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【発明の名称】 安全帽
【発明者】 【氏名】原 利次

【氏名】山口 卯三郎

【要約】 【課題】帽体の強度あるいは耐電圧等の安全帽の本来の性能を損なわず、軽量で電力消費が少なく、着用者の作業を妨害せず、コストが低い冷却装置を有する、作業用に適した安全帽を提供する。

【解決手段】送風ファン7と電池ケース16を帽体1の外面の後方部分にねじ又はベルトで固定する。送風ファン7の下方に送風ダクト13が接続されている。送風ダクト13は、送風ファン7の吹出口8cに一端が接続され、帽体1内の風路3の入口付近に他端が開口している。風路3は、ヘッドバンド5a、ハンモック5b、環ひも5cからなる装着体と衝撃吸収ライナー2との間に位置する。送風ダクト13は、送風ファン7により供給される外気を帽体1内の風路3に供給する。風路3内にあった空気は、帽体1の前方より外部に排出される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 帽体の外面に固定された送風ファンと、前記送風ファンにより供給される空気を、前記帽体内に設けられた頭部装着体と前記帽体の内壁との間に位置する風路に前記帽体の下端を迂回して供給するための送風ダクトと、を備え、前記送風ダクトは、前記送風ファンの吹出口にその一端が取り付けられ、前記風路内にその他端が開放され、前記一端と前記他端の間に前記帽体の下端を迂回して給気するための迂回ダクト部分を有することを特徴とする安全帽。
【請求項2】 前記送風ダクトのうち少なくとも前記帽体内に位置する部分は可撓性の部材により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の安全帽。
【請求項3】 前記迂回ダクト部分は、前記帽体の周辺部により支持された入れ子により前記帽体に着脱可能に支持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の安全帽。
【請求項4】 前記送風ファンは、前記帽体の外面の後部位置に固定され、前記送風ダクトの前記他端は、前記帽体内の後部位置に配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の安全帽。
【請求項5】 前記送風ファンは、前記帽体の外面の周辺部の中間位置に配置され、前記送風ダクトの前記迂回ダクト部分は、前記帽体の後部位置に配置され、前記送風ダクトの前記他端は、前記帽体内の後部位置に配置され、前記送風ダクトは、前記一端を前記迂回ダクト部分に連結するための、前記帽体の外面の周辺部に沿って設けられたつなぎ部分を更に有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の安全帽。
【請求項6】 前記送風ファンは、伸縮自在のベルトにより、前記帽体の前記外面に固定されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の安全帽。
【請求項7】 前記送風ファンによる風量は、毎分0.08m以上0.2m以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の安全帽。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工事現場あるいは建築現場その他の作業現場で主に使用される頭部を保護するための作業用の安全帽(ヘルメットとも呼ばれる)に関する。
【0002】
【従来の技術】いろいろな作業現場、例えば工事現場あるいは建築現場では、作業者の頭部を落下物等の危険物から保護するために安全帽が使用されている。安全帽は、外面を構成する帽体と、その内部に設けられた、安全帽を頭部に装着するための安全帽に固定された装着体と、装着体に固定されたあごひもとを含んでいる。装着体は、ヘッドバンド、ハンモック、環ひもよりなり、安全帽を着用しようとする作業者は、装着体を頭部に搭載してあごひもを結んで装着体が頭部より離脱しないようにする。帽体は装着体に固定されているので、帽体は頭部から離脱しなくなる。産業用の安全帽では、帽体の内壁に沿って衝撃吸収ライナーが更に設けられている。
【0003】衝撃吸収ライナーがない安全帽の場合でも、装着体と帽体の内面との間の空間は、狭くて、そこでの空気の流通は悪く、高温多湿の状態になりやすい。特に、夏期における屋外での作業時には、安全帽内の空間は、外部の日射により高温となるだけでなく、作業者の発汗により湿度も外気より高くなる。この結果、作業環境が非常に劣悪な状態になり、作業者の作業能率が低下し、あるいは不注意により事故が多発するという問題がある。
【0004】このため、安全帽の内部の温度と湿度を低下させる機能を安全帽に付加する技術がいくつか提案されている。例えば、登録実用新案公報第3010064号には、帽体の中央頂部に空気取り入れ口を設け、当該取り入れ口と頭部装着体との間に収容室が設けられている。この収容室には、冷却ファンと冷却部材を設けられている。冷却ファンにより上記取入口から外気を取り入れ、当該冷却部材に接触させることにより取り入れられた外気を冷却し、冷却された外気を収容室に設けられた多数の吹出口から上記装着体により形成された連通孔を通して頭部に吹き付け、それにより頭部を冷却している。頭部により熱せられた外気は帽体の周辺部より帽体外部に排出される。冷却ファンを駆動電源として、帽体の外側表面に設けられた太陽電池が使用される。
