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【発明の名称】 かつらベース及びかつら
【発明者】 【氏名】伊藤 勝文

【要約】 【課題】かつらのずれや浮き上がりをより確実に防止する。

【解決手段】かつらベース10は、頭髪の生え際に沿って頭部全体を覆うように形成されると共に、少なくとも着用者の耳付け根上部に接する部位と、うなじ中央の窪みと後頭部の隆起した部分との間に接する部位とを結ぶ仮想線に沿って、当該仮想線に沿った部分の伸張を抑える伸張抑制部材30が設けられており、かかる伸張抑制部材30の働きにより、かつらのずれや浮き上がりをより確実に防止することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 頭髪の生え際に沿って頭部全体を覆うように形成されるかつらベースであって、少なくとも着用者の耳付け根上部に接する部位と、うなじ中央の窪みと後頭部の隆起した部分との間に接する部位とを結ぶ仮想線に沿って、当該仮想線に沿った部分の伸張を抑える伸張抑制部材が設けられていることを特徴とするかつらベース。
【請求項2】 前記伸張抑制部材が、着用者の額上部に接する部位から、耳付け根上部に接する部位を経由して、うなじ中央の窪みと後頭部の隆起した部分との間に接する部位に至る仮想線に沿って、当該仮想線に沿った部分の伸張を抑え得るように、設けられていることを特徴とする請求項1記載のかつらベース。
【請求項3】 請求項1又は2記載のかつらベースを具備することを特徴とするかつら。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、かつらベース及びかつらに関する。
【0002】
【従来の技術】かつらは、一般に、頭髪の生え際に沿って頭部全体を覆うように形成されたかつらベースの外面に、人毛や人工毛又はこれらを混ぜ合わせた混毛を植毛して構成されている。かかるかつらは、着用時にずれたり浮き上がったりしないように、頭部に直接装着されるかつらベースが、頭部にしっかりとフィットすることが望まれている。
【0003】然るに、かつらを着用する者(以下「着用者」という。)の頭部形状には個人差があるため、かつらを製作する場合には、かつらベースが各着用者の頭部にしっかりとフィットし、着用時にずれや浮き上がりが生じないように、オーダーメード方式を採用して、各着用者の頭部形状に合わせてかつらを製作している。
【0004】しかしながら、各着用者の頭部形状に合わせて製作されたかつらであっても、激しい運動等により頭部を激しく動かしたり、強風を受けたりした場合等には、かつらのずれや浮き上がりが生じる場合がある。
【0005】このため、激しい運動をする前などに、予めかつらベースの襟足部の周縁に沿って配設されたゴム紐を中心方向に絞ることにより、頭部とかつらベースとの密着性を高めて、かつらのずれや浮き上がりを発生し難くしたかつらが知られている。また、この種のかつらでは、ゴム紐を絞った際に、かつらベースの襟足部及び揉上部が外側に反り返ることを防止するため、襟足部及び揉上部に、それぞれ芯材が設けられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この種のかつらでは、後頭部の下部、すなわち、頭部を後方に倒した際に首が折れ曲がる部分付近で、ゴム紐等を利用してかつらベースの周縁を締め付ける構成であるため、その締め付け部が頭部の動きに伴って上方にずれてしまい、かつらが浮き上がってしまうことがあった。
【0007】そこで、本発明は、従来のかつらよりも、より確実にずれや浮き上がりを防止することができるかつらベース及びかつらを提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明は、頭髪の生え際に沿って頭部全体を覆うように形成されるかつらベースであって、少なくとも着用者の耳付け根上部に接する部位と、うなじ中央の窪みと後頭部の隆起した部分との間に接する部位とを結ぶ仮想線に沿って、当該仮想線に沿った部分の伸張を抑える伸張抑制部材が設けられていることを特徴とするかつらベースを提供する。請求項2に記載の本発明は、前記伸張抑制部材が、着用者の額上部に接する部位から、耳付け根上部に接する部位を経由して、うなじ中央の窪みと後頭部の隆起した部分との間に接する部位に至る仮想線に沿って、当該仮想線に沿った部分の伸張を抑え得るように、設けられていることを特徴とする請求項1記載のかつらベースを提供する。請求項3に記載の本発明は、請求項1又は2記載のかつらベースを具備することを特徴とするかつらを提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1乃至図3は、本発明の一の実施形態に係るかつらベースを示す図であり、図1は右側面図、図2は平面図、図3は背面図である。図において、符号10はかつらベース、20はベース本体、30は伸張抑制部材、40は人工皮膚、50はネット片、60はゴム紐、70は芯材である。
