| 【発明の名称】 |
宝石保持具 |
| 【発明者】 |
【氏名】野田伸二
|
| 【要約】 |
【課題】指輪またはネックレスなどの装飾体にダイヤモンドやルビーなどの宝石を容易に石留めできる宝石保持部に関する。
【解決手段】貴金属板材からなる一対の保持板を断面V字形に形成し、該保持板の内壁面で相対する位置にそれぞれ係止溝部を設け、該係止溝部の上方には前記保持板を延設して形成した装飾部を一体に設け、前記保持板の係止溝部には、宝石のガードル部を係止させると共に該係止溝部とガードル部との間に高温で溶解させた貴金属材を流下冷却させて宝石を保持板に固定したこと。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 金属素材からなる一対の保持板を断面V字形に形成し、該保持板の内壁面には相対向する位置にそれぞれ係止溝部を設け、該係止溝部の上方には前記保持板を延設した装飾部を一体的に形成し、前記保持板の係止溝部により宝石のガードル部を挟持すると共に該係止溝部とガードル部との間には高温で溶解させた金属素材を流下冷却させて該宝石を保持板に固定することを特徴とする宝石保持具。 【請求項2】 前記装飾部は、前記係止溝部から前記保持板の先端部までの長さが少なくとも2mm以上であることを特徴とする前記請求項1記載の宝石保持具。 【請求項3】 前記装飾部は、前記保持板の先端部がそれぞれ外方向に湾曲することで全体が略花びら形状を形成することを特徴とする前記請求項1乃至請求項2に記載の宝石保持具。 【請求項4】 前記溶解して宝石を固定する金属素材は、前記保持板と同一種類、同一純度の金属素材であるとも材であり、該とも材をレーザー照射により約2000度以上の高温で部分的かつ瞬間的に溶解して該宝石を保持板に固定することを特徴とする前記請求項1乃至請求項3記載の宝石保持具。 【請求項5】前記保持板は、指輪、ペンダント、イアリング、ブローチなどの装身具本体と一体的に形成されたものであることを特徴とする前記請求項1乃至請求項4記載の宝石保持具。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、指輪またはペンダントなどの装身具にダイヤモンドやルビーなどの宝石を簡易かつ装飾的に石留めすることができる宝石保持具に関する。 【0002】 【従来の技術】従来から、金、プラチナ、シルバーなどの貴金属により形成した指輪やペンダントなどの装身具に宝石を石留めする手法には多種多様なものがあるが、爪留め、伏せ込み、彫留めあるいはレール留めなどが良く知られている。 【0003】例えば、図1に示す指輪1は宝石15をレール留めしたものであり、指輪1のリング本体2の前面には宝石保持部3が形成され、該宝石保持部3は一対の平行なレール部5、6によって宝石15を挟持、固定するものである。この指輪1には、例えば、ダイヤモンド、エメラルド、ルビーなどの複数の宝石15を取り付けることができる。 【0004】図1に示した指輪1のレール留め手法の概略を図2から4に基づいて説明すると、指輪1の宝石保持部3は、それぞれ平行に形成した第1、2レール部5、6の内壁面の対向する位置にそれぞれ第1、2係止溝部7、10を設けてある(図2)。 【0005】この第1、2係止溝部7、10のうち、一方の第1レール部5に設けた第1係止溝部7の下辺部8は、該第1係止溝部に取付ける宝石15のパピリオン部17の傾斜角度に近い角度にカットし、上辺部9の傾斜角度もクラウン部18の傾斜角度に近い角度にそれぞれカットしてある。 【0006】他方の第2レール部6は、第2係止溝部10の下辺部11は、前記同様宝石15のパピリオン部17の傾斜角度に近い角度に形成してあるが、該第2係止溝部の上辺は垂直方向で幅広に立ち上がらせて壁部12を形成し、該壁部12の上方には、先端を内側に突出させた係止突部13が形成されている。 【0007】宝石15を取付ける場合、図4に示すごとく、宝石15を傾斜させながら、宝石15の外周部であるガードル部16を第1レール部5の第1係止溝部7に嵌合させた後、該ガードル部16の反対側を第2レール部6側の第2係止溝部10に設けた下辺部11に位置させる。この状態では、宝石15は第2係止溝部10の下辺部11に載置されただけで、宝石保持部3に固定されていない状態である。 【0008】次いで、図5に示すごとく、第2レール部6をたがねSで叩くと、第2レール部6は先端がつぶれたような状態となり、係止突部13が下方へ移動することにより、該係止突部13の下端が宝石15のクラウン部18の上端に圧着する。さらに、必要に応じて、ペンチなどで第1レール部5と第2レール部6を幅寄せして宝石15を固定し、第1レール部5と第2レール部6の外壁面及び上端部を研磨して、指輪1を完成するものである(図6)。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】このようなレール留め手法は、宝石を保持する部分(覆う部分)を少なくして宝石の前面部を大きく露出することができるため、宝石を光輝かせて美しく見せることができるものであるが、反面では、その技術的困難性から熟練した職人の腕と手間が必要とされ、簡単に石留め作業を行うことができなかった。 