【0005】このように、安全帽頂部に外気の取入口を設けると、帽体の強度が低下し、強度に関するJIS規格等の安全規格を満たさなくなる恐れがある。また、取入口に水が入るので、耐電圧が低下する恐れがある。したがって、電気工事用の安全帽の場合、JIS規格等の耐電圧に関する安全規格を満たさなくなる恐れがある。また、作業用の安全帽には帽体内に衝撃吸収用のライナーを装着しているものもある。このような安全帽に上記外気取入口及び収容室を設けると、帽体内にはそれらの部分には衝撃吸収ライナーを設けることができず、帽体が外部から衝撃を受けた場合、着用者の頭部に衝撃が直接伝わる危険が出てくる。
【0006】このように、帽体内部に冷却ファン、冷却部材等の冷却用装備を設けた場合、安全帽が本来有すべき、衝撃防止、感電防止機能が損なわれる恐れがある。したがって、作業用の安全帽の帽体に空気取り入れ口を設け、帽体内部を冷却する冷却装置を帽体の内部に設けることは望ましくない。
【0007】安全帽を冷却する装置を帽体外部に設けた安全帽の例として、バイク用の安全帽が特開平9−273019号公報に示されている。ここでは、ヘルメット内壁に沿って多数の通気孔を有するマットを設け、ヘルメットの外面の後方部分に冷却カートリッジを固定し、当該冷却カートリッジから冷媒をエアーチューブを介して上記マットに供給している。
【0008】安全帽を外部から冷却する他の2輪車用の安全帽が、特開平11−43816号公報に示されている。ここでは、外気を取り込み冷却する冷却装置(具体的には熱電素子を用いる熱交換手段)が2輪車上に設けられ、ヘルメットの内面には多数の吐出穴を有するヘルメット内ダクトが設けられている。更に、送風ダクトの一端が当該熱交換手段の送風口に接続され、他端が帽体後部に設けられた着脱自在の結合継ぎ手を介して上記ヘルメット内ダクトに接続されている。熱交換手段により冷却された外気が送風ダクトを介してヘルメット内ダクトの多数の吐出穴から吹き出されて、帽体内部を冷却する。熱交換手段に用いられる熱電素子の駆動電源には2輪車の電池が使用されている。
【0009】
【本発明が解決しようとする課題】特開平9−273019号公報に示された安全帽のように、冷却カートリッジから冷媒を帽体内に供給する冷却装置は、気化した冷媒蒸気が顔面を流れ、この冷媒蒸気の流れによって空気が排除され、顔周辺の酸素が希薄になる。通常より酸素を多く必要とする作業中は酸素が欠乏する恐れがあり、作業用の安全帽にはこのような冷却装置を使用することはできない。
【0010】特開平11−43816号公報記載の安全帽のように、安全帽と別に設けられた冷却装置を送風ダクトにより安全帽に接続する方法を作業用の安全帽に適用するには、作業者がいろいろな場所に移動して作業できるようにする必要があり、そのためには、冷却装置を作業者の体、例えば腰に固定し、冷却装置と安全帽を送風ダクトで接続する必要がある。しかし、このような送風ダクトは長いので、送風ダクトによる圧力損失が非常に大きくなる。このため、所望の冷却能力を得るに必要な消費電力が増大し、冷却装置を電池で駆動した場合、電池の持続時間が短くなる。
【0011】更に、送風ダクトは、少なくとも腰から頭までの長さを有し、作業者が姿勢をいろいろ変化させたときに、作業者の動作を妨げる恐れがある。冷却能力を更に大きくしたい場合、冷却装置の重量が増大し、冷却装置を体に固定して移動する作業者にとって、このような安全帽は使用しにくく、冷却装置を駆動する電池の持続時間も短くなる。
【0012】作業用の安全帽に冷却機能を付加する場合にはコストも考慮されるべきである。結局、作業用の安全帽としては、冷却装置の使用により帽体の強度あるいは耐電圧等の安全帽の本来の性能を損なわないこと、冷却装置が軽量であること、使用しやすいこと、電力消費が少なく電池で駆動できること、電池の持続時間が長いこと、コストが低い等のいろいろの条件を満たす冷却装置付き安全帽が望まれる。しかし、これまで提案されている安全帽は実用性においていろいろな問題を有するのが実状である。
【0013】したがって、本発明の目的は、帽体の強度あるいは耐電圧等の安全帽の本来の性能を損なわず、軽量で電力消費が少なく、着用者の作業を妨害せず、しかもコストが低い冷却装置を有する、作業用に適した安全帽を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明に係る安全帽は、帽体の外面に固定された送風ファンと、前記送風ファンにより供給される空気を、前記帽体内に設けられた装着体と前記帽体の内壁との間に位置する風路に前記帽体の下端を迂回して供給するための送風ダクトとを備え、前記送風ダクトは、前記送風ファンの吹出口にその一端が取り付けられ、前記風路内にその他端が開放され、前記一端と前記他端の間に前記帽体の下端を迂回して給気するための迂回ダクト部分を有するものである。
