トップ :: A 生活必需品 :: A42 頭部に着用するもの




【発明の名称】 産業用安全帽の帽体およびその製造方法
【発明者】 【氏名】榎本 憲秀

【要約】 【課題】国家検定規格(衝撃吸収性、耐貫通性、耐電圧性)を満たし、使用区分ごとに選択する必要がなく、かつ長時間の使用も負担にならない軽量化された産業用安全帽、およびこれを射出成形により生産性よく製造し得る方法の提供。

【解決手段】質量平均繊維長が0.6mm以上で、かつ最大繊維長が50mmであるガラス繊維と、熱可塑性樹脂とから形成される安全帽の帽体。この帽体を有する安全帽。
【特許請求の範囲】
【請求項1】質量平均繊維長が0.6mm以上で、かつ最大繊維長が50mmであるガラス繊維と、熱可塑性樹脂とからなる産業用安全帽の帽体。
【請求項2】射出成形品であることを特徴とする請求項1に記載の帽体。
【請求項3】前記帽体中のガラス繊維含量が10〜70質量%である請求項1または2に記載の帽体。
【請求項4】前記熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン、ポリアミドおよびポリウレタンからなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項1〜3のいずれかに記載の帽体。
【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載の帽体を有する産業用安全帽。
【請求項6】熱可塑性樹脂と、質量平均繊維長2mm以上のガラス繊維とを含み、該熱可塑性樹脂が該ガラス繊維に含浸されてなる繊維強化熱可塑性樹脂ペレットを射出成形する請求項1〜4のいずれかに記載の産業用安全帽の帽体の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軽量でかつ機械的強度に優れ、JISで規定される飛来・落下用、墜落時保護用、電気用のいずれにも適した産業用安全帽、その帽体および帽体を効率的に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】産業用安全帽は、使用区分により、飛来・落下用、墜落時保護用、電気用に分類される。JIS T8131では、飛来・落下用をA、墜落時保護用をB、電気用をEとコードし、A、B、AB、AE、ABEとし、各使用区分での耐貫通性、衝撃吸収性、耐電圧性、耐水性、難燃性の試験方法および強度を規定している。労働省告示66号(昭50.9.8制定)同39号(平3.6.5制定)、同109号(平11.10.1改正)には保護帽の検定規格が定められている。これら各規格のうちでも、安全性を規定する耐貫通性、衝撃吸収性、耐電圧性はとりわけ重要である。
【0003】上記産業用安全帽(保安帽、保護帽の呼称も含め以下安全帽という)は、JIS T8131の構成名称に従えば、図1に示すように帽体1、着装体(ハンモック2、ヘッドバンド3、環ひも4)、衝撃吸収ライナ5、あごひも6、つば7(形状によりひさし)からなる。安全帽は、その着用必要性から軽量であることが望まれ、その検討が続けられている。安全帽の軽量化は、構成の主要部分である帽体1を軽量化することが最も効率的であり、このため帽体1は通常プラスチック製とされる。従来実用化されているプラスチック製帽体としては、ポリカーボネート製、ABS樹脂製、またはガラス繊維強化熱硬化性樹脂製が知られている。
【0004】しかしながらこれらの材料により安全帽の規格を満たしつつさらなる軽量化を図ることは困難である。たとえば上記の樹脂自体高強度を有するポリカーボネートまたはABS樹脂を用いても、耐貫通性、衝撃吸収性の規格を満たすために肉厚に設計する必要があり、軽量化には限度がある。特にABS樹脂は、ポリカーボネートほど高強度ではないため、厚肉として強度を出す必要があり、ABS樹脂製帽体の軽量化には限界がある。上記従来のいずれであっても、350g程度の軽量化が限度である。またポリカーボネート製帽体は、耐薬品性に劣るため、拭き取り洗浄などの薬剤を取り扱う作業環境では、機械的特性が低下するおそれがある。ガラス繊維強化熱硬化性樹脂製の帽体は、耐電圧性が低く、前記JIS T8131に規定される電気用試験(使用電圧700V以下)の規格を満たさないため電気用(E)には使用できない。