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【発明の名称】 ゴム芯入り組紐リング、その製造方法および製造装置
【発明者】 【氏名】杉本 正治
【住所又は居所】京都府長岡京市今里庄ノ渕30番地 有限会社タイム内

【要約】 【課題】使用に耐え得る引張強さが容易かつ確実に得られ、見栄えが良く、使い心地の良いゴム芯入り組紐リングを提供する。

【解決手段】ゴム芯入り組紐リング1Aは、1本または複数本のゴム芯入り組紐10の端部100どうしが縫合されてリング状に形成されているとともに、縫合された端部100の外周に糸2が被覆状に巻き付けられているものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 1本または複数本のゴム芯入り組紐(10)(10A,10B)の端部(100)(100A,100B)どうしが縫合されてリング状に形成されているとともに、縫合された端部(100)(100A,100B)の外周に糸(2)が被覆状に巻き付けられている、ゴム芯入り組紐リング。
【請求項2】 請求項1に記載のゴム芯入り組紐リングを製造する方法であって、1本または複数本のゴム芯入り組紐(10)における縫合すべき2つの端部(100)を、針(50)を左右方向に揺動させ得る千鳥ミシン(5)のベッド(51)上に左右突合せ状に配置して、該千鳥ミシン(5)によって縫合する縫合工程と、縫合された2つの端部(100)を、ベッド(51)上で前後突合せ状となるように転向させて前後方向に送りながら、これら(100)の外周に、前記千鳥ミシン(5)によって糸(2)を被覆状に巻き付ける糸巻付け工程とを備えている、ゴム芯入り組紐リングの製造方法。
【請求項3】 請求項1に記載のゴム芯入り組紐リングを製造する装置であって、針(50)を左右方向に揺動させ得る千鳥ミシン(5)と、千鳥ミシン(5)のベッド(51)上に配置されて、1本または複数本のゴム芯入り組紐(10)における縫合すべき2つの端部(100)を突合せ状に保持する保持部材(6)と、千鳥ミシン(5)のアーム(52)先端部に設けられた押え棒に取り付けられて、前記2つの端部(100)を押さえる押え金(7)とを備えており、保持部材(6)は、円形の内周縁を有しかつベッド(51)上に固定されるフレーム(61)と、中心部を通って直径方向に長く伸びる長孔(621)を有しかつフレーム(61)内に回動可能に配されるディスク(62)と、長孔(621)に摺動可能に配される略長方形のプレート(63)とを備え、ディスク(62)は、これを回動させることによって、長孔(621)が左右方向に長く伸びる縫合用ポジションと、長孔(621)が前後方向に長く伸びる糸巻付け用ポジションとを取り得るようになっており、プレート(63)は、針通し孔(631)と、針通し孔(631)を挟んで長さ方向に伸びかつ前記2つの端部(100)が突合せ状に嵌め入れられる嵌入溝(632)とを有しており、押え(7)は、押え棒に垂下状に取り付けられる取付軸部(71)と、左右方向に伸びる針落孔(721)を有しかつ取付軸部(71)の下端に水平状に設けられる押え部(72)とを備え、押え部(72)の下面における針落孔(721)の前後縁部には、ディスク(62)が縫合用ポジションを取っている時に前記2つの端部(100)を押さえる下方突出部(722)が設けられ、また、押え部(72)における針落孔(721)の前後両側には、ディスク(62)が糸巻付け用ポジションを取っている時に前記2つの端部(100)を押さえるローラ(723)が設けられている、ゴム芯入り組紐リングの製造装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴム芯とその周囲を被覆する組紐とよりなるゴム芯入り組紐から形成され、例えば髪を束ねるヘアバンドや手首に嵌めるアクセサリーとして使用されるゴム芯入り組紐リングに関する。
【0002】
【従来の技術】ゴム芯入り組紐リングは、従来、所定長さに裁断されたゴム芯入り組紐の両端部を結び合わせるか、または該両端部を連結金具で連結することにより、製造されていた。
【0003】ところが、ゴム芯入り組紐の両端部を結び合わせてなるゴム芯入り組紐リングの場合、結び目が邪魔になる上、使用しているうちに組紐の端面がほつれて見栄えが悪くなるといった問題があった。また、ゴム芯入り組紐の両端部を連結金具で連結してなるゴム芯入り組紐リングの場合、連結金具に髪等が引っ掛かり易い上、連結金具が身体に触れると違和感を覚えるといった問題があった。
