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【発明の名称】 手袋、靴下などのメリヤス製品
【発明者】 【氏名】南村 康文
【住所又は居所】和歌山市坂田85番地 株式会社島精機製作所内

【氏名】前原 建雄
【住所又は居所】和歌山市坂田85番地 株式会社島精機製作所内

【要約】 【課題】本発明は、弾性糸等の特別な編糸を用いることなく袋編みの先端側に形成される開放部の編地がまくれ上がるのを抑えた手袋や靴下等のメリヤス製品を提供することを課題とする。

【解決手段】袋編みの先端が開放した開放部を有する平床横編機を使って編まれたメリヤス製品であって、開放部は編み出し側に形成され、編み出し編成の際に袋編み編成される前側編地と後側編地のそれぞれ両端部分の適宜ウエール数の編目が互いに連結されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 袋編みの先端が開放した開放部を有する平床横編機を使って編まれたメリヤス製品であって、開放部は編み出し側に形成され、編み出し編成の際に袋編み編成される前側編地と後側編地のそれぞれ両端部分の適宜ウエール数の編目が互いに連結されていることを特徴とする。
【請求項2】 請求項1に記載のメリヤス製品は、袋編みの口径が先端を最小とし、徐々に大きくなるように形成されていることを特徴とする。
【請求項3】 袋編みの先端が開放した開放部を有する平床横編機を使って編まれたメリヤス製品であって、開放部は編み出し側に形成され、編み出し編成の際に袋編み編成される前側編地と後側編地は、それぞれ異なる2本おきの針による第1コース、第2コース、第3コースによって編み出し部分の最初の編目が形成され、これに続いてそれぞれ異なる1本おきの針による編目が形成された後、全ての針を使っての袋編みで形成されていることを特徴とする。
【請求項4】 請求項1〜3の何れかに記載のメリヤス製品は、開放部から指先が露出するように任意の指袋の先端部が開放された手袋であることを特徴とする。
【請求項5】 請求項1〜3の何れかに記載のメリヤス製品は、開放部から指先が露出するように任意の指袋の先端部が開放された靴下であることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、横編機を使って指が途中から露出するように編まれた手袋や靴下などのメリヤス製品に関する。
【0002】
【従来の技術】このようなメリヤス製品として実開昭59−9021号に開示の手袋がある。この公報の図1には各指袋の先端が開放された手袋、また図2には四本胴の先端が開放された手袋が記載されている。これら手袋の袋編み部分は、少なくとも第1コースの編糸によって袋編みにおける1本おきのウエールの編み出し編目を形成し、第2コースの編糸によって上記袋編みにおける残りの1本おきのウエールの編み出し編目を形成するようにし、続く第3コースの編糸が上記第1、第2コースの編糸により形成された交互の編み出し編目のそれぞれに編みつがれるようにして編成される。このように編成することで編目を持たない針床の針に編目を形成するとともにこの編み出し部分に解れ止めを施すことができる。このような編み出し方法はよく知られており一般にはインターロックと呼ばれている。
【0003】上記袋編みの編み出し部分は、平編み(表目)により行われているので平編みのカールする特性により編み出し部分の編目が外に向けてまくれ上がりやすい。インターロックにより編み出し部分は編まれているので通常の平編みに比べカールする特性は抑えられるが、それでも不十分である。そのため着用中に編み出し部分に物が擦れたりすると袋編みの先端部分が外に向けてまくれ上がってしまう。例えばこの種の手袋をインナー用として使い、アウター用としてゴム手袋などをはめて作業するような場合には、ゴム手袋を装着するときに袋編みの先端部分がゴム手袋と接触してまくれ上がってしまう。このような着用状態では着用者は該部分に圧迫感等の違和感を感じたままでの作業を余儀なくされる。