また該帽体は、予めガラスマットで帽体形状を形成し、そこに熱硬化性樹脂を流し込み製作されるため、製造工程が複雑で、製造時間が長いという製造上の課題もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このため労働省告示による保護帽の国家検定規格(衝撃吸収性、耐貫通性、耐電圧性)を満たし、JIS T8131に規定されるすべての使用区分で使用しうる安全帽であって、使用区分ごとに選択する必要がなく、かつ長時間の使用も負担にならない一層軽量化された安全帽、およびこれを射出成形により生産性よく製造し得る方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、射出成形法によって上記のような安全帽の帽体を製造すべく検討したところ、予め熱可塑性樹脂をガラス繊維に含浸させ、ガラス繊維を樹脂で濡らしておけば、射出成形品中に長い繊維長のガラス繊維を残存させることができること、さらに最終的な射出成形品中の質量平均繊維長を0.6mm以上とすれば、薄肉で高強度の帽体を得ることができ、上記規格を満たす安全帽を軽量化しうることを見出した。またこのような射出成形品は、質量平均繊維長2mm以上のガラス繊維に、予め熱可塑性樹脂を含浸させたペレットを用いれば得られることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち本発明では、質量平均繊維長が0.6mm以上で、かつ最大繊維長が50mmであるガラス繊維と、熱可塑性樹脂とからなる帽体を有する産業用安全帽の帽体を提供する。上記帽体は、射出成形品であることが望ましく、射出圧縮成形品でもよい。上記帽体中のガラス繊維含量は、通常10〜70質量%である。上記熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン、ポリアミドおよびポリウレタンからなる群より選ばれる少なくとも一種である。本発明の安全帽は、上記のような帽体を有する。
【0008】本発明に係る産業用安全帽の帽体の製造方法は、熱可塑性樹脂と質量平均繊維長2mm以上のガラス繊維とを含み、該熱可塑性樹脂が該ガラス繊維に含浸されてなる繊維強化樹脂ペレットを射出成形することを特徴としている。
【0009】なお従来、熱可塑性樹脂にガラス繊維を含ませた強化樹脂射出成形品が知られている。射出成形用の熱可塑性樹脂を繊維で強化する際には、通常、質量平均繊維長さ(重量平均繊維長さ)0.3mm以下のガラス繊維が用いられ、このような短繊維で強化された熱可塑性樹脂はガラス短繊維強化材と称されている。ガラス短繊維強化材を用いた射出成形品は、衝撃吸収性があまり高くならず、規格を満たす安全帽を得るためにはある程度の厚みが必要であり、薄肉化して軽量化することは困難である。たとえば従来の安全帽帽体材料であるポリカーボネートおよびABS樹脂などのようにそれ自体高強度の樹脂にガラス繊維を混入しても必ずしも衝撃吸収性が高まるとはいえず、むしろ衝撃強度が低下するなど所望に反する特性となる場合もある。ここにゴム成分などの衝撃緩和剤を添加して衝撃特性を向上させた場合には、機械的強度および曲げ弾性率が低下し、耐圧迫特性は低下してしまう。
【0010】また射出成形は、シリンダー内で加熱され可塑化された成形材料を、インライインスクリュの回転により溶融混練しながら射出口に送り、金型内に射出する方法である。このようなシリンダー内では、混練による剪断と、ガラス同士の擦れ合いによりガラス繊維は折損・破壊してしまうので、繊維長の長いガラス繊維を用いても成形品中での繊維長は短くなってしまい、繊維による強化効果が得られにくい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下本発明をより具体的に説明する。図1にJIS T8131に準拠した産業用安全帽の構成を示す。安全帽は、帽体1、着装体(ハンモック2、ヘッドバンド3、環ひも4)、衝撃吸収ライナ5、あごひも6、つば7(形状にひさし)から構成される。本発明で提供される帽体1は、質量平均繊維長が0.6mm以上で、かつ最大繊維長が50mmであるガラス繊維と、熱可塑性樹脂とから形成される。この帽体1は、射出成形品であることが望ましい。射出圧縮成形品でもよい。帽体1のサイズは、JIS T8131に準拠して適宜に設計でき、そのデザインなども発明の目的を損なわない範囲で適宜に変更することは可能である。
