| 【発明の名称】 |
スライドファスナー及び構成部材付き被着物の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】菊川 範夫
【氏名】杉本 保彦
【氏名】福山 貴博
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| 【要約】 |
【課題】鍍金処理によって装飾性が高く、耐食性等の品質及び機能上問題のないスライドファスナーを提供すること及び構成部材付き被着物の製造方法を提供すること。
【解決手段】対向する一対のスライドファスナーテープ縁部に多数のエレメントが装着されてなるスライドファスナーにおいて、前記エレメントを、前記スライドファスナーテープの長手方向においてエレメント同士が対向する対向面と前記対向面以外の表面部とからなるものとし、前記対向面には無電解鍍金による被膜を形成し、前記表面部には電解鍍金による被膜を形成する。前記表面部の被膜はSn、Cu−Sn合金、Cu−Sn−Zn合金、Rh、Pd及びCuの鍍金から選ばれる単層又は積層被膜とし、前記対向面の被膜はSn鍍金とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 対向する一対のスライドファスナーテープ縁部に多数のエレメントが装着されてなるスライドファスナーであって、前記エレメントは、前記スライドファスナーテープの長手方向においてエレメント同士が対向する対向面と前記対向面以外の表面部とからなり、前記対向面は無電解鍍金による被膜が形成され、前記表面部は電解鍍金による被膜が形成されてなることを特徴とするスライドファスナー。 【請求項2】 前記表面部の被膜厚さが0.005〜5μmであり、前記対向面の被膜厚さが0.005〜0.2μmである請求項1記載のスライドファスナー。 【請求項3】 前記表面部の被膜がSn、Cu−Sn合金、Cu−Sn−Zn合金、Rh、Pd及びCuの鍍金から選ばれる単層又は積層被膜であり、前記対向面の被膜がSn鍍金である請求項1又は2記載のスライドファスナー。 【請求項4】 スライドファスナーテープの長手方向の端部に止具が装着されており、前記止具は、前記長手方向に垂直な面には無電解鍍金による被膜が形成され、前記長手方向に平行な表面部には電解鍍金による被膜が形成されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスライドファスナー。 【請求項5】母材が、丹銅、真鍮及び下記一般式で表される合金から選ばれる一種であることを特徴とする請求項1〜4に記載のスライドファスナー。 一般式:CuaZnbMncMdXe(但し、MはAl及びSnから選ばれる少なくとも一種の元素、XはSi、Ti及びCrから選ばれる少なくとも一種の元素、a,b,c,d及びeは質量%で、aは残部、0≦b≦22、7≦c≦20、0≦d≦5、0≦e≦0.3で、不可避的元素を含み得る。) 【請求項6】 金属あるいは合金からなる長尺体の表面に電解鍍金処理を施し、これを構成部材に切断し、その後、得られた構成部材を被着物に装着後、無電解鍍金を施すことを特徴とする構成部材付き被着物の製造方法。 【請求項7】 前記構成部材付き被着物がスライドファスナーまたはスライドファスナーチェーンであり、前記被着物がスライドファスナーテープで、構成部材がエレメント及び/又は止具であることを特徴とする請求項6記載の構成部材付き被着物の製造方法。 【請求項8】 電解鍍金処理により0.005〜5μmの厚さの被膜を形成し、無電解鍍金処理により0.005〜0.2μmの厚さの被膜を形成することを特徴とする請求項6又は7記載の構成部材付き被着物の製造方法。 