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【発明の名称】 面ファスナー雌材及び面ファスナー
【発明者】 【氏名】谷内 孝
【住所又は居所】大阪府高槻市八丁畷町11番7号 旭化成株式会社内

【氏名】山崎 博
【住所又は居所】大阪府高槻市八丁畷町11番7号 旭化成株式会社内

【要約】 【課題】着脱強度の耐久性に優れた面ファスナー雌材及び面ファスナーを提供すること。

【解決手段】下記(a)〜(c)を満足する潜在捲縮発現性ポリエステル繊維を10質量%以上含むことを特徴とする面ファスナー雌材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記(a)〜(c)を満足する潜在捲縮発現性ポリエステル繊維を10質量%以上含むことを特徴とする面ファスナー雌材。
(a)初期引張抵抗度が10〜30cN/dtex、(b)顕在捲縮の伸縮伸長率が10〜100%、かつ、顕在捲縮の伸縮弾性率が80〜100%、及び(c)100℃における熱収縮応力が0.1〜0.5cN/dtex。
【請求項2】 請求項1記載の面ファスナー雌材を用いた面ファスナー。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の繊維で構成された面ファスナー雌材及び面ファスナーに関する。詳しくは、着脱強度の耐久性に優れた面ファスナー雌材及び面ファスナーに関する。
【0002】
【従来の技術】鈎型又はきのこ型等のフック部を有する雄材と、ループ型の雌材で構成される面ファスナーは、着脱が容易、雄材と雌材の係合力が適当にあること等から、各種用途に応用されているが、着脱を繰り返していくと徐々に係合力が低下するという欠点を有している。係合力を低下させる原因は主に雌材にあり、雌材の構成繊維(一般には、ナイロン繊維が多く利用されている)の検討、例えば、各種物性のナイロン繊維の利用や熱接着性繊維の併用、雌材の組織、目付、ループ高さ、ループ数等が検討されているが、大きな改善はみられない。本出願人は、先に、特開平11−253209号公報において、ポリトリメチレンテレフタレート繊維で面ファスナー雌材を構成することにより、着脱強度の耐久性に優れた面ファスナー雌材及び面ファスナーを提案したが、さらにハイレベルのものが要求されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、着脱強度の耐久性に優れた面ファスナー雌材及び面ファスナーを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課題を解決するために、種々検討した結果、特定の繊維を用いることにより目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、下記(a)〜(c)を満足する潜在捲縮発現性ポリエステル繊維を10質量%以上含むことを特徴とする面ファスナー雌材である。
(a)初期引張抵抗度が10〜30cN/dtex、(b)顕在捲縮の伸縮伸長率が10〜100%、かつ、顕在捲縮の伸縮弾性率が80〜100%、及び(c)100℃における熱収縮応力が0.1〜0.5cN/dtex。
【0005】以下、本発明について詳細に説明する。本発明における潜在捲縮発現性ポリエステル繊維とは、少なくとも二種のポリエステル成分で構成(具体的には、サイドバイサイド型又は偏芯芯鞘型に接合されたものが多い)されているものであり、熱処理によって捲縮を発現するものである。二種のポリエステル成分で構成されている場合の複合比(一般的に、質量%で70/30〜30/70の範囲内のものが多い)、接合面形状(直線又は曲線形状のものがある)は限定されない。
【0006】潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の総繊度は20〜300dtex、単糸繊度は0.5〜20dtexが好ましいが、これに限定されるものではない。本発明における潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の初期引張抵抗度は10〜30cN/dtexである必要があり、好ましくは20〜30cN/dtex、より好ましくは20〜27cN/dtexである。初期引張抵抗度が30cN/dtexを越えると、ソフトな風合いの面ファスナーが得られにくく、10cN/dtex未満の繊維の製造は困難である。
