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【発明の名称】 縫製品用パーツ部材作成方法、縫製品用パーツ部材データ作成装置、縫製品、縫製品用パーツ部材及びコンピュータプログラム
【発明者】 【氏名】野澤 末春

【氏名】黒川 浩司

【氏名】林 隆司

【要約】 【課題】複数のパーツ部材を縫い合せて立体的な縫製品を製造する際に、縫製品の歪みを抑えるとともに、複数のパーツ部材に連続する図柄を精度良く柄合わせすることができるようにする。

【解決手段】コンピュータにより、所定の立体モデルデータに基づいてディスプレイ上に縫製品の立体モデルを表示するステップと、表示された立体モデル上で、縫合対象となるパーツ部材に対して、各パーツ部材同士を縫い合わせるための縫合ポイントを設定するステップと、立体モデル上の各パーツ部材データ及び設定された縫合ポイントから、個々のパーツ部材データを生成するステップと、を実行することとした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数のパーツ部材を縫い合せてなる立体形状の縫製品を構成する各パーツ部材を作成する方法であって、コンピュータにより、上記縫製品の立体モデルデータに基づいて、ディスプレイ上に上記縫製品の立体モデルを表示するステップと、上記表示された立体モデル上で、縫合対象となるパーツ部材に対して、各パーツ部材同士を縫い合わせるための縫合ポイントを設定するステップと、上記立体モデル上の各パーツ部材データ及び設定された縫合ポイントから、個々のパーツ部材データを生成するステップと、を行うことを特徴とする縫製品用パーツ部材作成方法。
【請求項2】 上記表示された立体モデル上で、上記立体モデルを構成する複数のパーツ部材に連続して形成された図柄データを作成するステップを更に有し、上記縫合ポイントは、上記各パーツ部材間に連続して形成された図柄が、上記パーツ部材が縫合された時に連続するように設定される、請求項1記載の縫製品用パーツ部材作成方法。
【請求項3】 上記縫合ポイントは、少なくとも、複数のパーツ部材に連続して図柄が形成されている部分に設定される、請求項2記載の縫製品用パーツ部材作成方法。
【請求項4】 上記縫合ポイントは、図柄が隣り合うパーツ部材に連続して形成されていない部分では所定のピッチで設定される、請求項3記載の縫製品用パーツ部材作成方法。
【請求項5】 上記捺染される生地は収縮性を有する素材で構成されており、上記縫合ポイントは、上記生地の収縮率に応じて生成される、請求項1乃至4のいずれかの項に記載の縫製品用パーツ部材作成方法。
【請求項6】 上記縫合ポイントは、上記パーツ部材の縫代部分の外縁部に設定される、請求項1乃至5のいずれかの項に記載の縫製品用パーツ部材作成方法。
【請求項7】 上記縫合ポイントとして、縫い合わせの精度に応じた所定形状の縫合ポイントが設定される、請求項1乃至6のいずれかの項に記載の縫製品用パーツ部材作成方法。
【請求項8】 所定の捺染装置により、上記生成されたパーツ部材データに基づいて、縫製品を構成する生地上に、少なくとも上記設定した縫合ポイントを上記各パーツ部材の縫代部分に捺染するステップと、所定の裁断装置により、上記生地上から各パーツ部材を裁断するステップと、を更に有する、請求項1乃至7のいずれかの項に記載の縫製品用パーツ部材作成方法。
【請求項9】 複数のパーツ部材を縫い合せて構成される立体形状の縫製品の各パーツ部材を作成するための装置であって、上記縫製品の立体モデルデータに基づいて上記縫製品の立体モデルを所定のディスプレイに表示する出力手段と、上記表示された立体モデル上で、縫合対象となるパーツ部材に対して、各パーツ部材同士を縫い合わせるための縫合ポイントを設定する縫合ポイント設定手段と、上記立体モデル上の各パーツ部材データ及び設定された縫合ポイントから、個々のパーツ部材データを生成するパーツデータ生成手段と、を有することを特徴とする縫製品用パーツ部材データ作成装置。
【請求項10】 上記出力手段は、入力された図柄データに基づいて、上記立体モデル上に、上記立体モデルを構成する複数のパーツ部材に連続して形成された図柄をさらに表示し、上記縫合ポイント設定手段は、上記各パーツ部材間に連続して形成された図柄が、上記パーツ部材が縫合された時に連続するように設定する、請求項9記載の縫製品用パーツ部材データ作成装置。
