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【発明の名称】 裏 地
【発明者】 【氏名】後藤 裕利
【住所又は居所】大阪市北区堂島1丁目6番20号 東レ株式会社大阪事業場内

【氏名】土居 正幸
【住所又は居所】大阪市北区堂島1丁目6番20号 東レ株式会社大阪事業場内

【氏名】河野 徹
【住所又は居所】大阪市北区堂島1丁目6番20号 東レ株式会社大阪事業場内

【要約】 【課題】本発明は、風合いが良好であり、耐久性を有する保温性に優れた裏地を提供せんとするものである。

【解決手段】本発明の裏地は、一方の表面に水分子吸着発熱性能を有する合成樹脂層が露出し、他方の表面に金属層が露出していることを特徴とするものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】一方の表面に水分子吸着発熱性能を有する合成樹脂層が露出し、他方の表面に金属層が露出していることを特徴とする裏地。
【請求項2】該合成樹脂層が、吸湿性ポリマーおよび/または吸湿性微粒子を含むものであることを特徴とする請求項1記載の裏地。
【請求項3】該吸湿性ポリマーが、ビニルスルホン酸を主成分とするポリマーであることを特徴とする請求項2記載の裏地。
【請求項4】該吸湿性微粒子が、シリカ微粒子であることを特徴とする請求項2記載の裏地。
【請求項5】該金属層が、銀、銅、亜鉛、チタン、ニッケル、アルミニウム、前記金属の酸化物および前記金属を含有する合金から選ばれた少なくとも1種を含むものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の裏地。
【請求項6】該裏地が、構成要素として合成繊維を含むものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の裏地。
【請求項7】該合成繊維が、ポリエステル、ナイロンおよびアクリルから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項6記載の裏地。
【請求項8】該裏地の発熱エネルギー指数が、5以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の裏地。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、風合いが良好であり、耐久性を有する保温性に優れた裏地に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、裏地の保温性を高めるために、生地の厚さを増したり表面を起毛して空気含気率を向上させる方法や、合成繊維に炭化ジルコニウム等の近赤外線吸収剤粉末を添加し、太陽熱を吸収して保温性を高める方法などが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、生地の厚さを増したり表面を起毛する方法の場合、嵩ばるため用途が限定されるという問題があり、赤外線吸収剤粉末を添加する方法の場合、糸条製造装置が複雑になることに加え、染色加工時に色々な制約が生じ、さらに他の繊維を複合した場合は効果が減少する等の問題があった。
【0004】本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、風合いが良好であり、耐久性を有する保温性に優れた裏地を提供せんとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の裏地は、一方の表面に水分子吸着発熱性能を有する合成樹脂層が露出し、他方の表面に金属層が露出していることを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明における水分子吸着発熱性能を有する合成樹脂層は、着用中には水分子吸着により発熱する一方、着用前に一定量吸着した空気中の水分子の、空気に比べて非常に大きい熱容量により、着用直後には接触冷感を高める作用がある。このため、本発明においては、一方の生地表面に水分子吸着発熱性能を有する合成樹脂層が露出し、他方の生地表面、さらに詳しくは肌に触れる面に金属層が露出している必要がある。この条件を満たすことにより、着用直後の接触冷感を抑え、且つ着用中の水分子吸着発熱性を得ることができる上、金属層により輻射反射効果をもたせ保温性を向上させることができる。
