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【発明の名称】 手袋の製造方法
【発明者】 【氏名】中村 みさを
【住所又は居所】神奈川県川崎市川崎区夜光一丁目2番1号 日本ゼオン株式会社総合開発センター内

【氏名】井上 利洋
【住所又は居所】神奈川県川崎市川崎区夜光一丁目2番1号 日本ゼオン株式会社総合開発センター内

【氏名】劉 祥
【住所又は居所】神奈川県川崎市川崎区夜光一丁目2番1号 日本ゼオン株式会社総合開発センター内

【要約】 【課題】滑性樹脂層を内面に有する手袋の製造方法であって、その手袋内面の滑性樹脂層にムラや白化がなく、その滑性樹脂層が脱離しにくく、かつ着脱性に優れる手袋の製造方法を提供する。

【解決手段】滑性樹脂層を内面に有する手袋を製造する方法であって、手型上に形成された手袋本体を、滑性樹脂層を形成するコーティング液に浸漬し、これを0.7〜14cm/秒の引き上げ速度で該コーティング液から引き上げて、その後それを乾燥させることを特徴とする手袋の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 滑性樹脂層を内面に有する手袋を製造する方法であって、手型上に形成された手袋本体を、滑性樹脂層を形成するコーティング液に浸漬し、これを0.7〜14cm/秒の引き上げ速度で該コーティング液から引き上げて、その後それを乾燥させることを特徴とする手袋の製造方法。
【請求項2】 手袋本体をコーティング液へ浸漬する時の、手袋本体の手袋表面温度が25〜60℃である請求項1記載の手袋の製造方法。
【請求項3】 コーティング液の温度が25〜60℃である請求項1記載の手袋の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、手袋の製造方法に関し、さらに詳しくは、手袋内面の滑性樹脂層にムラや白化がなく、その滑性樹脂層が脱離しにくく、かつ着脱性に優れる手袋の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】天然ゴムラテックスや合成ゴムラテックスから作られるディップ成形物は、ゴム手袋、指サックが代表的なものとして挙げられる。これらのゴム手袋は、その内面が粘着性を有しているために滑り性が小さく、着脱しにくい。着脱が容易にできるように、このようなゴム手袋には様々な工夫が施されている。例えば、手袋の内面にタルク等の粉体を散布する方法や手袋の内面を塩素化処理して、手袋の内表面に凹凸を設ける方法が施されている。しかし、粉体を散布する方法では、着脱時や装着中に粉体が手袋から脱落するため、この種のゴム手袋を手術用手袋に用いた場合に、脱落した粉体により手術部分が汚染されて術後感染を招く恐れがある。また、塩素化処理は、工程の制御が難しく、着脱性の改善も充分ではなく、かつ塩素を使用するので環境への負荷が大きいという問題がある。
【0003】これらの方法に代えて、微粒子を含有する樹脂層を手袋の内面に形成し、手袋の着脱性を改善する方法が提案されている。例えば、特開平8−294930号公報には、熱可塑性樹脂粒子、ゴムラテックスおよびブロックドイソシアネートを主成分として含むコーティング液から形成される滑性樹脂層を内面に有するゴム手袋の製造方法が開示されている。また、特開平11−61527号公報には、手袋本体に含まれる凝固剤により凝固しない合成ゴムラテックスおよび有機充填剤を含むコーティング液により手袋内面に樹脂層が形成されたゴム製手袋の製造方法が開示されている。しかしながら、上記に記載された方法で手袋を製造した場合、コーティング液の手袋本体へのコーティング量を制御し難く、手袋内面の滑性樹脂層に塗布ムラやタレによる白化が生じやすいことから、外観のみならず手袋の着脱性の不良や滑性樹脂層が脱離しやすいという品質上の問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記事情に鑑み、手袋内面の滑性樹脂層にムラや白化がなく、その滑性樹脂層が脱離しにくく、かつ着脱性に優れる手袋の製造方法に関する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記従来技術の有する問題点を克服するために鋭意研究した結果、手袋本体をコーティング液に浸漬し、これをコーティング液から引き上げる際の引き上げ速度を特定の範囲にすることで、上記目的が達成されることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0006】かくして、本発明によれば、滑性樹脂層を内面に有する手袋を製造する方法であって、手型上に形成された手袋本体を、滑性樹脂層を形成するコーティング液に浸漬し、これを0.7〜14cm/秒の引き上げ速度で該コーティング液から引き上げて、その後それを乾燥させることを特徴とする手袋の製造方法が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。