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【発明の名称】 ヘルメットと併用するインナキャップ
【発明者】 【氏名】出口 順二

【氏名】多田 哲則

【要約】 【課題】運転用のヘルメットまたは作業用の安全帽等のヘルメットの下に着用することによって、ヘルメットの着座性およびヘルメットの着用感を改善するとともに、頭部からの発汗を吸収し作業中に汗が目にしみる等の作業上の危険の発生を防止する。

【解決手段】吸汗性と伸縮性とを有する柔軟な布地材料Cから、頭周囲を取り巻く吸汗帯部12と頭髪を押え込む半球形のキャップ部11とを形成し、これを一体化して無鍔の帽体形のインナキャップ10とする。インナキャップ10は、吸汗帯部12が略額P2の位置となるように頭部P1に着用し、この上に安全帽等のヘルメット20を着用する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 頭周囲を取り巻く柔軟な布製の吸汗帯部と頭髪を押え込む柔軟な布製の半球形のキャップ部とを全体として無鍔の帽体形に形成してなり、少なくとも前記吸汗帯部に、吸汗性と伸縮性とを有する布地材料を用い、該布地材料は、頭周囲長の個人差に追随して伸縮する方向に用いることを特徴とするヘルメットと併用するインナキャップ。
【請求項2】 吸汗性と伸縮性とを有する筒状の布地材料の一端側の一定幅を折返し縫製して環状の吸汗帯部を形成した上、前記筒状の布地材料の他端側を山形に縫製してキャップ部を形成することを特徴とする請求項1に記載のヘルメットと併用するインナキャップ。
【請求項3】 吸汗性と伸縮性とを有する平面状の布地材料の一端側の一定幅を折返し縫製して直線状の吸汗帯部を形成した上、該直線状の吸汗帯部の両端を連結するように全体を折返し縫製して環状の吸汗帯部を形成するとともに全体を筒状の布地材料とし、該筒状の布地材料の他端側を山形に縫製してキャップ部を形成することを特徴とする請求項1に記載のヘルメットと併用するインナキャップ。
【請求項4】 前記キャップ部が立体縫製によって半球形に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のヘルメットと併用するインナキャップ。
【請求項5】 前記吸汗帯部から舌片形に形成した一対の耳当て部材を垂設することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のヘルメットと併用するインナキャップ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、運転用のヘルメットまたは作業用の安全帽等のヘルメット内において着用することによって、頭部に対するヘルメットの着座性およびヘルメットの着用感を改善するとともに、頭部からの発汗を吸収することによって、作業中に汗が目にしみて作業の中断を余儀なくされる等の不都合を防止し、また、洗濯して繰り返し使用することができるようにしたヘルメットと併用するインナキャップに関する。
【0002】
【従来の技術】頭部の障害は、生命を危うくするばかりでなく重篤な後遺症を残す危険があるため、一定の交通手段の運転者や建設現場で作業する者に対しては、運転用ヘルメットや安全帽等のヘルメットの着用が義務付けられる。ヘルメットは、外部衝撃から頭部を保護することを目的とし、強化プラスチック等からなる強靭な帽体と、帽体と頭部との間に緩衝用の適切な間隙を保つとともに、頭部に対して適切な着用感を実現するためのインナ部材とからなる。
【0003】ところで、運転用のヘルメットにおけるインナ部材は、一般に、平均的な頭部の形状を考慮して成形された発泡樹脂材料を通気用の小孔を設けた合成皮革等の表面材料で被覆し、これを帽体内に固定した構造のものである。これに対して、工事用の安全帽と称されるヘルメットにおけるインナ部材は、軽量化の要請が重視されるため、帽体との間に一定の間隙を保つようにして帽体の内側を一周する環状帯と、頭頂部に当接する頭頂パッドと、環状帯と頭頂パッドとを連結する連結帯とからなる簡単な構造を採用している。環状帯は、通常、軟質の樹脂材料からなり、頭頂パッドは、合成皮革を十文字形にカットしたものが多い。また、連結帯はズック地の布素材からなり、環状帯の4箇所から頭頂パッドを引き付けるように支持している。
【0004】そして、運転用のヘルメットは、着用したときにインナ部材全体で頭部を包み込むことによって頭部に位置決めされ、安全帽は、環状帯が頭周囲を取り巻いて水平方向の位置決めをするとともに、頭頂パッドが頭頂部に当接して上下方向の位置決めをするようにして頭部に位置決めされる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記ヘルメットは、運転用のものにおいても作業用のものおいても、外側が強化プラスチック等からなる帽体によって覆われているため、発汗に対して有効な対策を講ずることができないという構造上の問題を有している。すなわち、運転者や現場作業員は、発汗による不快感を我慢しながら頭部を危険から保護するためにやむを得ずヘルメットを使用しているというのが実態である。
