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【発明の名称】 ヒンジ連結区域を保護するためのエネルギー吸収能を有する保護装置
【発明者】 【氏名】ジェイソン ベルンス

【要約】 【課題】関節のような、ヒンジ連結区域を保護するための改良を加えたヒンジ連結部材を有し、エネルギー吸収能を持ったヒンジ連結区域からなる保護用パッドを提供する。

【解決手段】エネルギー吸収能を持つ材料からなるパッドは、第一の軸と第二の軸とに沿って延在する切り込み線を有する。この切り込み線は該パッド内に刻み込まれてパッドのヒンジ連結部を提供する。パッドはまた、その周囲で第二の軸に沿って刻み目を有し、これによりパッドに可撓性を付与する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エネルギー吸収能を有する材料からなるパッドと;第一の軸と第二の軸に沿って前記パッド内に刻み込まれ、前記パッドにヒンジ連結区域を設ける切り込み線と;前記パッドの周囲で、前記第二の軸に沿って刻み込まれ、前記パッドに可撓性を付与する刻み目とを含むことを特徴とする、エネルギー吸収能を有するヒンジ連結された保護用パッド。
【請求項2】 前記エネルギー吸収能を有する材料が、単一の密度を有する発泡材であることを特徴とする請求項1に記載のエネルギー吸収能を有する保護用パッド。
【請求項3】 前記エネルギー吸収能を有する材料が、多数の密度を有する発泡材であることを特徴とする請求項1に記載のエネルギー吸収能を有する保護用パッド。
【請求項4】 前記多数の密度を有する発泡材が、第一の密度を有する前記パッドの外側に設けた第一の層と;前記第一の密度よりも高い密度である第二の密度を有する前記パッドの内側に設けた第二の層とを含むことを特徴とする請求項3に記載のエネルギー吸収能を有する保護用パッド。
【請求項5】 更に、前記パッドの内側に取り付けられる伸縮性の織物片を含むことを特徴とする請求項1に記載のエネルギー吸収能を有する保護用パッド。
【請求項6】 更に、前記パッドの周囲長に亘り前記伸縮性織物片に取り付けられて前記パッドを取り囲む、外側織物片を含むことを特徴とする請求項5に記載のエネルギー吸収能を有する保護用パッド。
【請求項7】 前記切り込み線が、前記パッドを複数個の個別部材に切断することを特徴とする請求項5に記載のエネルギー吸収能を有する保護用パッド。
【請求項8】 前記切り込み線が、ヒンジ連結区域に対してほぼ長手方向にある第一の軸に沿って延在する第一の複数本の切り込み線と;前記第一の軸にほぼ垂直な第二の軸に沿って延在する第二の複数本の切り込み線とを含むことを特徴とする請求項1に記載のエネルギー吸収能を有する保護用パッド。
【請求項9】 前記第一と第二の複数本の切り込み線が、前記パッドを通る道程の少なくとも4分の1に亘って切断されることを特徴とする請求項8に記載のエネルギー吸収能を有する保護用パッド。
【請求項10】 前記第一と前記第二の複数本の切り込み線が、前記パッドを通る道程の少なくとも2分の1に亘って切断されることを特徴とする請求項8に記載のエネルギー吸収能を有する保護用パッド。
【請求項11】 更に、前記第一と前記第二の複数本の切り込み線によって画成される前記パッド内に複数個の多角形を含むことを特徴とする請求項8に記載のエネルギー吸収能を有する保護用パッド。
【請求項12】 前記複数個の多角形の各々が、前記第二の軸に沿ってよりも、前記第一の軸に沿って幅狭であることを特徴とする請求項11に記載のエネルギー吸収能を有する保護用パッド。
【請求項13】 前記多角形が六角形あるいは五角形のいずれかであることを特徴とする請求項11に記載のエネルギー吸収能を有する保護用パッド。
【請求項14】 前記パッドが、更に前記第二の軸を横断する湾曲部を含み、その凹面状をした側が、保護すべき対象物の部分に嵌合することを特徴とする請求項8に記載のエネルギー吸収能を有する保護用パッド。
【請求項15】 前記パッドを構成するエネルギー吸収能を有する材料が、熱間鋳造可能で、かつ加熱により前記湾曲部を形成することを特徴とする請求項14に記載のエネルギー吸収能を有する保護用パッド。
【請求項16】 更に、前記パッドを受け入れる衣服内にポケットを含むことを特徴とする請求項15に記載のエネルギー吸収能を有する保護用パッド。
