| 【発明の名称】 |
ゴム手袋 |
| 【発明者】 |
【氏名】松浦 亜衣 【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号 住友ゴム工業株式会社内
【氏名】市川 直哉 【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号 住友ゴム工業株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】天然ゴム製手袋に特有の優れた機械的強度、柔軟性、着脱性およびフィット感を維持しつつ、耐油性にも優れたゴム手袋を提供する。
【解決手段】脱蛋白処理が施された天然ゴムラテックスに、シアノ基を有するモノマーを当該ラテックスのゴム分100重量部に対して10重量部以上添加してグラフト共重合を施し、さらにこうして得られた改質天然ゴムラテックスを用いてゴム手袋を成形する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】脱蛋白処理が施された天然ゴムラテックスに、シアノ基を有するモノマーを当該ラテックスのゴム分100重量部に対して10重量部以上添加して、グラフト共重合を施した改質天然ゴムラテックスを用いてなるゴム手袋。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はゴム手袋に関し、より詳しくは、耐油性および機械的強度に優れたゴム手袋に関する。 【0002】 【従来の技術】天然ゴムからなる手袋は伸びが大きい、柔軟性に優れる、皮膜の強さが良好である等の特徴を有することから、家庭用、作業用、検査用、手術用等の種々の用途に利用されている。しかし、天然ゴム製の手袋は耐油性が低いという問題があるため、主に油を使用する用途には、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)等の合成ゴムからなる手袋が用いられている。一方、NBR製の手袋は、天然ゴム製の手袋に比べて柔軟性が乏しく、着脱性やフィット感において十分に満足し得る品質のものが得られないという問題がある。 【0003】そこで、従来、天然ゴムを改質して、その耐油性を増大させる試みがなされている。天然ゴムの改質は、ラテックスの状態でアクリロニトリル、メチルメタクリレート、スチレン等を添加し、グラフト共重合させるのが一般的である。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、天然ゴムにはグラフト共重合を可能にする反応基が少ないため、改質時の反応性が低く、耐油性の改善効果を十分なものとすることが困難であるという問題がある。そこで本発明の目的は、天然ゴム製手袋に特有の優れた機械的強度、柔軟性、着脱性およびフィット感を維持しつつ、耐油性にも優れたゴム手袋を提供することである。 【0005】 【課題を解決するための手段および発明の効果】上記課題を解決するための本発明に係るゴム手袋は、脱蛋白処理が施された天然ゴムラテックスに、シアノ基を有するモノマーを当該ラテックスのゴム分100重量部に対して10重量部以上添加して、グラフト共重合を施した改質天然ゴムラテックスを用いてなるものであることを特徴とする。上記ゴム手袋に用いられる改質天然ゴムラテックスは、天然ゴムに脱蛋白処理を施した後で、前記モノマーを所定量用いてグラフト共重合による改質処理を施したものであることから、改質の程度が極めて高く、しかも意外なことに、耐油性が極めて高いものとなっている。例えば、上記の改質天然ゴムラテックスからなる皮膜は、これを油に浸漬した後であっても、十分な機械的強度が得られる。従って、本発明のゴム手袋によれば、天然ゴム製の手袋に特有の優れた機械的強度、柔軟性、着脱性およびフィット感を維持しつつ、耐油性を極めて優れたものとすることができる。それゆえ、本発明のゴム手袋は、家庭用、作業用、検査用、手術用等の種々の用途に好適である。 【0006】ところで、改質天然ゴムについては、特開平6−329702号公報に、あらかじめ天然ゴムラテックスに対して脱蛋白処理を施しておき、その上で、不飽和結合を有する有機化合物によってグラフト共重合を施してなる改質ゴムが記載されている。