【0015】このように、本発明に係る安全帽では、冷却装置として帽体外面に固定された送風ファンを使用し、外気を送風ダクトにより帽体の下端を迂回して帽体内に供給しているので、外気を取り入れる目的あるいは他の目的のための開口を帽体に設ける必要はない。したがって、冷却装置を設けたために安全帽の強度あるいは耐電圧が低下するという問題の発生を回避することができる。更に、冷却装置として、電子冷却装置を使用しないで送風ファンによる空冷を使用するので、冷却装置は軽量であり、電力消費も少ない。しかも、送風ファンが帽体の外面に固定されているので、送風ダクトの長さを短くし、断面積を大きくすることができるので、送風ダクトによる圧力損失を小さくすることができ、送風ファンによる電力消費を少なくすることが出来る。更に、送風ファンと送風ダクトを帽体外面に固定し、かつ本冷却装置は軽量であるので、本冷却装置は着用者の作業を妨害することもない。しかもコストが低い。こうして作業用に適した安全帽を得ることが出来る。
【0016】本発明に係る安全帽は、このような簡単な構造であるが、着用者に実用的な涼感を与えることができる。すなわち、着用者が作業をしたことにより体温が上昇したため、あるいは屋外で太陽からの輻射熱に安全帽が曝されたため等の理由により、帽体内の温度が外気より上昇した場合、帽体内部の空気より相対的に温度が低い外気を帽体内に送風ファンと送風ダクトを使用して供給することにより、帽体内の空気の温度を低下することができ、着用者は涼しく感じることになる。
【0017】更に、着用者の体温が上昇し、着用者の額あるいは頭皮から発汗が生じるようになったときには、帽体内部の温度が更に上昇し湿度も高くなる。この状態で送風ファンと送風ダクトにより帽体内部に外気が供給されると、供給された外気は、帽体内の空気より相対的に湿度が低く、帽体内に位置する着用者の頭皮や額の汗が更に蒸発して、蒸発潜熱によって帽体内の空気の温度が低下し、着用者は更に涼しく感じることになる。
【0018】望ましくは、前記送風ダクトのうち少なくとも前記帽体内に位置する部分は可撓性の部材により構成されていることである。これにより、帽体に外部から衝撃を受けたときでも、送風ダクトが頭部に与える衝撃を緩和することができる。
【0019】更に望ましくは、前記送風ファンは、伸縮自在のベルトにより、前記帽体の前記外面に固定されていることである。このベルトの使用により、送風ファンを帽体に固定することが容易になる。固定された送風ファンを帽体から遊離させることも同様に容易となる。
【0020】より具体的には、前記送風ファンにより供給する外気の風量は、毎分0.08m以上0.2m以下であることである。これにより、安全帽の着用者に適度の涼しさを与えることができるとともに、不快感を与えるのを防ぐことが出来る。すなわち、風量がここで示す下限値より小さい場合、涼感を感じない着用者が出てくる。特に、頭髪が多い着用者はそうである。風量がここで示す上限値を越えると、着用者は、涼感を感じるが、風量が強すぎ、顔や眼球表面(角膜)が乾燥し、着用者は不快感を覚えるようになる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る安全帽のいくつかの実施の形態を図面を参照して更に詳細に説明する。
<発明の実施の形態1>【0022】図1は、本発明に係る安全帽の第1の実施の形態の縦断面図である。図2は、図1に示した安全帽の斜視図である。図3は、図1の帽体内に設けられた装着体の斜視図である。
【0023】帽体1の外面の後方位置に架台14(図2)が固定され、架台14上に送風ファン7と電池ケース16とが固定され、送風ファン7が供給する外気を帽体1の内部に導くための送風ダクト13が送風ファン7に接続されている。送風ダクト13は、帽体1のつば1aを迂回して帽体1の内部に外気を導くように形成されている。送風ファン7の回路を開閉するためのスイッチ16aが電池ケース16の蓋16bの外側に設けられている。電池ケース16の蓋16bの内側には図示しない電池が収められる。なお、電池には充放電可能な電池を用いることが環境保護の点でよい。
【0024】帽体1の内部の構造は、後に説明する送風ファン7を取り付けるための、送風ファン取付けねじ穴1b(図7)と、ほぼ球形の突起1c(図5)の存在を除いて、従来使用されている産業用の安全帽と同じである。すなわち、帽体1の内壁には、発泡スチロールなどで成形された衝撃吸収ライナー2が装着されている。帽体1の内部には、頭部に安全帽を装着するための装着体5が帽体1に固定されている。装着体5は、ヘッドバンド5a、複数のハンモック5b及び環ひも5cよりなる。
【0025】環ひも5cは頭部が接触する部分であり、リング状に形成されている。複数のハンモック5bのそれぞれの上端は図3に示すように環ひも5cに結合されている。一般にはハンモック5bは6〜8個あるが、図では簡単化のために4つのハンモック5bのみが示されている。各ハンモック5bの下端はヘッドバンド5aに固定されている。
【0026】ヘッドバンド5aのうち帽体1の後部にある部分は長さ調整用部分であり、ヘッドバンド5aの一端に突起5abが設けられ、他端には調整穴5aaが複数個設けられ、突起5abを差し込む調整穴5aaを選択することによって、ヘッドバンド5aの長さを調整できる。ヘッドバンド5aのこのような長さ調整用部分は、帽体1のつば1aより下がっている。
【0027】ヘッドバンド5aには、一対のあごひも6が更に固定されている。帽体1には止め具4を貫通させる穴が合計4個設けてあり、各あごひも6はそれぞれ2個の止め具4によって帽体1に取り付けられている。各あごひも6の先端には、一対のファスナー6a、6bが設けられており、これらのファスナーにより帽体1が着用者の頭部から離脱しないように帽体1を着用者の頭部に固定することができる。