【請求項11】 コンピュータを、複数のパーツ部材を縫い合せて構成される立体形状の縫製品を構成する各パーツ部材を作成する装置として機能させるためのコンピュータプログラムであって、コンピュータに対して、上記縫製品の立体モデルデータに基づいて、ディスプレイ上に上記縫製品の立体モデルを表示するステップと、上記表示された立体モデル上で、縫合対象となるパーツ部材に対して、各パーツ部材同士を縫い合わせるための縫合ポイントを設定するステップと、上記立体モデル上の各パーツ部材データ及び設定された縫合ポイントから、個々のパーツ部材データを生成するステップと、を実行させるコンピュータプログラム。
【請求項12】 複数のパーツ部材を縫い合せてなる立体形状の縫製品であって、上記縫製品には、複数のパーツ部材に連続した図柄が形成されており、少なくとも上記図柄が複数のパーツ部材に連続して形成されている縫代部分に、パーツ部材を縫合するための縫合ポイントが形成されている、ことを特徴とする縫製品。
【請求項13】 縫合されることにより立体形状の縫製品を構成する縫製用パーツ部材であって、上記パーツ部材には、複数のパーツ部材間に連続した図柄のうちの少なくとも一部が形成されており、少なくとも上記図柄が複数のパーツ部材に連続して形成されている縫代部分に、パーツ部材を縫合するための縫合ポイントが形成されている、ことを特徴とする縫製品用パーツ部材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数のパーツ部材を縫い合せて構成される縫製品及びこの縫製品を作成するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】布や革など様々な生地を縫い合わせることにより、被服、鞄、靴などの縫製品が製造されている。このような縫製品を作成するためには、例えば、被服を構成するパーツ部材(例えば、後見頃、前見頃、袖、前見返し、後見返し、表衿、裏衿、ポケット等)の型紙を作成し、この型紙を任意の図柄等をプリントした生地上に載せて裁断を行い、各パーツ部材を作成していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、裁断されたパーツ部材をそれぞれ縫い合せて立体形状の縫製品にする際、平面的なパーツ部材が立体として縫製されたことによる歪みや、縫い合わせたときのパーツ部材同士のズレなどにより、製品全体として歪みが生じてしまうなどの問題があった。このような問題は特に、大量生産する縫製品については、形の歪みが発生することが多くなってしまい、精度良い製品を大量に生産することは困難であった。
【0004】また、複数のパーツ部材に連続した図柄が付されている縫製品では、パーツ部材の継ぎ目の部分(以下、「渡り部分」という。)で図柄が食い違ってしまうことが多く、縫製品全体の美観を損ね、商品としての価値を著しく低下させてしまうという問題があった。
【0005】このような問題を解決するため、パーツ部材を先に生地から裁断し、裁断した各パーツ部材に図柄を捺染したり、あるいはパーツ部材をある程度縫製して半製品とした後で図柄を捺染し、捺染した後に半製品を製品として完成させる仕上げ加工を行う方法などが考えられる。またこの他に、特開平7−2881号には、擬似的に生地の図柄を表示したディスプレイ上で、各パーツ部材の図柄のシミュレーションを行い、パーツ部材を縫い合わせたときに、パーツ間の柄を一致させる技術が開示されている。また、特開2000−8216号には、各パーツ部材間での図柄合わせのため、各パーツ部材内で図柄の方向を調整して位置決めする技術が開示されている。さらに、特開2000−336513号には、CAD/CAMを用いて各パターンピースの作成を行うと共に、図柄の捺染から、生地の裁断までを一括して行う技術などが提案されている。また、特開平3−90607号には、服飾の立体形状の上に描かれた図柄を型片図柄に変換し、原反上にインクジェット印写出力し、着色剤によって裁断型片形状に縁取られた色柄と、識別記号、基準線情報、位置ぎめ情報といった縫製工程制御情報をあわせて印写出力することが提案されている。