さらに、同公報には、天然ゴムに脱蛋白処理を施した上で、不飽和結合を有する有機化合物をグラフト共重合することによって、脱蛋白処理を施していない天然ゴムラテックスに比べて改質の効果が極めて高くなる旨の記載や、かかるグラフト共重合を施すことによって、接着性等の特性に優れ、接着剤などの用途に好適なグラフト共重合体(改質天然ゴム)が得られる旨の記載がある。しかし、同公報には、当該改質ゴムをゴム手袋に用いることについては開示されていない。 【0007】本発明者らは、脱蛋白処理を施した上で、特定のモノマー(シアノ基を有するモノマー)によるグラフト共重合を施し、さらに、こうして得られた改質ゴムを用いてゴム手袋を製造することによって、機械的強度、柔軟性、着脱性およびフィット感に優れるという天然ゴム製手袋の本来の特性に加えて、脱蛋白されていない改質天然ゴムを用いたものよりも耐油性が優れたものとなるという、意外な作用・効果を見出して、本発明を完成するに至ったものである。 【0008】 【発明の実施の形態】次に、本発明のゴム手袋について詳細に説明する。 (脱蛋白天然ゴムラテックス)本発明のゴム手袋を製造する際に用いられる脱蛋白天然ゴムは、天然ゴムラテックスに対して常法に従って脱蛋白処理を施したものである。脱蛋白天然ゴムラテックスの原料となる天然ゴムラテックスは、ゴム樹液として得られるフィールドラテックスまたはアンモニア保存濃縮ラテックスのいずれであってもよい。天然ゴムラテックスに対する脱蛋白処理の方法については、特に限定されるものではなく、従来公知の種々の方法を採用することができる。なかでも、天然ゴムラテックスにプロテアーゼと界面活性剤とを加えて熟成させ、遠心分離によってゴム分を分離、精製する方法が、脱蛋白の効果が高いことから好適である。 【0009】(プロテアーゼ)脱蛋白処理に用いられるプロテアーゼは特に限定されるものではなく、従来公知の種々のものが挙げられるが、中でもアルカリプロテアーゼが好適である。プロテアーゼの由来としては、細菌由来のもの、糸状菌由来のもの、酵母由来のもの等いずれのものであってもよいが、これらの中では細菌由来のもので、特にBacillus属のものが好ましい。また、リパーゼ、エステラーゼ、アミラーゼ、ラッカーゼ、セルラーゼ等の酵素を併用することも可能である。 【0010】アルカリプロテアーゼを用いる場合において、その活性〔アンソン−ヘモグロビン法(Anson. M. L.,J. Gen. Physiol.,22,79(1938))の改良法による測定値〕は0.1〜50APU/g、好ましくは1〜25APU/gの範囲であるのが適当である。脱蛋白処理に使用するプロテアーゼの量はプロテアーゼ自体の活性に応じて変動するものであって、特に限定されるものではない。しかし、一般的には、プロテアーゼの含有量が天然ゴムラテックス中のゴム分100重量部に対して0.0001〜20重量部となるように調整するのが好ましく、0.001〜10重量部となるように調整するのがより好ましい。プロテアーゼの含有量が上記範囲内であると、プロテアーゼの活性を保持しつつラテックス中の蛋白質を十分に分解することができ、あるいはプロテアーゼの使用量に見合った効果を有効に発現でき、コスト的に有利になる。 【0011】(界面活性剤)脱蛋白処理に用いられる界面活性剤としては、例えばアニオン界面活性、ノニオン界面活性剤が挙げられる。アニオン界面活性剤には、例えばカルボン酸系、スルホン酸系、硫酸エステル系、リン酸エステル系等の界面活性剤が挙げられる。ノニオン界面活性剤には、例えばポリオキシアルキレンエーテル系、ポリオキシアルキレンエステル系、多価アルコール脂肪酸エステル系、糖脂肪酸エステル系、アルキルポリグリコシド系等の界面活性剤が挙げられる。 【0012】(脱蛋白処理)脱蛋白処理は、原料となる天然ゴムラテックスに上記プロテアーゼと界面活性剤とを所定量添加して、数十分から1週間程度、好ましくは1〜3日程度熟成させることによって行なわれる。かかる熟成により、天然ゴムラテックスに対する蛋白質分解処理を実現することができる。この熟成処理は、ラテックスを撹拌しながら行なってもよく、静置した状態で行なってもよい。また、必要に応じて温度調整を行なってもよい。酵素の活性を十分なものとするには、5〜90℃にするのが好ましく、20〜60℃に調整するのがより好ましい。5℃を下回ると酵素反応が進まないおそれがあり、逆に90℃を超えると酵素の失活のおそれがある。 