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【発明の名称】 収納ケースおよびその製造方法
【発明者】 【氏名】丹治 忠敬

【氏名】遠藤 治弘

【要約】 【課題】収納リセスの緩衝性を大きく向上させて、収納物品の保護性に優れた収納ケースを得るとともに、そのブロー成形による製造方法を提供する。

【解決手段】収納ケースは、本体2と蓋体から成る。本体2または蓋体3を曲げ弾性率が100〜600MPaのプラスチックで形成し、かつその内壁および外壁の肉厚をそれぞれ0.2〜5.0mmとする。外壁の曲げ弾性率を内壁の曲げ弾性率より大きいプラスチックで構成し、外壁の肉厚を内壁の肉厚より厚く形成する。収納リセス5の中空部7内に発泡体8を内装する。一対のシート状パリソン18、19の一方のパリソン18を他方のパリソン19と異なる曲げ弾性率の熱可塑性樹脂により構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 本体と蓋体から成り、かつそのうちの少なくとも一方が外壁と内壁とを対向させてその間に中空部を有する中空二重壁構造であって、中空二重壁構造の内壁に1つまたは複数の収納リセスを形成して成るプラスチック製の収納ケースにおいて、本体または蓋体を曲げ弾性率が100〜600MPaのプラスチックで形成するとともに、内壁と外壁の曲げ弾性率または肉厚の値を異なるものとし、かつその内壁および外壁の肉厚をそれぞれ0.2〜5.0mmとし、少なくとも本体または蓋体の収納リセスの中空部内に、発泡体を充填してなることを特徴とする収納ケース。
【請求項2】 外壁の曲げ弾性率を内壁の曲げ弾性率より大きいプラスチックで構成したことを特徴とする請求項1記載の収納ケース。
【請求項3】 外壁の肉厚を内壁の肉厚より厚く形成したことを特徴とする請求項1または2記載の収納ケース。
【請求項4】 中空部内に内装した発泡体の圧縮強度を0.02〜0.07Kg/cm2または密度を0.015〜0.03g/cm3としたことを特徴とする請求項1、2、または3記載の収納ケース。
【請求項5】 発泡体を内装した収納リセスに1つまたは複数のエア抜き孔を設けたことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の収納ケース。
【請求項6】 一方および他方の金型から成る分割金型間に押出ヘッドから一対のシート状のパリソンを垂下して、それぞれのパリソンを対向する分割金型のキャビティに密着させて中空二重壁構造の内外壁をそれぞれ形成するとともに内外壁のうち一方の壁となるパリソンの収納リセスと対応する部位に発泡体を配置して分割金型を型締めし、キャビティ周囲を互いに密着させて、次いで閉じたシート状パリソンの内部に圧力流体を導入することにより発泡体を内装した収納ケースのブロー成形方法において、一対のシート状パリソンの一方のパリソンを他方のパリソンと異なる曲げ弾性率の熱可塑性樹脂により構成することを特徴とする収納ケースの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種電子機器、計測機器、光学機器等のように、精密で機械的振動や衝撃を避けなければならない物品を収納し、安全に保管、携帯することができるプラスチック製の収納ケースおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】ビデオカメラ、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、電子楽器等の各種電子機器、 計測機器、光学機器等のように、 振動や衝撃を避ける必要がある物品を収納して保管し、携帯するためのプラスチック製の収納ケースは、種々のものがあり、そのうちでケース内部に電子機器等の収納リセスを形成し、収納リセス全体に発泡プラスチック等の緩衝材を嵌込み、その内面をウレタンフォームで覆ったものは、特開昭58−9387号公報に記載されている。また、収納リセスの一部に緩衝材を嵌込んで内面を表皮シートで覆ったものは、実開昭64−39218号公報に記載されている。