トップ :: A 生活必需品 :: A41 衣類




【発明の名称】 使捨用手袋及びその製造方法
【発明者】 【氏名】辻 孝弘
【住所又は居所】大阪府大阪市東淀川区上新庄1丁目2番5号 恵和株式会社内

【要約】 【課題】優れた溶解性、離解性又は分散性によって例えば水洗トイレ等に直接流すことができ、かつ、廃棄時までは優れた防水性を有する使捨用手袋及びその製造方法の提供を目的とするものである。

【解決手段】複数の樹脂シート片(手の平被覆用の樹脂シート片2及び手の甲被覆用の樹脂シート片3)が手袋状に接合された使捨用手袋1であって、この樹脂シート片2、3が(a)樹脂マトリックス6中に充填剤7を含有する外面側の耐水樹脂層5と(b)水溶性又は水離解性を有する内面側の樹脂フィルム4とを備え、複数の樹脂シート片2、3が接合部で内側に折り返され、外面側の耐水樹脂層5同士で接合されていることを特徴とするものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の樹脂シート片が手袋状に接合された使捨用手袋であって、この樹脂シート片が、樹脂マトリックス中に充填剤を含有する外面側の耐水樹脂層と、水溶性又は水離解性を有する内面側の樹脂フィルムとを備え、複数の樹脂シート片が接合部で内側に折り返され、外面側の耐水樹脂層同士で接合されていることを特徴とする使捨用手袋。
【請求項2】 上記複数の樹脂シート片が、手の甲被覆用の樹脂シート片及び手の平被覆用の樹脂シート片からなる請求項1に記載の使捨用手袋。
【請求項3】 上記樹脂フィルムの形成材料としてポリビニルアルコールが用いられている請求項1又は請求項2に記載の使捨用手袋。
【請求項4】 上記耐水樹脂層の形成材料として生分解性樹脂が用いられている請求項1、請求項2又は請求項3に記載の使捨用手袋。
【請求項5】 上記充填剤として生分解性樹脂製の充填剤が用いられている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の使捨用手袋。
【請求項6】 上記充填剤の平均粒子径が耐水樹脂層の厚みの30%以上100%以下である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の使捨用手袋。
【請求項7】 上記樹脂シート片が、樹脂フィルムの内面側にさらに耐水樹脂層を備えている請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の使捨用手袋。
【請求項8】 水溶性又は水離解性を有する樹脂フィルムと、樹脂マトリックス中に充填剤を含有する耐水樹脂層とを備える樹脂シートを手形状に裁断し、手の甲被覆用の樹脂シート片と手の平被覆用の樹脂シート片とを形成する裁断行程と、これらの手の甲被覆用の樹脂シート片と手の平被覆用の樹脂シート片とを互いの耐水樹脂層が接面するよう重ね、これらの耐水樹脂層の外縁部を接合する接合行程と、接合された手の甲被覆用の樹脂シート片及び手の平被覆用の樹脂シート片の内側と外側とを反転させる裏返し行程とを有する使捨用手袋の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水溶性、水離解性又は水分散性を有し、ペット等の糞尿処理に好適な使捨用手袋及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】糞尿等の汚物を処理するための使捨用袋(又は手袋)は、今日、ペット等の糞尿処理、簡易トイレ、人工肛門からの排泄物の貯納、介護分野における汚物処理などに広く使用されている。かかる使捨用袋の材料としては、従来、ポリエチレン等の合成樹脂フィルムが用いられている。そのため、これらの使捨用袋は、使用後、焼却処分又は埋立処分による廃棄処理が行われており、環境負荷の大きいものである。
