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【発明の名称】 スキーウェア
【発明者】 【氏名】松井 美弘
【住所又は居所】大阪市北区堂島浜二丁目2番8号 東洋紡績株式会社本社内

【氏名】越智 清一
【住所又は居所】滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡績株式会社総合研究所内

【氏名】中川 明久
【住所又は居所】滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡績株式会社総合研究所内

【要約】 【課題】本発明は、春または秋に温度が急激に下がることによって引き起こされる作物の受ける被害、霜害を防ぐ軽量な結霜防止材を提供するものである。

【解決手段】高吸湿性微粒子が付着されてなる構造体を一部または全体に配置するスキーウェアであり、前記構造体の吸湿及び/又は吸水時の最大温度上昇が3℃以上であることを特徴とする吸湿/吸水発熱性スキーウェアであり、好ましくは高吸湿性微粒子が付着されてなる構造体の吸湿時の発熱が30分以上、及び/又は吸水時の発熱が1分以上保持されることを特徴とする前記の吸湿/吸水発熱性スキーウェアである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 高吸湿性微粒子が付着されてなる構造体を一部または全体に配置するスキーウェアであり、前記構造体の吸湿及び/又は吸水時の最大温度上昇が3℃以上であることを特徴とする吸湿/吸水発熱性スキーウェア。
【請求項2】 高吸湿性微粒子が付着されてなる構造体の吸湿時の発熱が30分以上、及び/又は吸水時の発熱が1分以上保持されることを特徴とする請求項1に記載の吸湿/吸水発熱性スキーウェア。
【請求項3】 高吸湿性微粒子が付着されてなる構造体の吸水時の最大温度上昇が8℃以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の吸湿/吸水発熱性スキーウェア。
【請求項4】 高吸湿性微粒子が有機微粒子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の吸湿/吸水発熱性スキーウェア。
【請求項5】 高吸湿性有機微粒子がポリスチレン系、ポリアクリロニトリル系、ポリアクリル酸エステル系、ポリメタクリル酸エステル系のいずれかのビニル系重合体で、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基あるいは、それらの金属塩の少なくとも1種の親水基を有し、かつジビニルベンゼン、トリアリルイソシアネートまたはヒドラジンのいずれかで架橋された架橋重合体である請求項4に記載の吸湿/吸水発熱性スキーウェア。
【請求項6】 高吸湿性微粒子の平均粒子径が2μm未満であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の吸湿/吸水発熱性スキーウェア。
【請求項7】 高吸湿性微粒子が親水性樹脂を介して構造体に固定化されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の吸湿/吸水発熱性スキーウェア。
【請求項8】 高吸湿性微粒子と親水性樹脂の質量比が1/1〜19/1であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の吸湿/吸水発熱性スキーウェア。
【請求項9】 構造体が天然繊維、化合繊もしくはこれらの混用繊維で構成される編物、織物、不織布、フリースまたはフィルムまたは樹脂成形体であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の吸湿/吸水発熱性スキーウェア。
【請求項10】撥水加工及び/又は防水コーティング加工が施されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか記載の吸湿/吸水発熱性スキーウェア。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】本発明はウインタースポーツの代表の一つであるスキー用衣服に関するものであり、特に吸湿/吸水発熱性を有するスキーウェアに関する。
【0002】