【請求項17】 前記保護用パッドが膝当てであることを特徴とする請求項16に記載のエネルギー吸収能を有する保護用パッド。
【請求項18】 前記保護用パッドが肘当てであることを特徴とする請求項16に記載のエネルギー吸収能を有する保護用パッド。
【請求項19】 前記保護用パッドが腰当てであることを特徴とする請求項16に記載のエネルギー吸収能を有する保護用パッド。
【請求項20】 前記保護用パッドが肩当てであることを特徴とする請求項16に記載のエネルギー吸収能を有する保護用パッド。
【請求項21】 前記切断線が、前記複数本の切り込み線の箇所で撓曲を妨げる余分の材料を除去することを特徴とする請求項1に記載のエネルギー吸収能を有する保護用パッド。
【請求項22】 以下の工程からなることを特徴とする、エネルギー吸収能を有する、ヒンジ連結された保護用パッドを設ける方法:a)エネルギー吸収能を有する材料のパッドの第一の軸と第二の軸に沿って切り込み線を画成し、前記パッドのヒンジ連結区域を設けるようにする;b)次いで、前記パッドの周囲において、前記第二の軸に沿って該パッドを切断し、前記パッドに可撓性を付与する。
【請求項23】 前記エネルギー吸収能を有する材料が、単一の密度を有する発泡材であることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】 前記エネルギー吸収能を有する材料が、多数の密度を有する発泡材であることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項25】 前記多数の密度を有する発泡材が、第一の密度を有する前記パッドの外側に設けた第一の層と;前記第一の密度よりも高い密度である第二の密度を有する、前記パッドの内側に設けた第二の層とを含むことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】 更に、前記パッドの内側に伸縮性の織物片を取り付ける工程を含むことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項27】 更に、前記パッドの周囲長に亘って前記伸縮性織物片に外側織物片を取り付け、前記パッドを取り囲む工程を含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】 更に、前記パッドを、前記切り込み線により、前記伸縮性織物に取り付けられた複数個の個別部材に切断する工程を含むことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】 前記切り込み線の画成が以下の工程により行われることを特徴とする請求項22に記載の方法:a)ヒンジ連結区域に対して長手方向にある第一の軸にほぼ沿って第一の複数本の切り込み線を刻み;次いで、前記第一の軸に対してほぼ垂直である第二の軸にほぼ沿って第二の複数本の切り込み線を刻む。
【請求項30】 前記第一と第二の複数本の切り込み線を、前記パッドの全長の少なくとも4分の1に亘り刻み込むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】 前記第一と第二の複数本の切り込み線を、前記パッドの全長の少なくとも2分の1に亘り刻み込むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項32】 前記第一と第二の複数本の切り込み線により前記パッド内に画成される複数個の多角形を画定する工程を含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項33】 前記多角形を画成する工程が、六角形あるいは五角形の何れかの画成工程であることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】 前記複数個の多角形の各々が、前記第二の軸に沿ってよりも、前記第一の軸に沿ってより幅狭であることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】 更に、前記第二の軸を横切る前記パッドの湾曲部を形成する工程を含み、前記パッドの凹面側が保護すべき体の部分に嵌合することを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項36】 