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【発明の名称】 装身具及びその製造方法
【発明者】 【氏名】丸山 邦也

【要約】 【課題】金を含有する銅合金、赤銅を用いて、趣味感にあふれる指輪やペンダントなどの装身具及びその製造方法を提供すること。

【解決手段】装身具1は、所定形状を有する装身具本体11を有する。この装身具本体11は、第1の装飾部材を収容できる被象嵌部を有している。この被象嵌部には、第1及び第2の装飾部材12,13が象嵌されている。第1の装飾部材12は、金を6重量%以上12重量%以下含有する銅合金で構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 所定の形状を有し、被象嵌部を備えた装身具本体と、前記装身具本体の前記被象嵌部に象嵌された装飾部材と、を具備し、前記装飾部材は、金を6重量%以上12重量%以下含有する銅合金で構成されたことを特徴とする装身具。
【請求項2】 前記装身具は指輪、ペンダント、ネックレス、イアリング、カフス、ブローチ、タイタック、バングル、バックル、チョーカー、ブレスレットからなる群より選ばれたものであり、前記装身具本体の被象嵌部と前記装飾部材の前記象嵌部分が共に曲面を形成することを特徴とする請求項1記載の装身具。
【請求項3】 所定の形状を有し、被象嵌部を備えた装身具本体を形成する工程と、金を6重量%以上12重量%以下含有する銅合金を、前記被象嵌部に象嵌され得る形状に加工して装飾部材を形成する工程と、前記装身具本体の前記被象嵌部にフラックスを塗布して、前記装飾部材を該被象嵌部に象嵌する工程と、象嵌工程後の装飾部材を前記装身具本体にロウ付けする工程と、を具備することを特徴とする装身具の製造方法。
【請求項4】 所定の期間経過後に、前記装身具本体に象嵌された装飾部材の表面に研磨処理を施すことを特徴とする請求項1乃至3記載の装身具の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、装身具及びその製造方法に関し、特に、本発明は、赤銅を用いた装身具及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、金を0.5重量%から5重量%含有する銅合金、いわゆる赤銅は、例えば、刀のつばやかんざしなどの製作に用いられてきた日本独特の金属素材であり、現代的な装身具においても、そのような日本調のデザインをあしらったブローチなどに使用された実例がある。
【0003】しかし、従来の赤銅を装身具に使用する場合には、銅の比率が95重量%以上含有するものであるため、予め赤銅を酸化させて黒色、あるいは黒紫色とした状態として使用されていたが、一旦黒色化した赤銅は簡単に元に戻すことができず、また、このような黒い赤銅を装身具に用いても、決して美しいものとはいえなかった。
【0004】また、従来の赤銅を装身具に使用する方法においては、凹状の被象嵌部が形成された装身具本体に、前記被象嵌部に合わせた所定形状からなる装飾部材として赤銅を圧入するという象嵌技法によることから、装身具本体の全体的形状がほぼ平面でなければ確実に象嵌できず、その後の加工や永年の使用によって象嵌部分が突出する恐れがある。したがって、ブローチなどの平面的な装身具にのみその使用は限られていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、赤銅を用いつつ趣味感を出すことができるユニークな装身具と指輪やペンダントなど曲面を形成する装身具本体においても赤銅を用いることができる装身具の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明は、所定の形状を有し、被象嵌部を備えた装身具本体と、前記装身具本体の前記被象嵌部に象嵌された装飾部材と、を具備し、前記装飾部材は、金を6重量%以上12重量%以下含有する銅合金で構成された装身具であることを特徴とする。また、請求項2記載の本発明は、前記装身具は指輪、ペンダント、ネックレス、イアリング、カフス、ブローチ、タイタック、バングル、バックル、チョーカー、ブレスレットからなる群より選ばれたものであり、前記装身具本体の被象嵌部と前記装飾部材の前記象嵌部分が共に曲面を形成する請求項1記載の装身具であることを特徴とする。
【0007】この構成によれば、装飾部材に、金を6重量%以上12重量%以下含有する銅合金を用いるので、ピンク色の赤銅が酸化してもチョコレート色になるだけで、装身具の色彩的趣味感に欠けることがない。また、装飾部材が少しずつ酸化するので、経時的な色彩の変化をも楽しむことができるユニークな装身具を提供できる。