【0007】本発明における潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の顕在捲縮の伸縮伸長率は10〜100%である必要があり、好ましくは10〜80%、より好ましくは10〜60%である。顕在捲縮の伸縮伸長率が10%未満では、面ファスナーの着脱強度の耐久性が不十分となり、100%を越える繊維の製造は困難である。更に、顕在捲縮の伸縮弾性率は80〜100%である必要があり、好ましくは85〜100%、より好ましくは85〜97%である。顕在捲縮の伸縮弾性率が80%未満では、面ファスナーの着脱強度の耐久性が不十分となり、100%を越える繊維の製造は困難である。
【0008】さらに、本発明における潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の100℃における熱収縮応力は0.1〜0.5cN/dtexである必要があり、好ましくは0.1〜0.4cN/dtex、より好ましくは0.1〜0.3cN/dtexである。100℃における熱収縮応力が0.1cN/dtex未満では、面ファスナーの着脱強度の耐久性が不十分となり、0.5cN/dtexを越える繊維の製造は困難である。
【0009】本発明における潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の熱水処理後の伸縮伸長率は100〜250%であることが好ましく、より好ましくは150〜250%、最も好ましくは180〜250%である。熱水処理後の伸縮伸長率が100%未満では、面ファスナーの着脱強度の耐久性が不十分となりやすく、250%を越える繊維の製造は困難である。熱水処理後の伸縮弾性率は90〜100%であることが好ましく、より好ましくは95〜100%である。熱水処理後の伸縮弾性率が90%未満では、面ファスナーの着脱強度の耐久性が不十分となりやすい。このような特性を有する潜在捲縮発現性ポリエステル繊維としては、固有粘度の異なる2種類のポリトリメチレンテレフタレートが、互いにサイドバイサイド型に複合された単糸から構成された複合繊維があげられる。
【0010】2種類のポリトリメチレンテレフタレートの固有粘度差は0.05〜0.40(dl/g)であることが好ましく、より好ましくは0.10〜0.35(dl/g)、最も好ましくは0.15〜0.35(dl/g)である。例えば、高粘度側の固有粘度を0.70〜1.30(dl/g)から選択した場合には、低粘度側の固有粘度を0.50〜1.10(dl/g)から選択するのが好ましい。低粘度側の固有粘度は0.80(dl/g)以上が好ましく、より好ましくは0.85〜1.00(dl/g)、最も好ましくは0.90〜1.00(dl/g)である。
【0011】この複合繊維自体の固有粘度、すなわち、平均固有粘度は0.70〜1.20(dl/g)が好ましく、0.80〜1.20(dl/g)がより好ましく、0.85〜1.15(dl/g)が最も好ましく、さらに0.90〜1.10(dl/g)が好ましい。なお、本発明でいう固有粘度の値は、使用するポリマーではなく、紡糸した糸の粘度を指す。この理由は、ポリトリメチレンテレフタレートは、ポリエチレンテレフタレート等と比較して熱分解が生じ易く、高い固有粘度のポリマーを使用しても熱分解によって固有粘度が著しく低下し、複合マルチフィラメントにおいては両者の固有粘度差を大きく維持することが困難であるためであるポリトリメチレンテレフタレートは、トリメチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリエステルであり、トリメチレンテレフタレート単位を50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、最も好ましくは90モル%以上含むものをいう。したがって、第三成分として、他の酸成分及び/又はグリコール成分の合計量が50モル%以下、好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下、最も好ましくは10モル%以下の範囲で含有されたポリトリメチレンテレフタレートを包含する。
【0012】ポリトリメチレンテレフタレートは、テレフタル酸又はその機能的誘導体と、トリメチレングリコール又はその機能的誘導体とを、触媒の存在下で、適当な反応条件下に結合せしめることにより合成される。この合成過程において、適当な一種又は二種以上の第三成分を添加して共重合ポリエステルとしてもよいし、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリトリメチレンテレフタレート以外のポリエステル、ナイロン等と、ポリトリメチレンテレフタレートとを別個に合成した後、両者をブレンドしてもよい。ブレンドする際のポリトリメチレンテレフタレートの含有率は50質量%以上である。