【0013】上記脱蛋白処理後の、ラテックス中のゴム粒子の洗浄(精製)処理としては特に限定されるものではないが、例えば遠心分離、限外濾過法等によってラテックスを濃縮し、水中に移行した蛋白質分解物等の非ゴム成分と、ラテックス中のゴム粒子とを分離する処理や、ゴム粒子を酸等によって凝集させて分離する処理が挙げられる。中でも、遠心分離処理により精製を行なうのが、精製の精度、効率等の観点からもっとも好ましい。 【0014】(脱蛋白の程度)本発明に用いられる脱蛋白天然ゴムラテックスにおける脱蛋白の程度は特に限定されるものではないが、シアノ基を有するモノマーによるグラフト共重合(改質)の効果をより一層高いものにするという観点から、さらに加えて、最終のゴム製品に低アレルギー性を付与するという観点から、脱蛋白処理後のケルダール法による窒素含有量(N%)が0.1%以下となるように調整するのが好ましい。上記窒素含有量(N%)は、上記範囲の中でも特に0.05%以下であるのが好ましく、0.02%以下であるのがより好ましい。 【0015】窒素含有量が上記範囲を超えると脱蛋白の程度が不十分になり、シアノ基を有するモノマーによるグラフト共重合が十分に行なわれなくなるおそれがある。また、最終ゴム製品の使用によりアレルギーが発生してしまうのを十分に抑制することができなくなるおそれがある。脱蛋白の程度は、赤外線吸収スペクトルでの蛋白質に基づく吸収の有無および吸収の程度によっても確認することができる。本発明の脱蛋白処理剤によって処理されたゴムには、短鎖ペプチドまたはアミノ酸に由来する3320cm-1の吸収が観察されてもよいが、アレルギーの原因となる高分子ポリペプチドに由来する3280cm-1の吸収は小さい方が好ましく、3280cm-1に吸収が全く観察されないのがより好ましい。 【0016】(グラフト共重合)脱蛋白天然ゴムラテックスに対するグラフト共重合(改質処理)に用いられる、シアノ基を有するモノマーとしては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリロイルモルホリン、メタクリロイルモルホリン等が挙げられる。グラフト共重合を行なう際の上記モノマーの添加量は、脱蛋白天然ゴムラテックスの乾燥ゴム分100重量部に対して10重量部以上に設定される。 【0017】前記モノマーの添加量が上記範囲を下回ると、天然ゴムの改質効果を十分に得ることができず、例えば油に浸漬した場合に機械的強度が著しく低下するなど、手袋の耐油性が不十分なものとなる。前記モノマーの添加量の上限については特に限定されるものではないが、天然ゴム製手袋本来の機械的強度が低下したり、柔軟性、着脱性、フィット感等が低下したりすることのない範囲で設定することが求められる。従って、シアノ基を有するモノマーの添加量は、前記範囲の中でも特に10〜50重量部であるのが好ましい。さらに、かかる範囲の中でも特に10〜30重量部であるのがより好ましい。 【0018】グラフト共重合は、例えば、脱蛋白処理が施された天然ゴムラテックスに前述のシアノ基を有するモノマーを加え、さらに適当な重合開始剤を加えて反応させることによって得ることができる。重合開始剤としては、例えば過酸化ベンゾイル、過酸化水素、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、過硫酸カリウム等の過酸化物が挙げられる。中でも、レドックス系の重合開始剤を使用するのが、重合温度の上昇を抑制する上で好ましい。かかるレドックス系の重合開始剤において、過酸化物と組み合わされる還元剤としては、例えばテトラエチレンペンタミン、メルカプタン類、酸性亜硫酸ナトリウム、還元性金属イオン、アスコルビン酸等が挙げられる。レドックス系の重合開始剤における好ましい組合せ例としては、t−ブチルハイドロパーオキサイドとテトラエチレンペンタミン、過酸化水素とFe2+塩、K2 SO2 O8 とNaHSO3 等が挙げられる。 【0019】重合開始剤の添加量は、シアノ基を有するモノマー100モルに対して0.3〜10モル%、好ましくは0.5〜1モル%である。これらの成分を反応容器に仕込み、30〜80℃で2〜10時間反応を行なうことによって、グラフト共重合体が得られる。グラフト共重合に使用する脱蛋白天然ゴムは、ラテックス状態のものであってもよく、ゴム溶液や固形ゴムであってもよい。 