また、中空二重壁構造を成す収納リセスの中空部に発泡体を発泡体を充密させた収納ケースは、特開2000−281036号公報に記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、特に緩衝性を要求される収納ケースは、特開昭58−9387号公報に記載されているように、一重壁構造の収納リセスの内面をウレタンフォームで形成したものや、実開昭64−39218号公報に記載されているように、二重壁構造の収納リセスの内面に緩衝材を嵌め込んでその上を表皮シートで覆ったものでは、収納リセスの全体または一部が緩衝材で構成されているとしても、緩衝材を充満した部分がケースを構成する壁自体でないうえ封じられた中空二重壁構造でないので、衝撃に対する緩衝性が十分でなく、特にケースの一部に強い衝撃が集中して加わった場合において、その部分に凹みが生じてしまい、かかる衝撃に対する収納物品の保護性に劣ることが判明している。
【0004】また、特開2000−281036号公報に記載されているものでは、収納リセスの中空部に発泡体を充密させているが、収納リセスを構成するプラスチック材料の曲げ弾性率とその中空部に充密させる発泡体の圧縮弾性率または密度との関係によっては、所期の緩衝性が得られず、収納物品の保護性に欠けることが判明した。
【0005】そこで、本発明は、かかる問題点を解決しようとするものであって、本体または蓋体を曲げ弾性率が100〜600MPaのプラスチックで形成し、かつその内壁および外壁の肉厚をそれぞれ0.2〜5.0mmとし、また、外壁の曲げ弾性率を内壁の曲げ弾性率より大きいプラスチックで構成し、さらに、外壁の肉厚を内壁の肉厚より厚く形成することにより、収納リセスの中空部内に発泡体を内装することと相俟って、収納リセスの緩衝性を大きく向上させて、収納物品の保護性に優れた収納ケースを提供することを目的とする。
【0006】そのうえ、本発明は、一対のシート状パリソンの一方のパリソンを他方のパリソンと異なる曲げ弾性率の熱可塑性樹脂により構成することにより、収納物品の保護性に優れた収納ケースをブロー成形により製造する方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る収納ケースは、請求項1に記載したように、本体と蓋体から成り、かつそのうちの少なくとも一方が外壁と内壁とを対向させてその間に中空部を有する中空二重壁構造であって、中空二重壁構造の内壁に1つまたは複数の収納リセスを形成して成るプラスチック製の収納ケースにおいて、本体または蓋体を曲げ弾性率が100〜600MPaのプラスチックで形成するとともに、内壁と外壁の曲げ弾性率または肉厚の値を異なるものとし、かつその内壁および外壁の肉厚をそれぞれ0.2〜5.0mmとし、少なくとも本体または蓋体の収納リセスの中空部内に、発泡体を充填してなることを特徴とするものである。
【0008】また、本発明に係る収納ケースは、請求項2に記載したように、請求項1の構成において、内壁の曲げ弾性率を外壁の曲げ弾性率より小さいプラスチックで構成したことを特徴とするものである。
【0009】本発明に係る収納ケースは、請求項3に記載したように、請求項1または2の構成において、外壁の肉厚を内壁の肉厚より厚く形成したことを特徴とするものである。
【0010】本発明に係る収納ケースは、請求項4に記載したように、請求項1、2または3の構成において、中空部内に内装した発泡体の圧縮強度を0.02〜0.07Kg/cm2または密度を0.015〜0.03g/cm3としたことを特徴とするものである。
【0011】本発明に係る収納ケースは、請求項5に記載したように、請求項1、2、3または4の構成において、発泡体を内装した収納リセスに1つまたは複数のエア抜き孔を設けたことを特徴とするものである。
【0012】さらに、本発明に係る収納ケースの製造方法は、は、請求項6に記載したように、一方および他方の金型から成る分割金型間に押出ヘッドから一対のシート状のパリソンを垂下して、それぞれのパリソンを対向する分割金型のキャビティに密着させて中空二重壁構造の内外壁をそれぞれ形成するとともに内外壁のうち一方の壁となるパリソンの収納リセスと対応する部位に発泡体を配置して分割金型を型締めし、キャビティ周囲を互いに密着させて、次いで閉じたシート状パリソンの内部に圧力流体を導入することにより発泡体を内装した収納ケースのブロー成形方法において、一対のシート状パリソンの一方のパリソンを他方のパリソンと異なる曲げ弾性率の熱可塑性樹脂により構成することを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係る収納ケースの全体斜視図、図2は図1の収納ケースを開いて示す正面図、図3は図2のA−A線断面図である。また、図4は分割金型を開いて押出ヘッドから筒状のパリソンを垂下した工程を示す断面図、図5は分割金型を型締めしてブロー成形し、かつ発泡体を内装した工程を示す断面図である。
