トップ :: A 生活必需品 :: A41 衣類




【発明の名称】 耐薬品性防護衣料
【発明者】 【氏名】小西 武四
【住所又は居所】東京都中央区日本橋3丁目1番6号 株式会社クラレ内

【氏名】川▼崎▲ 靖哉
【住所又は居所】東京都中央区日本橋3丁目1番6号 株式会社クラレ内

【氏名】真木 基允
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区瓦町1丁目5番1号 株式会社メディテックジャパン内

【要約】 【課題】各種有害化学物質に対する耐透過性に優れた耐薬品性防護衣料を提供すること。

【解決手段】エチレン−ビニルアルコール系共重合体50質量%以上を含む層を少なくとも1層有する樹脂層と繊維層とが積層された複合材料からなる耐薬品性防護衣料。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エチレン−ビニルアルコール系共重合体50質量%以上を含む層を少なくとも1層有する樹脂層と繊維層とが積層された複合材料からなる耐薬品性防護衣料。
【請求項2】 樹脂層が、エチレン−ビニルアルコール系共重合体フィルムと、その少なくとも片面に設けられたメタノールに対する耐透過性樹脂層とからなる積層フィルムである請求項1記載の耐薬品性防護衣料。
【請求項3】 樹脂層が、エチレン−ビニルアルコール系共重合体フィルムと、その少なくとも片面に設けられたポリオレフィン系樹脂層とからなる積層フィルムである請求項1または2記載の耐薬品性防護衣料。
【請求項4】 繊維層が、不織布である請求項1〜3のいずれかに記載の耐薬品性防護衣料。
【請求項5】 複合材料が、超音波接合により接合されたものである請求項1〜4のいずれかに記載の耐薬品性防護衣料。
【請求項6】 超音波接合が、連続パターンと不連続パターンを並列に配置した超音波ミシンによって施されたものである請求項5記載の耐薬品性防護衣料。
【請求項7】 複合材料が、樹脂層面同士を重ね合わせて接合されたものである請求項1〜6のいずれかに記載の耐薬品性防護衣料。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は耐薬品性防護衣料、さらに詳しくは、酸、アルカリ、有機薬品、その他の気体、液体又は粒子状物の有害化学物質に対する耐性、とりわけ耐薬品透過性に優れた防護衣料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】酸、アルカリ、有機薬品、その他の気体、液体又は粒子状の有害化学物質を取り扱う作業において、人体の保護のために着用し、これら有害化学物質等の浸透の防止を目的として使用される化学防護衣料には、作業服の他にフード、手袋、靴等がある。従来、これらの防護衣料としては、例えば布帛にポリプロピレン樹脂からなる微多孔膜を積層したもの、ポリオレフィン樹脂をフラッシュ紡糸した不織布からなるもの、あるいは布帛と不通気性樹脂膜とをラミネートしたものなどが知られている。このうち、ポリプロピレン微多孔膜を用いた防護衣料やポリオレフィンのフラッシュ紡糸不織布からなる防護衣料は、いずれも各種有害薬品に対する耐浸透性が充分でなく、薬品透過による人体への悪影響が避けられないといった問題があった。
【0003】また、布帛にポリウレタン皮膜を形成させた防護服が提案されている(特許文献1参照)が、かかる防護服は気体の有害性物質に対する耐透過性が不十分であり、着用時に蒸れやすいという問題があった。一方、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン等の不通気性樹脂膜と不織布を積層した使い捨て保護衣料が提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、かかる防護衣料は、有害薬品の種類によってはこれらの樹脂膜を透過してしまうものもあり、特にナイロンが強酸に、ポリエステルが強アルカリによって浸蝕されるなど特定の薬品に対する耐性が劣るといった問題もあった。また、防護衣料を製造時、縫製部分より有害薬品が透過しないよう、縫製に代って熱シールするケースが多いが、この熱シールの場合、熱シール部分が固くなり、着用感を低下させるばかりでなく、シール部分にピンホールが生じ、耐薬品性透過性や耐水度が著しく低下するという欠点があった。
【0004】
