17bが、縦横に整列配置されて各々開口形成されている。各植毛穴17a,17bは直径が1.4〜2.0mm程度の円形断面を有し、隣接する植毛穴17a,17b間の間隔が0.6〜1.2mm程度となるように略均等に分散して植毛台14に配設されている。また各植毛穴17a,17bは2.0〜4.0mm程度の深さを有し、各植毛穴17a,17bには、毛束12a,12b,12cが例えば平線を打ち込む方法や熱で融着させる方法等によって植設される。 【0015】各毛束12a,12b,12cを構成するブリッスル11は、ナイロン等の合成樹脂や、豚毛などの天然素材からなる例えば0.2mm(8ミル)の太さを有するフィラメント材であって、これを例えば十数本〜数十本束ねることによって毛束12a,12b,12cが形成される。また本実施形態によれば、各ブリッスル11の先端の毛先は球状に加工されている。 【0016】そして、本実施形態によれば、植毛台14は、例えば0.5〜3.0mm程度、好ましくは0.7〜1.2mm程度の高さの段差部13によって(本実施形態では1.0mm)、先端側上段部14aと後端側下段部14bとに区画されており、先端側上段部14aに植設される先端側毛束群16aは周縁毛束12aと内側毛束12bによって構成され、後端側下段部14bに植設される後端側毛束群16bは後方毛束12cによって構成されている。 【0017】先端側毛束群16aを構成する周縁毛束12aは、植毛台の周縁部に近接する最外周部分に配置される毛束であって、本実施形態によれば、7箇所に設けられている。また周縁毛束12aは、例えば7.5〜11.0mm程度、好ましくは8.5〜10.0mm程度の毛丈で(本実施形態では9.0mm)植設されている。 【0018】また、内側毛束12bは、これらの周縁毛束12aの内側に配置される毛束であって、本実施形態によれば、4箇所に設けられている。また内側毛束12bは、例えば7.0〜10.5mm程度、好ましくは8.0〜9.0mm程度の毛丈で(本実施形態では8.5mm)植設されている。そして、周縁毛束12aの毛丈は内側毛束12bの毛丈よりも高くなっていて、図3に示すように、これらの間に0.2〜1.0mm程度の高さの差hが保持されることになる(本実施形態では0.5mm)。 【0019】なお、本実施形態によれば、周縁毛束12aの毛丈は内側毛束12bの毛丈よりも0.2〜1.0mm高くする必要がある。高さの差hが0.2mmよりも小さいと周縁毛束12aと内側毛束12bとの段差による効果が充分に得られなくなり、高さの差hが1.0mmよりも大きいと、外側の毛がたわみ過ぎることになって著しく使用感を損ねるという問題を生じることになる。 【0020】後端側毛束群16bを構成する後方毛束12cは、一段低くなった後端側下段部14bに配置される毛束であって、本実施形態によれば、12箇所に設けられている。また後方毛束12cは、例えば7.5〜12.5mm程度、好ましくは8.5〜10.0mm程度の毛丈で(本実施形態では9.5mm)植設され、これによってその先端高さが、先端側毛束群16aの内側毛束12bの先端高さと同等となっている。 【0021】そして、上記構成を有する本実施形態の歯ブラシ10によれば、植毛台14の先端部分のコシの強い毛束によって奥歯を効果的に磨くことができると共に、奥歯の奥まった部分についても効果的に刷掃を行うことが可能になる。すなわち、本実施形態によれば、段差部13によって区画された植毛台14の先端側上段部14aに植設される先端側毛束群16aのうち、内側毛束12bは、段差部13の高さ分だけその毛丈が低くなっているので、この内側毛束12bはコシが強く硬い毛束を形成して十分な掻き取り力を発揮し、効率良く奥歯の表面を刷掃することが可能になる。また先端側毛束群16bのうち、内側毛束12bよりも毛丈が0.2〜1.0mm高くなった周縁毛束12aは、内側毛束12bで奥歯の表面を刷掃する際に奥歯を包み込むようにして磨くことを可能にすると共に、毛丈が高くなった分コシが弱くなって奥歯同士の歯間部や奥歯の咬合面の溝等の奥まった部分に入り込みやすくなり、これらの奥まった部分を十分に刷掃することが可能になる。 【0022】また、本実施形態によれば、後端側下段部14bに植設される後方毛束12cの先端高さを、先端側上段部に植設される内側毛束12bの先端高さと同等としているので、同一の高さの面が大きくなることよって、特に奥歯に対してさらに安定した状態で刷掃を行うことが可能になる。 【0023】なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、後端側下段部に植設される毛束の先端高さを先端側上段部に植設される内側毛束の先端高さと同等とする必要は必ずしもなく、また後端側下段部に植設される毛束群を2種以上の毛束によって構成しても良い。