【0010】また、第2レール部6をたがねで叩いて係止突部13を下方に移動させるという作業が不可欠で、該第2レール部の上端から該係止突部13までの距離が長いと所定位置まで押し下げることはできない。したがって、宝石から双方のレール部上端までの距離は、例えば、1mm前後と極めて短くしなければならない。さらに、第1レール部5と第2レール部6をほぼ平行に形成しなければ係止突部13を押し下げることが困難であるなど、従来のレール留めによる宝石保持具のデザインはきわめて限定的なものであった。 【0011】本発明は、レール留めに近い手法により宝石を石留めする場合に、レール部内壁面に係止突部を形成したり、レール部をたがねで叩く必要がないため、熟練した技術がなくでも短時間で石留め作業ができる宝石保持具を提供することを目的とする。また、宝石からレール部上端までの距離を長めに採ることができるため、種々のデザインが具現可能となることで、例えば、その先端を外方向に開いて装飾的な花びら形状を形成するなどという自由で斬新なデザインを具現できる宝石保持具を提供することを目的とする。 【0012】 【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、金属素材からなる一対の保持板を断面V字形に形成し、該保持板の内壁面には相対向する位置にそれぞれ係止溝部を設け、該係止溝部の上方には前記保持板を延設した装飾部を一体的に形成し、前記保持板の係止溝部により宝石のガードル部を挟持すると共に該係止溝部とガードル部との間には高温で溶解させた金属素材を流下冷却させて該宝石を保持板に固定する宝石保持具であることを特徴とする。請求項2の発明は、前記装飾部は、前記係止溝部から前記保持板の先端部までの長さが少なくとも2mm以上である前記請求項1記載の宝石保持具であることを特徴とする。請求項3の発明は、前記装飾部は、前記保持板の先端部がそれぞれ外方向に湾曲することで全体が略花びら形状を形成する前記請求項1乃至請求項2に記載の宝石保持具であることを特徴とする。したがって、レール留め同様に宝石の前面部を大きく露出して、宝石の輝きを発揮できる石留め手法において、熟練した技術やたがねなどの特殊な工具を必要とせず誰でも短時間に石留め作業が可能となる。また、宝石保持具の宝石からレール部上端までの距離を長めに採ることができ、種々の斬新なデザイン、例えば、装飾的な花びら形状からなる装身具が提供可能となる。 【0013】請求項4の発明は、前記溶解して宝石を固定する金属素材は、前記保持板と同一種類、同一純度の金属素材であるとも材であり、該とも材をレーザー照射により約2000度以上の高温で部分的かつ瞬間的に溶解して該宝石を保持板に固定する前記請求項1乃至請求項3記載の宝石保持具であることを特徴とする。請求項5の発明は、前記保持板は、指輪、ペンダント、イアリング、ブローチなどの装身具本体と一体的に形成された前記請求項1乃至請求項4記載の宝石保持具であることを特徴とする。したがって、とも材を使用して宝石を石留めすることができ、きわめて強固な石留めが可能となり、斬新なデザインの装身具を提供できる。 【0014】 【発明の実施の形態】本発明に係る第1の実施の形態を図7〜10に基づいて説明すると、図7は第1宝石保持具の断面図、図8は宝石保持具に宝石を装着した状態の断面図、図9は宝石を装着した宝石保持具にとも材を溶着した状態の断面図、図10は第1宝石保持具を指輪に取付けた使用状態を示す斜視図である。この第1宝石保持具20は、全体を金属素材、好ましくは、プラチナ、金、銀などの貴金属素材からなる板材を断面V字形として一対の保持板21を形成し、該保持板21の内壁面には、互いに相対する位置に任意宝石15が取付可能な係止溝部23を形成してある。 【0015】前記保持基板21を断面V字形に形成する角度は、取付ける宝石15の大きさ、特に、その直径により異なる。また、保持板21の内壁面の略中央で左右対象の位置の設けた係止溝部23は、下辺部24を、宝石15のパピリオン部17の傾斜角度に合わせてカットしてある。また、係止溝部23の上辺部25は、宝石15をスムーズに着座させることができるように、宝石15のクラウン部18の傾斜角度よりかなり大きい角度、例えば、ほぼ上方向垂直にカットしてある。 【0016】保持板21の上方には装飾部27が一体的に形成され、該装飾部27は、係止溝部23から装飾部28の先端までの長さを、少なくとも2mm以上に形成してある。 【0017】この第1宝石保持具20に宝石15を石留めするには、図7に示す如く第1宝石保持具20の保持板21の上方に宝石15を位置させ、そのまま水平に降下させて係止溝部23の下辺部24に着座させる(図8)。したがって、宝石15を傾斜させて係止溝部23に嵌める手間が不要で容易に装着できる。 【0018】次いで、第1宝石保持具20と同一種類、同一純度からなるプラチナ、金、銀などの貴金属素材、いわゆるとも材を線状に形成し、その先端に高温(約2000度Cから3000度C)のレーザー光線(図示せず。)を照射して部分的かつ瞬間的にとも材を溶解させ、分離したとも材を係止溝部23の上辺部25に流下させる。