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【発明の名称】 接着布
【発明者】 【氏名】片山 雅行
【住所又は居所】滋賀県守山市勝部四丁目1番11号 日本バイリーン株式会社内

【要約】 【課題】基布表面に第一樹脂層として熱可塑性の微粒子樹脂を含む非接着樹脂をドット状などにプリントし、該プリント上に第二樹脂層として熱可塑性樹脂を付着させた接着芯地において、第二樹脂層の熱可塑性樹脂の脱落は防止できたが、接着芯地として特に初期の接着力、ドライクリーニング後の接着力、及び水洗濯後の接着力の向上に関し、更なる改良が必要であった。

【解決手段】基布3の表面に第一樹脂層1を介して第二樹脂層2を有する接着布であって、第一樹脂層1が架橋性樹脂と熱可塑性の微粒子樹脂と可塑剤との混合物からなり、第二樹脂層2が熱可塑性樹脂からなる接着布とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基布表面に第一樹脂層を介して第二樹脂層を有する接着布であって、第一樹脂層が架橋性樹脂と熱可塑性の微粒子樹脂と可塑剤との混合物からなり、第二樹脂層が熱可塑性樹脂からなる接着布。
【請求項2】 前記第一樹脂層に含まれる熱可塑性の微粒子樹脂の平均粒径が0.01〜10μmであることを特徴とする請求項1に記載の接着布。
【請求項3】 前記第一樹脂層に含まれる熱可塑性の微粒子樹脂の量が前記架橋性樹脂100重量部に対して25〜400重量部であることを特徴とする請求項1または2に記載の接着布。
【請求項4】 前記第一樹脂層の可塑剤の量が前記架橋性樹脂100重量部に対して1〜200重量部であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の接着布。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は接着布に関し、特に接着芯地等に適した接着布に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、不織布、編布または織物等の基布に熱可塑性樹脂などの接着樹脂をドット状に付着させた接着芯地が知られているが、この接着芯地は表地などと接着させる際に、溶融した熱可塑性樹脂が芯地の基布側にしみこみ、表地との充分な接着力が得られなかったり、さらに熱可塑性樹脂が芯地基布の中を通って反対面にまでしみ出したりする現象(以下逆シミと称する。)があった。
【0003】このような逆シミの防止対策としては、基布に第一樹脂層として加熱により溶融して接着することのない非接着性の樹脂、例えば熱架橋性樹脂や接着温度で溶融しない樹脂をドット状などの形状にプリントし、次にプリントされた非接着性の樹脂の上に第二樹脂層として例えば熱可塑性樹脂の紛体を付着させた接着芯地が知られている。この接着芯地は表地との接着時に第二樹脂層の熱可塑性樹脂が第一樹脂層の非接着性の樹脂層に遮断されて基布にしみこまないため、逆シミが少なく、表地との高い接着力が得られるものであった。しかし、この接着芯地には、第一樹脂層の非接着性の樹脂と第二樹脂層の熱可塑性樹脂との親和性が悪いという問題があり、この接着芯地を表地と接着する前に、第二樹脂層の熱可塑性樹脂が第一樹脂層の非接着性の樹脂の上から脱落するという問題(以下パウダー落ちと称する。)があった。また、近年接着するのが困難な表地が増えてきており、従来の接着芯地では充分な接着ができない場合があった。更に、接着後にスチーム処理をした際の接着力の低下も大きいことが問題となっていた。
【0004】このような問題を解決するために、本発明者は特開2001−315232号公報で、第一樹脂層の非接着性の樹脂に熱可塑性の微粒子樹脂を混合した接着布を提案した。この接着布により接着性、耐スチーム性、パウダー落ちを改良することができた。しかしながら、接着力、特に初期の接着力、ドライクリーニング後の接着力、及び水洗濯後の接着力の向上に関し、更なる改良が市場から求められていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、本発明はパウダー落ちの問題を解決しつつ、表地との充分な初期接着力を有し、逆シミが少なく、スチーム処理の際にも接着力の低下がし難く、更に、ドライクリーニング後の接着力や水洗濯後の接着力も向上した接着布を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための手段は、請求項1の発明では、基布表面に第一樹脂層を介して第二樹脂層を有する接着布であって、第一樹脂層が架橋性樹脂と熱可塑性の微粒子樹脂と可塑剤との混合物からなり、第二樹脂層が熱可塑性樹脂からなる接着布である。