前記パッドを構成する前記エネルギー吸収能を有する材料が熱間鋳造可能であること、また、更に前記パッドを加熱して前記湾曲部を形成することを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項37】 更に、前記パッドを受け入れるポケットを衣服内に設け、該パッドをその中に挿入する工程を含むことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項38】 前記保護用パッドが膝当てであることを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項39】 前記保護用パッドが肘当てであることを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項40】 前記保護用パッドが腰当てであることを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項41】 前記保護用パッドが肩当てであることを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項42】 更に、前記刻み目の間にある余剰の材料を除去して、前記複数本の切り込み線に沿って可撓性を増加させる工程を含むことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項43】 a)エネルギー吸収能を有する材料からなるパッドと;b)第一の軸と第二の軸とに沿って延在する切り込み線とを含み、前記切り込み線は前記パッド内に刻み込まれて前記パッドのヒンジ連結区域を準備し、第一の軸に沿った第一の寸法と第二の軸に沿った第二の寸法とを有する複数個の多角形を画定し、前記第一の寸法は前記第二の寸法より小さいことを特徴とする、エネルギー吸収能を有するヒンジ連結された保護用パッド。
【請求項44】 前記多角形が六角形あるいは五角形であることを特徴とする請求項43に記載のエネルギー吸収能を有する保護用パッド。
【請求項45】 a)実質的に弾力性に富み、互いに一体的に結合してパッドを形成する、複数個の独立別個のビーズと;b)第一の軸と第二の軸に沿って延在する切り込み線であって、前記パッドを切断して前記パッドのヒンジ連結区域を準備するものとを含むことを特徴とする、エネルギー吸収能を有するヒンジ連結された保護用パッド。
【請求項46】 前記切り込み線が:a)ヒンジ連結区域に対して長手方向にある前記第一の軸にほぼ沿っている第一の複数本の切り込み線と;b)前記第一の軸に対してほぼ垂直である前記第二の軸にほぼ沿って延在する第二の複数本の切り込み線とを含むことを特徴とする請求項45に記載のエネルギー吸収能を有する保護用パッド。
【請求項47】 更に、前記第一と前記第二の複数本の切り込み線によって画定された前記パッド内に複数個の多角形を含むことを特徴とする請求項46に記載のエネルギー吸収能を有する保護用パッド。
【請求項48】 前記複数個の多角形の各々が、前記第二の軸に沿ってよりも、前記第一の軸に沿ってより幅狭であることを特徴とする請求項46に記載のエネルギー吸収能を有する保護用パッド。
【請求項49】 前記多角形が六角形あるいは五角形のいずれかであることを特徴とする請求項46に記載のエネルギー吸収能を有する保護用パッド。
【発明の詳細な説明】【0001】本発明は、衝撃エネルギーを吸収する装置に関する。より詳しく述べると、本発明は、関節区域および他のヒンジ連結区域に対して保護を提供するのに用いる装置に関する。さらに詳細に述べるならば、本発明は、関節区域および他のヒンジ連結区域に対して保護を提供するとともに、空気および水分がこの保護装置を通過できるようにし、この保護装置の使用者に対して、汗の排出を可能にした通気性のある保護装置を提供するものである。
【0002】スポーツや現場作業においては、発生する衝撃から使用者を保護する詰め物(パッディング)のような安全装具を必要とする。このようなパッディングを必要とするスポーツの非限定的ないくつかの例をとれば、サイクリング、フットボール、ホッケー、インライン・スケート、スキー、スノーボードなどの競技がある。また、安全装具を必要とする現場作業の非限定的な例としては、建設現場が挙げられる。このような安全装具の設計者は、数多くの障害に直面する。