【請求項9】 電解鍍金処理によりSn、Cu−Sn合金、Cu−Sn−Zn合金、Rh、Pd及びCuから選ばれる単層又は積層被膜を形成し、無電解鍍金によりSnからなる被膜を形成することを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の構成部材付き被着物の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本願発明は、金属又は合金製のスライドファスナー及び該スライドファスナー、そのチェーン等の構成部材が付いた被服等の被着物の製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、意匠性および耐食性を良好にするため、物品に各種鍍金処理を施すことが行われている。例えばスライドファスナーについては、多数の金属エレメントをファスナーテープに装着し、これに無電解鍍金処理を施して鍍金被膜を形成している。また、他の方法としては、スライドファスナーには多数のエレメントが間隔をおいて装着されているため、実用新案登録第2587180号公報に記載されているように、ファスナーテープの長手方向縁部に通電線を入れて、各エレメントに電解鍍金処理を施す方法が行われている。 【0003】しかしながら、上記前者の無電解鍍金処理を施した被膜においては、被膜が緻密でないことから、意匠性及び耐食性の面で良好なものが得られなかった。また、上記後者の場合、被膜が緻密であるため意匠性及び耐食性の面では良好ではあるが、エレメントをファスナーテープに装着する際にファスナーテープの縁部に通電線を入れる必要があり、これは製造後においても残っているため、得られたスライドファスナーが剛直なものとなる。 【0004】一方、本発明者らは特開2001−8714号公報に開示される発明について特許出願を行った。前記公報に開示される技術は、エレメントを製造する長尺体に電解鍍金処理を施して切断してエレメントとしたのち、これをファスナーテープに装着するものであり、このようにすることにより外観意匠性に優れたスライドファスナーが提供できることを狙っている。 【0005】しかしながら、スライドファスナーのエレメントはエレメント同士が係合するための係合頭部が長尺体切断面を突出させることによって形成されるため、一対のスライドファスナーを係合させた場合においても、エレメント係合部分の長手方向にわたって切断面の下地の色彩が表れる。また、下地の材料によっては耐食性の問題が生じる。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、装飾性が高く、耐食性等の品質及び機能上問題のないスライドファスナーを提供することを目的とする。また、本発明は、スライドファスナーを含む構成部材付き被着物の製造方法を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明は、下記の態様からなる。 (1)対向する一対のスライドファスナーテープ縁部に多数のエレメントが装着されてなるスライドファスナーであって、前記エレメントは、前記スライドファスナーテープの長手方向においてエレメント同士が対向する対向面と前記対向面以外の表面部とからなり、前記対向面は無電解鍍金による被膜が形成され、前記表面部は電解鍍金による被膜が形成されてなることを特徴とするスライドファスナー。 (2)前記表面部の被膜厚さが0.005〜5μmであり、前記対向面の被膜厚さが0.005〜0.2μmである上記(1)記載のスライドファスナー。 (3)前記表面部の被膜がSn、Cu−Sn合金、Cu−Sn−Zn合金、Rh、Pd及びCuの鍍金から選ばれる単層又は積層被膜であり、前記対向面の被膜がSn鍍金である上記(1)又は(2)記載のスライドファスナー。 (4)スライドファスナーテープの長手方向の端部に止具が装着されており、前記止具は、前記長手方向に垂直な面には無電解鍍金による被膜が形成され、前記長手方向に平行な表面部には電解鍍金による被膜が形成されてなることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のスライドファスナー。 (5)母材が、丹銅、真鍮及び下記一般式で表される合金から選ばれる一種であることを特徴とする上記(1)〜(4)に記載のスライドファスナー。 