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【発明の名称】 ウインドブレーカー
【発明者】 【氏名】春田 勝
【住所又は居所】滋賀県大津市大江1丁目1番1号東レ株式会社瀬田工場内

【氏名】横井 宏恵
【住所又は居所】滋賀県大津市園山1丁目1番1号東レ株式会社滋賀事業場内

【要約】 【課題】水分吸着性能を利用した、肌との接触面の接触温冷感を低下させることができる保温効果の高い優れたウインドブレーカーを提供する。

【解決手段】表地にカバーファクターが2,000以上である平組織織物またはカバーファクターが2500以上の綾組織織物に撥水加工を施してなる耐水圧が5kpa以上であり、通気度が5cm3/cm2・sec以下、かつ透湿度が3,000〜12,000g/m2・24hrの範囲にある放湿放熱抑制性能を有する高密度織物を表地として使用し、裏地に水分吸着発熱性能を有する発熱エネルギー指数が5以上あり、かつ裏地表面の接触温冷感(qmax)が0.1W/cm2以下である布帛を使用したインドブレーカーである。また、上記の表地に代えて、布帛の片面に合成樹脂からなる防水皮膜層を積層した耐水圧が5kpa以上あり、通気度が5cm3/cm2・sec以下、かつ透湿度が3,000〜12,000g/m2・24hrの範囲にある放湿放熱抑制性能を有する合成樹脂膜積層布帛を使用することもできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 表地に下記式のカバーファクターが2,000以上である平組織織物またはカバーファクターが2500以上の綾組織織物に撥水加工を施してなる耐水圧が5kpa以上であり、通気度が5cm3/cm2・sec以下、かつ透湿度が3,000〜12,000g/m2・24hrの範囲にある放湿放熱抑制性能を有する高密度織物を使用し、裏地に水分吸着発熱性能を有する布帛を使用したウインドブレーカーであって、該裏地の発熱エネルギー指数が5以上あり、かつ裏地表面の接触温冷感(qmax)が0.1W/cm2以下であることを特徴とするウインドブレーカー。
CF={(D1)1/2×M}+{(D2)1/2×N}
CF:カバーファクターD1:タテ糸の密度(dtex)
M :タテ糸の密度(本/2.54cm)
D2:ヨコ糸の密度(dtex)
N :ヨコ糸の密度(本/2.54cm)
【請求項2】 布帛の片面に合成樹脂からなる防水皮膜層を積層した耐水圧が5kpa以上あり、通気度が5cm3/cm2・sec以下、かつ透湿度が3,000〜12,000g/m2・24hrの範囲にある放湿放熱抑制性能を有する合成樹脂膜積層布帛を表地として使用し、裏地に水分吸着発熱性能を有する布帛を使用したウインドブレーカーであって、該裏地の発熱エネルギー指数が5以上あり、かつ裏地表面の接触温冷感(qmax)が0.1W/cm2以下であることを特徴とするウインドブレーカー。
【請求項3】 さらに中地として、発熱エネルギー指数が5以上の布帛を表地と裏地の間に挿入してなることを特徴とする請求項1または2記載のウインドブレーカー。
【請求項4】 水分吸着発熱性能を有する布帛が、繊維表面に吸湿性ポリマーおよび/または吸湿性微粒子を固着させてなることおよび/または合成繊維に親水基を有する単量体をグラフト共重合または架橋反応してなる改質繊維を5〜50重量%含有させてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のウインドブレーカー。
【請求項5】 吸湿性ポリマーが、ビニルスルホン酸、下記一般式[I]で表されるビニルモノマー、下記一般式[II]で表されるビニルモノマー、および下記一般式[III]で表されるビニルモノマーの1種もしくは2種以上を主成分とするポリマーであることを特徴とする請求項4記載のウインドブレーカー。
【化1】

(式中、X=HまたはCH3、n=9〜23の整数)
【化2】

(式中、X=HまたはCH3、m+n=は10〜30の整数)
【化3】

(式中、R=HまたはCH3、R1=Cl、Br、I、OCH3、OC25またはSCH3、m=0〜9の整数、l=10〜30の整数)
【請求項6】 吸湿性微粒子がシリカ微粒子であることを特徴とする請求項4記載のウインドブレーカー。
【請求項7】 改質繊維が、下記一般式[IV]に記載の群より選ばれた親水基を1つ以上含む単量体を合成繊維にグラフト共重合または架橋反応してなる改質繊維であることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のウインドブレーカー。
【化4】

(式中、R=アルキル基、M=アルカリ金属または−NH4、X=ハロゲン原子、n=1〜10)
【請求項8】 水分吸着発熱性能を有する布帛が、蓄熱剤を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のウインドブレーカー。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スポーツ用衣類に好適な、防風性と防水性を有し、かつ快適な保温性を持つウインドブレーカーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ウインドブレーカーにおいては、防風性と軽度な防水性の付与に主眼をおいたものが主体であり、ウインドブレーカーに保温性を付与したものとしては、布帛にアルミニウム粉末等を練り込んだ樹脂をコーティングして、身体からの輻射熱を反射させ断熱性を向上させたもの、あるいは、含気率を上げた素材を用い不動空気層を作ることにより断熱性を向上させたものが用いられている。