【0028】ヘッドバンド5a、複数のハンモック5b、環ひも5cは、ポリエチレン樹脂成形品など柔軟性を有する部材により形成される。その結果、着用者が帽体1を装着したとき、装着体5は頭の形に適合する。なお、複数のハンモック5b、環ひも5cを同一の部材により一体に形成することもできる。
【0029】装着体5の位置は、止め具4によって固定されているので、衝撃吸収ライナー2の内面と着用者の頭部との間に、間隙3が形成される。本発明では、この間隙3が、頭部を冷却するための外気を通す風路として使用される。したがって、間隙3を、以下では風路と呼ぶことがある。具体的には、送風ファン7により供給された外気は、送風ダクト13により風路3の後方部(入口付近)に供給され、風路3内を前方に通過して帽体1の前方より外部に排出される。なお、本発明は、衝撃吸収ライナー2を有しない簡易型の安全帽にも適用できる。その場合には、風路3は、帽体1の内壁と着用者の頭部との間に形成されることになる。
【0030】帽体1に外部より衝撃が与えられると、ハンモック5bが衝撃を受けてその柔軟性により延び、着用者の頭部が衝撃吸収ライナー2にぶつかるが、衝撃吸収ライナー2は衝撃を大きく吸収するので、頭部が外部からの衝撃から保護されることになる。
【0031】図4は、送風ファン7と送風ダクト13を拡大して示す斜視図である。送風ファン7は、複数の送風ファン取付け穴8aaを使用して帽体1にねじ止めされる。送風ファン7は、外気を吸収する吸気用の開口部8baを前面に有し、ここから吸い込んだ外気を下方に位置する矩形の吹出口8cから下方に向けて噴き出す。吹出口8cは矩形であると仮定する。吹出口8cの高さと幅は、例えば25mmと44mmである。
【0032】吹出口8cには、つなぎダクト部分13aを接続する。つなぎダクト部分13aは、外気を下方に導くためのダクトであり、断面が矩形である。つなぎダクト部分13aは、送風ファン7に着脱自在に取り付けることが望ましい。具体的には、つなぎダクト部分13aは、吹出口8cに差し込み可能でかつ離脱可能に構成しておくのがよい。なお、つなぎダクト部分13aは、送風ファン7を帽体1に取り付けた後に吹出口8cに差し込んでもよい。
【0033】つなぎダクト部分13aには、迂回ダクト部分13bにあらかじめ接着剤若しくは溶剤などを用いて固定しておく。迂回ダクト部分13bは、帽体1のつば1aを帽体1の後方部で迂回して帽体1の内部上方に向けて外気を供給するためのダクトである。つなぎダクト部分13aと迂回ダクト部分13bとが送風ダクト13を形成する。迂回ダクト部分13bは、断面形状が英字「U」に近いので、以下ではU字型ダクト部分と呼ぶことがある。
【0034】迂回ダクト部分13bの一端は、帽体1の内側に挿入されるが、後に説明するように、迂回ダクト部分13bを挿入できる間隙の高さが余り高くない。例えば約20mmである。したがって、迂回ダクト部分13bの断面の高さは、例えば20mmに設定される。一方、本実施の形態で使用される送風ファン7の吹出口8cの高さは、上に示したように例えば25mmであり、迂回ダクト部分13bの断面の高さより大きい。したがって、つなぎダクト部分13aは、送風ファン7の吹出口8cの高さと迂回ダクト部分13bの断面の高さの違いを吸収して、吹出口8cに迂回ダクト部分13bを接続するために設けられる。
【0035】つなぎダクト部分13aの断面の幅及び迂回ダクト部分13bの断面の幅は、いずれも吹出口8cの幅、例えば44mmに等しくされる。もちろん、迂回ダクト部分13bにおける圧力損失を更に低減したい場合には、迂回ダクト部分13bの断面の幅を吹出口8cの幅より大きくし、つなぎダクト部分13aの形状も、吹出口8cと迂回ダクト部分13bのサイズに合わせて決めればよい。なお、吹出口8cの高さと迂回ダクト部分13bの断面の高さを同じにすることができ、迂回ダクト部分13bを吹出口8cに直接接続可能であるときには、つなぎダクト部分13aは使用しなくてよいことは言うまでもない。
【0036】図5は、送風ファン7の取付け部分の拡大図である。図において8はファンケーシングを示す、内部にはファン体9とモータ10とが含まれている。帽体1の内壁のうち、送風ファン7をねじ止めする部分の内側にほぼ球形の突起1cが設けられる。突起1cは、安全帽が市販の安全帽であっても、例えば溶接により設けることができる。この突起1cに対向する架台14に、架台14を貫通して送風ファン取付け穴14a(図7)が設けられる。突起1cが帽体1に付加され、突起1cが存在する帽体1の部分に送風ファン取付けねじ穴1b(図7)が形成される。ファンケーシング8に設けられた送風ファン取付け穴8aa(図4)と、架台14に設けられた送風ファン取付け穴14aと、帽体1に設けられた上記送風ファン取付けねじ穴1bに送風ファン取付けねじ12を差し込んで、送風ファン7を帽体1にねじ止めする。
【0037】なお、送風ファン取付けねじ穴1bは、帽体1の内側に設けられた突起1cを貫通しないように設けられる。したがって、帽体1が電気工事用の安全帽であっても、送風ファン取付けねじ穴1bによりJIS規格等の耐電圧に関する安全規格を満たさなくなるという恐れは発生しない。
【0038】送風ファン取付けねじ穴1bが設けられた帽体1の部分の内側に突起1cが設けられ、帽体1が強度面でこの突起1cにより補強されるので、送風ファン取付けねじ穴1bが帽体1に設けられても、帽体1の強度が低下することを避けることができ、強度に関するJIS規格等の安全規格を満たさなくなる恐れは発生しない。