【0007】請求項2の発明では、前記第一樹脂層に含まれる熱可塑性の微粒子樹脂の平均粒径が0.01〜10μmであることを特徴とする請求項1に記載の接着布である。
【0008】請求項3の発明では、前記第一樹脂層に含まれる熱可塑性の微粒子樹脂の量が前記架橋性樹脂100重量部に対して25〜400重量部であることを特徴とする請求項1または2に記載の接着布である。
【0009】請求項4の発明では、前記第一樹脂層の可塑剤の量が前記架橋性樹脂100重量部に対して1〜200重量部であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の接着布である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の接着布は、図1に示すように、基布3の表面に第一樹脂層1を介して第二樹脂層2を有する接着布であって、第一樹脂層1が架橋性樹脂と熱可塑性の微粒子樹脂と可塑剤との混合物からなり、第二樹脂層2が熱可塑性樹脂からなる接着布である。
【0011】前記基布3としては、不織布、織物、編物及びこれらの複合布などが適している。不織布としては特に限定されず従来の不織布の製法によって得られるものを用いることができるが、たとえば熱エンボスロールで点状の熱接着部を多数形成したポイントシール不織布に代表される繊維接着不織布、エマルジョンバインダーなどの接着剤によって繊維交点が接着された接着剤結合型不織布、水流絡合不織布、およびこれら不織布とフィラメントやネットなどとを複合して補強した複合不織布などが好適である。
【0012】基布3に使用する繊維としては、特に限定されず、ポリエステル系繊維、ナイロン系繊維、アクリル系繊維やこれらの繊維を混合したものなどが好ましい。また、基布3の面密度は10〜50g/mが好ましく、15〜40g/mがより好ましい。
【0013】基布3の表面には、第一樹脂層1が形成されており、第一樹脂層1は、架橋性樹脂と熱可塑性の微粒子樹脂と可塑剤との混合物からなっている。
【0014】前記架橋性樹脂には、例えばアクリル樹脂、ウレタン樹脂などがあり、特に自己架橋型のものが好ましい。
【0015】前記熱可塑性の微粒子樹脂は、前記架橋性樹脂と混合されているが、均一に混合されていることが好ましい。また、この熱可塑性の微粒子樹脂は、融点が80〜150℃の樹脂であることが好ましく、特にポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂などが好ましい。また第一樹脂層に含まれる微粒子樹脂の平均粒径は0.01〜10μmが好ましく、0.01〜1μmがより好ましい。平均粒径が10μmよりも小さいと第二樹脂層2との接着力が高まり、パウダー落ちが少なくなるという効果が顕著に得られ、1μm以下であると更に効果が顕著に得られる。
【0016】前記第一樹脂層1における熱可塑性の微粒子樹脂の量は、前記架橋性樹脂100重量部に対して25〜400重量部であることが好ましく、65〜150重量部であることがより好ましい。架橋性樹脂に対する微粒子樹脂の重量比率を上げることで、パウダー落ちが減少し、接着力が向上し、更にスチーム後の接着力保持性が向上するなどの効果が得られる。しかし、400重量部を越えると逆シミ現象が起きる場合がある。
【0017】前記可塑剤は、スルホンアミド系の可塑剤が好ましく、特にp-トルエンスルホンアミド,o-トルエンスルホンアミド,N-エチル-p-トルエンスルホンアミド,N-エチル-o-トルエンスルホンアミド,ブチルベンゼンスルホンアミド等の単独または混合物が好ましい。また可塑剤の形状は、どのような形状でもかまわないが、加工性の面、及び効果の速さの面を考慮すると液体状であることが好ましい。
【0018】前記第一樹脂層1における可塑剤の量は、前記架橋性樹脂100重量部に対して1〜200重量部であることが好ましく、5〜150重量部であることがより好ましい。1重量部より少ないと、初期の接着力や、ドライクリーニング後の接着力の向上や、水洗濯後の接着力の向上についての効果が得られない場合がある。また200重量部を超えると、添加量相当の効果が得られなかったり、基布に第一樹脂層を形成する際に加工性が悪くなったりする場合がある。