【0013】添加する第三成分としては、脂肪族ジカルボン酸(シュウ酸、アジピン酸等)、脂環族ジカルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(イソフタル酸、ソジウムスルホイソフタル酸等)、脂肪族グリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、テトラメチレングリコール等)、脂環族グリコール(シクロヘキサンジメタノール等)、芳香族を含む脂肪族グリコール(1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等)、ポリエーテルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、脂肪族オキシカルボン酸(ω−オキシカプロン酸等)、芳香族オキシカルボン酸(P−オキシ安息香酸等)等がある。又、1個又は3個以上のエステル形成性官能基を有する化合物(安息香酸等又はグリセリン等)も重合体が実質的に線状である範囲内で使用できる。
【0014】さらに、二酸化チタン等の艶消剤、リン酸等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤等が含有されていてもよい。本発明に用いられる潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の製造方法は、上記の特開に開示されており、例えば、3000m/分以下の巻取り速度で未延伸糸を得た後、2〜3.5倍程度で延撚する方法が好ましいが、紡糸−延撚工程を直結した直延法(スピンドロー法)、巻取り速度5000m/分以上の高速紡糸法(スピンテイクアップ法)を採用してもよい。
【0015】繊維の形態は、長繊維でも短繊維でもよいが、長繊維のほうが好ましい。また、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよい。断面形状は、丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平(扁平度1.3〜4程度のもので、W型、I型ブ−メラン型、波型串団子型、まゆ型、直方体型等がある)、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型や不定形なものでもよい。糸条の形態としては、リング紡績糸、オープンエンド紡績糸等の紡績糸、マルチフィラメント原糸(極細糸を含む)、甘撚糸〜強撚糸、混繊糸、仮撚糸(POYの延伸仮撚糸を含む)、流体噴射加工糸等がある。
【0016】必要に応じて30質量%以下の範囲内でウール、綿に代表される天然繊維や合成繊維等他の繊維を混紡(サイロスパンやサイロフィル等)、交絡混繊(高収縮糸との異収縮混繊糸等)、交撚、複合仮撚(伸度差仮撚等)、2フィード流体噴射加工等の手段で混用してもよい。
【0017】本発明において、面ファスナー雌材は、上記のような潜在捲縮発現性ポリエステル繊維で構成されている。面ファスナー雌材中には、本発明の潜在捲縮発現性ポリエステル繊維が10質量%以上含まれていることが必要であり、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上である。中でも、面ファスナー雌材が編布でできている場合、潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の含有率は10質量%以上が必要であり、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上であり、織布、不織布の場合には、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、最も好ましくは40質量%以上である。
【0018】潜在捲縮発現性ポリエステル繊維と混用する場合に用いられる繊維としては、例えば、ウール、綿に代表される天然繊維、ナイロン6、ナイロン66等のナイロン繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、熱接着性繊維等の各種繊維(原糸、嵩高加工糸、短繊維、長繊維等の各種形態で)があるが、ナイロン繊維やポリトリメチレンテレフタレート繊維が好ましい。ナイロン繊維と併用したものを染色する場合、ナイロン繊維のみを染色し、潜在捲縮発現性ポリエステル繊維は染色しない、いわゆる片染めでもよい。