本発明の手袋の製造方法は、滑性樹脂層を内面に有する手袋を製造する方法であって、手型上に形成された手袋本体を、滑性樹脂層を形成するコーティング液に浸漬し、これを0.7〜14cm/秒の引き上げ速度で該コーティング液から引き上げて、その後それを乾燥させることを特徴とする。
【0008】手型は、人の手の輪郭に対応する形状を有する型であり、その具体例としては、例えば、磁器製またはプラスチック製のものが挙げられる。この手型は、製造しようとする手袋の使用目的に応じて、手首から指先までの形状のもの、肘から指先までの形状のもの等、種々の形状のものを用いることができる。
【0009】手袋本体は、人の手の輪郭に対応する膜状の成形体であり、ゴムを主要成分としてなる。
【0010】手袋本体としては、特に限定されないが、ゴムラテックスを浸漬成形したものが挙げられる。ゴムラテックスとしては、例えば、天然ゴムラテックス、ポリイソプレンゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムラテックス、カルボキシ変性アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムラテックス、ポリウレタンゴムラテックスなどが挙げられる。なかでも、天然ゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムラテックスおよびカルボキシ変性アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムラテックスが好ましく、カルボキシ変性アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムラテックスがより好ましい。
【0011】ゴムラテックスには、通常、加硫剤、加硫促進剤、酸化亜鉛、老化防止剤などが配合される。
【0012】手袋本体の浸漬成形法としては、例えば、直接浸漬法、アノード凝着浸漬法、ティーグ凝着浸漬法、感熱浸漬法などが挙げられる。なかでも、均一な厚み分布を有するものが得られる点で、アノード凝着浸漬法が好ましい。
【0013】アノード凝着浸漬法の場合、手型を凝固剤溶液に浸漬した後、乾燥し、手型表面に凝固剤を付着させ、それを上記のゴムラテックスに浸漬する。ここで、所定厚みの手袋本体が得られるよう、ゴムラテックスの固形分濃度、浸漬時間、浸漬回数などを適宜調整する。手袋本体の厚みは、特に限定されないが、通常、0.1〜3mm、好ましくは0.1〜0.5mmの範囲である。
【0014】凝固剤は、通常、硝酸カルシウム、塩化カルシウムなどの水溶性多価金属塩が使用される。凝固剤溶液の溶媒は、通常、水、または、メタノール、アセトンなどの水溶性有機溶媒、ならびにそれらの混合物が使用される。凝固剤濃度は、通常、5〜50重量%、好ましくは15〜35重量%である。
【0015】凝固剤溶液には、さらに、ノニオン性界面活性剤などの湿潤剤;炭酸カルシウム、シリカなどの皮膜粘着防止剤;などを添加してもよい。
【0016】手型上に形成された手袋本体は、ゴムラテックス中の界面活性剤等の水溶性物質および凝固剤を除去するために、30〜90℃の温水中で20秒〜10分の抽出処理を施すことが好ましい。
【0017】手袋本体は、通常、加硫処理を経て最終製品となるが、本発明における手袋本体は、加硫処理を経る前のものであっても、加硫処理を経た後のものであってもよい。なかでも、熱エネルギー効率の観点から、加硫処理を経る前のものが好ましい。この場合、手袋本体をコーティング液に浸漬する前に、予備乾燥することが好ましい。予備乾燥は、30〜90℃で、30秒から20分の乾燥条件とすることが好ましい。
【0018】滑性樹脂層は、手袋本体の表面に形成され、微粒子とそれを手袋本体表面に結着させるバインダーとを主要成分としてなる。滑性樹脂層は、手袋を着脱する際に、手の滑りをよくして、手袋の着脱性を向上させる機能を有するものである。
