| 【発明の名称】 |
面ファスナー |
| 【発明者】 |
【氏名】河野 泰宏 【住所又は居所】神奈川県相模原市南橋本3−8−8 住友スリーエム株式会社内
【氏名】山本 香代子 【住所又は居所】神奈川県相模原市南橋本3−8−8 住友スリーエム株式会社内
【氏名】藤枝 栄一 【住所又は居所】岩手県北上市北工業団地3−17 岩手スリーエム株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】製造が容易に可能であり、強度に優れ、必要な係合力をもち、かつ繰り返しの使用にも耐えることのできる面ファスナーを提供すること。
【解決手段】対をなす係合素子の絡み合い、噛み合わせ等により機械的結合を行う面ファスナーにおいて、少なくとも一方の係合素子が、シート状の基材とその基材上に突起物として配設された複数個のステム体とからなり、かつそれぞれのステム体が、柔軟な弾性樹脂材料と高剛性の硬質樹脂材料の複合体からなるように構成する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 対をなす係合素子の絡み合い、噛み合わせ等により機械的結合を行う面ファスナーにおいて、少なくとも一方の前記係合素子が、シート状の基材とその基材上に突起物として配設された複数個のステム体とからなり、かつそれぞれのステム体が、柔軟な弾性樹脂材料と高剛性の硬質樹脂材料の複合体からなることを特徴とする面ファスナー。 【請求項2】 ループ状係合素子と、前記ステム体をフックとして有するフック状係合素子の対からなるフック・ループ式ファスナーであることを特徴とする請求項1に記載の面ファスナー。 【請求項3】 前記ループ状係合素子及び前記フック状係合素子が、それぞれ、1つの基材の表面又は裏面に配設されていることを特徴とする請求項2に記載の面ファスナー。 【請求項4】 前記ループ状係合素子及び前記フック状係合素子が、それぞれ、異なる基材の表面に配設されていることを特徴とする請求項2に記載の面ファスナー。 【請求項5】 前記フック状係合素子が、それが配設されている基材の裏面にさらに補強材を有していることを特徴とする請求項4に記載の面ファスナー。 【請求項6】 前記補強材が、織布、不織布、編布又はその組み合わせであることを特徴とする請求項5に記載の面ファスナー。 【請求項7】 前記フック状係合素子が、それが配設されている基材の裏面にさらに接着剤層を有していることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の面ファスナー。 【請求項8】 前記ループ状係合素子が、織布、不織布、編布又はその組み合わせの加工により形成されたループをその表面に有していることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の面ファスナー。 【請求項9】 前記ステム体をフックとして有するフック状係合素子の対からなるプレス式ファスナーであることを特徴とする請求項1に記載の面ファスナー。 【請求項10】 前記フック状係合素子が、それぞれ、1つの基材の表面及び裏面に配設されていることを特徴とする請求項9に記載の面ファスナー。 【請求項11】 前記フック状係合素子が、それぞれ、異なる基材の表面に配設されていることを特徴とする請求項9に記載の面ファスナー。 【請求項12】 前記フック状係合素子が、それが配設されている基材の裏面にさらに補強材を有していることを特徴とする請求項11に記載の面ファスナー。 【請求項13】 前記補強材が、織布、不織布、編布又はその組み合わせであることを特徴とする請求項12に記載の面ファスナー。 【請求項14】 前記フック状係合素子が、それが配設されている基材の裏面にさらに接着剤層を有していることを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載の面ファスナー。 【請求項15】 前記ステム体が、円板型、きのこ型、かぎ型、くさび型又はやじり型の頂頭部を有していることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の面ファスナー。 【請求項16】 前記ステム体が、中心材とその外周の実質的な部分を包囲した外被材とを備える2層構造の複合体であることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の面ファスナー。 【請求項17】 前記中心材が前記弾性樹脂材料からなり、かつ前記外被材が前記硬質樹脂材料からなることを特徴とする請求項16に記載の面ファスナー。 【請求項18】 前記中心材が前記硬質樹脂材料からなり、かつ前記外被材が前記弾性樹脂材料からなることを特徴とする請求項16に記載の面ファスナー。 【請求項19】 前記ステム体が、前記硬質樹脂材料からなる幹部と、前記弾性樹脂材料からなる頂頭部とを備えることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の面ファスナー。 【請求項20】 前記ステム体が、中心材とその外周の実質的な部分を順次包囲した中間材及び外被材とを備える3層構造の複合体であることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の面ファスナー。 【請求項21】 前記中心材及び前記外被材が前記硬質樹脂材料からなり、かつ前記中間材が前記弾性樹脂材料からなることを特徴とする請求項20に記載の面ファスナー。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、締結具に関し、さらに詳しく述べると、面接合により機械的な締結状態を確立する方式のメカニカルファスナー(以下、面ファスナーと呼ぶ)に関する。