【0004】そこで、上記のような問題点を解消するために、ゴム芯入り組紐の両端部を接着してなるゴム芯入り組紐リングが考案された(特開平5−98561号公報、特開平6−62929号公報、特開平8−308628号公報、特開平10−309759号公報、特開平11−75929号公報、特開2000−248457号公報等参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記ゴム芯入り組紐リングの場合、接着面積をそれ程大きく取れないため、製品としての外観を良好なものに維持しながら使用に耐えられるだけの引張強さを得るために、複雑な製造工程を経る必要があり、必ずしも製造が容易でなかった。また、上記ゴム芯入り組紐リングの場合、その接合部に接着剤が染み込んで硬化しているため、該リングの他の部分とは質感が異なり、使用時に違和感を覚えることがあった。
【0006】本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、使用に十分耐えられるだけの引張強さが容易にかつ確実に得られる上、見栄えが良く、使い心地の良いゴム芯入り組紐リングを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段および発明の効果】本発明によるゴム芯入り組紐リングは、1本または複数本のゴム芯入り組紐の端部どうしが縫合されてリング状に形成されているとともに、縫合された端部の外周に糸が被覆状に巻き付けられているものである。
【0008】上記ゴム芯入り組紐リングにあっては、ゴム芯入り組紐の端部どうしが縫合されているので、縫い糸の強度や縫製回数を調整することにより、ヘアバンド等としての使用に十分に耐え得るだけの接合強度が容易にかつ確実に得られる。また、上記ゴム芯入り組紐リングの場合、縫合された端部の外周に糸が被覆状に巻き付けられているので、縫合された端部どうしの継ぎ目および縫合によって生じた縫い目が前記糸によって覆い隠される上、組紐が端面からほつれるのが防止されるか、若干ほつれたとしても外から見えない。しかも、縫合された端部の外周に巻き付けられる糸は、組紐と同様に繊維材料よりなるので、ゴム芯入り組紐リングの表面全体の質感が統一される上、身体に触れても違和感を覚える恐れがない。したがって、本発明によるゴム芯入り組紐リングは、その接合部が十分な引張強さを有する上、非常に見栄えがよく、しかも身体に優しくて安全である。
【0009】本発明によるゴム芯入り組紐リングにおいて、前記糸が、ゴム芯入り組紐の表面の色と同系統の色よりなる場合がある。この場合、ゴム芯入り組紐リングの表面全体の色が統一されるため、接合部が目立ち難く、あたかもシームレスのような外観が得られる。上記の場合において、前記糸として、ゴム芯入り組紐を構成する糸と同じ材料よりなるものが用いられるのがより好ましい。それによって、ゴム芯入り組紐リングの接合部をさらに目立ち難くすることができる。
【0010】また、本発明によるゴム芯入り組紐リングにおいて、前記糸が、ゴム芯入り組紐の表面の色と異なる系統の色よりなる場合がある。この場合、ゴム芯入り組紐リングの表面のうち前記糸が巻き付けられている接合部とそれ以外の部分とが明確に識別され、該接合部にワンポイント的な装飾効果が期待できる。
【0011】上記ゴム芯入り組紐リングにおいて、ゴム芯入り組紐の端部どうしは、ヘアバンド等として使用される際に容易に外れないように縫合される必要があるが、通常は、これらのゴム芯部分に組紐部分の外側から縫い糸がかかるように数回縫製されていればよい。縫合は、通常、ミシン縫いによって行われるが、手縫いでも構わない。
【0012】また、上記ゴム芯入り組紐リングにおいて、縫合された端部の外周への糸の巻付けは、縫合された端部どうしの継ぎ目と縫合によって生じる縫い目とを覆い隠すことができるようになされていればよい。また、糸の巻付けによって、ゴム芯入り組紐リングが接合部で割れるのが防止されるという効果も得られる。糸の巻付けは、後述するように、千鳥ミシンを利用して行うことができるが、手作業によって行うことも勿論可能である。
