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【発明の名称】 歯間ブラシ用ワイヤおよび歯間ブラシ
【発明者】 【氏名】足立 まゆみ

【要約】 【課題】曲げ強度及び剛性を高め、また、これらを低下することなく細径化を図って狭い歯間への挿通性と疲労強度を改善する。

【解決手段】多本数のフィラメント2を挟み込んで、撚り合わせて固定した挟着体Kの二つ折りワイヤ3として、幅W、厚みTの断面トラック形状の偏平異形線を用いた。挟着体Kの根元部Kaにおける、直径Dの外接円の断面積に占めるワイヤの実質断面積比率が少なくとも55%以上としたので、挟着体の曲げ強度及び剛性を高くすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 多数本のフィラメントを備えたブラシ部と、上記ブラシ部を挟み込んで固定した二つ折りワイヤの撚線状の挟着体と、上記挟着体の根元部端部に固着したグリップ部とから成る歯間ブラシに用いるワイヤであって、上記ワイヤが偏平異形線であることを特徴とする歯間ブラシ用ワイヤ。
【請求項2】 挟着体の根元部の断面における外接円の面積に対するワイヤの実質断面積比率が少なくとも55%以上となる断面形状を有する請求項1に記載の歯間ブラシ用ワイヤ。
【請求項3】 偏平異形線の幅Wと厚みTの関係が、1.2T≦W≦2.7Tである請求項1に記載の歯間ブラシ用ワイヤ。
【請求項4】 断面形状が略トラック形状または略楕円形状である請求項1又は2に記載の歯間ブラシ用ワイヤ。
【請求項5】 多数本のフィラメントを備えたブラシ部と、上記ブラシ部を挟み込んで固定した二つ折りワイヤの撚線状の挟着体と、上記挟着体の根元部端部に固着したグリップ部とから成る歯間ブラシであって、請求項1乃至4のいずれかに記載のワイヤを、幅広側同士が対向するように二つ折りして用いたことを特徴とする歯間ブラシ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歯の隙間(以下、歯間という)に挿通して、通常の歯ブラシでは歯垢清掃が困難な歯間部を清掃するのに適した歯間ブラシ用ワイヤ及び歯間ブラシに関する。
【0002】
【従来の技術】この種の歯間ブラシ1は、一般的に、図7に示すように、撚線状の挟着体Kと、この挟着体Kに多数本のフィラメント2を直交方向に突出して挟着したブラシ部Bと、上記挟着体Kの根元部Kaの端部に固着したグリップ部Gとから成る。上記挟着体Kは、所定長のワイヤ(例えば、ステンレス鋼線)を二つ折りして撚り合わせたものであり、上記ブラシ部Bは合成繊維又は天然繊維からなる多数本のフィラメント2を挟着体Kとなる二つ折りしたワイヤ間に挟み込んで、ワイヤの捻じりによって固定したものである。
【0003】従来の歯間ブラシ11では、上記挟着体Kが、図8(a)、(b)に示すように、断面形状が真円のワイヤ13で構成されている。なお、図中12はブラシ部を構成するフィラメントである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、歯間ブラシは、狭い歯間にブラシ部を入れて、歯の両側部分に摺動して使用される。このため、使用時において、曲げ歪みや座屈歪みが挟着体Kに繰り返し加えられる。従って、歯間ブラシには、滑らかな挿通感は勿論のこと、挟着体が曲げ強度、剛性、及び疲労強度を具備することが要求される。また、近年、歯間ブラシを一般に歯間の狭い若年層の人にも普及するために、挟着体の細径化が要望されている。
【0005】しかるに、従来技術によるときは、ブラシ部Bが断面形状円形のワイヤからなる挟着体Kで挟着する構造であるから、次の問題がある。すなわち、外接円の断面積に対するワイヤの実質断面積比率が約50%であり、繰り返し曲げ歪みに対する疲労強度を高めることが困難であった。また、挟着体Kは、その根元部Kaにおける外接円の直径をD、ワイヤの線径をdとするとき、D=2dとなる。挟着体Kの細径化はワイヤの線径を細くすることにより可能である。しかし、線径を細くすると、曲げ強度や剛性がより一層低下して、挟着体が曲がったままになったり、使用中、ワイヤが疲労破断して、口中を怪我する危険性が高くなり、この種製品の安全性の点で好ましくなく、挟着体の細径化が困難であった。
【0006】よって、本発明は、より良い挿通感が期待でき、しかも曲げ強度及び剛性を高め、また、これらを低下することなく細径化を図って狭い歯間への挿通性と疲労強度を改善することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する為、本発明の歯間ブラシ用ワイヤは、多数本のフィラメントを備えたブラシ部と、上記ブラシ部を挟み込んで固定した二つ折りワイヤの撚線状の挟着体と、上記挟着体の根元部端部に固着したグリップ部とから成る歯間ブラシに用いるワイヤであって、上記ワイヤが偏平異形線であることを特徴とする。この手段によるときは、ワイヤが偏平異形線であるから、ワイヤの撚線である挟着体の外接円の断面積に占めるワイヤの実質断面積比率が大きくなる。そして、実質断面積比率が大きくなるほど挟着体の曲げ強度および剛性が高くなる。よって、所定の曲げ強度及び剛性を維持して、挟着体の直径の細径化が図れる。また、細径化した場合には、曲げ歪みを受けたときにワイヤ表面に生じる曲げ応力が減少するため、疲労強度も改善される。