【0019】混用形態は、糸段階で混用してもよいが、交編織、ニードルパンチ等機上で混用した方が好ましく、機上交編により混用するのがより好ましい。面ファスナー雌材の基布としては、編織物、不織布及びこれらの複合体が挙げられる。耐久性の点から、編織物が好ましく、特にフック部と係合しやすい編物がより好ましい。編物の場合、編機として、トリコット編機、ラッセル編機、丸編機等が使用できる。使用する糸の繊度や商品の目的により、適宜、繊度、編機種、ゲージ等を選択する。編組織としては、トリコット編機では、2枚筬組織のハーフ組織、サテン組織、またこれらの組織の組み合わせによる変化組織、ラッセル編機では、パワーネット組織、サテンネット組織、丸編機では、天竺、スムース、フライス組織等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】特に、経編み地において、フロントに潜在捲縮発現性ポリエステル繊維以外の繊維を用い、潜在捲縮発現性ポリエステル繊維をバックに用いる(この場合、開き目より閉じ目のほうが好ましい。フロントとバックの振りの方向は同方向でも異方向でもよい)と、潜在捲縮発現性ポリエステル繊維が編物の中間層に位置するため、フロントに用いた繊維のみの片染めで十分となる。その際に、5〜25dtex程度のナイロンモノフィラメントをミドル又はバックに用いてもよく、その振りもフロントとバックの振りの方向と同方向でも異方向でもよい。
【0021】編物の密度としては、ウェール数20〜60、コース数40〜90が好ましく、ゲージとしては、22〜36ゲージが好ましい。面ファスナー雌材の基布は、常法にしたがい、起毛後染色したり、染色後起毛処理される。本発明の面ファスナー雌材は、一般的には、鈎型又はきのこ型、好ましくは鈎型のフックを有する雄材と一対で面ファスナーを構成する。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。本発明に用いられる評価法は以下のとおりである。
(1)係合力の評価鈎型のフックを有する雄材と、面ファスナーの雌材との着脱を5000回繰り返した後の係合力を、モニター10人によって5段階で官能評価し、加重平均値で評価する。
5級 ;係合力の低下が殆ど無い。
3級 ;係合力が低下している。
1級 ;係合力が大きく低下している。
【0023】(2)固有粘度固有粘度[η](dl/g)は、次式の定義に基づいて求められる値である。
[η]=lim(ηr−1)/CC→0式中のηrは、純度98%以上のo−クロロフェノール溶媒で溶解したポリトリメチレンテレフタレート糸又はポリエチレンテレフタレート糸の稀釈溶液の35℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶媒の粘度で除した値であり、相対粘度と定義されているものである。Cはg/100mlで表されるポリマー濃度である。なお、固有粘度の異なるポリマーを用いた複合マルチフィラメントは、マルチフィラメントを構成するそれぞれの固有粘度を測定することは困難であるので、複合マルチフィラメントの紡糸条件と同じ条件で2種類のポリマーをそれぞれ単独で紡糸し、得られた糸を用いて測定した固有粘度を、複合マルチフィラメントを構成する固有粘度とした。
【0024】(3)初期引張抵抗度JIS L 1013 化学繊維フィラメント糸試験方法の初期引張抵抗度の試験方法に準じ、試料の単位繊度当たり0.0882cN/dtexの初荷重をかけて引張試験を行い、得られた荷重−伸長曲線から初期引張抵抗度(cN/dtex)を算出する。試料を10点、任意に採取して測定し、10点の平均値を求める。
【0025】(4)伸縮伸長率、伸縮弾性率JIS L 1090 合成繊維フィラメントかさ高加工糸試験方法の伸縮性試験方法A法に準じて測定を行い、伸縮伸長率(%)及び伸縮弾性率(%)を算出する。試料を10点、任意に採取して測定し、10点の平均値を求める。顕在捲縮の伸縮伸長率および伸縮弾性率は、巻取りパッケージから解舒した試料を、温度20±2℃、相対湿度65±2%の環境下で24時間放置後に測定を行った。熱水処理後の伸縮伸長率および伸縮弾性率は、無荷重で98℃の熱水中に30分間浸漬した後、無荷重で24時間自然乾燥乾燥した試料を用いて、同様に平均値を求める。
【0026】(5)熱収縮応力熱応力測定装置(カネボウエンジニアリング社製、商品名KE−2)を用い、試料を20cmの長さに切り取り、両端を結んで輪を作り測定装置に装填し、初荷重0.044cN/dtex、昇温速度100℃/分の条件で収縮応力を測定し、得られた温度に対する熱収縮応力の変化曲線から100℃における熱収縮応力を読み取る。試料を10点、任意に採取して測定し、10点の平均値を求める。
【0027】
【参考例1】潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の製造固有粘度の異なるサイドバイサイド型複合マルチフィラメントを以下の製造例1〜4により製造した。
