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【発明の名称】 アンテナ付きヘルメット
【発明者】 【氏名】片山 睦
【住所又は居所】埼玉県和光市中央一丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内

【氏名】櫛田 和光
【住所又は居所】埼玉県和光市中央一丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内

【氏名】日野 優志
【住所又は居所】埼玉県新座市野火止8−18−4 株式会社ホンダアクセス内

【要約】 【課題】乗員が所持または装着する携帯無線端末がどのような位置にあっても、常に高い品質の無線通信を確保できる車載無線端末を提供する。

【解決手段】一対の無線通信用アンテナのうち、その一方のアンテナAT1をヘルメット左側面の下縁部(トリム)に沿って配置し、他方のアンテナAT2を右側面の下縁部に沿って配置する。ヘルメットがフルフェイス形状であれば、一方のアンテナAT1をヘルヘット正面の下縁部に沿って配置し、他方のアンテナAT2を後部の下縁部に沿って配置しても良い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 無線通信用アンテナを備えたヘルメットにおいて、一対の長手状アンテナを具備し、前記一対の長手状アンテナが、ヘルメットの縁部に沿って、かつ相互に離間して配置されたことを特徴とするアンテナ付きヘルメット。
【請求項2】 前記一対の長手状アンテナが、ヘルメットの前部および後部の下縁部に沿って配置されたことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ付きヘルメット。
【請求項3】 前記一対の長手状アンテナが、ヘルメットの右側部および左側部の下縁部に沿って配置されたことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ付きヘルメット。
【請求項4】 前記一対の長手状アンテナが、ヘルメットの左右側部の下縁部に設けられたトリムと一体的に形成されたことを特徴とする請求項3に記載のアンテナ付きヘルメット。
【請求項5】 前記一対の長手状アンテナが、ヘルメットの左右側部の下縁部に設けられたトリム表面に固着されたことを特徴とする請求項3に記載のアンテナ付きヘルメット。
【請求項6】 前記一対の長手状アンテナがヘルメット外殻の対向位置に配置されたことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ付きヘルメット。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアンテナ付きヘルメットに係り、特に、ISM(Industry Science Medical)バンドを利用して近距離通信を行う車両用インターコムに好適なアンテナ付きヘルメットに関する。
【0002】
【従来の技術】二輪車に乗車している乗員同士での会話を可能とするために、車両側には車載無線端末を搭載し、乗員のヘルメットには、スピーカ、マイクおよび携帯無線端末から構成されるヘッドセットを装備し、同一車両に乗車する乗員同士や異なる車両の乗員同士が前記車載無線端末を介して通話できるようにした通信システム(インターコム)が、たとえば実開昭62−155535号のマイクロフィルムに開示されている。また、インターコムの無線通信規格としてBluetooth(ブルートゥース)を採用する技術が、特開2001−148657号公報に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】電波伝播には直進性があるため、通信品質は無線端末間に存在する遮蔽物の大きさと波長との相対的な関係に強く影響されることが広く知られている。特に、周波数がUHF帯の上限に近い領域の2.5GHz帯(波長約12cm)を利用するISM(Industry, Science, Medical)バンドの通信では、車体のみならず乗員の身体が遮蔽物として強く作用するため、その影響は無視できない。
【0004】一方、近距離用の無線通信システムとして普及しつつあるブルートゥースは2.5GHzのISMバンドを利用しているため、これをインターコムや車両間通話に採用すると、その通話品質が乗員と無線端末との相対的な位置関係に強く依存する。したがって、車体に設けたブルートゥース用アンテナと、乗員が身に付けたブルートゥース端末との間で通信を行う場合、車体に設けたアンテナの位置、通話対象となっている乗員の乗車位置、乗員が身に付けたブルートゥース端末の収納位置等が通信品質に強く影響する。