【0019】本発明においては、滑性樹脂層の形成は、上記方法により得られた手袋本体を滑性樹脂層形成用のコーティング液に浸漬し、これを該コーティング液から引き上げて、その後それを乾燥することにより行われる。必要に応じて、浸漬した手袋本体を、そのままの状態で、コーティング液中で保持してもよい。
【0020】手袋本体をコーティング液へ浸漬する方法は、特に限定されないが、通常、手袋本体が形成された型を指先部分から手首部分へ順に浸漬する。
【0021】手袋本体をコーティング液に浸漬する際の浸漬速度は、特に限定されないが、通常、1〜30cm/秒、好ましくは2〜20cm/秒である。浸漬速度が速すぎると、浸漬時に泡を巻きこみ、均一な滑性樹脂層の形成を妨げる恐れがあり、逆に遅すぎると、生産性が低下する。
【0022】手袋本体をコーティング液に浸漬する際の手袋表面温度は、通常、20℃〜120℃、好ましくは25℃〜60℃である。手袋表面温度がこの範囲にあると、手袋表面に均一にコーティング液が付着しやすいので、より着脱性に優れる手袋が得られる。
【0023】手袋本体をコーティング液に浸漬する際のコーティング液の温度は、通常、20〜90℃、好ましくは25〜60℃である。液温が低すぎると、コーティング液を冷却する必要が生じるために経済的ではなく、逆に高すぎると、液表面に乾燥皮膜が生じ、着脱性の悪化や脱離量の増加を引き起こす恐れがある。
【0024】本発明の手袋の製造方法においては、手袋本体をコーティング液から引き上げる時の引き上げ速度を0.7〜14cm/秒、好ましくは1〜10cm/秒、特に好ましくは1.2〜5cm/秒の範囲とすることが必要である。この速度が速すぎると、手袋本体へのコーティング液の付着量が多くなり、滑性樹脂層に白化やムラが発生し、逆に遅すぎると手袋本体への付着量が極めて少量となり、手袋の着脱性に劣る。
【0025】滑性樹脂層形成用のコーティング液としては、特に限定されないが、バインダーラテックスと微粒子とを含有するものであることが好ましい。このようなコーティング液を使用すると、着脱性が良好で、かつ脱離の少ない衛生的な手袋を作成できる。
【0026】バインダーラテックスとしては、特に限定されないが、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス、(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体ラエックス、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン系共重合体ラテックス、ポリウレタン系ラテックスなどを挙げることができる。なかでも、(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体ラテックスおよび(メタ)アクリル酸エステル−スチレン系共重合体ラテックスが好ましい。
【0027】バインダーラテックスのガラス転移温度は、通常、−50〜+50℃、好ましくは−20〜20℃である。ガラス転移温度が低すぎると、滑性樹脂層が相互に粘着しやすくなり、逆に高すぎると、手袋を伸張した際に滑性樹脂層にひび割れを生じ易く、これが剥がれ落ちる恐れがある。
【0028】微粒子は、特に限定されず、無機微粒子または有機微粒子のいずれを用いてもよい。なかでも、有機微粒子が好ましい。無機微粒子としては、例えば、シリカ、酸化マグネシウム、二酸化チタン等が挙げられる。有機微粒子としては、例えば、アクリル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、オレフィン系樹脂、ホルムアルデヒド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ナイロン系樹脂、セルロース系樹脂、澱粉系およびそれらの架橋物などからなる微粒子が挙げられる。これらのなかでも、アクリル樹脂およびスチレン-アクリル樹脂からなる微粒子が、樹脂のガラス転移温度を比較的自由に設計できることから好ましい。これらの微粒子は単独で、または2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0029】有機微粒子を構成する樹脂のガラス転移温度は、通常、30〜120℃、好ましくは40〜100℃である。ガラス転移温度が低すぎると滑性樹脂層が相互に粘着することがあり、逆に高すぎると手袋からの脱離が起こりやすくなることがある。
【0030】微粒子の体積平均粒子径は、通常、1〜50μm、好ましくは3〜30μmである。微粒子の体積平均粒子径がこの範囲にあると、手袋の着脱性に優れ、装着感も良好である。