【0008】この発明において、偏平異形線は、挟着体の根元部の断面における外接円の断面積に占めるワイヤの実質断面積比率が少なくとも55%以上となる断面形状とするのが好ましい。このように実質断面積比率を限定したものでは、従来技術に比べて、曲げ強度及び剛性がより一層大きくなり、挟着体の細径化が可能になる。
【0009】また、偏平異形線は、その幅をW、厚みをTとしたとき、1.2T≦W≦2.7Tの関係を満足するものが好ましい。というのは、この範囲を外れると、挟着体の外接円断面積に占めるワイヤの実質断面積比率が小さくなり、曲げ強度及び剛性が低下する傾向になるからである。
【0010】さらに、偏平異形線の断面形状として様々なものが考えられるが、主として加工性の点を考慮すると、断面形状が略トラック形状あるいは略楕円形状であることが好適である。ここで略トラック形状とは、間隔をおいて平行に向かい合う2本の直線と、2本の直線の端部同士につながる2つの円弧とによって形成される形状を意味する。このようにすると、丸断面のワイヤを上下方向から圧延することにより成形でき、製造コストが低減される。また、略トラック形状の場合は、挟着体が面接触する構造になり、幅広面間に多数本のフィラメントが確固に挟持される。
【0011】さらに、本発明の歯間ブラシは、多数本のフィラメントを備えたブラシ部と、上記ブラシ部を挟み込んで固定した二つ折りワイヤの撚線状の挟着体と、上記挟着体の根元部端部に固着したグリップ部とから成る歯間ブラシであって、上述したワイヤを、幅広側同士が対向するように二つ折りして用いて成る。これにより、従来の同一外接円径の歯間ブラシに比して、曲げ強度や剛性が顕著に強い歯間ブラシとすることができる。また、従来の歯間ブラシと同等の曲げ強度や剛性を有しながら、通過径の細径化を達成することができる。さらに、実質断面積比率が大きくなるから、挟着体表面の凹凸が小さくなって、より良い挿痛感が期待できる。
【0012】
【発明の実施の形態】発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0013】図1(a)、(b)において、挟着体Kは、幅Wと厚みTがW=2.5Tの関係式を満足するトラック断面形状のワイヤ3で構成したものであり、根元部Kaの外接円の断面積に占めるワイヤの実質断面積比率は約70%である。また、図2において、挟着体Kは、幅Wと厚みTがW=1.7Tの関係を満足する楕円断面形状のワイヤ4で構成したものであり、根元部Kaの外接円の断面積に占めるワイヤの実質断面積比率は約65%である。上記実施の形態によるときは、上記実質断面積比率が従来技術の約50%に比べて格段に大きくなる。よって、外接円の直径Dを小さくしても、十分な曲げ強度と剛性が維持される。また、図1に示すトラック断面形状の場合は、フィラメント2を挟持するワイヤ3、3の接触面が大きくなり、複数本のフィラメント2は挟着体Kによって確固に挟持される。
【0014】上記挟着体Kは、例えば、図1に示すトラック断面形状を例にとれば、図3に示すように、ワイヤ3を幅広側同士が対向するように二つ折りして、一方のワイヤ3の幅広面に多数本のフィラメント2を並べ、幅広面同士を密着させて、ワイヤ3,3を撚り合わせることにより製造される。この挟着体Kは、図7に示すように、ワイヤと直交方向に突出した複数のフィラメント群を有するブラシ部Bを備えた構成に成り、上記挟着体Kの根元部Kaの端部を樹脂製のグリップ部Gに埋め込んで固着して、所望の歯間ブラシを製造することができる。
【0015】図4〜図6に示す実施の形態は、断面形状が異なる偏平異形線からなるワイヤで夫々挟着体Kを構成したものである。すなわち、図4が台形断面のワイヤ5を用いたもの、図5が半円断面のワイヤ6を用いたもの、図6が紡錘形断面のワイヤ7を用いたものである。また、上記各ワイヤ5,6,7は、幅Wと厚みTが1.2T≦W≦2.7Tの関係式を満足するようにした。これらの実施の形態によるときは、根元部Kaの外接円の断面積に占めるワイヤの実質断面積比率を少なくとも55%以上にすることができる。
【0016】これらの場合において、ワイヤの材質としては、通常の歯間ブラシに用いる鉄系、Ni系の金属線材(例えば、ステンレス線材)やCo基合金線材を使用することができる。また、ワイヤの寸法としては、通常は丸線換算でφ0.2〜0.35mmの範囲のものを使用する。
【0017】
【発明の効果】本発明によれば、ワイヤの撚線である挟着体の外接円の断面積に占めるワイヤの実質断面積比率を大きくすることができ、挟着体の曲げ強度及び剛性を高くすることができる。また、曲げ強度及び剛性を一定にした場合、従来技術の歯間ブラシに用いられている丸線ワイヤの挟着体に比べて、挟着体の直径を15%から30%程度小さくすることができ、細径化が図れて、狭い歯間への挿通性と疲労強度を改善することができる。そして、このワイヤを用いた歯間ブラシは、従来の歯間ブラシに比べ、よりスムーズな挿通感を期待することができる。さらに、ブラシ部を構成する多数本のフィラメントがワイヤの幅広面で挟持され、フィラメントの挟持力を大幅に向上することができ、フィラメントの脱落事故を防止することができる。
【出願人】 【識別番号】394010506
【氏名又は名称】金井 宏彰
【出願日】 平成14年3月12日(2002.3.12)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−169717(P2003−169717A)
【公開日】 平成15年6月17日(2003.6.17)
【出願番号】 特願2002−66808(P2002−66808)