【0005】また、従来技術のようにアンテナを含む無線端末をヘルメット後部などの一箇所のみに設けると、乗員が頭を左右方向に曲げただけでアンテナが頭部の陰になってしまう場合があった。
【0006】本発明の目的は、上記した従来技術の課題を解決し、アンテナを装着する乗員の姿勢にかかわらず常に高い品質の無線通信を確保できるアンテナ付きヘルメットを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成するために、本発明は、一対の無線通信用アンテナを備えたヘルメットにおいて、以下のような手段を講じた点に特徴がある。
(1)一対の長手状アンテナを、ヘルメットの縁部に沿って、かつ相互に離間されるように配置した。
(2)一対の長手状アンテナを、ヘルメットの前部および後部の下縁部に沿って配置した。
(3)一対の長手状アンテナを、ヘルメットの右側部および左側部の下縁部に沿って配置した。
(4)一対の長手状アンテナを、ヘルメット外殻の対向位置に離間配置した。
【0008】上記した特徴(1)によれば、一対のアンテナをヘルメットの外殻上に、その美観を損なうことなく離間配置することができる。
【0009】上記した特徴(2)によれば、乗員が顔をどのような方向に向けても死角の少ない広い通話エリアを確保できるようになる。
【0010】上記した特徴(3)によれば、フルフェイス型ヘルメットのみならずジェット型ヘルメットにおいても死角の少ない広い通話エリアを確保できるようになる。
【0011】上記した特徴(4)によれば、一対のアンテナを、両者が通信エリアを相補し合える最適位置に配置することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明を適用したインターコムによる通信形態の一例を示した図であり、車両Aには車載無線端末Nが搭載され、各車両A,Bの乗員が装着するヘルメットには、マイク11,スピーカ12および携帯無線端末Nx(NC0,NC1,NC2)を含むインターコムが装着されている。移動電話NTELは車両Aの運転者および同乗者のいずれかが所持している。前記車載無線端末Nおよび各携帯無線端末Nx(移動電話NTELを含む)はブルートゥースの規格に準拠し、これらを収容端末とするピコネット上で、車載無線端末Nがマスタモード、他の無線端末Nxがスレーブモードで動作しながら相互に無線通信を行う。
【0013】図2,3は、本発明を適用した車載無線端末Nおよび携帯無線端末NC0,NC1,NC2の通信系統の構成を示したブロック図であり、ここでは、本発明の説明に不用な構成の記述は省略している。本発明では、各無線端末に少なくとも2つのアンテナAT1,AT2が配置されている点に特徴がある。
【0014】図2に示した第1形態では、2つのアンテナAT1,AT2がアンテナ制御回路37およびバンドパスフィルタ(BPF)38を介して唯一のブルートゥース(BT)モジュールBT0と接続されている。アンテナ制御回路37は、後に詳述するダイバーシティ受信機能を備え、BTアンテナAT1,AT2のいずれか一方で受信された信号を選択的に、あるいは2つのアンテナで受信された信号を合成してBTモジュールBT0へ提供する。
【0015】図3に示した第2形態では、無線端末が2つのBTモジュールBT1,BT2を備え、各BTモジュールBT1,BT2に、それぞれアンテナAT1,AT2が接続されている。
【0016】CPU33は、ROM34に記憶されているプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM35は、CPU33が各種の処理を実行する際にデータなどを一時記憶するためのワークエリアを提供する。入出力インターフェース36には、当該端末が車載無線端末Nであれば、各種の操作スイッチや表示装置が接続される。当該端末が携帯無線端末NC0,NC1,NC2のいずれかであれば、表示装置やヘッドセット等が接続される。
【0017】各BTモジュールBT0,BT1,BT2は、RFユニット31およびBTチップ32を主要な構成とする。前記BTチップ32は、相手端末との間にピコネット内同期を確立する処理や、送受信信号の符号化/復号化処理等を実行する。すなわち、各BTモジュールは送信時に搬送波信号を送信データでデジタル変調し、その被変調搬送波信号を周波数ホッピングによりスペクトラム拡散する。そして、この送信信号を規定値以下の送信出力レベルに増幅した後、アンテナAT1から通信相手の無線端末に向け送信する。また、通信相手の無線端末から到来した無線信号をアンテナAT1を介して受信し、これをスペクトラム逆拡散した後にディジタル復調する。