この袋編みのまくれは、重ね着に限らず着用感や作業性あるいは着用時の外観を損ねる原因になっていた。図7は先端部分がまくれ上がった従来の手袋を示す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記した袋編みの先端部分がまくれ上がる問題は、ゴム糸などの弾性糸を用い、この弾性糸に比較的高いテンションを与えて編み出し部分を編成することで解決することができるが、本発明では弾性糸等の特別な編糸を用いることなく袋編みの先端側に形成される開放部の編地がまくれ上がるのを抑えた手袋や靴下等のメリヤス製品を提供することを目的とする。
【0005】
【問題を解決するための手段】本発明では、袋編みの先端が開放した開放部を有する平床横編機を使って編まれたメリヤス製品であって、開放部は編み出し側に形成され、編み出し編成の際に袋編み編成される前側編地と後側編地のそれぞれ両端部分の適宜ウエール数の編目が互いに連結されている。
【0006】好ましくはメリヤス製品は、袋編みの口径が先端を最小とし、徐々に大きくなるように形成されている。
【0007】またもう一つの発明は、袋編みの先端が開放した開放部を有する平床横編機を使って編まれたメリヤス製品であって、開放部は編み出し側に形成され、編み出し編成の際に袋編み編成される前側編地と後側編地は、それぞれ異なる2本おきの針による第1コース、第2コース、第3コースによって編み出し部分の最初の編目が形成され、これに続いてそれぞれ異なる1本おきの針による編目が形成された後、全ての針を使っての袋編みで形成されている。
【0008】好ましくはメリヤス製品は、開放部から指先が露出するように任意の指袋の先端部が開放された手袋である。
【0009】好ましくはメリヤス製品は、開放部から指先が露出するように任意の指袋の先端部が開放された靴下である。
【0010】
【発明の実施の形態】次に本発明の好適な実施例を以下図面とともに説明する。
<実施例1>実施例1は、本発明のメリヤス製品として手袋の場合を示す。図1は手袋1の全体を示した図である。この手袋1は小指3、薬指5、中指7、人差し指9、親指11の指袋の先端がそれぞれ開放されたタイプのものである。この手袋は、例えば株式会社島精機製作所製のフルジャカードファッション手袋/靴下編機(製品名:SJF)のような任意の編針を選択できるタイプの編機を使って編成することができる。このタイプの手袋は通常次のように編成される。手袋はまず小指3の指袋3aの先端開放部3bから指股3cに向けて編み始め、小指3の指袋3aを編み終えた後、続いて薬指5、中指7、人差指9の順に各指の指袋が編まれる。その後、小指3から人差指9までの四指を連結した一つの筒状体として四本胴13を編成する。四本胴13の編成の後、親指11の編成が行われた後、親指11と先に編まれた四本胴13を一つにして五本胴15が編まれた後、手首部17の編成が行われて終了する。
【0011】図2および図3は、中指7における指袋7aの編成ステップを示したもので、13ゲージ、Mサイズの手袋の例を示す。FBは前針床、BBは後針床を示し、アルファベットの大文字A〜Qは前針床の針を、小文字a〜qは後針床の針を示す。右に示す左右方向の矢印は給糸方向を示す。中指7の編成に前後針床のそれぞれ17針が割与えられる。本実施例では、指袋7aの開放部7bでは左右両端のそれぞれ前後3本の針がまくれ防止のための編成に使用される。
【0012】ステップ1では、右方向に給糸して前後針床の左側端の4針(a,A,b,B,c,C,d,D)によりゴム編みによる編み出し編成を行う。続くステップ2では、給糸方向を左に向けて前針床の針D,C,B,Aで前記編み出しに続く編目を形成する。ステップ3は給糸方向を右にしてステップ1の編み出しに続く編目を後針床の針aを除く針b,c,dに形成した後、続く針e〜m間の1本おきの針f,h,j,lで編み出しを行うとともに右側端の前後針床の4針(n,N,o,O,p,P,q,Q)でゴム編みによる編み出しを行う。上記ステップ1と3で形成されるゴム編みが後述する連結部を形成する。ステップ4では、給糸方向を左にして針Q,P,O,Nで編み出しに続く編目を形成した後、引き続き前針床の針M〜E間の1本おきの針L,J,H,Fに給糸して編み出しを行うとともに針Dにステップ2の編み出しに続く編目を形成する。次のステップ5では、給糸方向を右にして後針床の針cで編目を形成し、続いて針e〜m間の上記ステップ3で編成が使われなかった残りの1本おきの針e,g,i,k,mで編み出し行うとともに針oにステップ3の編み出しに続く編目を形成する。