【0039】送風ダクト13のうち迂回ダクト部分13bを帽体1のつば1aに支持されるようにすると、送風ダクト13の位置が安定する。図6は、そのための一つの方法を示す。送風ダクト13の外側側面には突起20が設けられている。突起20の数は一つでもよいが複数個のほうが望ましい場合が多い。突起20が設けられる位置は、帽体1のつば1aより上の位置であり、図5に示す例では、突起20はつなぎダクト部分13aの側面に設けられる。帽体1のつば1aがつなぎダクト部分13aより下方に位置する場合には、突起20は迂回ダクト部分13bの側面に設けられる。
【0040】入れ子(ブッシュとも呼ばれることがある)21を、軟質のウレタンフォームやゴムなどの可撓性部材を成形してあらかじめ生成し、帽体1のつば1aに被せ、入れ子21をつば1aに支持させる。この入れ子21を挟むように送風ダクト13の迂回ダクト部分13bを差し込む。迂回ダクト部分13bに設けられた突起20によって、入れ子21が圧縮され、帽体1、入れ子21、迂回ダクト部分13bの接触面の摩擦抵抗が増し、迂回ダクト部分13bの先端は帽体1のつば1aにより支持される。迂回ダクト部分13bは、引っぱることによりつば1aから離脱させることもでき、入れ子21によりつば1aに着脱自在に支持されることになる。
【0041】送風ダクト13は、不織布、シリコンゴム、薄肉のポリエチレン樹脂成形品などの可撓性部材より形成することが望ましい。送風ダクト13のうち少なくとも帽体1の内側に位置する部分を可撓性部材により形成することが、帽体1に外部より衝撃が加えられたときに、頭部に与える衝撃を弱くするために望ましい。
【0042】送風ダクト13の長さが短いほど、送風ダクト13の圧力損失が低下する。また、送風ダクト13の断面積が大きいほど、送風ダクト13の圧力損失が低下する。圧力損失が低いほど、所望の風量を得るために必要な送風ファン7の駆動電力も少なくて済み、電池の持続時間を増大することができる。
【0043】帽体1の後部にある風路3の幅(つばに垂直な方向の幅)は、一般に余り大きくはない。例えば、20mm程度である。したがって、送風ダクト13の断面積を大きくするには、送風ダクト13のその幅方向のサイズを大きくしないで、その方向に直角な方向(つばに沿う方向のサイズ)を大きくすることが望ましい。それにより、送風ダクト13を着用者の頭部に接しないで、送風ダクト13の断面積を大きくすることができる。送風ダクト13の長さを短くするために、送風ダクト13の開放端は、風路3の入口付近、つまり帽体のつば1aのすぐ内側に配置され、風路3の奥のほうには入れられていない。
【0044】図7は、送風ファンの取付けを説明する図である。送風ファン7のモータコード10bを架台14に設けられたコード通し穴14bに通し、コード10bの先端にあるプラグ10c(図8)を電池ケース16のジャック(図示せず)に差し込み、二つの送風ファン取付けねじ12の各々をファンケーシング8の送風ファン取付け穴8aa、架台14に設けられた送風ファン取付け穴14aを通して帽体1の送風ファン取付けねじ穴1bに挿入し、送風ファン7と架台14を同時に帽体1に固定する。
【0045】図8は、送風ファン7の分解図である。送風ファン7は、ファンケーシング8、ファン体9、モータ10とから構成されている。ファン体9は、複数の羽根よりなり、回転して風を送出する部分である。ファンケーシング8は奥行き方向の中央部分で前後に二つのケーシング部分8a、8bに分割されていて、手前側ケーシング部分8bは吸気用の開口部8baを有し、後方ケーシング部分8aは二つのモータ取付け穴8abとコード通し穴8acを有する。更に後方ケーシング部分8a及び手前側ケーシング部分8bは、それぞれの外周に位置する二箇所に送風ファン取付け穴8aaを有する。
【0046】後方ケーシング部分8aのコード通し穴8acにモータコード10bを通した後に、モータ取付けねじ11をモータ取付け穴8abに通してモータ10を後方ケーシング部分8aに固定する。つぎにモータシャフト10aにファン体9を圧入する。ここではファン体9の軸穴9aの直径がモータシャフト10aの直径より若干小さく作られているので、モータシャフト10aとファン体9は一体化される。更に、後方ケーシング部分8aと手前側ケーシング部分8bとを接着剤若しくは溶剤などを用いて合体すると、送風ファン7が完成する。
【0047】以上において、送風ファン7を帽体1の後部に固定している理由は、主に以下のとおりである。送風ファンを帽体1に固定しても、固定する位置が帽体1の後部であるならば帽体1の高さが増えない。帽体1の外側中央に送風ファンを配置すると、帽体1の実質的な高さが増えるため、作業者は、作業中に帽体1を外部の構築物にぶつける恐れがある。
【0048】図1からも分かるように、頭部を支える首の位置は帽体1の中心より若干後方にあるので、帽体1の重心が帽体のやや後方にあるほうが安全帽は安定する。更に、通常の作業時には作業者の姿勢は前かがみの姿勢である場合が多い。したがって、帽体1の重心が、帽体1の中心よりやや後方にあったほうが、作業者は作業がしやすい。送風ファン7を帽体1の外面の後部位置に取り付けることは、帽体1の重心を帽体1の中心よりやや後方にするのに適している。
【0049】更に、作業者が前屈みになって帽体1を前方に傾けたとき、帽体1を頭部から抜けさせるモーメントは、送風ファンを帽体1の外面の後部に設けて安全帽の重心を安全帽の中心より後方にするほうが、送風ファン7を安全帽の外面の中央頂部に配置したときより小さくなり、かつ、着用者が屈んだときの角度による上記モーメントの変化が少なくなるので、安全帽を使用したときの感じ(使用感)がよい。