【特許文献1】特開昭60−96267号公報【特許文献2】特開平10−158909号公報【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような従来の防護衣料における問題点を解決し、各種有害化学物質に対する耐透過性に優れた耐薬品性防護衣料を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、各種有害化学物質に対する透過性に優れた防護衣料を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の構成の複合材料からなる防護衣料が、前記目的に適合し得ること、そして、該複合材料を、連続するパターンを有する超音波ミシン、好ましくは連続パターンと不連続パターンを並列に配置した超音波ミシンによってシールすることにより、シール部が固くなることなく、着用感に優れ、しかもピンホールの発生しない耐薬品性防護衣料が得られることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。すなわち、本発明は、(1)エチレン−ビニルアルコール系共重合体50質量%以上を含む層を少なくとも1層有する樹脂層と繊維層とが積層された複合材料からなる耐薬品性防護衣料、(2)樹脂層が、エチレン−ビニルアルコール系共重合体フィルムと、その少なくとも片面に設けられたメタノールに対する耐透過性樹脂層とからなる積層フィルムである上記(1)記載の耐薬品性防護衣料、(3)樹脂層が、エチレン−ビニルアルコール系共重合体フィルムと、その少なくとも片面に設けられたポリオレフィン系樹脂層とからなる積層フィルムである上記(1)または(2)記載の耐薬品性防護衣料、(4)繊維層が、不織布である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の耐薬品性防護衣料、(5)複合材料が、超音波接合により接合されたものである上記(1)〜(4)のいずれかに記載の耐薬品性防護衣料、(6)超音波接合が、連続パターンと不連続パターンを並列に配置した超音波ミシンによって施されたものである上記(5)記載の耐薬品性防護衣料、および(7)複合材料が、樹脂層面同士を重ね合わせて接合されたものである上記(1)〜(6)のいずれかに記載の耐薬品性防護衣料、を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の防護衣料は、各種作業服、フード、手袋あるいは靴カバーなどを含むものであり、当該防護衣料を構成する樹脂層として、エチレン−ビニルアルコール系共重合体(以下、EVOHと略記する場合がある。)を特定量含む層を用いる点に特徴を有する。本発明の防護衣料に用いるEVOHは、エチレン−ビニルエステル共重合体をケン化して得られるものであり、そのエチレン単位含有率は20〜60モル%が好ましく、より好ましくは25〜50モル%である。また、ビニルエステル成分のケン化度は90モル%以上が好ましい。
【0008】本発明の防護衣料を構成する樹脂層は、EVOHを50質量%以上含む層を少なくとも1層有するものであることが必要であり、好ましくはEVOHを70質量%以上含む層を少なくとも1層有するものである。該樹脂層のEVOHを含む層におけるEVOHの含有量が50質量%未満の場合であると、化学物質に対する耐ガス透過性が低下し本発明の目的が達成されない。かかる層には、例えばポリエチレンなどの他の樹脂がブレンドされていてもよいが、他の樹脂のブレンド比率は20質量%未満であることがより好ましい。本発明の防護衣料に用いる樹脂層としては、EVOHからなるフィルムを少なくとも1層有するものであることが、より多種の化学薬品に対して耐性を発揮できる点からさらに好ましい。EVOHフィルムは、酸素などのガスバリア性に優れていることが知られており、食品包材などに多用されている。本発明者らは、EVOHを特定量含む樹脂少なくとも1層を用いることで、気体、液体又は粒子状を問わず各種の有害物質に対する耐薬品性の向上した防護衣料が得られることを見出した。