【0013】ステップ6では、給糸方向を左にしてステップ4の編成で使われなかった前針床の針M〜E間にある残りの1本おきの針M,K,I,G,Eで編み出しを行った後、針Cでにステップ2の編み出しに続く編目を形成する。ステップ7では、給糸方向を右にして後針床の左右両端の左端の2針a,bと右端の2針p,qを除いた針c〜oで編目を形成する。ステップ8では、給糸方向を左にして前針床の右端の2針Q,Pと左端の針Aを除いた針O〜Bで編目を形成する。続くステップ9では、右向きに給糸して後針床の両端の針a,qを除く針b〜pで編目を形成する。ステップ10は左向きに給糸して前針床の両端の針Q,Aを除く針P〜Bで編目を形成する。そしてステップ11では、給糸方向を右に向けて後針床の針a〜qで編目を形成し、続くステップ10では、給糸方向を左に向けて前針床の針Q〜Aで編目を形成する。以後ステップ9,10を所要回数繰り返して中指の指袋を編成する。
【0014】次に上記のように編成された手袋の指袋の作用について説明する。図4は手袋を着用した際の中指7の指袋7aの指先の開放部7bを示す。指袋の編み出し側となる開放部7bにおいては指袋を構成する前側編地と後側編地の左右両端でゴム編みされたそれぞれ4ウエールが連結部となって綴じ合わされている。そのため指袋の先端開放部の口径はその分小さくなるので手袋を着用した際にこの左右の連結部(図中のP)が指にフィットする。更に連結部がゴム編みなどの平編みのようにカールする特性を持たない編み組織で形成されているので連結部にはまくれが発生しない。そのため連結部以外の平編み部分のまくれ上がる作用がこの連結部によって抑えられることになる。なお上記では左右両端のそれぞれ前後4本の針がまくれ防止のための編成に使用したが使用する針数はこれに限られるものではなく、またゲージ、編糸や風合い等に応じて適宜変更すればよい。また上記したステップ1〜12はあくまでも一つの実施例を示したに過ぎず、種々の変更を加えることが可能である。また側端部における前側編地と後側編地の連結をゴム編みで行ったが、タックにより行うことや、編機が目移し機能を備えているなら目移しにより連結するようにしてもよい。要は袋編みされる編地の両端を摘んだように前側編地と後側編地がその両端で互いに綴じ合わされるようにすることのできるものであればよい。なお本実施例では手袋を着用した際に連結部Pが平坦な形状ではなく指に沿うように先端を細くしたテーパ状に成形されるように連結部となる左右両端部のそれぞれ4針での編目形成を外側よりも内側のほうが編目の数が多くなるようにした。
【0015】<実施例2>次に本発明の他の実施例について説明する。編まれるメリヤス製品や使用する編機は先の実施例1と同じである。手袋の指袋は後述する特殊なインターロックにより編み出しされることが特徴で、この編成により袋編みの先端部分のまくれを抑える。図5、図6は図2、図3に対応する中指の袋編みの編成ステップを示す。
【0016】まずステップ1では、給糸方向を右に向けて後針床の針a〜q間の2本おきの針c,f,i,l,oで編み出しを行う。ステップ2では、給糸方向を左に向けて前針床の針A〜Q間の2本おきの針Q,N,K,H,E,Bで編み出しを行う。次にステップ3では、給糸方向を右に向けて後針床の先とは違う2本おきの針b,e,h,k,n,qで編み出しを行う。ステップ4では、給糸方向を左に向けて前針床の針A〜Q間の先とは違う2本おきの針O,L,I,F,Cで編み出しを行う。ステップ5では、給糸方向を右に向けて後針床の針a〜q間の先とは違う2本おきの針a,d,g,j,m,pで編み出しを行う。ステップ6では、給糸方向を左に向けて前針床の針A〜Q間の先とは違う2本おきの針P,M,J,G,D,Aで編み出しを行う。このようにしてまず編目を持たない針床の各針へ編糸をフックさせる。