【0014】図1ないし図3において、収納ケース1は、プラスチック製で本体2と蓋体3から成り、ヒンジ4によって開閉自在である。本体2は中空二重壁構造であり、その内部には収納物品を収納する収納リセス5が形成されている。蓋体2も中空二重壁構造であり、その内部には収納物品の収納リセス6が形成されている。7は中空部である。収納ケース1を構成する本体2または蓋体3は、曲げ弾性率100〜600MPaのプラスチックで形成されている。本体2および蓋体3の内壁および外壁の肉厚はそれぞれ0.2〜5.0mmとしている。これら曲げ弾性率100〜600MPaおよび肉厚は、上記範囲内において特定の値またはさらに絞った範囲内の値を選定して実施するものとする。なお、本体2および蓋体3の内壁の曲げ弾性率を外壁の曲げ弾性率より小さくし、外壁の肉厚を内壁の肉厚より厚く構成することが好ましい。
【0015】本体2の収納リセス5は、略方形凹状を成しており、この収納リセス5の内面には、その一部と他部ごとに、すなわち底面5aから内側面5b対応した中空部7には、圧縮強度が0.02〜0.07Kg/cm2または密度が0.015〜0.03g/cm3の発泡体8を充填してある。この発泡体8の圧縮強度または密度は、上記範囲内において特定の値またはさらに絞った範囲内の値を選定して実施するものとする。
【0016】ここで圧縮強度とは、圧縮によって破壊しない材料において規定のひずみの値における荷重を原断面積で除した値であって、はじめの厚さの25%を圧縮した時に要する最大荷重によって算出された値である。本発明おいて発泡体の圧縮強度は、試験片50×300×300(mm)を200φの加圧円板を用いて元厚の25%圧縮時の荷重値を測定し、原断面積で除した値によって求められる。
【0017】上記のように発泡体8を充填した収納リセス5の開口側端面には、複数のエア抜き孔9が設けられている。このエア抜き孔9は、収納リセス5の中空部7を外気に通じさせて、収納リセス5の緩衝変形に伴って内圧が上昇しないようにするためのものである。エア抜き孔9は複数でなく1つだけでもよい。
【0018】本発明に係る収納ケース1は、その本体2および蓋体3が曲げ弾性率100〜600MPaのプラスチックで、かつ内壁と外壁の肉厚をそれぞれ0.2〜5.0mmとしているので、収納リセス5の緩衝性が大きく向上し、収納物品の保護性に優れたものとなる。そして、外壁の曲げ弾性率を内壁の曲げ弾性率より大きいプラスチックで構成したり、また、外壁の肉厚を内壁の肉厚より厚く形成することにより、収納リセス5の緩衝性をいっそう向上させることができる。
【0019】本発明において収納ケース1を構成する熱可塑性プラスチックは、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂など)、ポリアミド系樹脂(ナイロンなど)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタート、ポリブチレンテレフタートなど)、スチレン系樹脂(ABS樹脂、AS樹脂など)、エンジニアリングプラスチック(ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレン樹脂など)などの単体またはそれらの2以上のブレンド体であり、また、それらと充填材(カーボンファイバー、炭酸カルシウム、タルク、マイカなど)のブレンド体およびポリオレフィン系の熱可塑性エラストマーである。
【0020】本発明において発泡体8は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタンを発泡したものであり、収納リセス5の内側面5a、底面5bに対応するように予め成形したものである。
