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【発明の名称】 衣料およびその製造方法
【発明者】 【氏名】神保 紀代子

【要約】 【課題】衿ぐりに縫着された衿が弛みにくく、シルエットの美しい衣料およびその製造方法が求められている。

【解決手段】この衣料は、伸縮性を有する生地から成る衿4を、身頃2の衿ぐり3に沿って伸ばした状態で衿ぐり3に縫着したものである。衿4は筒状に形成され、衿4の周長は、衿4を周方向に伸ばした状態で衿ぐり3の周長Laと対応する長さとされている。衿4は伸縮性を有する糸をオーバロック糸として用いて衿ぐり3に縫着される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 伸縮性を有する生地から成る衿を、身頃の衿ぐりに沿って伸ばした状態で衿ぐりに縫着したことを特徴とする衣料。
【請求項2】 衿を筒状に形成するとともに、衿の周長を、衿を周方向に伸ばした状態で衿ぐりの周長と対応する長さにしたことを特徴とする請求項1に記載の衣料。
【請求項3】 伸縮性を有する糸をオーバロック糸として用いて衿を衿ぐりに縫着したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の衣料。
【請求項4】 伸縮性を有する生地から成る衿を一定方向に伸ばし、前記伸ばした衿の一定方向の長さが身頃の衿ぐりの衿縫着長に対応した長さとなるように衿を裁断し、前記裁断した衿を前記一定方向に伸ばした状態で衿ぐりに縫着することを特徴とする衣料の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、身頃の衿ぐりに衿が縫着された衣料およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の一般的な衣料を図10に示す。図示の衣料51は全体がニット生地で構成されていて、筒状の衿54が身頃2の衿ぐり3に縫着されている。衿54は伸ばしたり縮めたりしていない状態で衿ぐり3の周長とほぼ等しい周長とされ、着用者の頭を通せる大きさのものが使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の衣料51は着用を繰り返すと、衿54の先端が周方向に伸びて弛み、身頃2の衿ぐり3から肩や胸にわたる領域Fが波打って、だらしない印象を与えるという問題がある。そこで、衿内に芯材を入れたものや衿内面に補強テープを貼着したものが提案されているが、製品として安っぽくなったり着用者の首に違和感を与えるといった不具合を生じる。
【0004】本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、衿ぐりに縫着された衿が弛みにくく、シルエットの美しい衣料およびその製造方法の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明に係る衣料は、伸縮性を有する生地から成る衿を、身頃の衿ぐりに沿って伸ばした状態で衿ぐりに縫着した構成にしてある。
【0006】また、前記構成において、衿を筒状に形成するとともに、衿の周長を、衿を周方向に伸ばした状態で衿ぐりの周長と対応する長さにしたものである。
【0007】そして、前記した各構成において、伸縮性を有する糸をオーバロック糸として用いて衿を衿ぐりに縫着したものである。
【0008】更に、本発明に係る衣料の製造方法は、伸縮性を有する生地から成る衿を一定方向に伸ばし、前記伸ばした衿の一定方向の長さが身頃の衿ぐりの衿縫着長に対応した長さとなるように衿を裁断し、前記裁断した衿を前記一定方向に伸ばした状態で衿ぐりに縫着するようにしたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態に係る衣料の正面図である。図において、この実施形態に係る衣料1は、筒状に形成した衿4を身頃2の衿ぐり3に縫着したものである。この場合、例えば、身頃2と衿4はいずれも伸縮性を有するニット生地で構成されている。また、身頃2および衿4のウエールW方向はいずれも縦向きにしてある。但し、本発明の衣料に関して、身頃と衿のウエールはいずれの向きであっても構わない。
【0010】上記した衿4は、図2(a)に示すように、長尺の衿用生地4aから製作される。衿用生地4aにおける長手方向の一端部5から他端部6までの長さLは、身頃2における衿ぐり3の衿縫着長La(図3参照)に対応した長さである。但し、長さLより長い衿用生地を用いても、伸ばした後に裁断されるので構わない。そこで、衿用生地4aを図2(b)のごとく長手方向(「一定方向」=矢印7の方向)に手で引っ張ると、前記の長さLに伸びしろdLを加えた長さL1の衿用生地4bとなる。次に、伸びた状態の衿用生地4bから、同図(c)のように、伸びしろdLに対応する衿用生地4dの部分を裁断する。すると、伸びた状態で前記の長さLになった衿用生地4cが得られる。
