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【発明の名称】 回転ブラシの製造方法、回転ブラシ並びに歯ブラシ
【発明者】 【氏名】水本 洋行

【氏名】伊藤 嵩三

【氏名】東 敏文

【要約】 【課題】高密度の刷毛を効率よく形成可能な回転ブラシの製造方法、回転ブラシ並びにこれを用いた歯ブラシを提供する。

【解決手段】長尺繊維を短繊維状に切断して多数の短繊維からなる繊維束1を作成し、この繊維束1の長さ方向の一端側を固定治具2に固定し、繊維束1の他端側である自由端1aより繊維束1の略中心位置から周辺に向けて繊維束1を拡径可能な拡径治具3を移動させて繊維束1の自由端1a側を放射状に拡径するようにして平板状に成形すると共に、固定された繊維束1の一端側を融着して一体化する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 長尺繊維を短繊維状に切断して多数の短繊維からなる繊維束を作成し、この繊維束の長さ方向の一端側を固定治具に固定し、前記繊維束の他端側である自由端より前記繊維束の略中心位置から周辺に向けて前記繊維束を拡径可能な拡径治具を移動させて前記繊維束の自由端側を放射状に拡径するようにして平板状に成形すると共に、固定された前記繊維束の一端側を一体化する回転ブラシの製造方法。
【請求項2】 前記繊維束の一端側の一体化を融着により行うと共に、前記繊維束の固定端側の略中央位置を穿孔し、前記穿孔された孔に軸を通して軸支する請求項1の回転ブラシの製造方法。
【請求項3】 前記繊維束の自由端側を放射状に拡径して後、所定長さの径となるように前記繊維束の自由端側を縮径方向に切断する請求項1又は2の回転ブラシの製造方法。
【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1の回転ブラシの製造方法により製造される回転ブラシ。
【請求項5】 請求項4の回転ブラシを柄の先端に回転自在に装着した歯ブラシ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は回転ブラシの製造方法と回転ブラシに関し、詳しくは、歯ブラシ等に使用可能な回転ブラシの製造方法と、この製造方法により製造された回転ブラシ、並びにこの回転ブラシを用いた歯ブラシに関する。
【0002】
【従来の技術】歯に付着した歯垢を効果的に除去したり、歯茎をマッサージし易い歯ブラシとして、先端の毛状ブラシ(刷毛)部分を回転可能にしたものが古くから開発されている。例えば、歯ブラシの柄の一端側に回転ブラシを取り付けた歯ブラシ等である(実開昭59−41125号公報)。この種の歯ブラシは、把柄部分とは反対側の柄の先端に、毛を植設された回転子を軸支して、この回転子を歯列方向に回転可能にしている。つまり、回転子は、円柱状のロータの外周面に多数の毛を植設して構成されており、その中心に支軸を通して、支軸周りに回転自在とされている。そして、このような回転子を取り付けることにより、歯磨き操作を効果的なものにしようとするものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、回転子の芯部外周面に多数の毛を植設するのは容易ではなく、必ずしも生産性高く製造できるものではなかった。しかも、植設する毛の本数も限られたものであり、高密度に毛を効率よく植設することは困難であった。
【0004】そこで、本発明の目的は、上記従来技術の有する問題点に鑑みて、高密度の刷毛を効率よく形成可能な回転ブラシの製造方法、回転ブラシ並びにこれを用いた歯ブラシを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的は各請求項記載の発明により達成される。すなわち、本発明に係る回転ブラシの製造方法の特徴構成は、長尺繊維を短繊維状に切断して多数の短繊維からなる繊維束を作成し、この繊維束の長さ方向の一端側を固定治具に固定し、前記繊維束の他端側である自由端より前記繊維束の略中心位置から周辺に向けて前記繊維束を拡径可能な拡径治具を移動させて前記繊維束の自由端側を放射状に拡径するようにして平板状に成形すると共に、固定された前記繊維束の一端側を一体化することにある。
【0006】この構成によれば、多数の毛を植設する作業を行う代わりに、束ねた繊維束を機械的に成形するようにしているので、高密度の刷毛を効率よく形成可能であり、しかも繊維束を構成する短繊維の数を高めることによって、成形された回転ブラシの刷毛密度を十分に高いものにできる。
【0007】前記繊維束の一端側の一体化を融着により行うと共に、前記繊維束の固定端側の略中央位置を穿孔し、前記穿孔された孔に軸を通して軸支することが好ましい。