【0012】上記熱可塑性樹脂、たとえばポリオレフィン、ポリアミド、ポリスチレン、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、熱可塑性ポリウレタンなどを広く用いることができる。これらのうちでも、ポリプロピレン、ポリアミドまたはポリウレタンを用いることが好ましい。
【0013】ポリプロピレンは、ホモポリプロピレンでも共重合ポリプロピレンでもよく、また共重合ポリプロピレンはブロック共重合体でもランダム共重合体でもよい。ガラス繊維との接着性をもたせるために無水マレイン酸などで変性されたポリプロピレンが好ましい。ポリプロピレンとして使用されるもののすべてが変性ポリプロピレンであってもよく、未変性ポリプロピレンと変性ポリプロピレンとを併用してもよい。本発明では、メルトフローレート(MFR:JIS K7210に準拠して、200℃、49.03MPa(5 kgf/cm2 )荷重下で測定)10〜250g/10min のポリプロピレンが好ましく用いられる。
【0014】ポリアミドとしては、ナイロン6TM、ナイロン6,6 TM、ナイロン4,6 TM、ナイロン12TMなどの商品名で知られているポリアミドおよび芳香族ポリアミドなどを用いることができる。
【0015】熱可塑性ポリウレタンとしては、芳香族成分を含むものが好ましく、たとえば引張強度(ASTM D638)が50MPa程度の高強度のものが好ましい。その一例として、下記のような物性を有するものが好ましい。
比重 1.19引張強度(ASTM D638) 50MPa、引張伸率 160%、引張弾性率(ASTM D790) 1500MPa、熱変形温度(1.82MPa) 80℃アイゾット衝撃強度(Izod) 1200J/m(ASTM D256、3.2mm厚、ノッチ付)
上記のような熱可塑性ポリウレタンとして、アイソプラスト(Isoplast)2510(商品名:Dow Plastic 社製)などの市販品を使用することができる。本発明の帽体は、熱可塑性樹脂は30〜90質量%、好ましくは50〜85質量%の量で含有していることが望ましい。
【0016】また本発明の帽体は、質量平均繊維長が0.6mm以上で、かつ最大繊維長が50mmであるガラス繊維を含む。ここで、ガラス繊維の質量平均繊維長は、下記式より算出される。
Lw=Σ(wi×Li)/Σwiwi:個々のガラス繊維質量Li:個々のガラス繊維長さ具体的には、成形品またはペレットを焼成し、樹脂分を除去した後に、無作為に抽出したガラス繊維400本の繊維長を測定する。より具体的には、測定視野1cm×1cmを30〜40倍に顕微鏡で拡大し、長さを定規で測り、測定本数が合計400本に到達するまで測定視野をスライドさせ測定した。個々のガラス繊維質量wiは、下記式により算出する。
wi=(ガラス繊維に使用されたガラスの密度)×(ガラス繊維長)×(ガラス繊維の半径)2 ×π【0017】本発明の帽体では、ガラス繊維の質量平均繊維長が0.6mm以上であれば、長繊維の絡み合いによる衝撃特性、機械的特性の強化効果が顕著に得られるが、この繊維長が長いほど強化効果の向上が見られ、通常、質量平均繊維長は1mm以上、さらに1.5mm以上であることが好ましい。なお射出成形では、成形性の面から極端に長い繊維は使用できないため、成形品での繊維長は最大でも上記50mm程度となる。最大繊維長は、好ましくは25mmであり、さらに好ましくは15mmである。
【0018】ガラス繊維の材質類は、一般的に用いられるガラス繊維でよく、特に限定されない。たとえばE−ガラス、AR−ガラス、T−ガラス、D−ガラス、S−ガラス、C−ガラス、R−ガラスなどを例示することができる。
【0019】本発明に係る産業用安全帽は、上記のようなガラス繊維を10〜70質量%、好ましくは15〜50質量%の量で含有していることが望ましい。ガラス繊維含量が10質量%未満では、機械的特性の向上効果が得られにくく、また70質量%より大きくなると射出成形時に流動性の低下を招き、充填不良を起こしやすくなる傾向がある。また本発明では、後述するようにガラス繊維に樹脂を含浸させてなる射出成形ペレットを用いることが好ましいが、ガラス繊維量が多いと、このペレットの製造速度が遅くなり、経済的に不利となる。また本発明に係る産業用安全帽の帽体は、熱可塑性樹脂およびガラス繊維に加えて、本発明の目的を損なわない範囲であれば他の成分を任意に含有していてもよい。
