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【発明の名称】 静電気帯電防止靴
【発明者】 【氏名】雪岡 治雄
【住所又は居所】広島県福山市松浜町2丁目2番11号 広島化成株式会社内

【氏名】舟橋 裕一
【住所又は居所】広島県福山市松浜町2丁目2番11号 広島化成株式会社内

【氏名】松永 祐一郎
【住所又は居所】広島県福山市松浜町2丁目2番11号 広島化成株式会社内

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】主として甲皮と、中底と、本底とから構成される靴において、甲皮裏材に導電性材料を使用し、導電性糸により外周ステッチを施して甲皮表材と甲皮裏材とを縫合し、一方甲皮表材と甲皮裏材と、中底とを導電性糸で貫通縫合し、射出成形により導電性材料から成る本底と接合一体化した静電気帯電防止靴。
【請求項2】甲皮表材と甲皮裏材と、中底とを導電性糸で貫通縫合する際、前足部をストロベル縫いし、後足部を本縫いする請求項1に記載の静電気帯電防止靴。
【請求項3】主として甲皮と、中底と、本底とから構成される靴において、甲皮裏材に導電性材料を使用し、吊込み時に、導電性織布から成る甲皮裏材3が、甲皮2の外周縁から幾分外側にでるように長寸にし、吊込み底面に、導電性接着剤を塗布し、導電性材料から成る本底と接合一体化した静電気帯電防止靴。
【請求項4】主として甲皮と、中底と、本底とから構成される靴において、吊込み時に、甲皮表材より短寸になる導電性織布を甲皮裏材に使用し、前記甲皮裏材を、甲皮表材の外周縁の内部に完全に納め、吊込みシロに、導電糸で外周ステッチを入れ、甲皮裏材と甲皮表材を縫合し、吊込み底面に、導電性接着剤を塗布し、導電性材料から成る本底を接合一体化した静電気帯電防止靴。
【請求項5】外周ステッチを縫合する際、所定の形状の導電性材料と一緒に縫合する請求項4に記載の静電気帯電防止靴。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、静電気帯電防止靴に関する。より詳細に述べると、本発明は、中底と本底の簡単な2層構造からなるカジュアル用静電気帯電防止靴に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明で使用する用語「静電気帯電防止靴」は、JIS T8103に規定する狭義の静電気帯電防止用靴を想定した日常履用に適した静電気帯電防止靴と広義に定義する。
【0003】人体が歩行などの運動をした際、帯電列が異なる物質が摩擦した場合は、摩擦静電気が発生し、或いは衣服を着脱する時には、剥離静電気が発生して人体に帯電する。この人体の静電気帯電が、各種可燃性ガス、蒸気、液体、粉体、粉塵、或いはそれらの混合物、フィルム、各種塗装機、電子部品等を取り扱う事業所において放電すると、その火花により爆発、火災や人体ショックによる事故などを引き起こす。また、埃や花粉を体に引き寄せ、肌荒れやアレルギーの原因にもなる。また、ドアノブ等の金属に触れると放電ショックを受ける原因にもなる。
【0004】このような事故や人体への影響を防止する目的で帯電防止靴或いは静電靴が開発されている。この種の帯電防止靴は、(イ)200V級の活線に接触しても1mA以上の電流が流れないようにすること。(ロ)人体の帯電が大地へ逃がすこと。(ハ)可燃性気体中で、人体と大地間で放電しても放電エネルギーが最小着火エネルギーより小さくして、爆発、火災、電撃などの事故を防止すること(ニ)人体への放電ショックや肌荒れやアレルギーを防止する目的とするものである。
【0005】このような目的の静電気帯電防止靴に関してJIS 8103−2001(静電気帯電靴)は、その抵抗値を下記のとおりに規定している。
1.0×10≦R*≦1.0×10*:静電気帯電防止靴としての性能(1個当たりの電気抵抗R(Ω))
