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【発明の名称】 冷却防護服
【発明者】 【氏名】小寺 勝己
【住所又は居所】兵庫県神戸市西区高塚台3丁目2番地16 川重防災工業株式会社神戸本社・本社工場内

【氏名】大久保 幸夫
【住所又は居所】東京都千代田区外神田3丁目13番8号 株式会社重松製作所内

【要約】 【課題】簡易な構成で作業者の身体を冷却することができ、また作業性を向上することができる冷却防護服を提供する。

【解決手段】ガスを供給するガス供給手段11と、一端部がガス供給手段11に接続され、他端部が作業者9の装着する呼吸具33に接続される第1管路12と、第1管路12に設けられてガスを分岐する分岐接続具13と、分岐接続具13によって分岐されたガスを冷却するガス冷却手段14と、少なくとも一部が2層構造からなり身体に近接する側である内層部には身体に向けてガスを噴出する噴出孔16を有し作業者9の身体を覆う防護服本体15と、可撓性を有し一端部がガス冷却手段14に接続され他端部が防護服本体15に接続される第2管路17とを設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (a)ガスを供給するガス供給手段と、(b)一端部がガス供給手段に接続され、他端部が作業者の装着する呼吸具に接続される第1管路と、(c)第1管路に設けられてガスを分岐する分岐接続具と、(d)分岐接続具によって分岐されたガスを冷却するガス冷却手段と、(e)作業者の身体を覆う防護服本体であって、少なくとも一部が2層構造からなり身体に近接する側である内層部には身体に向けてガスを噴出する噴出孔を有する防護服本体と、(f)可撓性を有し、一端部がガス冷却手段に接続され他端部が防護服本体に接続される第2管路とを含むことを特徴とする冷却防護服。
【請求項2】 前記分岐接続具は、ガス流方向に延びる軸線を有しガスを分岐する第1分岐接続部材と、第1分岐接続部材からガス冷却手段へガスを導入する方向に開放する逆止弁および逆止弁よりもガス流方向下流側かつガス冷却手段よりもガス流方向上流側に設けられガスの流量を予め定められた値に制限する流量制限ノズルを備える第2分岐接続部材とを含むことを特徴とする請求項1記載の冷却防護服。
【請求項3】 前記ガス冷却手段は、ボルテックスチューブを含むことを特徴とする請求項1または2記載の冷却防護服。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえばごみ焼却炉などの建物内の塵埃および環境有害物質が浮遊する作業空間内で作業を行う作業者の身体周辺の温度環境を好適に維持することができる冷却防護服に関する。
【0002】
【従来の技術】塵埃および環境有害物質が浮遊する作業空間を有する建物であるたとえばごみ焼却炉においては、炉内の保守管理を行うために作業者が長時間にわたって塵埃および環境有害物質が浮遊する作業空間内で作業を行う必要がある。この作業空間内には、たとえば環境有害物質であるダイオキシンが、ガス化ダイオキシンとして、また塵埃に付着して存在する場合がある。そのため作業者は、防塵/防毒ガスマスク、エアラインマスクおよび空気呼吸器などの呼吸具を用いて環境有害物質が体内に吸引されないようにして、前記作業空間内で所定の作業を行っている。
【0003】近年、環境有害物質であるたとえば前記ダイオキシンなどは、作業者の身体に付着した場合、皮膚を通して体内に吸収される危険性のあることが知られている。したがって、環境有害物質が浮遊する作業空間内において作業する場合、呼吸具を使用して環境有害物質が体内に吸引されることを防止するだけではなく、作業者の身体に付着し皮膚を通して体内に吸収されることも防止しなければならない。この問題は、作業者の身体全体をたとえば防護服で覆うことによって解決することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、防護服に付着した環境有害物質が、防護服の内部まで浸透しないような素材および構成にすると、防護服に身体を覆われた作業者の体熱が、逐次放散されることなく防護服内に蓄積され、防護服内の温度を上昇させる。したがって作業者が防護服を装着して長時間継続作業を行った場合、防護服内の温度が上昇し作業者に不快感を与える状態になる。
