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【発明の名称】 電磁波シールド部材と電磁波シールド上着
【発明者】 【氏名】中村 寿

【氏名】黒川 悟

【要約】 【課題】簡単な構造で電磁波の遮蔽が可能な電磁波シールド部材と、着用感が良好で電磁波シールド効果が高い電磁波シールド上着を提供する。

【解決手段】電磁波を遮蔽する電磁波シールド生地12で作られた電磁波シールドジャンパー10から成り、電磁波シールドジャンパー10の見頃に設けられた着脱用の分割部19の両側縁部に、互いに係合と係合解除が行われる金属製ボタン22を備える。金属製ボタン22の間隔は、遮蔽する電磁波の波長に合わせて設定されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電磁波を遮蔽する電磁波シールド生地で作られた電磁波シールド部材において、この電磁波シールド部材の合わせ目に設けられ、互いに係合と係合解除が行われる複数の金属製ボタンが設けられ、この金属製ボタンの間隔は、遮蔽する電磁波の波長に合わせて設定されていることを特徴とする電磁波シールド部材。
【請求項2】 電磁波を遮蔽する電磁波シールド生地で作られた電磁波シールド上着において、この電磁波シールド上着の見頃に設けられた着脱用の分割部と、上記分割部の両側縁部に取り付けられ互いに係合と係合解除が行われる複数の金属製ボタンが設けられ、この金属製ボタンの間隔は、遮蔽する電磁波の波長に合わせて設定されていることを特徴とする電磁波シールド上着。
【請求項3】 上記金属製ボタンは、上記分割部の互いに重なる面に互いに対向して取り付けられた金属製の雄部材と金属製の雌部材を有するスナップ式ボタンであり、電磁波シールド生地を構成する導電性の糸と電気的に接続して取り付けられていることを特徴とする請求項2記載の電磁波シールド上着。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、飛行機の操縦席等、強い電磁波が発生する場所で電磁波を避けるために用いられる電磁波シールド部材と電磁波シールド上着に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電磁波シールド生地は、例えば合成繊維の表面に、銀、銅、ニッケル及び錫等を無電解メッキした導電性繊維を、10%以上交織したものがある。電磁波シールド生地に使用される合成繊維の種類は特に制限はないが、加工性の面でナイロン、特にナイロン6が好ましい。このような電磁波シールド生地を用いた上着は、通常の上着と同様に、身体の前中心でスライドファスナーにより開閉されるものがある。
【0003】しかし、身体の前中心でスライドファスナーにより開閉されるものは、スライドファスナーが電磁波シールド機能を持たないため電磁波が容易に通過し、電磁波を確実に遮蔽することはできなかった。
【0004】この問題点を解決するため、本願出願人により特願2000―333105号で開示されているように、見頃を開閉する外ファスナーの内側に電磁波シールド効果を有する生地の重なり部が設けられた電磁波シールド上着が提案されている。この電磁波シールド上着は、上記重なり部の先端縁部と、この先端縁部が対向する見頃内側に、互いに係合と係合解除が行われる内ファスナーが設けられ、着用時に内ファスナーを閉め、重なり部を外ファスナーの内側に積層して係止するものである。
【0005】この電磁波シールド上着によれば、外ファスナーの内側に重なり部が積層されていることで、上着の開閉部分での電磁波を遮蔽することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の、重なり部が設けられた電磁波シールド上着の場合、前身頃の一方が重なり部に連続していて長いため、着脱が面倒であり、また生地のコストがかかるものであった。そして、外ファスナーと内ファスナーが電磁波を透過するため、電磁波シールド機能も完全ではなかった。
【0007】その外、外ファスナーまたは内ファスナーのファスナーテープを電磁波シールド生地で作り、さらにファスナーエレメントを金属製にすると電磁波シールド機能が向上する。しかし、この方法もコストがかかり、また金属製のファスナーエレメントは重くて着用感があまり良くないと言う問題がある。
【0008】この発明は上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で電磁波の遮蔽が可能な電磁波シールド部材と、着用感が良好で電磁波シールド効果が高い電磁波シールド上着を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明は、電磁波を遮蔽する電磁波シールド生地で作られた電磁波シールド部材であって、この電磁波シールド部材の合わせ目に設けられ、互いに係合と係合解除が行われる複数の金属製ボタンを備え、この金属製ボタンの間隔は、遮蔽する電磁波の波長に合わせて設定されている電磁波シールド部材である。
【0010】また、この発明は、電磁波を遮蔽する電磁波シールド生地で作られた電磁波シールド上着であり、この電磁波シールド上着の見頃に設けられた着脱用の分割部の両側縁部に、互いに係合と係合解除が行われる金属製ボタンが設けられ、この金属製ボタンの間隔は、遮蔽する電磁波の波長に合わせて設定されている電磁波シールド上着である。
【0011】上記金属製ボタンは、上記分割部の互いに重なる面に互いに対向して取り付けられた金属製の雄部材と金属製の雌部材を有するスナップ式ボタンである。そして、上記金属ボタンは、上記分割部の側縁部に沿って所定間隔で複数個が並べられて設けられ、電磁波シールド生地を構成する導電性の糸と電気的に接続して取り付けられている。