本発明の面ファスナーは、フック・ループ式ファスナーあるいはプレス式ファスナー(例えば、デュアルロックTM式ファスナー)として有利に提供することができる。 【0002】 【従来の技術】周知の通り、繊維製品、プラスチック製品、紙製品などの接合、固定、結束から、産業用部品、電子部品、建材などの固定のため、各種の面ファスナーが提案され、かつ広く利用されている。 【0003】例えば、ベルクロ社から商標名「ベルクロ(VelcroTM)」あるいはクラレ(株)から商品名「マジックテープ」として市販されている面ファスナーは、フック・ループ式ファスナーに属するものであり、衣料用ファスナーとして広く利用されている。ベルクロファスナーは、フックを表面に有するフックテープと輪状のパイルを表面に有するループテープの組み合わせからなる。ループテープは、経糸群をループパイル状に突き出させたナイロン織布を用いて製造され、また、このナイロン織布において各ループの脚部を切断して端部を開口フックとして残すと、フックテープが製造される。しかし、ベルクロファスナーは、織布技術を駆使して製造しなければならないので、製造工程が複雑であり、製造に時間がかかり、かつ製造コストも増加するという問題がある。また、ベルクロファスナーは、織布の加工によって製造されているので、剪断力が高くなく、また、繰り返し使用している間にループやフックがへたってしまい、早期の交換が必要である。 【0004】フック・ループ式ファスナーにおける上述のような問題点を解決するため、織布技術に代えて押出し成形技術を使用して生産速度の向上を図ったものが、米国特許第5,077,870号に開示されているメカニカルファスナー用のきのこ型フックストリップである。このフックストリップのフックは、熱可塑性のプラスチックからなる茎(ステム)部分と、その端部に一体的に形成されたきのこ形の頭部とからなる。 【0005】また、米国特許第5,393,475号には、一体成形によって両面面ファスナーを製造する方法及び装置が開示されている。この面ファスナーでは、その平板状基板の表裏両面に、傾斜したステム状の係合片が一体的に形成されている。基板の両面で係合片の材料が異なるように、2種類の片面面ファスナーをラミネートする方法を採用している。 【0006】ここで従来の技術を整理すると、フック・ループ式ファスナーは、一般的に、複数回の着脱作業を行うことが要求される。しかし、係合しているフックとループを引き離す場合、ループには開放部がないために、ループを破壊せずに引き剥がすためには、フックがある程度変形しなければならない。しかし、上記したようなプラスチック製のフックは、そのプラスチックの剛性が高いので、変形し難く、ループから引き剥すためには塑性状態までの変形が要求され、よって変形もしくは歪みの発生を避けることができない。このようにして変形もしくは歪みを生じたフックは、少ない回数の着脱作業を繰り返しただけで、再び係合するための能力を失ってしまう。また、プラスチック製のフックは、着脱作業を繰り返すうちに破損や破壊を生じることもしばしばである。しかし、このような問題を避けるために高剛性のプラスチックを使用した場合、フックに組み合わせて使用されるループの破損や破壊を生じることとなり、同様に繰り返して係合する能力を失ってしまう。 【0007】さらに、高剛性のプラスチックに代えて柔軟な弾性材料(エラストマー)からフックを形成することも考えられる。このようにして得られるフックは、容易に変形が可能であるので、剥離時、フックそのものの破壊やループの破壊を生じることがない。しかし、フックが容易に変形可能である分、係合力の不足を避けることができない。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のような従来の技術の問題点を解決することを目的とするものであり、その目的は、製造が容易に可能であり、強度に優れ、必要な係合力をもち、かつ繰り返しの使用にも耐えることのできる面ファスナーを提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記した目的は、本発明によれば、対をなす係合素子の絡み合い、噛み合わせ等により機械的結合を行う面ファスナーにおいて、少なくとも一方の前記係合素子が、シート状の基材とその基材上に突起物として配設された複数個のステム体とからなり、かつそれぞれのステム体が、柔軟な弾性樹脂材料と高剛性の硬質樹脂材料の複合体からなることを特徴とする面ファスナーによって達成することができる。 【0010】面ファスナーは、適度な係合強度と繰り返し使用に対する高い耐久性が要求されるが、先に説明したように、それらの特性を同時に満たすことは難しかった。ところが、本発明の面ファスナーでは、一方の係合素子をステム体の形に構成するとともに、そのステム体を剛性の高い材料と柔軟な弾性材料とで形成したので、剛性の高い材料の部分があることで係合強度を高め、かつ柔軟な弾性材料の部分のあることで繰り返し使用の耐久性を向上させることができ、よって、これらの2つの特性をあわせもつ面ファスナーを提供することができる。 【0011】 【発明の実施の形態】本発明による面ファスナーは、対をなす係合素子を機械的に結合させて平面的な結合状態を達成するためのものであり、機械的な係合形態は、必要に応じて他の形態をとってもよいけれども、通常、嵌め合いや絡み合い、噛み合わせなどである。したがって、本発明の面ファスナーは、それが依存する係合形態に応じていろいろな形態をとることができ、かついろいろな形状及び寸法の係合素子を備えることができる。 【0012】本発明の面ファスナーは、典型的には、フック・ループ式の面ファスナー、そしてプレス式の面ファスナー、例えばデュアルロックTM式ファスナーである。