【0021】なお、廃棄時のリサイクルを考慮すると、収納ケース1を構成する熱可塑性プラスチックと発泡体8を同材質とすることが好ましい。
【0022】本発明に係る収納ケースは、特に緩衝性を要する収納リセスを有するものであって発泡体は本体または蓋体の少なくとも一方に設けるが、特に本体に設けるのが好適である。そして、本発明に係る収納ケースは、図示した実施の形態のように中空二重壁構造であって一体の収納リセスを形成したものに限らず、複数の中空二重壁構造の板体により構成されるコンテナと称されるものなどを含むもである。
【0023】本発明に係る収納ケース1は、図4および図5に示す態様で成形される。図4および図5において、10、11は分割金型であり、その一方の金型10は、本体2および蓋体3の外壁を形成する凹状のキャビテイ12を有し、他方の金型11は、内壁を形成する凸状のキャビティ13を有している。一方の金型10と他方の金型11には、それぞれキャビティ12,13の面に真空吸引をかけるための真空空間14および複数の吸引間隙15を設けてある。また、一方の金型10と他方の金型11には、それぞれのピンチオフ部に摺動金型16、17を備えている。
【0024】収納ケース1を成形するにあたっては、図4に示すように、一方の金型10および他方の11を開き、それぞれの摺動金型16、17を進出させ、一方の金型10と他方の金型11の間に、押出ヘッドから一対のシート状のパリソン18、19を垂下させる。そして、この状態においては、それぞれのパリソン18、19の周囲は摺動金型16、17に接して一方の金型10および他方の金型11のキャビティ12、13側がパリソン18、19により閉じた空間を形成する。
【0025】次いで、図4に示すように、真空空間14から吸引間隙15を通してキャビティ12、13に真空吸引をかけると、パリソン18、19はそれぞれ一方の金型10、11のキャビティ12、13に密接して外壁と内壁が形成される。そして、この状態において、予め所定の形状に成形されている発泡体8を収納リセス5に対応する部位に配置してパリソン18に両面粘着テープなどによって付着保持させる。
【0026】次いで、図5に示すように、一方の金型10と他方の金型11を型締めすると、一対のパリソン18、19の周囲は摺動金型16、17によって圧縮され溶着される。そして、前記のように、パリソン18の収納リセス5に対応する部位に付着保持されていた発泡体8は、パリソン19とによって密に挟持され、本体2の中空部7の収納リセス5に対応する部位に内装される。
【0027】一対のシート状パリソン18、19の一方のパリソン18を他方のパリソン19と異なる曲げ弾性率の熱可塑性樹脂により構成することができる。この場合において、外壁となるパリソン18の曲げ弾性率を内壁となるパリソン19の曲げ弾性率より小さくし、パリソン18の肉厚をパリソン19の肉厚より厚くすることが好ましい。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、本体または蓋体を曲げ弾性率が100〜600MPaのプラスチックで形成し、かつその内壁および外壁の肉厚をそれぞれ0.2〜5.0mmとし、また、外壁の曲げ弾性率を内壁の曲げ弾性率より大きいプラスチックで構成し、さらに、外壁の肉厚を内壁の肉厚より厚く形成することにより、収納リセスの中空部内に発泡体を内装することと相俟って、収納リセスの緩衝性を大きく向上させて、収納物品の保護性に優れた収納ケースを得ることができる。
【0029】そして、本発明によれば、一対のシート状パリソンの一方のパリソンを他方のパリソンと異なる曲げ弾性率の熱可塑性樹脂により構成することにより、収納物品の保護性に優れた収納ケースをブロー成形により製造する方法を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
【出願日】 平成13年11月30日(2001.11.30)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−164316(P2003−164316A)
【公開日】 平成15年6月10日(2003.6.10)
【出願番号】 特願2001−367723(P2001−367723)