【0003】安全装具のデザイナーにとって特に関心を要する一分野は「パッディング」についてである。その中でも、デザイナーにとって格別関心のある分野は、ヒンジ連結区域に対するパッディングについてである。ヒンジ連結区域とは、少なくとも2の隣接する体の部分が、動作を行っている間に異なる方向に動く1の関節あるいは他の区域を指す。例えば、保護する1の共通の関節は、パッドの使用者がインライン・スケートや、ランニングや、あるいはウォーキングなどを行う場合に、屈曲を行わなければならない膝の部分である。パッドの使用者は、最小限の不快感で、あらゆる範囲の動作を可能にするパッドを好む。パッドの使用者はまた、汗を除去できるパッドを好み、このようなパッドの動作は、当該技術分野では、「ブリージング(息抜き、通気性)」として知られている。デザイナーが持つこれ以外の関心事には、パッドが洗濯でき、軽重量で、かつ耐久性を有することなどである。
【0004】先行技術におけるパッドのデザインは、これら諸々の要求を十分満足させるものではない。例えば、米国特許第6,029,273 号明細書(McCrane)に開示されているようなパッドは、硬質の外側ケーシングを有し、汗を外部に逃すことができないタイプであった。それゆえ、この種のパッドは、衣類に使用する上で理想的なものではない。さらに、この種のパッドは、外側ケーシングが剛直で柔軟性に欠けているため、体の動きを制限することを余儀なくした。ヒンジ連結を可能にするためには、剛直なケーシングを備えたパッドにヒンジ連結用の板部材を設ける必要のあるものがある。ヒンジ連結したケーシングは、運動を容易にするため、互いに板部材を移動させることができるよう嵌め合わせた複数枚の板部材を含む。これらのケーシングは移動の問題を解決してくれるが、ヒンジ連結した板部材を有するケーシングは汗を逃がすことができず、重くて嵩張っており、また衣服内に挿入するには依然として硬すぎるという欠点を有する。さらに、ヒンジ連結用の板部材を製造するための費用は高価であり、また時間のかかるものである。
【0005】第二のタイプのケーシングは、弾性材料からなる個々別々のビーズを過充填した、多孔質で、息抜き可能で、可撓性を有する非弾性材料でできた外側ケーシングを含む。この種のパッドの一例は、米国特許第5,920,915 号明細書(Bainbridge他)に開示されている。この材料は、息抜き(通気)可能である一方、過充填したパッドが半硬質であるため、運動の妨げとなる。それゆえ、この種のケーシングは、ヒンジ連結した区域のパッディングとしては受け入れ難いものである。
【0006】第三のタイプのパッドは、動きを容易にするために、パッドに刻み込んだ切り込み線を有する発泡性材料からなるパッドである。この種のパッドの一例は、米国特許第6 ,093,468号明細書(Tums他)に開示されている。切り込み線は材料内に刻み込んだ窪みである。この刻み目により、パッドを構成する発泡材料を撓ませて、パッド自体を撓ませることができる。この発泡材料は通気が可能で、かつ汗を逃がしてやることができる。切り込み線はパッドの可撓性を改良する。しかしながら、この切り込み線は、余分な材料のために、該パッドを一区域に対して完全に捩じったり、あるいは形成したりすることができないので、移動の範囲は依然として妨げを受けることになる。
【0007】それゆえ、発汗を逃がしてやることができるとともに、所望の可撓性を保有するパッドを提供することが、当業者の望むところであった。
【0008】上記ならびにその他の問題は本発明により解決され、かつ本技術における進歩性は、本発明によって実現される保護用パッドによって確実なものとされる。本発明により実現される保護用パッドの第一の利点は、パッドが息抜きを行うことができる(すなわち、通気性を有する)ということであり、これによって汗を外部へ逃がしてやることができることを意味する。更に、該パッドは衣服の一部分として洗うことができる。本発明の第二の利点は、パッドが可撓性を有し、かつ、ヒンジ連結区域とともに移動して、パッドの使用者が最小限の不快感で広範囲の移動を可能にするということである。