【0009】本発明の防護衣料においては、前記樹脂層としてEVOHフィルムを単独で用いてもよいが、EVOHを50質量%以上含む層を少なくとも1層有する多層構造としてもよく、EVOHフィルムとその少なくとも片面にメタノールに対して耐透過性を有する樹脂層、特にポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステルさらには高機能樹脂等からなる層とがラミネートされた積層フィルムが好ましく用いられる。メタノールに対して耐透過性を有する樹脂層としては、K−コート(ポリ塩化ビニリデンコート)ナイロン、ポリオレフィン、またはポリエステルからなる層がメタノール、エタノール等のアルコール類に対して優れた耐薬品透過性を有する複合材料が得られる点で好ましい。中でも、EVOHフィルムの片面または両面にポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂層がラミネートされた積層フィルムを用いることが、強度が向上すると共に、より多種の化学物質に対する耐性や風合が向上するなどの点でより好ましい。また、ナイロン等のポリアミド系樹脂層とのラミネートフィルムは風合の向上や接合時等に発生するピンホールの防止に役立つ。なお、ここでメタノールに対して耐透過性を有する樹脂層とは、かかる層を構成する樹脂を20℃のメタノール中に1ヶ月間浸漬した後の質量増加が0.1質量%未満のものをいう。
【0010】また本発明の防護衣料においてEVOHフィルムを用いる場合、無延伸フィルムあるいは一軸または二軸に延伸された延伸フィルムを用いることができるが、好ましくは無延伸フィルムを用いる。特に延伸されたEVOHフィルムを用いる場合は、引き裂きなどに対して弱い場合があるので、その意味でもEVOHフィルム単体よりも、他の樹脂層との積層フィルムを用いることが好ましい。また、延伸されたEVOHフィルムは未延伸フィルムよりも耐薬品性は優れているものの、風合が硬くなる場合があるため、触感の改良という意味でも、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂層との積層フィルムを用いるのは極めて有効である。
【0011】EVOHフィルムと他の樹脂層との積層方法は特に限定されず、押出しラミネートでもよいし、接着剤によるラミネートでもよいが、共押出しラミネートが風合の良い積層フィルムが得られ、経済面で有利である。EVOHフィルムは1層または2層以上、他の樹脂層とラミネートされてもよく、またEVOH以外に2種以上の樹脂層がラミネートされてもよい。例えば、厚み30μmの延伸されたEVOHフィルムと、同じ組成を有する厚み10μmのEVOHフィルムの両サイドにそれぞれ10μmの厚みを有するポリエチレン層を複合化してなる総厚み30μmのラミネートフィルムとの触感を比較した場合、後者の方が明らかに触感が良く、しかも多くの化学薬品に対して優れた耐性を有している場合が多い。
【0012】本発明に用いられるEVOHフィルムの総厚みは5〜200μmが好適である。総厚みが5μm未満では充分な耐化学物質性が得られにくく、逆に200μmを超えると不経済である上、複合材料が固くなり着用感が低下することがある。EVOHフィルムにラミネートされる他の樹脂層の総厚みは5〜200μmが好ましく、より好ましくは10〜100μmである。この総厚みが5μm未満ではフィルム強度の向上や耐化学物質性が充分に発揮されにくく、一方、200μmを超えると複合材料が固くなり着用感が低下することがある。なお、ここで言う総厚みとは2層以上用いられた場合、各層の厚みの合計である。
【0013】このようにして得られたEVOHを含む層を少なくとも1層有する樹脂層は、強度や着用感などの向上のため、繊維層と積層することで複合材料を得ることができる。本発明に用いる繊維層としては、各種織物、編物等の布帛、不織布が用いられる。布帛にフィルムが積層されていても差し支えないし、耐化学物質性を二重に確保する上ではむしろ好ましいことである。不織布としてはスパンレース不織布、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布、スパンボンド不織布とメルトブローン不織布との積層体、スパンボンド不織布とフィルムとの積層体などが用いられる。布帛の目付は、20〜300g/m程度のものが採用される。この目付が20g/m未満では充分な強力がなく、300g/mを超えると着用感を低減させる傾向がある。布帛の材質はポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、レーヨン、綿、羊毛などの繊維、あるいはこれらの混合物が用いられる。
【0014】EVOHを含む層を少なくとも1層有する樹脂層と繊維層の接合方法としては、熱あるいは接着剤などによる接合が挙げられる。この際、得られる複合材料の風合を低下させないために3〜50g/m程度の範囲内で、スプレー状あるいは粉末状に塗布されたホットメルト樹脂などで接着するのが有利である。また、接着面積率が5〜30%程度である超音波接合や熱エンボス接合も使用可能である。