【従来の技術】スキーウェアは従来から保温性や撥水性を向上させた製品が望まれており、その中でも保温性については様々な技術でそれに答えるように優れた製品が開発されてきた。従来の保温性改善手段としては、熱伝導度の小さい空気層を増やすための中空断面繊維や極細繊維を活用する方法、体熱を反射するアルミ蒸着、コーティングもしくは金属スパッタリングの活用する方法、金属酸化物やセラミックス練り込みによる遠赤外線効果を期待する方法(特開昭63−105107号、特開昭7−331584号など)、吸湿発熱性繊維を紡績、混繊等により布帛、中綿に混用する方法(特開平6−294006号、特開平8−197661号ほか)がある。
【0003】しかしながらこれらの方法はいずれも、発熱加温性(発熱速度、発熱温度、発熱保持時間)が不十分であり、たとえ吸湿発熱繊維を用いた場合でも、その混紡/又は混繊割合を高めないとその効果は低いものであった。仮に割合を高めると吸湿発熱繊維の強度不足が原因で、製編織時の操業性が著しく悪化するため、吸湿発熱繊維の特性を十分に発揮したスキーウェアは未だ開発できずにいた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、吸湿もしくは吸水時の発熱速度、発熱温度、発熱保持性、結露防止性に優れる吸湿/吸水発熱性構造体を配置するスキーウェアを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決するための技術構成は次のとおりである。すなわち、1.高吸湿性微粒子が付着されてなる構造体を一部または全体に配置するスキーウェアであり、前記構造体の吸湿及び/又は吸水時の最大温度上昇が3℃以上であることを特徴とする吸湿/吸水発熱性スキーウェア。
【0006】2.高吸湿性微粒子が付着されてなる構造体の吸湿時の発熱が30分以上、及び/又は吸水時の発熱が1分以上保持されることを特徴とする第1に記載の吸湿/吸水発熱性スキーウェア。
【0007】3.高吸湿性微粒子が付着されてなる構造体の吸水時の最大温度上昇が8℃以上であることを特徴とする第1又は2に記載の吸湿/吸水発熱性スキーウェア。
【0008】4.高吸湿性微粒子が有機微粒子であることを特徴とする第1〜3のいずれかに記載の吸湿/吸水発熱性スキーウェア。
【0009】5.高吸湿性有機微粒子がポリスチレン系、ポリアクリロニトリル系、ポリアクリル酸エステル系、ポリメタクリル酸エステル系のいずれかのビニル系重合体で、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基あるいは、それらの金属塩の少なくとも1種の親水基を有し、かつジビニルベンゼン、トリアリルイソシアネートまたはヒドラジンのいずれかで架橋された架橋重合体である第4に記載の吸湿/吸水発熱性スキーウェア。
【0010】6.高吸湿性微粒子の平均粒子径が2μm未満であることを特徴とする第1〜5のいずれかに記載の吸湿/吸水発熱性スキーウェア。
【0011】7.高吸湿性微粒子が親水性樹脂を介して構造体に固定化されていることを特徴とする第1〜6のいずれかに記載の吸湿/吸水発熱性スキーウェア。
【0012】8.高吸湿性微粒子と親水性樹脂の質量比が1/1〜19/1であることを特徴とする第1〜7のいずれかに記載の吸湿/吸水発熱性スキーウェア。
【0013】9.構造体が天然繊維、化合繊もしくはこれらの混用繊維で構成される編物、織物、不織布、フリース、紐状体またはフィルムまたは樹脂成形体であることを特徴とする第1〜8のいずれかに記載の吸湿/吸水発熱性スキーウェア。
【0014】10.撥水加工及び/又は防水コーティング加工が施されていることを特徴とする第1〜9のいずれか記載の吸湿/吸水発熱性スキーウェア。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明のスキーウェアは高吸湿性微粒子が付着されてなる構造体をスキーウェアの一部あるいは全体に配置するものある。一例としてスキーパンツを例にあげると、スキーパンツには、クッション性を持たせるために綿をキルティング等で尻部を表地、中地、裏地からなる3層構造にしている部分、あるいは、強度を必要とする膝部などは表地、裏地からなる2層構造のもので構成されているものがある。例えば、3層構造の部分であれば、高吸湿性微粒子が付着されてなる構造体を中地に配置したり、あるいは、中地と裏地の両方に配置したり、あるいは、2層構造の部分であれば、例えば前記構造体を裏地だけの一部に配置したり、必要とする保温性、風合いなどのほかの特性を考慮して、前記構造体を配置する。以下、本発明の吸湿/吸水発熱性スキーウェアに配置する高吸湿性微粒子が付着されてなる構造体について詳しく説明する。
