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【発明の名称】 サポート型手袋
【発明者】 【氏名】越智 敦子
【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号 住友ゴム工業株式会社内

【要約】 【課題】手袋の内部での手の滑り易さが適度に調節されており、手袋の着脱性が良好である一方で、手袋を装着した状態で手が滑りにくくて把持性が良好であり、しかもフィット感、作業性および断熱性に優れ、蒸れや袖部のたれを防止することのできるサポート型手袋を提供する。

【解決手段】綿番手単糸1本取り換算で5〜80番手の糸を用いて編成してなる、編目の数が1平方インチ当たり10〜2000である編手袋12と、当該編手袋の外表面12aに設けられてなる弾性体皮膜11と、を備え、弾性体皮膜11が編手袋の内表面12bに現出している箇所の総面積が、当該皮膜11が設けられている領域の全面積に対して10〜90%であるサポート型手袋。
【特許請求の範囲】
【請求項1】綿番手単糸1本取り換算で5〜80番手の糸を用いて編成してなる、編目の数が1平方インチ当たり10〜2000である編手袋と、当該編手袋の外表面に設けられてなる弾性体の皮膜と、を備えており、当該皮膜が編手袋の内表面に現出している箇所の総面積が、当該皮膜が設けられている領域の全面積に対して10〜90%であるサポート型手袋。
【請求項2】上記弾性体が天然ゴムまたは脱蛋白天然ゴムである請求項1記載のサポート型手袋。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は裏地を備える弾性体製の手袋に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】ゴム製または樹脂製の手袋には、編成された手袋や縫製の手袋を裏地として有するいわゆるサポート型のものと、裏地を有しないいわゆるノンサポート型のものとがある。このうち、サポート型手袋はノンサポート型手袋に比べて強度が大きいことから、種々の重・軽作業用の手袋として用いられる。サポート型手袋の裏地には、厚みが均一で外観が良好な皮膜を形成するという観点から、シームレスの編手袋が好んで用いられている。さらに、吸汗性と装着性の観点から、編手袋の素材には綿糸が好んで用いられている。
【0003】しかし、編手袋の外表面には、弾性体の皮膜が設けられることによって編手袋単体に比べてモジュラスが高くなることから、たとえ本来、吸汗性や装着性に優れていたとしても、サポート型手袋全体としての吸汗性や装着性、さらにはフィット感や作業性までもが低下することは避けられない。また、通常のサポート型手袋は、手袋の内表面(すなわち、掌と接する面)の全面にわたって裏地があり、当該内表面には弾性体の皮膜が現れていないことから、着脱性は良好であるものの、手袋の内部で手が滑り易い。それゆえ、手袋を装着した状態で作業をするときに不都合が生じるという問題がある。
【0004】そこで、本発明の目的は、手袋の内部での手の滑り易さが適度に調節されており、手袋の着脱性が良好である一方で、手袋を装着した状態で手が滑りにくくて把持性が良好であり、しかもフィット感、作業性および断熱性に優れ、蒸れや袖部のたれを防止することのできるサポート型手袋を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段および発明の効果】上記課題を解決するための本発明のサポート型手袋は、綿番手単糸1本取り換算で5〜80番手の糸を用いて編成してなる、編目の数が1平方インチ当たり10〜2000である編手袋と、当該編手袋の外表面に設けられてなる弾性体の皮膜と、を備えており、当該皮膜が編手袋の内表面に現出している個所の総面積が、当該皮膜が設けられている領域の全面積に対して10〜90%であることを特徴とする。
【0006】本発明のサポート型手袋によれば、裏地としての編手袋を備えていることによって、弾性体皮膜単独の手袋に比べて伸びが制限されており、それゆえ良好な着脱性、フィット感、および柔軟性を得ることができる。さらに、使用する糸の番手および編目の数を適宜調節してなる編手袋を備えることによって手袋の内部で蒸れが生じにくくなり、手袋の断熱性も優れたものとなる。しかも、当該編手袋を備えることで袖部に張りが生じることから、装着時に袖部が垂れたり、ずれたりする問題が生じない。