また、かかる面ファスナーを構成する係合素子は、例えばフック・ループ式の面ファスナーの場合、基材からZ方向(その厚みに沿った方向)に突き出た突起物(本願明細書では、「ステム体」と呼ぶ)、典型的にはフック状係合素子と、その突起物が係合可能なループ状係合素子との対からなる。すなわち、この方式の面ファスナーでは、ループ状の係合素子にフック状の係合素子を絡み合わせたり、噛み合わせたりなどして機械的係合を得ることができる。さらに、プレス式の面ファスナーの場合には、同一もしくは類似の形状を有する2つの基材を用意して、それぞれの基材からZ方向に突き出たステム体、典型的にはフック状係合素子どうしを引っ掛けたり、嵌め合わせたりなどして機械的係合を得ることができる。かかる面ファスナ−の詳細は、以下で添付図面を参照しながら説明する。 【0013】本発明の面ファスナーは、特に、それを構成する一対の係合素子の少なくとも一方が、フック状の係合素子からなることを特徴とする。フック状の係合素子は、必要に応じて任意の改良や変更を加えてもよいけれども、通常、シート状の基材と、その基材上に突起物として配設された複数個のステム体とからなる。ステム体は、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、円板型、きのこ型、かぎ型、くさび型、やじり型などの頂頭部を有していることが好ましい。このような頂頭部は、相対する係合素子に対してより良好に機械的に係合でき、かつ着脱作業も容易に可能であるからである。 【0014】本発明の面ファスナーでは、それぞれのステム体が、少なくとも2種類の異なる物性を有する材料からなることが必要であり、特に、成形可能な樹脂材料から成形によって形成されることが好ましい。成形に際しては、基材とステム体を別個に形成してもよいが、両者を一体的に成形するのが好ましい。本発明の実施に適当な成形材料は、柔軟な弾性樹脂材料と高剛性の硬質樹脂材料の組み合わせであり、したがって、それぞれのステム体は、通常、かかる2種類の樹脂材料の複合体からなる。ステム体をこのような複合体から構成したことによって、従来のフック状係合素子に比較してより良好な係合強度やその他の効果を得ることができる。 【0015】本発明の面ファスナーにおいて、そのステム体を構成する柔軟な弾性樹脂材料は、好ましくは柔軟な熱可塑性弾性樹脂材料であり、換言すると、サーモプラスチックエラストマーである。このような柔軟な弾性樹脂材料は、ISO178に記載の手法に従って測定した場合、通常、1000MPa未満の曲げ弾性率を有している。かかる弾性樹脂材料としては、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン−スチレン等のスチレン系エラストマー、エチレン−α−オレフィンコポリマー等のオレフィン系エラストマー、エステル系エラストマー、アミド系エラストマー、ウレタン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、シリコーン系エラストマー、フッ素系エラストマー等又はそのアロイ、その他を有利に使用することができる。 【0016】また、上述のような弾性樹脂材料と組み合わせて複合されたステム体の形成に用いられる高剛性の硬質樹脂材料は、好ましくは高剛性の熱可塑性樹脂材料である。このような高剛性の硬質樹脂材料は、通常、1000MPa以上の曲げ弾性率を有している。かかる硬質樹脂材料としては、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、エンジニアリングプラスチックと称される、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアセタール、ポリメチルペンテン、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド等、汎用樹脂と称される、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレン)、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等またはそのアロイ、その他を有利に使用することができる。 【0017】本発明の実施において、ステム体の形成に用いられるこれらの2種類の樹脂材料は、特に組み合わせの指定はないが、双方の化学的な親和力が高くなるように材料の選択を行うのが好ましい。このような樹脂材料において、化学的な親和力が高ければ、係合強度は向上するからである。また、これらの樹脂材料の係合強度を向上させるため、一方もしくは両方の樹脂材料に相溶化剤を添加して、化学的な親和力を高める処理を施すことが推奨される。適当な相溶化剤としては、例えば、エチレン−プロピレンブロックコポリマーやその他の多成分からなるコポリマーなどを挙げることができる。さらに、ステム体は通常2種類の樹脂材料から形成されるけれども、それらの樹脂材料を構成するモノマーを主成分として形成されたコポリマーを第3の樹脂材料(バインダ)として、基本の2種類の樹脂材料の間で使用することも推奨される。 【0018】さらに加えて、ステム体の形成に用いられる樹脂材料は、必要に応じて、各種の添加材(剤)を含有することができる。適当な添加材(剤)の例は、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、フィラー、例えばガラス繊維、ウイスカー等、難燃剤、帯電防止剤、着色剤、例えば顔料又は染料、老化防止剤、軟化剤、架橋剤などを包含する。また、かかる樹脂材料は、射出成形法や押出し成形法などでステム体を形成するために熱可塑性であることが好ましいが、分子内にシランカップリング基を共重合するなどして、成形後に架橋結合を行わせ、耐熱性を付与してもよい。 