【0018】図4、5,6,7は、前記車載無線端末Nを二輪車に搭載した場合におけるアンテナAT1,AT2の配置例を示した図であり、本実施形態では、一方のアンテナAT1を車体右側に配置した場合には、他方のアンテナAT2は車体左側に配置する。
【0019】例えば、一方のアンテナAT1は右ハンドルグリップの根元位置[1R]に配置し、他方のアンテナAT2は左ハンドルグリップの根元位置[1L]に配置する。このようなアンテナ配置によれば、アンテナAT1[1R]からは運転者のヘルメット、胸部および右腰部との間が見通し距離となり、アンテナAT2[1L]からは運転者のヘルメット、胸部および左腰部との間が見通し距離となるので、運転者端末NC0のアンテナがヘルメット、胸部、腰部のいずれに位置していても安定的な通信が期待できる。また、同乗者に関しては、その携帯無線端末NC1のアンテナがヘルメットに取り付けられていれば見通し距離となる。
【0020】さらに、他の車両Bとの通信を考えると、アンテナAT1[1R]によれば、車両Bが信号待ち等で自車の右側に停車している場合や、行く手の交差点で右折しようとしている場合に高い感度が得られる。また、アンテナAT2[1L]によれば、車両Bが信号待ち等で自車の左側に停車している場合や、行く手の交差点に左方から進入しようとしている場合に高い感度が得られる。
【0021】本実施形態ではまた、一方のアンテナAT1をフロント右ウインカの根元位置[2R]に配置し、他方のアンテナAT2をフロント左ウインカの根元位置[2L]に配置しても良い。このようなアンテナ配置によれば、アンテナAT1[2R]は前記位置[1R]の場合よりも運転者のヘルメットとの距離が遠くなるものの胸部との距離は同等であり、右腰部との距離が近くなる。また、前記位置[1R]に配置する場合に較べて目立ちにくくすることができるので、外観意匠の自由度が増して商品性の向上が見込まれる。アンテナAT2[2L]に関しても同等の効果が期待できる。
【0022】本実施形態ではさらに、一方のアンテナAT1をリヤ右ウインカの根元位置[3R]に配置し、他方のアンテナAT2をリヤ左ウインカの根元位置[3L]に配置しても良い。このようなアンテナ配置によれば、アンテナAT1[3R]と運転者との距離は前記位置[2R]の場合よりも遠くなるが同乗者の右腰部との距離が圧倒的に近くなる。また、右後方から近づく他車両Bとの通信が容易になる。さらに、前記位置[2R]に設ける場合と同様に、外観意匠の自由度が増すので商品性の向上が見込まれる。アンテナAT2[3L]に関しても同等の効果が期待できる。
【0023】本実施形態ではさらに、一方のアンテナAT1を車体前方に配置し、他方のアンテナAT2を車体後方に配置しても良い。例えば、一方のアンテナAT1はメータユニットの中央部[4F]に配置し、他方のアンテナAT2はリヤシートの後方[4R]に配置する。
【0024】このようなアンテナ配置によれば、アンテナAT1[4F]と運転者のヘルメット、胸部および腰部との距離が短くなる。特に、運転者のアンテナが身体の右左いずれに位置していても同じように安定した通信が可能になる。進行方向に位置している他の車両Bに関しては、自車の右左いずれに位置しているかを問わず同じように安定した通信が可能になる。
【0025】アンテナAT2[4R]と運転者とは、アンテナがヘルメットに取り付けられている場合は見通しとなる可能性がある。同乗者に対しては、前記位置[3L]や[3R]よりもヘルメットに取り付けられたアンテナとの通信に有利である。車両Bに備えられた無線端末等と通信を行う場合は、進行方向後方にいる車両であれば、自車両の右左いずれの側にあるかを問わず安定した通信が可能になる。
【0026】なお、本発明はこれのみに限定されず、一対のアンテナAT1,AT2が乗員の乗車位置を挟んで配置されるようにしても良い。例えば、前記メータユニット中央部[4F]とリヤシート後方[4R]との組み合わせ以外にも、左ハンドルグリップの根元位置[1L]とリヤ右ウインカの根元位置[3R]との組み合わせ、あるいは右ハンドルグリップの根元位置[1R]とリヤ左ウインカの根元位置[3L]との組み合わせであっても良い。
【0027】このように、本実施形態では車載無線端末Nの一対のアンテナAT1,AT2を、その一方が車体右側に配置された場合には他方は車体左側に配置されるようにしたので、車体幅を有効利用することにより複数のアンテナを最大限に離間配置できるのみならず、アンテナ間に位置する車体の一部や乗員を電波遮蔽物として機能させることができるので、各アンテナ間の干渉が抑えられる。さらに、乗員が電波遮蔽物となって一方のアンテナによる受信が妨げられても、他方のアンテナによりこれを補うことができるので通信品質が向上する。