【0007】また、弾性体の皮膜が編手袋の内表面の一部に現出しており、当該皮膜が現出している割合を適宜調節していることから、裏地である編手袋と表面の弾性体皮膜との剥離を防止しつつ、手袋を着脱するときには編手袋との接触によって手袋内で手が滑り易く、一方で、手袋を装着して作業をするときには皮膜との接触によって手袋が手のひらに密着し、滑りにくくなるように、適宜調整することができる。
【0008】さらに、本発明のサポート型手袋は、後述するように、その構造上、手袋の型に編手袋を被せてから、ゴムラテックスまたは樹脂エマルジョンに手型を浸漬するなどして当該手型および編手袋の表面に弾性体皮膜を形成し、さらに手袋を反転させずに手型から取り外すという工程を経て製造される。このように、脱型時に反転させないことから、サポート型手袋の弾性体皮膜には歪みが生じにくい。さらに、弾性体皮膜に歪みが生じにくいことから、裏地を有しないノンサポート型の手袋に比べると、当該皮膜のひび割れや損傷が起こりにくく、耐老化性や耐オゾン性も良好なものとなる。
【0009】本発明のサポート型手袋において、弾性体の皮膜が編手袋の外表面の全面に設けられている場合には、手袋の外部から内部へと水が浸透するのを防止することもできる。一方、本発明のサポート型手袋において、弾性体の皮膜が、編手袋の甲部に相当する個所で設けられていない場合には、汗などで生じる蒸れ等を防止することもできる。
【0010】本発明のサポート型手袋において、弾性体は天然ゴムまたは脱蛋白天然ゴムであるのが好ましい。この場合、弾性体皮膜のモジュラスを低く抑えることができ、フィット感、柔軟性および着脱性がより一層優れたサポート型手袋を得ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係るサポート型手袋について詳細に説明する。本発明のサポート型手袋の一実施形態には、例えば図1(a) に示すものが挙げられる。図1(a) 中、点線で囲んだ領域内は、サポート型手袋10の外表面をなす弾性体皮膜11が取り去られて、サポート型手袋10の内表面をなす編手袋12が現れた状態を示している。編手袋12の外表面12aには、その一部においてまたはその全面にわたって、弾性体皮膜11が設けられており、図1(b) に示すような断面構造を有している。編手袋12の内表面12bには、符号11aを付して示すように、その一部において弾性体皮膜11が現出している。
【0012】〔編手袋〕編手袋を形成する糸については特に限定されるものではなく、従来公知の種々の糸が挙げられる。具体的には、綿、毛、麻等の天然繊維からなる糸、ナイロン、ポリエステル、レーヨン、アクリル、ポリウレタン等の合成繊維からなる糸、またはこれらを混紡してなる糸が挙げられる。
【0013】編手袋用の糸には、アラミド繊維等の高強度繊維からなる糸を用いることもできる。この場合、例えば刃物を用いる作業時にも手指を十分に保護することができる。また、例えば横断面における外周部に凸部または凹部を備えるような、異形断面繊維からなる糸を用いることもできる。使用する繊維形状に応じて、例えば汗等による蒸れの防止効果をより一層向上させるといった効果を得ることができる。
【0014】本発明のサポート型手袋において、編手袋には、綿番手単糸1本取り換算で5〜80番手の糸を使用し、その目数が1平方インチ当たり10〜2000となるように設定されたものが用いられる。糸の番手が上記範囲を下回る(糸が太い)場合、または編目の数が上記範囲を超える場合には、編手袋の目が細かくなりすぎて伸縮性が低下するため、フィット感や作業性が低下する。
【0015】一方、糸番手が上記範囲を超える(糸が細い)場合、または編目の数が上記範囲を下回る場合には、手袋の張りが少なく、伸縮性が大きくなりすぎることから着脱性が低下し、袖部のたれが生じ易くなる。また、吸汗性や断熱性も低下する。さらにこの場合、皮膜を形成する際に編手袋を手型に取り付けにくくなる(皮膜形成時の作業性が低下する)という問題も生じる。編手袋を形成する糸の番手(綿番手単糸1本取り換算)の下限は前述のように5番手であって、好ましくは10番手である。一方、当該番手の上限は前述のように80番手であって、好ましくは50番手、より好ましくは20番手、さらに好ましくは15番手である。