【0012】この発明の電磁波シールド部材と上着は、合わせ目に設けられた金属ボタンが電磁波を透過せず、また金属ボタン同士の間も、遮蔽したい電磁波の波長に合わせて設定されているので電磁波を透過せず、確実に電磁波を遮蔽する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。図1はこの発明の一実施形態を示すもので、この実施形態は電磁波シールドジャンパー10についてのもので、その各部が電磁波シールド生地12で形成されている。電磁波シールド生地12は、例えば合成繊維の表面に、銀、銅、ニッケル及び錫等を無電解メッキした導電性繊維を、10%以上交織したものである。そして、電磁波シールドジャンパー10は長袖で、袖口14はゴムが挿入されて着用者の身体に密着するようになっている。また、ジャンパー10の裾部16は着用者のウエスト部分に位置し、裾部16の両脇部分にはゴムが挿入されて着用者の身体に密着するようになっている。
【0014】電磁波シールドジャンパー10の前身頃18の前中心には、着脱用の分割部19が縦方向に形成されている。分割部19の側縁部付近には、分割部19を開閉する導電性を有する金属製スナップボタン22が設けられている。金属製スナップボタン22は、互いに組み合わせられて係合する金属製の雄部材22aと金属製の雌部材22bから成り、電磁波シールド生地12を構成する導電性の糸と電気的に接続して取り付けられている。分割部19の、着用者の右側に位置する右上前20には、雄部材22aが取り付けられ、雄部材22aは右上前20に沿って複数個、等間隔に設けられている。そして分割部19の、着用者の左側に位置する左上前24には、雄部材22aに対向する位置に、雌部材22bが設けられている。金属製スナップボタン22の間隔は、実験的に所定の周波数以下の電磁波を透過しないように設定するもので、遮蔽したい電磁波の波長等により適宜設定可能なものであり、用途に合わせて定める。
【0015】この実施形態の電磁波シールドジャンパー10の着用方法は、右上前20と左上前24を重ね、互いに対向する金属製スナップボタン22の雄部材22aと雌部材22bを押し付けて係合させ、分割部19を閉鎖する。
【0016】この実施形態の電磁波シールドジャンパー10によれば、着脱用の分割部19を金属製スナップボタン22により開閉し、容易に着脱可能であるとともに確実に電磁波を遮蔽することができる。そして、電磁波が強く発生する場所でも電磁波シールドジャンパー10により電磁波から身体を保護し安全に作業を行うことができる。
【0017】なお、この実施形態の電磁波シールド上着は上記実施形態に限定されるものではなく、襟部の形状や裾部の長さ等自由に変更可能である。
【0018】また、この発明の電磁波シールド部材の形状及び用途は適宜設定可能なものであり、電磁波シールド生地の合わせ目を金属製のボタンで止めるようにしたものであれば良く、簡易シールドルームや、電磁波シールドしなければならない機器の被覆または包装材料としても用いることができる。
【0019】
【実施例】次に、この発明の一実施例の電磁波シールドジャンパー10について、電磁波シールド効果を測定した結果を図2に示す。測定方法は、まず疑似生体(0.5%の生理食塩水で満たされ電気抵抗が人体と同様)を作り、疑似生体の内側に受信機を設置する。そしてこの疑似生体に電磁波シールドジャンパー10を着用させる。次にこの疑似生体の前方50cmの位置(受信機とほぼ同じ高さ)より電波を飛ばし、疑似生体の受信機にてシールド性を測定する。この方法によれば、生地のシールド性に加えて衣服としての形状や使用も含めて電磁波シールド効果の評価をすることができる。測定周波数は、300MHz〜2000MHzである。
【0020】ここでは、電磁波シールドジャンパー10について、スナップボタン22の間隔を5cmと10cm、及びこのスナップボタンを設けずに、同形状の電磁波シールドジャンパーの合わせ部分を、導電性を有しない面ファスナーで止めただけのものとを比較した。
【0021】グラフから分かるように、金属製のスナップボタンを設けた場合は、大きな電磁波遮蔽効果が得られることが分かった。さらに、ボタン間隔を狭くすることにより、より高周波に対して効果があることが分かった。
【0022】この結果、電磁波シールドジャンパー10を着用すると、人体への電磁波遮蔽効果が高く、評価対象周波数300MHz〜2000MHzにおいて、ボタン間隔が10cmでほぼ十数dB以上(電力換算で90%以上)、ボタン間隔が5cmでほぼ20〜30dB(電力換算で99%以上)の遮蔽効果が認められた。
【0023】
【発明の効果】この発明の電磁波シールド部材と上着は、開閉用の金属ボタンが合わせ目の電磁波を遮蔽するため、飛行機の操縦席や各種通信基地等の強い電磁波が発生する場所でも、他の機器や身体を電磁波から遮蔽することができる。
【0024】とくに、上着に適用した場合、電磁波による身体への悪影響を防止し、各種の作業を安全に行うことができるようにする。
【出願人】 【識別番号】594058953
【氏名又は名称】株式会社ゴールドウイン
【識別番号】591097702
【氏名又は名称】京都府
【出願日】 平成13年9月27日(2001.9.27)
【代理人】 【識別番号】100095430
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 勲
【公開番号】 特開2003−96605(P2003−96605A)
【公開日】 平成15年4月3日(2003.4.3)
【出願番号】 特願2001−296612(P2001−296612)