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【発明の名称】 吸汗拡散性に優れたバンド状衣類
【発明者】 【氏名】小林 洋一
【住所又は居所】東京都足立区鹿浜1丁目9番14号 トーコー衛材株式会社内

【氏名】岩崎 和夫
【住所又は居所】東京都足立区鹿浜1丁目9番14号 トーコー衛材株式会社内

【氏名】森田 稔
【住所又は居所】東京都足立区鹿浜1丁目9番14号 トーコー衛材株式会社内

【要約】 【課題】吸汗と蒸散性に優れた、腰痛帯、マタニティ用腹帯、サポーターなどのバンド状衣類を提供することである。

【解決手段】吸汗拡散性編地を少なくとも内面に用いたバンド状衣類とすることである。そして特に、拡散面積比が3以上の吸汗拡散性編地や、疎水性の裏層と親水性の表層との少なくとも二層からなる吸汗拡散性編地を用いることである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 吸汗拡散性編地を少なくとも内面に用いる、吸汗拡散性に優れたバンド状衣類。
【請求項2】 前記吸汗拡散性編地の拡散面積比が3以上である、請求項1に記載の吸汗拡散性に優れたバンド状衣類。
【請求項3】 前記吸汗拡散性編地が、疎水性繊維が主である裏層と、親水性繊維が主である表層との、少なくとも二層で構成される、請求項1又は請求項2に記載の吸汗拡散性に優れたバンド状衣類。
【請求項4】 前記表層に吸湿発熱性繊維を含む、請求項3に記載の吸汗拡散性に優れたバンド状衣類。
【請求項5】 前記吸汗拡散性編地の外側にメッシュ調生地が重ねて用いられる、請求項1から請求項4のいずれかに記載の吸汗拡散性に優れたバンド状衣類。
【請求項6】 腰痛帯である、請求項1から請求項5のいずれかに記載の吸汗拡散性に優れたバンド状衣類。
【請求項7】 マタニティ用腹帯である、請求項1から請求項5のいずれかに記載の吸汗拡散性に優れたバンド状衣類。
【請求項8】 サポーターである、請求項1から請求項5のいずれかに記載の吸汗拡散性に優れたバンド状衣類。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸汗速乾性が改良された、腰痛帯、マタニティ用腹帯、サポーターなどのバンド状衣類に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】腰痛帯、マタニティ用腹帯、サポーターなどのバンド状衣類は、身体の一部に強く巻かれて使用されるので、着用部での発汗が多くなり、ムレたり、時には湿疹が発症したりしていた。このため腰痛帯などでは、メッシュ調素材を用いたり、表裏を貫通する小孔を設けたベルトを用いたりして、通気性の確保に努めてきたが、十分満足できる結果には至っていない。
【0003】一方、吸水性素材を腰痛帯に積極的に取り入れる提案がなされている。すなわち、実用新案登録第3036577号では、腰痛帯に設けた袋体に吸湿部材を入れることにより、皮膚から発散する汗を吸収させることを提案している。ところが、この提案では、吸湿部材が嵩張るために着用感が悪くなるとか、吸湿が飽和に達してしまうとそれ以上汗を吸収できなくなるとかが心配される。
【0004】また、実用新案登録第3052238号では、内部に多数の細孔を持つ繊維をベルト本体に用い、この細孔による毛細管現象を利用して、汗を素早く吸収・蒸散させることを提案している。本提案によれば、吸汗蒸散性の改良が十分期待されるが、内部に多数の孔を持つ繊維の強度が低いため、ベルト本体の補強が必要であることや、該繊維が高価なため製品コストが嵩むなどの問題があった。
【0005】そこで本発明者等は、上述した従来技術の問題点に鑑み、吸汗性と蒸散性に優れ、着用感が良好な、吸汗拡散性に優れたバンド状衣類を提供するべく鋭意検討を重ねた結果、本発明に至ったのである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる、吸汗拡散性に優れたバンド状衣類の要旨とするところは、吸汗拡散性編地を少なくとも内面に用いることにある。
【0007】そして特に、拡散面積比が3以上の吸汗拡散性編地が用いられることにある。
【0008】また特に、疎水性繊維が主である裏層と、親水性繊維が主である表層との、少なくとも二層で構成される吸汗拡散性編地が用いられることにある。
【0009】また特に、表層に吸湿発熱性繊維を含む吸汗拡散性編地が用いられることにある。
【0010】また特に、吸汗拡散性編地の外側にメッシュ調生地が重ねて用いられることにある。
【0011】そして、このような吸汗拡散性に優れたバンド状衣類を、腰痛帯として実施されることにある。
【0012】あるいは、このような吸汗拡散性に優れたバンド状衣類が、マタニティ用腹帯として実施されることにある。
【0013】あるいは、このような吸汗拡散性に優れたバンド状衣類が、サポーターとして実施されることにある。
【0014】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係わる吸汗拡散性に優れたバンド状衣類の実施態様について、図面に基づいて詳しく説明する。
【0015】図1は、本発明に係わる腰痛帯10の一例を示す。メッシュ調生地からなる伸縮性の本体ベルト20の内面には、その一端部に鉤状の面ファスナー14が備えられ、残りの全面に吸汗拡散性編地からなる裏地12が張られている。また、背面の両端部はパイル状の面ファスナー18とされ、背面の中央部には補助ベルト22が取り付けられていて、本体ベルト20を装着した上から、さらに補助ベルト22で腰部を締め付けるようにされている。そして、使用時背中に当たる部分には、2本のプラスチック製ステー24が抜き差し自在に備えられている。
【0016】この腰痛帯10を装着するには、まず、本体ベルト20を腰部に巻き付け、鉤状の面ファスナー14をパイル状の面ファスナー18に重ねて係着する。次いで、補助ベルト22を締めるのであるが、鉤状の面ファスナー(図示されていない)が内側に備えられている両端部34、36を前方に引き、本体ベルト20のパイル状面ファスナー18と係着させればよい。