【0003】しかしながら、上述の含気率を上げた素材を用いた場合はカサ高になり、着用時の運動性が阻害されるという課題があり、また、輻射熱を反射させる素材はアルミニウム等の金属の色がつき、色展開に制限があるという課題があった。
【0004】これらの課題を解決するものとして吸放湿吸水発熱繊維を用いた衣料が、特公平7−59762号公報で提案されているが、該公報には単に吸放湿吸水発熱性繊維を使用した衣料や、それを中綿や裏地に使用した衣料の開示があるのみである。また、ここで用いられる吸放湿吸水発熱性繊維は、吸湿率が高いために、手や身体に触れたときに冷たく感じるとともに、吸放湿吸水発熱性繊維からなる衣料では、着用時に吸放湿吸水して発熱すると同時に、空気中に水蒸気を放散しているために気化熱を奪われる。吸放湿吸水発熱性繊維を用いた衣料において保温性に寄与するのは、吸放湿吸水発熱から気化熱を差し引いた熱量のみである。したがって、吸放湿吸水発熱が大きいものほど奪われる気化熱が大きいため、吸放湿吸水発熱をいくら大きくしても、保温性の向上効果は小さいという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、防風性と防水性を有するとともに、上記の実状に鑑み、水分吸着発熱による保温効果を最大限に生かし、かつ、手や身体に触れた時に冷たく感じることのないウインドブレーカーを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題について鋭意研究した結果、水分吸着発熱性能を有する布帛層の上に、気化熱を制御する放湿放熱抑制性能を有する布帛層として通気度が5cm3/cm2・sec以下、かつ透湿度が3,000〜12,000g/m2・24hrの範囲にある高密度織物または合成樹脂膜積層品を表地として積層することにより、水分吸着発熱性能を効率良く発揮されるのと同時に、水分吸着発熱性能を有する裏地の接触冷感(qmax)を小さくすることにより肌面に接した場合に冷たく感じることがない衣料が得られることを見出し、本発明に到達した。 すなわち、上記目的を達成するために、本発明のウインドブレーカーは以下の構成を採用する。
(1)表地に下記式のカバーファクターが2,000以上である平組織織物または、カバーファクターが2500以上の綾組織織物に撥水加工を施してなる耐水圧が5kpa以上であり、通気度が5cm3/cm2・sec以下、かつ透湿度が3,000〜12,000g/m2・24hrの範囲にある放湿放熱抑制性能を有する高密度織物を使用し、裏地に水分吸着発熱性能を有する布帛を使用したウインドブレーカーであって、該裏地の発熱エネルギー指数が5以上あり、かつ裏地表面の接触温冷感(qmax)が0.1W/cm2以下であることを特徴とするウインドブレーカー。
【0007】
CF={(D1)1/2×M}+{(D2)1/2×N}
CF:カバーファクターD1:タテ糸の密度(dtex)
M :タテ糸の密度(本/2.54cm)
D2:ヨコ糸の密度(dtex)
N :ヨコ糸の密度(本/2.54cm)
(2)布帛の片面に合成樹脂からなる防水皮膜層を積層した耐水圧が5kpa以上あり、通気度が5cm3/cm2・sec以下、かつ透湿度が3,000〜12,000g/m2・24hrの範囲にある放湿放熱抑制性能を有する合成樹脂膜積層布帛を表地として使用し、裏地に水分吸着発熱性能を有する布帛を使用したウインドブレーカーであって、該裏地の発熱エネルギー指数が5以上あり、かつ裏地表面の接触温冷感(qmax)が0.1W/cm2以下であることを特徴とするウインドブレーカー。
(3)さらに中地として、発熱エネルギー指数が5以上の布帛を表地と裏地の間に挿入してなることを特徴とする前記(1)または(2)記載のウインドブレーカー。
(4)水分吸着発熱性能を有する布帛が、繊維表面に吸湿性ポリマーおよび/または吸湿性微粒子を固着させてなることおよび/または合成繊維に親水基を有する単量体をグラフト共重合または架橋反応してなる改質繊維を5〜50重量%含有させてなることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のウインドブレーカー。
(5)吸湿性ポリマーが、ビニルスルホン酸、下記一般式[I]で表されるビニルモノマー、下記一般式[II]で表されるビニルモノマー、および下記一般式[III]で表されるビニルモノマーの1種もしくは、2種以上を主成分とするポリマーであることを特徴とする前記(4)記載のウインドブレーカー。
【0008】
【化5】

(式中、X=HまたはCH3、n=9〜23の整数)
【0009】
【化6】

(式中、X=HまたはCH3、m+n=は10〜30の整数)
【0010】
【化7】

(式中、R=HまたはCH3、R1=Cl、Br、I、OCH3、OC25またはSCH3、m=0〜9の整数、l=10〜30の整数)
(6)吸湿性微粒子がシリカ微粒子であることを特徴とする前記(5)記載のウインドブレーカー。
(7)改質繊維が、下記一般式[IV]に記載の群より選ばれた親水基を1つ以上含む単量体を合成繊維にグラフト共重合または架橋反応してなる改質繊維であることを特徴とする前記(4)〜(6)のいずれかに記載のウインドブレーカー。
【0011】
【化8】

(式中、R=アルキル基、M=アルカリ金属または−NH4、X=ハロゲン原子、n=1〜10)