【0006】しかし、裁断した後の各パーツ部材に図柄を捺染したり、パーツ部材を縫製した後に図柄を捺染する方法では、捺染の工程や後処理の工程に大変手間がかかり、生産効率が悪く、特に、大量生産する製品には適用できなかった。また、特開平7−2881号などのように、予め図柄がプリントされた生地上で各パーツ部材の図柄を調整していたのでは、図柄が合う生地の部分が限られてしまうことから、歩留まりが悪くなるという問題があった。また予め印刷された図柄を合わせようとすると、図柄によっては、一部の図柄は一致していても他の部分で微妙なズレが生じてしまう場合があり、このような場合に各パーツ部材の図柄を無理に合わせようとすると、縫い目部分で微妙なずれが生じて図柄の精度が悪くなるなどの問題があった。また、各パーツ部材を作成することはできても、これを実際に縫製する際には、縫製をする人が各パターンピースに作成された図柄を目視等で合わせながら縫製を行わなければならない。そのため、縫製を行う人が図柄を合わせながら縫製を行うという熟練した技術が必要となってしまい、生産効率が著しく低下してしまい、例えば、パーツ部材間で図柄をあわせた製品を大量に量産することは極めて困難であった。
【0007】また、上述の特開平3−90607号のように縫製情報を図柄などと共に型片にプリントしておくことは示されているが、この縫製情報をどのようなやり方で設定するのかについてはこの文献には全く記載されていない。そのため、立体形状を構成する縫製品においては、例えば、平面状態で位置決め情報等の設定を行った場合には、各パーツ部材を縫い合せて立体とした場合に、図柄の歪みが生じてしまうし、図柄によっては微妙なズレが生じてしまうなどの問題は解消されていなかった。
【0008】本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであって、効率よくかつ精度の良い縫製品を作成することができる技術を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明の一の観点にかかる縫製品用パーツ部材作成方法は、複数のパーツ部材を縫い合せてなる立体形状の縫製品を構成する各パーツ部材を作成する方法であって、コンピュータにより、上記縫製品の立体モデルデータに基づいて、ディスプレイ上に上記縫製品の立体モデルを表示するステップと、上記表示された立体モデル上で、縫合対象となるパーツ部材に対して、各パーツ部材同士を縫い合わせるための縫合ポイントを設定するステップと、上記立体モデル上の各パーツ部材データ及び設定された縫合ポイントから、個々のパーツ部材データを生成するステップを行うことを特徴とする。
【0010】これにより、作成した各パーツ部材の縫合ポイント同士を合わせて縫い合わせるという簡単な作業を行うだけで、精度のよい被服を製作することができる。
【0011】上記表示された立体モデル上で、上記立体モデルを構成する複数のパーツ部材に連続して形成された図柄データを作成するステップを更に有し、上記縫合ポイントは、上記各パーツ部材間に連続して形成された図柄が、上記パーツ部材が縫合された時に連続するように設定されるようにしてもよい。また上記縫合ポイントは、少なくとも、複数のパーツ部材に連続して図柄が形成されている部分に設定されるようにしてもよい。これにより、縫合ポイントを合わせて縫製するだけで、複数のパーツ部材間に連続した図柄を、簡単かつ精度よく構成することができる。
【0012】上記縫合ポイントは、図柄が隣り合うパーツ部材に連続して形成されていない部分では所定のピッチで設定されるようにしてもよい。これにより、パーツ部材データを作成する作成者が全ての縫合ポイントを設定しなくとも、効率良く縫合ポイントを設定することができる。
【0013】上記捺染される生地は収縮性を有する素材で構成されており、上記縫合ポイントは、上記生地の収縮率に応じて生成されるようにしてもよい。これにより、生地の収縮性等の特定に応じた縫合ポイントを設定することができ、たとえ後で生地の収縮か生じても、縫製品全体の精度や美観を保つことができる。
