| 【発明の名称】 |
スナップファスナー用の合成樹脂製雌型部材 |
| 【発明者】 |
【氏名】武田 精
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| 【要約】 |
【課題】横方向への引張りが繰り返されても、内側の周壁部分が弾性復元力を失わず、長期にわたって良好なスナップ作用を維持できるようにする。
【解決手段】中央に貫通孔1が形成された円形の基板2と、その外周部から立ち上がった周壁3とを有し、周壁の上部に環状溝5を形成し、環状溝で囲まれた内側の周壁部分3aに周方向適当間隔おきに切れ目6を形成すると共に、周壁部分の内面に膨出部7を形成して、当該周壁部分を雄型部材の突起部に対する嵌合作用部に形成したスナップファスナー用の合成樹脂製雌型部材において、環状溝5を、相対向する溝側面が平行又は略平行な幅狭の深い溝とすることにより、内側の周壁部分3aが半径方向外方へ弾性変形した際、その上端だけが外側の周壁部分3bに当接して、それ以上の弾性変形が阻止されるように構成する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 中央に貫通孔が形成された円形の基板と、当該基板の外周部から立ち上がった周壁とを有し、前記周壁の上部には、前記貫通孔と同芯状の環状溝を形成し、当該環状溝で囲まれた内側の周壁部分に周方向適当間隔おきに切れ目を形成すると共に、周壁部分の内面には膨出部を形成して、当該周壁部分を雄型部材の突起部に対して弾性的に嵌合離脱自在な嵌合作用部に形成したスナップファスナー用の合成樹脂製雌型部材において、前記環状溝を、相対向する溝側面が平行又は略平行な幅狭の深い溝とすることにより、雌型部材と雄型部材との嵌合状態において前記膨出部が雄型部材の突起部の側面で半径方向外方へ押圧されたとき、前記周壁部分の上端が前記環状溝の外側に位置する周壁部分に当接して、それ以上の弾性変形が阻止されるように構成したことを特徴とするスナップファスナー用の合成樹脂製雌型部材。 【請求項2】 環状溝で囲まれた内側の周壁部分の上面を前記環状溝の外側に位置する周壁部分の上面と面一に形成してあることを特徴とする請求項1に記載のスナップファスナー用の合成樹脂製雌型部材。 【請求項3】 環状溝で囲まれた内側の周壁部分の上面高さを前記環状溝の外側に位置する周壁部分の上面よりも低く形成してあることを特徴とする請求項1に記載のスナップファスナー用の合成樹脂製雌型部材。 【請求項4】 周壁の下面に、放射状のリブで複数に仕切られた円弧状の溝が形成されている請求項1〜3の何れかに記載のスナップファスナー用の合成樹脂製雌型部材。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、衣服のような2枚のシート状部材の一側より打ち込むためのリベット部材と、他側から打ち込むためのリベット部材と、前記2枚のシート状部材間にあって前記2つのリベット部材にかしめ止めされ且つ相互に弾性嵌合する雌型部材と雄型部材とから構成されるスナップファスナーに用いられる合成樹脂製の雌型部材に関する。 【0002】 【従来の技術】図7に示すように、中央に貫通孔1が形成された円形の基板2と、当該基板2の外周部から立ち上がった周壁3とを有し、前記周壁3の上部には、前記貫通孔1と同芯状の環状溝5を形成し、当該環状溝5で囲まれた内側の周壁部分3aに周方向適当間隔おきに切れ目6…を形成すると共に、周壁部分3aの内面には膨出部7を形成して、当該周壁部分3aを雄型部材の突起部に対して弾性的に嵌合離脱自在な嵌合作用部に形成したスナップファスナー用の合成樹脂製雌型部材は、既に知られている。 【0003】この種の合成樹脂製雌型部材は、環状溝5の存在により、環状溝5で囲まれた内側の周壁部分3aが半径方向へ容易に弾性変形し、雄型部材の突起部に対する嵌合作用を円滑に行える利点を有している。 【0004】しかしながら、従来の合成樹脂製雌型部材では、環状溝5が、図示のように、深さの割りに開口端の幅Hが広いV字状の溝に形成されていたので、雌型部材と雄型部材との嵌合状態において前記膨出部7が雄型部材の突起部の側面で半径方向外方へ強く押圧されたとき、つまり、スナップ止めされた衣服の合わせ目が布面に沿って引っ張られたとき、図8に示すように、環状溝5で囲まれた内側の周壁部分3aが、仮想線の状態から実線の状態へと、半径方向外方へ大きく弾性変形することになる。このように、横方向への引張力が作用した際の弾性変形量が大きいため、横方向への引張りが何度か繰り返されることによって、周壁部分3aが弾性復元力を失い、雄スナップとの弾性嵌合(スナップ作用)が極端に緩くなって、不測に嵌合が離脱するという欠点があった。