(8)水分吸着発熱性能を有する布帛が、蓄熱剤を含有することを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載のウインドブレーカー。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明のウインドブレーカーは、耐水圧が5kpa以上であり、通気度が5cc/cm2・sec以下、かつ透湿度が3,000〜12,000g/m2・24hrの範囲にある放湿放熱抑制性能を有する高密度織物または合成樹脂膜積層布帛を表地として使用し、裏地に水分吸着発熱性能を有する布帛を使用したウインドブレーカーであって、その水分吸着発熱性能を有する裏地の発熱エネルギー指数が5以上あり、かつ裏地表面の接触温冷感(qmax)が0.1W/cm2以下であることを特徴とするウインドブレーカーである。
【0013】本発明の放湿放熱抑制性能を有する表地および水分吸着性能を有する中地や裏地に有用な布帛としては、使用目的等に応じて適宜な布帛を用いることができるが、例を挙げると、ポリエステル繊維やポリアミド繊維、アクリル繊維の如き合成繊維、アセテート繊維の如き半合成繊維、綿や麻や羊毛の如き天然繊維を、単独でまたは2種以上を混合、交編織した織物や編物、不織布等が特に限定なく用いられる。
【0014】本発明における放湿放熱抑制性能とは、気化熱を制御することを目的とする性能である。一方、水分吸着発熱性能を有する中地や裏地の布帛においては、身体から不感蒸泄等により放出された水分を吸着して発熱するが、同時に布帛から系外に水分を蒸発し、気化熱を奪うため実際に着用した場合の発熱効果は小さくなる。この気化熱を制御して、小さくすることによりはじめて、着用時に実感できる発熱効果が得られる。
【0015】しかしながら、気化熱を制御してそれを小さくしすぎると、放湿性が小さくなり、着用時の蒸れ感が大きくなり不快なものとなる。気化熱を防ぐと同時に、着用時の蒸れ感をなくすためには、放湿放熱抑制性能を有する表地の透湿度が、JIS L−1099(A−1法)の測定法で3,000〜12,000g/m2・24hrの範囲にあることが必要である。透湿度がこの範囲より低いと蒸れ感が大きくなり、また、この範囲より大きいと気化熱が大きくなり水分子吸着発熱性能が小さくなり発熱性能が実感できないものとなる。透湿度は、好ましくは4,000〜11,000g/m2・24hrの範囲であり、より好ましくは6,000〜11,000g/m2・24hrの範囲である。
【0016】透湿度を上述の範囲に制御する方法としては、カバーファクターが2000以上の平織物または、2500以上の綾組織織物の高密度織物の場合は、例えば、密度を高くしたり、太繊度糸を用いる等により生地厚を厚くすることにより、また、熱カレンダー処理による目つぶし加工により透湿度は低くなる。また、防水皮膜層積層品の場合は、親水性ポリウレタン、疎水性ポリウレタン、ポリテトラフロロエチレン、ポリエステル、ナイロン樹脂等の防水皮膜の皮膜素材や微多孔質皮膜、無孔質皮膜、微多孔質皮膜と無孔質皮膜の積層皮膜等の皮膜構造や、膜厚および、コーティング、ラミネート等の布帛との接着方法を選び、組み合わせることにより制御できるが、これらの方法に限定するものではない。
【0017】さらに表地の通気度を、JIS L−1096(フラジール形法)の測定法で5cm3/cm2・sec以下にすることが必要である。通気度がこれより大きいと外気が衣服内に入り、保温性を低下させる。また、裏地や中地の水分吸着発熱性能により暖められた空気が衣服外へ流出する。
【0018】通気度を上述の範囲に制御する方法としては、高密度織物の場合は、例えば、密度を高くしたり、熱カレンダー処理することにより通気度を低下させることができる。また、防水皮膜積層品の場合は、微多孔質皮膜の孔径および膜厚により制御できる。通気性をゼロにしたい場合は、無孔質皮膜を用いることにより実現できるが、これらの方法に限定するものではない。
【0019】さらに本発明で用いられる表地は、JIS規格L−1092による測定法で測定される耐水圧が、5kpa以上であることが必要である。耐水圧は、高ければ高い程、防水性の信頼性が高くなるため高い程好ましが、高くするためには、膜厚を厚くする必用があり、製造コストが高くなったり、風合いが硬くなるためウインドブレーカー用の表地としては300kpa以下とすることが好ましい。
【0020】また、本発明で用いられる水分吸着発熱性能を有する裏地や中地の布帛層を構成する繊維は、好ましくは吸湿性を有する繊維であり、例えば、繊維便覧−原料編−(発行:丸善(株))の245ページに記載のように、吸湿性を有する繊維は、水分を吸着して発熱することが古くから知られている。本発明で用いられる水分吸着発熱性能を有する布帛層は、これらの吸湿性を有する繊維からなる布帛を使用しても良いが、望ましくは、合成繊維に吸湿ポリマー等を分散して練り込むことにより、吸湿性を向上させた繊維、例えば、ナイロンにポリビニルピロリドン等の吸湿ポリマーを錬り込み紡糸して得られた吸湿性向上ナイロン糸等や、後加工等により吸湿性のあるポリマーおよび/または吸湿性のある微粒子を繊維表面に固着させることにより、吸湿性を増加させ水分吸着発熱性能を向上した布帛が実用上好ましく用いられる。
【0021】さらに望ましくは、合成繊維に吸湿ポリマー等を分散して練り込むことにより、吸湿性を向上させた繊維に、後加工等により吸湿性のあるポリマーおよび/または吸湿性のある微粒子を繊維表面に固着させることにより水分子吸着発熱性能をさらに増加させた布帛を使用することが好ましい。