【0009】本発明によれば、エネルギーを吸収する保護用パッドは、エネルギー吸収能を有する材料のパッドでできている。このパッドは、第一の軸と第二の軸に沿って切り込み線を有する。この切り込み線はパッド内に刻まれてヒンジ連結部を提供する。第二の軸に沿って、該パッドは、その周囲に切り込みを有する。この切り込みによりパッドに可撓性が与えられる。
【0010】このエネルギー吸収材料は発泡性材料、あるいは、その他の半硬質材料であってもよい。この発泡性材料は単一層であっても、あるいは多数層であってもよい。このエネルギー吸収材料は2の密度を有する発泡材であるのが好ましい。すなわち、この2密度の発泡材は、パッドの底部側に第一の密度を有する第一の層を、また該第一の層よりも密度の高い第二の密度を有するパッドの上部側に第二の層を有する。切り込み線が発泡材の第二の層および第一の層のほぼ全部分にわたって切り込まれている。この切り込み線はパッドの4分の3に亙って切り込まれているのが好ましい。しかしながら、この切り込み線は、該パッドの2分の1ないし4分の1の深さにまで切り込まれていてもよい。ただし、この深さに限定されるものではない。
【0011】パッドの内側は、伸縮性あるいは非伸縮性の織物片に取り付けてもよい。また、このパッドを該織物片に縫い付けたり、あるいは糊付けしてもよい。外側の織物片を、該パッドの外周辺部で、該伸縮性織物片に取り付けて該パッドを取り囲むようにしてもよい。可撓性を加えるために、この外側織物片に該パッドを取り付けることはない。パッドを伸縮性織物に取り付ける際、切り込み線によって該パッドを完全に切断して、複数個の個別部材としてもよい。
【0012】この切り込み線をパッドに刻みつけるには、以下のようにして行う。複数本の第一の切り込み線を、ほぼ第一の軸に沿ってパッド内に刻み込む。この第一の軸は、保護すべきヒンジ連結区域に対してほぼ長手方向に延在する。例えば、膝当てにおいて、この第一の軸は脚部にほぼ平行なものとする。第二の複数本の切り込み線は、ほぼ第二の軸に沿って刻み込まれる。この第二の軸は、第一の軸に対してほぼ垂直である。これら第一および第二の複数本の切り込み線により、複数個の多角形(ポリゴン)がパッド上に画成される。この多角形は第二の軸よりも第一の軸に沿って狭いのが好ましく、これにより第一の軸に沿ってパッドの可撓性が増進される。
【0013】好ましい実施態様において、第二の軸に沿ってパッドの周辺に行う刻み込みはパッドの可撓性を増進する。これらの刻み目は、第二の軸に沿って該パッドの周辺における諸部材を完全に切断し、パッドが柔軟になるようにする。該刻み目によって画成される多角形は、第一の軸の方向において、寸法を減少させることになり、該パッドによって保護される部材に対する該パッドの可撓性と成形性とを更に増進させる。この刻みはまた、第一の軸の方向における余分の材料を除去する働きをする。この余剰の材料は、上記第一の軸の方向におけるパッドの撓みを妨げるので、取り除かれれる。
【0014】パッドは第二の軸を横切る湾曲部を有するように鋳造成形される。該パッドの凹んだ側は、保護されるヒンジ連結区域に嵌め合わされる。好ましい実施態様において、該パッドを構成するエネルギー吸収能を有する材料は加熱成形が可能であり、湾曲部分を形成するためには、熱を該パッドに加える。
【0015】次いで、保護用パッドを衣服内に設けたポケットあるいは囲い部材内に挿入して所望の数のパッドを形成する。例えば、本発明による保護用パッドは、膝当て、腰当て、肩当て、あるいは肘当て内に組み込まれる。
【0016】本発明による上述の利点、あるいはその他の利点、および諸々の特徴は、以下に述べる発明の詳細な説明および添付の図面を参照することにより、より明確となろう。
【0017】図1は、本発明によるエネルギー吸収能を有する保護用パッドの好ましい実施態様を示す。パッド100は、エネルギー吸収能を有する材料で作られている。エネルギー吸収材は、単一の密度あるいは多数の密度を有するものの何れでもよい。好ましい実施態様において、このエネルギー吸収材は2の密度を有する発泡材である。このような発泡材の一例は国際出願第00/16652号(Brock)に記載されているので、この記載を本明細書の記載の一部として組み入れておく。図2は2密度型の発泡材料でできたパッド100を示す横断側面図である。図2から分かるように、パッド100は高密度発泡材からなる上部側、すなわち外層201を有する。