【0028】さらに、本実施形態では車載無線端末Nの一対のアンテナAT1,AT2を、その一方が車体前方に配置された場合には他方は車体後方に配置されるようにしたので、車体長を有効利用することにより複数のアンテナを最大限に離間配置できるのみならず、アンテナ間に位置する車体の一部や乗員を電波遮蔽物として機能させることができるので、各アンテナ間の干渉が抑えられる。さらに、乗員が電波遮蔽物となって一方のアンテナによる受信が妨げられても、他方のアンテナによりこれを補うことができるので通信品質が向上する。
【0029】図8,9は、前記携帯無線端末NxにおけるアンテナAT1,AT2のヘルメット外殻への固定方法を示した図であり、本実施形態では、長手状の平板アンテナを採用している。
【0030】図8に示した例では、一方のアンテナAT1を、その長辺がヘルメット左側面の下縁部または当該下縁部に設けられるトリム(縁ゴム)に沿って並行になるように配置[同図左側]し、他方のアンテナAT2を右側面の下縁部に沿って同様に配置[同図右側]している。なお、ISMバンドの波長は約12センチであり、アンテナを半波長ダイポール型とすれば、アンテナ全長を約6センチ程度まで短縮できるので、ヘルメット開口部の縁に沿って設ける(AT1’,AT2’)ようにしても良い。
【0031】さらに、ヘルメットがフルフェイス形状であれば、図9に示したように、一方のアンテナAT1をヘルメット正面の下縁部に沿って配置[同図左側]し、他方のアンテナAT2をヘルメット後部の下縁部に沿って配置[同右側]しても良い。また、フルフェイス形状のヘルメットにおいても、アンテナを半波長ダイポール型とすれば、ヘルメット窓穴の縁に沿って設ける(AT1’,AT2’)ことができる。
【0032】なお、図8、9ではアンテナAT1,AT2をヘルメットの外殻に設けたが、アンテナをプラスチックフィルム等でラミネートしてヘルメット下縁部のトリム上に張り付けても良いし、あるいはアンテナを導体箔で構成してトリム内に一体形成によりインサートしても良い。
【0033】このように、本実施形態では一対のアンテナAT1,AT2がヘルメットの外殻表面で離間配置されるので、アンテナ相互間で指向性に悪影響を及ぼすことがない。また、各アンテナAT1,AT2をヘルメットの下側縁部や開口部縁部に沿って配置したので、ヘルメットの美観や意匠の自由度を損なうことなく複数のアンテナを設置することができる。
【0034】次いで、前記図2に示した第1形態、すなわち一つのBTモジュールと2つのアンテナAT1,AT2とを備えた無線端末における通信動作を説明する。
【0035】図10は、前記アンテナ制御回路37をアンテナスイッチとして機能させ、一対のアンテナAT1,AT2で受信された信号の一方のみを選択的に使用するダイバーシティ受信の動作を示したフローチャートであり、主にCPU33により実行される。
【0036】ステップS101では、各アンテナAT1,AT2において受信される信号の受信状態レベルQが定量的に計測される。前記受信状態レベルQは、受信強度あるいは受信強度と干渉量とをパラメータとする関数に基づいて求めることができる。
【0037】ステップS102では、各受信状態レベルQの最高値Qmaxと最低値Qminとの差分が基準値Qref1と比較される。ここでは、アンテナAT1による受信状態レベルQ[1]がQmax、アンテナAT2による受信状態レベルQ[2]がQminであるものとして説明を続ける。前記差分(Qmax−Qmin)が基準値Qref1よりも大きければ、ステップS103において、受信状態レベルQが最高値Qmaxを示したアンテナAT1が、アンテナ制御回路37により今回の通信用アンテナとして選択される。
【0038】一方、前記ステップS102において、前記差分(Qmax−Qmin)が基準値Qref1よりも大きくないと判定されると、ステップS104において、自身が現在使用中の周波数帯域と同一の周波数帯域を利用する他のネットワークが近傍に存在するか否かが判定される。存在しないと判定されれば、前記ステップS103へ進んでアンテナAT1が選択される。存在すると判定されればステップS105へ進む。
【0039】ステップS105では、前記他のネットワークに属する無線端末から送信されている信号の各アンテナAT1,AT2における受信状態レベルQ’が計測される。ステップS106では、当該受信状態レベルQ’が最低値Qminを示すアンテナがアンテナ制御回路37により選択される。