【0020】脱蛋白処理が施された天然ゴムラテックスに対して、上記の方法にてグラフト共重合を行なった場合には、高いグラフト率(主鎖ポリマーの重量に対するグラフト共重合下モノマーの重量の割合をいい、通常15〜25%程度)と、高いグラフト効率(モノマーの全重量に対するグラフト共重合したモノマーの重量の割合をいい、通常40〜60%程度)とを得ることができる。 【0021】(ゴム手袋の製造)本発明のゴム手袋は、例えば前述の脱蛋白処理およびグラフト共重合処理によって改質された脱蛋白天然ゴムラテックスを用いて、直接浸漬法、アノード凝着法、感熱凝固法などの浸漬法によって製造することができる。直接浸漬法、アノード凝着法または感熱凝固法によるゴム手袋の製造法については、特に限定されるものではなく、常法に従って行なえばよい。アノード凝着法によるゴム手袋の製造に際して、ラテックスに配合されるアノード凝着剤としては、例えば硝酸カルシウム、塩化カルシウム等の2価以上の金属塩;テトラメチルアンモニウム塩酸塩等の有機アルキルアミン塩などの、従来公知のものが挙げられる。 【0022】感熱凝固法によるゴム手袋の製造に際して、ラテックスに配合される感熱凝固剤としては、例えば硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、亜鉛アンモニウム錯塩等の無機または有機のアンモニウム塩;ポリビニルメチルエーテル、ポリアルキレングリコール、ポリエーテルポリホルマール、官能性ポリシロキサン等の、曇点が常温以上、100℃以下の水溶性高分子などの、従来公知のものが挙げられる。 【0023】上記感熱化剤やアノード凝着剤の配合量は常法に従って設定すればよく、通常、ラテックスのゴム分100重量部に対して0.5〜5重量部、特に0.5〜2.0重量部の範囲で設定すればよい。アノード凝着剤や感熱凝固剤のほかに、ラテックスに添加される配合剤としては、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤(活性化剤)、老化防止剤、充填剤、分散剤等が挙げられる。 【0024】加硫剤としては、例えば硫黄や有機含硫黄化合物等が挙げられる。その配合量は、ゴムラテックスのゴム分100重量部に対して0.5〜3重量部程度であるのが好ましい。加硫促進剤としては、例えばPX(N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜鉛)、PZ(ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛)、EZ(ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛)、BZ(ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛)、MZ(2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩)、TT(テトラメチルチウラムジスルフィド)等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。その配合量は、ゴムラテックスのゴム分100重量部に対して0.5〜3重量部程度であるのが好ましい。加硫促進助剤としては、例えば亜鉛華等が挙げられる。その配合量は、ゴムラテックスのゴム分100重量部に対して0.5〜3重量部であるのが好ましい。 【0025】老化防止剤としては、一般に、非汚染性のフェノール類が好適に用いられるが、アミン類を使用してもよい。老化防止剤の配合量は、ゴムラテックスのゴム分100重量部に対して0.5〜3重量部程度であるのが好ましい。充填剤としては、例えばカオリンクレー、ハードクレー、炭酸カルシウム等が挙げられる。その配合量は、ゴムラテックスのゴム分100重量部に対して10重量部以下であるのが好ましい。 【0026】また、上記各添加剤のゴムラテックス中への分散を良好にするために分散剤を配合してもよい。かかる分散剤としては、例えば各種アニオン界面活性剤等が挙げられる。分散剤の配合量は、分散対象である成分における重量の0.3〜1.0重量%程度であるのが好ましい。 【0027】ゴム手袋の成形(成膜)の前に、改質された脱蛋白天然ゴムラテックスに対して前加硫を施してもよい。前加硫は、通常30〜50℃にて、約15〜30時間行なうのが好ましい。ゴム手袋を成形するのに用いる型(手型)には、例えば陶器、セラミック製のもの等が使用可能である。