【0016】本発明に用いる構造体とは、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリアクリルニトリル系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリウレタン系、ポリフェニレンサルファイド系等の合成繊維、レーヨン、アセテート等の化学繊維、木綿、麻、シルク、ウール、羽毛などの天然繊維もしくはこれらの混用素材からなる編物、織物、不織布、フリース、紐状体またはフィルムまたは樹脂成形体などで構成される構造体である。
【0017】本発明の高吸湿性微粒子(以下、高吸湿/吸水発熱性微粒子とも表記する。)は、吸湿又は吸水時に発熱性を示す微粒子であれば、特に化学構造的に限定されるものではない。例えば、吸湿性シリカなどの無機系、もしくは吸湿性ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリエステル系およびポリアクリレート系などの種々の有機系微粒子の適用が可能であるが、特に、高吸湿/吸水発熱性有機微粒子が好ましく、例えば、ポリスチレン系、ポリアクリロニトリル系、ポリアクリル酸エステル系、ポリメタクリル酸エステル系のいずれかのビニル系重合体で、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基あるいは、それらの金属塩の少なくとも1種の親水基を有し、かつジビニルベンゼン、トリアリルイソシアネートまたはヒドラジンのいずれかで架橋された架橋重合体微粒子である。
【0018】高吸湿性微粒子の粒度は、吸湿/吸水発熱速度/発熱効率、均一付着性、風合い及び耐磨耗性の点から細かいほど望ましく、平均粒子径2μm未満がより好ましい。
【0019】本発明の高吸湿/吸水発熱性微粒子の付与方法は、繊維、フィルムもしくは樹脂層に直接練り込む方法や編物、織物、不織布、フリース、紐状物、フィルム及び樹脂成形品などの表層にバインダー樹脂を介して付着させる方法が挙げられるが、吸湿/吸水発熱速度/発熱効率の点から後者のバインダー樹脂を介する付着方法が好ましい。
【0020】バインダー樹脂としては、通常の含浸法、パディング法、コーティング法、スプレー法に適用できるシリコン系、ウレタン系、アクリル系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリエチレンオキサイド系などの樹脂が挙げられ、特に限定されないが、親水性、すなわち、吸湿性、吸水性、透湿性に優れ、高吸湿/吸水発熱性微粒子の優れた吸湿性、吸水性を阻害せず、しかも高吸湿/吸水発熱性微粒子と構造体を効果的に接着固定化できるバインダー機能に優れるタイプが望ましい。特に好ましい親水性樹脂バインダーとしては、親水性セグメントとして、ポリアルキレンオキサイド付加型、スルホン酸塩、カルボン酸塩等の極性親水基型、アミド変成型などを導入した親水性シリコーン系樹脂、親水性ウレタン系樹脂、親水性ポリアミド系樹脂、親水性ポリエチレンオキサイド系樹脂で、樹脂自身の吸湿性、透湿性が高く、吸水性を阻害しないものがあげられる。ここで言う樹脂の透湿性とは無孔膜状態での透湿性を意味する。微多孔膜で発現する透湿性が高い樹脂でも、樹脂自身の吸湿性、吸水性が低いバインダー樹脂では、高吸湿/吸水発熱性微粒子の優れた吸湿発熱もしくは吸水発熱性をマスキングし、低下させる。また、これら高吸湿/吸水発熱性微粒子と親水性樹脂バインダーの系に耐久性向上のために、イソシアネート系、メチロール系、エチレンイミン系、多官能アジリジニル系、金属塩系など各種架橋剤を、併用微粒子本来の吸湿/吸水性を低下させない範囲で併用しても良い。