【0014】上記縫合ポイントは、上記パーツ部材の縫代部分の外縁部に設定してもよい。これにより、縫製を行う際に、縫代の外縁部に設定された縫合ポイントを確認しながら縫製を行うことができ、生産性を向上させることができる。
【0015】また、上記縫合ポイントとして、縫い合わせの精度に応じた所定形状の縫合ポイントが設定してもよい。これにより、縫製品の生地特性や、図柄の困難性等に応じて適切な縫合ポイントを設定し、仕上がりの精度等をコントロールすることができる。
【0016】所定の捺染装置により、上記生成されたパーツ部材データに基づいて、縫製品を構成する生地上に、少なくとも上記設定した縫合ポイントを上記各パーツ部材の縫代部分に捺染するステップと、所定の裁断装置により、上記生地上から各パーツ部材を裁断するステップとを更に有してもよい。
【0017】本発明の一の観点にかかる縫製品用パーツ部材データ作成装置は、複数のパーツ部材を縫い合せて構成される立体形状の縫製品の各パーツ部材を作成するための装置であって、上記縫製品の立体モデルデータに基づいて上記縫製品の立体モデルを所定のディスプレイに表示する出力手段と、上記表示された立体モデル上で、縫合対象となるパーツ部材に対して、各パーツ部材同士を縫い合わせるための縫合ポイントを設定する縫合ポイント設定手段と、上記立体モデル上の各パーツ部材データ及び設定された縫合ポイントから、個々のパーツ部材データを生成するパーツデータ生成手段を有することを特徴とする。
【0018】上記出力手段は、入力された図柄データに基づいて、上記立体モデル上に、上記立体モデルを構成する複数のパーツ部材に連続して形成された図柄をさらに表示し、上記縫合ポイント設定手段は、上記各パーツ部材間に連続して形成された図柄が、上記パーツ部材が縫合された時に連続するように設定するようにしてもよい。
【0019】本発明にかかるコンピュータプログラムは、コンピュータを、複数のパーツ部材を縫い合せて構成される立体形状の縫製品を構成する各パーツ部材を作成する装置として機能させるためのコンピュータプログラムであって、コンピュータに対して、上記縫製品の立体モデルデータに基づいて、ディスプレイ上に上記縫製品の立体モデルを表示するステップと、上記表示された立体モデル上で、縫合対象となるパーツ部材に対して、各パーツ部材同士を縫い合わせるための縫合ポイントを設定するステップと、上記立体モデル上の各パーツ部材データ及び設定された縫合ポイントから、個々のパーツ部材データを生成するステップと、を実行させることを特徴とする。
【0020】本発明の一の観点にかかる縫製品は、複数のパーツ部材を縫い合せてなる立体形状の縫製品であって、上記縫製品には、複数のパーツ部材に連続した図柄が形成されており、少なくとも上記図柄が複数のパーツ部材に連続して形成されている縫代部分に、パーツ部材を縫合するための縫合ポイントが形成されていることを特徴とする。
【0021】本発明の一の観点にかかる縫製品用パーツ部材は、縫合されることにより立体形状の縫製品を構成する縫製用パーツ部材であって、上記パーツ部材には、複数のパーツ部材間に連続した図柄のうちの少なくとも一部が形成されており、少なくとも上記図柄が複数のパーツ部材に連続して形成されている縫代部分に、パーツ部材を縫合するための縫合ポイントが形成されていることを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明にかかる実施形態を説明する。本実施形態では、縫製品として被服を作成する場合を例にして説明する。本実施形態のシステムは、被服及び被服を構成する各パーツ部材(例えば、前見頃、後見頃、袖など)のデータを作成するための縫製品データ作成装置1(図1参照)と、縫製品データ作成装置1により作成されたパーツ部材のデータに基づいて生地上に捺染を行う捺染装置と、捺染された生地を裁断して各パーツ部材とする裁断装置から構成されている。