【0019】本発明は、1つの好ましい形態において、ループ状係合素子と、ステム体をフックとして有するフック状係合素子の対からなるフック・ループ式の面ファスナーにある。このような面ファスナーにおいて、ループ状係合素子及びフック状係合素子は、それぞれ、異なる基材の表面に配設されていてもよく、さもなければ、1つの共通した基材の表面又は裏面にそれぞれ配設されていてもよい。 【0020】図1は、本発明によるフック・ループ式の面ファスナー10の前者の例を模式的に示した断面図である。図では、機械的に係合されているループ状係合素子30と、フック状係合素子20を引き剥がす途中の状態が示されている。ループ状の係合素子30は、基材31と、その片面に設けられた、多数個のループが複雑に絡み合って形成されたループ材32とからなる。フック状の係合素子20は、基材21と、その片面に配設された多数個のフック24とからなる。基材21とフック24は、一体的に成形されている。それぞれのフック24は、ステム体22と、頂頭部23とからなる。図示の頂頭部24はきのこ型である。フック24は、図示されるように、その頂頭部23がループ材32のループに引っ掛かって強固に係合しており、しかしながら、剥離時、強い剥離力をかけずに、かつ大きな剥離音をたてずに、容易に引き剥がすことが可能である。 【0021】さらに説明すると、ループ状係合素子は、フック・ループ式の面ファスナーの分野で一般的に使用されてループ状係合素子と同様な構成、形状及び寸法を有することができる。すなわち、ループ状係合素子は、通常、プラスチックシート、繊維シート等の基材の片面にループ材を積層した構成を有することができ、また、ループ材は、好ましくは、織布、不織布、編布又はその組み合わせを加工することによって、多数個のループをその表面に有しているように構成することができる。基材のもう1つの面(ループ材を保持しない面)は、必要に応じて、接着剤層やそれを保護した離型紙などを有していてもよい。 【0022】フック状係合素子は、そのステム体が上述しかつ以下に詳細に説明するように本発明に従い弾性樹脂材料と硬質樹脂材料の複合体からなること、そしてシート状の基材とその基材上に突起物として配設された複数個のステム体とからなることの2つの要件が満たされる限り、いろいろな形態、形状、寸法などを有することができる。 【0023】フック状係合素子において、そのステム体は、通常、円形の横断面を有する円柱体であるけれども、必要に応じて、四角柱、六角柱などの柱状体であってもよい。また、このようなステム体の基部は、スミ肉構造を有しているのが好ましい。強度及び剛性の両面を向上できるばかりでなく、製造時、金型から取り外しが容易に可能であるからである。 【0024】また、それぞれのステム体は、機械的係合作用の改良のため、円板型、きのこ型、かぎ型、くさび型又はやじり型の頂頭部を有していることが好ましい。必要ならば、その他の形状の頂頭部であってもよい。 【0025】フック状係合素子では、そのステム体をいろいろな寸法及び分布密度で基材上に配設することができる。基本的には、ステム体の寸法及び分布密度は、フック状係合素子の係合対象であるループ状又はフック状係合素子の状態によって決定される。例えばフック・ループ式の面ファスナーの場合、個々のステム体の寸法及び間隔(スペース)は、ループ材の種類やそれぞれのループの形状及び寸法などによって決定される。 【0026】一般的に、ステム体は、均一な高さを有しており、かつ好ましくは約0.5〜5mmの高さ、さらに好ましくは、約1〜3mmの高さを有している。また、これらのステム体は、通常、均一な間隔で配設されている。隣りどうしのステム体の中心間の距離は、通常、約0.5〜2.5mmの範囲である。しかし、これらの範囲は一例であって、場合によってはより大きなもしくはより小さな高さのステム体を使用してもよく、さもなければ、より大きなもしくはより小さな間隔でステム体を配設してもよい。 【0027】また、それぞれのステム体において、ステム体の直径と高さの比も広い範囲で変更することができる。ステム体の高さと直径の比は、通常、約2:1〜10:1の範囲であることが好ましく、また、ステム体の頂頭部とその幹部の直径との比は、通常、約1.5:1〜3:1の範囲である。 【0028】さらに、それぞれのステム体は、任意のパターンで基材上に配列することができる。ステム体の好ましい配列パターンは、四角形又は三角形であり、また、基材上に全面的に均一に配列するのが好ましい。なお、以下に詳細に説明するプレス式の面ファスナーの場合には、フックどうしを絡み合わせた時にフックの横滑りが生じないように、配列パターンを工夫することが好ましい。 【0029】本発明の面ファスナーにおいて、フック状係合素子は、本発明の範囲内でいろいろに改良もしくは変更することができる。例えば、フック状係合素子は、それが配設されている基材の裏面にさらに接着剤層を有していることが好ましく、さらには、その接着剤層が離型紙などで保護されていることが好ましい。 【0030】図2は、接着剤層を備えたフック状係合素子の一例を模式的に示したものである。フック状の係合素子20は、先に図1を参照して説明したものと同様に、基材21と、その片面に配設された多数個のフック24とからなり、また、それぞれのフック24は、ステム体22と、きのこ型の頂頭部23とからなる。基材21のフック4を有しない面には、接着剤層25が設けられ、また、接着剤層25の露出面には離型紙26が積層されている。接着剤層を設けることによって、係合素子を任意の物品に取り付けるのが容易に可能となり、また、離型紙を積層したことによって、取り扱い性が格段に向上する。 【0031】接着剤層は、任意の接着剤及び粘着剤を使用して形成することができる。