【0022】吸湿性を増加させると、手または身体に触れたときに冷たく感じ、保温衣料には適さなくなる。本発明は、この現象を防ぐために、水分吸着発熱性能を有する裏地の肌と接する面(裏地の表面)の接触温冷感(qmax)を0.1W/cm2以下にする必要がある。
【0023】接触温冷感(qmax)が0.1W/cm2以下の布帛は、裏地の表面側に凹凸を付け、接触面積を小さくした布帛構造にすることにより得られる。例えば、布帛を起毛加工する方法や多重重組織で接触面積を小さくする方法で得ることができる。また、接触面のみに吸湿性の低い繊維を用いた2重組織織編物等の多重組織織編物でも得られるが、本発明はこれらに限定されず、いかなる方法でも接触温冷感(qmax)を0.1W/cm2以下にすれば良い。
【0024】接触温冷感(qmax)は好ましくは0.08W/cm2以下であり、より好ましくは0.05W/cm2以下である。接触温冷感(qmax)は、小さければ、小さい程、温感が高くなるため好ましいが、水分吸着発熱性能を有しながら小さくするためには複雑な布帛構造にする必用があり、製造コストが高くなる等の問題が生ずることより0.02W/cm2を下限とすることが好ましい。
【0025】この接触温冷感(qmax)は、素材表面の接触面積が小さい(凹凸がある)ほど、また吸湿率が小さい程接触温冷感(qmax)は小さくなる。例えば、ポリエチレンテレフタレート繊維100%使いの起毛トリコットの起毛面は0.04W/cm2であり、起毛されていない面は0.10W/cm2である。また、同じポリエチレンテレフタレート繊維100%使いの起毛トリコットを後加工で吸湿率3%にすると、起毛面の接触温冷感(qmax)は変化せず0.04W/cm2であるのに対し、起毛のない面は0.12W/cm2となる。
【0026】本発明の発熱エネルギー指数とは、ポリエステル繊維100%素材と比較した水分吸着発熱エネルギーであり、ポリエステル繊維100%素材を1とした場合の比較値である。具体的な測定法は実施例で詳細に示すが、アルコール温度計に3gの試料を巻き付け、30℃、30%RHの環境で調温、調湿させた後、30℃、90%RHの環境へ移動させた場合の吸湿時の温度上昇を経時的に観察し、横軸に時間、縦軸に温度としたグラフに30℃から上昇し再び30℃に復元するまでプロットし、その面積を測定するものである。
【0027】本発明で用いられる水分吸着発熱性能を有する布帛は、上述の発熱エネルギー指数が5以上必要である。発熱エネルギー指数が5未満では発熱効果が実感できない。発熱エネルギー指数は好ましくは8以上であり、さらに好ましくは10以上である。
【0028】発熱エネルギー指数を5以上にするためには、例えば、ナイロンにポリビニルピロリドンを5重量%練り込むことにより発熱エネルギー指数が13程度の糸が得られる。また、実施例に示したとおりポリエステル100%素材にアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸とPEG#1000ジメタクリレートの共重合物を3重量%程度付着させることにより発熱エネルギー指数が15程度の布帛が得られる。さらには、吸湿性微粒子をバインダーで布帛に固着しても得られるし、合成繊維に親水基を有する単量体をグラフト共重合や架橋反応させた改質繊維でも得られる。本発明は、これらの手法にとらわれるものではなく、いかなる方法でも発熱エネルギー指数を5以上にすれば良い。
【0029】発熱エネルギー指数は、高い程好ましいが、発熱エネルギー指数を高くするためには、繊維に練り込む添加物を多くしたり、繊維表面に固着する樹脂量等を多くしたり、また、改質する単量体を多くする必用があり、製造コストが高くなったり、繊維の強度が低下することがあるため、50以下とすることが好ましい。
【0030】本発明のウンイドブレーカーの表地に用いる通気度が5cc/cm2・sec以下、かつ透湿度が3,000〜12,000g/m2・24hrの範囲にある放湿放熱抑制性能を有する布帛として、次式のカバーファクターが2,000以上である平組織織物またはカバーファクターが2500以上の綾組織織物に撥水加工を施し、耐水圧を5kpa以上とした高密度織物が挙げられる。
【0031】
CF={(D1)1/2×M}+{(D2)1/2×N}
CF:カバーファクターD1:タテ糸の密度(dtex)
M :タテ糸の密度(本/2.54cm)
D2:ヨコ糸の密度(dtex)
N :ヨコ糸の密度(本/2.54cm)
上記の平組織織物または綾組織織物を構成するタテ糸およびヨコ糸に使用する繊維糸条は、好適には合成繊維よりなる長繊維でかつ繊度が30〜100dtexであり、単繊維繊度が0.2〜1.5dtexの細単糸繊度糸を用いることにより、高密度でも風合いが柔らかく、かつ通気度および透湿度を容易に目標範囲に制御できる点で望ましい。
【0032】カバーファクターが上述の範囲より小さくなると、通気度や透湿度が大きくなり放湿放熱抑制効果が得られなくなる。
【0033】カバーファクターの上限は、平組織の場合2700を超えると製織性が低下したり、風合いが硬くなるので2700以下とすることが好ましい。また、綾組織の場合は、2/1綾、3/1綾、4/1綾、変則綾組織等があり、組織により異なるため上限はいちがいに述べられないが、可職性限界より10%以下程度とすることが好ましい。