【0003】かかる環境負荷を低減すべく、耐水性及び生分解性を有する耐水樹脂層及び水溶性又は水分解性を有する樹脂フィルムの2層で構成される樹脂シートを用い、この樹脂シートを袋状に成形した使捨用袋が開発されている(特開平4−328616号等公報参照)。この使捨用袋は、耐水樹脂層の耐水性によって糞尿等の汚物の貯納が可能であり、さらに水洗トイレ等に投棄すると、樹脂フィルムが水に溶解又は離解し、耐水樹脂層が微生物によって生分解されるよう構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の使捨用袋は、上述のように溶解、離解及び生分解されるため焼却、埋立等の廃棄処理が不要になるが、耐水樹脂層の微生物による生分解には長時間を要する。従って、この使捨用袋を水洗トイレ等に投棄すると、樹脂フィルムが溶解又は離解しても耐水樹脂層が残存し、トイレ配管、下水道、下水処理施設等において詰まり等の不都合が発生するおそれがある。
【0005】また、上記従来の使捨用袋10は、詳細には図3に示すように、耐水樹脂層11を外側に、樹脂フィルム12を内側に位置するように樹脂シートを重ね、積層された樹脂フィルム12の外縁部をヒートシール等の手段で袋状に接合することで形成しておき、袋内に手を入れてペットの糞等の汚物を把持し、把持した状態で内側と外側とを反転させる(つまり裏返す)ことで汚物を内側の耐水樹脂層11内に収納するのが便利である。
【0006】しかし、上記従来の使捨用袋10は、接合端面に水溶性又は水分解性を有する樹脂フィルム12が露出しているため、端面に水分が付着すると、樹脂フィルム12が溶解又は分解して容易に開口が形成され、汚物処理に必要な防水性の確保が困難である。特に、上述のように反転させて内部に汚物を収納した状態では、樹脂フィルム12が露出した接合端面が袋の内側に配設されるため、樹脂フィルム12が収納した汚物と接触し、容易に溶解又は分解してしまうという不都合がある。
【0007】本発明はこれらの不都合に鑑みてなされたものであり、優れた溶解性、離解性又は分散性によって例えば水洗トイレ等に直接流すことができ、かつ、廃棄時までは優れた防水性を有する使捨用手袋及びその製造方法の提供を目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するためになされた発明は、複数の樹脂シート片が手袋状に接合された使捨用手袋であって、この樹脂シート片が(a)樹脂マトリックス中に充填剤を含有する外面側の耐水樹脂層と(b)水溶性又は水離解性を有する内面側の樹脂フィルムとを備え、複数の樹脂シート片が接合部で内側に折り返され、外面側の耐水樹脂層同士で接合されていることを特徴とするものである。
【0009】当該使捨用手袋の構成材料である樹脂シート片の樹脂フィルムは、水溶性又は水離解性を有するため、水中へ浸積することで水中に溶解又は離解する。一方、この樹脂シート片の耐水樹脂層は、樹脂マトリックス中に充填剤を含有することから、水中へ浸積し、流水、撹拌等によって外的応力を付加することで離解又は分散する。そのため、当該使捨用手袋は、例えば水洗トイレ等に流すことで、全体が溶解、離解又は分解し、焼却、埋立等の廃棄処理を回避することができる。
【0010】また、当該使捨用手袋によれば、外面側の耐水樹脂層によって防水性を有するため、例えば糞尿等の水分を含む汚物を把持し、この状態で反転させることで汚物を内部に収納することができる。さらに、当該使捨用手袋は、構成材料である複数の樹脂シート片が接合部で内側に折り返され、外面側の耐水樹脂層同士で接合されていることから、接合端面に樹脂フィルムが露出していない。そのため、汚物処理時に当該使捨用手袋の外面(収納時には反転して内面となる)に水分が接触しても、上記従来の使捨用袋のように開口が生じてしまうことが防止され、廃棄時まで優れた防水性を発揮することができる。
【0011】上記複数の樹脂シート片を、手の甲被覆用の樹脂シート片及び手の平被覆用の樹脂シート片から構成するとよい。かかる手の甲被覆用の樹脂シート片及び手の平被覆用の樹脂シート片を用いることで、最も部品点数が少なくかつ容易に当該使捨用手袋を形成することができる。
【0012】上記樹脂フィルムの形成材料としては、溶解性及び溶解後の安全性が高いポリビニルアルコールを用いるとよい。
【0013】上記耐水樹脂層の形成材料としては生分解性樹脂を用いるとよい。上述のように耐水樹脂層が水中で離解又は分解した後に、例えば流された下水処理施設等において生分解され、環境負荷を格段に低減することができる。