【0016】編目の数(1平方インチ当たりの個数)の下限は前述のように10であって、好ましくは25、より好ましくは50である。一方、当該編目の数の上限は前述のように2000であって、好ましくは1500、より好ましくは1000、さらに好ましくは300、なかんずく200である。なお、上記の範囲は、糸が1本取りで編まれたものであることを前提とする。本発明において、編手袋に使用する糸は1本取りに限定されるものではなく、2〜数本取りの糸であってもよい。双糸を用いたり、取り数が異なったりする場合には、換算値によって前述の範囲を決定すればよい。
【0017】編手袋は、通常、1層からなるものであるが、手袋の強度を上げたり、刃物作業用の手袋を製造したりする場合などには、複数の層を重ね合わせたものとしてもよい。また、編手袋の編目組織は平編み、ゴム編み等の、従来公知のいずれの編地であってもよく、その選択は、手袋に要求される特性に応じて適宜行なえばよい。部分的に編目の数を変えてもよい。
【0018】〔弾性体皮膜〕本発明において、編手袋の外表面に設けられる皮膜を形成するための弾性体材料としては、例えば天然ゴム(NR)、脱蛋白天然ゴム(DPNR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等のゴム、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂等の樹脂、またはこれらのブレンドもしくは複合体が挙げられる。
【0019】上記例示の弾性体材料の中でも、天然ゴムや脱蛋白天然ゴムは、モジュラスが低く、柔軟性に優れた皮膜を形成することができることから、より好適である。ここで、脱蛋白天然ゴムとは、天然ゴムラテックスに含まれる蛋白質を除去して得られる天然ゴムをいう。天然ゴム(ラテックス)に対する脱蛋白処理の方法については特に限定されるものではなく、従来公知の種々の方法を採用することができるが、天然ゴムラテックスにプロテアーゼと界面活性剤とを加えて熟成させ、遠心分離によってゴム分を分離、精製する方法が、脱蛋白の効果が高いことから好適である。
【0020】弾性体皮膜の厚みは、手袋全体の厚みや、手袋に要求される柔軟性、強度、断熱性等に応じて設定されるものである。それゆえ特に限定されるものではないが、通常、皮膜の厚みは0.05〜0.7mmであるのが好ましく、0.3〜0.5mmであるのがより好ましい。
【0021】本発明において、編手袋の内表面12bに弾性体皮膜11が現出している割合、すなわち編手袋の外表面12a全体に占める、弾性体皮膜の現出部11aの割合(以下、「皮膜出現率」という。)は、10〜90%の範囲に設定される。皮膜出現率が上記範囲を下回ると、柔軟性が低下して、フィット感や作業性が低下する。また、手袋の内表面で編手袋の露出面積が多くなるために、手袋内で手が滑り易くなってグリップ力が低下する。逆に、皮膜出現率が上記範囲を超えると、手袋の内表面において繊維部分が少なくなりすぎることから、着脱時の滑りが悪くなったり、装着時に手袋内が蒸れたりする。皮膜出現率の下限は前述のように10%であって、好ましくは15%、より好ましくは30%である。一方、皮膜出現率の上限は前述のように90%であって、好ましくは85%、より好ましくは70%である。
【0022】皮膜出現率は、例えば、サポート型手袋の内表面を画像処理装置によって分析したり、写真にとって肉眼で判別したりすることによって測定すればよい。前者の場合、手袋内表面におけるゴムまたは樹脂の弾性体部分と繊維(編手袋)部分との色差を二値化して、両者の面積をそれぞれ自動的に計測することができる。後者の場合、例えば弾性体部分と繊維部分との別を方眼紙に写し取り、その面積比率によって計測すればよい。本発明のサポート型手袋には、例えば、弾性体皮膜の表面に凹凸を設けるといった滑り止め加工を施してもよい。
【0023】〔サポート型手袋の製造方法〕
(編手袋の作製)編手袋は、例えば手袋専用の編み機等の編成機を使用することによって製造することができる。使用する糸の番手と編目の数は、所望の皮膜出現率、および編手袋に求められる強度、柔軟性等の物性に応じて適宜調節すればよい。
【0024】(弾性体皮膜の形成)弾性体の皮膜は、例えば、前述のゴムラテックスまたは樹脂エマルジョンを用いた浸漬法によって形成することができる。すなわち、弾性体皮膜は、上記例示のゴムを含むラテックスに常法に従って加硫剤、加硫促進剤、充填剤等を配合し、または上記例示の樹脂を含むエマルジョンに常法に従って架橋剤等を配合した上で、こうして得られた配合ラテックスまたはエマルジョンに編手袋を被せた手袋の型を浸漬することによって形成することができる。ラテックスまたはエマルジョンへの浸漬後、編手袋の表面に形成された皮膜は、常法に従って乾燥、加硫(架橋)させればよい。