この発泡材の第二の底部側、すなわち内層202は低密度発泡材でできている。この2密度型発泡材は息抜きが可能で、弾性に富み、かつ保護すべき区域の近くに柔軟な表面を、また外傷の原因となる曝露された側に硬い表面を提供するという点で好ましいものである。図9は、パッド100に用いることができる発泡材900の一片を示す断面図である。この発泡材900は、点906の中の1つに固着される個々別々のビーズ901からなる。当業者はこれらのビーズを溶かし合わせたり、糊着したり、あるいはその他の方法で連結したりできることが分かるであろう。これらのビーズを圧縮して、より密度の高い発泡材を形成してもよい。端部側および表面側において、該ビーズ903を切断して平滑な表面にする。
【0018】再び図1を参照すると、パッド100は、保護するヒンジ連結区域に対してほぼ長手方向に延在する、第一の長手方向軸110を有する。ここで、「ヒンジ連結区域」とは、少なくとも2の隣接する体の部分が、動作を行っている間、異なる方向に移動する体の関節またはその他の区域を指す。このヒンジ連結区域の例をいくつか挙げると、膝、肘、肩および腰の部分が挙げられるが、これにのみ限られるものではない。また、ここで、「長手方向軸」とは、関節連結している体の諸部分を基本的に二分する線を指す。例えば、膝の長手方向軸とは、膝の箇所で関節連結される脚部の2の位置を二分する線のことである。
【0019】第二の軸120がヒンジ連結区域を横切って、第一の軸110と交差する。このパッド100の第二の軸120は、好ましくは、第一の軸110に対してほぼ垂直で、かつヒンジ連結区域を横断する。この第二の軸120は、一般的に、パッドの幅より短い。
【0020】切り込み線101は、ほぼ第一の軸に沿って刻んだヒンジ連結線である。また、切り込み線102は、ほぼ第二の軸に沿って刻んだヒンジ連結線である。両切り込み線101と102は、パッドを折り曲げて保護すべきヒンジ連結区域に合致できるようにする。好ましい実施態様において、切り込み線101と102はパッドの深さの4分の3程度に刻み込まれる。当業者にとっては、これらの切り込み線をパッド100の厚さの2分の1ないし4分の1を含む、上記以外に他の深さに刻み込んでもよいことが分かるであろう。また、当業者は、これらの切り込み線を、必要に応じて、他の方向にある他の軸に沿って刻み込んでもよいことが分かるであろう。
【0021】切り込み線101と102は、パッド100の個別部材105を画成する。個別部材105は多角形状をしている。好ましい実施態様において、これらの多角形は六角形状をしており、その可撓性が増している。五角形状のものも、同様に、有利な可撓性を有することが分かっている。しかしながら、多角形状のものであれば、所望するどのような形状のものでもよいことが当業者には認められよう。また、関節部の可撓性を増加させるためには、個別の部材105を第一の軸110に沿って第二の軸120を横切る寸法より短くするのが好ましい。すなわち、該個別部材は、第二の軸に沿ってよりも、第一の軸に沿う方向において幅狭になっているので、該第一の軸に沿って単位長さ当たりの切り込み線の本数が多くなり、該個別部材の可撓性が増加する。
【0022】可撓性を改善するために、パッド100はまた、第二の軸120に沿って該パッド100の周囲に刻み目103を有する。この刻み目103は、第二の軸120に沿ってパッド101の周囲で部材105を完全に切断し、パッド101で可撓性をもたらしている。これらの刻み目103により画成される多角形は、第一の軸110の方向にその寸法が減少しているので、パッド100によって保護される部材に該パッド100の可撓性と成形性を更に増加させる。該刻み目103はまた、第一の軸110の方向で余分の材料を除去する。除去の理由は、この余分の材料が第一の軸110の方向に該パッド100の撓曲を妨げるからである。
【0023】再び図2を参照すると、個々の部材(部材209など)は底部側から頂部へかけて先細り状になっている(例えば、210)のが好ましい。個々の部材はまた、部材211および212におけるように、縁部が丸みを帯びたものとしてある。全ての部材の上部層201は、他の部材に接続されていない全ての端縁部において先細り状で、かつ丸みを帯びている(例えば、214)のが好ましい。先細り状にしたり、丸みを付けたりすることにより、各部材の可撓性を増し、これらの部材が撓んで接触する際に、部材間の円滑な相互作用を容易にし、パッドがポケット内に入るのを容易にするとともに、パッドの表面に平滑な仕上げ観を付与する。