係止溝部23の上辺部25に流下したとも材は、係止溝部23と同化すると瞬時に冷却、固化され、留片29を形成して宝石15のクラウン部18を押圧し、宝石15は第1宝石保持具20に固定される(図9)。 【0019】この場合に、溶解したとも材の一部は、宝石15のクラウン部18に直接流下するが、レーザー照射によれば局部的に高温とすることができるので、宝石15に付加される熱量は全体として微量であり、宝石15がとも材により劣化することはない。 【0020】また、第1宝石保持具20では、レーザー光線を使用して照射することで、部分的かつ瞬間的に高温とできるので、保持具本体と同一種類、同一純度である貴金属素材のとも材を使用することができる。したがって、とも材から形成される留片29により宝石15をきわめて強固に固定できる。もちろん、第1宝石保持具20において、同一種類であるが、純度が低いプラチナ、金、銀などの貴金属素材であるろう材を使用して、石留めをすることもできる。かかる場合には、ろう材を宝飾加工用トーチにより溶解し、留片29が形成される。 【0021】図10は、この第1宝石保持具20を使用して形成した指輪30を実施例として示したもので、リング本体31と保持板21を一体的に形成してある。断面V字形に形成した保持板21により宝石15を固定し、保持板27の先端部を十分な長さに形成したことで、宝石15の美しさをより強調した斬新なデザインの指輪30を形成することができる。 【0022】図11は、この第1宝石保持具20を使用した他の実施例を示すもので、断面V字形に形成した保持板21の中央に宝石15を固定し、保持板21の一端には輪環39を取付け、該輪環39にはネックレスチェーン40を挿通してペンダント35を形成したものである。首からぶら下げると、保持板27が開いたデザインとなり、そのの中央には宝石15が取付けられているため、宝石15の美しさをより強調した斬新なデザインのペンダント35を形成することができる。 【0023】図12、13は、本発明の第2の実施の形態である第2宝石保持具50で、図12は第2宝石保持具50の断面図、図13は第2宝石保持具50を指輪として形成した使用状態を示す斜視図である。この第2宝石保持具50は、全体を金属素材、好ましくは、プラチナ、金、銀などの貴金属素材からなる板材を断面V字形として一対の保持板51を形成し、該保持板51の内壁面には、互いに相対する位置に任意宝石15が取付け可能な係止溝部53を形成してある。 【0024】記保持基板51を断面V字形に形成する角度、係止溝部53の下辺部及び上辺部の角度は、前記した第1宝石保持具20の保持板21と場合と同様であるため説明を省略する。 【0025】第2宝石保持具50の保持板55は、第1宝石保持具20のそれよりも更に長く延設され、その先端を互いに外方向に湾曲させることで、宝石保持具50は全体として略花びら形状を形成している。第2宝石保持具50の係止溝部53に宝石15を石留する方法は、前記第1宝石保持具20のそれと同じであり、誰でも簡単に強固な石留めをすることができる。 【0026】図13は、この第2宝石保持具50を指輪60に取付けて形成した実施例を示すもので、該第2宝石保持具50の保持板51をリング本体61と一体に形成したものである。開いた保持板55により形成される花びら形状に宝石15を取付けると、花びらの中央で宝石15が輝きを発揮して、きわめて斬新なデザインかつ審美感にあふれた指輪60を提供することができる。 【0027】以上、本発明に係る宝石保持具をいくつかの実施例に基づいて説明したが、それを以って本発明を限定するものではなく、この発明の精神を逸脱しない限り、種々の改変を加えることができることはいうまでもない。 【0028】 【発明の効果】請求項1の発明によれば、レール留め同様に宝石の前面部を大きく露出して、宝石の輝きを発揮できる石留め手法により、熟練した技術やたがねなどの特殊な工具を必要とせず誰でも短時間に石留め作業が可能な宝石保持具を提供できる。請求項2及び請求項3の発明によれば、宝石保持具の宝石からレール部上端までの距離を長めに採ることができ、種々の斬新なデザイン、例えば、装飾的な花びら形状からなる装身具が提供可能となる。請求項4の発明によれば、宝飾加工用のトーチを使用することなく、作業時間が短く能率的であるばかりか、とも材を使用して宝石を石留めすることができ、きわめて強固な石留めが可能となる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】592081807 【氏名又は名称】株式会社入倉貴金属工芸
|
| 【出願日】 |
平成13年12月14日(2001.12.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100106194 【弁理士】 【氏名又は名称】吉澤 弘朗
|
| 【公開番号】 |
特開2003−180420(P2003−180420A) |
| 【公開日】 |
平成15年7月2日(2003.7.2) |
| 【出願番号】 |
特願2001−381959(P2001−381959) |
|