一般式:CuaZnbMncMdXe(但し、MはAl及びSnから選ばれる少なくとも一種の元素、XはSi、Ti及びCrから選ばれる少なくとも一種の元素、a,b,c,d及びeは質量%で、aは残部、0≦b≦22、7≦c≦20、0≦d≦5、0≦e≦0.3で、不可避的元素を含み得る。) (6)金属あるいは合金からなる長尺体の表面に電解鍍金処理を施し、これを構成部材に切断し、その後、得られた構成部材を被着物に装着後、無電解鍍金を施すことを特徴とする構成部材付き被着物の製造方法。 (7)前記構成部材付き被着物がスライドファスナーまたはスライドファスナーチェーンであり、前記被着物がスライドファスナーテープで、構成部材がエレメント及び/又は止具であることを特徴とする上記(6)記載の構成部材付き被着物の製造方法。 (8)電解鍍金処理により0.005〜5μmの厚さの被膜を形成し、無電解鍍金処理により0.005〜0.2μmの厚さの被膜を形成することを特徴とする上記(6)〜(7)記載の構成部材付き被着物の製造方法。 (9)電解鍍金処理によりSn、Cu−Sn合金、Cu−Sn−Zn合金、Rh、Pd及びCuから選ばれる単層又は積層被膜を形成し、無電解鍍金によりSnからなる被膜を形成することを特徴とする上記(6)〜(8)のいずれかに記載の構成部材付き被着物の製造方法。 【0008】 【発明の実施の形態】本発明のスライドファスナーを図面に基づいて具体的に説明する。図1は、スライドファスナーの概念図であり、図1に示すように、スライドファスナーは、一側端側に芯部2が形成された一対のファスナーテープ1と、このファスナーテープ1の芯部2に所定の間隔をおいてかしめ固定(装着)されたエレメント3と、エレメント3の上端及び下端でファスナーテープ1の芯部2にかしめ固定された上止具4及び下止具5と、対向する一対のエレメント3間に配され、エレメント3の噛合及び開離を行うための上下方向に摺動自在なスライダー6とからなる。なお、上記において、ファスナーテープ1の芯部2にエレメント3が装着されたものがスライドファスナーチェーン7である。 【0009】また、図1に示すスライダー6は、図示されていないが断面矩形状の板状体からなる長尺体を多段階にてプレス加工を施し、所定間隔ごとに切断し、スライダー胴体を作製し、さらに必要に応じてスプリング及び引手を装着したものである。さらに、引手も断面矩形状の板状体から、所定形状ごとに打ち抜き、これをスライダー胴体にかしめ固定したものである。なお、下止具5は、蝶棒、箱棒、箱体からなる開離嵌挿具とし、スライダーの開離操作にて一対のスライドファスナーチェーン7を分離できるようにしたものであってもよい。 【0010】図2は、図1に示されるスライドファスナーのエレメント3、上止具4及び下止具5の製造方法及びファスナーテープ1の芯部2への取付けの仕方を示す図面である。図に示すようにエレメント3は、断面略Y字状からなる異形線8を所定寸法ごとに切断し、これをプレス成形することにより、係合頭部9を形成し、その後、ファスナーテープ1の芯部2へ両脚部10をかしめることにより、装着される。 【0011】上止具4は、断面矩形状の矩形線11(平角線)を所定寸法ごとに切断し、曲げ加工により略断面コ字状に成形し、その後、ファスナーテープ1の芯部2へかしめることにより、装着される。下止具5は、断面略X字状からなる異形線12を所定寸法ごとに切断し、その後、ファスナーテープ1の芯部2へかしめることにより、装着される。 【0012】なお、図1においては、エレメント3及び上下止具4、5が、同時にファスナーテープ1に装着されるようになっているが、実際は、ファスナーテープ1に連続的にエレメント3を取付けてファスナーチェーン7を作製し、次にファスナーチェーンの止具取付け領域のエレメント3を取り外し、この領域のエレメント3に近接して所定の止具4又は5を装着する。 【0013】本発明においては、エレメント3を作製する断面略Y字状からなる異形線8、下止具5を作製する断面略X字状からなる異形線12及び上止具4を作製する断面矩形状の矩形線11の状態で電解鍍金を施し、エレメント3がファスナーテープ1に装着された後に無電解鍍金を施し、エレメントの全ての外表面に鍍金処理を施すものである。 