【0023】捺染装置は、衣服の生地上に捺染を行う装置であり、縫製品データ作成装置1が生成したパーツ部材データに基づいて、生地上に図柄や、縫製を行う際の縫合ポイント、裁断を行う際の裁断線などを捺染することができる。この捺染装置としては、例えば、ダイレクト製版装置などを用いることができ、この場合には、捺染装置は、縫製品データ作成装置1により作成されたパーツ部材データに基づいて刷版を作成する刷版作成部と、この刷版により原反上に捺染を行う捺染部などから構成される。なお、捺染装置としては、例えば、インクジェット式捺染機、オート・ロータリ式のスクリーン捺染機、ロール捺染機などを用いてもよい。また、捺染装置は、縫製品データ作成装置1が作成したデータを所定の回線やLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)などのネットワークを利用して受信するようにしてもよいし、またCD−ROMなどの所定の媒体を介してデータを受け取るようにしてもよい。
【0024】裁断装置は、捺染された生地を、指定された切断線等に従って裁断することにより、生地からパーツ部材を作成する装置である。この裁断装置としては、例えば、超音波裁断機、レーザ裁断機、可動式の切断刃を備えた切断機などにより構成することができる。なお、裁断を行う際には、切断線は必ずしも必要ではなく、例えば、生地の画像データ上に各パーツ部材のデータをマージして、マージされたパーツ部材のデータに基づいて裁断を行うようにしてもよい。
【0025】縫製品データ作成装置1は、本発明にかかる縫製品作成用パーツ部材の縫製品データ作成装置を構成する。この縫製品データ作成装置1には、図示しない、縫製品データ作成装置1に対して所定の入力を行うキーボード、ポインティングデバイスなどの入力装置と、縫製品データ作成装置1からのデータに基づいてモデル等の表示を行うディスプレイが接続されている。縫製品データ作成装置1は、コンピュータにより構成され、CPU(Central Processing Unit)と、このCPUが実行するコンピュータプログラム、RAM及びROM等の内部メモリ、ハードディスク装置等の外部記憶装置により、図1に示した機能ブロックを構成する。図1に示した機能ブロックは、被服データ記憶部11、三次元データ処理部12、縫合ポイント設定部13、パーツ部材データ生成部14から構成されている。
【0026】被服データ記憶部11は、被服データを記憶する記憶部である。この被服データとしては、例えば、Tシャツ、ポロシャツなどの種々の被服の完成品データや、被服の前見頃、後見頃、衿、袖などの被服を構成する各パーツ部材データなどが記憶できるようになっている。
【0027】三次元データ処理部12は、被服データ記憶部11に記憶されている完成品データに基づいて、ディスプレイ上に立体モデルを表示させる処理を行う。また、三次元データ処理部12は、被服の立体モデル上で複数のパーツ部材に跨る図柄データを作成して、ディスプレイ等に表示させることができる。この図柄データの入力は、例えば、被服の立体モデル上でキーボードやマウスなどのポインティングデバイスを用いて縫製品データ作成装置1に入力してもよいし、別途作成した図柄データを被服データとマージしてもよい。なお、この三次元データ処理部12は、例えば、CPUによりCAD/CAM用プログラムを実行することにより実現することができる。
【0028】縫合ポイント設定部13は、被服の立体モデル上で、縫合対象となる各パーツ部材同士を縫い合わせるための縫合ポイントを、各パーツ部材に設定する処理を行う。この処理としては、縫合ポイント設定部13が、各パーツ部材が縫い合わされた時に渡り部分に形成された図柄が一致するように、縫合ポイントを設定すればよい。そのためには、例えば、作成者が所定のポインティングデバイスを用いて被服データ上で指定された部分に、縫合ポイント設定部13が縫合ポイントを設定するようにしてもよい。
【0029】また、縫合ポイントとしては、図2にパターン1〜パターン4で示すように、三角形型、矢印型、丸型、半円型などの異なる形状のパターンを用いることができる。これらは、例えば、縫製品に要求される精度に応じて、当該縫製品や縫製方法など考慮して選択すればよい。その一例としては、柄合わせを精度良く行う場合には三角形型や矢印型などの点接点のマークを用い、また精度よりもあわせ易さを重視する場合には丸型や半円型などの面接点のマークを用いるなどとしてもよい。どのパターンを用いるかは、作成者が選択するようにしてもよいし、また縫合ポイント設定部13が判定して設定してもよく任意である。なお、縫合ポイントを設定する際は、縫合ポイントをあわせやすくするため、各マークの接合する部分の巾と、各マークの縦方向の長さが同じ、一対の縫合ポイントを用いるようにすればよい。