【0010】本実施形態に係るかつらベース10は、予め着用者の頭部の形状を測定し、その測定結果に基づいて製作される、いわゆるオーダーメードのかつらに利用されるものである。また、このかつらベース10は、その外面に、人毛や人工毛又はこれらを混ぜ合わせた混毛が植毛されることにより、かつらを構成するものである。
【0011】ベース本体20は、通気性等に鑑み、ナイロン等の合成樹脂を素材として網目状に編み込まれたネットからなり、頭髪の生え際に沿って頭部全体を覆うように形成されている。但し、ベース本体20は、その全部又は一部がポリウレタン樹脂やシリコン樹脂などのような軟質でゴム状弾性を有する軟質合成樹脂からなる人工皮膚により構成されたものでもよい。本実施形態では、ベース本体20の頂上部略中央に、ベース本体20の縁から後方に向かって略U字状の切り欠き20aが形成されていると共に、その切り欠かれた部分を塞ぐように、人工皮膚40が設けられている(図1及び図2参照)。なお、本実施形態のように、ベース本体20の一部に人工皮膚40を設ける場合において、人工皮膚40を設ける位置は限定されるものではないが、分髪部、すなわち、かつらを頭部に装着して整髪した際に、髪の分け目となる部位に設けられていることが好ましい。分髪部としては、かつらベース10の頂上部略中央のほか、頂上部と側頭部の境界部などが挙げられる。分髪部に人工皮膚40が設けられることにより、かつらベース10に植毛された髪の分け目が、地毛の分け目とよく似たものとなるので、外部から観察したときに、かつらであることを気付かれ難くすることができる。
【0012】このベース本体20は、また、その後部略中央に、ベース本体20の縁から頂上部方向に向かって略U字状の切り欠き20bが形成されていると共に、その切り欠かれた部分を塞ぐように、伸縮性を有するネット片50が設けられている(図1及び図3参照)。このネット片50は、ベース本体20を形成する素材よりも柔軟な素材からなり、かつらベース10を頭部に装着した際に、該かつらベース10が頭部に密着するようにするため、装着時において、ネット片50自体に収縮しようとする力が働くように設けられている。かかるネット片50が設けられることにより、頭部の大きさが変化しても、かつらベース10が頭部に適度に密着した状態を維持することができる。すなわち、頭部の大きさは、もともとあった地毛が成長したり、新たに地毛が生えてきたりすると大きくなり、その逆に、地毛を散髪したり剃髪したりすると小さくなるため、それに対応してネット片50が伸縮することにより、かつらベース10が適度に密着した状態を維持することができる。従って、別途サイズの異なるかつらを用意しなくても済み、また、頭部の大きさが変化することによって、かつらベース10により頭部を強く締め付けられる感覚を与えたり、かつらベース10と頭部との密着性が損なわれることをより少なくすることができる。
【0013】また、ベース本体20には、その襟足部の周縁に沿って、締め付け手段としてのゴム紐60が設けられている(図1及び図3参照)。締め付け手段としては、ゴム紐60に代えて、単なる紐などを用いることも可能であるが、ゴム紐60のように伸縮性を有するものを採用することにより、頭部の動きに伴う、着用者の襟足部の状態変化に柔軟に対応することが可能となる。このゴム紐60は、ベース本体20の両側の襟足部に沿って、それぞれ一端60aが襟足部の上部に逢着され、他端60bが自由端となるように設けられており、各他端60bを中心方向に引き寄せるようにして絞ることにより、かつらベース10の周縁全体により頭部を締め付けることができる。その結果、かつらベース10と頭部との密着性が高まるので、頭部の激しい動きに対しても、かつらのずれや浮き上がりを発生し難くすることができる。
【0014】また、ベース本体20の襟足部及び揉み上げ部には、上記した締め付け手段としてのゴム紐60を絞った際に、ベース本体20の襟足部及び揉み上げ部が外側に反り返ることを防止するため、それぞれ芯材70が設けられている(図1及び図3参照)。この芯材70は、頭部形状に合わせて湾曲している厚さの薄い細長い銅板からなり、それぞれ一端70aが襟足部及び揉み上げ部の各角部に位置して、ベース本体20の内方に向かって配設されている。