【0020】上記のような本発明の帽体は、労働省検定規格のJISで規定される飛来・落下用、墜落時保護用の貫通性試験、衝撃吸収性試験および電気用試験に合格することができ、いずれの使用区分にも適した安全帽を構成することができる。またこのような特性を達成しつつ、薄肉化も可能であり、安全帽の軽量化を実現することができる。具体的に本発明の帽体は350g以下とすることが可能であり、好ましくは340g以下、より好ましくは330g以下である。したがって本発明ではこのような帽体を有する軽量安全帽も提供することができる。
【0021】上記のような帽体は、上記した熱可塑性樹脂と、質量平均繊維長2mm以上のガラス繊維とを含む繊維強化樹脂ペレットを射出成形することにより製造することができる。本発明で用いられる繊維強化樹脂ペレットでは、熱可塑性樹脂がガラス繊維に含浸されている。熱可塑性樹脂をガラス繊維に含浸させて(濡らして)射出成形に供すると、混練時のガラス同士の擦れ合いを低減でき、またガラス繊維間に存在する樹脂が剪断エネルギーを吸収してガラス繊維の折損を抑制できるとともに、均質に分散しやすくなるので、長い繊維長のガラス繊維が均質に絡み合った成形品が得られる。
【0022】ペレットの組成は、所望する成形品組成と実質的に同じであり、上記した成形品中のガラス繊維および熱可塑性樹脂含量に応じて適宜選択することができる。ペレット中のガラス繊維長さは、通常、質量平均繊維長2mm以上であれば最終的に製品中の質量平均繊維長0.6mmを確保することができる。ペレットのガラス繊維の質量平均繊維長は、好ましくは5mm以上であり、さらに好ましくは7mm以上である。またその上限は射出成形性の面から通常150mm程度までが好ましく、より好ましくは50mm程度であり、さらに好ましくは30mm程度である。
【0023】ガラス繊維の直径は、円形相当で5〜35μm程度が好ましく、さらに好ましくは9〜20μm程度である。円形以外の断面形状では、その断面積が円形面積に相当していればよい。なお直径が5μmよりも小さくなると同一ガラス含量であっても、相対的にガラス繊維数が増加するため樹脂が含浸しくにくなり、一方35μmを超えて大きい繊維は成形品の表面外観を悪化させる傾向がある。
【0024】また本発明では、ペレット中のガラス繊維は、実質的に同一長さを有し、かつ同方向に配置していることが望ましい。上記のような形態のペレットは、その製造方法は特に問われないが、ガラス繊維束に熱可塑性樹脂を含浸させた後、所望のガラス繊維長さに相当する長さに切断して得ることができる。
【0025】このガラス繊維束としては、具体的に、引抜き法で使用可能な連続したガラス繊維束、例えば、数千〜数万本のガラスフィラメントを集めた束をコイル状に巻き取ったガラスロービングなどを用いることができる。
【0026】ガラス繊維束に熱可塑性樹脂を含浸させるに先立って、カップリング剤を含む表面処理剤で表面処理すれば、ガラス繊維束中への樹脂の含浸が良好になり、さらにはガラス繊維と樹脂との接着が良好になり、成形品の強度も向上するので好ましい。カップリング剤としては、アミノシラン、エポキシシラン、アミドシラン、アジドシラン、アクリルシランなどのシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤またはこれらの混合物が利用できる。これらのうちでも、アミノシランおよびエポキシシランが好ましく、特にアミノシランカップリング剤が好ましい。表面処理剤にはカップリング剤に加え、界面活性剤、帯電防止剤などが含まれていてもよい。
【0027】熱可塑性樹脂をガラス繊維束に含浸する方法は、特に限定されないがたとえば(1) 熱可塑性樹脂のエマルジョンをガラス繊維束に含浸し、付着後、乾燥させる方法、(2) 熱可塑性樹脂の粉末懸濁液をガラス繊維束に付着させ、乾燥後加熱溶融含浸させる方法、(3) ガラス繊維束を帯電させて、熱可塑性樹脂粉末を付着させた後、加熱溶融含浸させる方法、(4) 溶媒に溶解した熱可塑性樹脂をガラス繊維束に含浸後、溶媒を除去する方法、(5) 熱可塑性樹脂の連続繊維とガラスの連続繊維の混合繊維を加熱し、溶融した樹脂をガラス繊維束に含浸させる方法、(6) 加熱溶融した熱可塑性樹脂を、バー、ロール、ダイス上でガラス繊維束を開繊させながら含浸させ、引抜く方法(引抜き法)などが挙げられる。これらのうちでも(6) の方法は、装置およびプロセス面で簡便である。