【0034】カバーファクターを上述の範囲にするだけでは、5kpa以上の耐水圧は得られない。撥水加工を施すことにより、はじめて耐水圧性能が得られる。この撥水加工は、通常用いられているフッ素系撥水剤やシリコーン系の撥水剤をパディング−ドライ−キュアリングする方法等で繊維表面に固着すればよい。また、例えば、特開平9−195169号公報等に記載されている様な洗濯耐久性に優れた撥水処理を施すことが好ましいが、これらの方法に限定されるものではない。
【0035】本発明においては、また、表地に通気度が5cc/cm2・sec以下、かつ透湿度が3,000〜12,000g/m2・24hrの範囲にした布帛の片面に合成樹脂からなる防水皮膜層を積層した耐水圧が5kpa以上の合成樹脂膜積層布帛を使用することにより、放湿放熱抑制性能が得られる。具体的には、布帛の片面にポリウレタンの湿式凝固法による微多孔膜や親水性ポリウレタンの無孔膜の単独膜や組合せ膜、またはポリテトラフルオロエチレン微多孔膜を積層した透湿防水加工品を挙げることができる。
【0036】これらの合成樹脂膜を積層する場合においては、通気度は比較的容易に制御できる。例えば、ポリウレタン微多孔膜の場合、特開平7−3655に記載がある様にポリウレタン樹脂中に、膨潤性層状ケイ酸塩の層間に第4級アンモニウムイオンを導入せしめた粘土有機複合体を分散させ湿式凝固することにより、湿式凝固で得られる微多孔膜の壁面に、さらに小さな孔が多数得られることにより透湿度が向上する。また、粘度有機複合体の変わりに無機微粒子を分散させることでも同様の効果が得られる。これらの分散量を変化させることにとり、目標の透湿度が得られる。さらにまた、親水性ポリウレタン無孔膜の場合、膜厚を薄くしたり、親水性樹脂中のポリオール成分をポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールとして添加量を増やすことにより、親水性が増加し透湿性が向上するが、これらに限定されるものではない。
【0037】また、通気度については、前述した方法で制御できる。
【0038】本発明では、上述の如き表地に水分吸着発熱性能を有し、かつ裏地表面の接触温冷感(qmax)が0.1W/cm2以下である裏地を接着剤で接着積層した布帛を用いてウインドブレーカーを縫製してもよいし、上記特性を有する表地と裏地を用い重ねて積層して縫製してもよい。
【0039】また、表地と裏地の間に発熱エネルギー指数が5以上の布帛を挿入することにより、裏地と中地の水分吸着発熱性能が積算されより高い水分吸着発熱効果が得られる。
【0040】また、布帛に水分吸着発熱性能を付与する方法としては、好適には、ビニルスルホン酸、上述した一般式[I]、[II]、[III]で表される化合物の1種もしくは2種以上を含有する溶液に重合開始剤を混合した処理液を、パディング法、スプレー法、キスロールコーター、スリットコーターなどの処理方法で付与後、乾熱処理、湿熱処理、マイクロ波処理、紫外線処理等によりポリマー化して、繊維表面に固着する方法がある。ビニルスルホン酸はPHが低く、そのまま用いると綿やナイロンは脆化するため、予め中和したビニルスルホン酸ナトリウムを用いる。また、ビニルスルホン酸亜鉛を用いると消臭性能も付与することができる。ビニルスルホン酸としては、例えば、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸が水分子吸着発熱性能の点で好ましい。
【0041】重合開始剤としては、通常のラジカル開始剤を使用でき、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素などの無機系重合開始剤や、2,2’−アゾビス(2−アミディノプロパン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(N、N−ジメチレンイソブチラミディン)ジハイドロクロライド、2−(カルバモイラゾ)イソブチロニトリルなどの有機系重合開始剤が挙げられる。また、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリルなどの水不溶性重合開始剤をアニオン、ノニオン等の界面活性剤で乳化させて用いてもよい。コスト、取り扱いに容易さの点からは、過硫酸アンモニウムが好ましく用いられる。さらに、重合効率を高めるために、重合開始剤としての過酸化物と還元性物質を併用する、いわゆるレドックス開始剤を用いてもよい。この過酸化物としては、例えば、過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウム、還元性物質としては、例えば、スルホキシル酸ナトリウムとホルマリンとの反応物やハイドロサルファイトなどが挙げられる。 処理液を繊維材料に付与する方法としては、通常用いられる手段が適用可能である。例えば、真空脱水機で処理するなどして付与量を調整することも好ましく行われる。
【0042】また、ポリエステル、ナイロンあるいはアクリル系などの合成繊維に対しては、製糸や製紡の段階での付与も可能である。例えば、ポリエステルフィラメントの場合、溶融紡糸法でPOY(半延伸糸)を紡糸する際、上記化合物の1種もしくは2種以上と炭素数が25〜33の高級炭化水素と、炭素数が3〜6の多価アルコールと炭素数が14〜18の脂肪酸とのエステル、炭素数が12〜17の脂肪酸とアミノアルコールとの反応により得られる脂肪族アミド、および水溶性シリコーン化合物から成る群から選ばれる少なくとも一種の化合物とポリオキシエチレン系界面活性剤の混合組成物を紡糸油剤とともに付与し、後の延伸工程において乾熱処理されることによって上記化合物が繊維に強固に付着し、耐洗濯性のある水分吸着発熱性能を付与することができる。