【0014】上記充填剤としても生分解性樹脂製の充填剤を用いるとよい。このように生分解性樹脂製の充填剤を用いることで、耐水樹脂層の離解又は分解後に、充填剤をも生分解されるため、環境負荷の低減化を促進することができる。
【0015】上記充填剤の平均粒子径としては耐水樹脂層の厚みの30%以上100%以下が好ましい。このように、耐水樹脂層に含有する充填剤の平均粒子径を上記範囲とすることで、耐水樹脂層の防水性を維持しつつ、水中での外的応力付加時の離解又は分解性を促進することができる。
【0016】上記樹脂シート片としては、樹脂フィルムの内面側にさらに耐水樹脂層を備えるとよい。このように、樹脂フィルムの上下両面に耐水樹脂層が積層された樹脂シート片を用いると、防水性が向上し、ひいては取扱性が向上する。
【0017】また、上記課題を解決するためになされた別の発明は、(A)(a)水溶性又は水離解性を有する樹脂フィルムと(b)樹脂マトリックス中に充填剤を含有する耐水樹脂層とを備える樹脂シートを手形状に裁断し、手の甲被覆用の樹脂シート片と手の平被覆用の樹脂シート片とを形成する裁断行程と、(B)これらの手の甲被覆用の樹脂シート片と手の平被覆用の樹脂シート片とを互いの耐水樹脂層が接面するよう重ね、これらの耐水樹脂層の外縁部(手挿入部を除く外縁部を意味する)を接合する接合行程と、(C)接合された手の甲被覆用の樹脂シート片及び手の平被覆用の樹脂シート片の内側と外側とを反転させる裏返し行程とを有する使捨用手袋の製造方法である。
【0018】当該使捨用手袋の製造方法によれば、裁断行程、接合行程及び裏返し行程を経ることで、接合部で樹脂シート片が内側に折り返され、外面側の耐水樹脂層同士で接合された当該使捨用手袋を容易に製造することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、適宜図面を参照しつつ本発明の実施の形態を詳説する。図1(a)は本発明の一実施形態に係る使捨用手袋を示す平面図、図1(b)は図1(a)の使捨用手袋の接合部を示す模式的部分端面図、図2(a)及び(b)は図1の使捨用手袋の製造方法を説明する模式的斜視図である。
【0020】図1の使捨用手袋1は、手形状(人の手が挿入できる形状)に形成された手の甲被覆用の樹脂シート片2と、この樹脂シート片2と略同一形状に形成された手の平被覆用の樹脂シート片3とから構成されている。これらの樹脂シート片2、3は、重ねられ、手挿入部8以外の外縁部9で接合されている。これらの樹脂シート片2、3は、同様の構造を有しており、具体的には外面側(手袋の外面側)の耐水樹脂層5と内面側(手袋の内面側)の樹脂フィルム4とを備えている。
【0021】樹脂フィルム4は、水溶性又は水離解性を有するものであり、強度等を考慮して多層構造とすることも可能である。この樹脂フィルム4の形成材料としては、水溶性又は水離解性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えばポリビニルアルコール等の水溶性樹脂が用いられ、その他にワックスエマルジョン、樹脂エマルジョン、合成ゴム系ラテックス、これらの混合物なども用いられる。中でも、高い水溶性又は水離解性を有し、溶解又は離解前に高い強度及び内容物の保護性を有する水溶性樹脂が好適に用いられ、特に優れた水溶性又は水離解性を有し、かつ、溶解又は離解後において環境等に対する安全性を有するポリビニルアルコールが好ましい。
【0022】上記ポリビニルアルコールの具体例としては、例えば部分ケン化ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体などが挙げられる。この部分ケン化ポリビニルアルコールのケン化度の下限としては75モル%、特に80モル%が好ましく、このケン化度の上限としては98モル%、特に95モル%が好ましい。ケン化度をこの範囲とすることで優れた水溶性を発揮することができる。また、この部分ケン化ポリビニルアルコールの重合度の下限としては300、特に500が好ましく、この重合度の上限としては3000、特に2000が好ましい。これは、部分ケン化ポリビニルアルコールの重合度が上記下限より小さいと、成形後のフィルム強度が小さくなり、逆に、重合度が上記上限を超えると、溶解又は離解が完了するまでの時間が長くなることからである。
