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【発明の名称】 鞄 類
【発明者】 【氏名】橋本 洋二
【住所又は居所】富山県富山市北新町1丁目2番25号 株式会社ハシモト

【要約】 【課題】バンドを備えてなる鞄類において、バンドが外気温度や使用状態に左右されず常に光反射を成し、交通安全に貢献し得る鞄類を提供することを目的とするものである。

【解決手段】鞄類に使用するバンドを、有色樹脂層と透明樹脂層との二層構造とし、その有色樹脂層と透明樹脂層との間の長手方向に空間部を設け、空間部内に反射面を透明樹脂層側に向けた光反射テープと、光反射テープ反射面に対する透明樹脂層の当接を防ぐ。有色樹脂層内の長手方向にバンドの無用な伸びを防止する補強線材を埋入している
【特許請求の範囲】
【請求項1】 鞄類に使用するバンドを有色樹脂層と透明樹脂層との二層構造とし、その有色樹脂層と透明樹脂層との間の長手方向に空間部を設け、空間部内に反射面を透明樹脂層側に向けた光反射テープと、光反射テープ反射面に対する透明樹脂層の当接を防ぐ透光性樹脂部とを備えていることを特徴とする鞄類。
【請求項2】 有色樹脂層内の長手方向にバンドの無用な伸びを防止する補強線材を埋入していることを特徴とする請求項1記載の鞄類。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バンドを備えているハンドバック、ランドセル又はトランク等の鞄類であって、バンドに光反射機能を備えることにより交通安全に貢献し得るようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】鞄類の内、小学生が背負うランドセルは、登下校時などに不慮の交通事故に遭わないようにするため、自動車等の運転者に注意を喚起させるべく種々の工夫が施されている。例えば、ランドセルの被せ蓋に黄色布を被着したり、被せ蓋又は収容部の両側面に円形の蛍光テープを貼着するといった手段が採られている。処が、ランドセルは六年間という長期に亘り使用され、しかも乱雑に扱われがちであることから、その間に黄色布又は蛍光テープが破損し、本来の注意喚起の効果を十分に発揮できなくなることがあった。
【0003】一方、肩掛けバンドに光反射テープを一体に縫着する場合、通常、皮製等の表地と裏地との間にクッション材を被包し、表地の所定部位に窓孔を設け、窓孔部位の表地とクッション材との間に、外面側に透明シートを重ねた光反射テープを収納し、表地と裏地との縫合時に、透明シートと光反射テープとを同時に縫合していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、光反射テープを透明シートで覆うバンドにあっては、例えランドセルが乱雑に扱われても光反射テープが擦れて破損することはなくなるが、製品化において、表地の所定部位に窓孔を設け、窓孔部位の表地とクッション材との間に、外面側に透明シートを重ねた光反射テープを収納すると共に、表地と裏地との縫合時に、透明シートと光反射テープとを同時に縫合するといった通常の作業に比べ余分で面倒な作業を強いられる。
【0005】このため、バンドの製作工程が複雑となり、手間が多く、余分な時間も掛かることから製作コストも高くなるという課題がある。また、窓孔を開設することから体裁が悪く、デザイン的にも劣り、商品価値を高められないという課題もあった。このことは、ランドセルにおいて、収容部の両側面と前面を囲むように装着する前バンドや、ハンドバッグやトランク等に置いて用いる保形用バンド、又は携帯用バンドについても同様に言えることである。
【0006】本願の発明者は、従来の問題点を解決するため、先にバンドを有色樹脂層と透明樹脂層との二層構造に成形し、有色樹脂層と透明樹脂層との間の長手方向に空間部を設け、空間部内に反射面を透明樹脂層側とした光反射テープを挿通した鞄類を発明し、特願2000−363744として出願した。しかしバンドの一部、特に背面側に向けた屈曲部において反射が落ちる不具合が発生した。その原因を究明した所、有色樹脂層と透明樹脂層との間に設けた空間部は、一般の測定器具で計測し得ない程度の隙間であるため、温度変化等によって当接したり、屈曲部において空間部が潰れて当接することにより生じることが解明された。