【0050】図1に示されたように、ヘッドバンド5aの後部に設けられた長さ調整用部分は、帽体のつば1aより下がっている。したがって、衝撃吸収ライナー2(衝撃吸収ライナー2がないときには帽体1の内壁)とヘッドバンド5aとの間隔が、帽体1の後部部分では、帽体1の前部及び両側部分での間隔より広い。例えば、市販の安全帽では、帽体1とヘッドバンド5aとの隙間は、帽体の前方及び両側部分では、衝撃吸収ライナー2があるときには、約10mmほどしかなく、帽体の後部では、帽体1とヘッドバンド5aとの隙間は、前述のヘッドバンド5aの長さ調整用部分の下がりにより、約20mmである。
【0051】したがって、帽体1の後部のほうが前部あるいは両側部よりも送風ダクト13を挿入しやすい。なお、衝撃吸収ライナー2を使用しない安全帽の場合でも、帽体1の後部のほうが前部あるいは両側部よりも送風ダクト13を挿入しやすいことには変わりはない。
【0052】風路3内への送風は、以下の理由により帽体1の後方から行うほうがよい。帽体内では、送風ファン7より給気された外気は衝撃吸収ライナー2やヘッドバンド5aに当たって乱気流になる。もし帽体1の前方から内部に向けて送風ファン7から外気を帽体内に送ると、外気の量が多い場合には、目の前で風が激しく動き、眼球表面(角膜)に風が強く当たる。このため、眼鏡なしでバイクに乗るときのように、眼球表面(角膜)が乾燥しすぎることが生じる。更に、埃の多い作業場では、埃が目に入りやすくなる。したがって、送風ファン7を帽体1の外面の後方位置に配置することは、送風ダクト13を長くしないで帽体1の後方より外気を給気することができる。
【0053】冷却能力を調べる実験によれば、送風ファン7として消費電力が1.0〜1.5ワットである送風ファンを使用し、送風ダクト13として図4に示すように、断面が20mm×44mmの迂回ダクト部分を有する送風ダクトを使用した場合、後に説明するような、快適感を着用者に与えることができる風量を得ることが出来た。
【0054】実験においては、被験者に自転車をこぐ等の運動をさせ、被験者の運動により帽体1内の温度が上昇した状態で、送風ファン7を駆動した。帽体1内の送付ダクトの出口位置、帽体1内の頭部中央位置、帽体1内の風路3の出口位置の温度変化を測定すると、送風ファン7を駆動開始後、1分以内に、各測定点の温度は、送風ファン7の吸い込み口の外気の温度近くに低下した。したがって、帽体1内のいずれの場所でも、1分以内に空気が送風ファン7から供給される外気により排気されていることがわかる。
【0055】この結果、安全帽の着用者は、以下のような理由により涼しく感じることになる。着用者が作業を行うと、作業により体温が上昇し、頭部からの発熱も増え、帽体内の風路3内の空気の温度が上昇する。あるいは、作業者が屋外にいる場合には、太陽からの輻射熱により帽体内の風路3内の空気の温度が着用者の体温より高くなる。このような状態で、送風ファン7と送風ダクト13の作用により、帽体内の空気より温度が低い外気が帽体内の風路3に供給され、帽体内の高温の空気が排出されると、帽体内の風路3内の温度が低下し、着用者は涼しく感じることになる。
【0056】各測定点の最低温度は、各測定点毎に少し異なるが、注目すべきは、各測定点の最低温度は、送風ファン7の吸い込み口の外気の温度より低くなりうることである。これは、以下の理由による。送風ファン7により帽体内の風路3に供給された外気の湿度が、非飽和状態(例えば70%)であると仮定すると、帽体内の風路3では、湿度が飽和状態(湿度100%)になるまで、頭部の汗が蒸発する。汗が蒸発するときに、蒸発潜熱(気化熱)が周囲から奪われるために、周囲の温度が下がることになる。したがって、汗が頭部にある間は、送風ダクト13から外気が連続して帽体内の風路3に供給されることにより、帽体内の風路の温度が下がることになる。外気の湿度が低いほど、この温度低下は顕著になる。
【0057】したがって、安全帽の着用者は、上に説明したように温度の高い帽体内の空気が排出されて帽体内の空気の温度が低下したために涼しく感じる以上に、上記気化熱の吸収により帽体内の温度が低下したために涼しく感じることになる。このような涼感は、発汗が多いときに顕著であるので、本実施の形態では、着用者は、発汗が多く暑く感じるときに涼しく感じることができる。こうして、着用者は、実用的な涼感を得ることができる。本実施の形態による安全帽は、電子冷却素子などの熱吸収可能な冷却装置を有さなくても、着用者に実用的な涼感を与えることができる。
【0058】本実施の形態によれば、市販の安全帽の外側面に冷却装置及び電源用の電池を収納する電池ケースを取り付けることができる。帽体の後部に冷却装置と電源用電池が一体にして固定されるので安全帽の重心の位置は、安全帽に中心より少し後方にあり、安全帽としては使いやすい。冷却装置は、基本的には送風ファンと送風ダクトのみで構成されていて、熱電素子等の電子冷却装置を使用しないため、冷却装置は軽量である。電子冷却装置を使用しないので、冷却装置の消費電力は少ない。帽体に外気取り入れ口などの開口を設けないので、安全帽の強度あるいは耐電圧等の本来の性能を低下させることはない。
