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【発明の名称】 歯ブラシ
【発明者】 【氏名】久保 充幸
【住所又は居所】東京都墨田区文花2−1−3 花王株式会社研究所内

【要約】 【課題】透明感によるの意匠性の向上を容易に図ることができると共に、薬品類に対する抵抗性や繰り返し応力に対する耐疲労性に優れた歯ブラシを提供する。

【解決手段】複数の毛束14が植毛される植毛部11と、手で把持するハンドル部12と、植毛部11とハンドル部12とを連結する首部13とからなる歯ブラシ10において、植毛部11、首部13、及びハンドル部12の基台15は不透明樹脂16を用いて一体として成形されており、且つハンドル部12の基台15には、光透過率が70%以上の透明樹脂17が埋め込まれてハンドル部12の表面に表出している。不透明樹脂は、例えばポリプロピレン等のポリオレフィン系の樹脂であり、透明樹脂17は、例えばポリエチレンテレフタレート等の飽和ポリエステル系の樹脂である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の毛束が植毛される植毛部と、手で把持するハンドル部と、植毛部とハンドル部とを連結する首部とからなる歯ブラシにおいて、前記植毛部、前記首部、及び前記ハンドル部の基台は樹脂を用いて一体として成形されており、且つ前記ハンドル部の基台には、光透過率が70%以上の樹脂が埋め込まれて前記ハンドル部の表面に表出している歯ブラシ。
【請求項2】 前記光透過率が70%以上の樹脂は、前記ハンドル部の表裏を貫通して前記基台に形成された開口穴を充填するようにして、前記基台に埋め込まれている請求項1記載の歯ブラシ。
【請求項3】 前記植毛部、前記首部、及び前記ハンドル部の基台を一体成形する樹脂は、ポリオレフィン系の樹脂である請求項1又は2に記載の歯ブラシ。
【請求項4】 前記光透過率が70%以上の樹脂は、飽和ポリエステル系の樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載の歯ブラシ。
【請求項5】 前記光透過率が70%以上の樹脂は、ポリスチレン系又はポリオレフィン系のエラストマーである請求項1〜3のいずれかに記載の歯ブラシ。
【請求項6】 前記ハンドル部の基台には、前記光透過率が70%以上の樹脂と重ならない位置に光線透過率を問わないエラストマーが取り付けられている請求項1〜5のいずれかに記載の歯ブラシ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の毛束が植毛される植毛部と、手で把持するハンドル部と、ハンドル部と植毛部とを連結する首部とからなる歯ブラシに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】歯ブラシは、複数の毛束が植毛される植毛部と、手で把持するハンドル部と、ハンドル部と植毛部とを連結する首部とによって構成されている。また歯ブラシは、樹脂を用いて植毛部と首部とハンドル部とを一体として成形することが、強度や成形性等の点で好ましい。一方、例えば植毛部の材料としては、毛束を植毛する際に打ち込まれる平線によって割れが生じるのを回避でき、且つアルコールや歯磨剤に含まれる香料等の薬品類の影響を受けず強度の低下を生じない物性を備える材料を選定する必要がある。また例えば首部の材料としては、歯磨き時に植毛部を押し付ける際のモーメント力による曲げ応力を繰り返し受けても、疲労による破損を生じない物性を備える材料を選定する必要がある。
【0003】したがって、従来の歯ブラシは、これらの条件を満足できるように、ポリプロピレン等のポリオレフィン系の樹脂を用いて、植毛部と首部とハンドル部とを一体として成形していたが、これらの樹脂は不透明な樹脂であることから、意匠性が低く、歯ブラシに趣に富んだ美観を付与することが困難だった。また、意匠性を向上させるべく、ハンドル部に印刷等によって絵や模様を施したり、着色されたエラストマーを把持性の向上を兼ねてハンドル部に取り付けた歯ブラシも見受けられるが、これらによっても透明感は得られないため、意匠性の向上には限界があった。
【0004】これに対し、飽和ポリエステル、アクリロニトリルスチレン樹脂、セルロースアセテート等の透明性の高い樹脂を用いて植毛部と首部とハンドル部とを一体として成形した歯ブラシが市販されている。このような歯ブラシは、透明な樹脂を用いていることにより、その透明感による意匠性に優れる一方で、これらの樹脂は繰り返し応力に弱く、使用中に首部が折れやすい。また、アルコールや歯磨剤に含まれる香料等の薬品類の影響を受けてその強度が低下しやすいことも知られており、使用中に歯ブラシの植毛部が割れてしまう場合がある。