【0007】一方の生地表面に水分子吸着発熱性能を有する合成樹脂層を露出させ、他方の生地表面に金属層を露出させる方法としては、該合成樹脂をパディング法により生地に含浸、乾燥、固着させた後、真空蒸着法、イオンプレコーティング法、スパッタリング法等の公知の方法により、一方の表面に金属蒸着する方法等が好ましく採用される。また、該合成樹脂層を、一方の生地表面にキスロール方式、グラビアコーティング、泡加工等の後加工で吸湿性ポリマーや吸湿性微粒子を固着させ、他方の生地表面に金属蒸着させる方法を採用することによっても形成することができる。
【0008】本発明における合成樹脂層は、水分子吸着発熱性能に優れる点で、吸湿性ポリマーおよび/または吸湿性微粒子を含むものが好ましく使用され、該吸湿性ポリマーがビニルスルホン酸を主成分としたポリマーであることがさらに好ましい。該成分を付与する方法としては、ビニルスルホン酸と架橋剤をパディング法により生地に含浸、乾燥、固着させた後、熱処理等によりポリマー化して繊維表面に固着する方法等が採用される。
【0009】なお、ビニルスルホン酸はpHが低いため、綿やナイロン等の脆化防止に、予め中和したビニルスルホン酸ナトリウムを用いることもできる。また、ビニルスルホン酸亜鉛を用いると、消臭性能も付与することができる。
【0010】かかるビニルスルホン酸としては、例えばアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸が水分子吸着発熱性能の点で好ましい。また、吸湿率の高いシリカ微粒子をバインダーを用いて繊維表面に固着することでも得られる。
【0011】本発明における金属層は、輻射反射効果による保温性に加え、抗菌性、消臭性の点で銀、銅、亜鉛、チタン、ニッケル、アルミニウム、前記金属の酸化物、前記金属を含有する合金から選ばれた少なくとも1種を含むものであることが好ましい。
【0012】本発明における裏地は、水分子吸着発熱性能を阻害せず、且つ、コントロールしやすい点で、構成要素として合成繊維を含むものであることが好ましく、かかる合成繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートに代表されるポリエステル系合成繊維、ナイロン6やナイロン6,6に代表されるポリアミド系合成繊維、ポリアクリロニトリル系合成繊維等が好ましく使用される。また、保温性の点から、該合成繊維の仮ヨリ加工糸、タスラン加工糸、糸長差複合糸、コンジュゲート糸等の、ふくらみを有する糸条であることが好ましい。
【0013】かかる繊維は、長繊維でも短繊維でも使用することができる。また、かかる繊維の断面の形状は、円、三角等いずれの形状でもさしつかえなく、布帛の形態としては、織物、編物を問わないが、織物が耐久性の面で好ましい。さらに、織物の組織は平、綾、朱子等特に限定されない。
【0014】本発明でいう発熱エネルギー指数とは、ポリエステル100%素材と比較した水分子吸着発熱エネルギーであり、ポリエステル100%素材を1とした場合の比較値である。すなわち、試料を温度計あるいは熱電対の測定部に巻きつけて、30℃、30%RHの環境で調温、調湿させた後、30℃、90%RHの環境へ移動させた場合の吸湿時の温度上昇を経時的に観察し、横軸に時間、縦軸に温度としたグラフに30℃から上昇し、再び30℃に復元するまでプロットし、その面積を測定する。
【0015】具体的な測定法を以下に示す。
【0016】幅約3.5cmの試料3gをアルコール温度計あるいは熱電対の測定部に巻き、30℃、湿度30%RHの環境下に12時間以上放置後の温度を測定する。次に30℃、湿度90%RHの環境まで湿度を約3%/分の速度で変化させ、この間1分ごとに4時間後まで温度を測定する。測定後、上昇温度を積分したものを発熱エネルギー量として求め、次の式によって表す。
【0017】発熱エネルギー指数=試料の発熱エネルギー量/ポリエステルタフタ(JIS染色堅牢度試験用添付布)の発熱エネルギー量本発明における裏地は、発熱効果を実感しやすい点で、上述の発熱エネルギー指数が5以上であることが好ましい。
【0018】
【実施例】以下、本発明を実施例で詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[測定方法]
(1)発熱エネルギー指数幅約3.5cmの試料3gをアルコール温度計あるいは熱電対の測定部に巻き、30℃、湿度30%RHの環境下に12時間以上放置後の温度を測定する。次に30℃、湿度90%RHの環境まで湿度を約3%/分の速度で変化させ、この間1分ごとに4時間後まで温度を測定する。測定後、上昇温度を積分したものを発熱エネルギー量として求め、次の式によって表す。