【0024】パッド101を衣服に嵌め合わせるために織物自体に取り付ける場合がある。図3は第一の軸110に沿って見たパッド100を示す断面図で、パッド100が織物に固着されている状態を示す。パッド100は、伸縮性を有する織物片304に固着されるのが好ましいが、該パッド100を縫い付け等、他の方法で織物片304に固着してもよい。この織物片304は、"ライクラ”ポリエステル・ブレンド("LYCRA" = E.I. du Pont de Nemours & Co. の登録商標)または、軽量で、通気性があり、かつ可撓性を有する他の伸縮性材料で作られる。ゴアテックス(GoreーTex)のような材料を用いてもよいが、この材料は、通常、伸縮性を有しない。パッド100を織物片100に取り付ける際、切り込み線101および102をパッド全体に亙って刻み込み、可撓性を最大にするため部材105を完全に切断する。図10は、切断する部材105の一例を示す。この図において、伸縮性を有する織物片1001には、糊料1009を介して複数個の部材1002が該伸縮性を有する織物片1001に取り付けられている。個別部材1002間にある間隙1004により、織物片1001を撓曲自在にする。これにより、織物はその下に横たわる体と容易に形状合致できるようになる。図11は上記部材1002の断面図である。該部材1002は、高密度発泡材からなる上部層1006を有する。底部層1008は、該上部層1006に取り付けられた低密度発泡材料からなる。次いで、エポキシ1009を底部層1008の底部側に塗布して、部材102を織物1001に固着する。
【0025】次いで、第二の織物片302でパッド100を覆い、パッド100の周囲にある点306と307で織物片304に固着する。第二の織物片302は糊付け、縫い付け、あるいは他の何らかの方法により固着される。第二の織物片302はパッド100の上部側305に固定しないようにするのが好ましい。その代わりに、間隙310をパッド100と第二の織物片302の間に形成する。この間隙により、パッド100の可撓性と通気性とが増大する。好ましい実施態様において、図3に示す構造は、図6に示し、かつ以下に記載する装置のような、取り外し可能な保護装置に使用される。
【0026】好ましい実施態様において、パッド100は湾曲していて、保護するヒンジ連結区域をより良く取り囲むようになっている。図4および図5は湾曲したパッド100を示している。図4から分かるように、好ましい実施態様におけるパッド100は、第二の軸120に沿って湾曲部400を有する。この湾曲部は、好ましい実施態様において、パッド100を熱間鋳造により形成する。該パッドを熱間鋳造するには、エネルギー吸収能を有する材料は、先に述べた2密度型発泡材のように、熱間鋳造が可能でなければならない。パッド100はまた、第一の軸110に沿って湾曲可能なものでもよいが、通常、このような湾曲部がある場合には、第二の軸に沿った湾曲より短い。
【0027】図5は、パッド100の内側にある凹面区域500を示す。この凹面区域500は湾曲していて、保護するヒンジ連結区域を該凹面区域に嵌め合わせ、該ヒンジ連結区域をより完全に保護する。パッド100の正確な湾曲量は、保護するヒンジ連結区域と、保護したいと望む区域の量に応じて変わることを当業者は理解するだろう。
【0028】図6は、本発明による保護パッドの恩恵を受ける衣服を示す。ジャケット600は、スキーやスノーボードのようなスポーツを行う際に着用するものである。ジャケット600は肩当て610、上腕三頭筋当て620、肘当て630、および前腕当て640を含む。肩当て610と肘当て630は、図1に示したパッド100のように、ほぼ三角形状のパッドで、本発明の着想を取り入れている。上腕三頭筋当て620と前腕当て640は寸法の小さなパッドで、ヒンジ連結していない区域を保護し、かつ本発明の着想を含む場合も、含まない場合もある。