【0014】エレメントの外表面のうち切断面以外の表面部は電解鍍金による緻密な被膜により構成され、また、切断面以外の電解鍍金を施す表面は圧延後の平滑な面であるため、緻密な被膜による意匠性の良好な、さらには平滑な鍍金表面となるため光沢性にも優れたものとなる。一方、切断面は上記に比べ意匠性においては良好な被膜とはならないが、前記切断面以外の表面の色彩に合わせた色彩とすることは可能であり、スライドファスナーの場合、切断面は部分的に外から見えるが、前記切断面に外の表面よりは高い装飾性及び光沢性は要求されないため、特に問題はない。また、スライダーの摺動による摩耗も切断面以外の表面部分が摩耗しやすいが、上記のように切断面以外の表面に電解鍍金による緻密な被膜を形成することにより耐摩耗性の点でも良好なものとすることができる。 【0015】本発明において、電解鍍金による被膜厚さは0.005〜5μm、無電解鍍金による被膜厚さは0.005〜0.2μmとすることが好ましい。電解鍍金による被膜厚さは、スライダーの摺動摩擦による剥離及び製造時における切断加工、プレス、曲げ、かしめなどの冷間での塑性加工を施した際の加工面における剥離やクラック等の問題が生じず、意匠性及び耐食性などの品質を考慮した場合、上記の数値範囲とすることが好ましい。 【0016】一方、無電解鍍金による被膜厚さは、意匠性及び耐食性などの品質、特に意匠性を考慮して定められているが、上記の範囲を越える被膜厚にした場合には、前記電解鍍金による被膜を傷つけてしまい、電解鍍金による被膜の意匠性、特に光沢性を損ねてしまうことになりやすいため、上記の範囲とすることが好ましい。 【0017】電解鍍金による被膜としては、Sn鍍金、Cu−Sn合金鍍金、Cu−Sn−Zn合金鍍金、Rh鍍金、Pd鍍金、Au鍍金、Ag鍍金、Cu鍍金、ブラックNi鍍金等が適用でき、無電解鍍金による被膜としてはSn鍍金等が適用できる。スライドファスナーにおいて、高級感のある白色性に優れたスライドファスナーとする場合、電解鍍金による単層被膜は、Sn鍍金、Cu−Sn合金鍍金、Cu−Sn−Zn合金鍍金、Rh鍍金、Pd鍍金とすることが好ましく、特にCu−Sn合金鍍金、Cu−Sn−Zn合金鍍金、Rh鍍金、Pd鍍金とすることにより、被膜特性(特に強度、硬度、耐蝕性、密着性)に優れたものとすることができる。また、電解鍍金による被膜は、積層被膜とすることができ、下地鍍金被膜としてCu鍍金被膜を形成し、その表面に上記Sn鍍金、Cu−Sn合金鍍金、Cu−Sn−Zn合金鍍金、Rh鍍金、Pd鍍金を表面鍍金被膜として形成する。さらには表面鍍金被膜も、下層をSn鍍金、Cu−Sn合金鍍金、Cu−Sn−Zn合金鍍金とし、上層をRh鍍金、Pd鍍金とする積層被膜とすることもできる。このように積層被膜とすることにより表面光沢、表面品質を向上させることができる。無電解鍍金による被膜はSn鍍金とすることが好ましい。 【0018】本発明の別の態様によれば、意匠性及び耐摩耗性等の品質を備えているばかりでなく、更にアンチニッケル(ニッケルアレルギー問題)対応の白色スライドファスナーを提供することができる。この態様について以下説明する。スライドファスナーの母材として用いる材料は、下記一般式で示される合金が好ましい。 一般式:CuaZnbMncMdXe(但し、MはAl及びSnから選ばれる少なくとも一種の元素、XはSi、Ti及びCrから選ばれる少なくとも一種の元素、a,b,c,d及びeは質量%で、aは残部、0≦b≦22、7≦c≦20、0≦d≦5、0≦e≦0.3で、不可避的元素を含み得る。) 上記一般式において、より好ましくは、MがAlであり、b,c,dに関しては、0.5≦b<5、7≦c≦17、0.5≦d≦4である。上記のような組成の合金を使用することにより、色調がJIS Z 8729にて規定される色調を示すa*値、b値*が、−2<a*<5、−3<b*<16である母材とすることができる。 