【0019】発熱エネルギー指数=試料の発熱エネルギー量/ポリエステルタフタ(JIS染色堅牢度試験用添付布)の発熱エネルギー量(2)発熱効果(保温性向上効果)
縫製品を室温5℃、湿度65%RHの部屋で着用し、エルゴメーターで75Wの運動を15分実施した後、縫製品を脱ぎ、裏返し、裏地表面の温度を熱赤外線画像で測定するとともに着用感覚を確認した。
【0020】(実施例1)56デシテックス24フィラメント、丸断面のポリエチレンテレフタレート長繊維をタテ糸に使用し、ヨコ糸に84デシテックス36フィラメント、丸断面のポリエチレンテレフタレート長繊維仮撚り加工糸を用い、2/1ツイル織物を製織、連続減量機で減量率10%加工、次いで紺色に染色して、タテ糸密度123本/インチ、ヨコ糸密度90本/インチの供試布を得た。該供試布に、下記組成の処理液を含浸させた後、マングルでピックアップ率80%に絞り、乾燥機で120℃、2分乾燥させた。
【0021】
AMPS(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸) 20g/l PEG#1000ジメタクリレート (商品名P303 共栄社化学(株)製) 40g/l 過硫酸アンモニウム 2g/l乾燥後直ちに、105℃の加熱スチーマーで5分間処理し、湯水洗、乾燥し、ピンテンターで170℃、1分でセットした。その後、下記スパッタリング条件にて、一方の面にのみアルミニウム層を形成した。
【0022】
チャンバー内圧力 5×10-4Torrスパッタリング時間 0.5分印加電圧 580V電流 35Aスパッタリングガス アルゴン上記の手順により、発熱エネルギー指数15の裏地を得た。
【0023】上記の裏地を用い、肌面をアルミニウム層として、表地を目付180g/m2のポリエチレンテレフタレート100%平織物としたブルゾンを縫製し評価した。結果を表1に示す。
【0024】発熱効果は高く、着用時の感覚も快適なものであった。
【0025】(実施例2)実施例1で用いた供試布を用い、常法で弱撥水処理した後、一方の面に下記組成の処理液20%owfをドクターナイフコーティングで付与、乾燥機で120℃、2分乾燥させた。
【0026】
シリカ粒子 サイリシア550(富士シリシア化学(株)製) 240g/l バインダー KT7014(固形分40%)(高松油脂(株)製)100g/lここで使用したシリカ粒子は、平均粒子径が2.7μm、平均比表面積が500m2/gであった。その後、実施例1と同様の条件にて、上記コーティング面と反対の面にのみアルミニウム層を形成した。
【0027】上記の手順により、発熱エネルギー指数8の裏地を得た。
【0028】上記の裏地を用い、肌面をアルミニウム層として、実施例1と同一の表地を用いてブルゾンを縫製し評価した。結果を表1に示す。
【0029】発熱効果は高く、着用時の感覚も快適なものであった。
【0030】(比較例1)裏地として、実施例1で用いた供試布を未処理のまま用いた。この生地の発熱エネルギー指数は1であった。
【0031】上記の裏地と実施例1と同一の表地を用いてブルゾンを縫製し評価した。結果を表1に示す。
【0032】発熱効果は低く、着用時の感覚も不快なものであった。
【0033】(比較例2)スパッタリングによるアルミニウム層の形成を行わない以外は、実施例1と同様にして、発熱エネルギー指数15の裏地を得た。
【0034】上記の裏地と実施例1と同一の表地を用いてブルゾンを縫製し評価した。結果を表1に示す。
【0035】発熱効果は低く、着用時の感覚も不快なものであった。
【0036】(比較例3)実施例1で用いた供試布に、実施例2と同様の処方でアルミニウム層を形成したものを裏地とした。この生地の発熱エネルギー指数は0.1であった。
【0037】上記の裏地と実施例1と同一の表地を用いてブルゾンを縫製し評価した。結果を表1に示す。
【0038】発熱効果は低く、着用時の感覚も不快なものであった。
【0039】
【表1】

【0040】
【発明の効果】本発明によれば、風合いが良好であり、耐久性を有する保温性に優れた裏地を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋室町2丁目2番1号
【出願日】 平成13年12月19日(2001.12.19)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−193310(P2003−193310A)
【公開日】 平成15年7月9日(2003.7.9)
【出願番号】 特願2001−385565(P2001−385565)