手型を予熱する場合において、その予熱温度は、成膜方法や使用する感熱化剤等に応じて適宜決定すればよい。 【0028】浸漬法によって手型の表面にゴム皮膜を形成した後、これを加硫、乾燥し、脱型することによってゴム手袋が得られる。加硫の条件は特に限定されるものではないが、通常100〜120℃にて、約30〜90分間程度行なうのがよい。また、上記感熱凝固性ラテックスからゴム分を凝固、乾燥させた固形脱蛋白天然ゴムを、ゴム製品の原料として用いてもよい。 【0029】 【実施例】次に、実施例および比較例を挙げて本発明を説明する。 〔脱蛋白天然ゴムラテックスの作製〕 参考例1天然ゴムのハイアンモニアラテックス(ゴム固形分60重量%、ケルダール法による窒素含有量0.3%)を、その固形分(ゴム分)濃度が30重量%となるように希釈した。次いで、ハイアンモニアラテックスのゴム分100重量部に対し、アルカリプロテアーゼ(蛋白分解酵素)0.07重量部と、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(東京化成工業(株)製のアニオン界面活性剤)1.0重量部とを添加して、30℃で24時間静置した。 【0030】静置後、ラテックスに、13000rpmで30分間遠心分離処理を施し、上層に分離したクリーム分を取り出した。さらに、このクリーム分を同体積の水に再分散させることによって、脱蛋白天然ゴムラテックスを得た。得られた脱蛋白天然ゴムラテックスの窒素含有量をケルダール法によって測定したところ、0.017%であった。 【0031】〔改質ゴムの作製〕 実施例1参考例1で得られた脱蛋白天然ゴムラテックスの固形分濃度を30重量%に調整し、当該ゴム分100重量部に対してドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(前出のアニオン界面活性剤)0.05重量部を添加して、反応系内を窒素置換した。次いで、ラテックスを攪拌しながら、重合開始剤としてのt−ブチルヒドロペルオキシド(70%溶液,和光純薬工業(株)製)と、テトラエチレンペンタミン(東京化成工業(株)製)とを1:1(モル比)の割合で添加した。重合開始剤の添加量は、反応系の全量に対して3.9×10-3mol/Lとなるように調整した。 【0032】さらに、ラテックス攪拌しながらアクリロニトリルモノマー(東京化成工業(株)製)を添加して、当該モノマーをグラフト共重合させた。アクリロニトリルモノマーの添加量は、ラテックスのゴム分100重量部に対して10重量部とし、モノマー全量を3〜24時間かけてラテックス中に滴下した。アクリロニトリルモノマーの滴下終了後、さらに30℃で3時間反応させることによって、アクリロニトリルによって改質された脱蛋白天然ゴムラテックスを得た。 【0033】実施例2,3および比較例1アクリロニトリルモノマーの添加量を、ゴム分100重量部に対して15重量部(実施例2)、30重量部(実施例3)または5重量部(比較例1)としたほかは、実施例1と同様にして、アクリロニトリルによって改質された脱蛋白天然ゴムラテックスを得た。 【0034】比較例2アクリロモノマーに代えて、メタクリル酸メチルモノマー(MMA,東京化成工業(株)製)を使用し、その添加量を、ゴム分100重量部に対して15重量部としたほかは、実施例1と同様にしてグラフト共重合を行ない、MMAによって改質された脱蛋白天然ゴムラテックスを得た。 比較例3参考例1で得られた脱蛋白天然ゴムラテックスに代えて、天然ゴムのハイアンモニアラテックス(前出)を使用し、さらにアクリロニトリルモノマーの添加量を、ラテックスのゴム分100重量部に対して15重量部としたほかは、実施例1と同様にしてグラフト共重合処理を行なって、アクリロニトリルによって改質された天然ゴムラテックスを得た。 【0035】〔ゴム手袋の製造〕実施例1〜3および比較例1〜3で得られたラテックスを用いて、浸漬法によってゴム手袋を製造した。ゴム手袋の製造においては、まず、ラテックスに対し、そのゴム分100重量部に対して硫黄1重量部、亜鉛華1重量部、加硫促進剤Bz(ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛)1重量部を添加して24〜48時間前加硫を行ない、これを前加硫ラテックスとした。 