【0023】上記ポリビニルアルコール誘導体としては、(a)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、酢酸アリル等の不飽和カルボン酸と酢酸ビニルとの共重合体のケン化物、(b)無水コハク酸、無水フタル酸、無水マレイン酸等の酸無水物によるエステル化物などが挙げられる。
【0024】上記合成ゴム系ラテックスとしては、具体的には、スチレンブタジエンラテックス、メタクリレートブタジエンラテックス、アクリルニトリルブタジエンラテックスなどが挙げられるが、耐水性が良好で、伸びがよく折割れによる亀裂が生じにくいスチレンブタジエンラテックスが好適である。
【0025】上記アクリル系エマルジョンとしては、具体的には、スチレンおよびスチレン誘導体、アクリル酸(メタクリル酸)、アクリル酸(メタクリル酸)エステル等を共重合したアクリルコポリマー、アクリル−スチレンコポリマー等の共重合体系を用いることができる。
【0026】なお、この樹脂フィルム4の形成材料には、上記基材ポリマーに加えて、例えばその他の樹脂、炭化水素系オリゴマー、界面活性剤、可塑剤、スリップ剤、分散剤、安定剤、着色剤、顔料、芳香剤等を適宜配合することができる。
【0027】樹脂フィルム4の厚みは、特に限定されるものではなく、当該使捨用手袋1の使用目的、用いられる形成材料等に応じて適宜決定することができる。例えば、当該使捨用手袋1をペットの糞処理袋、簡易トイレの内袋等の使捨用袋などに使用する場合、樹脂フィルム4の厚みの下限としては10μm、特に25μmが好ましく、その厚みの上限としては150μm、特に120μmが好ましい。これは、樹脂フィルム4の厚みが上記下限より小さいと、包装材としての強度が不足するおそれがあり、逆に、上記上限を超えると、水中への浸積後溶解又は離解するまでの時間がかかることからである。
【0028】樹脂フィルム4の形成方法としては、特に限定されるものではなく、上記形成材料に応じて好適な公知の方法が採用される。一般的には、(a)溶融合成樹脂をフィルム状に押し出すTダイ法、インフレーション法等の押出成形や、(b)溶剤で溶解した合成樹脂をステンレスベルト等の板状型に流し、溶剤を乾燥させるキャスティングなどによって製造される。
【0029】耐水樹脂層5は、耐水性を有する樹脂マトリックス6と、この樹脂マトリックス6中に含有する充填剤7とを有している。かかる耐水樹脂層5は、水中へ浸積し、加えて流水、撹拌等によって外的応力を付加することで、樹脂マトリックス6と充填剤7との界面で容易に裂け、比較的細かく離解又は分散する。
【0030】耐水樹脂層5の厚みは、特に限定されるものではなく、当該使捨用手袋1の使用用途、当該層の形成材料の物性等を考慮して適宜決定することができる。例えば、当該使捨用手袋1をペットの糞処理袋、簡易トイレの内袋等の汚物処理袋などに使用する場合、耐水樹脂層5の厚みの下限としては1μm、特に5μmが好ましく、耐水樹脂層5の厚みの上限としては100μm、特に60μmが好ましい。これは、耐水樹脂層5の厚みが上記下限より小さいと、防水性が低下するおそれがあり、逆に、上記上限を超えると、不経済になるばかりであり、上述のように生分解性樹脂を用いた場合には生分解されるのに時間がかかり過ぎることからである。
【0031】樹脂マトリックス6はポリマー組成物から形成されている。このポリマー組成物の基材ポリマーとしては、特に限定されるものではなく、例えばアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミドイミド、エポキシ系樹脂、セルロース系樹脂等を用いることができる。中でも、基材ポリマーとしては生分解性樹脂が好ましい。かかる生分解性樹脂から耐水樹脂層5を形成すると、耐水樹脂層5が生分解され、耐水樹脂層5によるゴミの発生や下水道等の詰まりの発生を防止することができる。