【0006】従来から、このJIS規格に適合する静電気帯電防止靴が各種提案されている。その多くが、デザインよりも、安全・作業靴という本来の目的を一層重視したもので、靴底にアース機能がある突起物を設けたり、或いは金属、カーボン、帯電防止剤を配合した導電性ゴムを本底或いは本底の1部に使用するものである。
【0007】たとえば、特開昭60−158802号は、中底に導電体を使用した静電靴において、中底の導電体に一端が接し、他端が表底の底外面に露出するよう細繊維状の金属線又は導電性を必要本数表底を貫通するよう埋設した静電靴を開示している。
【0008】また、特開昭58−136302号は、靴底に貫通穴を設け、コイルバネを通し、人体側電極を靴底上面に取り付け、コイルバネの上部と接続した静電アース電路を開示している。
【0009】特開平8−154704号は、本底を帯電防止性を有する加流ゴムとし、部分底をエポキシ化天然ゴムを必須成分とする加流ゴムとし、その下面を主本底の接地面に現出させた靴底を開示している。
【0010】特開昭62−201101号は、導電性ゴムから成る外底の一部を高導電性の加硫ゴムとした導電性履物底を開示している。
【0011】上述した靴底は、主として事業所内で使用する静電気帯電防止用安全・作業靴で、デザインよりも、機能を重視したものであって、カジュアル用として日常簡便に履用できるタイプのもではなかった。
【0012】従って、モカシン、ロファー等スリッポンタイプの靴に代表されるカジュアルシューズに静電気帯電防止機能を付与することが必要である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】発明が解決しようとする課題は、甲皮、中底、及び本底からなる靴に効率よく導電性機能を付与する方法を提供することである。
【0014】発明が解決しようとする別の課題は、甲皮に導電性機能を付与し、導電性材料から成る本底と射出成形により接着して一体化した静電気帯電防止靴を提供することである。
【0015】発明が解決しようとするさらに別の課題は、甲皮に導電性機能を付与し、導電性材料から成る本底と手貼りにより接着して一体化した静電気帯電防止靴を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための手段は、甲皮、中底、及び本底から成る靴において、甲皮の裏材に導電性織布から成る材料を使用し、導電性糸を使用して甲皮へ外周ステッチを入れ、甲皮の表材と、裏材の導電性織布からなる材料を縫合して甲皮部材を製造し、このようにして製造した甲皮部材と中底とを導電性糸で貫通縫いして甲皮部材と中底とを一体化し、次いで射出成形により導電性本底と接合することである。
【0017】上記課題を解決するための別の手段は、甲皮、中底、及び本底から構成される靴において、甲皮の裏材に、甲皮の表材より長寸の導電性織布から成る材料を使用し、甲皮吊込み時に、甲皮の裏材が、甲皮の表材の外周縁より外側にでるように吊込み、甲皮吊込み底部に導電性接着剤を塗布し、導電性本底と接合することである。
【0018】上記課題を解決するためのさらに別の手段は、甲皮、中底、及び本底から構成される靴において、甲皮の裏材に、甲皮の表材より短寸の導電性織布から成る材料を使用し、甲皮吊込み時に、甲皮の表材と、裏材である導電性織布から成る材料を導電性糸で縫合し、次いで吊込み底部に導電性接着剤を塗布し、導電性本底と接合することである。
【0019】上記課題を解決するためのさらに別の手段は、甲皮、中底、及び本底から構成される靴において、甲皮の裏材に、甲皮の表材より短寸の導電性織布から成る材料を使用し、甲皮吊込み時に、甲皮の表材と、裏材である導電性織布から成る材料を導電性糸で縫合し、更に、所定の形状の導電材料と共に縫合する。次いで吊込み底部に導電性接着剤を塗布し、導電性本底と接合することである。