【0030】パーツ部材データ生成部14は、立体モデル上の各パーツ部材データ及び設定された縫合ポイントデータから、個々のパーツ部材データを生成する処理を行う。この処理は、例えば、三次元データ処理部12が作成した立体的な被服データ及び、この立体的な被服データ上にデザインされた図柄データ、設定された縫合ポイントデータに基づいて所定の演算を行うことにより、立体モデルデータから平面的な各パーツ部材のデータを生成することにより行うことができる。
【0031】カラー解析部15は、図柄のカラー分解を行い、図柄の色相分解を行う。この色相分解としては、例えば、カラー分析部15が、図柄の色をイエロー、マゼンダ、シアン、ブッラクの4色、或はこれにホワイトを加えた5色の色相に分解し、これにさらに濃淡をつけて、これらの色が重なった時に、その柄と色が元となる図柄を構成するようにする。
【0032】次に、本発明にかかる縫製品用パーツ部材作成方法の実施形態について、図3を参照して説明する。図3において、まず、作成者から作成する被服の種別、作成する生地の種別などの情報が入力されると、三次元データ処理部12が、被服データ記憶部11から指定された種別に対応する被服モデルデータを読み出すと共に、この被服モデルデータと、作成する被服の生地の収縮率、生地特性のデータを参照して、完成品の被服モデルデータを生成し、これに基づき被服モデルを所定のディスプレイ上に表示する(S1)。この被服モデルを表示した際の一例を図4に示す。図4に示した例では被服モデルは、前身頃101、後身頃102、左袖103、右袖104、衿105などの複数のパーツ部材により構成されており、この時点では無地となっている。
【0033】なお、生地の収縮率とは、例えば、縫製作業に基づく収縮率、水洗いをして乾燥した後の収縮率などを、それぞれ縦横の寸法変化率で表したものである。この生地の収縮率、生地特性などのデータは、作成者が入力しなくとも、予め縫製品データ作成装置1の所定の記憶部に記憶しておき、作成者が例えば、テンプレート上で生地種別を選択するだけで入力できるようにしてもよい。
【0034】被服モデルが完成すると、作成者からの指示に従い、三次元データ処理部12が被服モデルを構成する複数のパーツ部材に連続した所定の図柄を描画入力する(S2)。この処理としては、例えば、作成者がディスプレイに表示された被服モデル上にキーボードやマウスなどの入力手段を用いて、所定の図柄を入力してもよいし、 また、予め決まった図柄のテンプレートを用意しておき、このテンプレートから所定の図柄を選択することで入力するようにしてもよい。この処理により図5に示すように、例えば、前身頃106から右袖104及び衿105に掛けて連続した図柄106(図示の例では、蜘蛛の図柄)が描かれるようになる。
【0035】この状態で、作成者がパーツ部材や、各パーツ部材にズレがないか、またパーツ部材の大きさ、全体のデザイン等をチェックし、修正がある場合には三次元データ処理部12が当該修正データの入力を受付け、被服モデルデータを修正する(S3)。
【0036】そして、作成者から、修正が完了した旨の指示がされたか否か判別する(S4)。判別の結果、修正完了が指示されていない場合にはS3の処理に戻って修正処理を行う。また、修正完了の指示があった場合には、縫合ポイント設定部13が、作成者に対して縫合ポイントを指定するように要求する(S5)。
【0037】要求に対して、作成者がマウスなどのポインティングデバイス等を用いて縫合ポイントを指定すると、縫合ポイント設定部13が被服モデルデータ上で、縫合ポイントを設定する(S6)。作成者からの縫合ポイントの指定は、例えば、マウスなどを用いて、縫合ポイントを設定すべきところでクリックするなどして指定することができる。また、縫合ポイントの形状も、縫合ポイントの形状のテンプレートなどから選択することにより、指定することができるようにしてもよい。なお、この際、作成者により指定されなかった部分については、縫合ポイント設定部13が、自動的に所定のピッチで縫合ポイントを設定する部分としてもよい。