この傾向は、雌型部材をポリエステル樹脂で作製した場合、特に顕著であり、改善が望まれていた。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】上記の現状に鑑み、本発明は、環状溝の外側に位置する周壁部分で、環状溝の内側の周壁部分の弾性変形量を規制することにより、横方向への引張りが繰り返されても、内側の周壁部分が弾性復元力を失わず、長期にわたって良好な弾性嵌合(スナップ作用)を維持できるようにしたスナップファスナー用の合成樹脂製雌型部材を提供するものである。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、本発明が講じた技術的手段は、次のとおりである。即ち、本発明の特徴は、中央に貫通孔が形成された円形の基板と、当該基板の外周部から立ち上がった周壁とを有し、前記周壁の上部には、前記貫通孔と同芯状の環状溝を形成し、当該環状溝で囲まれた内側の周壁部分に周方向適当間隔おきに切れ目を形成すると共に、周壁部分の内面には膨出部を形成して、当該周壁部分を雄型部材の突起部に対して弾性的に嵌合離脱自在な嵌合作用部に形成したスナップファスナーの合成樹脂製雌型部材において、前記環状溝を、相対向する溝側面が平行又は略平行な幅狭の深い溝とすることにより、雌型部材と雄型部材との嵌合状態において前記膨出部が雄型部材の突起部の側面で半径方向外方へ押圧されたとき、前記周壁部分の上端が前記環状溝の外側に位置する周壁部分に当接して、それ以上の弾性変形が阻止されるように構成した点にある。 【0007】上記の構成によれば、スナップ止めされた衣服の合わせ目が布面に沿って引っ張られる等して、雌型部材と雄型部材との嵌合状態において前記膨出部が雄型部材の突起部の側面で半径方向外方へ強く押圧されたとき、環状溝が溝側面を平行又は略平行とした幅狭の深い溝になっているので、半径方向外方への押圧力を受けた部位では、環状溝で囲まれた内側の周壁部分が外方へ弾性変形することにより、当該周壁部分の上端が環状溝の外側に位置する周壁部分に当接して、それ以上の弾性変形が外側の周壁部分によって阻止されることになる。 【0008】従って、環状溝で囲まれた内側の周壁部分の弾性変形量が小さくなり、横方向への引張りが繰り返されても、周壁部分が弾性復元力を失わず、長期にわたって良好な弾性嵌合(スナップ作用)を維持できる利点がある。 【0009】尚、環状溝の相対向する溝側面は、完全な平行にしてもよいが、環状溝成形用金型部分の抜き勾配を、射出成形された製品(雌型部材)において、環状溝の相対向する溝側面の傾斜度合い(抜き勾配)が目視では確認できない程度まで小さくして、略平行な状態とする方が、成形し易く、成形不良が生じ難い点で、好ましい。 【0010】請求項2に記載の発明のように、環状溝で囲まれた内側の周壁部分の上面を、環状溝の外側に位置する周壁部分の上面と面一に形成することは、周壁上面が平坦になって、肌触りが良くなるので、小径のスナップファスナーに好適である。請求項3に記載の発明のように、環状溝で囲まれた内側の周壁部分の上面高さを環状溝の外側に位置する周壁部分の上面よりも低く形成すれば、衣服の洗濯等の際、雌型部材が衣服に接触しても、内側の周壁部分の切れ目に繊維が引っ掛かり難くなるので、繊維のほつれや嵌合作用部の破損変形を防止でき、また、洗濯した衣服にアイロンをかける際、アイロンの底が雌型部材の上面に触れても、環状溝の内,外側に位置する周壁部分の上面高さの差により、内側の周壁部分の上面には接触せず、熱による嵌合作用部への悪影響を防止できることになる。請求項4に記載の発明のように、周壁の下面に、放射状のリブで複数に仕切られた円弧状の溝を形成すれば、材料樹脂を節減しながらも十分な剛性を確保できることになる。 【0011】 【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づいて説明すると、図1〜図3は、本発明に係るスナップファスナー用の合成樹脂製雌型部材Aの一例を示し、図4は前記雌型部材Aを用いて構成したスナップファスナーを示す。図4において、Bは、前記雌型部材Aをシート状部材(例えば、衣服)Cに止着する合成樹脂製のリベット状部材、Dは雄型部材、Eは雄型部材Dをシート状部材Cに止着するためのリベット状部材である。 【0012】前記雌型部材Aは、例えばポリエステル等の合成樹脂の射出成形により製造されたもので、中央に、シート状部材Cを貫通したリベット部材Bの突起部を挿通してカシメ止めするための貫通孔1が形成された円形の基板2と、当該基板2の外周部から立ち上がった周壁3とを有しており、周壁3の下面4は基板2の下面よりもやや上方に位置している。