適当な接着剤としては、例えば、ホットメルト型接着剤、例えばJet−meltTMEC−3748などを挙げることができ、また、適当な粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、例えばSKダイン(綜研化学製)などを挙げることができる。また、基材の表面に対する接着剤層の接合強度を高めるため、基材の表面にコロナ放電処理、プライマ処理などを予め施してもよく、さもなければ、表面積を上げるため、エンボス加工、サンドブラスト処理などを施してもよい。 【0032】フック状係合素子は、上記したように、接着剤層の存在もしくは不存在においてそのままの状態で使用してもよく、さもなければ、適当な部材と組み合わせて使用してもよい。例えば、衣料用途などの場合、接着剤層を利用して適当な場所に貼り付けてもよく、接着剤の代わりに縫い糸を利用して適当な場所に縫い付けてもよい。さらには、そのままの状態では強度などの面で望ましくないような場合には、基材の裏面にさらに補強材やその他の部材を施してから、適当な場所に貼り付けたり縫い付けたりしてもよい。例えば、繊維製品にフック状係合素子を縫製加工によって取り付ける場合にこの手法を有利に使用することができる。 【0033】図3は、補強材を備えたフック状係合素子の一例を模式的に示したものである。フック状係合素子20は、先に図1を参照して説明したものと同様に、基材21と、その片面に配設された多数個のフック24とからなり、また、それぞれのフック24は、ステム体22と、きのこ型の頂頭部23とからなる。基材21のフック4を有しない面には、本発明に従い補強材27が設けられている。本発明の面ファスナーでは、そのフック状係合素子を弾性樹脂材料と高剛性の硬質樹脂材料から構成したので、硬質樹脂材料の欠点である引裂き強度の不足を弾性樹脂材料で補うことができ、縫製でできた穴から生じる引裂けを効果的に防止することができる。ところが、本発明により補強材をさらに併用すると、引裂き強度をより一層向上できるということが判明した。適当な補強材は、例えば、繊維でできたウエブ、例えば、織布、不織布、編布又はその組み合わせである。これらの補強材は、通常、ラミネート加工によって基材の片面に有利に施すことができる。例えば、フック状係合素子の成形時、その素子の材料と同時にもしくは必要ならその前後に補強材を差し込むことによって、簡単な手法で補強材をラミネート加工することができる。もちろん、好ましいならば、接着剤やその他の接合手段を使用して補強材を積層してもよい。 【0034】さらに、このような補強材に組み合わせて、その補強材のフックとは反対側の面にループ材を設けるのも有利である。一方の面にフック状係合素子を、他方の面にループ状係合素子を備えた両面面ファスナーが得られるからである。このような両面面ファスナーは、それを短冊状に裁断して、結束帯などとして有利に使用することができる。 【0035】図4は、本発明による両面面ファスナーの一例を模式的にしめしたものである。面ファスナー20において、ループ材32及びフック24が、それぞれ、1つの基材21の表面又は裏面に配設されていることが容易に理解できるであろう。なお、図では上述の補強材が示されていないが、通常、加工性や取り扱い性などの面から補強材の併用が有利である。 【0036】本発明は、もう1つの好ましい形態において、ステム体をフックとして有するフック状係合素子の対からなるプレス式ファスナーにある。このような面ファスナーにおいて、フック状係合素子は、それぞれ、異なる基材の表面に配設されていてもよく、さもなければ、両面面ファスナーを構成するため、1つの基材の表面及び裏面に配設されていてもよい。 【0037】図5は、本発明によるプレス式面ファスナーの前者の例を模式的に示した断面図である。この面ファスナー10では、同じ構成を有する2つのフック状係合素子20がそれらのフック24を介して嵌め合わされている。それぞれのフック状係合素子20は、先に図1を参照して説明したものと同様に、基材21と、その片面に配設された多数個のフック24とからなり、また、それぞれのフック24は、ステム体22と、きのこ型の頂頭部23とからなる。また、フック状係合素子20は、先に図2を参照して説明したように、フック24が配設されている基材21の裏面にさらに補強材を有していてもよい。補強材は、前記したように、好ましくは、繊維からできたウエブ、例えば織布、不織布、編布又はその組み合わせなどである。さらに、フック状係合素子20は、フック24が配設されている基材21の裏面にさらに接着剤層及び必要に応じて離型紙を有していてもよい。 【0038】図6は、本発明によるプレス式面ファスナーの後者(両面面ファスナー)の例を模式的に示した断面図である。この面ファスナー10では、1つの基材21の両面に、相対するようにして一群のフック24を有している。それぞれのフック24は、同一の構造を有し、かつステム体22と、きのこ型の頂頭部23とからなる。なお、図示の面ファスナー10では、同一の構造を有するフック24が使用されているが、それぞれの係合力をコントロールするために、形状や配列密度を変えたり、さらにはフックの構成材料自体も変更してもよい。例えば、面ファスナーの片面において永久結合が求められるような場合には、その面のフックは、剛性の高い材料のみで構成してもよい。 【0039】本発明の面ファスナーでは、その少なくとも一方の係合素子を構成するステム体が、柔軟な弾性樹脂材料と高剛性の硬質樹脂材料の複合体からなる。ここで、それぞれのステム体内における弾性樹脂材料と硬質樹脂材料の組み合わせは、特に限定されるものではなく、本発明の作用効果が得られる範囲内において、種々に変更可能である。 【0040】例えば、それぞれのステム体は、中心材とその外周の実質的な部分を包囲した外被材とを備える2層構造の複合体であることができる。このような2層構造の複合体の場合、例えば、中心材が弾性樹脂材料からなり、かつ外被材が硬質樹脂材料からなることが好ましく、あるいは、中心材が硬質樹脂材料からなり、かつ外被材が弾性樹脂材料からなることも好ましい。 