【0040】本実施形態によれば、複数のアンテナが離間配置され、その中から受信状態の最も良いアンテナが選択されるので、常に高品質の無線通信が可能になる。また、各通信相手にそれぞれ対応してアンテナ位置を選択することができるので、複数のアンテナからの受信信号を合成する場合とは異なり、位相差による干渉を考慮する必要が無い。
【0041】図11は、前記と同様に一つのBTモジュールと2つのアンテナAT1,AT2とを備えた車載無線端末Nまたは携帯無線端末Nxにおいて、2つのアンテナAT1,AT2で受信した信号を合成するダイバーシティ受信の動作を示したフローチャートである。
【0042】ステップS201では、各アンテナAT1,AT2の位相差を変化させながら、その合成波の受信状態レベルQが計測される。ステップS202では、受信状態レベルQが最大値Qmaxを示す位相差が検出される。ステップS203では、前記受信状態レベルQの最大値Qmaxが所定の基準値Qref2と比較される。受信状態レベルQの最大値Qmaxが基準値Qref2 を下回っていれば、ステップS204において、このときの位相差が最適位相差として選択される。
【0043】一方、最大値Qmaxが基準値Qref2 を上回っていれば、ステップS205において、自身が現在使用中の周波数帯域と同一の周波数帯域を利用している他のネットワークが近傍に存在するか否かが判定される。存在しないと判定されれば前記ステップS204へ進み、前記受信状態レベルQmaxに対応した位相差が最適位相差として選択される。存在すると判定されればステップS206へ進み、各位相差ごとに、他のネットワークに属する端末から送信されている信号の受信状態レベルQ’が計測される。ステップS207では、前記受信状態レベルQが前記基準値Qref2以上であって、かつ前記他のネットワークに属する無線端末から送信されている信号の受信状態レベルQ’が最も低くなる位相差が最適位相差として選択される。
【0044】本実施形態によれば、2つのアンテナで受信される信号の位相差を異ならせながら合成波の受信状態レベルQを計測し、受信状態レベルQの高い位相差において受信するので、さらに品質の高い無線通信を確保できるようになる。また、本実施形態では、近傍に存在する他のネットワークとの干渉も考慮されるので、さらに品質の高い無線通信を確保できるようになる。
【0045】さらに、本実施形態では各アンテナAT1,AT2を、いわゆるフェーズド・アレイ・アンテナとして動作させることができるため、通信相手ごとに最も受信状態レベルQの強くなる位相差を選択することが可能となる一方、通信相手以外の送信源からの信号状態レベルQ’を抑制することができる。従って、近接した範囲内に自車両とは無関係な他車両のピコネットが存在していても、ピコネット相互間のパケット衝突が発生する可能性を抑制することができる。
【0046】次いで、前記図3の構成、すなわち2つのBTモジュールと2つのアンテナAT1,AT2とを備えた車載無線端末の動作を説明する。
【0047】図3のように、アンテナおよびBTモジュールを複数組設けても、一方のBTモジュールに各端末が集中すると利用効率が低下してしまう。また、各無線端末間の通話は運転者端末NC0を中心に行われ、操作者としての運転者が車載無線端末Nを操作しながら通信相手を切り替えることから、運転者端末NC0は常に接続状態を保ち、他の携帯無線端末Nxのリンクは動的に断接される。このように、インターコムでは運転者端末NC0の通話頻度が他の携帯無線端末Nzの通話頻度よりも高いので、運転者端末NC0のピコネット内同期を他の端末NC1,NC2,NTELよりも優先的に確立させ、かつ運転者端末NC0に対して、より品質の高い通信を提供することが望ましい。そこで、以下に説明する実施形態では、運転者端末NC0の優先的接続と無線利用効率の向上とを両立させている。
【0048】図12は、前記図3に示した第2形態、すなわち2つのアンテナAT1,AT2と2つのBTモジュールBT1,BT2とを備えた車載無線端末Nへの複数の無線端末の振り分け動作を示したフローチャートである。
【0049】ステップS301では、スレーブモードで動作する各無線端末Nxに予め割り当てられているBT(ブルートゥース)アドレスが車載無線端末Nに識別子と対応付けて登録される。図17は、車載無線端末Nの平面図であり、トグル型の跳ね返りスイッチ51,52、アドレス表示部53およびロータリエンコーダの回転つまみ54を具備している。