【0006】具体的には、運転用のヘルメットについては、夏期における使用によってインナ部材に汗が繰り返ししみこみ、きわめて不愉快な異臭を放つようになるが、安全確保上、インナ部材は帽体に堅固に固定されているので、インナ部材を取り外して洗濯することはできない。一方、作業用のヘルメットについては、樹脂製の環状帯が直接に額に当接するために、ヘルメットの着用感が悪い上に、インナ部材に汗を吸収するような部分がないため、異臭を放つような事態になることがない反面、発汗に際し、顔面を拭ってもヘルメット内の額の部分を拭うことができないことにより、危険な作業中に汗が目に入ったり、ヘルメットが汗で滑って位置ずれする等の安全確保上看過できない問題を生じていた。そこで、体質的に汗をかき易い作業員は、頭部を包み込むようにタオルを巻き付けてからヘルメットを使用したり、額部分にハンカチを挟み込んでヘルメットを使用する等の自衛策を講じていた。
【0007】本発明は、ヘルメットと併用することによって、ヘルメット内において汗を効果的に吸収し、ヘルメットの着用時における発汗によって惹起される上記問題を解決するとともに、着用を促す観点から、低コストできわめて簡単な着用性を実現し、また、洗濯して繰り返し衛生的に使用することができるようにしたヘルメットと併用するインナキャップを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するための手段として本発明は、次のような構成を採用する。
【0009】請求項1に記載された本発明のヘルメットと併用するインナキャップは、頭周囲を取り巻く柔軟な布製の吸汗帯部と頭髪を押え込む柔軟な布製の半球形のキャップ部とを全体として無鍔の帽体形に形成してなり、少なくとも吸汗帯部に、吸汗性と伸縮性とを有する布地材料を用い、また、この布地材料は、頭周囲長の個人差に追随して伸縮する方向に用いることを特徴とする。
【0010】この構成によれば、インナキャップは、無鍔の帽体形に形成されているので、吸汗帯部によって額の位置において頭周囲を取り巻くとともに、キャップ部によって頭髪を押さえ込むように着用することができる。この際、インナキャップを構成する吸汗帯部およびキャップ部は、いずれも柔軟な布地から形成されるとともに、吸汗帯部がその伸縮性によって、頭周囲長の個人差に拘らず頭部にフィットすることができる。インナキャップ全体は、無鍔の帽体形に形成されており、したがって、インナキャップを着用しその上からヘルメットを着用するようにヘルメットと併用することができる。この際、安全帽の環状帯等が直接頭部に接触しないので、ヘルメットの着用感が改善される。そして、気温の状況や作業内容によって額を含む頭部からの発汗は、吸汗帯部によって吸収され顔面に流下するのを阻止することができるとともに、インナキャップが滑り止めとしても機能するので、頭部に対するヘルメットの着座姿勢を安定化させることができる。
【0011】請求項2に記載された本発明のヘルメットと併用するインナキャップは、吸汗性と伸縮性とを有する筒状の布地材料の一端側の一定幅を折返し縫製して環状の吸汗帯部を形成した上、筒状の布地材料の他端側を山形に縫製してキャップ部を形成することを特徴とする。
【0012】この構成によれば、インナキャップの素材として用いる布地材料が筒状であることにより、インナキャップを構成する環状の吸汗帯部は、布地材料の一端側の一定幅を折返し縫製するのみで簡単に形成されるとともに、半球形のキャップ部についても、布地材料の他端側を山形に縫製するのみで簡単に形成することができる。
【0013】請求項3に記載の本発明のヘルメットと併用するインナキャップは、吸汗性と伸縮性とを有する平面状の布地材料の一端側の一定幅を折返し縫製して直線状の吸汗帯部を形成した上、この直線状の吸汗帯部の両端を連結するように全体を折返し縫製して環状の吸汗帯部を形成するとともに布地材料全体を筒状とし、この筒状の布地材料の他端側を山形に縫製してキャップ部を形成することを特徴とする。
【0014】この構成によれば、インナキャップを構成する吸汗帯部およびキャップ部を平面状の一枚の布地材料から形成することができるので、筒状として提供されない種類の素材を広く活用することができる。また、複数枚の布地材料を用いる場合に比べて縫製作業も簡略化することができる。
【0015】請求項4に記載の本発明のヘルメットと併用するインナキャップは、キャップ部が立体縫製によって半球形に形成されていることを特徴とする。