【0005】本発明は、透明感による意匠性の向上を容易に図ることができると共に、薬品類に対する抵抗性や繰り返し応力に対する耐疲労性に優れた歯ブラシを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、複数の毛束が植毛される植毛部と、手で把持するハンドル部と、植毛部とハンドル部とを連結する首部とからなる歯ブラシにおいて、前記植毛部、前記首部、及び前記ハンドル部の基台は樹脂を用いて一体として成形されており、且つ前記ハンドル部の基台には、光透過率(JIS K 7105に規定された光線透過率試験方法によって測定された光透過率)が70%以上の樹脂が埋め込まれて前記ハンドル部の表面に表出している歯ブラシを提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0007】上記記載におけるハンドル部の基台は、植毛部及び首部と同じ樹脂を用いてこれらと一体として成形され、ハンドル部の主体となって強度を発揮する部分であって、歯ブラシの首部から少なくとも手で把持する長さの全長に亘って連続して設けられる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の好ましい第1実施形態に係る歯ブラシ10は、図1(a)及び(b)に示すように、複数の毛束14が植毛される植毛部11と、手で把持するハンドル部12と、植毛部11とハンドル部12とを連結する首部13とからなる。そして、植毛部11、首部13、及びハンドル部12の基台15は、例えば光透過率が30%以下の不透明樹脂16を用いて一体として成形されており、且つハンドル部12の基台15には、光透過率が70%以上の透明性の高い透明樹脂17(半透明の樹脂も含む。)が埋め込まれて、ハンドル部12の表面に表出している。
【0009】また、本第1実施形態によれば、ハンドル部12の基台15には、ハンドル部12の表裏を貫通して形成された開口穴18が設けられており、この開口穴18を充填するようにして、上記光透過率が70%以上の透明樹脂17が基台15に埋め込まれている。
【0010】植毛台11は、複数のブリッスルを束ねて構成される毛束14が複数植毛される部分であって、本第1実施形態によれば、植毛台11に形成された複数の植毛穴に、例えば平線を打ち込む方法によって、毛束14が各々植毛されている。また、植毛台11は、歯磨き時に歯磨剤が毛束14に塗布され、口腔内に差し込まれて刷掃を行う部分であって、歯磨剤に含まれる香料等の薬品類に対する抵抗性を備えている必要がある。
【0011】ハンドル部12は、細長い長円形の平断面形状を有する開口穴18を内側に備え、環状に形成された基台15と、開口穴18に埋め込まれる透明樹脂17とからなり、基台15は、透明樹脂17の周囲を囲むようにして歯ブラシ10の首部13からハンドル部12の全長に亘って連続して設けられ、ハンドル部12の主体となって当該ハンドル部12の強度を発揮する部分である。
【0012】首部13は、植毛部11とハンドル部12との間に介在し、歯磨き時に植毛部11を歯面等に押し付ける際の荷重を、ハンドル部12によって支持させるべく当該ハンドル部12に伝達するための部分であって、モーメント力による曲げ応力を繰り返し受けても、疲労による破損を生じない耐疲労性を備えている必要がある。
【0013】本第1実施形態によれば、これらの抵抗性や耐疲労性等の物性及び効率の良い成形性等を鑑みて、植毛台11、首部13、及びハンドル部12の基台15は、不透明樹脂16を用いて一体として成形される。ここで、不透明樹脂16としては、例えば、安価で汎用的な樹脂である、ポリプロピレン等のポリオレフィン系の樹脂を用いることが好ましいが、耐薬品性や繰り返しの曲げに対する耐疲労性を備えていれば材質は問わない。また、一部のポリプロピレンや低密度のポリエチレンのように若干の透明性を帯びていても前述の物性を持っていればかまわない。
【0014】また、本第1実施形態によれば、ハンドル部12の開口穴18を充填するように埋め込まれる光透過率が70%以上の透明樹脂17としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の飽和ポリエステル系の樹脂やスチレン−ブタジエン共重合体ゴム、プロピレンゴム等のポリスチレン系又はポリオレフィン系のエラストマーを用いることが好ましい。またアクリロニトリルスチレン樹脂、セルロースアセテート、メタクリル樹脂等を用いることもできる。
【0015】なお、光透過率が70%以上の透明樹脂17は、意匠性を向上させるため、適宜の色に着色して用いることが好ましい。また、透明樹脂17として、着色前における光透過率が85%以上の樹脂を用いることが、透明感による意匠性の向上を効果的に高めるために特に好ましい。また、埋め込まれる透明樹脂17の厚みについては、光線透過率85%以上の樹脂であれば5mm 〜15mm程度が好ましい。5mm 以下であるとハンドルの剛性が低くなり、15mm以上であると透明性が劣ると共に成型も難しくなるばかりか、使用する際に持ちにくくなる。光線透過率が75% 以上85% 未満の場合は厚みは5mm から10mmが好ましい。
【0016】本第1実施形態によれば、開口穴18を充填するようにして透明樹脂17をハンドル部12の基台15に埋め込む方法としては、例えば植毛部11及び首部13と共にハンドル部12の基台15を不透明樹脂16により成形した後、開口穴18に透明樹脂17をインサート成形によって成形して埋め込む方法を採用することができる。また開口穴18に相当する大きさ、形状に透明樹脂17を成形した後、透明樹脂17を基台15の内側に巻き込むようにしつつ、植毛部11、首部13、及びハンドル部12の基台15を不透明樹脂16により成形する方法を採用することもできる。後者の方法では、不透明樹脂16の硬化時の収縮を利用し、かしめるようにして透明樹脂17を埋め込むことにより、不透明樹脂16と透明樹脂17の接着性が悪い場合でも、開口穴18に透明樹脂17を隙間なく充填させて基台15と透明樹脂17とを強固に接着させることが可能になる。さらに、不透明樹脂16により一体成形された植毛部11、首部13、及びハンドル部12の基台15と、透明樹脂17とを別々に形成した後、これらを接着剤等を用いて組み付けることにより、透明樹脂17を基台15に埋め込む方法を採用することもできる。