【0050】ここで、車両Aの同乗者の無線端末NC1のBTアドレスに識別子「C1」を割り当てるのであれば、携帯無線端末NC1をピコネットの接続機器登録モード状態で回転つまみ54を回し、図18(a)に示したように、表示部53に「C1」を表示させ、次いで、跳ね返りスイッチ51を「COM1」側へ倒す。
【0051】同様に、車両Bの無線端末NC2のBTアドレスに識別子「C2」を割り当てるのであれば、携帯無線端末NC2をピコネットの接続機器登録モード状態で表示部53に「C2」を表示させ[図18(b) ]、次いで、跳ね返りスイッチ51を「COM2」側へ倒す。同様に、移動電話NTELのBTアドレスに識別子「TEL」を割り当てるのであれば、移動電話NTELをピコネットのカバレッジ内に収容した状態で表示部53に「P−」を表示させ[図18(c) ]、次いで、跳ね返りスイッチ52を「TEL」側へ倒す。
【0052】以上のようにして、各携帯無線端末NxへのBTアドレスの登録が完了すると、図12のステップS302では、一方のBTモジュールBT1からアンテナAT1を介して各無線端末NxへIQパケットをブロードキャストすることにより、ブルートゥース規格に定められた問い合わせ(Inquiry)を実行する。なお、本実施形態では一方のBTモジュールBT1と他方のBTモジュールBT2とが内部通信可能であり、BTモジュールBT2はBTモジュールBT1が行う周波数スキップのパターンを予め取得している。
【0053】ステップS303では、この問い合わせに対して各無線端末Nxから返信される応答信号(FHSパケット)をBTモジュールBT1がアンテナAT1を介して受信する。ここで、本実施形態ではBTモジュールBT2が前記周波数スキップのパターンを認識しているので、BTモジュールBT2もアンテナAT2を介して前記応答信号を受信する。
【0054】ステップS304では、運転者端末NC0から返信された応答信号の各BTモジュールBT1,BT2における受信状態レベルQC0[1]、QC0[2]が比較される。ステップS305において、受信状態レベルQC0[1]が受信状態レベルQC0[2]よりも高いと判定されると、ステップS306では、BTモジュールBT1が運転者端末NC0に対して呼出(Page)を行ってピコネット内同期を確立させる。ステップS307では、BTモジュールBT2が他の端末Nx(NC1,NC2,NTEL)に対して呼出(Page)を行ってピコネット内同期を確立させる。
【0055】一方、前記ステップS305において、BTモジュールBT1における受信状態レベルQC0[1]がBTモジュールBT2における受信状態レベルQC0[2]よりも高くないと判定されると、ステップS308では、BTモジュールBT2が運転者端末NC0に対して呼出(Page)を行ってピコネット内同期を確立させる。ここでは、各BTモジュールBT1,BT2の周波数スキップのパターンは相互に異ならせることができる。ステップS309では、BTモジュールBT1が他の無線端末Nxに対して呼出(Page)を行ってピコネット内同期を確立させる。
【0056】図19は、本実施形態による各無線端末の振り分け方法を模式的に表現した図であり、BTモジュールBT1における運転者端末NC0の受信状態レベルQC0[1]がBTモジュールBT2における受信状態レベルQC0[2]よりも高いので、BTモジュールBT1は運転者端末NC0との間にピコネット内同期を確立し、BTモジュールBT2は他の無線端末NC1,NC2,NTELとの間にピコネット内同期を確立する。
【0057】本実施形態によれば、運転者端末NC0はアンテナの受信状態レベルQが強い一方のBTモジュールとの間にピコネット内同期を確立し、他の無線端末は他方のBTモジュールとの間にピコネット内同期を確立するので、運転者端末NC0の優先的接続と無線利用効率の向上とが両立されるのみならず、優先度の高い運転者端末NC0に対して高い通信品質を確保できるようになる。
【0058】図13は、前記図3に示した第2形態の構成を有する車載無線端末Nへの複数の無線端末の振り分け動作の他の一例を示したフローチャートであり、ステップS401〜S403では、前記図12のステップS301〜S303と同等の処理が実行される。
【0059】本実施形態では、優先度の高い運転者端末NC0を収容するBTモジュールが、その配置状態等に基づいて予約されており(本実施形態では、BTモジュールBT1)、ステップS404では、BTモジュールBT1が運転者端末NC0に対して呼出(Page)を行ってピコネット内同期を確立させる。ステップS405では、BTモジュールBT2が他の無線端末Nxに対して呼出(Page)を行ってピコネット内同期を確立させる。