【0043】また、アクリル系繊維の場合は、湿式紡糸法で紡糸、延伸、水洗した後、上述の一般式[I]、[II]、[III]で表される化合物の1種もしくは2種以上を含む処理液を、好適には0.05〜5.0重量%付着させ、乾燥緻密化処理、スチーム処理、乾燥工程を経て、繊維に強固に付着しポリエステルと同様に、耐洗濯性のある水分吸着発熱性能を付与することができる。
【0044】また、布帛に水分吸着発熱性能を有する布帛は、吸湿性微粒子として吸湿率の高いシリカ微粒子を用い、これをバインダーで繊維表面に固着することでも得られる。シリカ微粒子の固着量を制御することにより、目的とする水分吸着性能が得られる。
【0045】さらに、合成繊維に親水基を有する単量体をグラフト共重合や架橋反応させて合成繊維を改質させることによっても水分吸着発熱性能を付与することができる。例えば、特開昭56−24426号公報、特開昭56−135527号公報あるいは特開昭60−17142号公報に開示されているように、合成繊維にアクリル酸やメタクリル酸等の酸性ビニルモノマーを繊維を構成する主鎖にグラフト共重合させた後、アクリル酸やメタクリル酸中のカルボキシル基をアルカリ金属で置換し、吸湿性を付与させてもよい。また、特開平5−132858号公報に開示されているように、アクリル繊維をヒドラジン処理して側鎖にヒドラジンとの反応により生成した窒素を含有する架橋構造と、ニトリル基の加水分解により生成した塩型カルボシル基を重合させ、吸湿性を付与させてもよい。
【0046】これらに開示されている様に、合成繊維に親水基を有する単量体をグラフト共重合や架橋反応により付与させることにより、吸湿性が得られ、しいては水分吸着発熱性能を付与できる。
【0047】本発明においては、上記の方法にとらわれず、いかなる方法でもポリエステル繊維やポリアミド繊維、アクリル繊維の如き合成繊維に、親水基を1つ以上含む単量体をグラフト共重合や架橋反応により付与させ水分吸着発熱性能を付与した繊維を用いることができる。
【0048】本発明のウインドブレーカーは、このような水分吸着発熱性能を有する布帛に、蓄熱剤を含有させることにより、より一層保温性を向上させることができる。本発明で用いられる蓄熱剤としては、好適には、液相から固相に相変換するときに吸熱し、液相から固相に相変換するときに放熱する、いわゆる潜熱を利用したものとして、パラフィンワックスやポリエチレングリコールをマイクロカプセルに封入したものや、アルミナ、ジルコニア、マグネシア等の無機化合物からなる遠赤外線放射セラミックなどを挙げることができる。中でも、相変換時の潜熱を利用したものは、マイクロカプセルへの封入剤を選ぶこと、また添加物により相変換温度が制御できることから、衣服内温度を一定に制御できる点で好ましく用いられる。
【0049】運動等による、発汗時には水分吸着発熱性能が大きくなる、すなわち運動により身体が暖かくなっているときに、発熱作用が大きくなることを蓄熱剤が吸熱することにより抑制し、逆に環境温度が低下し、衣服内温度が低下してきたときに蓄熱剤が放熱するため、衣服内温度を一定に制御する快適なウインドブレーカーが得られる。この様な効果を保持させるために、相変換温度(凝固温度)は、5〜35℃とすることが好ましく、さらに好ましくは、10〜25℃である。
【0050】蓄熱剤を布帛に固着する方法としては、上記のマイクロカプセルや無機化合物を単体および/または混合物を、上述のビニルスルホン酸を主体とするポリマーを繊維表面に固着する際に、ビニルスルホン酸溶液に混合する方法や、別のバインダーで固着する方法が挙げられるが、本発明では特に限定されない。
【0051】また、蓄熱剤を放湿放熱抑制性能を有する布帛に付与することでも、上記の効果が得られるが、好ましくは、水分吸着発熱性能を有する布帛に、蓄熱剤を含有させた方が、より高い保温効果が得られる。
【0052】本発明のウインドブレーカー用途では、防水性が要求されることもあり、耐水圧が5kpa以上の性能を付与しておくことが必用である。また耐水圧を付与することにより必然的に通気度が5cc/cm2・sec以下の防風性が付与できる。
【0053】本発明のウインドブレーカーは、フィッシング、登山衣などのアウトドアスポーツウエア、スキーウエア、アスレチックウエア、ゴルフウエアなどのスポーツウエア、カジュアルウエア、雨衣などのほか、屋外作業衣などにも用いることができる。
【0054】
【実施例】以下、本発明を実施例で詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(測定方法)
(1)通気度通気度の測定は、JIS L−1096(フラジール形法)による。
【0055】(2)透湿度透湿度の測定は、JIS規格L−1099(A−1)による。
【0056】(3)耐水圧耐水圧の測定は、JIS規格L−1092による。
【0057】(4)発熱エネルギー指数幅約3.5cmの試料3gを、アルコール温度計あるいは熱電対の測定部に巻き、摂氏30℃×湿度30%RHの環境下に12時間以上放置後の温度を測定する。次に、摂氏30℃×湿度90%RHの環境まで湿度を約3%/分の速度で変化させ、この間1分ごとに4時間後まで温度を測定する。測定後、上昇温度を積分したものを発熱エネルギー量として求め、次の式によって現す。
発熱エネルギー指数=試料の発熱エネルギー量/ポリエステルタフタ(JIS染色堅牢度試験用添付布)の発熱エネルギー量(5)接触温冷感(qmax)