【0041】また、別の態様によれば、それぞれのステム体は、硬質樹脂材料からなる幹部と、弾性樹脂材料からなる頂頭部とを備えることも好ましい。 【0042】また、それぞれのステム体は、中心材とその外周の実質的な部分を順次包囲した中間材及び外被材とを備える3層構造の複合体であることもできる。このような3層構造の複合体の場合、例えば、中心材及び外被材が硬質樹脂材料からなり、かつ中間材が弾性樹脂材料からなることが好ましい。 【0043】図7〜図15は、それぞれ、本発明のフック状係合素子(フック部分)の好ましい構成例を示した断面図である。なお、当然のことながら、図示のものは一例であり、これによって本発明の範囲が制限されるものではない。 【0044】図7のフック24は、その中心材が弾性樹脂材料41からなり、かつそれを取り囲む外被材が硬質樹脂材料42からなる。弾性樹脂材料41は、フック24のステム体のほぼ全体を占め、きのこ型の頂頭部もこれで構成する。頂頭部が弾性樹脂材料41で形成されているので、フック24をその破損を伴わずに繰り返し使用可能である。また、弾性樹脂材料41は、フック状係合素子の基材をも構成することができ、さらにその基材のフック24とは反対側の面には、硬質樹脂材料42をもってバッキング層を形成することもできる。 【0045】図8のフック24は、その中心材が硬質樹脂材料42からなり、かつそれを取り囲む外被材と頂頭部が弾性樹脂材料41からなる。硬質樹脂材料42がフック24の骨格を占めているので、腰のあるフック24が得られる。また、頂頭部が弾性樹脂材料41で形成されているので、繰り返し使用が可能である。また、硬質樹脂材料42は、フック状係合素子の基材をも構成することができ、さらにその基材のフック24とは反対側の面には、弾性樹脂材料41をもってバッキング層を形成することもできる。 【0046】図9のフック24は、その幹部のほぼ全体を硬質樹脂材料42から形成し、その幹部に取り付けた頂頭部を弾性樹脂材料41から構成した例である。フック24の材料をこのように使い分けた場合にも、本発明の作用効果を得ることができる。 【0047】図10のフック24は、図9のフック24の変形例である。このフック24では、その幹部のほぼ全体を硬質樹脂材料42から形成し、その幹部に取り付けた頂頭部を弾性樹脂材料41から構成するとともに、硬質樹脂材料42からなる幹部に、下方の外被材として、弾性樹脂材料42を被覆している。弾性をもった外被材の働きによって、適度のフレキシビリティがフック24に対して付与される。 【0048】図11は、フックを3層構造の複合体の形で構成した例を示している。図示のように、フック24は、その中心材と外被材が硬質樹脂材料42からなり、かつ中心材と外被材とによってサンドイッチされた中間材と頂頭部とが弾性樹脂材料41からなる。フック24をこのような複合体としたので、図7及び図8に示したフック24の相乗効果を得ることができる。 【0049】また、このような3層構造の複合体からなるフック24に図12に示すような変更(硬質樹脂材料42からなる中心材の高さの減少)を加えることによって、弾性樹脂材料41の増加によるフレキシビリティのさらなる増加を達成することができる。 【0050】図13のフック24は、図7のフック24において、きのこ型の頂頭部に代えてかぎ型の頂頭部を設けた例である。このようなフック24も、その他の構成のフックと同様に、容易に製造することができ、かつ満足し得る機械的係合やその他の効果をもたらすことができる。 【0051】また、図14のフック24は、図7のフック24において、きのこ型の頂頭部に代えてくさび型の頂頭部を設けた例である。このようなフック24も、その他の構成のフックと同様に、容易に製造することができ、かつ満足し得る機械的係合やその他の効果をもたらすことができる。 【0052】さらに、図15のフック24は、図8のフック24の1変形例を示している。このフック24では、その中心材を構成する硬質樹脂材料42の分布を幹部の下方のみに限定したので、弾性樹脂材料41に由来するフレキシビリティなどを効果的に高めることができる。 【0053】ところで、図7〜図15の断面図は、それぞれのフックを中央部で長手方向に切断して観察したものであるので、それぞれの樹脂材料の配置の仕方によっては、その(それらの)樹脂材料の一部が図面に現れないということも理解されたい。 【0054】本発明による面ファスナーは、射出成形法、押出し成形法などの技法を使用して簡単にかつ正確に製造することができ、欠陥品の発生による歩留まりの低下も回避することができる。参考までに示すと、本発明の面ファスナーは、例えば、国際公開第WO99/17630号及び同第WO99/17631号に記載のウエブ製造方法を応用して、有利に実施することができる。 【0055】 【実施例】引き続いて、本発明をその実施例を参照して説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって限定されるものでないことは言うまでもない。 実施例1本例では、図7に示す断面形状をもった、頂頭部がきのこ型のフック状係合素子を作製した。 【0056】ABA2種3層押出し機(シングルスクリュータイプ、L/D=26/1、直径=約30mm)を用意し、そのA用原料供給ホッパーにポリブチレンテレフタレート(三菱エンジニアリングプラスチック製、商品名「Novaduran5010R7」)を装入し、スクリュー回転数69rpm及びシリンダー温度約285℃の条件で押出し機に供給した。一方、B用原料供給ホッパーにポリエステルエラストマー(東レデュポン製、商品名「Hytrel5557」)を装入し、スクリュー回転数35rpm及びシリンダー温度約285℃の条件で押出し機に供給した。 