【0013】次に、本発明によるゴム芯入り組紐リングの製造方法は、本発明によるゴム芯入り組紐リングを製造する方法であって、1本または複数本のゴム芯入り組紐における縫合すべき2つの端部を、針を左右方向に揺動させ得る千鳥ミシンのベッド上に左右突合せ状に配置して、該千鳥ミシンによって縫合する縫合工程と、縫合された2つの端部を、ベッド上で前後突合せ状となるように転向させて前後方向に送りながら、これらの外周に、千鳥ミシンによって糸を被覆状に巻き付ける糸巻付け工程とを備えているものである。
【0014】上記方法によれば、ゴム芯入り組紐の端部どうしを縫合する縫合工程と、縫合された端部の外周に糸を被覆状に巻き付ける糸巻付け工程とを、千鳥ミシンによって連続的に行うことができる。したがって、上記方法によれば、本発明によるゴム芯入り組紐リングを、安い工賃で、量産することができる上、その品質も均一化することができる。
【0015】上記方法において、縫合工程では、ゴム芯入り組紐の縫合すべき2つの端部を、千鳥ミシンのベッド上に左右突合わせ状に配置し、通常、その位置で静止させておく。したがって、千鳥ミシンの送り装置は使用しない。千鳥ミシンの針揺動幅は、針が前記2つの端部のゴム芯部分に確実に刺さるように、通常、約5〜6mm程度に設定しておく。この状態で千鳥ミシンを作動させると、前記2つの端部のゴム芯部分どうしが、組紐部分の外側から、縫い合わせられる。縫う回数、即ち、針の揺動回数は、通常、5〜10回程度となされる。
【0016】縫合工程が終了すると、縫合された前記2つの端部を、針の揺動方向と直交する前後方向を向くようにベッド上で約90度回転させる。糸巻付け工程では、千鳥ミシンの針揺動幅を、ゴム芯入り組紐の外径とほぼ同じかこれよりも若干大きくなるように設定する。この工程での針揺動幅は、使用するゴム芯入り組紐の外径にもよるが、通常、約5〜6mm程度であり、縫合工程から設定変更しなくてよい場合が多い。そして、ゴム芯入り組紐における縫合された端部を前後方向に送りながら、千鳥ミシンを作動させると、千鳥ミシンの上糸および下糸が、互いに絡み合いながら、前記端部の外周に被覆状に巻き付けられる。ここで、前記端部の前後方向への送り量は、前記端部どうしの継ぎ目および縫合によって生じた縫い目を被覆し得るように設定されるが、通常、約5〜6mm程度である。前記端部の前後方向への送りは、通常、手動によって行われるが、千鳥ミシンの送り装置を使用してもよい。
【0017】本発明によるゴム芯入り組紐リングの製造方法において、さらに、外周に糸が巻き付けられた前記2つの端部のうち少なくともいずれか一方のゴム芯部分に、針揺動幅を0に設定変更した千鳥ミシンによって糸を通す糸止め工程を備えているのが好ましい。
【0018】上記糸止め工程が加えられることによって、縫合工程および糸巻付け工程に用いられた糸のほつれが確実に防止される。
【0019】本発明によるゴム芯入り組紐の製造方法において用いられる糸、即ち、千鳥ミシンの上糸および下糸の種類は、特に限定はされないが、ゴム芯入り組紐リングの表面全体の質感を統一したい場合には、下糸として、ゴム芯入り組紐の組紐を構成するウーリーナイロン糸等の伸縮糸と同じものを使用し、上糸としては、通常のミシン糸を使用する。上糸を伸縮糸にすると、針穴にかからないからである。この場合、糸巻付け工程において、上糸の方を強く引っ張るようにすれば、巻き付けられる上糸の長さが下糸の長さと比べて極端に短くなり、それによって上糸を外観上目立たないようにすることができる。
【0020】また、本発明によるゴム芯入り組紐リングの製造装置は、本発明によるゴム芯入り組紐リングを製造する装置であって、針を左右方向に揺動させ得る千鳥ミシンと、千鳥ミシンのベッド上に配置されて、1本または複数本のゴム芯入り組紐における縫合すべき2つの端部を突合せ状に保持する保持部材と、千鳥ミシンのアーム先端部に設けられた押え棒に取り付けられて、前記2つの端部を押さえる押え金とを備えている。保持部材は、円形の内周縁を有しかつベッド上に固定されるフレームと、中心部を通って直径方向に長く伸びる長孔を有しかつフレーム内に回動可能に配されるディスクと、長孔に摺動可能に配される略長方形のプレートとを備えている。ディスクは、これを回動させることによって、長孔が左右方向に長く伸びる縫合用ポジションと、長孔が前後方向に長く伸びる糸巻付け用ポジションとを取り得るようになっている。プレートは、針通し孔と、針通し孔を挟んで長さ方向に伸びかつ前記2つの端部が突合せ状に嵌め入れられる嵌入溝とを有している。押えは、押え棒に垂下状に取り付けられる取付軸部と、左右方向に伸びる針落孔を有しかつ前記取付軸部の下端に水平状に設けられる押え部とを備えている。押え部の下面における針落孔の前後縁部には、ディスクが縫合用ポジションを取っている時に前記2つの端部を押さえる下方突出部が設けられている。また、押え部における針落孔の前後両側には、ディスクが糸巻付け用ポジションを取っている時に前記2つの端部を押さえるローラが設けられている。