【0016】この構成によれば、立体縫製によってインナキャップにおけるキャップ部を立体である人の頭部の形状により適合する形状のものとして仕上げることができる。
【0017】請求項5に記載の本発明のヘルメットと併用するインナキャップは、吸汗帯部から舌片形に形成した一対の耳当て部材を垂設することを特徴とする。
【0018】この構成によれば、インナキャップを着用したときに一対の耳当て部材が両方の耳を覆うので、着用したときに耳が露出する安全帽型のヘルメットとインナキャップとを併用することによって、防寒性に乏しい安全帽型のヘルメットの欠点を補うことができる。また、耳当て部材の材質によっては、耳の安全性を高めることもできる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、図面を引用しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0020】ヘルメットと併用インナキャップ10は、頭周囲、すなわちヘルメット20の使用者Pの頭部P1の周囲を取り巻く帯状の吸汗帯部12と、頭部P1を上側から覆う半球形のキャップ部11とからなる無鍔の帽体形に形成されており(図1)、したがって、一般の帽子と同様の要領によって簡単に着用することができる。そして、ヘルメット20は、インナキャップ10を介して頭部P1に着用する。
【0021】なお、同図に示すヘルメット20は、安全帽と称されている作業性を重視した軽量なヘルメットであり、強化樹脂製の帽体21と、帽体21の内部に装着されるインナ部材22とからなる。また、インナ部材22は、帽体21と頭部P1との間に適切な間隙を保つための環状帯22b等からなり、着用に際しては、環状帯22b等が直接頭部P1に当接する構造である。なお、環状帯22bの前半部分は、帽体21内において使用者Pの額P2に当接する位置に位置している。また、ヘルメット20の左右の側部には、一対の側紐23が取り付けられ、一対の側紐23間には、顎紐24が取り付けられている。
【0022】インナキャップ10は、吸汗性と伸縮性とを有する筒状の布地材料Cから、吸汗帯部12とキャップ部11とを一体成形することにより形成されている(図2)。ただし、布地材料Cは、吸汗帯部12の周囲長さが容易に変化する方向、つまり同図の矢印Aの方向に伸縮性を発揮する向きにして使用されている。
【0023】筒状の布地材料Cは、筒状の長尺部材として一次加工されて市販されている素材の中から吸汗性を有する材質であって、織り方または編み方によって伸縮性を有するものであることを条件に選定することができる。なお、伸縮性については、ゴムを織り込みまたは編み込んで伸縮性を付与したものであってもよい。また、素材としては、あまりにも腰の強いものは不適当であり、適度に柔軟であることが必要である。そして、インナキャップ10は、選定した筒状の布地材料Cを筒状のまま所定の単位長さに裁断した上、キャップ部11となる一端側を大きく3個ないし4個の山形C1,C1…と谷形C2,C2…とに切り欠いて縫製することによって形成される(図2,図3)。なお、ここで示す実施の形態では、4個の山形C1,C1…と谷形C2,C2…とが形成され、各山形C1の側辺にはアールが付けられている。
【0024】縫製作業の順序には、特別の制限はなく、例えば、吸汗帯部12から先に形成する場合について説明すると、筒状の布地材料Cの一端側の一定幅を折り重ねてほつれが生じないようにミシン掛けすることによって環状の吸汗帯部12を形成することができる(図4(A))。つまり、吸汗帯部12は、筒状の布地材料Cが二重になった状態になっており(図2)、伸縮性に関しては、他の部分より強い緊張力を有し、吸汗性に関しては、他の部分より吸汗容量が大きくなっている。なお、吸汗帯部12の形成に際しては、必用に応じて内部に伸縮性または吸汗性を調整するための芯材を装填してもよい。また、ミシン目12sには、吸汗帯部12の伸縮性を損ねないミシンパターンが採用されている。
【0025】次いで形成するキャップ部11は、4個の山形C1,C1…の隣り合う側辺を立体縫製によって順次に縫合することによって形成されている(図4(B))。すなわち、各山形C1の側辺にアールが付けられているので、最初にいずれか隣り合う山形C1,C1の側辺を縫い合せると平面的に折り畳むことができない立体形状が形成され、このため、平面的な縫製作業によっては次の山形C1を縫い合せることができなくなるのである。そこで、キャップ部11全体を半球形の端正な仕上がりとするために立体縫製手段を採用しているのである。この結果、キャップ部12には、十文字形の縫製痕11s,11s…が生じている(図2)。