【0031】微粒子の形状は、特に限定されないが、球状であることが好ましい。微粒子が球状であると、手袋を装着するときの感触が良好で、着脱時に粒子に力がかかりにくく脱離が少なくなる等の利点が得られる。
【0032】コーティング液を構成するバインダーラテックスと微粒子の比率は、特に限定されないが、通常、バインダーラテックスの固形分100重量部に対し、微粒子10〜250重量部、好ましくは30〜200重量部である。微粒子の量が少ないと、手袋の着脱性が悪くなることがあり、逆に多すぎると、手袋からの脱離量が多くなることがある。
【0033】本発明で使用するコーティング液には、さらに必要に応じて、増粘剤、湿潤剤、消泡剤、pH調整剤、老化防止剤などを添加してもよい。また、アルコール類、セルソルブ類、グリコール類、グリセリンなどの水親和性有機溶媒を、乾燥性の向上や成膜性の向上などの使用目的に応じて添加してもよい。
【0034】コーティング液の固形分濃度は、通常、0.1〜30重量%、好ましくは1〜15重量%である。固形分濃度が低すぎると、十分な厚みの滑性樹脂層を形成し難く、手袋の着脱性が悪くなることがあり、逆に高すぎると、滑性樹脂層が厚くなり、滑性樹脂層の脱離が起こりやすくなることがある。
【0035】コーティング液の粘度は、通常、1〜500mPa・s、好ましくは1〜200mPa・sである。粘度が低すぎると、十分な厚みの滑性樹脂層を形成し難く、手袋の着脱性が悪くなることがあり、逆に高すぎると、滑性樹脂層が厚くなり、滑性樹脂層の脱離が起こりやすくなることがある。
【0036】滑性樹脂層の厚みは、通常、2〜30μm、好ましくは5〜20μmに設定することが好ましい。
【0037】手袋本体をコーティング液から引き上げた後の乾燥は、通常、30〜140℃、好ましくは50〜120℃で、30秒〜20分かけて行なう。手袋本体が加硫処理を経る前のものである場合は、乾燥に引き続き加硫処理を行ってもよいし、加硫処理によって乾燥を平行しておこなってもよい。加硫処理は、通常、100〜140℃で、10分〜60分かけて行なう。乾燥および加硫処理の方法は、特に限定されないが、従来公知の方法でよく、例えば、熱風オーブン内で、所定温度の温風を吹き当てる方法を採用できる。
【0038】上記のようにして得られた、手袋本体表面に滑性樹脂層を有する手袋を、手型から反転させて脱型することにより、手袋内面に滑性樹脂層を有する手袋が製造される。脱型は、手で剥がしたり、水圧や空気圧の力を利用して剥がしたりすることができる。
【0039】本発明の製造方法によって得られる手袋は、例えば、医療用、手術用、食品用または工業用などの用途に用いられ、特に手術用の手袋として好適である。
【0040】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、実施例に限定されるものでない。なお、実施例中の「%」及び「部」は特に断りのない限り、それぞれ「重量%」及び「重量部」を示す。
【0041】<物性測定方法>実施例および比較例における各種特性の測定方法は、次の通りである。
(1)コーティング液粘度(mPas)
それぞれの固形分濃度に調整したコーティング液を、ブルックフィールズ粘度計を用いて、25℃における粘度を測定した。
【0042】(2)付着量(g)
手袋1枚当たりのコーティング剤の付着量として、手袋本体浸漬前後のコーティング液有姿での減量を測定した。
【0043】[手袋特性]
(3)滑性樹脂層の表面観察得られた手袋の滑性樹脂層表面を目視観察し、ムラおよび白化の程度を以下の基準で評価した。
評価基準 A:ムラおよび白化が見られない。
B:多少のムラとわずかな白化が観察される。
C:ムラが多く、白化部分が多く存在する。
(4)着脱性手袋内面が乾燥した状態で、手袋を装着し、その後脱着するときの難易度を以下の基準で評価した。
評価基準 A:スムーズに装着・脱着ができる。
B:装着・脱着がやや困難である。
C:装着・脱着が困難である。
(5)脱離樹脂量(mg)
ASTM D6124−97に従って測定した。