【0021】上記装置にあっては、保持部材のディスクを縫合用ポジションにして、プレートの嵌入部に、ゴム芯入り組紐における縫合すべき2つの端部を突合せ状に嵌め入れておいてから、千鳥ミシンを作動させることにより、これら2つの端部どうしが縫合される。次いで、保持部材のディスクを糸巻付け用ポジションにして、プレートを手で前後方向に送りながら、千鳥ミシンを作動させることにより、縫合された前記2つの端部の外周に糸が被覆状に巻き付けられる。したがって、上記装置によれば、本発明によるゴム芯入り組紐リングを、簡単にかつ効率良く製造することができる。また、上記装置にあっては、その押え金に、ディスクが縫合用ポジションを取っている時に前記2つの端部を押さえる下方突出部と、ディスクが糸巻付け用ポジションを取っている時に前記2つの端部を押さえる前後2つのローラとが備えられているので、縫合工程および糸巻付け工程いずれにおいても、ゴム芯入り組紐の端部を確実に押さえておくことができ、縫合作業および糸巻付け作業を正確に行うことができる。
【0022】本発明によるゴム芯入り組紐リングの製造装置において、押え金の押え部が透明材料により形成されているのが好ましい。これにより、縫合および糸の巻付けをより正確に行うことが可能となり、また、これらの作業がやり易くなる。
【0023】
【発明の実施の形態】次に、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0024】図1には、本発明によるゴム芯入り組紐リングの第1の実施形態が示されている。図1(a)に示すように、このゴム芯入り組紐リング(1A)は、所定長さに裁断された1本のゴム芯入り組紐(10)の両端部(100)が縫合されてリング状に形成されているとともに、縫合された両端部(100)の外周に糸(2A)が被覆状に巻き付けられているものである。
【0025】縫合されたゴム芯入り組紐両端部(100)の外周に巻き付けられている糸(2A)は、ゴム芯入り組紐(10)の表面の色、即ち、組紐(102)を構成している糸の色と同系統の色をしている。したがって、図1のゴム芯入り組紐リング(1A)の場合、接合部(10X)がほとんど目立たず、あたかもシームレスのような外観を呈している。
【0026】図1(a)には、ゴム芯入り組紐リング(1A)の接合部付近が拡大して示されている。リング(1A)を構成しているゴム芯入り組紐(10)は、ゴム芯(101)と、複数本のウーリーナイロン糸等の伸縮糸をゴム芯(101)を被覆するように編成してなる組紐(102)とで構成されている。
【0027】ゴム芯入り組紐(10)の両端部(100)は、互いに突き合わせられた状態で、これらのゴム芯(101)部分のほぼ中心を糸が通るように、組紐(102)部分の外側から5〜10回程度縫製されている。縫い目(20)の長さは、使用するゴム芯入り組紐(10)の寸法などにもよるが、通常、5〜6mm程度である。
【0028】縫合された両端部(100)の外周に巻き付けられた糸(2A)により、両端部(100)どうしの継ぎ目(S)と、縫合によって生じた縫い目(20)とが覆い隠されている。糸(2A)が巻き付けられている部分の長さは、通常、5〜6mm程度である。また、上記糸(2A)によって、組紐(102)がその端面からほつれるのが防止されるし、少々ほつれたとしてもそれが外観に現れることがない。更に、上記糸(2A)によって、ゴム芯入り組紐リング(1A)が接合部(10X)で割れるのが防止される。