【0020】現在、各種の導電性織布、及び導電性不織布が提案されている。これらは、いずれも、高価である。従って、靴に、静電気帯電防止性能を付与するには、靴全体の製造コストを抑え、換言すれば、導電性織布の使用量を抑え、且つ靴の強度等物性低下を起こさずに、最も効率よく静電気帯電防止性能を付与する工夫が必要である。
【0021】本発明で使用できる導電性織布の例は導電性成分均一型繊維である。この型の繊維には、ステンレススチール等金属線を繰り返しダイスに通して細線化した金属繊維、並びにアクリル繊維、レーヨン、ピッチ繊維を焼成炭素化した炭素繊維、及びアクリル繊維、レーヨン、カイノール繊維、ビニロン繊維を炭化、賦活させた活性炭素繊維がある。
【0022】本発明で使用できる導電性織布の他の例は導電性成分被覆型繊維である。この型の繊維には、有機繊維表面にメッキ、或いは真空蒸着法により金属を被覆した金属被覆繊維、有機繊維表面に導電性微粒子を分散させた有機層を形成させた導電性樹脂被覆有機繊維、複合紡糸技術を用いて導電性微粒子を表面に被覆した同心円状複合繊維、有機繊維表面に金属化合物を含浸透させた後、化学反応により固着処理した金属化合物表層含有繊維がある。
【0023】本発明で使用できる導電性織布の他の例は導電性成分複合型繊維である。この型の繊維には、導電性微粒子を分散した重合体をコア成分として複合紡糸した導電体含有重合体を複合成分とした複合繊維、導電性微粒子分散重合体をブレンド、或いは、多芯複合紡糸した有機配列体繊維、低融点金属を複合紡糸した低融点金属を複合成分とした複合繊維がある。
【0024】本発明で使用できるその他の導電性織布としては、アルミニウムなどの金属箔をポリマー、フィルムなどでサンドイッチしてスリットした金属箔を含むスリットヤーンがある。
【0025】
【発明の実施の形態】図1は本発明の静電気帯電防止靴の1例の製造方法を説明する説明図である。図1−Aに示すように、本発明の静電気帯電防止靴1は、甲皮2と、導電性織布から成る甲皮裏材3が一体に縫合され、導電製材料から成る本底4が射出成形により接合されているものである。
【0026】図1−B及び図1−Cは、その製造方法を示す分解図である。図1−Bに示すように、甲皮2と、導電性織布から成る甲皮裏材3は、導電性糸により外周ステッチ5を施して甲皮2と、導電性織布から成る甲皮裏材3とが縫合してある。
【0027】甲皮2と、導電性材料から成る本底4を射出成形により接合して一体にして靴を完成した後では、導電性材料から成る本底4とステッチ5が接触した状態になるので、体内に帯電した静電気が、体内→導電性織布から成る甲皮裏材3→導電性糸による外周ステッチ5→導電性材料から成る本底4→大地へと放電される。
【0027】図1−Cは、吊込み底部6を示す詳細分解図である。図1−Cに示すように、中底7に、甲皮2を縫合する場合、射出成形時により大きな負荷がかかる前足部は、ストロベル縫い8で、後足部は、本縫い9で縫合する。
【0028】この場合、ストロベル縫い8及び/又は本縫い9を導電性糸を使用すれば、甲皮2と、導電性糸によるストロベル縫い8及び/又は本縫い9が、導電性材料から成る本底4と接触した状態になるので、体内に帯電した静電気が、体内→導電性織布から成る甲皮裏材3→導電性糸によるストロベル縫い8及び/又は本縫い9→導電性材料から成る本底4→大地へと放電される。
【0029】図2は本発明の静電気帯電防止靴の別の例の製造方法を説明する説明図である。図2−Aに示すように、本発明の静電気帯電防止靴10は、甲皮2と、導電性織布から成る甲皮裏材3が一体に縫合され、導電性材料から成る本底4が手貼りにより接合され一体化されてものである。
【0030】図2−Bは、吊込み底面11の示す分解図である。図2−Bに示すように、吊込んだ時に、導電性織布から成る甲皮裏材3は、甲皮2の外周縁から幾分外側にでるように長寸に裁断してある。