【0026】このようにして完成したインナキャップ10は、使用上特に裏表の別なく利用することができる(図1)。この際、吸汗帯部12が額P2の中央部にくる程度に着用する。インナキャップ10は、吸汗帯部12の伸縮性によって使用者Pが希望する位置に位置決めされ、キャップ部11は、使用者Pの頭髪を乱れないように押さえ込むことができる。そして、インナキャップ10の上からヘルメット20を着用すると、ヘルメット20のインナ部材22が直接に額や頭髪に当接するのが防止されるので、安全帽型のヘルメット20特有の硬質な着用感がソフトな着用感に改善されるとともに、頭部P1からの発汗が吸汗帯部12の位置で吸収されるので、作業中に汗が目に入ったり、ヘルメット20が汗で滑って傾く事態が効果的に阻止される。
【0027】インナキャップ10は、上記実施の形態におけると同じ素材を用い、製造工程を簡素化することによって同等の性能を維持しながら低コスト化を達成することができる(図5)。この場合、筒状の布地材料Cから吸汗帯部12を形成する工程は同じである。一方、キャップ部11は、平面的に重ね合せた状態で円滑な曲線を描くように単に山形に縫い合せ、このときのミシン目12sに沿って布地材料Cの残余部分C3を切除することによって形成されている。したがって、キャップ部1は、端正な半球形には仕上がらないが、キャップ部11の深さに余裕を持たせた寸法設定とすることにより、支障なく利用することができる。
【0028】また、インナキャップ10は、平面状の布地材料Cから形成することによって筒状のものとして提供されない布地材料を広く活用することができる(図6)。この場合、布地材料Cの選定条件は、吸汗性と伸縮性とを有する柔軟な素材ということになる。平面状の布地材料Cは、所定の縦横寸法に裁断し、先ず、一端側の一定幅を折返し縫製して直線状の吸汗帯部12を形成する(図6(A))。ここで、布地材料Cが縦方向と横方向とで伸縮性に差異がある素材である場合には、形成される吸汗帯部12に沿ってより大きく伸縮する方向性として用いるものとする。ついで、直線状の吸汗帯部12の両端を連結するように布地材料Cの全体を折返し、重なった端部C4を縫合する。この段階で、吸汗帯部12は環状となり、また、布地材料Cは、筒状となる。したがって、キャップ部11は、上記実施の形態におけると同様に立体縫製により、または単に山形に縫製する簡略な手段により形成することができる。
【0029】インナキャップ10は、使用者Pの左右の耳を覆う一対の耳当て部材13,13を備えるものとすることができる(図7)。各耳当て部材13は、吸汗帯部12から下垂する舌片形に形成され、耳全体を覆うことができる。耳当て部材13の素材は、インナキャップ10と同一素材であってもよく、また、インナキャップ10とともに洗濯することができることを条件とすれば、別異の素材であってもよい。耳当て部材13,13を備えることによって、冬場の外作業によって凍傷を受け易い耳を防寒することができる。また、耳当て部材13,13の内部には、防音部材を装着することもでき、この場合には、騒音レベルの大きな作業現場等において騒音性の難聴の被害を防止することもできる。
【0030】また、インナキャップ10は、左右の耳部分から後頭部全体を覆う形態の日除けフード14を備えるものとすることができる。日除けフード14は、遮光性の布地材料からなり、吸汗帯部12から下垂する形態でインナキャップ10に縫い付けられている。この日除けフード14は、耳当て部材13,13を兼ね、冬季の防寒用としても、炎天下の日除けとしても機能するので年間を通じて活用可能である。
【0031】
【発明の効果】本発明に係るヘルメットと併用するインナキャップは、吸汗性と伸縮性とを有する柔軟な布地材料を、頭周囲を取り巻く吸汗帯部と頭髪を押え込む半球形のキャップ部とからなる無鍔の帽体形のインナキャップとしているので、インナキャップは、フリーサイズの帽子を着用するのと同様に簡単に頭部に着用し、この上にヘルメットを着用することができる。この際、インナキャップは、柔軟な布地材料を素材としているので、ヘルメットの着用感が大幅に改善されるとともに頭部に対するヘルメットの着座性も改善される。そして、インナキャップは、ヘルメット内において吸汗帯部によって頭部からの発汗を吸収し、額から顔面に流下するのを防止するとともに、汗によるヘルメットの位置ずれも防止されるので、作業の安全を確保することができ、使用後は洗濯して繰り返して利用することができる。
【出願人】 【識別番号】301036319
【氏名又は名称】有限会社出口建設
【出願日】 平成14年5月29日(2002.5.29)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−342823(P2003−342823A)
【公開日】 平成15年12月3日(2003.12.3)
【出願番号】 特願2002−193999(P2002−193999)