【0007】そこで、本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、バンドを備えてなる鞄類において、バンドが外気温度や使用状態に左右されず常に光反射を成し、交通安全に貢献し得る鞄類を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明に係る鞄類は、請求項1として、鞄類に使用するバンドを、有色樹脂層と透明樹脂層との二層構造とし、その有色樹脂層と透明樹脂層との間の長手方向に空間部を設け、空間部内に光反射テープの反射面を透明樹脂層側に向けて挿入すると共に、光反射テープ反射面に対する透明樹脂層の当接を防ぐ透光性樹脂部を備えている。請求項2として、請求項1の鞄類において、有色樹脂層内の長手方向にバンドの無用な伸びを防止する補強線材を埋入している。
【0009】光反射テープとして、例えば合成樹脂等からなるシートに硝子粉末のような反射体の塗膜層を形成したガラスビーズタイプと、シートに極小のピラミッド状プリズムを着接したプリズムタイプとが有るが、ガラスビーズタイプのものが好ましい。透光性樹脂部として、透光性を有する耐熱合成樹脂テープや耐熱合成樹脂フイルム等を用い、光反射テープの幅以内に重なるように設けるか、光反射テープ幅の適宜位置に重なるように設ける。
【0010】このように、バンド本体を有色樹脂層と透明樹脂層とから成る二層構造とし、有色樹脂層と透明樹脂層との間の長手方向に空間部を設け、空間部内に光反射テープと透光性樹脂部とを備え、透光性樹脂部によって光反射テープ反射面と透明樹脂層との当接を防いでいるので、バンドの反射性能が外気温度や使用状態によって低下することはなく、そのまま製品として使用でき、鞄類の製作の簡易化を図ることができる。
【0011】光反射テープは空間部内にあり、透光性樹脂部を介して透明樹脂層で覆われているから、擦れたり物に当っても反射面が傷つくことはなく、本来の輝度を常に維持し、注意喚起の効果を十分に発揮し、これにより交通の安全に貢献する。
【0012】請求項2の鞄類は、請求項1の特徴に加え、有色樹脂層内の長手方向に沿って補強線材を埋入しているので、これにより、バンドの無用な伸びを防止することができ、更には光反射テープや透光性樹脂部の破断も防止し得る。
【0013】
【発明の実施の形態】先ず、本発明による鞄類の実施形態をランドセルにおいて説明するが、ランドセルに限られるものではなく、例えば保形用または携帯用のバンドを備えたハンドバッグ又はトランク等の鞄類についても適用できることは勿論である。尚、本実施形態のランドセルは、牛皮または合成皮革を縫着することにより製作される。
【0014】図1のランドセルにおいて、教科書,ノートなどの学用品を収容させる収容部1は、背板部2と前板部3との間の底面に底板4を、両側面にまち皮5を備え、上方に開口部6を有する略箱状を成し、収容部1に仕切板7で前後に区切られた小区画部1a,1bと、最前側に上部口8をファスナー9で開閉するポケット部10とを備え、ポケット部10の前面に名札挿入口16付の名札収容部17を設け、ポケット部10に小物などの物品を収納できるようにしている。
【0015】ランドセルは、背板部2の上縁に収容部1の開口部6とポケット部10の全面に至る部分を覆う開閉自在の被せ蓋11を備え、背板部2の中央上部に一対の肩掛けバンド13aを、底板4の両側に肩掛けバンド13aの受けバンド13bを取着しており、被せ蓋11は先端に公知の係止具12を取着し、底板4の係止具(図示せず)に着脱自在に係合できるようになっている。肩掛けバンド13aは先端側に複数の調節孔14を列設し、受けバンド13bは先端に肩掛けバンド13aが挿通係止するバックル15を取付けている。