【0019】なお、本明細書でいう色調とは、JIS Z 8729に規定される物体色の表示方法で表現した明度指数L*(明度:エルスター)及びクロマティクス指数a*(緑味〜赤味:エースター)、b*(青味〜黄味:ビースター)の値で示される。特に白色であるためには、無彩色に近い方がよく、上記のようにクロマティクス指数a*、b*により規定される数値範囲が好ましく、より好ましくは、0<a*<2、7<b*<16である。 【0020】鍍金処理により母材上に形成される被膜は、前述したように、白色性を考慮すると、電解鍍金による被膜としては、Sn鍍金、Cu−Sn合金鍍金、Cu−Sn−Zn合金鍍金、Rh鍍金、Pd鍍金が好ましく、無電解鍍金による被膜としてはSn鍍金が好ましい。このような被膜とすることにより、色調がJIS Z8729にて規定される色調を示すa*値、b値*が、0<a*<2、7<b*<16である白色度のより高い被膜が形成できる。そして、上記の態様とすることにより、万一表面に形成された被膜の剥離又はクラックの発生等によって母材が露出したとしても、母材の白色性により外観意匠性を大きく損ねることがないという効果が期待できる。また、スライドファスナーとして用いた場合でも、母材及び被膜がともにNiを含有しないものであるため、ニッケルアレルギーの問題も生じない。 【0021】本発明のさらに別の態様によれば、意匠性及び耐食性等において満足な品質を備えるとともに、アンチニッケル(ニッケルアレルギー問題)対応であって、しかも検針器対応の白色スライドファスナーを提供することができる。すなわち、この態様においては、母材として丹銅、真鍮などを用いる。これにより、丹銅及び真鍮はニッケルを含まないためニッケルアレルギーの問題を生じないばかりか、検針器を誤作動させるという問題も生じることもない。そして、外観の白色性は、鍍金被膜により与えることができる。この場合、白色性を持たせるためには、上述のように、電解鍍金による被膜としては、Sn鍍金、Cu−Sn合金鍍金、Cu−Sn−Zn合金鍍金、Rh鍍金、Pd鍍金が好ましく、無電解鍍金による被膜としてはSn鍍金が好ましい。これにより外観上白色度の高いスライドファスナーを提供することができる。 【0022】 【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。 【0023】[実施例1]Cu85Zn15 (質量%)の組成を有する丹銅を連続鋳造装置内で溶解し、次いでφ8mmのカーボンダイスを介して連続ワイヤを作製した。得られた連続ワイヤに伸線処理及び圧延処理を施し、図2に示される断面略X字状及び断面略Y字状の連続異形線並びに矩形線を製造した。得られた連続異形線及び矩形線に、電解鍍金によりCu−Sn−Zn合金鍍金を施したのち、切断、プレス、曲げ、かしめの各種冷間加工を施し、得られた構成部材をファスナーテープに装着してスライドファスナーを作製した。更に、得られたスライドファスナーに無電解鍍金によってSn鍍金を施して最終製品とした。 【0024】上記の電解鍍金処理はアルカリ性シアン浴中で、次の条件で行った。 Cu−Sn−Zn合金鍍金液組成:金属銅 5〜20g/l金属錫 10〜50g/l金属亜鉛 0.1〜3g/l処理温度 :15〜50℃電流密度 :0.1〜10A/dm2上記の処理によって、連続異形線及び矩形線の表面に膜厚0.005〜5μmのCu−Sn−Zn合金からなる被膜を形成した。得られた被膜の合金組成は、Cu50~55Sn30~35Zn10~15(質量%)であった。 【0025】無電解鍍金処理は、Sn濃度14〜24g/l、温度15〜52℃の条件で酸性浴中にスライドファスナーを1分間浸漬することにより行った。上記無電解鍍金処理により、スライドファスナーエレメント、止具の切断面の表面に膜厚0.1μmのSnからなる被膜を形成した。また、電解鍍金処理によって形成したCu−Sn−Zn合金鍍金被膜上にもSnからなる被膜が部分的に形成されていたが、装飾性、光沢性を損なうものではなかった。 【0026】このようにして得られたスライドファスナーは、表面白色度が高く、外観上の装飾性、光沢性に優れたものであった。また、母材及び被膜ともにNiを含まないため、ニッケルアレルギーの問題がないとともに、検針器による折れ針の検出に際しても検針器が誤作動することがなかった。 【0027】[実施例2]実施例1において、無電解鍍金における浸漬時間を変えて、種々の膜厚のものを作製した。得られたものについて、その浸漬時間に基づく膜厚、装飾性及び光沢性について評価した。評価結果を表1に示す。 【0028】 【表1】