そして、シート状部材Cの片側から貫通孔1に打ち込まれてかしめ止めされるリベット状部材Bの頭部と、基板2の下面及び周壁3の下面4との2箇所で、シート状部材Cを挟持すべく構成してある。 【0013】前記周壁3の上部には、前記貫通孔1と同芯状の環状溝5を形成し、当該環状溝5で囲まれた内側の周壁部分3aに複数本(図示の例では6本)の切れ目6…を周方向等間隔に形成すると共に、切れ目6…間の周壁部分3aの内面には膨出部7を形成して、当該周壁部分3aを雄型部材Dの突起部に対して弾性的に嵌合離脱自在な嵌合作用部に形成してある。周壁3の下面4には、図3に示すように、前記切れ目6…の位置に合わせて配置された切れ目6…と同数個の補強リブ8…で複数に仕切られた円弧状の溝9…が形成されている。基板2の下面には、シート状部材Cに対する回り止めを司る放射状のリブ10…が形成されている。 【0014】前記環状溝5は、相対向する溝側面が平行又は略平行な幅狭の深い溝とされており、これにより、図5に示すように、雌型部材Aと雄型部材Dとの嵌合状態において、シート状部材C,Cが横方向(矢印a,b方向)に引っ張られ、前記膨出部8が雄型部材Dの突起部の側面で半径方向外方へ強く押圧されたとき、内側の周壁部分3aの上端Pだけが環状溝5の外側に位置する周壁部分3bに当接して、それ以上の外方への弾性変形が外側の周壁部分3bによって阻止されるように構成されている。 【0015】尚、環状溝5の相対向する溝側面は、完全な平行に成形してもよいが、図示の例では、環状溝成形用金型部分の抜き勾配を、射出成形された製品(雌型部材A)において、環状溝5の相対向する溝側面の傾斜度合い(抜き勾配)が目視では確認できない程度まで小さくすることにより、環状溝5の相対向する溝側面を略平行な状態に成形している。 【0016】上記の構成によれば、環状溝5を相対向する溝側面が略平行な幅狭の深い溝としたので、雌型部材Aと雄型部材Dとの嵌合状態において、シート状部材C,Cが横方向に引っ張られ、膨出部8が雄型部材Dの突起部の側面で半径方向外方へ強く押圧されたとき、半径方向外方への押圧力を受けた部位では、図5に示すように、内側の周壁部分3aが外方へ弾性変形することにより、当該周壁部分3aの上端Pだけが環状溝5の外側の周壁部分3bに当接することになり、換言すれば、環状溝5の開口端が底部に隙間Sを残存させた状態に閉塞する断面形状にまで弾性変形することになり、それ以上の弾性変形が阻止され、周壁部分3aの弾性変形量が外側の周壁部分3bで規制されることになる。 【0017】従って、嵌合作用部を形成する内側の周壁部分3aの弾性変形量が小さくなり、横方向への引張りが繰り返されても、周壁部分3aがへたらず(弾性復元力を失わず)、長期にわたって良好な弾性嵌合(スナップ作用)を維持できることになる。 【0018】尚、環状溝5の開口端の幅Hと深さは、上記の作用効果が得られる範囲で任意に設定できるが、環状溝5の開口端の幅Hが広過ぎると上記の作用効果が得られず、狭過ぎると、雄型部材Dの突起部との弾性嵌合に大きな力が必要になり、環状溝成形用金型部分の耐久性の確保も困難になるので、環状溝5の開口端の幅Hは、環状溝5の深さの1/3〜1/10に設定することが望ましい。また、図1〜図5に示した実施の形態では、周壁部分3aの上面高さが環状溝6の外側に位置する周壁部分3bの上面よりも低く形成されているが、図6に示すように、環状溝5で囲まれた内側の周壁部分3aの上面を前記環状溝5の外側に位置する周壁部分3bの上面と面一に形成してもよい。後者の実施形態は、周壁3上面が平坦になって、肌触りが良くなるので、小径のスナップファスナーに好適である。 【0019】 【発明の効果】本発明は、上述した構成よりなり、環状溝の外側に位置する周壁部分で、環状溝の内側の周壁部分の弾性変形量を規制するから、横方向への引張りが繰り返されても、内側の周壁部分が弾性復元力を失わず、長期にわたって良好な弾性嵌合(スナップ作用)を維持できるという効果がある。
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| 【出願人】 |
【識別番号】397004836 【氏名又は名称】武田精機株式会社
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| 【出願日】 |
平成14年4月26日(2002.4.26) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−310310(P2003−310310A) |
| 【公開日】 |
平成15年11月5日(2003.11.5) |
| 【出願番号】 |
特願2002−125090(P2002−125090) |
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