【0025】弾性体皮膜の形成は、上記の浸漬法によって行なうほかに、例えば(a) ゴムラテックスまたは樹脂エマルジョンを編手袋に噴霧するいわゆるシャワー法、(b)増粘したゴムラテックスまたは樹脂エマルジョンの中に編手袋を装着した型をつけ、回転させながら液だれを防ぎつつ乾燥させる粘度ピックアップ法、(c) 感熱性を付与したゴムラテックスまたは樹脂エマルジョンを浸漬するいわゆる感熱法、(d) 編手袋の表面に凝固液を付着させた上で配合ラテックスまたは樹脂エマルジョンに型を浸漬するといった通常の凝固液法等によって形成することもできる。これらの方法による皮膜の形成は、常法に従って行なえばよい。
【0026】ゴムラテックスに添加される配合剤としては、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤(活性化剤)、老化防止剤、充填剤、分散剤等が挙げられる。加硫剤としては、例えば硫黄や有機含硫黄化合物等が挙げられる。その配合量は、ゴムラテックスのゴム分100重量部に対して0.5〜3重量部程度であるのが好ましい。加硫促進剤としては、例えばPX(N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜鉛)、PZ(ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛)、EZ(ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛)、BZ(ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛)、MZ(2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩)、TT(テトラメチルチウラムジスルフィド)等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。その配合量は、ゴムラテックスのゴム分100重量部に対して0.5〜3重量部程度であるのが好ましい。加硫促進助剤としては、例えば亜鉛華等が挙げられる。その配合量は、ゴムラテックスのゴム分100重量部に対して0.5〜3重量部であるのが好ましい。
【0027】老化防止剤としては、一般に、非汚染性のフェノール類が好適に用いられるが、アミン類を使用してもよい。老化防止剤の配合量は、ゴムラテックスのゴム分100重量部に対して0.5〜3重量部程度であるのが好ましい。充填剤としては、例えばカオリンクレー、ハードクレー、炭酸カルシウム等が挙げられる。その配合量は、ゴムラテックスのゴム分100重量部に対して10重量部以下であるのが好ましい。また、上記各添加剤のゴムラテックス中への分散を良好にするために分散剤を配合してもよい。かかる分散剤としては、例えば各種アニオン界面活性剤等が挙げられる。分散剤の配合量は、分散対象である成分における重量の0.3〜1.0重量%程度であるのが好ましい。
【0028】ゴムラテックスを用いて得られた皮膜の加硫条件は特に限定されるものではなく、常法に従って、通常100〜120℃にて、約30〜90分間程度行なうのが好ましい。当該ラテックスには前加硫を施してもよい。前加硫は常法に従って、通常30〜50℃にて、約15〜30時間行なうのが好ましい。樹脂エマルジョンには、樹脂の架橋性を十分なものとし、かつ手袋の強度を向上させるために、架橋剤を含有するのが好ましい。樹脂エマルジョンが自己架橋性を有する場合には架橋剤を配合しなくても成膜できるが、架橋剤を配合することによって手袋の強度をより一層向上させることができる。
【0029】上記架橋剤としては、例えば亜鉛華、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の、ポリマーの加工用に用いられる従来公知の種々の架橋剤が挙げられる。架橋剤の配合量は特に限定されないが、樹脂エマルジョンの樹脂固形分100重量部に対して1〜10重量部、特に1〜5重量部であるのが好ましい。弾性体皮膜を形成するのに用いる型(手型)には、例えば陶器、セラミック製のもの等が使用可能である。手型を予熱する場合において、その予熱温度は、成膜方法や使用する感熱化剤等に応じて適宜決定すればよい。