【0057】それぞれの原料樹脂を、溶融した状態のまま、押出し機の先端に取り付けられた2種3層用ダイから回転中のロール状金型上に押出した。ここで使用した金型の表面には、ステム体密度が140個/cm2の係合素子形成用のキャビティが加工されており、また、それぞれのキャビティは、外部減圧系によって排気可能に設計されている。次いで、金型から出た直後のシート状成形物を一対のニップロール間を通過させた。金型のキャビティに対応するステム体を表面に配設されたウエブが得られた。 【0058】引き続いて、得られたウエブのステム体に、約190℃に加熱したステンレス鋼製部材を押し付けたところ、所望の形状をもったフック状係合素子が得られた。この係合素子において、基材の厚さは0.14mmであり、ステム体の高さは0.35mm、直径は約0.29mm、そしてきのこ型の頂頭部の直径は0.49mmであった。 〔評価試験〕得られたフック状係合素子(以下、「供試フック材」という)を、下記の評価項目に関して、記載のような手順に従って試験した。 (1)剪断力の測定2枚のステンレス鋼製パネル(幅50mm×長さ100mm×厚さ1mm)を用意した。市販のループ材(3M社製、商品名「Scotchmate(スコッチメート)SJ3527」を幅25mm(有効幅22mm)×長さ約40mmに切断した後、一方のパネルの表面に、パネルとループ材のエッジが揃うように注意して貼り付けた。また、供試フック材を幅約30mm×長さ約40mmに切断した後、他方のパネルの表面に、両面粘着テープを使用して、パネルと供試フック材のエッジが揃うように注意して貼り付けた。2枚のパネルを重ね合わせ、供試フック材とループ材が30mmの長さで絡み合うようにし、その上を2kgの重さのローラを1往復させた。それぞれのパネルの端部を引っ張り試験機(Instronモデル1122)のチャックに挟み、300mm/分の引っ張り速度でせん断方向に引き剥がした時のピーク値(剪断力、N/cm2)を求めた。また、得られた測定結果を「良」、「可」及び「不良」の3段階で評価した。下記の第1表に記載のような測定及び評価結果が得られた。 (2)タック剥離力の測定図16(A)に示すように、係合後の面ファスナーを垂直方向に引き剥すためのT字型の冶具(重さ70g)51及び52を用意した。これらの冶具において、接合面の面積は、面ファスナーの係合面積に相当し、幅30mm×長さ30mmであった。一方の冶具51に市販のループ材(住友3M社製、商品名「メカニカルファスナーループNC−2017」)32を貼り付け、他方の冶具52に供試フック材24を両面粘着テープを使用して貼り付けた。貼り付けが完了した後、冶具からはみ出た材料を冶具の接合面に合わせてトリミングした。 【0059】次いで、図16(B)に示すように、冶具どうしがずれないように注意しながら供試フック材24とループ材32を絡み合わせ、それぞれの冶具のつまみ部分を引っ張り試験機(Instronモデル1122)のチャックで挟み込んだ。チャックの間隔は、約25mmであった。供試フック材24とループ材32を300mm/分の引っ張り速度で垂直方向に引き剥がした時のピーク値(タック剥離力、N/cm2)を求めた。同一の供試フック材について5回にわたって測定を繰り返し、その平均値を求めた。また、得られた測定結果を「良」、「可」及び「不良」の3段階で評価した。下記の第1表に記載のような測定及び評価結果が得られた。 (3)繰り返し剥離による供試フック材の欠損(欠損数の測定) 市販のループ材(住友3M社製、商品名「メカニカルファスナーループNC−2017」)の粘着面にBOPPフィルム(#20)を貼り合わせ、約10cm×10cmの大きさに切断した。次いで、供試フック材を30mm×60mmの大きさに切断し、その長手方向の先端部を片方の手で摘むとともに、ループ材の一端をもう片方の手で摘み、供試フック材とループ材の係合−脱着を50回にわたって繰り返した。その際、両者の係合部位に偏りが生じないように、広範囲の部位について係合−脱着を繰り返した。試験の終了後、供試フック材において欠損が生じたか否かをルーペ(約10倍の倍率)を使用して目視により観察し、「良」(欠損なし)、「可」(僅かに欠損があるが、許容範囲である)及び「不良」(欠損あり)の3段階で評価した。下記の第1表に記載のような評価結果が得られた。 比較例1前記実施例1に記載の手法を繰り返したが、本例では、比較のため、単一組成のフック状係合素子を作製した。 【0060】ABA2種3層押出し機(シングルスクリュータイプ、L/D=26/1、ダイ直径=約30mm)のA用原料供給ホッパー及びB用原料供給ホッパーのそれぞれにポリブチレンテレフタレート(三菱エンジニアリングプラスチック製、商品名「Novaduran5010R7」)を装入し、スクリュー回転数55rpm及びシリンダー温度約300℃の条件で押出し機に供給した。次いで、原料樹脂を、溶融した状態のまま、押出し機の先端に取り付けられたTダイから金型上に押出し、さらに続けて、金型から出た直後のシート状成形物を一対のニップロール間を通過させた。金型のキャビティに対応するステム体を表面に配設されたウエブが得られた。引き続いて、得られたウエブのステム体に、約210℃に加熱したステンレス鋼製部材を押し付けた。 【0061】得られたフック状係合素子を前記実施例1と同様に、(1)剪断力、(2)タック剥離力、及び(3)繰り返し剥離による供試フック材の欠損、の3項目に関して試験したところ、下記の第1表に記載のような試験結果が得られた。 比較例2前記実施例1に記載の手法を繰り返したが、本例では、比較のため、単一組成のフック状係合素子を作製した。 