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【発明の名称】 雨 衣
【発明者】 【氏名】石川 恵美子
【住所又は居所】滋賀県大津市大江1丁目1番1号 東レ株式会社瀬田工場内

【氏名】松本 真吾
【住所又は居所】滋賀県大津市大江1丁目1番1号 東レ株式会社瀬田工場内

【要約】 【課題】降雨時、車椅子で移動する時の雨衣に着座状態での着易さ、着せ易さ、また、脱ぎ易さ、脱がせ易さ、動きやすさを付与し、かつ着用時の着衣の乱れを防ぎ防水性、審美性を兼ね備えた車椅子に好適な雨衣を提供する。

【解決手段】前身頃(1)は、着用者の両足元を包み込むことができるようになっており、脇部分で後身頃(2)に接合され、該前身頃(1)の裾と該後身頃(2)の裾とで開口部を形成し、該開口部の周囲には弾性素材を挿入もしくは縫い付けてある雨衣。
【特許請求の範囲】
【請求項1】防水性の生地からなり、前身頃と後身頃の上部には頭部を通すための第一の開口部、両袖には腕部を通すための第二、第三の開口部を有し、第一の開口部から前身頃中心部分の裾までの長さが、第一の開口部に相当する位置から後身頃中心部分の裾までの長さの1.5倍から3倍となっており、該前身頃と後身頃は脇部分で接合され、接合部以外の前身頃左右脇部と前身頃の裾と該後身頃の裾とで第四の開口部を形成し、該第四の開口部の前身頃の裾から脇部にかけて紐状の素材を挿通するとともに、該紐状の素材の脇部側端部に身頃部分と係合する係止具を取り付けたことを特徴とする雨衣。
【請求項2】前記第一の開口部には、頭部を覆うことができる大きさのフードが縫着もしくは脱着可能な方法で取り付けられ、該フードの面積の1/4以上が透明シートであることを特徴とする請求項1に記載の雨衣。
【請求項3】前記フードの透明シートと本体生地とは身返し布を介して縫着され、該身返し布と本体生地の間には紐状の素材が挿通されていることを特徴とする請求項1または2に記載の雨衣。
【請求項4】前記雨衣の少なくとも一部の縫着縫目が防水テープで処理されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の雨衣。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は着脱性、着用快適性に優れた車椅子用に好適な雨衣に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の雨衣の大半が立位姿勢の着用状態を基本に、機能性の面では着用時の着心地の良さ、動き易さなどに主眼を置き衣服設計されている。また、審美性の面でもやはり立位状態での見た目の美しさなどを中心にパターンメイクおよび製造がなされているのが現状である。したがって、雨の中、車椅子で移動しなければいけない状況下では、従来の雨衣では身体全体を覆うことはできなかった。また、ポンチョ式のように頭からすっぽりかぶり裾を開放する型では風雨により、雨衣が乱れて身体が濡れることも多かった。
【0003】これまで、車椅子用レインコートとして、実用新案第3003647号において、ポンチョ型のものが提案されているが、該形態では易着脱性には効果はあるものの、車椅子との固定や、着用時の着衣の乱れや防水性を解決することはできなかった。
【0004】また、降雨や風によりフードが脱げたり雨が顔面にあたることを軽減するために実用新案3078788号において、視界満足な雨合羽が提案されているが、該形態では左右、特に斜め後ろの視界が確保できないという問題を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、降雨時、車椅子で移動する時の雨衣に着座状態での着易さ、着せ易さ、また、脱ぎ易さ、脱がせ易さ、動きやすさを付与し、かつ着用時の着衣の乱れを防ぎ安全性を確保し、加えて防水性、審美性を兼ね備えた車椅子用に好適な雨衣を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成する本発明の雨衣は、前身頃と後身頃の上部には頭部を通すための第一の開口部、両袖には腕部を通すための第二、第三の開口部を有し、第一の開口部から前身頃中心部分の裾までの長さが、第一の開口部に相当する位置から後身頃中心部分の裾までの長さの1.5倍から3倍となっており、該前身頃と後身頃は脇部分で接合され、接合部以外の前身頃左右脇部と前身頃の裾と該後身頃の裾とで第四の開口部を形成し、該第四の開口部の前身頃の裾から脇部にかけて紐状の素材を挿通するとともに、該紐状の素材の脇部側端部に身頃部分と係合する係止具を取り付けたことを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の雨衣について、一態様を示す図面を参照しつつ詳細に説明する。 図1は、本発明の雨衣を車椅子使用者が着用した状態の一態様を示す側面図、図2は、図1の前面図、図3は後面図、図4はセットインスリーブにおける後身頃中心部で切り開いた図である。また、図5は本発明に係る雨衣の前裾から脇部の紐状の素材の係止具と身頃部分に設けた係止具の一例を示す図であり、図6は本発明に係る雨衣のフードの一例を示す裏面図である。