【0017】本例の腰痛帯10によれば、本体ベルト20に重ねて補助ベルト22で強く締め付けるので、腰部を強力に固定して保護することができる。そして、内面に吸汗拡散性編地からなる裏地12が張られているので、汗をかいても直ぐに裏地12に吸収される。また、表側の本体ベルト20が通気性に優れたメッシュ調生地なので、裏地12に吸収された汗は、吸汗拡散性編地の特性に基づいて速やかに発散し、裏地12に汗が溜まらなくて常に快適な着用感が得られる。
【0018】本発明でいうバンド状衣類とは、図2(a)に示されるベルト状衣類26に限らず、同図(b)に示される筒状の衣類30も意味する。例えば、本発明に該当するベルト状衣類では、腰痛帯、マタニティ用腹帯、胸部サポーターなどが挙げられる。また、筒状衣類としては、腰痛帯、マタニティ用腹帯、手首や肘などに対する手用サポーター、足首や膝などに対する足用サポーター、腹巻、ヘアバンド、等々が挙げられる。
【0019】また、本発明でいう吸汗拡散性編地とは、JIS−L1018ウイッキング法に準じて、多くとも0.05mlの水滴を試料の裏面に滴下し、10秒経過後に測定された表面の湿潤面積が、少なくとも200mmである編地をいう。また、拡散面積比とは、上述の表面湿潤面積を測定する時に裏面の湿潤面積も測定し、裏面湿潤面積に対する表面湿潤面積の比として定義される値である。
【0020】本発明では、拡散面積比が3以上の吸汗拡散性編地が好ましく用いられるが、中でも、疎水性繊維が主である裏層と、親水性繊維が主である表層との少なくとも二層で構成される吸汗拡散性編地がより好ましく用いられる。すなわち、綿、レーヨン、親水処理された各種合成繊維などの親水性繊維を50%以上含む表層と、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタンなどの合成繊維を50%以上含む裏層との、少なくとも二層からなる吸汗拡散性編地がより好ましく用いられる。
【0021】このように構成された吸汗拡散性編地を裏地12に用いれば、肌に接する裏層は汗を速やかに表層に移動拡散させ、表層は汗を吸収し、かつ、外部に汗を発散させる。このため、肌はいつもさわやかな状態に保たれる。
【0022】また、本発明の特に有用な別の実施態様では、表層に吸湿発熱性繊維を含む吸汗拡散性編地が用いられる。吸湿発熱性繊維とは、水分を吸収することで繊維自体が発熱する繊維を意味する。すなわち、発汗、例えば、液体状の汗だくだけではなく、不感蒸泄として人体から出る水蒸気などにより発熱する機能を持つ繊維である。表層に含まれる吸湿発熱性繊維は、親水性繊維として汗などを十分に吸収するとともに、発熱することによって身体の使用部を温める効果を発揮する。したがって、慢性症状用の腰痛帯やサポーター、あるいは、マタニティ用腹帯などに利用されると非常に有効である。
【0023】このような作用を有する吸湿発熱性繊維の例としては、アクリル繊維のニトリル基を架橋させ、残ったニトリル基を加水分解させてカルボン酸金属塩基を導入したアクリレート系繊維、あるいは、セルロース繊維にアクリル酸、メタクリル酸などをグラフト重合させて、カルボン酸金属塩基を導入したセルロース系繊維などが知られている。そして、市販品であるエクス(東洋紡績株式会社製)、モイスケア(東洋紡績株式会社製)、あるいは、サーモストック(シキボー株式会社製)などを使用することができる。
【0024】吸汗拡散性編地を裏地12に用いても、汗を発散させなければならない表面側が塞がれていては、吸汗拡散性編地を用いる効果が十分に発揮されない。したがって、吸汗拡散性編地を裏地12としてではなくて、本体ベルト20として単独で用いられるのが好ましいが、強力、伸縮性、形状安定性などの、本体ベルト20に要請される諸物性を満足させるのが難しい場合がある。このような場合、通気性に優れた伸縮性のメッシュ調生地で本体ベルト20を形成し、吸汗拡散性編地からなる裏地12に重ねて用いられるのが好ましい。伸縮性のメッシュ調生地は、例えば、ポリウレタン糸交編の丸編みやタテ編みなどによって得られる。
【0025】上述したように、本発明は種々の製品形態で実施されるが、腰痛帯やマタニティ用腹帯、あるいは各種サポーターに適用されるのが特に好ましい。これらの製品は、きつく締め付けられるため発汗し易く、また、長時間にわたって着用されることが多いため、ムレたり発疹したりして、特に不快になりやすいからである。吸汗拡散性編地を用いることによって、この不快感を取り除くことができる。
【0026】図3に示されるマタニティ用の腹帯30では、鉤状の面ファスナー14部分を除く、本体ベルト32の全裏面にわたって吸汗拡散性編地からなる裏地12が張られている。この腹帯30によれば、腹部、側部、腰背部の全てが吸汗拡散性編地で包まれるので、腹帯30部分が発汗しても、その汗は速やかに吸収・発散されて、ムレたり発疹したりしない。
【0027】以上、本発明に係わる、吸汗拡散性に優れたバンド状衣類について詳細に説明してきたが、本発明は上述の引用・例示に限定されず、バンド状衣類の種類や構成や形状や材質、吸汗拡散性編地の種類や構成、吸汗拡散性編地を構成する繊維の種類などにつき、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変化を加えた態様で実施し得るものである。
【0028】
【実施例】本発明の実施例を以下に詳しく説明する。
【0029】実施例1〜実施例8、比較例1〜比較例4腰痛帯の裏地用原反として、市販される編地の中から、吸汗拡散性能がうたわれているものを含めて12種の丸編み生地を選んだ。そして腰痛帯には、図1に示されるのと同様の市販品(トーコー衛材株式会社製、トーコーケアベルト)を用い、その内側の面ファスナー部分を除く全面に、上述の裏地用原反を重ねて縫い付けた。用いた裏地用原反を表1に示す。
【0030】
【表1】