【0036】次に、手袋製造用の型(手型)を50℃程度に加温して凝固液(硝酸カルシウムの25重量%水溶液)に浸漬し、さらに当該手型を前記の前加硫ラテックスに浸漬した。さらに、手型を前加硫ラテックスから引き上げて、100℃のオーブンに30分間放置して加硫を行ない、脱型してゴム手袋を得た。一方、参考例1で得られた脱蛋白天然ゴムラテックスを用いたほかは、実施例1と同様にしてゴム手袋を製造し、これを対照1とした。また、参考例1にて使用した天然ゴムのハイアンモニアラテックスを用いたほかは、実施例1と同様にしてゴム手袋を製造し、これを対照2とした。さらに、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)ラテックス〔日本ゼオン(株)製の商品名「LX511」、ニトリル含有量37%、全固形分濃度46重量%〕を用いたほかは、実施例1と同様にしてゴム手袋を製造し、これを対照3とした。 【0037】〔ゴム手袋の物性評価〕実施例1〜3および比較例1〜3で得られたゴム手袋と、対照1〜3のゴム手袋について、下記の試験を行なってその物性を評価した。 (1) 引張試験ゴム手袋のゴム皮膜を打ち抜いて、引張試験用の試験片(ダンベル状4号形,JIS K 6251)を作製した。この試験片を用いて、JIS K 6251「加硫ゴムの引張試験方法」に所載の試験方法に従って、伸び300%時の引張応力M300 (MPa)、切断時引張強さTB (%)および切断時伸びEB (%)を求めた。 【0038】(2) 耐油性試験上記(1) と同様にして得られた試験片(ダンベル状4号形)を、浸漬試験用のアルコール添加燃料油No.4(JIS K 6258)に23℃で22時間浸漬した。次いで、浸漬後における伸び300%時の引張応力M300 (MPa)、切断時引張強さTB (%)および切断時伸びEB (%)を求めた。 【0039】さらに、次式(1),(2) に従って、浸漬後の切断時引張強さTB の保持率(%)と、浸漬後の切断時伸びEB の保持率(%)を算出した。 【0040】 【数1】
【0041】以上の結果を表1に示す。 【0042】 【表1】
【0043】表1に示した実施例1〜3と対照1〜3との結果により明らかなように、脱蛋白処理が施された天然ゴムに、シアノ基を有するモノマーを所定量添加してグラフト共重合することによって、油に浸漬させた後においても十分な機械的強度を有し(すなわち、耐油性に優れ)、柔軟性、着脱性およびフィット感を維持することのできるゴム手袋が得られることがわかった。 【0044】比較例1の結果より、グラフト共重合時のアクリロニトリルモノマーの添加量が、脱蛋白天然ゴムラテックスのゴム分100重量部に対して10重量部を下回るときには、耐油性の改善効果が不十分となることが分かった。また、比較例2の結果より、シアノ基を有しないモノマーによって改質したときには、耐油性の改善効果が不十分となることが分かった。さらに、比較例3の結果より、脱蛋白処理が施されていない天然ゴムラテックスを原料としてグラフト共重合を行なった場合は、グラフト共重合の反応率が低いために、耐油性の改善効果が乏しいことが分かった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000183233 【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社 【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号
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| 【出願日】 |
平成14年2月13日(2002.2.13) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100087701 【弁理士】 【氏名又は名称】稲岡 耕作 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−239119(P2003−239119A) |
| 【公開日】 |
平成15年8月27日(2003.8.27) |
| 【出願番号】 |
特願2002−35950(P2002−35950) |
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