【0017】次に続くステップ7〜10でこれら編み出しコースに続く編目をそれぞれ1本おきの針によるインターロック編成によって形成する。まずステップ7では給糸方向を右に向けて後針床の針a〜q間の1本おきの針b,d,f,h,j,l,n,pで編目を形成し、続くステップ8では給糸方向を左に向けて前針床の針A〜Q間の1本おきの針Q,O,M,K,I,G,E,C,Aで編目を形成する。ステップ9では給糸方向を右に向けて後針床の先とは違う1本おきの針a,c,e,g,i,k,m,o,qで編目を形成し、ステップ10では給糸方向を左に向けて前針床の先とは違う1本おきの針P,N,L,J,H,F,D,Bで編目を形成する。このようにして袋編みの開放部を編成した後、ステップ11で後針床の針a〜qに給糸し、ステップ12で針Q〜Aに給糸して編目を形成する編成を所要回数繰り返して所望長さの指袋を得る。
【0018】このように編成された手袋の指袋の作用について説明する。指袋の編み出し側となる開放部において、それぞれ異なる2本おきの針による第1コース、第2コース、第3コースによって編み出し部分の最初の編目がまず形成され、これに続いてそれぞれ異なる1本おきの針による編目が形成された後、この後から全ての針を使っての指袋のコース編成が行われる。そのため編み出し側の各コース編成に使われる編糸の消費量は従来のものに比べ少なくなる。そのためこのようにして編まれた手袋では、着用時に指袋の開放部は伸張性低いため指にピッタリとフィットする。特に最初の編み出しコースが2本おきの針によるインターロック編成で行われているために糸の消費量は特に少なく平編みのカールする特性は抑えられることになる。本実施例の場合では先の実施例とは異なり、開放部の編み出しコース全体が指にフィットして編み出し部分全体でまくれを抑えることになる。また袋編みの開放部が2本おきの針、1本おきの針、総針の順で編成されているので開放部は段階的に伸張性が付与されることになり指にフィットする形状と仕上がる。
【0019】なお上記実施例は、五本指の各指袋の先端側を開放させた手袋を示したが、親指だけ、あるいは親指と人差し指の指袋を開放させてもよいし、ミトンタイプの手袋の四本胴に形成される開放部に対しても同様に適用することができるなど適宜変更して実施することができるのは勿論である。また上記と同様な編成を靴下の編成に適用することで指袋の先端側が開放した靴下を編成することができる。なお指袋の長さを可及的に短くして指全部を露出させることも当然可能である。更に手袋や靴下だけでなくサポーターやその他類似のメリヤス製品に対して実施することができる。また上記実施例では個々の編針を任意に選択できるフルジャカード編機を使った場合の例を示したが、これに代えて選針ピンを埋め込んだドラムにより編針の選択を行うタイプの手袋編機でも選針ピンの埋め込みのレイアウトを一部修正することによっても製造することができる。
【0020】
【発明の効果】上記実施例に示したように本発明の手袋や靴下等のメリヤス製品では、袋編みの先端となる開放部分が外にまくれ上がるのが抑えられるため従来品が抱えていたよう問題を改善できるという効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000151221
【氏名又は名称】株式会社島精機製作所
【住所又は居所】和歌山県和歌山市坂田85番地
【出願日】 平成14年2月26日(2002.2.26)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−253509(P2003−253509A)
【公開日】 平成15年9月10日(2003.9.10)
【出願番号】 特願2002−49479(P2002−49479)