【0008】なお、図1中、点線で描写している部分は雨衣で隠れている部分を示す。
【0009】本発明においては、前身頃1と後身頃2の上部には頭部を通すための第一の開口部6、左右両方の袖5には腕部を通すための第二の開口部7、および第三の開口部8を有し、前記第一の開口部6から前身頃中心部分の裾13までの長さ10が、第一の開口部6に相当する後身頃開口部6の位置から後身頃中心部分15の裾14までの長さ11の1.5倍から3倍となっており、上記前身頃1と後身頃2は肩線と脇部分12で接合され、該接合部以外の前身頃左右脇部分12と前身頃の裾13と後身頃の裾14とで第四の開口部9を形成し、該第四の開口部9の前身頃の裾13から脇部12にかけて紐状の素材17を挿入もしくは縫い付けてあり、図5に示すように、その紐状の素材17の左脇部側および右脇部側の先端部にはそれぞれ係止具A16が取り付けられるとともに、さらに該係止具16は身頃部分に取り付けられた係止具B18と係止するようになっている。
【0010】上記紐状の素材17は前裾13から脇部12にかけて挿入もしくは縫い付けられて挿通されている。この紐状の素材17は一方の脇部から前裾を経て他方の脇部に連続して挿通されていてもよいし、前裾から分割して両脇に向かって2本挿通されていてもよい。
【0011】なお、本発明の雨衣においては、脇部から下の部分は前身頃部分はあるが、後身頃部分はない。
【0012】着用方法は、まず両腕部を雨衣の両袖5に有する第二の開口部7、第三の開口部8に通し、上部に設けられた第一の開口部6に頭部を入れる。次に前身頃1を身体の前面から膝を通り足先および車椅子のフットプレート20に広げながら着用する。このとき、車椅子のタイヤ19には雨衣がかぶらないように注意する。次に前身頃の裾13から脇部分12にかけて挿入もしくは縫いつけてある紐状素材17を両脇から引っ張り上げる。そうすることにより、前身頃の裾13から脇部分12の長さが短くなり雨衣が身体全体および車椅子を覆うことができ、次に紐状素材17の先端に縫い付けた係止具A16を身頃部分12に設けた係止具B18に係止することにより、雨衣を着用した状態で車椅子を稼働させても、風雨により雨衣が乱れて身体が濡れることを防ぐことができる。
【0013】このとき使用する紐状素材17は、弾性糸でも弾性糸以外でも紐状のものであればよく、より好ましくは、弾性糸と弾性糸以外の素材を組み合わせることにより、適度の伸縮性を持った紐が得られる。また、用いる係止具の種類は、面ファスナー、Dカン、マルカン、バックル、ナスカン、ドットボタンなどを用いることができるが、中でもマルカンやDカンとナスカンの組み合わせが係止しやすく好ましい。これら一対の係止具を用いることにより、着脱が格段に容易になる。なお、前裾から脇部にかけて紐状の素材17を挿入できるように生地端を二つ折りもしくは三つ折りして、紐状の素材の取り出し口21を除いてステッチをかける。紐状の素材の取り出し口21を設けることにより、係止した一対の係止具16と18が雨衣表面から隠れるため、安全性、耐久性の面で好ましい。この場合、生地端は表に向かって折っても裏に向かって折りステッチをかけても同様の効果が得られる。
【0014】本発明における車椅子用雨衣は、第一の開口部から前身頃中心部分の裾までの長さ10が、第一の開口部に相当する位置から後身頃中心部分の裾までの長さ11の1.5倍から3倍長くなっている。このように寸法差を設けることにより、その差寸分が足先および車椅子のフットプレート20を包み込むことが可能になる。また、差寸を設けることにより、後身頃が車椅子の背中や座席の間に挟持され、肩や尻でひっぱりが生じたり、後身頃の生地が余り、背中でごろついたりすることがなくなる。1.5倍から3倍寸法差の設け方は図4に示すような前身頃から連続した形でもよいし、また、寸法差分の別布を縫い合わせても同じ効果が得ることができる。さらに、曲線で脇部分12と前身頃の裾13を結んで差寸を設けても同じ効果を得ることができる。