【0015】伸張抑制部材30は、図5に示したように、かつらベース10における、少なくとも着用者の耳付け根上部に接する部位Bと、うなじ中央の窪みD(いわゆる「盆の窪」といわれるところ)と後頭部の隆起した部分E(頭蓋骨後部中央の下縁に沿ってもりあがった部分)との間に接する部位Cとを結ぶ仮想線Laに沿って、当該仮想線Laに沿った部分の伸張を抑える働きをするものである。このような機能を果たし得る限り、伸張抑制部材30はどのようなものであってもよいが、本実施形態では、ベース本体20を構成するネットよりも伸張性が劣るネット(材質はベース本体20を構成するネットと同じもの)を素材として、図4において実線で示したように、少なくとも仮想線Laに沿って配設される部分を有する形状に形成されたものが用いられている。そして、この伸張抑制部材30は、ベース本体20の内面側に、少なくとも仮想線Laに沿って設けられている(図1、図3及び図4参照)。より具体的には、少なくとも仮想線Laに沿った部分において、ベース本体20を構成するネットと伸張抑制部材30を構成するネットとを重ね合わせた状態となるように、伸張抑制部材30を構成するネットがベース本体20を構成するネット内面側に縫着されている。
【0016】なお、本実施形態では、さらに、かつらベース10における、着用者の額上部に接する部位Aから、耳付け根上部に接する部位Bを経由して、うなじ中央の窪みと後頭部の隆起した部分との間に接する部位Cに至る仮想線L(図5参照)に沿って、当該仮想線Lに沿った部分の伸張を抑えることができるように、伸張抑制部材30が設けられている(図1、図2及び図4参照)。
【0017】かかる伸張抑制部材30が設けられることにより、かつらベース10の上記した仮想線L又は仮想線Laに沿った部分は、伸張し難くなる。また、伸張抑制部材30は、少なくとも仮想線Laに沿って設けられるため、本実施形態に係るかつらベース10を備えるかつらは、従来のかつらよりも、より確実にずれや浮き上がりを防止することができる。
【0018】すなわち、本実施形態に係るかつらベース10であっても、従来のものと同様に、後頭部の下部、すなわち、頭部を後方に倒した際に首が折れ曲がる部分付近で、ゴム紐60を利用してかつらベース10の周縁を締め付ける構成であるため、その締め付け部が頭部の動きに伴って上方にずれてしまうことがある。この際、本実施形態のかつらベース10によれば、少なくとも仮想線Laに沿って、当該仮想線Laに沿った部分の伸張を抑える伸張抑制部材30が設けられているため、その締め付け部(かつらベース10の襟足部)が多少上方にずれても、仮想線Laに沿った部分が殆ど伸張せず、このため、仮想線Laに沿った部分は装着当初の位置から上方へ殆どずり上がらないので、かつらベース10の頂上部と頭部との間に隙間ができるようなかつらの浮き上がりを防ぐことができる。
【0019】なお、本実施形態のように、伸張抑制部材30が頭部の周りを囲むような仮想線Lに沿って設けられていると、あたかも帽子を深く被っているときのように、かつらベース10の仮想線Lに沿った部分が殆ど伸張しないでしっかりと頭部に密着して、かつらベース10の位置ずれを防ぐため、かつらの浮き上がりをより効果的に防止することができる。もっとも、高齢者など、額の幅が狭いと却って不自然な着用者等に対しては、例えば、図6に示したように、かつらベース10の頂上部周縁の位置を後退させたかつらベース10が製作されることとなる。かかるかつらベース10においては、かつらベース10の頂上部周縁Fを、従来公知のかつら用クリップや両面テープなどのかつら固定具を利用して頭部に固定することにより、かつらベース10の頂上部周縁と共に、着用者の耳付け根上部に接する部位Bが後方にずれることが防止されるため、着用者の耳付け根上部に接する部位Bと、うなじ中央の窪みDと後頭部の隆起した部分Eとの間に接する部位Cとを結ぶ仮想線Laに沿って伸張抑制部材30が設けられていることで、当該仮想線Laに沿った部分の伸張が抑制される。従って、かつらの浮き上がりを防止することができる。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のかつらベース及びかつらによれば、従来のかつらよりも、より確実にずれや浮き上がりを防止することができる。
【出願人】 【識別番号】593111347
【氏名又は名称】伊藤 勝文
【出願日】 平成14年4月18日(2002.4.18)
【代理人】 【識別番号】100073139
【弁理士】
【氏名又は名称】千田 稔
【公開番号】 特開2003−306821(P2003−306821A)
【公開日】 平成15年10月31日(2003.10.31)
【出願番号】 特願2002−116503(P2002−116503)