【0029】この実施形態では、縫合用の糸と巻付け用の糸とは、同じものが用いられている。より具体的には、上記糸には、ミシンの上糸(21)と下糸(22)とよりなる2種類の糸が用いられている。上糸(21)には、ミシン糸として一般に用いられるスパン糸等が用いられている。また、下糸(22)には、組紐(102)を構成しているウーリーナイロン糸等の伸縮糸と同じ素材の糸が用いられている。ゴム芯入り組紐(10)の両端部(100)の外周面には、上糸(21)と下糸(22)とが互いに絡み合うようにして巻き付けられているが、巻付け時に上糸(21)の方が強く引っ張られることにより、巻き付けられた上糸(21)の長さが下糸(22)の長さよりもかなり短くなっている。したがって、ゴム芯入り組紐リング(1A)の表面の質感は、糸(2A)が巻き付けられている接合部(10X)を含めてほぼ全体が均一なものとなっている。
【0030】図2には、本発明によるゴム芯入り組紐リングの第2の実施形態が示されている。図2のゴム芯入り組紐リング(1B)の場合、縫合されたゴム芯入り組紐(10)の両端部(100)の外周面に巻き付けられている糸(2B)が、ゴム芯入り組紐(10)の表面色、即ち、組紐を構成している糸の色と異なる系統の色をしている。したがって、このゴム芯入り組紐リング(1B)にあっては、接合部(10X)に巻き付けられた糸(2B)を明確に識別することができ、それがワンポイント的な装飾効果をもたらしている。
【0031】図3には、本発明によるゴム芯入り組紐リングの第3の実施形態が示されている。このゴム芯入り組紐リング(1C)は、所定長さに裁断された2本のゴム芯入り組紐(10A)(10B)の一端部(100A)(100B)どうしおよび他端部(100A)(100B)どうしが縫合されてリング状に形成されているとともに、縫合された一端部(100A)(100B)の外周および縫合された他端部(100A)(100B)の外周に、それぞれ糸(2B)が被覆状に巻き付けられているものである。2本のゴム芯入り組紐(10A)(10B)は、互いに異なる表面色を有している。その他は、第2の実施形態と実質的に同じである。
【0032】次に、図4〜11を参照して、ゴム芯入り組紐リングの製造方法およびこれに用いられる製造装置について説明する。なお、以下においては、図1に示すゴム芯入り組紐リング(1A)を製造する場合についてのみ説明を行うこととするが、図2および3に示すゴム芯入り組紐リング(1B)(1C)を製造する場合にも、以下とほぼ同様にして製造を行うことができる。
【0033】ゴム芯入り組紐リングの製造装置は、図4〜11に示すように、針(50)を左右方向に揺動させ得る千鳥ミシン(5)と、千鳥ミシン(5)のベッド(51)上に配置されて、ゴム芯入り組紐(10)の両端部(100)を突合せ状に保持する保持部材(6)と、千鳥ミシン(5)のアーム(52)先端部に設けられた押え棒(図示略)に取り付けられて、ゴム芯入り組紐(10)の両端部(100)を押さえる押え金(7)とを備えている。
【0034】千鳥ミシン(ジグザグ縫いミシン)(5)としては、通常のものを使用することができるので、詳しい図示および説明は省略する。なお、この実施形態では、千鳥ミシン(5)の送り装置は、使用しないため取り外されている。
【0035】保持部材(6)は、図4、5および7に示すように、円形の内周縁を有しかつベッド(51)上に固定されるフレーム(61)と、中心部を通って直径方向に長く伸びる長孔(621)を有しかつフレーム(61)内に回動可能に配されるディスク(62)と、長孔(621)に摺動可能に配される略長方形のプレート(63)とを備えている。
【0036】フレーム(61)は、例えばボルト(図示略)によって、千鳥ミシン(5)のベッド(51)上に固定される。フレーム(61)の内周面には、ディスク(62)の外周面に転がり接触する複数のローラ(611)が等間隔おきに設けられている。また、フレーム(61)の右前隅部近傍には、先端がディスク(62)の縁部の上方まで達する内方突出部(612)が設けられている。
【0037】ディスク(62)は、これを約90度回動させることによって、長孔(621)が左右方向に長く伸びる縫合用ポジション(図5参照)と、長孔(621)が前後方向に長く伸びる糸巻付け用ポジション(図7参照)とを取り得るようになっている。
【0038】ディスク(62)の縁部には、ディスク(62)を回動させる際の摘み(622)が立上り状に設けられている。また、ディスク(62)上面の縁部には、ディスク(62)が糸巻付け用ポジションに来たときに、前記内方突出部(612)の一方の縁に形成された切欠き(612a)に嵌まり込むディスク位置決め用凸部(623)が設けられている。さらに、ディスク(62)上面には、長孔(621)の一方の縁部に近接して糸切り用刃(624)が設けられている。