【0021】本発明における高吸湿/吸水発熱性微粒子と親水性樹脂の配合比及びこれらの付着量は、吸湿/吸水発熱性に大きく影響する。親水性樹脂の親水レベルにより高吸湿/吸水発熱性微粒子と親水性樹脂の配合比は多少異なるが、通常1/1〜19/1の配合使用が望ましく、好ましくは、10/1〜19/1の配合比が、さらに好ましくは、15/1〜19/1の配合比などの、特に親水性樹脂の配合比率の小さいものほど、優れた吸湿/吸水発熱性を発現させることができる。但し、親水性樹脂が極端に少ない場合、もしくは併用しない場合は構造物表面に付着した高吸湿/吸水発熱性微粒子の磨耗耐久性が低下し、脱落し易くなる。逆に、親水性樹脂の配合比が多い場合は、親水性樹脂といえども、高吸湿/吸水発熱性微粒子本来の保有する吸湿/吸水性を阻害するケースが多いため、マスキング効果により吸湿/吸水発熱速度及び発熱量が極端に低下する。もちろん、親水性樹脂の吸湿/吸水性が高吸湿/吸水発熱性微粒子と同等以上の場合は、親水性樹脂の配合比を増加することができる。
【0022】本発明の吸湿/吸水発熱性構造体の発熱性は、物質の吸湿もしくは吸水時に産出する吸着反応熱に基づくもので、構造体に含まれる高吸湿/吸水性微粒子及び併用親水性樹脂バインダーの吸湿性能力及び又は吸水性能力及び付着量に依存する。すなわち、高吸湿/吸水性微粒子で、しかも細かいほど、吸湿もしくは吸水レベルの高い親水性樹脂バインダーほど、吸着水分による産熱は大きく、発熱速度も早く、発熱保持時間も長くなる。もちろん、かかる吸湿/吸水性は構造体基材単独でも保有するため、より効果的な吸湿/吸水発熱性を実現させるためには適用吸湿/吸水発熱性微粒子の吸湿率(20℃、65%RH)は25%以上が望ましく、さらに好ましくは40%以上である。また、併用親水性樹脂はかかる吸湿/吸水発熱性微粒子の吸湿性/吸水性をできるだけ阻害しない少なくとも吸湿率(20℃、65%RH)3〜50%のものが好ましい。すなわち、効果的な吸湿/吸水発熱性を得るためには、本発明の高度な吸湿/吸水発熱性を保有する構造体を出来るだけ低吸湿率、更に好ましくは完全乾燥(絶乾)状態に近い状態で保管することが肝要である。逆に、飽和吸湿率以上に水分を吸着し、発熱が完了した構造体は、放熱冷却され当初の温度まで低下するが、再度、乾燥して吸着水を取り除けば、元来の優れた吸湿/吸水発熱性が再発現する。
【0023】気相状態の吸湿発熱性が適度な速度で発熱し、比較的長く発熱性を維持するのに対して、液相の吸水発熱性は急速な発熱性が得られる反面、付着水の量が多すぎると顕著な発熱効果が得られない場合もあるので、付着水量の管理が質要となる。特に、緊急時など急速に加温したい場合は、本発明の吸水発熱機能が有効であり、発熱保持時間の長い吸湿発熱機能と組合せれば更に高度の吸湿/吸水発熱性構造体の商品設計が可能となる。
【0024】本発明によれば、高吸湿/吸水発熱性微粒子の種類及び付着量を最適化し、適正な親水性樹脂バインダーを介して付着させた構造体は、吸湿及び又は吸水時の最大温度上昇が3℃以上、好ましくは4℃以上、より好ましくは5℃以上であり、さらには吸水時の最大温度上昇が8℃以上であり、しかも吸湿時の発熱保持時間が30分以上、吸水時の発熱保持時間が30秒以上、より好ましくは1分以上保持される等、吸湿/吸水発熱速度、発熱量、発熱保持時間の総合発熱性能面で、従来にない優れた吸湿/吸水発熱性が得られる。
【0025】本発明の構造体は、これらの優れた高吸湿/吸水発熱性に加えて、抗菌防臭性、制菌性、消臭性、ノネナール消臭性、pH緩衝性、制電性、SR防汚性、耐酸性雨性の多機能性を発現させることもできる。
【0026】
【実施例】以下に実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は、何らこれらに限定するものではない。以下で、単に部、%と記載したものは、質量基準を意味する。また、本実施例における構造体の測定、評価は次の方法で行った。
【0027】<絶乾質量>サンプルを110℃×6時間乾燥後、シリカゲル入りデシケータに入れ、20℃、65%RH環境下で調温後、質量測定を行った。
<吸湿性>20℃、65%RH環境下で24時間調温調湿後の質量測定を行い、下記式から算出した。
吸湿率(%)={(吸湿質量−絶乾質量)/絶乾質量}×100【0028】<吸湿発熱性>110℃×6時間乾燥後、シリカゲル入りデシケータに入れ、絶乾状態とした5cm×5cmの測定サンプルに温度センサー(例えば安立計器(株)製;540K MD−5型)を装着後、20℃、95%RH環境下(例えば硫酸カリウム飽和水溶液入りデシケータ)での吸湿発熱性を温度記録計(例えば安立計器(株)製;DATA COLLECTOR AM−7052型)で計測した。