【0060】本実施形態によれば、運転者端末NC0との通信に最適な位置に配置されたアンテナが運転者端末用として予約されており、運転者端末NC0は前記予約されたアンテナとの間にピコネット内同期を確立するので、優先度の高い運転者の携帯無線端末NC0に対して高い通信品質を確保できるようになる。
【0061】図14は、前記図3に示した第2形態の構成を有する車載無線端末Nへの複数の無線端末の振り分け動作の更に他の一例を示したフローチャートであり、ステップS501〜S503では、前記ステップS301〜S303と同等の処理が実行される。
【0062】ステップS504では、いずれか一方のBTモジュールと運転者端末NC0との間にピコネット内同期が確立されたか否かが判定される。ここで、一方のBTモジュールと運転者端末NC0との間にピコネット同期が確立されると、ステップS505では、他方のBTモジュールと他の携帯無線端末Nxとの間にピコネット同期が確立される。
【0063】本実施形態によれば、優先度の高い運転者端末NC0に対して優先的にピコネット同期を確立させることができる。
【0064】図15は、前記図3に示した第2形態の構成を有する車載無線端末Nへの複数の無線端末の振り分け動作の更に他の一例を示したフローチャートであり、ステップS601〜S604では、前記ステップS301〜S304と同等の処理が実行される。
【0065】ステップS605では、全ての無線端末の受信状態レベルQの中の最低値Qminが所定の基準値Qref3と比較され、最低値Qminが基準値Qref3を下回っていなければステップS606へ進む。ステップS606では、運転者端末NC0のアンテナAT1における受信状態レベルQC0[1]とアンテナAT2における受信状態レベルQC0[2]とが比較され、QC0[1]>QC0[2]であればステップS607へ進み、BTモジュールBT1が運転者端末NC0に対して呼出(Page)を行ってピコネット内同期を確立させる。ステップS608では、BTモジュールBT2が他の無線端末Nx(NC1,NC2,NTEL)に対して呼出(Page)を行ってピコネット内同期を確立させる。
【0066】一方、前記ステップS606においてQC0[1]>QC0[2]ではないと判定されると、ステップS609では、BTモジュールBT2が運転者端末NC0に対して呼出(Page)を行ってピコネット内同期を確立させる。ステップS610では、BTモジュールBT1が他の端末Nxに対して呼出(Page)を行ってピコネット内同期を確立させる。
【0067】さらに、前記ステップS605において、最低値Qminが基準値Qref3を下回っていると判定されると、ステップS611では、最低値Qminを記録した組み合わせがBTモジュール[1]と無線端末Nxとの組み合わせであれば、他方のBTモジュールBT[2]と無線端末Nxとの間にピコネット内同期が確立される(例えば、最低値Qminを記録した組み合わせがBTモジュールBT1と無線端末Nxとの組み合わせであれば、BTモジュールBT2と無線端末Nxとの間にピコネット内同期が確立される)。
【0068】ステップS612では、前記最低値Qminを記録した無線端末が運転者端末NC0であるか否かが判定される。運転者端末NC0であれば、ステップS614において、前記他方のBTモジュールBT[1]と残りの無線端末Nxとの間にピコネット内同期が確立される。
【0069】これに対して、最低値Qminを記録した無線端末が運転者端末NC0以外であれば、ステップS613において、運転者端末NC0 とBTモジュール[1]との間にピコネット内同期が確立される。ステップS615では、運転者端末NC0およびBTモジュールBT[2]と既にピコネット同期を確立している無線端末Nx以外の無線端末NxとBTモジュールBT[2]との間にピコネット内同期が確立される。
【0070】図20は、本実施形態による各無線端末の振り分け方法を模式的に表現した図であり、BTモジュールBT2における無線端末NTELの受信状態レベルQTEL[2]が基準値Qref3を下回っているので、この無線端末NTELを含む運転者端末NC0以外の無線端末NC1,NC2,NTELはBTモジュールBT1との間にピコネット内同期を確立し、運転者端末NC0はBTモジュールBT2との間にピコネット内同期を確立している。
【0071】本実施形態によれば、全ての組み合わせの中から受信状態レベルQが最も低くなる組み合わせが回避されるので、平均的に優れた通信品質を確保できるようになる。
【0072】図16は、前記図3に示した第2形態の構成を有する車載無線端末Nへの複数の無線端末の振り分け動作の更に他の一例を示したフローチャートであり、ステップS701〜S703では、前記ステップS301〜S303と同等の処理が実行される。