【0032】上記生分解性樹脂は、脂肪族ポリエステル等の合成生分解性樹脂と天然生分解性樹脂とに大別される。この脂肪族ポリエステルとしては、例えばポリヒドロキシ酢酸、ポリラクタイド、ポリプロピオラクトン、ポリ3−ホドロキシブチレート、ポリε−カプロラクトン、ポリピバラクトン、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンアゼテート、ポリエチレンスベレート、3ヒドロキシブチレート−3ヒドロキシバリレート共重合体などが挙げられる。また、上記天然生分解性樹脂としては、例えばシェラック、ダンマル、キサンタンガム、キトサン、コラーゲン、セルロース誘導体などが挙げられる。
【0033】なお、耐水樹脂層5の樹脂マトリックス6を形成するためのポリマー組成物には、上記基材ポリマーの他に、例えば可塑剤、安定化剤、劣化防止剤、分散剤、界面活性剤、スリップ剤、着色剤、顔料、芳香剤等が配合されてもよい。
【0034】充填剤7には、無機フィラー及び有機フィラーがある。この無機フィラーとしては、具体的にはシリカ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫化バリウム、マグネシウムシリケート、又はこれらの混合物を用いることができる。また、有機フィラーの具体的な材料としては、例えばアクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等を用いることができる。特に、この充填剤7として生分解性樹脂製のものを用いるとよく、上述のように樹脂マトリックス6の基材ポリマーに生分解性樹脂を用いることと相まって、耐水樹脂層5の全てが離解又は分解後に生分解され、環境負荷の低減化をより一層促進することができる。
【0035】充填剤7の形状としては、特に限定されるものではなく、例えば球状、粒状、立方状、針状、棒状、紡錘形状、板状、鱗片状、繊維状などが挙げられ、中でも耐水樹脂層5の離解又は分散性に優れる球状が好ましい。
【0036】充填剤7の平均粒子径の下限としては耐水樹脂層5の厚みの30%、特に50%、さらに60%が好ましく、上記平均粒子径の上限としては耐水樹脂層5の厚みの100%、特に90%、さらに80%が好ましい。これは、充填剤7の平均粒子径が上記下限より小さいと、充填剤7による耐水樹脂層5の離解又は分散作用が低減するおそれがあり、逆に、上記平均粒子径が上記上限を越えると、充填剤7が耐水樹脂層5の表面から突出し、耐水樹脂層5の防水性が低下するおそれがあることからである。
【0037】樹脂マトリックス6を形成する上記ポリマー組成物の基材ポリマー100部に対する充填剤7の配合量の下限としては10部、特に25部、さらに50部が好ましく、上記配合量の上限としては500部、特に300部、さらに200部が好ましい。これは、充填剤7の配合量が上記下限より小さいと、充填剤7による耐水樹脂層5の離解又は分散作用が低減するおそれがあり、逆に、充填剤7の配合量が上記上限を越えると、耐水樹脂層5の防水性が低下するおそれがあることからである。
【0038】上記耐水樹脂層5の形成方法としては、樹脂フィルム4の表面に耐水樹脂層5が積層できれば特に限定されないが、一般的には塗工等の手段が採用される。耐水樹脂層5を塗工により形成する方法としては、具体的には、樹脂マトリックス6を構成するポリマー組成物に充填剤7を混合することで塗工液を製造する工程と、この塗工液を樹脂フィルム4の表面に塗工することで耐水樹脂層5を積層する工程とからなる。
【0039】上記構造の樹脂シート片2、3の外縁部9は、図1(b)に示すように、互いに内側に折り返され、外面側の互いの耐水樹脂層5同士で接合されている。従って、当該使捨用手袋1の外面には水溶性又は水理解性を有する樹脂フィルム4が一切露出していない。そのため、当該使捨用手袋1の外面に水分が付着しても、樹脂フィルム4の溶解等による開口が防止され、例えば糞尿等の水分を含む汚物を把持し、反転させて内部に収容することができる。一方、廃棄時には、当該使捨用手袋1は、水中への浸積によって樹脂フィルム4が溶解又は離解し、水中への浸積及び流水、撹拌等による外的応力の付加によって耐水樹脂層5が離解又は分散する。
【0040】次に、当該使捨用手袋1の製造方法を図2に従って説明する。当該使捨用手袋1の製造方法としては、上記構造の使捨用手袋1の製造が可能であれば特に限定されるものではないが、裁断行程、接合行程及び裏返し行程を有する製法が好適である。