【0062】ABA2種3層押出し機(シングルスクリュータイプ、L/D=26/1、直径=約30mm)のA用原料供給ホッパー及びB用原料供給ホッパーのそれぞれにポリエステルエラストマー(東レデュポン製、商品名「Hytrel5557」)を装入し、スクリュー回転数55rpm及びシリンダー温度約300℃の条件で押出し機に供給した。次いで、原料樹脂を、溶融した状態のまま、押出し機の先端に取り付けられたTダイから金型上に押出し、さらに続けて、金型から出た直後のシート状成形物を一対のニップロール間を通過させた。金型のキャビティに対応するステム体を表面に配設されたウエブが得られた。引き続いて、得られたウエブのステム体に、約190℃に加熱したステンレス鋼製部材を押し付けた。 【0063】得られたフック状係合素子を前記実施例1と同様に、(1)剪断力、(2)タック剥離力、及び(3)繰り返し剥離による供試フック材の欠損、の3項目に関して試験したところ、下記の第1表に記載のような試験結果が得られた。 比較例3前記実施例1に記載の手法を繰り返したが、本例では、比較のため、単一組成のフック状係合素子を作製した。 【0064】ABA2種3層押出し機(シングルスクリュータイプ、L/D=26/1、ダイ直径=約30mm)のA用原料供給ホッパー及びB用原料供給ホッパーのそれぞれにポリプロピレン(ユニオンカーバイド社製、商品名「SRD7−587」)を装入し、スクリュー回転数55rpm及びシリンダー温度約260℃の条件で押出し機に供給した。次いで、原料樹脂を、溶融した状態のまま、押出し機の先端に取り付けられたTダイから金型上に押出し、さらに続けて、金型から出た直後のシート状成形物を一対のニップロール間を通過させた。金型のキャビティに対応するステム体を表面に配設されたウエブが得られた。引き続いて、得られたウエブのステム体に、約120℃に加熱したステンレス鋼製部材を押し付けた。 【0065】得られたフック状係合素子を前記実施例1と同様に、(1)剪断力、(2)タック剥離力、及び(3)繰り返し剥離による供試フック材の欠損、の3項目に関して試験したところ、下記の第1表に記載のような試験結果が得られた。 【0066】 【表1】
【0067】〔考察〕上記した第1表の試験結果から、次のようなことが考察される。 【0068】剪断力及びタック剥離力についてみると、単一組成(エラストマー単体)で構成される供試フック材(比較例2)の数値が極端に低い。これは、エラストマー単体では物理的な強度が低いため、ループ材と係合してから脱着する時に、フック材が容易にループ材から外れるためである。これに対して、実施例1では、剛性の高い樹脂が供試フック材の物理的強度を上げているため、剪断力及びタック剥離力とも高い数値が得られている。 【0069】一方、繰り返し剥離による供試フック材のダメージを観察した場合、剛性の高い樹脂単体で構成される供試フック材(比較例1及び比較例3)では、フック材の破損が観察された。比較例1では、フック材の頂頭部が取れているものが観察され、また、比較例3では、頂頭部は残っているものの、ほとんどのフック材で、ステムの部分から倒れているものが観察された。これに対して、実施例1では、供試フック材のダメージは少しも観察されなかった。 【0070】 【発明の効果】以上に詳細に説明したように、本発明によれば、面ファスナーの製造が容易に可能であり、製造時間やコストの低減を図ることができる。また、この面ファスナーは、強度に優れ、着脱作業を繰り返す間にたやすく破損したり破壊したりすることがない。さらに、この面ファスナーは、優れた係合力をもち、しかも繰り返しの使用にも耐えることができる。 【0071】さらにまた、本発明の面ファスナーは、各種のメカニカルファスナー、例えばフック・ループ式ファスナー、プレス式ファスナー(例えば、デュアルロックTM式ファスナー)などとして有利に利用することができる。例えば、この面ファスナーは面接着なので、ガタツキやビビリ音のない接合が可能である。また、接合部を目立たせない程度に嵌合厚が薄く柔軟であり、追従性に優れ、隠し留めシステムが可能であり、設計の自由度も大である。また、接合する位置や方向を選ばず、スペースをとらない接合設計が可能である。さらに、位置決めが簡単で、繰り返しの着脱に耐え、補修も容易に可能である。 【0072】さらに加えて、本発明の面ファスナーは、上述のような優れた効果を利用して、メカニカルファスナー以外の分野でも有利に利用することができる。例えば、フック状係合素子は、滑り止め部材として有利に使用することができる。例えば、電子写真プリンタ、インクジェットプリンタ、レーザプリンタなどにおいて、記録紙搬送システムに本発明のフック状係合素子を貼付するなどして取り付け、より良好な給紙作業を行うことができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】599056437 【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 【住所又は居所】アメリカ合衆国,ミネソタ 55144−1000,セント ポール,スリーエム センター
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| 【出願日】 |
平成14年1月10日(2002.1.10) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100077517 【弁理士】 【氏名又は名称】石田 敬 (外4名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−204809(P2003−204809A) |
| 【公開日】 |
平成15年7月22日(2003.7.22) |
| 【出願番号】 |
特願2002−3445(P2002−3445) |
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