【0039】ディスク(62)の長孔(621)は、ディスク(62)の中心からやや一方の縁に偏って形成されている。長孔(621)の両端部には、プレート摺動範囲調整部材(625)が取り付けられている。プレート摺動範囲調整部材部材(625)は、ボルト(B)によってディスク(62)に取り付けられているが、同部材(625)のボルト挿通孔(625a)がプレート(63)の摺動方向に長い長孔となされている。したがって、前記部材(625)は、ボルト挿通孔(625a)の長さの範囲内で、ディスク(62)の長孔(621)への突出長さ、ひいては、プレート(63)端部との当接位置を適宜変更することができ、それによってプレート(63)の摺動範囲を調整することができる。そして、プレート(63)の摺動範囲を上記のようにして調整することにより、ゴム芯入り組紐(10)の両端部(100)のうち糸(2)を巻き付ける部分の長さを調整することができる。
【0040】図9に詳しく示すように、プレート(63)は、針通し孔(631)と、針通し孔(631)を挟んで長さ方向に伸びかつゴム芯入り組紐(10)の両端部(100)が突合せ状に嵌め入れられる嵌入溝(632)とを有している。嵌入溝(632)の一端部は、V字形に切り欠かれたプレート(63)一端部に開口している。嵌入溝(632)の他端部は、プレート(63)のやや他端部寄りに形成された三角形の孔(633)に開口している。プレート(63)上面における針通し孔(631)の両側に、凹部(634)が形成されている。これらの凹部(634)には、後述する押え金(7)のローラが縫合工程の時に収まるようになっている。また、プレート(63)上面の他端部には、ディスク(62)が縫合用ポジションに来たときに、前記内方突出部(612)の他方の縁に形成された切欠き(612b)に嵌まり込み(図4〜6参照)、また、糸巻付け工程においてプレート(63)を摺動させる際の摘みとなる(図7および8参照)ディスク位置決め兼摘み用凸部(635)が設けられている。
【0041】図10および11に詳しく示すように、押え(7)は、押え棒に垂下状に取り付けられる取付軸部(71)と、左右方向に伸びる針落孔(722)を有しかつ前記取付軸部(71)の下端に水平状に設けられる押え部(72)とを備えている。取付軸部(71)と押え部(72)とは、別体に形成された取付軸部材(710)と押え部材(720)とで構成されている。両部材(710)(720)は、ビス(73)により接合一体化されている。押え部材(720)は、透明プラスチックから形成されている。
【0042】押え部(72)の下面における針落孔(721)の前後縁部には、ディスク(62)が縫合用ポジションを取っている時にゴム芯入り組紐(01)の両端部(100)を押さえる下方突出部(722)が設けられている。また、押え部(72)における針落孔(721)の前後両側には、ディスク(62)が糸巻付け用ポジションを取っている時にゴム芯入り組紐(10)の両端部(100)を押さえるローラ(723)が設けられている。
【0043】ゴム芯入り組紐リング(1A)の製造は、例えば、以下のような手順で行われる。まず、図4に示すように、所定長さに裁断されたゴム芯入り組紐(10)を保持部材(6)にセットする。この際、押え(7)は、千鳥ミシン(5)の押え昇降機構(図示略)を使って、上方に移動させておく。また、ディスク(62)は、縫合用ポジションを取るようにしておく。なお、図示は省略したが、ディスク(62)を縫合用ポジションおよび糸巻付け用ポジションそれぞれで固定するために、ディスク(62)上面およびプレート(63)上面の前記凸部(623)(635)に着脱自在に引っ掛けられる固定用フックを、フレーム(61)の内方突出部(612)に設けるようにしても良い。ゴム芯入り組紐(10)の両端部(100)は、針位置で左右に突き合うように、嵌入溝(632)に嵌め入れるようにする。千鳥ミシン(5)の針揺動幅(ジグザグ幅)は、通常、約5〜6mmに設定しておく。また、千鳥ミシン(5)には、上糸(21)として、例えばスパン糸をセットし、下糸(22)として、例えばウーリーナイロン糸をセットしておく。