<吸水発熱性>前記絶乾状態の5cm×5cmの測定サンプルに温度センサーを装着後、20℃、65%RH環境下で、サンプル質量の50%相当量のイオン交換水を3〜5秒の間に均一に噴霧後、吸水発熱性を温度記録計にて計測した。最大吸水発熱温度及び吸水前サンプル温度以上の吸水発熱保持時間(分)で評価した。
【0029】<結露性>10〜15リットルの内体積を有するデシケーターに5cm×5cmのサンプルを投入し、ふたを開けた状態で20℃、80%の室内に放置し、調温・調湿した。24時間後、デシケーターのふたを閉めて10℃に保たれた環境下に5分以内に移動させる。その1時間後にふたを開けサンプルの結露状態を確認した。
【0030】[実施例1]ポリエチレンテレフタレート長繊維加工糸(165dtex/48f)からなるダブルニット(目付=200g/m2)を通常リラックス精練、分散染色、乾燥後、本発明の高吸湿/吸水発熱性構造体の基布として用いた。
【0031】次に高吸湿/吸水発熱性有機微粒子の製造を次の方法で行った。メタクリル酸/p−スチレンスルホン酸ソーダ=70/30の水溶性重合体350部及び硫酸ナトリウム35部を6500部の水に溶解し、櫂型攪拌機付きの重合槽に仕込んだ。次に、アクリル酸メチル2750部及びジビニルベンゼン330部に2,2'−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)15部を溶解して重合槽に仕込み、400rpmの攪拌下、60℃で2時間重合し、重合率88%の共重合体を得た。該重合体100部を水900部中に分散し、これに110部の苛性ソーダを添加し、90℃、2.5時間反応を行い、アクリル酸メチルのメチルエステル部を加水分解することによりカルボキシル基4.6ミリ当量/gを有した架橋重合体を得た。得られた重合体を水中に分散し、洗浄、脱水後、粉砕、分球もしくはろ過し、高吸湿/吸水発熱性微粒子を得た。得られた高吸湿/吸水発熱性有機微粒子の20℃、65%RH下での吸湿率は50%、平均粒子径は0.8μmであった。
【0032】かかる高吸湿/吸水発熱性微粒子20%を含む水分散体95部に親水性樹脂バインダーとして、TF−3500(花王社製親水性シリコン系バインダー;固形分40%)4部およびアクアプレンWS105(明成化学工業社製親水性ウレタン系バインダー;固形分40%)1部を加えた加工パディング液に基布を浸漬し、マングルにて加工液ウエットピックアップ率100%になるよう絞った後、120℃で乾燥後、180℃で1分間乾熱セットして構造体を得た。得られた構造体の吸湿/吸水発熱性の特性を表1に示す。未加工品の構造体に比べ発熱速度、発熱温度、発熱保持時間の優れた吸湿発熱性/吸水発熱性が得られた。この構造体を用いて1層構造のスキーウェアを得た。このスキーウェアは未加工品の構造体を配置したスキーウェアに比べ発熱速度、発熱温度、発熱保持時間の優れた吸湿発熱性/吸水発熱性が得られ、保温性に優れるものであった。
【0033】[実施例2]実施例2で用いる基布は、前記実施例1と同じものを用いた。
【0034】実施例2で用いる高吸湿/吸水発熱性有機微粒子の製造を次の方法で行った。アクリロニトリル450部、アクリル酸メチル40部、p−スチレンスルホン酸ソーダ16部及び水1180部をオートクレーブに仕込み、重合開始剤としてジ−tert−ブチルパーオキサイドを単量体全体に対して0.5%添加した後、密閉し、次いで攪拌下において150℃で20分間重合反応後、攪拌しながら約90℃まで冷却し、平均粒子径1.4μm(光散乱光度計測定)の原料微粒子の水分散体を得た。この水分散体に浴中濃度が35%になるようヒドラジンを加え、102℃で2時間架橋処理を行い、続いて浴中濃度が10%になるよう苛性ソーダを加えて、102℃で5時間加水分解処理を行った後、pH調整、分球もしくはろ過後、高吸湿/吸水発熱性有機微粒子分散体を得た。得られた高吸湿/吸水発熱性有機微粒子の20℃、65%RH下での吸湿性は51%、平均粒子径は0.5μmであった。
【0035】かかる高吸湿/吸水発熱性微粒子20%を含む水分散体95部に親水性樹脂バインダーとして、TF−3500(花王社製アルキレングリコール変成親水性シリコン系バインダー;固形分40%)5部を加えた加工パディング液に基布を浸漬し、マングルにて加工液ウエットピックアップ率120%になるよう絞った後、120℃で乾燥後、170℃で1分間乾熱セットして構造体を得た。得られた構造体の吸湿/吸水発熱性の特性を表1に示す。未加工品の構造体に比べ発熱速度、発熱温度/発熱保持時間の優れた吸湿発熱性/吸水発熱性が得られた。この構造体を3層構造の裏地として用いスキーウェアを得た。このスキーウェアは未加工品の構造体を配置した手袋に比べ発熱速度、発熱温度/発熱保持時間の優れた吸湿発熱性/吸水発熱性が得られ、保温性に優れるものであった。