【0017】そして、本第1実施形態の歯ブラシ10によれば、透明感による意匠性の向上を容易に図ることができると共に、薬品類に対する抵抗性や繰り返し応力に対する耐疲労性を容易に発揮することができる。すなわち、本第1実施形態によれば、ハンドル部12の基台15には、透明樹脂17が埋め込まれてハンドル部12の表面に表出しているので、この透明樹脂17の透明感によって、優れた意匠性が付与されると共に、植毛部11、首部13、及びハンドル部12の基台15は、不透明樹脂16を用いて一体として成形されているので、かかる不透明樹脂16によって、薬品類に対する十分な抵抗性や、繰り返し応力に対する十分な耐疲労性を備えることが可能になる。
【0018】図2(a)及び(b)は、本発明の第2実施形態に係る歯ブラシ20を示すものである。本第2実施形態によれば、植毛部11、首部13、及びハンドル部22の基台25は不透明樹脂16を用いて一体として成形されており、且つハンドル部22の基台25には、ハンドル部22の表裏を貫通して形成された開口穴28a,28bが2箇所に設けられており、これらの開口穴28a,28bを各々充填するようにして、異なる色に着色された光透過率が70%以上の透明樹脂27a,27bが基台25に埋め込まれている。
【0019】本発明の第2実施形態の歯ブラシ20によっても、上記第1実施形態の歯ブラシ10と同様の作用効果を奏すると共に、透明樹脂27a,27bが異なる色に着色されていることにより、さらに趣に富んだ美観を呈することになる。
【0020】図3(a)及び(b)は、本発明の第3実施形態に係る歯ブラシ30を示すものである。本第3実施形態によれば、植毛部11、首部13、及びハンドル部32の基台35は不透明樹脂16を用いて一体として成形されており、且つハンドル部32の基台35には、これの長手方向に沿って形成された一対の帯状溝38を充填するようにして、光透過率が70%以上の透明樹脂37が埋め込まれ、ハンドル部32の表面にストライプ状に表出している。
【0021】図4は、本発明の第4実施形態に係る歯ブラシ40を示すものである。本第3実施形態によれば、植毛部11、首部13、及びハンドル部42の基台45は不透明樹脂16を用いて一体として成形されており、且つハンドル部42の基台45には、ハート形の模様に形成された3箇所の穴48を充填するようにして光透過率が70%以上の透明樹脂47が埋め込まれ、ハンドル部42の表面にハート形の模様として表出している。
【0022】図5は、本発明の第5実施形態に係る歯ブラシ50を示すものである。本第5実施形態によれば、植毛部11、首部13、及びハンドル部52の基台55は不透明樹脂16を用いて一体として成形されており、且つハンドル部52の基台55には、光透過率が70%以上の透明樹脂57が埋め込まれてハンドル部52の表面に表出していると共に、基台55の一部には、透明樹脂57と重ならない位置に、光線透過率を問わないエラストマーとして、着色されたエラストマー59が例えば射出成形や接着剤等を介して取り付けられている。なお、エラストマー59としては、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、シリコンゴム等の他、上述のポリスチレン系又はポリオレフィン系のエラストマーを用いることもできる。
【0023】そして、第3,第4、第5実施形態の歯ブラシ30,40,50によっても、上記第1実施形態の歯ブラシ10と同様の作用効果を奏すると共に、特に第5実施形態の歯ブラシ50によれば、ハンドル部52の把持性をエラストマー59によって向上させることができると共に、着色されたエラストマー59と透明樹脂57とのハーモニーによって、さらに趣に富んだ美観を呈することになる。
【0024】なお、本発明は上記各実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、本発明の歯ブラシは、平線植毛によって毛束が植毛台に植毛されるものである必要は必ずしもなく、融着植毛等によって毛束が植毛される歯ブラシであっても良い。また植毛部、首部、及びハンドル部は、段差部を介して連続しているものである必要は必ずしもなく、例えば略同じような断面形状で一体成形されたものであっても良い。さらに、植毛部、首部、及びハンドル部の基台を一体成形する樹脂は、薬品類に対する抵抗性や繰り返し応力に対する耐疲労性を担保できる樹脂であれば、不透明樹脂である必要は必ずしもなく、透明性を帯びた樹脂等であってもよい。
【0025】
【発明の効果】本発明の歯ブラシによれば、透明感によるの意匠性の向上を容易に図ることができると共に、薬品類に対する抵抗性や繰り返し応力に対する耐疲労性に優れている。
【出願人】 【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋茅場町1丁目14番10号
【出願日】 平成13年11月28日(2001.11.28)
【代理人】 【識別番号】100076532
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 修 (外2名)
【公開番号】 特開2003−159121(P2003−159121A)
【公開日】 平成15年6月3日(2003.6.3)
【出願番号】 特願2001−362276(P2001−362276)