【0015】このようにして得られた複合体は、好ましくは樹脂層側が表側、すなわち身体より遠い側となるように、防護服などの防護衣料に縫製加工される。特に樹脂層としてEVOHフィルムとポリオレフィン系樹脂層とからなる積層フィルムを用いる場合は、ポリオレフィン系樹脂を表側とすることにより接合をスムーズに行えるのでより好ましい。ただしミシン等を用いる縫製は縫目の間やミシンの針穴を通して化学物質が透過するので好ましくない。本発明では、熱や超音波あるいは接着剤などを用いた接合による縫製、中でも超音波ミシンによる連続的な接合は効率的な作業が可能な点から好ましい。特に、樹脂層側同士を重ね合わせて接合することが化学薬品の透過を防ぐ上で好ましい。すなわち化学薬品の透過を防ぐためには接合部分からの化学薬品の透過を防ぐことは極めて重要であり、かかる観点からも樹脂層面同士を重ねて接合することは極めて有効である。樹脂層面と繊維層面と重ね合わせた接合や繊維層面同士の接合は接合面に微細なすき間ができやすく、そのすき間を通して化学薬品が透過する場合がある。
【0016】ただし、従来のように連続パターンで充分な接合強度が得られる程度に接合すると接合部分が固くなり着用感を損なうおそれがある。そこで、本発明においては、連続パターンと不連続パターンとが並列になっている超音波ミシンによりシールすることによって、シール部が固くなることがなく充分な接合強力が得られ、その上化学物質の透過を防ぐことのできる化学防護衣料を得ることができる。
【0017】次に、本発明の防護衣料の接合部分を添付図面に従って説明する。図1、図2及び図3は、それぞれ本発明において使用される超音波ミシンのパターンの異なる例を示す模式図であって、各図において、符号1は連続パターン、2は不連続パターンを示し、この1と2は流れ方向に沿って並列に走っている。接合部分においてはこのパターンのとおり、すなわち図の斜線部分が超音波によって融着されている。連続パターンと不連続パターンは図1のように2列に配列されてもよく、また図2や図3のように3列さらに多列に配列されてもよい。連続パターンの融着部分、すなわち図における斜線部分の巾は0.01〜3mmの範囲が好ましく、特に0.05〜0.5mmの範囲が好ましい。この巾が0.01mm未満では化学物質の透過を防ぐのに充分ではなく、反対に3mmを超えると接合部分が固くなり着用感を阻害することがある。
【0018】一方、不連続パターンの巾は0.1〜5mm程度、長さは0.5〜1.5mm程度であり、また、不連続部分すなわち融着していない部分の長さは0.5〜1.0mm程度である。これらの数値の範囲外である場合は必要な接合強度が得られにくく、また接合部分の風合の低下をきたすおそれがある。不連続パターンの巾は連続パターンの巾よりも大きい方が効果的である。
【0019】
【実施例】次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。なお、各例における耐薬品透過性は、以下に示す方法に従って評価した。
<耐薬品透過性>JIS T 8115:1998に準拠して耐薬品透過性を評価した。まずテストセルの中間に試験片を装着し、試験片に対して上方セル隔室と下方セル隔室の二つの隔室を作った。次に上方セル隔室に試験液を規定量流入させ、試験片を透過した気体又は液体を上下セル隔室から採取する。試験液を上方セル隔室に入れた時点から経時的に採取濃度をグラフ化し破過時間と透過質量を求め、下記の等級に従って耐透過性を評価した。
【0020】耐透過性等級 破過時間(分)
6 480以上5 240以上4 120以上3 60以上2 30以上1 10以上【0021】実施例1エチレン−ビニルアルコール系共重合体(クラレ社製、「エバール」(銘柄F101、エチレン共重合比率32モル%、融点183℃)を中心層とし、両サイドに低密度ポリエチレン層、EVOH層と低密度ポリエチレン層の間にそれぞれ変性ポリエチレン(三井化学社製「アドマー」)の層を配置して共押出しを行い、厚み69μmの5層の積層フィルムを得た。なお、EVOH層の厚みは15μm、両サイドの低密度ポリエチレン層の厚みはそれぞれ20μm、中間の変性ポリエチレン層の厚みはそれぞれ7μmとなるように押出し条件を調整した。また、該積層フィルムの片面にはコロナ処理を施した。他方、微多孔を有し、20μm(目付18g/m2 )の厚みを有するポリエチレンフィルムの両サイドにそれぞれ親水性油剤を塗布した目付20g/m2、厚さ0.2mmのポリプロピレンスパンボンド不織布を熱エンボスにより積層し、不織布複合体を得た。得られた不織布複合体と上記積層フィルムとの接着は、EVA系ホットメルトレジン(東京インキ製)をメルトブローン方式により、7g/m2の割合で吹きつけて行い、複合材料を得た。