【0008】この構成によれば、繊維束の一端側を強固に一体化できると共に、軸支された軸を、例えば歯ブラシの柄に装着することにより、容易に歯ブラシを製造できる。しかも、回転ブラシを複数枚重ねるようにすると、使用目的に応じて種々のブラシ幅を有する回転ブラシを製造でき、広い用途に利用可能になって都合がよい。
【0009】前記繊維束の自由端側を放射状に拡径して後、所定長さの径となるように前記繊維束の自由端側を縮径方向に切断することが好ましい。
【0010】この構成によれば、使用目的に応じて種々のブラシ長を有する回転ブラシを製造でき、広い用途に利用可能になって都合がよい。
【0011】又、本発明に係る回転ブラシの特徴構成は、請求項1〜3のいずれか1の回転ブラシの製造方法により製造されることにある。
【0012】この構成によれば、高密度の刷毛を効率よく形成可能な回転ブラシを提供することができる。
【0013】更に又、本発明に係る歯ブラシの特徴構成は、請求項4の回転ブラシを柄の先端に回転自在に装着したことにある。
【0014】この構成によれば、高密度の刷毛を効率よく形成可能な歯ブラシを提供できるので、従来の歯ブラシの有する利点を維持しつつ、従来の歯ブラシに比べて歯垢を一層効果的に除去でき、歯茎をマッサージし易い歯ブラシを提供できる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1、2は、本実施形態に係る回転ブラシの製造方法を示す。まず、0.1〜0.2mm径程度のナイロン612製長尺繊維をカッターにより、用途に応じた所定長さ、例えば歯ブラシ用であれば20mm程度の短繊維状に切断し、これを約300本程度束ねて繊維束1を形成する。もっとも、複数本の長尺繊維を予め束ねておき、これを用途に応じた所定長さの短繊維に切断して、繊維束1を形成するようにしてもよい。この場合、以後の工程の取り扱いを容易にするため、束ねた繊維束の一端側を融着したり、接着剤で固着してもよい。
【0016】得られた繊維束1の長さ方向を上下にして、その一端側を固定治具2に形成されている挿入孔2aに挿入すると共に、固定治具2の下方より、固定治具2の挿入孔2aを通して下型治具4を挿入・上昇させる(図1(a))。繊維束1はその一端側が挿入孔2aから立設されると共に、自由端である他端側が固定治具2上に突出するようになり、繊維束1の底端が下型治具4の頂面と接当する(図1(b))。
【0017】もっとも、下型治具4を下方より挿入孔2aに挿入し上昇させるタイミングは、繊維束1を挿入孔2aに挿入した後でもよいし、挿入前でもよいが、繊維束1の挿入前に、挿入孔2a内の所定位置まで上昇させるようにすると、繊維束1の挿入位置が確定するので都合がよい。
【0018】次に、固定治具2上に立設した繊維束1の自由端1a上方より、繊維束1の略中心位置から周辺に向けて繊維束1を拡径可能な拡径治具3を降下させる。この拡径治具3は略棒状をしており、その中心部3aは、超音波振動子が埋設されていて、先細の外周部3bに囲まれている。中心部3aと外周部3bの先端は平滑面3cを形成しており、外周部3bは上方側(後端側)に向けて拡径状に傾斜している。そして、拡径治具3を降下させていくにしたがい、まず繊維束1と略同径の幅を有する中心部3aが繊維束1の自由端1aと接触し、更なる拡径治具3の降下により繊維束1の中心位置から周辺位置に向けて繊維束1の自由端1aが拡径する方向に強制される(図1(c))。つまり、繊維束1の自由端1aは拡径治具の外周部3bに沿って拡径され、拡径治具3が固定治具2上に略接触する程度まで降下すると、繊維束1の自由端1aは、放射状に拡径して平板状に押圧・成形される。
【0019】ついで、固定治具2の下方より、その挿入孔2aを通して挿入・上昇させた下型治具4との間で、平板状に押圧・成形させた繊維束1を挟持した状態とし、拡径治具3の中心部3aに埋設されている超音波振動子を発振させ、束ねた繊維束1の中心部を融着させて一体化し、平板形にする(図2(d))。尚、発振器およびその制御器は、簡略化のため図示を省略してあるが、超音波融着は、100V×200W程度の出力の超音波発振器を用いることにより、ほとんど瞬間(1秒以内)に融着でき、1〜2秒で固化する。この超音波融着法は、短時間で融着が行えるので、処理速度が早く生産性に優れるのみならず、他の融着法に比べて、融着に伴う不要物が周辺治具に付着したりすることがないので清浄であり、清浄化処理など後処理をする手間が省けて都合がよい。
【0020】その後、平板形にされた繊維束1の中心部の中心位置に、下型治具4の中心部に予め装着されている穿孔ピン5を突き上げて、軸孔1bを形成する(図2(e))。下型治具4と拡径治具3を外すことにより、図2(f)に示すような、成形された1枚の回転ブラシBを取り出すことができる。更に、回転ブラシBを使用目的に応じた所定長さの径となるように、拡径されている繊維束1の自由端側をカッター(図示略)により縮径方向に切断する。