【0008】請求項3記載の本発明は、所定の形状を有し、被象嵌部を備えた装身具本体を形成する工程と、金を6重量%以上12重量%以下含有する銅合金を、前記被象嵌部に象嵌され得る形状に加工して装飾部材を形成する工程と、前記装身具本体の前記被象嵌部にフラックスを塗布して、前記装飾部材を該被象嵌部に象嵌する工程と、象嵌工程後の装飾部材を前記装身具本体にロウ付けする工程と、を具備する装身具の製造方法であることを特徴とする。
【0009】この方法によれば、装飾部材を被象嵌部に象嵌する際に装飾部材にフラックスを塗布し、その後ロウ付けを行うので、ロウ付けを行う際の熱でフラックスが蒸発し、蒸発したフラックスの空隙部(装身具本体と装飾部材との間)にロウが自然に入り込む。このため、例えば曲面を有するような装身具本体であっても、装飾部材を被象嵌部に確実に象嵌することができる。
【0010】請求項4記載の本発明は、所定の期間経過後に、前記装身具本体に象嵌された装飾部材の表面に仕上げ処理を施す請求項1乃至3記載の装身具の製造方法であることを特徴とする。
【0011】この方法によれば、表面を研磨するなどにより赤銅の色を元の色(ピンク)に簡単に戻すことができ、再度、経時的な色彩の変化を楽しむことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明者は、赤銅における銅の含有量を、従来のものに比し著しく少なくすることで、この銅合金が酸化しても銅合金表面を研磨すれば元の銅合金の色に色上げできることに着目すると共に、酸化がゆっくりと行なわれることで経時的な色変化を実現させて、ユニークな装身具を提供できることを見出し本発明をするに至った。
【0013】すなわち、本発明の骨子は、装飾部材に、金を6重量%以上12重量%以下含有する銅合金を用いて、銅合金が酸化してチョコレート色になっても、研磨処理などにより元の赤銅の色(ピンク)に色上げを可能とし、装身具の趣味感を向上させることである。
【0014】また、本発明の骨子は、装飾部材を被象嵌部に象嵌する際に装飾部材にフラックスを塗布し、その後ロウ付けを行って、例えば曲面を有するような装身具本体であっても、装飾部材を被象嵌部に確実にロウ付けすることである。
【0015】以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施の形態では、装身具が指輪である場合について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る装身具を示す図である。図中1は装身具を示す。この装身具1は、所定形状を有する装身具本体11を有する。この装身具本体11は、装飾部材を収容できる被象嵌部を有している。この被象嵌部には、第1及び第2の装飾部材12,13が象嵌されている。
【0016】装身具本体11は、象嵌法により象嵌できる金などの金属により構成される。また、装身具本体11は、凹状の被象嵌部を有する所定形状に成形される。成形については、従来の金属成形法、例えば、ロストワックスキャスティングにより行うことができる。さらに、装身具本体11は、曲面を有する形状が実現可能となる。このような曲面を有していても、後述する本発明の装身具の製造方法により確実に象嵌を行うことができるからである。
【0017】第1の装飾部材12は、被象嵌部に象嵌される被象嵌部材である。これは、金を6重量%以上12重量%以下含有する銅合金で構成されている。この銅合金は当初はピンク色である。従来の赤銅よりも金の含有量を著しく多く(銅の含有量を少なく)することにより、酸化がゆっくりと行なわれるようになり、また、酸化が表面的に行なわれるようになる。したがって、装飾部材12は、酸化されチョコレート色になっても研磨処理などにより元の色(ピンク)に戻す色上げを行うことが可能となる。なお、第2の装飾部材13は、象嵌以外の方法により施されたものである。第2の装飾部材における装飾については特に制限はない。
【0018】図2は、本発明の実施の形態に係る装身具の製造方法を説明するための図であり、図2(a),(b)は、図1におけるA部分に第1の装飾部材12を象嵌する場合の断面図であり、(c)は、図2(b)の矢印Cの方向から見た、第1の装飾部材の象嵌後にロウ付けする場合を示す図である。
【0019】本発明の装身具の製造方法においては、まず、所定の形状を有し、凹状の被象嵌部を備えた装身具本体を得る。そして、金を6重量%以上12重量%以下含有する銅合金を、被象嵌部に象嵌され得る形状に加工して第1の装飾部材12を得る。なお、第1の装飾部材12の加工も、プレス切断など従来の金属成形法をそのまま採用することができる。