【0022】この複合材料を用いてフィルムが外側となるようにしてワンピース形(カバーオール形)化学防護服を製造した。各部の接合はフィルム側同士を図3に示されたパターンを有する超音波ミシンによって行った。連続パターンの巾は0.4mmであり、不連続パターンの融着部分の巾は1mm、長さは2mmであり、不連続部分の長さは1.5mmであった。また連続パターンと不連続パターンとの間は0.5mmであった。
【0023】化学防護服のファスナー部分は、本発明の複合材料で覆われるように設計され、その片側は両面接着テープでとめられ、化学物質の滲入がないように設置した。得られた化学防護服は複合部における引張強さ(JIS L1093準拠、グラブ法にて測定)は39.5Nと充分であり、風合も良く、接合部も含めた透過性試験ではクロロホルム、アセトニトリル、アセトン、酢酸エチル、ジエチルアミン、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、水酸化ナトリウム50質量%水溶液、テトラクロロエチレン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン、二硫化炭素、ノルマルヘキサンなど広範な薬品に対して前述の5等級以上の耐透過性を示した。また、JIS T8115附属書2に示されている方法に準拠して耐浸透性を測定したところ、50質量%水酸化ナトリウム水溶液、30質量%塩化カリウム水溶液および93.1質量%硫酸溶液に対して浸透が全く認められなかった。
【0024】比較例1実施例1において、EVOHの代わりに低密度ポリエチレンフィルムを用い、かつ変性ポリエチレンを用いずに厚み55μmを有する3層積層フィルムを製造し、実施例1と同様に化学防護服を製造した。得られた化学防護服は、しなやかな風合を示したが、実施例1に示した薬品から代表的に選んだジクロロメタン及びトルエンに対して、それぞれ3等級以下の破過時間しか示さなかった。
【0025】実施例2K−コート(ポリ塩化ビニリデンコート)ナイロン、エチレン−ビニルアルコール系共重合体(クラレ社製、「エバール」銘柄H101、エチレン共重合比率38モル%、融点175℃)、変性ポリエチレン(三井化学社製「アドマー」)及びポリエチレン(LLDPE)の順に配置し、それぞれ25μm、15μm、10μm及び20μmとなるように条件設定し、4層からなる積層フィルムを製造した。また、1.7dTexのレーヨン繊維60質量%と芯がポリプロピレン、鞘がポリエチレンからなる2.2dTexの複合繊維40質量%からなるクロスレイドウェブを製造し、高圧水流(最高圧力6.9MPa)によって絡合させたのち、乾燥熱処理し、目付70g/m2 、タテ、ヨコ強力がそれぞれ68.6N/5cm、58.8N/5cm、厚み0.50mmの不織布を得た。
【0026】このようにして得られた積層フィルムと不織布とを、実施例1と同様にして積層フィルムのK−コートナイロン側と不織布とを接着して複合材料を得た。この複合材料を用いて、ポリエチレン側を超音波ミシンによって接合し、実施例1と同様の方法で化学防護服を製造した。得られた化学防護服は実施例1と同様、優れた風合と耐化学薬品透過性を示した。また、得られた化学防護服は、実施例1で示された薬品の他にメタノールやエタノールに対しても6等級の耐薬品透過性を示した。
【0027】比較例2実施例2においてEVOHの代わりにナイロン6フィルムを用いた以外は、実施例2と同様に化学防護服を製造した。得られた化学防護服は比較例1と同様ジクロロメタン及びトルエンに対して、それぞれ3等級の破過時間しか示さなかった。