【0019】前記第一樹脂層1は、前記架橋性樹脂、前記熱可塑性の微粒子樹脂、および前記可塑剤以外にも、例えば加工性向上のために加えられる増粘剤や消泡剤などの添加剤を含んでいても良い。これらの添加剤の量は前記架橋性樹脂100重量部に対して30重量部以下が好ましい。
【0020】第一樹脂層1を基布3の上に形成する方法としては、例えば架橋性樹脂のエマルジョンと前記熱可塑性の微粒子樹脂を水に分散させたディスパーションと液体の可塑剤とを混合させ、必要に応じて更に添加剤などを混合させたペーストを、ロールプリンタなどを用いて基布の上にドット状にプリントした後、乾燥させる方法がある。このようにして形成された第一樹脂層1のドットの直径が0.1〜1.0mmの範囲にあれば接着布の風合いが柔軟であるので好ましく、0.2〜0.5mmの範囲であればより好ましい。また、ドットの個数は10〜250個/cmであることが望ましい。また、第一樹脂層1の付着面積(プリントによる場合はプリント面積)は、基布表面の3〜40%であると風合いが柔軟となるので好ましく、3〜20%であると更に風合いが柔軟となるのでより好ましい。
【0021】本発明の接着布は、第一樹脂層1の表面上に第二樹脂層2が形成されている。第二樹脂層2に用いられる熱可塑性樹脂としては、融点が80〜150℃の熱可塑性樹脂が好ましく、特にポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂などが好ましい。また、この熱可塑性樹脂は第一樹脂層に用いる熱可塑性の微粒子樹脂と同種の樹脂であることが好ましい。また、この熱可塑性樹脂の形態は、粉体状が好ましいが、ディスパージョン、溶液なども可能である。粉体状の場合はその平均粒径は50〜300μmが好ましく、100〜200μmがより好ましい。
【0022】第二樹脂層2を、第一樹脂層1の表面上に形成する方法は特に限定されないが、例えば前述のように第一樹脂層1のペーストによりドット状にプリントする工程の後、プリントが未乾燥のうちに第二樹脂層2を形成するために用意した熱可塑性樹脂粉体を、ドット状にプリントした上から吹き付け、プリントされた部分に熱可塑性樹脂粉体を付着させ、次にプリントされた部分以外の基布に付着した粉体を払い落とすという方法がある。
【0023】前記第二樹脂層の熱可塑性樹脂粉体の量が3〜30g/mの範囲であれば、得られる接着布の接着力と風合いとが良好であるので好ましく、5〜20g/mであればより好ましい。
【0024】
【実施例】以下、具体的な実施例により本発明を説明するが、下記説明は本発明が理解できる程度に特定の条件を例示して説明するものであって、本発明は下記の条件に限定されるものではない。
【0025】(実施例1〜3)基布として、ポリエステル加工糸(33デシテックス/18フィラメント)からなる面密度24g/mの織物(糸密度 タテ89本/インチ、 ヨコ60本/インチ)を準備した。該基布に第一樹脂層を形成するため、ポリエステル系樹脂のディスパージョン(樹脂の粒径1.0μm)と自己架橋型アクリル酸エステル系樹脂エマルジョンとスルホンアミド系の可塑剤とを混合させて作製したペーストを該基布の上に112個/cmの個数となるようにドット状にプリントした。なお、ペーストの作成に際しては、プリントの加工性向上のために、接着布の諸物性に対してほとんど影響を及ぼすことのない、増粘剤と消泡剤とをアクリル酸エステル樹脂100重量部に対して30重量部以下の比率で用いた。次いでこの第一樹脂層が粘着性を持っている状態で融点120℃のポリエステル系樹脂粉体(粉体の粒径80〜160μm(平均粒径130μm))を散布し、プリント部分以外に付着した余剰分を払い落とした後170℃のドライヤーで乾燥して、第一樹脂層4g/m、第二樹脂層7g/mの接着布を得た。表1に第一樹脂層の混合物の配合割合を示す。また、ポリエステル系微粒子樹脂の融点を102℃、112℃、121℃の3段階に変え、それぞれ実施例1〜3とした。
【0026】(比較例1)基布に第一樹脂層を形成するため、ペーストとして自己架橋型アクリル酸エステル系樹脂エマルジョンからなるペーストを用いた以外は実施例1と同様にして、第一樹脂層4g/m、第二樹脂層7g/mの接着布を得た。表1に第一樹脂層の混合物の配合割合を示す。