【0044】こうしておいて、図5および6に示すように、押え(7)を下げて、その押え部(72)の下方突出部(722)でゴム芯入り組紐(10)の突合せ状両端部(100)を押さえながら、千鳥ミシン(5)を作動させ、該両端部(100)どうしを縫い合わせる(図1(b)参照)。針(50)は、ゴム芯入り組紐両端部(100)のゴム芯(101)部分のほぼ中心を通る。縫製回数、即ち、針(50)を揺動させる回数は、通常、5〜10回程度である。また、ゴム芯入り組紐両端部(100)の縫合は、通常、上記の1セットで足りるが、より強度を高めたい場合には、ゴム芯入り組紐両端部(100)を嵌入溝(632)に嵌め入れた状態のまま水平軸回りに約90度回転させた上で、上記と同様にして2セット目の縫合を行うようにしてもよい。
【0045】縫合工程が終わると、一旦、押え(7)を上方に移動させておいてから、ディスク(62)を時計回り方向に90度回動させる。すると、図7および8に示すように、ディスク(62)が、糸巻付け用ポジションを取る。その後、押え(7)を下げて、押え部(72)の前後2つのローラ(723)で、ゴム芯入り組紐(10)の両端部(100)を押さるようにする。糸巻付け工程における千鳥ミシン(5)の針揺動幅(ジグザグ幅)は、ゴム芯入り組紐(10)の外径とほぼ同じかそれよりも若干大きくなるように設定すればよいが、縫合工程における設定値のままでよい場合が多い。
【0046】こうしておいて、図7および8に示すように、プレート(63)を、その凸部(635)を指で摘んで前後方向に摺動させながら、千鳥ミシン(5)を作動させる。すると、縫合されたゴム芯入り組紐両端部(100)の外周に、上糸(21)および下糸(22)が互いに絡み合うように巻き付けられる。この際、組紐(102)を構成する糸とは異質の材料よりなる上糸(21)を強く引っ張るようにすると、巻き付けられる上糸(21)の長さを下糸(22)の長さと比べて極端に短くすることができる(図1(b)参照)。プレート(63)の摺動距離は、通常、5〜6mm程度である。これらの糸(21)(22)により、前記両端部(100)どうしの継ぎ目(S)および縫い目(20)が覆い隠される(図1(b)参照)。
【0047】次に、千鳥ミシン(5)の針揺動幅(ジグザグ幅)を0に設定変更してから、プレート(63)を摺動させずに、千鳥ミシン(5)を作動させる。すると、ゴム芯入り組紐(10)の両端部(100)のうち一方の端部(100)ゴム芯部分(101)を糸(21)(22)が通り、それによって糸止めが施される。
【0048】最後に、ディスク(62)上面の糸切り用刃(624)を使って、上糸(21)および下糸(22)を切る。こうして、図1に示すゴム芯入り組紐リング(1A)が得られる。
【0049】
【実施例】実施例として、本発明による4種類のゴム芯入り組紐リングを用意するとともに、比較例として、ゴム芯入り組紐の両端部を接着剤を用いて接合してなる従来のゴム芯入り組紐リングを用意し、これらについて接合部の引張強さをテストした。
【0050】実施例1〜4は、図1に示す形態のゴム芯入り組紐リング(1A)であって、上述した方法により製造したものである。但し、各実施例においては、ゴム芯入り組紐両端部(100)を縫合する際の縫製回数を、3回、5回、10回、5回×2セットにした。
【0051】引張強さの試験は、JIS・L1095に準拠して行った。具体的には、実施例1〜4および比較例のゴム芯入り組紐リングをこれらにおける接合部以外の箇所で切断して1直線状にし、これらをその接合部がつかみの中心に位置するように引張試験機にセットして、破断時の最大引張荷重を測定した。テスト結果を、以下の表1に示す。
【0052】
【表1】

【0053】表1の通り、縫製回数が5回以上である実施例2〜4では、比較例よりも良好な結果が出ており、接合部の引張強度が優れていることが判る。
【出願人】 【識別番号】502133217
【氏名又は名称】有限会社タイム
【住所又は居所】京都府長岡京市今里庄ノ渕30番地
【出願日】 平成14年4月15日(2002.4.15)
【代理人】 【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助 (外3名)
【公開番号】 特開2003−304922(P2003−304922A)
【公開日】 平成15年10月28日(2003.10.28)
【出願番号】 特願2002−112490(P2002−112490)