【0016】まち皮5の両側面とポケット部10の前面を囲うように左右一対の前バンド18を装着しており、この前バンド18の第一実施形態は、バンド本体19を有色樹脂層19aと透明樹脂層19bとから成る二層構造とし、この有色樹脂層19aと透明樹脂層19bとは例えばポリウレタン樹脂からなり、後記する押出し成形により同時に一体成形され、しかも帯状に長く成形される。尚、バンド本体19の素材はPVC樹脂またはEVA樹脂等他のものであっても良く、可撓性の樹脂が選ばれる。また有色樹脂層19aの色は、使用する鞄類の色に合せて選択し得るもので、例えば、ランドセルの色が赤であればこれと同じ赤色にする。同様に光反射テープ21の色も、有色樹脂層19aの色とのコントラスト等を考慮して種々選択し得る。
【0017】有色樹脂層19aと透明樹脂層19bとの間の長手方向中央に沿って一条の空間部20が形成され、空間部20内に光反射テープ21の反射面21aを透明樹脂層19b側に向けて備えると共に、光反射テープ反射面21aに対する透明樹脂層19bの当接を防ぐ透光性樹脂部22を備えている。光反射テープ21は、織布、不織布等の基布に硝子粉末のような反射体を着接するか、合成樹脂等からなる有色テープに硝子粉末のような反射体を着接したガラスビーズタイプであり、空間部幅と略同じ横幅を有する。この光反射テープ21は有色樹脂層19a及び透明樹脂層19bの形成時に挿入するが、図3の如く光反射テープ反射面21aの幅中間部、幅左右、或いは同幅に耐熱性透光性樹脂部22を備え、透明樹脂層19bと光反射テープ21との間に透光性樹脂部22を介在することとなるので、光反射テープ反射面21aに透明樹脂層19bが溶着するようなこともないし、外気温度が上昇したり使用形態が変化しても空間部20は維持され、高輝度を保つこととなる。
【0018】ここで、バンド本体19の製造方法を図6に基づき簡単に説明すると、押出機の先端に取付けるダイス23に、加熱溶融された着色樹脂Cを供給するための第一供給管24と、同じく過熱溶融された透明樹脂Tを供給するための第二供給管25とを相対するように設け、第一・二供給管24,25の出口24a,25aを隣接すると共に、その先方に第一・二供給管24,25と連通する一本の吐出管26を連続して設けている。このことにより、溶融した両樹脂C,Tが各出口24a,25aで合流し、二層状態で押出し得るようになる。
【0019】第一供給管出口24aと二供給管出口25aとの間に吐出管26に連通する挿通口27を設け、挿通口27から吐出管26内に二層の両樹脂C,Tを押出すと共に、光反射テープ21と透光性樹脂部22とを重ねて導入する。略同時に、挿通口27から吐出管26内に単位時間あたり所定量の空気を供給し、ダイス23から押出された二層の両樹脂C,Tを冷却固化する。これにより、図2に示すように有色樹脂層19aと透明樹脂層19bとが二層構造を成すバンド本体19が一体成形されると共に、有色樹脂層19aと透明樹脂層19bとの間に長手方向の空間部20を形成し、その空間部20内に光反射テープ21の反射面21aを透明樹脂層19b側に向けて、且つ反射面21a側に透光性樹脂部22を重ねて挿入するので、標準化が図られ、管理し易い。
【0020】上記手段にて形成した長尺のバンド本体19から、一対のバンド本体19イ,19ロを切断し、そのバンド本体19イ,19ロの内、図4に示すように一方側バンド本体19イの一端部を折り返し、折返し部28を鳩目29で支着することによりバックル30を取付け、他方側バンド本体19ロの一端部に止金31を取着すると共に、複数の調節孔32を列設しておき、各バンド本体19イ,19ロの多端側に取付孔33を設け、これを一対の前バンド18(18a,18b)として用いる。
【0021】そして、各前バンド18a,18bをカバンに取付ける場合、背板部2と収容部1の外周縁を縁飾り34により一体に縫着する時、その間に各前バンド18a,18bの他端を差しこみ同時に縫着し、両まち皮5に取付孔33を介して鳩目29を支着する。また、ポケット部10の前面に設けた通孔35に挿通すると共に、各一端部をバックル30にて繋ぎ止め、前バンド18(18a,18b)を装着する。