【0073】ステップS704では、運転者端末NC0のBTモジュールBT1における受信状態レベルQC0[1]および他の無線端末NC1,NC2,NTELのBTモジュールBT2における受信状態レベルQC1[2],QC2[2],QTEL[2]の中の最高値(MAX)と最低値(MIN)との差分ΔQaが求められる。さらに、無線端末NC0のBTモジュールBT2における受信状態レベルQC0[2]および無線端末NC1,NC2,NTELのBTモジュールBT1における受信状態レベルQC1[1],QC2[1],QTEL[1]の中の最高値(MAX)と最低値(MIN)との差分ΔQbが求められる。
【0074】ステップS705では、前記差分値ΔQa,ΔQbが比較され、ΔQaがΔQbよりも大きければステップS706へ進む。ステップS706では、BTモジュールBT2が運転者端末NC0に対して呼出(Page)を行ってピコネット内同期を確立させる。ステップS707では、BTモジュールBT1が他の端末Nxに対して呼出(Page)を行ってピコネット内同期を確立させる。
【0075】一方、前記ステップS705においてΔQaがΔQbよりも大きくないと判定されるとステップS708へ進む。ステップS708では、BTモジュールBT1が運転者端末NC0に対して呼出(Page)を行ってピコネット内同期を確立する。ステップS709では、BTモジュールBT2が他の無線端末Nx(NC1,NC2,NTEL)に対して呼出を行ってピコネット内同期を確立させる。
【0076】図21は、本実施形態による各無線端末の振り分け方法を模式的に表現した図であり、ここでは、運転者端末NC0がBTモジュールBT1とピコネット内同期を確立し、他の無線端末NC1,NC2,NTELがBTモジュールBT2とピコネット内同期を確立した場合よりも、その逆の方が運転者端末NC0と他の無線端末NC1,NC2,NTELとの差分の最大値が大きくなるので、運転者端末NC0がBTモジュールBT1とピコネット内同期を確立し、他の無線端末NC1,NC2,NTELがBTモジュールBT2とピコネット内同期を確立している。
【0077】本実施形態によれば、運転者端末NC0 の受信状態レベルQと他の無線端末の受信状態レベルQとの差が小さくなるので、運転者は各端末と同等の受信状態で通信を行えるようになる。
【0078】なお、上記した各実施形態では、無線モジュールとしてブルートゥースモジュールを用いるものとして説明したが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、他の無線ネットワーク規格(例えば、IEEE802.11や同802.11b)に準拠した無線モジュールを用いる場合にも同様に適用できる。
【0079】
【発明の効果】本発明によれば、以下のような効果が達成される。
(1)一対の長手状アンテナをヘルメットの縁部に沿って離間配置したので、一対のアンテナをヘルメットの外殻上に、その美観を損なうことなく配置することができる。
(2)一対の長手状アンテナを、その長辺がヘルメットの下縁部と略並行に成るようにヘルメットの前部および後部に配置したので、乗員が顔をどのような方向に向けても死角の少ない広い通話エリアを確保できるようになる。
(3)一対の長手状アンテナを、その長辺がヘルメットの下縁部と略並行に成るようにヘルメットの右側部および左側部に配置したので、フルフェイス型ヘルメットのみならずジェット型ヘルメットにおいても死角の少ない広い通話エリアを確保できるようになる。
(4)一対の長手状アンテナを、その長辺がヘルメットの下縁部と略並行に成るようにヘルメット外殻の対向位置に配置したので、一対のアンテナを、両者が通信エリアを相補し合える最適位置に配置することができる。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【住所又は居所】東京都港区南青山二丁目1番1号
【識別番号】390005430
【氏名又は名称】株式会社ホンダアクセス
【住所又は居所】埼玉県新座市野火止8丁目18番4号
【出願日】 平成14年4月12日(2002.4.12)
【代理人】 【識別番号】100084870
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 香樹 (外2名)
【公開番号】 特開2003−306824(P2003−306824A)
【公開日】 平成15年10月31日(2003.10.31)
【出願番号】 特願2002−111277(P2002−111277)