【0028】また熱可塑性樹脂含浸時に、導電性材料、酸化防止剤、耐光安定剤、難燃剤などの添加剤、マイカ、タルク、チタン酸ウイスカー、ウオラストナイト、ガラスフレーク、ガラスビーズなどの補強材を適宜に添加してもよい。これらはどこで添加してもよい。
【0029】熱可塑性樹脂を含浸させたガラス繊維束は、乾燥または冷却し、所望の長さに切断する。切断されたペレット長さはペレットの質量平均長さで定義され、上記のように実質的に所望の質量平均繊維長さに相当する。また上記のような方法によりペレットを製造すると、ガラス繊維の径とペレット長さの選択によりアスペクト比を容易に調製することができる。
【0030】成形方法としては、特に限定されないが、低圧射出成形、射出圧縮成形などの射出成形方法が生産性の面から好ましい。なお上記のような形態であれば市販のペレットを用いることもできる。上記のような樹脂ペレットを用いて、射出成形品中のガラス繊維を質量平均繊維長をコントロールするには、たとえばスクリュ形状の選択あるいはスクリュ背圧、スクリュ回転数、押出速度の調整など、種々の条件を適宜に調整して得ることができる。スクリュとしては、たとえば特開平11−34131号公報に記載されるような形状のものを用いることができる。
【0031】射出成形では、JIS T8131(産業用安全帽)規格に応じた帽体を容易に成形することができるが、金型選択によりその厚みも所望のものを得ることができる。また製品仕上げも成形後にゲート処理を行う程度でよい。
【0032】
【実施例】次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)バー、ロール、ダイス上でガラス繊維束を開繊させながら、加熱溶融した表1に示すポリプロピレン(MFR:60g/10min ))を含浸させ、樹脂の充分に含浸したガラス繊維を引抜き、これを冷却後、ペレット長が12mmとなるように切断し、長繊維強化熱可塑性樹脂を得た。なお引抜き時のダイス穴径を調整することにより、樹脂量を制御して製造したペレット(商品名Verton MFX7008:米国LNPエンジニアリングプラスチック社製)(ガラス繊維含有量40質量%、質量平均繊維長12mm)を使用した。
【0033】上記ペレットを用いて、図1示すような形状の帽体1を射出成形した。労働省規格(飛来・落下物用および電気用)を満たすポリカーボネート用の金型を使用し、射出成形した。成形品中の最大繊維長、質量平均繊維長は成形品を焼成後、前記方法により顕微鏡観察して求めた。成形品中の最大繊維長は12mm、質量平均繊維長は2.4mmであった。
【0034】<試験>上記で得られた安全帽(帽体)について、JIS T8131に準拠して、墜落時保護用試験(貫通性試験および高温(50℃)、低温(−10℃)、浸せき(水25℃)での衝撃吸収性試験)を行なった。結果を表1に示す。またJIS T8131に準拠して行なった、飛来・落下用試験(貫通性試験および高温(50℃)、低温(−10℃)、浸せき(水25℃)での衝撃吸収性試験)、電気用試験(耐電圧試験20kVに1分間耐えること)についても合格であった(労働省規格に達した)。
【0035】
【表1】

【0036】
【発明の効果】本発明では、軽量でかつ機械的強度に優れ、国家検定規格に合格する産業用安全帽の帽体および産業用安全帽を安価に提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000001258
【氏名又は名称】川崎製鉄株式会社
【出願日】 平成13年9月28日(2001.9.28)
【代理人】 【識別番号】100080159
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 望稔 (外1名)
【公開番号】 特開2003−105620(P2003−105620A)
【公開日】 平成15年4月9日(2003.4.9)
【出願番号】 特願2001−304489(P2001−304489)