【0015】また、本発明における第一の開口部6は、防水性、易着脱性の点に考慮すると、正面(前)において胸部が解放しにくい無端状の開口部が好ましい。また、デザインの一例として一部分が胸部近辺までの前あき部分を有してもよく、その場合はファスナーやボタンで開閉できるようにしておくことがより好ましい。さらに、第一の開口部6には、頭部を覆うことができる大きさのフード3が縫着もしくは脱着可能な方法で取り付けられ、該フードの面積の1/4以上が透明シート4であることが好ましい。降雨時に雨衣を着用して外出する時、フードを着用して頭部を覆う必要がある。該フードの面積の1/4以上が透明シート4とすることにより、前方、左右、斜め後ろの視界を確保することができる。フードの面積の1/4以下を透明シートにすると、前方、左右、斜め後ろの視界を確保することができない。また、フード全てを透明シートにしてもよいが、頭部の状態が全て見えるため、着用時の外観品位に劣る。視界の確保、着用時の外観品位の両方を満足させるには1/4から1/2の面積とすることがより好ましい。
【0016】本発明における雨衣の本体生地としては、通常用いられる合成繊維もしくは天然繊維からなる布帛、または耐水性シートからなる雨衣用素材を用いることができるが、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル繊維、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド繊維からなる布帛を用いる。さらに、こうした布帛にアクリルコーティングやウレタンコーティング、各種ラミネート、撥水加工などを施して防水性を向上させたものや、高密度に織布することにより防水性を向上させたような防水素材を用いることがより好ましい。また、フードの一部には厚さ0.1mmから0.5mmの透明ビニールシートを使用するのが着用感、透明性、耐久性の点で好ましい。
【0017】該フード3の透明シート4と本体生地とは図6に示すように身返し布22を介して縫着され、該身返し布と本体生地の間には紐状の素材が挿通されていることが好ましい。紐状の素材を挿通することにより、着用時に紐をひっぱりフードを頭に固定させることができ好ましい。
【0018】また、本発明における雨衣の防水効果向上のためには、雨衣の一部の縫い目、好ましくは全部の縫い目の裏側に防水テープを貼ることが有効である。
【0019】
【実施例】以下、本発明の衣服について実施例ならびに比較例をあげてさらに具体的に説明する。
【0020】実施例および比較例において用いた車椅子用雨衣の着脱性、着用感、防水性、審美性および安全性評価基準を表1に示す。
【0021】実施例1〜3ナイロンの裏面にポリウレタンコーティングを加工した生地を用い、次の順序で縫製し、車椅子用雨衣を得た。寸法、係止具の種類などは表2の条件とし、着脱性、着用感、防水性、審美性および安全性の結果を表2に併記した。
【0022】(1) 前身頃と後身頃を肩線、脇線で縫い合わせる。
【0023】(2) 前身頃と後身頃で形成したアームホール(袖付け)に左右の袖を縫い付ける。
【0024】(3) 前身頃の裾と後身頃の裾とで形成した開口部の周囲に係止具の一方を設けた紐状の素材を挿入する。
【0025】(4) 脇に他方の係止具を縫い付ける。
【0026】(5) 透明シートと身頃生地からなるフードを取り付ける。
【0027】(6) 縫い目の裏面に防水テープを貼り付ける。
【0028】比較例1肩線で連続した前後身頃を左右脇を縫い合わせ、裾を開放したポンチョ式雨衣を作製した。この評価結果を表2に併記した。
【0029】比較例2前ファスナーで開閉出来る腰丈までの左右の前身頃と、この前身頃とほぼ同じ長さをもつ後身頃とを左右肩と左右脇部分で縫い合わせて左右袖を縫い付けた上衣と、ズボン形態をもつ下衣で構成された二部式の雨衣を作製した。この評価結果を表2に併記した。
【0030】
【表1】

【0031】
【表2】

【0032】
【発明の効果】本発明における雨衣は、着脱の方法や前後身頃の長さに工夫をこらしているので、特に車椅子の利用者に最適で、突然の降雨時にでも車椅子上で容易に着脱することができる。また、フードの素材にも工夫をこらしたので、着用時の視界の確保ができ、安全性が格段に向上することができる。
【出願人】 【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋室町2丁目2番1号
【出願日】 平成14年10月17日(2002.10.17)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−227013(P2003−227013A)
【公開日】 平成15年8月15日(2003.8.15)
【出願番号】 特願2002−302533(P2002−302533)