【0027】(比較例2〜4)基布に第一樹脂層を形成するため、ペーストとしてポリエステル系樹脂のディスパージョン(樹脂の粒径1.0μm)と自己架橋型アクリル酸エステル系樹脂エマルジョンとを混合させて作製したペーストを用いた以外は実施例1と同様にして、第一樹脂層4g/m、第二樹脂層7g/mの接着布を得た。表1に第一樹脂層の混合物の配合割合を示す。また、ポリエステル系微粒子樹脂の融点を102℃、112℃、121℃の3段階に変え、それぞれ比較例2〜4とした。
【0028】表1
【0029】実施例1〜3、及び比較例1〜4で得られた接着布について、接着力の評価、逆シミ試験、スチーム耐性試験、及びパウダー落ち試験を下記の試験法によって行い表1の結果を得た。
【0030】(接着力評価法)表地としてウールギャバジン(ウール100%)を準備した。まず該表地と、得られた接着布を樹脂面が内側になるように重ねあわせ、温度130℃、圧力0.29MPa、プレス時間10秒の条件で、ローラー型プレス機を使用して接着し、これを幅5cmのテープ状に裁断してサンプルとした。次いで、引っ張り試験機(オリエンテック社製)により、サンプルの接着布と表地を別々のチャックに挟み、引っ張り速度300mm/minの条件で引っ張って、剥離に要する力を測定した。
【0031】(逆シミ試験法)得られた接着布を2枚採取し、樹脂加工していない面同士を接触させ、更に接着力評価に用いたのと同じ表地2枚の間に挟み込み、温度130℃、圧力0.29MPa、プレス時間10秒の条件で、ローラー型プレス機を使用して接着し、次に接着したものを幅5cmのテープ状に裁断してサンプルとした。引っ張り試験機(オリエンテック社製)を用い、引っ張り速度300mm/minの条件で引っ張って、接着布の樹脂加工していない面同士が張り付いている部分の剥離に要する力を測定し、逆シミの度合いとした。この逆シミの度合いが1N/5cm以下の値であれば実用上逆シミによる問題はないと判定できる。
【0032】(スチーム耐性試験法)接着力評価と同様にサンプルを接着し、接着布の接着面が5cmX8.5cmになるように裁断する。図2に示した装置で短辺の一方を、10グラムの荷重で引っ張りながらスチーム圧 4kgf/cm、スチーム温度 100℃の条件でスチーム処理を行い、接着布が剥離するまでに要する時間を測定した。
【0033】(パウダー落ち試験法)得られた接着布の樹脂面に粘着テープ(日東電工包装システム製 NITTOTAPE N.29 )を置き、重さ400gのローラーにより荷重をかけて接着した後、粘着テープをはがし、テープに付着する樹脂量により下記の5段階の基準で判断した。
5級:テープ上に全く樹脂がついてない状態4級:テープ上にわずかに樹脂がついている状態3級:テープ上に樹脂がついている状態2級:テープ上に樹脂が多くついている状態1級:テープ上に樹脂が非常に多くついている状態【0034】表1で示されるように、実施例1〜3は、比較例1〜4と比較して、初期接着力、ドライクリーニング後の接着力、及び水洗濯後の接着力に優れている。また、スチーム耐性についてはほぼ同等である。また、接着力が向上するに伴い物性低下が懸念される逆シミの度合いについても1N/5cm以下と実用上問題がなく良好であり、しかも比較例2〜4と比較して、ほぼ同等の値である。このように表2から、実施例1〜3が、比較例1〜4と比較して、優れた物性を有することが分かる。
【0035】
【発明の効果】以上に示したように、接着剤層を2層で構成した本発明の接着布によって、逆シミが少なくなり、かつ2層構造の欠点であるパウダー落ちも少なくなり、またスチーム耐性も保持したまま、表地との初期の接着力が向上し、更に、ドライクリーニング後の接着力や水洗濯後の接着力も向上した、特に芯地などに好適な接着布を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000229542
【氏名又は名称】日本バイリーン株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区外神田2丁目14番5号
【出願日】 平成13年12月21日(2001.12.21)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−193312(P2003−193312A)
【公開日】 平成15年7月9日(2003.7.9)
【出願番号】 特願2001−389172(P2001−389172)