カトーテック(株)製のサーモラボ2型測定器を用い、室温20℃、湿度65%RHの部屋で、BT−Boxを30℃に調節し、十分調湿したサンプルの上にBT−Box(圧力10g/cm2)を乗せ、10℃の温度差での単位面積当たりの熱流束を測定する。
【0058】(6)発熱効果(保温性向上効果)
縫製品を室温5℃、湿度65%RHの部屋で長袖ポロシャツ及び薄手のセーターの上に着用し、10分間安静にした後、エルゴメーターで75Wの運動を15分実施した後、縫製品を脱ぎ、裏返し、裏側面の温度を熱赤外線画像で測定するとともに着用感覚を確認した。
【0059】[実施例1]56dtex、144フィラメントの仮ヨリ加工ポリエステル長繊維をタテ糸およびヨコ糸に用い、タテ密度188本/2.54cm、ヨコ密度118本/2.54cmで平組織にて製織した。次いで、リラックス精練、プレセット、染色した後、撥水剤アサヒガードAG710(明成化学(株)製商品名)を3重量%に含有した水分散液に、上記ナイロンタフタを浸漬し、絞り率40%にピックアップし、ヒートセッターにて130℃で30秒の乾燥熱処理を施し後、さらに170℃で1分キュアリング処理を施し、タテ密度206本/2.54cm、ヨコ密度120本/2.54で仕上げた表地を得た。得られた表地のカバーファクターは2,438であり、耐水圧は11kpaであった。さらに、83dtex−24Fのポリエステルマルチフィラメントを使用したサテントリコットのカット起毛品を、下記組成の処方1の処理液に浸漬後、ピックアップ率80%に設定したマングルで絞り、乾燥機で120℃、2分乾燥させた。
(処方1)
・AMPS(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸) 20g/l・PEG#1000ジメタクリレート(商品名P303 共栄社)40g/l・過硫酸アンモニウム 2g/l乾燥後直ちに、105℃の加熱スチーマーで5分間処理し、湯水洗、乾燥した。次いで、乾燥機で170℃、1分でセットして発熱エネルギー指数15の裏地を得た。上記の表地と裏地を使用して、ウインドブレーカーを縫製し評価した。結果を表1に示す。
【0060】[実施例2]実施例1で得られた表地と裏地を使用して、中地に次の方法で得た仲入れ綿を挿入してウインドブレーカーを縫製し評価した。結果を表1に示す。
[仲入れ綿]繊維構造物として、単繊維繊度7.2dtex、繊維長64mmである、ポリエチレンテレフタレート繊維100%からなる目付80g/m2の不織ウエッブに、下記組成の処方2の処理液をスプレーで付着率100重量%になるように吹き付けた後、120℃で2分間予備乾燥した。その後、180℃で1分間熱処理し、繊維表面にシリカ粒子を固着させた発熱エネルギー指数22の中入れ綿を得た。
(処方2)
・シリカ粒子(サイリシア550(富士シリシア化学(株)製) 60g/l・バインダー(シリコーン系樹脂−KT7014(固形分40%)(高松油脂(株)製商品名) 25g/l(ここで使用したシリカ粒子は、平均粒子径が2.7μm、平均比表面積が500m2/gのものである。)
[実施例3]77dtex、24フィラメントのナイロン長繊維を、タテ糸およびヨコ糸に用い常法で平織組織にて製織、染色したナイロンタフタを撥水剤アサヒガードAG710(明成化学(株)製商品名)を3重量%に含有した水分散液に、浸漬し、絞り率40%にピックアップし、ヒートセッターにて130℃で30秒の乾燥熱処理を施し後、さらに170℃で1分キュアリング処理を施し、タテ密度110本/2.54cm、ヨコ密度80本/2.54cmのナイロンタフタを得た。次いで、下記処方3に示す組成のポリウレタン溶液をナイフオーバーロールコーターにて200g/m2の割合で塗工し、DMF(ジメチルホルムアミド)を10重量%含有した水溶液を凝固浴とする浴槽中に30℃にて3分間浸漬してポリウレタン塗布液を湿式凝固させ、次いで80℃の温湯にて10分間湯洗し、140℃にて熱風乾燥し、耐水圧63kpaのポリウレタン微多孔質膜加工品を得た。
(処方3)
・クリスボン8166(大日本インキ工業株式会社製、ポリエステル系ポリウレ タン/商品名) 100部・バーノックD500(大日本インキ工業株式会社製、ブロックイソシアネート /商品名) 1部・ルーセンタイトSTN(コープケミカル株式会社製、スメクタイト型粘度/商 品名) 1部・アサヒガードAG710(明成化学株式会社株製、フッ素系撥水剤/商品名)
1部・DMF 50部該ポリウレタン微多孔質膜加工布帛を表地とし、実施例1の発熱エネルギー指数15のサテントリコットのカット起毛品を裏地としてウインドブレーカーを縫製し評価した。結果を表1に示す。
【0061】[実施例4]4.4デシテックス、長さ52mmのポリエステル原綿を、アクリル酸5%(対被処理物重量%)、メタクリル酸15%(対被処理物重量%)、過硫酸アンモニウム1%(対被処理物重量%)、スルホキシル酸ナトリウムとホルマリンとの反応物3%(対被処理物重量%)からなる、浴比1:20の水溶液中に浸漬し、徐々に80℃まで昇温して、その温度で60分間処理し、グラフト重合した。このもののカルボキシル基の導入量は1.42×10-4グラム当量/グラムファイバーであった。この繊維原綿を炭酸ナトリウム30%(対被処理物重量%)からなる浴比1:20の水溶液中に浸漬し、80℃まで加熱昇温し、その温度で30分間処理した。この繊維原綿のアルカリ金属置換率は95%であった。
【0062】このようして得られた繊維原綿を、上記の処方2の処理液からシリカ微粒子を除いた組成の処理液をスプレーで付着率100重量%になるように吹き付けた後、120℃で2分間予備乾燥した。その後、180℃で1分間熱処理し、発熱エネルギー指数28の中入れ綿を得た。実施例2の中入れ綿を上記中入れ綿に変更したこと以外は実施例2と同様にしてウインドブレーカーを縫製し評価した。結果を表1に示す。