【0020】次いで、図2(a)に示すように、上記のようにして得られた装身具本体11の被象嵌部14に、得られた第1の装飾部材12を象嵌する。これは、具体的には、まず、装身具本体11の被象嵌部14に流動状のフラックスを塗布して、第1の装飾部材12を装身具本体11の被象嵌部14に挿入し、フラックス塗布面を挟み込む状態で、図2(a)の矢印B方向に金槌などで第1の装飾部材12を叩き、被象嵌部14に第1の装飾部材12を圧入する。なお、フラックスは、装身具本体11の被象嵌部14の代わりに第1の装飾部材12に塗布しても良く、両者に塗布しても良い。
【0021】次に、象嵌後の第1の装飾部材12を装身具本体11にロウ付けする。この場合、図2(c)に示すように、装身具本体11と第1の装飾部材12との間にロウ16を置き、バーナーでロウ16を加熱する。この場合、装身具本体11と第1の装飾部材12との間にロウ16を置く前にフラックスを塗っておくと、さらに良好な結果が得られる。
【0022】バーナーでロウ16を加熱すると、象嵌工程の際に使用されたフラックス及び/又はロウを置く前に使用したフラックスが蒸発する。その結果、象嵌工程の際に使用されたフラックスにより第1の装飾部材12と装身具本体11との間に空隙部15が形成され、ロウを置く前に使用したフラックスの誘導作用によりロウ16が空隙部15に自然に流れ込む。これにより、第1の装飾部材12と装身具本体11とが表面のみならず内面まで確実にロウ付けされる。したがって、第1の装飾部材12及び装身具本体11が曲面を有する形状であっても、その後の加工や永年の使用によっても象嵌部分が突出して装身具の美的外観を損なうことがない。
【0023】また、本発明の装身具の製造方法においては、一定期間使用され酸化してチョコレート色となった第1の装飾部材12に対し、研磨処理を施すことができる。例えば、象嵌された第1の装飾部材12の露出部分をヤスリなどを用いて研磨し、その後、酸洗い処理、ゴムかけ処理、ヘラかけ処理、炭とぎ処理、バフ研磨処理を、第1の装飾部材12の表面に傷がなくなるまで繰り返す。研磨処理の工程については、その処理内容及び順序は特に制限はなく、第1の装飾部材12の表面の凹凸をなくし、表面の傷を消す処理であれば良い。かかる研磨処理を施すことで、第1の装飾部材12を当初の銅合金の色、すなわちピンク色に戻すことができ、再度チョコレート色となる経時的な色変化を楽しむことができる。
【0024】このように、本実施の形態によれば、第1の装飾部材12に、金を6重量%以上12重量%以下含有する銅合金を用いるので、銅合金が酸化してチョコレート色となっても、研磨処理などにより元の銅合金の色(ピンク)に色上げを可能とし、ユニークな装身具を提供することができる。また、本実施の形態によれば、第1の装飾部材12を被象嵌部14に象嵌する際に第1の装飾部材12にフラックスを塗布し、その後ロウ付けを行うので、ロウ付けを行う際の熱でフラックスが蒸発し、蒸発したフラックスの空隙(装身具本体11と第1の装飾部材12との間)15にロウが入り込む。このため、例えば曲面を有するような装身具本体11であっても、装飾部材を被象嵌部に確実にロウ付けすることができる。
【0025】本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変形して実施することができる。例えば、上記実施の形態では、装身具が指輪である場合について説明しているが、本発明は装身具が指輪以外のもの、例えば、ペンダント、ネックレス、イアリング、カフス、ブローチ、タイタック、バングル、バックル、チョーカー、ブレスレットなどその他の装身具にも適用することができる。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように本発明の装身具は、装飾部材に、金を6重量%以上12重量%以下含有する銅合金を用いるので、銅合金が酸化してチョコレート色となっても、研磨処理により元の銅合金の色(ピンク)に色上げを可能とすることができる。
【0027】また、本発明の装身具の製造方法は、装飾部材を被象嵌部に象嵌する際に装飾部材にフラックスを塗布し、その後ロウ付けを行うので、ロウ付けを行う際の熱でフラックスが蒸発し、蒸発したフラックスの空隙(装身具本体と装飾部材との間)にロウが入り込む。このため、例えば曲面を有するような装身具本体であっても、装飾部材を被象嵌部に確実にロウ付けすることができる。
【出願人】 【識別番号】502170854
【氏名又は名称】株式会社 ユーツーアソシエーツ
【出願日】 平成14年5月13日(2002.5.13)
【代理人】 【識別番号】100106194
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘朗
【公開番号】 特開2003−325214(P2003−325214A)
【公開日】 平成15年11月18日(2003.11.18)
【出願番号】 特願2002−137843(P2002−137843)