【0031】このようにして得られた12種類の試作腰痛帯を着用試験で評価した。評価は7人で行い、上記の市販品そのものをブランクとして、個々に着用感を比較し、ブランクよりさわやかと感じれば+1点、ブランクと同程度のさわやかさと感じれば0点、ブランクよりムレると感じれば−1点とした。そして、13種類の腰痛帯それぞれに対して7人の評価点数を合計し、+であれば一応の効果が認められるが、+3点以上の評価が得られれば、実用上格別の効果があると判断した。裏地の性状とともに評価結果を表2に示す。表2から明らかなように、表面湿潤面積が200mm以上の編地を裏地に用いた腰痛帯が有効であった。なお、湿潤面積の測定は、水を裏面に滴下10秒後から測定を始め、測定時間は約10秒であった。この測定を裏から表の順に3回、表から裏の順に3回行い、平均値を求めた。
【0032】
【表2】

【0033】実施例9市販のマタニティ用腹帯(ピジョンウイル株式会社製、妊婦帯ベルトインタイプ)の内側に、吸汗拡散性編地(東洋紡績株式会社製、KBS3472DSA)を縫い付けて、上述の着用試験と同様の評価を行ったところ、+3点となって有効であることが確認された。
【0034】
【発明の効果】本発明に係わる吸汗拡散性に優れたバンド状衣類によれば、吸汗拡散性編地が内面に用いられているので、発汗の激しいバンド状衣類でも、いつもさわやかに着用できるようになる。
【0035】そして特に、拡散面積比が3以上の吸汗拡散性編地を用いたり、疎水性の裏層と親水性の表層とからなる吸汗拡散性編地を用いることにより、吸汗性と、吸汗した汗の発散性とをより高めることができる。
【0036】また特に、前記の二層構造の吸汗拡散性編地において、表層に吸湿発熱性繊維を含ませることによって、吸汗拡散機能に加えて加温機能を付与することができ、さらに有用な、腰痛帯やマタニティ用腹帯などを得ることができる。
【0037】また特に、吸汗拡散性編地からなる裏地の外側に、メッシュ調生地を重ねて用いることによって、吸汗拡散性編地の蒸散特性を損なわないようにし、汗の吸収と発散をより確実にすることができる。
【出願人】 【識別番号】391030789
【氏名又は名称】トーコー衛材株式会社
【住所又は居所】東京都足立区新田2丁目13番3号
【出願日】 平成13年9月28日(2001.9.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−105615(P2003−105615A)
【公開日】 平成15年4月9日(2003.4.9)
【出願番号】 特願2001−301781(P2001−301781)