【0028】実施例3エチレン−ビニルアルコール系共重合体(クラレ社製、「エバール」(銘柄F101、エチレン共重合比率32モル%、融点183℃)を中心層とし、両サイドに低密度ポリエチレン層を配置して三層の共押出しを行い、厚み50μmの積層フィルムを得た。EVOH層の厚みは16μm、両サイドの低密度ポリエチレン層の厚みはそれぞれ17μmとなるように押出し条件を調整した。他方、微多孔を有し、20μm(目付18g/m2 )の厚みを有するポリエチレンフィルムの両サイドにそれぞれ目付20g/m2、厚さ0.2mmを有するポリプロピレンスパンボンドを積層した。なお接着は、EVA系ホットメルトレジン(東京インキ製)をメルトブローン方式により、7g/m2の割合で吹きつけて行った。合計目付は72g/m2となる。
【0029】このようにして得られた厚み50μmのフィルムと目付7g/m2の不織布積層物を上記と同じメルトブローン方式によりほぼ同じ条件で接着し、複合材料を得た。この複合材料を用いて、実施例1と同様な方法で化学防護服を製造した。得られた化学防護服は複合部の強力も充分であり、風合も良く、接合部も含めた透過性試験ではクロロホルム、アセトニトリル、アセトン、酢酸エチル、ジエチルアミン、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、水酸化ナトリウム50質量%水溶液、テトラクロロエチレン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン、二硫化炭素、ノルマルヘキサン、メタノール、硫酸93質量%溶液など広範な薬品に対して前述の5等級以上の耐透過性を示した。
【0030】実施例4エチレン−ビニルアルコール系共重合体(クラレ社製、「エバール」銘柄H101、エチレン共重合比率38モル%、融点175℃)、6ナイロン、変性ポリエチレン(三井化学社製「アドマー」)及びポリエチレン(LLDPE)の順に配置し、それぞれ30μm、15μm、15μm及び20μmとなるように条件設定し、4層からなる積層フィルムを製造した。また、1.7dTexのレーヨン繊維60質量%と芯がポリプロピレン、鞘がポリエチレンからなる2.2dTexの複合繊維40質量%からなるクロスレイドウェブを製造し、高圧水流(最高圧力6.9MPa)によって絡合させたのち、乾燥熱処理し、目付70g/m2 、タテ、ヨコ強力がそれぞれ68.6N/5cm、58.8N/5cm、厚み0.50mmの不織布を得た。このようにして得られたフィルムと不織布とを、厚み22μmの低密度ポリエチレンをフィルムのEVOH側と不織布との間に連続的に溶融押出ししながら接着し、複合材料を作製した。この複合材料を用いて、実施例1と同様の方法で化学防護服を製造した。得られた化学防護服は実施例3と同様、優れた風合と耐化学薬品透過性を示した。
【0031】比較例3実施例4においてEVOHの代わりにナイロン6フィルムを用いた以外は、実施例4と同様に化学防護服を製造した。得られた化学防護服は比較例1と同様ジクロロメタン及びトルエンに対して、それぞれ3等級の破過時間しか示さなかった。
【0032】実施例5実施例1で得られた合計5層の積層フィルムにK−コートナイロンフィルム(ポリ塩化ビニリデンコート厚み10μm、総厚み25μm)をドライラミネート法にてラミネートし、6層構造を有する積層フィルムを得た。得られた積層フィルムと目付40g/m2のポリプロピレンスパンボンド不織布(旭化成社製エルタスアクアPA3040)の間に5g/m2の湿気硬化型ポリウレタン系樹脂を配し、ノードソン社製ポーラスコートシステム機を用いてラミネートし複合材料を得た。得られた複合材料を用いて実施例1と同様に化学防護服を製造した。得られた化学防護服は、実施例1で示された薬品に加え、メタノール、エタノール等のアルコール類に対しても5等級以上の優れた耐透過性を示した。
【0033】
【発明の効果】本発明の防護衣料は、各種有害化学薬品に対する耐透過性に優れた特徴を有し、防護服などとして極めて有用なものである。
【出願人】 【識別番号】000001085
【氏名又は名称】株式会社クラレ
【住所又は居所】岡山県倉敷市酒津1621番地
【識別番号】301000871
【氏名又は名称】株式会社メディテック ジャパン
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区瓦町1丁目5番1号
【出願日】 平成15年2月13日(2003.2.13)
【代理人】 【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保
【公開番号】 特開2003−306816(P2003−306816A)
【公開日】 平成15年10月31日(2003.10.31)
【出願番号】 特願2003−34473(P2003−34473)