【0031】図2−Bで示した吊込み底面11に、導電性接着剤を塗布し、導電性材料から成る本底4と接合する。このような構造により、体内に帯電した静電気が、体内→導電性織布から成る甲皮裏材3→導電性接着剤→導電性材料から成る本底4→大地へと放電される。
【0032】図2−Cは、中敷12を敷いた場合の正面図である。中敷12に、導電性材料を使用すると、中敷12からも導電経路が形成され、静電気帯電防止効果が向上する。
【0033】図3は本発明の静電気帯電防止靴のさらに別の例の吊込み底面図である。図3に示すように、この例の吊込み底面13では、導電性織布から成る甲皮裏材3は、甲皮2より短寸になっていて、甲皮2の外周縁の内部に完全に納まっている。吊込みシロ14に、導電性糸で外周ステッチ15を入れ、甲皮裏材3と甲皮2の表材を縫合する。次いで、底面に導電性接着剤を塗布し、導電性材料から成る本底4と接合する。このような構造により、体内に帯電した静電気が、体内→導電性織布から成る甲皮裏材3→導電性接着剤→導電性材料から成る本底4→大地へと放電される。
【0034】この例において、外周ステッチ15と導電性材料から成る本底4と接触し難い場合は、外周ステッチ15を縫う際に、所定の形状の導電性材料、たとえば、短冊状の導電性不織布を一緒に縫合することが好ましい。
【0035】
【発明の効果】請求項1に記載した発明により、主として甲皮と、中底と、本底とから構成される靴において、甲皮裏材に導電性材料を使用し、導電性糸により外周ステッチを施して甲皮表材と甲皮裏材とを縫合し、一方甲皮表材と甲皮裏材と、中底とを導電性糸で貫通縫合し、射出成形により導電性材料から成る本底と接合一体化することにより、外周ステッチが直接導電性材料から成る本底と接触して導電性経路を形成し、且つ甲皮表材と甲皮裏材と中底とをそれぞれを縫合した導電性糸を介して導電性材料から成る本底と接触して導電性経路を形成し、体内に帯電した静電気を、靴の機能を損なわず絶えず迅速に接地面に逃がすことができる。
【0036】請求項2に記載した発明により、甲皮表材と甲皮裏材と、中底とを導電性糸で貫通縫合する際、前足部をストロベル縫いすることにより、射出成形時、吊込み底部をラストモールドに吊込む際に前足部に負荷される荷重を受け止めることができ、且つ甲皮表材と甲皮裏材と中底とをそれぞれを縫合した導電性糸を介して導電性材料から成る本底と接触して導電性経路を形成し、体内に帯電した静電気を、靴の機能を損なわず絶えず迅速に接地面に逃がすことができる。
【0037】請求項3に記載した発明により、主として甲皮と、中底と、本底とから構成される靴において、甲皮裏材に導電性材料を使用し、吊込み時に、導電性織布から成る甲皮裏材が、甲皮の外周縁から幾分外側にでるように長寸にしたので、導電性材料から成る本底と直接接触し、広範囲にわたる導電性経路が形成され、体内に帯電した静電気が、効率よく絶えず迅速に接地面に逃がすことができる。
【0038】請求項4に記載した発明により、主として甲皮と、中底と、本底とから構成される靴において、吊込み時に、甲皮表材より短寸になる導電性織布を甲皮裏材に使用し、前記甲皮裏材を、甲皮表材の外周縁の内部に完全に納めたので、吊込み作業が簡素化される。
【0039】請求項5に記載した発明により、外周ステッチを縫合する際、所定の形状、たとえば短冊形の導電性不織布と一緒に縫合することにより、導電性経路が一層拡大され、放電効率が向上する。
【出願人】 【識別番号】000167820
【氏名又は名称】広島化成株式会社
【住所又は居所】広島県福山市松浜町2丁目2番11号
【出願日】 平成14年4月24日(2002.4.24)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−310301(P2003−310301A)
【公開日】 平成15年11月5日(2003.11.5)
【出願番号】 特願2002−162177(P2002−162177)