【0038】縫合ポイントの設定が完了すると、パーツ部材データ生成部14が、被服モデル上の各パーツ部材データ及び設定された縫合ポイントデータから、個々のパーツ部材データを生成する(S7)。この処理としては、例えば、パーツ部材データ生成部14が、図6に示すように、立体モデルデータを各パーツ部材の平面データに展開すると共に、作成者により指定された位置に応じて、各パーツ部材の縫代部分などに縫合ポイント(図6の例では、縫代104a、106aに矢印で示す。)を設定する。
【0039】なお、この縫代部分に縫合ポイントを設定する際、パーツ部材データ生成部14が、縫代の外縁部に縫合ポイントを設定するようにしてもよい。これにより、縫製を行う際、縫代部分をあわせて縫製を行うため、あわせた縫い代の外縁部に設定された縫合ポイントが露出して、縫製を行う者にとって縫製ポイントを確認しながら縫製を行うことができるようになり、生産性を向上させることができる。
【0040】パーツ部材データ生成部14は、予め設定されているプリントする生地の幅データを取得し、この生地幅にパーツ部材が入るように集約する(S8)。この処理により、パーツ部材データ生成部14が、既存の所定のアルゴリズムにより、各パーツ部材を裁断したとき、無駄な生地が出ないように各パーツ部材を生地上で最適に配置する。
【0041】パーツ部材の配置が完了すると、カラー分析部15が図柄のカラー分解を行い、図柄の色相分解を行う(S9)。カラー分解が完了すると、パーツ部材データ生成部14は、各パーツ部材のデータを被服データ記憶部11に記憶すると共に、このデータを捺染装置に対して提供する(S10)。
【0042】捺染装置は、提供されたパーツ部材のデータに基づいて、縫製品を構成する生地上に、各パーツ部材データに基づいて、図柄と、所定形状の縫合ポイントを生地上に捺染する(S11)。なお。パーツ部材を捺染する際、パーツ部材の裁断線を捺染するか否かは任意である。
【0043】生地への捺染が完了すると、裁断装置により、生地上から各パーツ部材を裁断することにより、パーツ部材が完成し、これによりパーツ部材の製造は終了する(S12)。ここで、完成したパーツ部材の一例を図7に示す。図7に示した例では、複数のパーツ部材に連続して図柄が形成されており、各パーツ部材の図柄の渡り部分の縫代部分101a、104a、105aに矢印形の縫合ポイントP1〜P5、P1´〜P5´が形成されている。なお、図7の例では、無地部分については、縫合ポイントを設定していないが、この部分にも縫合ポイントを設定してもよい。そして、各パーツ部材を縫製する場合には、この縫合ポイントを目視等により合わせた状態で、ミシン等により縫代部分を縫い合わせることにより、被服が完成する。
【0044】以上のように、本実施形態によれば、基本となる被服モデルデータに基づいてディスプレイ上に被服モデルを表示し、この表示された被服モデル上で、縫合対象となるパーツ部材に対して、各パーツ部材同士を縫い合わせるための縫合ポイントを設定し、被服モデル上の各パーツ部材データ及び設定された縫合ポイントから、個々のパーツ部材データを生成して、各パーツ部材を作成するようにしたことから、作成した各パーツ部材の縫合ポイント同士を合わせて縫い合わせるという簡単な作業を行うだけで、精度のよい被服を製作することができる。
【0045】また、パーツ部材101と104、又はパーツ部材101と105のように、複数のパーツ部材に連続した図柄が形成されている場合には、その図柄が連続して形成されている部分に縫合ポイントを設定するようにしたことから、縫合ポイントを合わせて縫製するだけで、複数のパーツ部材間に連続した図柄を、簡単かつ精度よく構成することができる。これにより、例えば、複数の部材にわたって、一連に描かれた文字や、繰り返し模様、その他の図柄を有する被服などを効率良く、大量に生産することが可能となる。
【0046】また、図柄が形成されていない部分については、縫合ポイント設定部13が、予め定められた所定のピッチで縫合ポイントを自動的に設定するようにしてもよい。これにより、作成者が全ての縫合ポイントを設定しなくとも、効率良く縫合ポイントを設定することができる。