【0021】歯ブラシ用の回転ブラシを製造するには、更に、図3に示すように、これら成形された回転ブラシBの多数を重ね合わせて、それらの軸孔1bに所定長さの軸6を貫通させる。そして、図4に示すように、軸支した回転ブラシBを歯ブラシAの柄の端部所定位置に回転自在に取り付けて歯ブラシを製造する。回転ブラシBの複数枚を重ね合わせる際に、夫々の回転ブラシどうしを固着して一体化するため、超音波融着あるいは他の接合方法を用いて行ってもよく、その場合、順次個別に固着してもよいし、複数枚まとめて一度に固着するようにしてもよい。
【0022】尚、歯ブラシを構成する場合、軸6は必ずしも必要なものではなく、例えば、重ね合わされた複数枚の回転ブラシの内、両端部に配置された回転ブラシの中心位置にのみ穿孔しておくと共に、歯ブラシ側の回転ブラシ挟持箇所の側面に回転ブラシの穿孔箇所に挿入可能な凸部を形成して、この凸部周りに回転ブラシを回転自在となるように装着して構成してもよい。
【0023】又、図4に示す構成に代えて、刷毛を固定的に植設した固定ブラシ部を備える通常の歯ブラシの柄の先端(刷毛植設位置とは反対側端)側に回転ブラシBを取り付けて、固定ブラシと回転ブラシの両者を使用可能に構成してもよい。更に、本発明の回転ブラシは、電動ブラシの回転ブラシとしても使用可能である。
【0024】〔別実施の形態〕
(1)上記実施形態では、繊維としてナイロン612製のものを用いた例を示したが、もとより本発明の実施をするに当たりこれに限定されるものではなく、用途に応じて種々の繊維を選択可能であり、歯ブラシ等に使用する場合は疎水性の繊維であるナイロン610、11等も使用できる。その場合、ブラシの材質により硬軟種々のものを選択・使用することができる。更に、ナイロン以外のポリエチレン、ポリプロピレン樹脂など、用途に応じて種々の樹脂製繊維を選択して使用可能である。
【0025】(2)上記実施形態では、束ねた繊維束の中心部を一体化させるのに超音波融着法を用いたが、本発明の回転ブラシ製造方法はこの方法に限定されるものではなく、ヒータ等の加熱手段を設けて行う熱融着、高周波融着などの方法を用いてもよく、更には接着剤を用いて一体化してもよい。
【0026】(3)上記実施形態では、繊維束として樹脂製のもの用いて回転ブラシの製造方法を説明したが、これに代えて各種金属繊維、セラミック繊維などを用いて回転ブラシを製造してもよい。その場合、束ねた繊維束の中心部の融着を、より高温の熱源を用いて行う。又、各繊維は、繊維の文言に拘束されることなく、長さに対して径の小さい形状を有していればよく、その太さ、長さ、断面形状は、使用目的、用途に応じて種々のものを選択することができる。
【0027】(4)上記実施形態では、固定治具2に形成されている1個の挿入孔1aに繊維束1を挿入し固定する例を示したが、固定治具2に多数の挿入孔1aを形成して、これら多数の挿入孔1aに夫々繊維束1を挿入しておき、上方から拡径治具を下降させると共に挿入孔1aの下方から挿入した下型治具4との間で繊維束1の中心部を次々に融着するようにしてもよい。
【0028】(5)上記実施形態では、所定長さの繊維束1の長さ方向を上下にして、その一端側を固定治具2に形成されている挿入孔2aに挿入するようにしたが、この方法に代えて、所定長さの繊維束1の長さ方向を横方向にすると共に、固定治具2に形成されている挿入孔2aを横向きとして、この挿入孔2aに挿入された繊維束1に対して、横方向から拡径治具を接近させて繊維束1の自由端側を拡径する方式を採用することもできる(横型成形方式)。
【0029】(6)上記実施形態では、歯ブラシ用の回転ブラシを例に挙げて説明したが、本発明に係る回転ブラシは、歯ブラシ用に限定されるものではなく、被服清掃用、床面清掃用ブラシ、宝飾品研磨用ブラシ、バフ研磨用ブラシ、複写機の徐電器用ファーブラシ、クリーニングブラシ等、回転ブラシとして多様に使用できるものである。特に、徐電器用の場合は、ブラシを構成する樹脂として、微細な炭素粒子を含ませるなど導電性に優れたものを使用する。
【出願人】 【識別番号】592014539
【氏名又は名称】株式会社三共技研
【出願日】 平成13年9月20日(2001.9.20)
【代理人】 【識別番号】100092266
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇生 (外4名)
【公開番号】 特開2003−88424(P2003−88424A)
【公開日】 平成15年3月25日(2003.3.25)
【出願番号】 特願2001−286644(P2001−286644)