【0041】この裁断行程において、水溶性又は水離解性を有する樹脂フィルム4と、樹脂マトリックス6中に充填剤7を含有する耐水樹脂層5とを備える樹脂シートを用い、図2(a)に示すように、この樹脂シートを略同一形状の手形状に裁断し、手の甲被覆用の樹脂シート片2と手の平被覆用の樹脂シート片3とを形成する。この裁断方法としては、特に限定されず、シートを裁断するための公知の手段が採用される。
【0042】接合行程において、図2(b)に示すように、手の甲被覆用の樹脂シート片2と手の平被覆用の樹脂シート片3とを互いの耐水樹脂層5が接面するよう重ね、これらの耐水樹脂層5の外縁部を接合する。この接合手段としては、特に限定されず、接着剤による接合やヒートシールなどが可能である。但し、当該使捨用手袋1の分解性、溶解性等の弊害にならないヒートシールが好ましい。
【0043】裏返し行程において、接合された手の甲被覆用の樹脂シート片2及び手の平被覆用の樹脂シート片3の内側と外側とを反転させる。
【0044】当該製造方法は、換言すると、樹脂シート片2、3の外縁部9をいわゆる中表で接合しておき、樹脂シート片2、3を裏返すものである。当該製造方法によれば、上述のように中表で接合するという簡易な方法で、樹脂シート片2、3の外面側の互いの耐水樹脂層5同士で接合された接合部を形成することができる。
【0045】なお、本発明の使捨用手袋及びその製造方法は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、使捨用手袋の構成材料としては、手の甲被覆用の樹脂シート片2及び手の平被覆用の樹脂シート片3に限定されず、複数の樹脂シート片を用いて手袋状に接合した使捨用手袋も可能である。また、樹脂シート片としては、樹脂フィルム4の内面側にさらに耐水樹脂層5が積層されたものを用いることができる。このように、樹脂フィルム4の表面に耐水樹脂層5が積層された樹脂シート片を用いることで、防水性が向上し、ひいては取扱性が向上する。
【0046】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0047】[実施例]厚さ100μmのポリビニルアルコール製の樹脂フィルムの表面に、アクリル系樹脂中に充填剤を含有する耐水樹脂層が積層された樹脂シートを用い、上記裁断行程、ヒートシールによる接合行程及び裏返し行程を経ることで実施例の使捨用手袋を得た。
【0048】[比較例]上記実施例の樹脂シートを用い、上記裁断行程を経ることで、手の甲被覆用の樹脂シート片及び手の平被覆用の樹脂シート片を形成し、これらの樹脂シート片を互いの樹脂フィルムが接面するよう重ね、樹脂フィルムの外縁部をヒートシールすることで比較例の使捨用手袋を得た。
【0049】[特性の評価]上記実施例の使捨用手袋及び比較例の使捨用手袋を用い、これらの使捨用手袋の手挿入部以外の先側部分を水中に浸漬し、内部に水が浸透するまでの時間を測定した。その結果、実施例の使捨用手袋は6時間以上水が浸透しなかったが、比較例の使捨用手袋は5秒以内に水が浸透した。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の使捨用手袋によれば、全体が溶解、離解又は分解されるため、例えば水洗トイレ等に直接流すことができ、環境に優しいものとなる。また、廃棄時までは優れた防水性を有し、ペットの糞尿等の水分を含む汚物の処理を容易かつ確実に行うことができる。一方、本発明の使捨用手袋の製造方法によれば、本発明の使捨用手袋を容易に製造することができる。
【出願人】 【識別番号】000165088
【氏名又は名称】恵和株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市東淀川区上新庄1丁目2番5号
【出願日】 平成14年3月25日(2002.3.25)
【代理人】 【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規 (外1名)
【公開番号】 特開2003−278016(P2003−278016A)
【公開日】 平成15年10月2日(2003.10.2)
【出願番号】 特願2002−82664(P2002−82664)