【0047】なお、上述の実施形態では、作成者が縫合ポイントを指定する例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、縫合ポイント設定部13が自動的に全ての縫合ポイントを設定するようにしてもよい。この場合、縫合ポイント設定部13が、複数のパーツ部材に連続して形成されている図柄の渡り部分を自動的に検出して、その部分に縫合ポイントを設定するようにしてもよい。これにより、作成者が指示を入力しなくとも、自動的に縫合ポイントを設定することができる。また、縫合ポイント設定部13が、図柄が連続している部分では、無地の部分よりも細かいピッチで縫合ポイントを自動的に設定するようにしてもよい。これにより、高い精度が要求される図柄が形成されている部分と、無地の部分とで適切なピッチの縫合ポイントを設定することができる。
【0048】また、生地や図柄合わせに要求される精度に応じて、縫合ポイントの形状を変えるようにすれば、精度よく複数のパーツ部材に連続して図柄が合った被服を得ることができる。
【0049】なお、すべての縫合ポイントの形状を同じにしなくとも、例えば、間欠的に同じ形状の縫合ポイントを設定するようにしてもよい。このように縫合ポイントの形状を変化させることにより、縫製をする際に同じ形状の縫合ポイント同士を合わせて縫製すればよいこととなり、縫製を行う際のミスを減少させ、生産効率を高めることができる。
【0050】また、図柄を付す場合、図7に示したように、各パーツ部材の縫代部分に図柄を延長させるようにしてもよい。これにより、縫代部分で各パーツ部材同士にズレが生じたとしても、縫代部分の図柄により全体としては図柄が連続しているように見えるため、製品の美観をそこなることなく、生産性の向上を図ることができる。
【0051】本実施形態にかかる縫製品データ作成装置1は、専用装置であってもよいし、また、汎用のコンピュータにコンピュータプログラムをインストールとにより実現してもよい。汎用のコンピュータを利用して実現する場合には、例えば、汎用のコンピュータに対して上述の動作を実行するためのコンピュータプログラムやこれを格納したコンピュータ読み取り可能な媒体(FD、CD−ROM等)からコンピュータプログラムをインストールすることにより上述の処理を実行する各装置を構成するようにしてもよい。なお、上述の機能をOS(Operating System)が分担又はOSとアプリケーションプログラムの共同により実現する場合等には、OS以外の部分のみをコンピュータプログラムとして、またこのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な媒体に格納してもよい。
【0052】また、縫製品データ作成装置1用の各コンピュータプログラムを搬送波に重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。例えば、通信ネットワークの掲示板(BBS)に当該プログラムを掲示し、これをネットワークを介して配信するようにしてもよい。そして、このコンピュータプログラムを起動し、OS制御下で他のアプリケーションプログラムと同様に実行させることにより上述の処理を実行させるようにしてもよい。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、複数のパーツ部材を縫い合せて立体的な縫製品を製造する際に、縫製品の歪みを抑えることができる。また、複数のパーツ部材に連続する図柄を精度良く柄合わせすることができる。
【出願人】 【識別番号】502116081
【氏名又は名称】ケー−イオン ピーティイー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】K−ION PTE LTD
【住所又は居所原語表記】SINGAPORE 8 ROBINSON ROAD 08−00 COSCO BUILDING
【出願日】 平成14年4月1日(2002.4.1)
【代理人】 【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫 (外1名)
【公開番号】 特開2003−301312(P2003−301312A)
【公開日】 平成15年10月24日(2003.10.24)
【出願番号】 特願2002−98312(P2002−98312)