【0030】(皮膜出現率の調整方法)編手袋の内表面に皮膜が現出している割合(皮膜出現率)は、ゴムラテックスまたは樹脂エマルジョンの粘度、当該ラテックスまたはエマルジョンにおけるゴム分または樹脂分の濃度、ゴムラテックスまたは樹脂エマルジョンの温度、ゴムラテックスまたは樹脂エマルジョン中での手型の浸漬時間、凝固液の濃度、編手袋に使用する糸の番手、編手袋の編目の数といった各種のパラメータを変更することによって、適宜調節することができる。
【0031】通常、ゴムラテックスまたは樹脂エマルジョンの粘度を高くすることで、皮膜出現率を低く抑えることができ、ゴムラテックスまたは樹脂エマルジョン中での手型の浸漬時間を長くすることで、皮膜出現率を高くすることができる。
【0032】
【実施例】次に、実施例および比較例を挙げて、本発明を説明する。
〔実施例1〕
編手袋の作製綿番手単糸1本取り換算で15番手の綿糸を用いて、手袋専用編み機によって1平方インチ当たりの編目の数(目数)が150の手袋を編成した。
【0033】ゴム皮膜の形成手袋の型に上記の編手袋(糸番手15,目数150)を被せて、20%の硝酸カルシウム水溶液(凝固液)に浸漬した。編手袋を凝固液から引き上げ、その表面を十分に乾燥させた後、当該編手袋を天然ゴム(NR)ラテックス中に手型ごと浸漬した。NRラテックスには、粘度を100cP(センチポアズ)程度に、ゴム分の濃度を50重量%に、温度を20℃に、それぞれ調整したものを用いた。
【0034】次いで、手型をNRラテックスから引き上げ、オーブン中にて100℃で30分間加熱してゴム皮膜を乾燥、加硫させた。加硫後、編手袋とゴム皮膜との積層体をそのままの状態で脱型することにより、編手袋の外表面に天然ゴムの皮膜が形成されてなるサポート型手袋を得た。こうして得られたサポート型手袋の内表面を画像処理装置(PIAS社製、型番「LA−555」)を用いて分析し、綿の編手袋とNR皮膜との色差に基づいて、編手袋の内表面に皮膜が現出している割合(皮膜出現率)を求めた。その結果、上記サポート型手袋の皮膜出現率は10%であった。
【0035】〔実施例2〜5および比較例2,3〕NRラテックスの粘度、凝固液の濃度、ならびに凝固液およびNRラテックス中での手型の浸漬時間の、各種パラメータを変えることによって前述の皮膜出現率を調節したほかは、実施例1と同様にしてサポート型手袋の製造と皮膜出現率の測定とを行なった。上記サポート型手袋の皮膜出現率は、5%(比較例2)、20%(実施例2)、50%(実施例3)、80%(実施例4)、90%(実施例5)および95%(比較例3)となるように調節した。
【0036】〔比較例1〕綿番手単糸1本取り換算で10番手の綿糸を用いて、手袋専用編み機によって1平方インチ当たりの編目の数が300の手袋を編成した。さらに、上記の編手袋を使用し、NRラテックスの粘度、凝固液の濃度、ならびに凝固液およびNRラテックス中での手型の浸漬時間を適宜調節したほかは、実施例1と同様にしてサポート型手袋の製造と皮膜出現率の測定とを行なった。上記サポート型手袋の皮膜出現率は0%であった。
【0037】〔実施例6〜8,実施例10,比較例5〜6〕綿番手単糸1本取り換算で15番手の綿糸を使用し、1平方インチ当たりの編目の数を1(比較例4)、10(実施例6)、40(実施例7)、400(実施例8)および2000(実施例10)となるように調節して、手袋専用編み機によって手袋を編成した。さらに、上記の編手袋を使用し、かつ、皮膜出現率が50%となるように、NRラテックスのゴム分濃度、粘度および温度、凝固液の濃度、ならびに凝固液およびNRラテックス中での手型の浸漬時間を適宜調節したほかは、実施例1と同様にしてサポート型手袋の製造を行なった。
【0038】〔実施例9〕綿番手単糸1本取り換算で40番手の綿糸を用いて、手袋専用編み機によって1平方インチ当たりの編目の数が1100の手袋を編成した。さらに、上記の編手袋を使用し、かつ、皮膜出現率が50%となるように、NRラテックスのゴム分濃度、粘度および温度、凝固液の濃度、ならびに凝固液およびNRラテックス中での手型の浸漬時間を適宜調節したほかは、実施例1と同様にしてサポート型手袋の製造を行なった。