【0044】(実施例1)硫黄10部、酸化亜鉛15部、酸化チタン7部及び水酸化カリウム0.3部、水32部の割合で混合して調製した固形分濃度50%の加硫剤分散液7部を、固形分濃度30%のカルボキシ変性されたアクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムラテックス333部に混合して、固形分濃度が30.4%の手袋本体成形用の配合液を得た。一方、硝酸カルシウム20部、非イオン性乳化剤のポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル0.05部及び脱イオン水80部の割合で混合して調製した固形分濃度20%の凝固剤溶液に手型を1分間浸漬し、引き上げた後3分間50℃で乾燥して、凝固剤を手型に付着させた。次に、凝固剤の付着した手型を上記配合液に10秒間浸漬し、引き上げて、60℃で5分間乾燥した後、50℃温水中に5分間浸漬し、さらに、60℃で5分間乾燥させ、手型上に形成された手袋本体を得た。
【0045】メタクリル酸メチル−アクリル酸ブチル共重合体ラテックス(ガラス転移温度=−6℃)固形分換算100重量部とアクリル酸ブチル−スチレン共重合体微粒子(ガラス転移温度=70℃、体積平均粒子径=5μm)固形分換算100重量部とを混合し、充分攪拌した後、脱イオン水で希釈調整して固形分濃度5%のコーティング液aを調製した。このコーティング液aの粘度は、5mPa・sであった。液温が40℃のコーティング液aに、手袋本体を形成させた型を、5cm/秒の浸漬速度で、指先から垂直方向に浸漬し、そのまま10秒間保持した後、2.5cm/秒の引き上げ速度でコーティング液から引き上げた。コーティング液へ浸漬する際の手袋表面温度は40℃であった。コーティング液から引き上げた手型を、60℃で10分間乾燥し、さらに120℃で20分間加硫処理した。最後に、手袋本体を手型から反転させながら脱型し、内面に滑性樹脂層を有する手袋を得た。この手袋の特性を評価し、結果を表1に示す。
【0046】
【表1】

【0047】(実施例2)メタクリル酸メチル−アクリル酸ブチル共重合体ラテックス(ガラス転移温度=6℃)固形分換算100重量部とアクリル酸ブチル−スチレン共重合体微粒子(ガラス転移温度=85℃、体積平均粒子径=7μm)固形分換算50重量部とを混合し、充分攪拌した後、脱イオン水で希釈調整して固形分濃度8%のコーティング液bを調製した。このコーティング液bの粘度は、35mPa・sであった。コーティング液aに代えてコーティング液bを使用し、コーティング液温度を30℃に、手袋本体の表面温度を30℃に変更した以外は、実施例1と同様に行なった。結果を表1に示す。
【0048】(実施例3)コーティング液温度を30℃に、手袋本体の引き上げ速度を1.5cm/秒に変更する以外は、実施例1と同様に行なった。結果を表1に示す。
(実施例4)50℃温水中に5分間浸漬した後の乾燥を、120℃で3分間に変更し、コーティング液へ浸漬するときの手袋表面温度を70℃に変更した以外は実施例1と同様に行なった。結果を表1に示す。
(実施例5)コーティング液温度を70℃に変更する以外は、実施例4と同様に行なった。結果を表1に示す。
【0049】(比較例1)手袋本体の引き上げ速度を20cm/秒に変更する以外は、実施例1と同様に行なった。結果を表1に示す。
(比較例2)手袋本体の引き上げ速度を0.5cm/秒に変更する以外は、実施例1と同様に行なった。結果を表1に示す。
【0050】表1の評価結果から、以下のことがわかる。コーティング液からの手袋本体の引き上げ速度が本発明で規定する範囲より速い比較例1の手袋は、ムラや白化が発生し、脱離樹脂量が極めて多い。コーティング液からの手袋本体の引き上げ速度が本発明で規定する範囲より遅い比較例2の手袋は、コーティング液の付着量が極めて少なく、手袋の着脱性に劣る。
【0051】これらに対して、本発明で規定する範囲の引き上げ速度でコーティング液から手袋本体を引き上げて製造した実施例1〜6の手袋は、滑性樹脂層のムラや白化が発生し難く、その脱離樹脂量も少なく、かつ着脱性に優れている。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、手袋内面の滑性樹脂層にムラや白化がなく、その滑性樹脂層が脱離しにくく、かつ着脱性に優れる手袋の製造方法が提供される。
【出願人】 【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内2丁目6番1号
【出願日】 平成13年10月31日(2001.10.31)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−138413(P2003−138413A)
【公開日】 平成15年5月14日(2003.5.14)
【出願番号】 特願2001−335200(P2001−335200)