【0029】表1に示された評価結果から、切断面表面に0.2μmを超える被膜を形成した場合には、電解鍍金処理によって形成された被膜の光沢性が失われ、装飾性が低下することが分かる。これは、電解鍍金処理により形成されたCu−Sn−Zn合金被膜のCu、Zn成分が、無電解鍍金処理浴中に溶出し、代わりに前記浴中のSn成分によって置換が行われた結果によるものと考えられる。 【0030】切断面に形成される無電解鍍金の被膜厚さが小さな場合でも上記置換が行われていると考えられるが、その置換量が増大することにより電解鍍金処理によって形成された被膜の光沢性が失われ、切断面に形成される無電解鍍金処理による被膜厚さが0.2μm程度となると、光沢性を失わせるという作用がより外観的に明確に現れてくるものと考えられる。以上の結果より、前記光沢性を考慮すると、切断面に形成される無電解鍍金処理による被膜の被膜厚さは0.2μm以下とすることが必要である。 【0031】[実施例3]Cu70−Zn30(質量%)の組成を有する真鍮を原料として実施例1と同様にして連続ワイヤを作製し、この連続ワイヤから連続異形線及び矩形線を作製した。さらに実施例1と同様にして、電解鍍金処理、各種冷間加工を施して、スライドファスナーを作製し、これに無電解鍍金処理を施して最終製品を作製した。本実施例で得たスライドファスナーは、表面白色度が高く、外観上の装飾性、光沢性に優れたものであった。また、母材及び被膜ともにNiを含まないため、ニッケルアレルギーの問題がないとともに、検針器による折れ針の検出に際しても検針器が誤作動することがなかった。 【0032】[実施例4]Cu73Zn15Mn12(質量%)の組成を有する合金を原料として実施例1と同様にして連続ワイヤを作製し、この連続ワイヤから連続異形線及び矩形線を作製した。さらに、実施例1と同様にして、電解鍍金処理、各種冷間加工を施して、スライドファスナーを作製し、これに無電解鍍金処理を施して最終製品を得た。本実施例で得たスライドファスナーは、表面白色度が高く、外観上の装飾性、光沢性に優れたものであった。また、母材及び被膜ともNiを含まないため、ニッケルアレルギーの問題がない。 【0033】 【発明の効果】本発明によれば、電解鍍金と無電解鍍金とを組み合わせて行うことにより、装飾性が高く、耐食性等の品質及び機能上問題のないスライドファスナーを含む構成部材付き被着物を得ることができるという効果を奏することができる。また、母材及び被膜の材料として、Niを含まない材料を用いることにより、ニッケルアレルギーの問題もなく、また、強磁性元素を用いなければ検針器による折れ針の検出に際しても検針器が誤作動することがないという効果を奏することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006828 【氏名又は名称】ワイケイケイ株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年12月14日(2001.12.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100078994 【弁理士】 【氏名又は名称】小松 秀岳 (外4名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−180410(P2003−180410A) |
| 【公開日】 |
平成15年7月2日(2003.7.2) |
| 【出願番号】 |
特願2001−381143(P2001−381143) |
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