【0059】送風ダクト13は、送風ファン7の直下から帽体1内の風路3の入り口付近に、つば1aを迂回して達する長さであればよいので、短くて済み、かつ、断面積も大きくできるので、圧力損失を非常に小さくすることができ、送風ファンの消費電力を増やさないで、必要な風量を得ることが出来る。実験によれば、先に説明したサイズの送風ダクト13を使用したとき、送風ファン7の消費電力が1〜1.5wであっても、着用者に快適感を与えるに必要な風量を得ることができた。この程度の消費電力ならば乾電池あるいは太陽電池により供給可能であり、電池を継続して使用できる持続時間も実用的な長さになる。乾電池の場合には、例えば、単3の乾電池4個程度で実用的な涼感を得ることができる。
【0060】被験者が感じる快適度と帽体内に供給される外気の風量との関係を調べる実験は、屋内に被験者を配置し被験者に運動をさせない第1の状態(屋内・運動負荷なし)と、屋内にいる被験者に自転車こぎ等の運動をさせている第2の状態(屋内・運動負荷あり)、被験者に屋外にて運動をさせている第3の状態(屋外・運動負荷あり)において、風量を変化させて被験者が感じる快適度を検査した。
【0061】図9は、本実施の形態の安全帽により着用者が快適と感じる風量に関する実験結果を示す図である。一般に、同じ条件では、風量が小さい場合、涼感を感じない着用者が出てくる。特に、頭髪が多い着用者はそうである。一方、風量が多すぎると、安全帽の着用者は、涼感を感じるが、風量が強すぎて、顔や眼球表面(角膜)が乾燥し、着用者は不快感を覚えるようになる。したがって、被験者が快適と感じる風量には、下限と上限が存在することになる。風量が下限より増えると快適感は増えるが、風量が増え上限に近づくと快適感が低下する。
【0062】快適範囲の上下限は、上記第1、第2、第3の状態のそれぞれに対して異なっている。第1の状態では、下限と上限は、0.08m/minと、0.14m/minであった。第2の状態では、下限と上限は、0.11m/minと、0.17m/minであった。第3の状態では、下限と上限は、0.14m/minと、0.2m/minであった。したがって、一般的には、風量を0.08m/min以上、0.2m/min以下にすることが、着用者に快適感を与えるうえで有効である。
【0063】<発明の実施の形態2>図10は、本発明に係る安全帽の第2の実施の形態の斜視図である。図11は、本実施の形態における送風ファン7の取付けの説明図である。本実施の形態では、送風ファン7と電池ケース16は、ベルト15により帽体1の外面の周辺部に固定される。送風ファン7と電池ケース16は、帽体1の外面の後方位置に配置される。
【0064】送風ファン7と電池ケース16が、送風ファン7内のファン取付け穴8aaに挿入された送風ファン取付けねじ12を用いて架台14にねじ止めされる。架台14は、帽体1には固定されない。架台14の両端にあるベルト通し穴14cにベルト15を通し、架台14を帽体1の外周にベルト15により固定する。ベルト15の長さはアジャスター15aで調整することができる。このように、アジャスター15aにより長さを調整できるベルト15も伸縮自在のベルトと見なすことにする。もちろん、ゴム等の伸縮自在な素材によりベルト15が生成されてもよい。
【0065】ベルト15の使用により、帽体1の外面に送風ファン7を固定することが容易になる。固定された送風ファン7を帽体1から遊離させることも同様に容易となる。例えば、冬季には、ベルト15を緩めることにより、送風ファン7を帽体1からはずすことができる。
【0066】第1の実施の形態では、帽体1の内面に突起1c(図5)が設けられ、当該突起1cが位置する帽体1の部分に送風ファン取付けねじ穴1bが形成され、当該ねじ穴1bに通じるための送風ファン取付け穴14a(図7)が架台14に形成され、送風ファン取付けねじ12を架台14の送風ファン取付け穴14aを貫通させて突起1c内の送風ファン取付けねじ穴1bに係合させて、送風ファン7と架台14とを同時に帽体1に固定していた。
【0067】しかし、本実施の形態では、このような突起1c及び送風ファン取付けねじ穴1bは不要であり、代わりに、架台14に設けられた送風ファン取付け穴14aをねじ穴として、送風ファン7は、この送風ファン取付け穴14aにねじ止めされる。したがって、本実施の形態では、帽体1自身に突起1cを設ける必要もなく、その突起1cに送風ファン取付けねじ穴1bを形成する必要もなく、市販の安全帽をそのまま使用できる。
【0068】なお、ベルト15を使用すると、送風ファン7の帽体上の位置をユーザーの好みで変更することもできる。既に述べたように、一般には、帽体1の前方に送風ファン7を配置すると、風が顔(特に目)に当たりやすく、角膜が乾燥するなどの不快な症状が発生しやすい。したがって、送風ファン7の位置は、一般には帽体1の後方が望ましい。
【0069】しかし、特殊な作業環境で作業するために送風ファン7の位置を帽体1の後方以外の位置に変更したい場合、本実施の形態では、送風ファン7の位置を変更することが容易である。例えば、燃焼炉又は乾燥炉の傍で作業する場合などにおいて、顔の左又は右の方向から熱風を受けるような姿勢で作業をする場合には、熱風を受ける頬や顔に向けて送風ファン7から外気を送風するようにしてもよい。その場合には、熱風を受ける部分に外気が強く吹き付けられるので、その部分の温度を下げることができる。
【0070】<発明の実施の形態3>図12は、本発明に係る安全帽の第3の実施の形態の平面図である。本実施の形態では、送風ファン7と電池ケース16とが、別々に設けられた送風ファン用架台18と電池ケース用架台19に固定され、それらの架台18と19がベルト15で連結されて帽体1の外面の周辺部に取り付けられている。送風ファン7と電池ケース16は、帽体1の外面の周辺部の中間位置に位置している。