【0029】肩当て610の内側は織物片613に固定され、また第二の織物片612は織物片613の周囲に近いところで該織物613に固着され、肩当て610を囲むとともに、取り囲まれた肩当て615を形成している。この工程は図3に示され、かつ上述した通りである。取り囲まれた肩当て615は、ジャケット600の肩部にあるポケット611内に嵌入する。当業者には、このポケット611を縫い付けあるいは糊付けして開口部を閉じたり、あるいは肩当て610の取り外しを可能にするファスナーを有してもよいことが分かるだろう。
【0030】上腕三頭筋当て620の内側は、織物片623に取り付けられている。次いで、第二の織物片622が、織物片613の周囲のほぼ近くで該織物片613に固着されて、該上腕三頭筋当て620を取り囲んで、取り囲まれた上腕三頭筋当て625を形成する。この状態は、図3に示し、かつ上述した通りである。包囲された上腕三頭筋当て625は、ジャケット600の袖の上方後部側にあるポケット621内に嵌入する。ポケット621は縫い付けたり、糊付けしたりして開口部を閉じるか、あるいは上腕三頭筋当て620を取り出すために到達可能なファスナーを設けてもよい。
【0031】肘当て630の内側は織物片633に取り付けられている。第二の織物片632は織物633のほぼ周囲長に取り付けられ、肘当て630を取り囲むとともに、取り囲まれた肘当て635を形成する。この工程は図3に示されるとともに、上述した通りである。取り囲まれた肘当て635は、ジャケット600の袖部分の肘の箇所でポケット631内に嵌入している。ポケット631は、縫い付けたり、糊付けしたりして開口部を閉じるか、あるいは該肘当て630を取り除くために到達可能なファスナーを有してもよい。
【0032】前腕当て640の内側は、織物片643に取り付けられている。第二の織物片は織物643の周囲長にほぼ近似する長さで該織物片643に取り付けられて、前腕当て640を取り囲むとともに、取り囲まれた前腕当て645を形成する。取り囲まれた前腕当て645はジャケット600のスリーブの下端で、ポケット641内に嵌入する。ポケット641は縫い付けたり、糊付けしたりして開口部を閉じるか、あるいは該前腕当て640を取り除くために到達可能なファスナーまたはその他の取り付け具を有してもよい。
【0033】図7は、本発明による保護用パッドを組み込んだズボン700を示す。ズボン700は、腰部の保護を行うパッド100を受け入れるポケット710を含む。ポケット710内に嵌入するパッド100は、図1に示すパッドに近似した形状を有するのが好ましい。該ポケットは、パッドの取り外しができるように、ファスナーあるいはその他の締め具を備えていてもよい。ズボン700はまた、膝を保護するためのパッドを受け入れるポケット720を含んでいてもよい。上述したように、ポケット720はファスナーを備えていて、パッドの取り外しを可能にするようにしてもよいし、あるいはまた縫い付けたり、糊付けしたりして開口部を閉じるようにしてもよい。
【0034】図8は、本発明による膝当ての1形状を示す。膝当ては、本発明に従った切り取り線と刻み目線とを有する2の保護用パッド810と820からなる。パッド810は膝の頂部あるいは上部を保護し、かつ膝蓋骨と嵌合する実質的に三角形状の端部811を有する。パッド820は膝の下方部分を保護するとともに、膝を真っ直ぐに伸ばしたとき、パッド810の一部分811と合致するような形状となっている。膝を曲げると、パッド810と820は分離して膝の屈曲を最大にする。該パッド810と820は、図7に示すように、ポケット720内に嵌入する。
【0035】以上、本発明による保護用パッドについて説明した。当業者は冒頭に記載した特許請求の範囲の発明を、文言上でも、あるいは均等論上でも侵害するような代替的なパッドを案出することもでき、また必ず案出することにもなると考える。
【出願人】 【識別番号】390023515
【氏名又は名称】サロモン エス.エー.
【氏名又は名称原語表記】SALOMON SOCIETE ANONYME
【出願日】 平成14年9月6日(2002.9.6)
【代理人】 【識別番号】100064447
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 正夫 (外10名)
【公開番号】 特開2003−105607(P2003−105607A)
【公開日】 平成15年4月9日(2003.4.9)
【出願番号】 特願2002−260926(P2002−260926)