【0039】〔実施例11〜13,比較例7〜8〕綿番手単糸1本取り換算で1番手(比較例7)、5番手(実施例11)、40番手(実施例12)、80番手(実施例13)または90番手(比較例8)である綿糸を用いて、手袋専用編み機によって1平方インチ当たりの編目の数が150の手袋を編成した。さらに、上記の編手袋を使用し、かつ、皮膜出現率が50%となるように、NRラテックスのゴム分濃度、粘度および温度、凝固液の濃度、ならびに凝固液およびNRラテックス中での手型の浸漬時間を適宜調節したほかは、実施例1と同様にしてサポート型手袋の製造を行なった。
【0040】〔対照〕手袋の型を直接、20%の硝酸カルシウム水溶液(凝固液)に浸漬し、その表面を十分に乾燥させた後、天然ゴム(NR)ラテックス中に浸漬した。NRラテックスには、粘度を100cP(センチポアズ)程度に、ゴム分の濃度を50重量%に、温度を20℃に、それぞれ調整したものを用いた。次いで、手型をNRラテックスから引き上げ、オーブン中にて100℃で30分間加熱してゴム皮膜を乾燥、加硫させた。加硫後、ゴム皮膜をそのままの状態で脱型することにより、天然ゴム製のノンサポート型手袋を得た。
【0041】〔物性試験〕上記実施例1〜13および比較例1〜8のサポート型手袋と、対照のノンサポート型手袋とを計10名の被験者に着用してもらった上で、下記(1) 〜(6) の特性評価を行なった。
(1) フィット感:実際に手袋を装着して手指の曲げ伸ばしを繰り返し行なったときの手袋と手指との密着状態によって評価した。
(2) 作業性:実際に手袋を装着した状態での、手指の曲げ伸ばしを繰り返し行なったときの曲げ伸ばしの行ない易さ、および瓶の蓋を開ける作業を行なったときの作業性(手のひらと手袋との滑りの程度等)によって評価した。
(3) 吸汗性:実際に手袋を装着して手指の曲げ伸ばしや荷物の持ち運びを繰り返し行なったときの手袋内での蒸れ状態によって評価した。
(4) 断熱性:実際に手袋を装着して60℃程度および0℃程度の荷物を把持したときの当該荷物の体感温度によって評価した。
(5) 袖たれ:実際に手袋を装着したときの袖部の拡がり具合によって評価した。
(6) 着脱性:実際に手袋の付け外しを繰り返し行なったときの装着し易さおよび脱ぎ易さによって評価した。
【0042】上記(1) 〜(6) の評価基準は次のとおりである。
AA:全ての被験者がその評価項目について極めて良好であると感じたことを示す。
A:全ての被験者がその評価項目について良好であると感じたことを示す。
A−:その評価項目について良好であると感じた被験者だけでなく、多少改善の余地があると感じた被験者がいたことを示す。
B:その評価項目について多少不十分である旨を指摘した被験者がいたことを示す。
C:その評価項目について不十分であると感じた被験者がいたことを示す。
【0043】上記特性評価の結果、評価Cの項目が1つでもある場合や評価A以上の項目がない場合については、その手袋を不合格品と判断した。特性評価の結果を、編手袋に用いた綿糸の糸番手、編手袋の編目の数(目数)および皮膜出現率とともに、表1〜3に示す。
【0044】
【表1】

【0045】
【表2】

【0046】
【表3】

【0047】表1より明らかなように、皮膜出現率が10%を下回るとフィット感や作業性が低下し、逆に90%を超えると、吸汗性や着脱性が低下することが分かった。表2より明らかなように、編手袋の編目数が1平方インチ当たり10を下回ると、吸汗性、断熱性、袖部のたれ、着脱性のいずれもが不十分になり、逆に、編目の数が1平方インチあたり2000を超えると、フィット感や作業性が低下することがわかった。
【0048】表3より明らかなように、編手袋に用いる糸の番手が綿番手単糸1本取り換算で5番手を下回るとフィット感や作業性が低下し、逆に80番手を超えると、吸汗性、断熱性、袖部のたれ、着脱性のいずれもが不十分になることがわかった。
【出願人】 【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号
【出願日】 平成14年3月12日(2002.3.12)
【代理人】 【識別番号】100087701
【弁理士】
【氏名又は名称】稲岡 耕作 (外1名)
【公開番号】 特開2003−268613(P2003−268613A)
【公開日】 平成15年9月25日(2003.9.25)
【出願番号】 特願2002−67397(P2002−67397)