【0063】[実施例5]アクリロリトリル90%およびアクリル酸メチル10%からなるアクリロリトリル系重合体10部を48%ロダンソーダ水溶液90部に溶解した紡糸原液を、定法で紡糸、延伸(全延伸倍率:10倍)した後、乾球/湿球=120℃/60℃の雰囲気下で乾燥(工程収縮率:14%)して、単繊維繊度1.65dtexのアクリル繊維を得た。該繊維をヒドラジン6.4重量%水溶液に浸し102℃で6時間処理し、ついで苛性ソーダ5.0重量%水溶液にて90℃で32時間処理した後脱液し乾燥した。得られた改質アクリル繊維を繊維長64mmにカットし、これを単繊維繊度7.2dtexのポリエチエンテレフタレート繊維とで改質アクリル繊維が15重量%になる目付80g/m2の不織ウエッブにした。ついで、上述の処方2からシリカ粒子を除いたバインダーのみをスプレーで付着率が100重量%になるように吹き付けた後、120℃で2分間予備乾燥した。その後、180℃で1分間熱処理し、発熱エネルギー指数25の中入れ綿を得た。実施例1で得られた表地と裏地を使用して、上記で得られた中入れ綿を中地として挿入してウインドブレーカーを縫製し評価した。結果を表1に示す。
【0064】[実施例6]実施例2において、中入れ綿作製時の処方2を、凝固温度が25℃、潜熱量が35cal/gのパラフィンワックスをエチレン・コビニール・アセテートを壁膜とする平均粒径50μmのマイクロカプセルに封入した相変換蓄熱材を混合した下記組成の処方5に変えたこと以外は、実施例1と同様にしてブルゾンを縫製して評価した。結果を表1に示す。
【0065】なお、本実施例5で得られた仲入れ綿の発熱エネルギー指数は、相変換マイクロカプセルを用いない実施例2の中入れ綿と同様の22であった。これは、発熱エネルギー指数は、30℃に12時間以上放置した後、測定するため、すでに相変換され蓄熱された状態にあるためである。
(処方5)
・シリカ粒子(商品名サイシリア550(富士シリシア化学(株)製) 60g/l・蓄熱剤マイクロカプセル(凝固温度25℃のパラフィンワックス封入)
150g/l・バインダー(シリコーン系樹脂−KT7410(固形分40%)(高松油脂 (株)製商品名) 25g/l(ここで使用したシリカ粒子は、平均粒子径が2.7μm、平均比表面積が500m2/gのものである。)
[比較例1]実施例1で得られた表地と、実施例1において処方1の処理を施さないサテントリコットのカット起毛品を裏地としてウインドブレーカーを縫製し評価した。結果を表1に示す。
【0066】[比較例2]実施例2で得られた表地を使用し、また同じく実施例2の処方2の組成からシリカ微粒子を除いた処理液を使用した他は実施例2と同様に処理した中入れ綿を使用し、裏地にはタテ糸83dtex、ヨコ糸116dtexのキュプラ使いタフタ(接触温冷感0.15W/cm2 )を使用してウインドブレーカーを縫製し評価した。結果を表1に示す。
【0067】[比較例3]実施例3で得られた表地と、比較例2と同様のキュプラ使いタフタを裏地としてウインドブレーカーを縫製し評価した。結果を表1に示す。
【0068】[比較例4]56dtex、144フィラメントの仮ヨリ加工ポリエステル長繊維をタテ糸およびヨコ糸に用い、タテ密度152本/2.54cm、ヨコ密度83本/2.54cmで平組織にて製織した。次いで、リラックス精練、プレセット、染色した後、撥水剤アサヒガードAG710(明成化学(株)製)を3重量%に含有した水分散液に、上記ナイロンタフタを浸漬し、絞り率40%にピックアップし、ヒートセッターにて130℃で30秒の乾燥熱処理を施し後、さらに170℃で1分キュアリング処理を施し、タテ密度170本/2.54cm、ヨコ密度85本/2.54で仕上げた表地を得た。カバーファクターは1908であり、耐水圧は1kpaであった。上記の表地と、比較例1同様に実施例1において処方1の処理を施さないサテントリコットのカット起毛品を裏地としてウインドブレーカーを縫製し評価した。結果を表1に示す。
【0069】
【表1】

【0070】
【発明の効果】本発明によれば、放湿放熱制御性能を有する布帛を表地として使用し、裏地に水分吸着発熱性能を有する布帛を使用することにより、また裏地表面の接触面の接触温冷感を低下させたことにより、水分吸着性能を発揮する保温効果の高いウインドブレーカーが得られる。
【0071】すなわち、水分吸着発熱性能を有する布帛は、身体から発生する水分を吸着し発熱するのと同時に衣服外へ水分を放出する気化熱を奪われるため、実質の発熱量は低くなる。本発明の、水分吸着発熱布帛を裏地に使用して、放湿放熱抑制性能を有し、かつ防風性に優れた布帛を表地に使用することにより、気化熱を制御するため実質の発熱量が大きくなる。さらに接触冷感を低く抑えているため、保温性の高いウインドブレーカーが得られるのである。
【出願人】 【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋室町2丁目2番1号
【出願日】 平成13年12月5日(2001.12.5)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−171814(P2003−171814A)
【公開日】 平成15年6月20日(2003.6.20)
【出願番号】 特願2001−371528(P2001−371528)