さらに、植毛台に植設される毛束の数や配設ピッチ、毛先の形状等は、上記実施形態のものに限定されることなく適宜設計することができる。 【0024】 【実施例】以下、実施例及び比較例により、本発明の歯ブラシをさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 【0025】〔実施例〕上記実施形態の歯ブラシ10と同様の構成を有する歯ブラシを実施例の歯ブラシとして、「奥歯を包み込むように磨ける感じ」及び「奥歯の汚れ落とし効果」について後述の方法に従って評価した。評価結果を表1及び図4に示す。なお、各毛束12a,12b,12cを構成するブリッスル11として8ミルの太さのものを使用し、周縁毛束12aの毛丈を9.0mm、内側毛束12bの毛丈を8.5mm、後方毛束12cの毛丈を9.5mmとした。また先端側上段部14aと後端側下段部14bとの段差を1.0mmとした。 【0026】〔比較例1,2〕先端側上段部に植設された全ての毛束が同じ高さで植設されていること以外は、上記実施形態の歯ブラシ10と同様の構成を有する歯ブラシを比較例1の歯ブラシとした。なお、各毛束を構成するブリッスルとして8ミルの太さのものを使用し、先端側上段部に植設される毛束の毛丈を8.5mm、後端側下段部に植設される毛束の毛丈を9.5mmとした。また先端側上段部と後端側下段部との段差を1.0mmとした。 【0027】植毛台に段差部を設けることなく先端側と後端側とが同じ高さとなっていること、及び全ての毛束が同じ高さで植毛台に植設されていること以外は、上記実施形態の歯ブラシ10と同様の構成を有する歯ブラシを比較例2の歯ブラシとした。なお、各毛束を構成するブリッスルとして8ミルの太さのものを使用し、また毛束の毛丈を9.5mmとした。 【0028】比較例1及び比較例2の歯ブラシについて、後述の方法に従って「奥歯を包み込むように磨ける感じ」及び「奥歯の汚れ落とし効果」を各々評価した。評価結果を表1及び図4に示す。 【0029】〔奥歯を包み込むように磨ける感じの評価〕7名のパネラーに、実施例と比較例1,2の各歯ブラシを用いて磨き比べてもらい、奥歯を包み込むように磨ける感じについて順位をつけてもらった。一番磨ける歯ブラシを3点、次を2点、一番磨けない歯ブラシを1点として評価した。評価結果を表1に示す。 【0030】 【表1】
【0031】〔奥歯の汚れ落とし効果〕4名のパネラーに、実施例と比較例1,2の各歯ブラシを用いて奥歯を磨いてもらい、各歯ブラシによる汚れ落とし効果について測定を行った。まず、各パネラーの口腔内の歯石の除去と歯垢の除去を行い、初期状態とした。各歯ブラシを各パネラーに1週間使用して貰い、慣れた後に試験を行った。なお、試験前日の午後より一切の口腔内の清掃を停止し、歯垢を蓄積させた。各パネラーの第一大臼歯、第二大臼歯(計4本)を被験歯として歯垢染色液で染め、頬側、舌側の歯面をそれぞれ5分割して、0.5mm単位に目盛りをつけた歯科用探針で歯垢の高さを0.5mm単位で各分割部位ごとに計測して歯垢量とした。刷掃前の歯垢量と刷掃後の歯垢量の合計を測定し、以下の式により歯垢除去量を算定して奥歯の汚れ落とし効果を評価した。評価結果を図4に示す。なお、図4では、比較例2の歯ブラシを用いた場合の歯垢除去量を100とした相対値で、実施例及び比較例1の歯垢除去量を表示している。 歯垢除去量=(歯面ごとの刷掃前の歯垢量の和)−(同刷掃後の歯垢量の和) 【0032】表1及び図4の評価結果によれば、本発明に係る実施例の歯ブラシは、「奥歯を包み込むように磨ける感じ」及び「奥歯の汚れ落とし効果」のいずれについても、極めて高い評価が得られることが判明する。 【0033】 【発明の効果】本発明の歯ブラシによれば、植毛台の先端部分のコシの強い毛束によって奥歯を効果的に磨くことができると共に、奥歯の奥まった部分についても効果的に刷掃を行うことができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000000918 【氏名又は名称】花王株式会社 【住所又は居所】東京都中央区日本橋茅場町1丁目14番10号
|
| 【出願日】 |
平成14年4月4日(2002.4.4) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100076532 【弁理士】 【氏名又は名称】羽鳥 修 (外2名)
|
| 【公開番号】 |
特開2003−289943(P2003−289943A) |
| 【公開日】 |
平成15年10月14日(2003.10.14) |
| 【出願番号】 |
特願2002−101970(P2002−101970) |
|