【0036】[実施例3]2.8デシテックス、繊維長38mmカットの中空ポリエステル短繊維(機械捲縮糸)を開繊、カード後、通常のニードルパンチ不織布(目付け=100g/m2)を得た。
【0037】次いで、実施例1で得られた高吸湿/吸水発熱性有機微粒子20%を含む水分散体95部に、親水性バインダーとして、TF−3500(花王社製アルキレングリコール変成親水性シリコン系バインダー;固形分40%)5部を加えた加工パッディング液に基布を浸漬し、マングルにて加工液ウエットピックアップ率100%になるよう絞った後、120℃で乾燥後、170℃で1分間乾熱セットして構造体を得た。得られた構造体の吸湿/吸水発熱性の特性を表1に示す。未加工品の構造体に比べ発熱速度、発熱温度/時間の優れた吸湿発熱性/吸水発熱性が得られた。この構造体を3層構造の中地に配置してスキーウェアを得た。このスキーウェアは未加工品の構造体を配置したスキーウェアに比べ発熱速度、発熱温度/時間の優れた吸湿発熱性/吸水発熱性が得られ、保温性に優れるものであった。
【0038】[実施例4]10番手綿紡績糸100%からなるパイル織物を通常のり抜き精練、過酸化水素漂白、シルケット加工後、反応染料により染色、洗浄、乾燥セットした織物を構造体基布として用いた。
【0039】次いで、実施例1で得られた高吸湿/吸水発熱性有機微粒子20%を含む水分散体90部に、親水性バインダーとして、TF−3500(花王社製アルキレングリコール変成親水性シリコン系バインダー;固形分40%)3.5部および繊維素反応型グリオキザール系樹脂(ジメチロールヒドロキシエチレン尿素;固形分80%)6部、塩化マグネシウム系酸性触媒0.5部を加えた加工パディング液に基布を浸漬し、マングルにて加工液ピックアップ率100%になるよう絞った後、120℃で乾燥後、170℃で1分間乾熱セットして構造体を得た。得られた構造体の吸湿/吸水発熱性の特性を表1に示す。未加工品の構造体に比べ発熱速度、発熱温度、発熱保持時間のいずれも優れた吸湿発熱性/吸水発熱性が得られた。この構造体を2層構造の裏地に配置してスキーウェアを得た。この手袋は未加工品の構造体を配置したスキーウェアに比べ発熱速度、発熱温度/時間の優れた吸湿発熱性/吸水発熱性が得られ、保温性に優れるものであった。
【0040】[比較例1]実施例1に記載のポリエステル長繊維加工糸使いダブルニット単独の構造体での結果を表1に示す。この構造体は実施例1、2の構造体に比べ吸湿/吸水発熱効果は見られなかった。この構造体を用いて1層構造のスキーウェアを得た。このスキーウェアは実施例1、2に比べ吸湿/吸水発熱効果は見られなく、保温性に劣るものであった。
【0041】[比較例2]実施例3に記載の中空ポリエステル短繊維製ニードルパンチ不織布単独の構造体での結果を表1に示す。この構造体は実施例3の構造体に比べ吸湿/吸水発熱効果は見られなかった。この構造体を3層構造の中地に配置してスキーウェアを得た。このスキーウェアは実施例3に比べ吸湿/吸水発熱効果は見られなく、保温性に劣るものであった。
【0042】
【表1】

【0043】
【発明の効果】本発明によれば、高吸湿発熱性微粒子を少量の親水性樹脂を介して編物、織物、不織布、フリース、紐状物、またはフィルムもしくは樹脂成形品に付着させた構造体を、スキーウェアなどの構成部品として配置し、外部環境、人体もしくは人工的な湿気(水蒸気)や水分(液体)を吸収して迅速かつ安定に発熱することで、吸湿/吸水発熱性スキーウェアを簡便に、かつ安定に得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡績株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市北区堂島浜2丁目2番8号
【出願日】 平成13年10月19日(2001.10.19)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−129312(P2003−129312A)
【公開日】 平成15年5月8日(2003.5.8)
【出願番号】 特願2001−322509(P2001−322509)