【0011】この衿用生地4cはしばらく放置しておくと、同図(d)のように縮んで長さL2となる。衿用生地4cは、1点鎖線8で示す長手方向中央部分で折り返されて一端部5aと他端部6が重ね合わせられる。一端部5aと他端部6の重ね合わせ部分はオーバロック縫目9で示すように縫着され、衿用生地4cが筒状に形成される(同図(e)参照)。尚、上記の長さL,L1,L2は理解を容易にするため、オーバロック縫目9などにかかる縫いしろは含めていない。そして、同図(e)中の1点鎖線10で示す短手方向中央部分を境に、衿用生地4cの上側部分が折り返されて下側部分に重ね合わせられる。重ね合わせた衿用生地4cの下縁部分はオーバロック縫目12のように縫着されて、筒袋状の衿4が出来上がる(同図(f)参照)。符号11はオーバロック縫目9を裏返してできた縫合わせ部を示している。このようにして製作される衿4の筒径は周方向に伸ばした状態で着用者の頭を通せる大きさであればよい。
【0012】上記の衿4は図3に示した身頃2の衿ぐり3に、図4のオーバロックミシン13を用いて縫着される。このオーバロックミシン13は汎用品であり、ミシン機構を内蔵した本体ケーシング23と、被縫製物を載置するベッド15と、スパン糸16がそれぞれ供給される2本の針14,14を備えている。針14,14は、供給されたスパン糸16,16を用いて矢印17で示すミシン送り方向の縫目を形成する。ベッド15下方の本体ケーシング23内には、オーバロック縫目20を形成するための周知のルーパ(図示省略)が配備されている。前記のルーパには伸縮性を有する2本のウーリーナイロン糸19,19がオーバロック糸として供給される。
【0013】そこでまず、身頃2を裏返して裏面21を外側にする。裏返した身頃2の衿ぐり3内に衿4を上下逆向きにして入れる。そして、衿4のオーバロック縫目12の部分を衿ぐり3の縁に重ね、縫い始め位置を待ち針で決めておく。周方向の別の箇所も待ち針で止めておくとよい。縫い始め位置を少し縫い付けたのちにミシン13を止め、針14よりもミシン送り方向(矢印17方向)の上流位置の衿4を、ミシン送り方向とは逆向き(「一定方向」=広幅矢印18方向)に手で引っ張っておく。そして、衿ぐり3の周方向に沿って衿4を伸ばした状態のまま運針を進めて衿ぐり3に縫着させるのである。その際、図5に示すように、ウーリーナイロン糸19,19によってオーバロック縫目20が形成され、スパン糸16,16によってミシン送り方向の縫目24が形成される。そうして、衿ぐり3の全周にわたり衿4を縫着すると、衣料1が出来上がる。衿4は周方向に伸ばされた状態で衿ぐり3とほぼ同じ周長(衿縫着長)Laであるので、縫着に際し衿4の長さが足りなかったり余ったりしない。
【0014】上記のように出来上がった衣料1(図1参照)において、衿4は周方向に縮もうとし身頃2の衿ぐり周辺部は元に戻ろうとして互いに引き合っている。これにより、衿4は芯材を用いていないにも拘わらずピンと立った状態に保持され、使用を重ねても弛んだり波打ったりしない。柔らかい生地で衿4を構成した場合も立ったままである。かかる利点は、全周にわたって均等に力を受ける筒状の衿のほうが、開いた衿よりも顕著になる。他方、身頃2の肩から胸に至る部分はピンと張ってすっきりした美しいシルエットが得られる。すなわち、この衣料1は付加価値が高く、例えば高級婦人衣料として重宝される。一方、オーバロック糸として伸縮性を有するウーリーナイロン糸19を用いてあるので、着用時における衿4の伸びに同調してウーリーナイロン糸19も伸びるから糸切れしにくい。従って、長寿命の衣料1となる。因みに、オーバロック糸として伸縮性に乏しいスパン糸16を用いると、比較的短期間に糸切れして衿ぐり3と衿4の縫着部分が解れた。
【0015】尚、上記の実施形態では、ウエールWを縦向きにした衿4を例示したが、本発明に用いられる衿はそれに限定されるものでない。例えば、横向きのウエールWを有するニット生地から成る衿4A(図6参照)や、バイアス方向のウエールWを有するニット生地から成る衿4B(図7参照)や、前側の縫合わせ部22でつないだ筒状の衿4C(図8参照)であっても構わない。あるいは、前が開いた衿4D(図9参照)であってもよい。
【0016】また、本発明の衿の素材としては伸縮性のある生地であれば、織物、編物の別を問わない。例えば、フリース生地などであってもよい。そして、上記においては、身頃2として伸縮性生地を使用した例を示したが、本発明の身頃は伸縮性生地でなくても適用され得る。また、伸縮性を有する糸としては前記のウーリーナイロン糸に限るものでなく、それ以外に、例えばストレッチナイロン糸、ウーリーテトロン糸などを使用することができる。
【0017】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明に係る衣料およびその製造方法によれば、衿が伸ばした状態で衿ぐりに縫着されるので、縫着後の衿と衿ぐり周辺部は互いに引き合う。それにより、衿および衿ぐり周辺部の弛みが解消される。
【0018】また、衿が筒状の場合は、開いた衿と比べて衿および衿ぐり周辺部の弛みをなくすことができる。
【0019】そして、伸縮性を有する糸をオーバロック糸として用いて縫着した場合は、衿の伸びに応じてオーバロック糸も伸びるから、糸切れしにくく長寿命となる。
【出願人】 【識別番号】502052701
【氏名又は名称】神保 紀代子
【出願日】 平成14年2月13日(2002.2.13)
【代理人】 【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
【公開番号】 特開2003−239123(P2003−239123A)
【公開日】 平成15年8月27日(2003.8.27)
【出願番号】 特願2002−34799(P2002−34799)