【0071】既に述べた実施の形態1又は2においては、送風ファン7と電池ケース16は帽体1の後部に配置され、送風ファン7と電池ケース16内の電池の重量が帽体1の後部に集中する。もし送風ファン7と電池の総重量が重すぎて、安全帽の重心が後方に移動しすぎて、装着時に安全帽が不安定である場合、本実施の形態に即して、送風ファン7と電池ケース16を帽体1の外面の両側位置に分離して配置することが有効である。
【0072】送風ファン7用のモータコード10bは、帽体1の外周に沿って電池ケース16に達する長さを有し、電池ケース16に設けられたジャック(図示せず)に差し込まれる。送風ダクト13は、送風ファン7から供給される外気を帽体1の後方より帽体1内に給気するために、送風ファン7から供給される外気を帽体1の後部に導き、帽体1のつば1aを迂回して帽体1内の風路3に供給するようになっている。
【0073】図13は、本実施の形態で使用可能な送風ダクト13の斜視図である。つなぎダクト部分13aは、帽体1の側面に位置する送風ファン7から帽体1の後部まで延長するように成形されていて、当該後部において、迂回ダクト部分13bの側面に接続され、送風ファン7から給気された外気を迂回ダクト部分13bの側面に供給している。
【0074】迂回ダクト部分13bは、側面に供給された外気を帽体1のへり1aを迂回して帽体1の内部に供給するようになっている。ダクト13は少なくとも軟質のウレタンフォームやゴムなどで成形され、図6に示したダクト13と同様に、突起20を有し、入れ子21を使用してダクト13は、帽体1のつば1aに固定される。
【0075】このようにして、送風ファン7と電池ケース16を帽体1の両側面に分離して配置することができるので、第1あるいは第2の実施の形態に比べて、送風ファン7と電池を使用したときの安全帽の重心が後方にずれることを防ぐことができる。なお、送風ダクト13の重量は、送風ファン7あるいは電池に比べるとはるかに小さくすることができるので、送風ダクト13の重量は安全帽の重心の位置に実質的に影響を与えない。
【0076】なお、本実施の形態では、送風ダクト13の長さは、これまでに示した実施の形態で使用された送風ダクトに比べて長いので、送風ダクト13における圧力損失は大きくなり、送風ファン7により供給される風量はこれまでの実施の形態に比べると低下するが、送風ファン7を駆動する電力をごく少し増大するだけで、これまでの実施の形態に近い風量を得ることができる。
【0077】本発明は、以上に述べた実施の形態に限定されるのではなく、本発明の要旨を変えない範囲で、上記実施の形態を修正あるいは変更してもよいことは言うまでもない。例えば、以上の実施の形態において、衝撃吸収ライナー2を使用しない簡易型安全帽に本発明を適用してもよい。
【0078】また、第3の実施の形態では送風ファン7と電池ケース16を帽体1の外側側面に固定するのにベルト15を用いたが、ベルト15を用いないで、送風ファン7と電池ケース16をねじ止めにより帽体1の外側両側面に固定してもよい。
【0079】また、以上の実施の形態では、電池ケースを帽体1の外面にねじ又はベルトを用いて固定し、使用時に電池が電池ケースに充填される。しかし、電源として太陽電池を使用することもできる。この場合には、電池ケースは使用する必要はなく、代わりに、太陽電池を帽体1の外面の適当な部分、例えば帽体1の外面の前方部分若しくは外面の前方部分と中央部分に固定して使用すればよい。
【0080】あるいは、電池を使用する場合でも、電池ケースを帽体外面に設けないで、電池入りの電池ケースを作業者の胸ポケットに入れるかあるいは作業者の腰に固定し、当該電池ケースに送風ファン用のモータコードを接続する方法を採用することもできる。この場合でも、使用される電池は軽量であり、作業者にとって電池の重量は使用感を悪くしないと期待される。モータコードを、帽体の後部から作業者の胸ポケットあるいは腰に導けばよい。モータコードの途中の部分を場合によっては作業者の作業服上に固定してもよい。このようなモータコードの存在が作業を妨害する可能性は、作業者の作業の内容によっては少ないと期待される。
【0081】あるいは送風ダクト13を帽体1に固定するのに入れ子21を使用したが、入れ子21を用いないで、他の方法、例えばねじ止め等を使用してもよいことは言うまでもない。
【0082】
【発明の効果】以上から明らかなように、本発明によれば、帽体の強度あるいは耐電圧等の安全帽の本来の性能を損なわず、軽量で電力消費が少なく、着用者の作業を妨害せず、しかもコストが低い冷却装置を有し、作業用に適した安全帽を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】500173516
【氏名又は名称】原 利次
【出願日】 平成13年10月17日(2001.10.17)
【代理人】 【識別番号】100083378
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 勝
【公開番号】 特開2003−119611(P2003−119611A)
【公開日】 平成15年4月23日(2003.4.23)
【出願番号】 特願2001−318962(P2001−318962)