【0022】本発明に係る鞄類のランドセルにあっては、光反射テープ21を着色樹脂挿19aと透明樹脂層19bとの間に形成される空間部20内に挿通しているので、夜間に歩行する時など、自動車等のライトが当ると明瞭に反射して運転手に注意を喚起することとなり、交通事故を未然に防止することができる。また、反射テープ21は透明樹脂層19bにより完全に保護されていることから、擦れたり物に当っても光反射テープ21の反射面21aが傷つくことはない。特に反射面21a側に透光性樹脂部22を備えているので、バンド本体19の成形時に反射面21aと透明樹脂層19bとが当接することもないし、使用中に外気温度が上昇しても、或は前バンド18が裏面側に湾曲しても空間部20が潰れることがなく、本来の高輝度が維持され注意喚起の効果を十分に発揮できる。更に、光反射テープ21の横幅がバンド本体19の横幅よりも狭く、一本のストライプとして見えるので、一側面全体を覆うように取付けられるものに比較しデザイン的にも優れ、商品価値も高い。
【0023】本発明の鞄類に用いるバンドの第二実施形態を、第一本実施形態と相違する点について説明すれば、図5に示す如く有色樹脂層19a内に、その長手方向に沿って例えばグラスファイバー製の補強線材36を左右2本づつ埋入している。これはバンド本体19が合成樹脂製であることから、使用方法によってはその無用な伸びを防止するためである。補強線材36はグラスファイバー製の他に金属製の物を使用するようにしても良く、またその本数は必要に応じて1本又は3本又はこれ以上であっても良い。
【0024】
【実施例】以上のように、本発明の鞄類に使用する前バンドは、本来表皮と裏皮等を縫着して成形される所、合成樹脂の押出し成形により簡単に製造でき、適宜長さで切断し、鳩目29により容易に装着できる。また、有色樹脂層19aの色を装着する鞄類の色に合わせて自由に変更出来る。光反射テープ21の反射面21aを主としてガラスビーズタイプのものを使用したが、プリズムタイプのもの,更にはその他の反射テープを使用しても良いこと勿論である。透光性樹脂部22として、透光性と耐熱性を有するポリエステルフイルムやポリエステルシートを用いることが望ましいが、透光性と耐熱性、更に柔軟性を有する樹脂であれば、材質は自由である。
【0025】空間部20の形成により反射が増大するのは、透明樹脂層19bより入射した光が、光反射テープ21と透明樹脂層19bとの間で反射を繰り返すためと思われる。また、光反射テープ21と透明樹脂層19bとの間に透光性樹脂部22を介在しても反射が減少しないのは、透明樹脂層19bと透光性樹脂部22との反射率が相違するためと思われる。また、空間部20の形成と透光性樹脂部22の介在により透明樹脂層19bの幅中央部が膨出し、レンズの作用をするためとも考えられる。
【0026】
【発明の効果】本発明による鞄類は上記の通りであるから、次の効果を奏する。請求項1の鞄類は、バンドを構成する有色樹脂層と透明樹脂層との間の空間部内に、光反射テープを備えると共に、光反射テープの反射面側に透光性樹脂部を備えているので、外気温度やバンドの使用状態に左右されることなく本来の輝度を常に維持し、注意喚起の効果を十分に発揮することとなり、これにより交通安全に貢献する。しかも鞄類の製作の簡易化が図られると共に製作コストも低廉になし得る。また、光反射テープは空間部内にあって、透明樹脂層で覆われているので、反射力は長期間に渡り維持することが可能となる。
【0027】請求項2の鞄類は、請求項1の効果に加えて、有色樹脂層内の長手方向に沿って補強線材を埋入しているので、バンドの無用な伸びを防止することができる。その結果、光反射テープや透光性樹脂部の破断を防止し、長期使用に十分耐え得るようにすることができる。
【出願人】 【識別番号】591091021
【氏名又は名称】株式会社ハシモト
【住所又は居所】富山県富山市北新町1丁目2番25号
【出願日】 平成14年4月18日(2002.4.18)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−310331(P2003−310331A)
【公開日】 平成15年11月5日(2003.11.5)
【出願番号】 特願2002−115876(P2002−115876)