(製造例1)サイドバイサイド型複合紡糸用紡口を用いて、固有粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレートを質量比率1:1でサイドバイサイド型に押出し、紡糸温度265℃、紡糸速度1500m/分で巻き取って未延伸糸を得た。次いで、ホットロール温度55℃、ホットプレート温度140℃、延伸速度400m/分、延伸倍率は延伸後の繊度が56dtexとなるように設定して延撚し、56dtex/12fのサイドバイサイド型複合マルチフィラメントを得た。
【0028】得られた複合マルチフィラメントの固有粘度は、高粘度側が0.90、低粘度側が0.70であった。初期引張抵抗度、顕在捲縮の伸縮伸長率/伸縮弾性率、熱水処理後の伸縮伸長率/伸縮弾性率、及び100℃における熱収縮応力を表1に示す。
(製造例2)上記製造例1と同様の方法で84dtex/12fのサイドバイサイド型複合マルチフィラメントを得た。得られた複合マルチフィラメントの固有粘度は、高粘度側が0.88、低粘度側が0.70であった。初期引張抵抗度、顕在捲縮の伸縮伸長率/伸縮弾性率、熱水処理後の伸縮伸長率/伸縮弾性率、及び100℃における熱収縮応力を表1に示す。
【0029】(製造例3)上記製造例1とは固有粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレートを用い、上記製造例1と同様の方法で56dtex/12fのサイドバイサイド型複合マルチフィラメントを得た。得られた複合マルチフィラメントの固有粘度は、高粘度側が0.86、低粘度側が0.69であった。初期引張抵抗度、顕在捲縮の伸縮伸長率/伸縮弾性率、熱水処理後の伸縮伸長率/伸縮弾性率、及び100℃における熱収縮応力を表1に示す。
【0030】(製造例4)固有粘度の異なる二種類のポリエチレンテレフタレートを用いて56dtex/12fのサイドバイサイド型複合マルチフィラメントを得た。得られた複合マルチフィラメントの固有粘度は、高粘度側が0.66、低粘度側が0.50であった。初期引張抵抗度、顕在捲縮の伸縮伸長率/伸縮弾性率、熱水処理後の伸縮伸長率/伸縮弾性率、及び100℃における熱収縮応力を表1に示す。
【0031】
【実施例1〜3、比較例1】28GGのトリコット編機を利用して、105dtex/12fのナイロン6マルチフィラメント糸をフロント(組織;1−0/3−4)に、バック(組織;1−2/1ー0;閉じ目)に上記の各製造例で得られた複合フィラメントを用いて、機上コース56コースでサテントリコットを編み立てた。製造例1の繊維を用いた例が実施例1、製造例2が実施例2、製造例3が実施例3、製造例4が比較例1である。
【0032】得られた編地を、常法にしたがい、有り巾でプレセット(140℃)後、精練し、一浴で両染め(110℃液流染色機)した。次いで、ワツクス系の起毛剤1質量%を含有する液にディップ、ニップして適量付着後、乾燥巾出しした。引き続き、針布起毛機を用いて編地表面を起毛した後、仕上げセットした。さらに、メチロール化メラミン樹脂により編地裏面をコーティングし、乾燥、キュアリングした。実施例1〜3で作製された面ファスナー雌材の係合力は4.7であり、耐久性に優れたものであった。比較例1では、係合力は3.3であり、耐久性に劣ったものであった。
【0033】
【比較例2】実施例1において、フロントに105dtex/12fナイロン6繊維、バックに30d/12fナイロン6繊維を用いた以外は実施例1と同様にして評価した結果、係合力は2.7であり、実施例1よりも耐久性に劣ったものであった。
【0034】
【比較例3】実施例1において、フロントに固有粘度が0.92の一成分のポリトリメチレンテレフタレート繊維105dtex/12f、バックに固有粘度が0.92の一成分のポリトリメチレンテレフタレート繊維33dtex/12fを用い、分散染料で110℃染色した以外は実施例1と同様にして評価した結果、係合力は3.5であり、実施例1よりも耐久性が劣ったものであった。
【0035】
【表1】

【0036】
【発明の効果】本発明の面ファスナー雌材を用いることにより、係合力の耐久性に優れた面ファスナーが得られる。
【出願人】 【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市北区堂島浜1丁目2番6号
【出願日】 平成14年5月9日(2002.5.9)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−325208(P2003−325208A)
【公開日】 平成15年11月18日(2003.11.18)
【出願番号】 特願2002−134299(P2002−134299)