【0005】比較的温度の高い作業環境において、作業者の身体を冷却する先行技術には、たとえば冷却チョッキなどがある。図14は、従来技術である冷却チョッキ1の外観を示す図である。従来の冷却チョッキ1は、少なくとも一部が2層構造からなり作業者の身体に近接する内層側に身体に向けて空気を噴出する噴出孔を有するチョッキ本体2と、チョッキ本体2に供給される空気を冷却する空気冷却器3と、空気冷却器3を介して矢符4方向に空気が流れる通路である空気供給管路5a,5bとによって構成される。
【0006】図示しない空気供給源から空気供給管路5aを通って空気冷却器3に供給される空気は、空気冷却器3によって冷却され、空気供給管路5bを通ってチョッキ本体2に供給される。チョッキ本体2に供給された空気は、前記噴出孔から作業者6の身体に向って噴出されるので、冷却チョッキ1を装着する作業者6は、その身体が空冷される。従来技術には、冷却チョッキ1のように身体に装着して冷却するものがあるけれども、冷却チョッキ1は身体全体を覆わないので、有害物質が、顔および首等に付着し、また服の襟元から侵入し顔以外の身体にも付着する。この問題を解決するためには、冷却チョッキ1の上から、さらに作業者6の身体全体を覆う防護服を装着しなければならない。
【0007】前述したように環境有害物質が浮遊する作業環境においては、環境有害物質が体内に吸引されないように呼吸具の使用が必要であり、呼吸具には呼吸用ガスが供給されなければならない。したがって呼吸具を装着して環境有害物質の体内吸引を防止し、身体全体を覆う防護服を装着して環境有害物質の身体への付着を防止し、かつ作業者の身体を冷却するためには、呼吸用ガスと身体の冷却用ガスとを供給する2つのガス供給設備が必要となるので、設備が大型化するとともにコストが増加するという問題がある。また冷却チョッキ1と防護服との両方を装着し、さらに2つのガス供給設備からの供給系統をそれぞれ装着したまま作業を行わなければならないので、作業性が悪化するという問題がある。
【0008】本発明の目的は、簡易な構成で作業者の身体を冷却することができ、また作業性を向上することができる冷却防護服を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、(a)ガスを供給するガス供給手段と、(b)一端部がガス供給手段に接続され、他端部が作業者の装着する呼吸具に接続される第1管路と、(c)第1管路に設けられてガスを分岐する分岐接続具と、(d)分岐接続具によって分岐されたガスを冷却するガス冷却手段と、(e)作業者の身体を覆う防護服本体であって、少なくとも一部が2層構造からなり身体に近接する側である内層部には身体に向けてガスを噴出する噴出孔を有する防護服本体と、(f)可撓性を有し、一端部がガス冷却手段に接続され他端部が防護服本体に接続される第2管路とを含むことを特徴とする冷却防護服である。
【0010】本発明に従えば、少なくとも一部が2層構造からなり身体に近接する側である内層部には身体に向けてガスを噴出する噴出孔を有する防護服本体によって作業者は身体を覆われ、この防護服本体には、第1管路を通るガスが分岐接続具によって分岐されガス冷却手段によって冷却された後に供給される。防護服本体に供給されたガスは、防護服本体に備わる噴出孔から噴出して防護服本体内の作業者の身体を冷却する。したがって、作業者は、防護服本体の内部に身体を冷却するたとえば冷却チョッキなどをさらに装着する必要がなく、防護服本体のみの装着によって防護服本体内の温度を下げ身体の冷却を実現することができる。
【0011】また呼吸具に供給されるガスを分岐接続具によって分岐し、分岐されたガスを防護服本体内の冷却に使用するので、呼吸用のガスと冷却用のガスとを1つのガス供給手段によって供給することが可能となり、簡易な構成にすることができる。このことによって、ガスの供給設備が削減され、作業者は呼吸用と冷却用とを兼ねるガスの供給管路1つを装着するだけで作業することが可能になるので、作業性が向上する。
【0012】また本発明は、前記分岐接続具は、ガス流方向に延びる軸線を有しガスを分岐する第1分岐接続部材と、第1分岐接続部材からガス冷却手段へガスを導入する方向に開放する逆止弁および逆止弁よりもガス流方向下流側かつガス冷却手段よりもガス流方向上流側に設けられガスの流量を予め定められた値に制限する流量制限ノズルを備える第2分岐接続部材とを含むことを特徴とする。
【0013】本発明に従えば、分岐接続具は、ガス冷却手段へガスを導入する方向に開放する逆止弁と、逆止弁よりもガス流方向下流側かつガス冷却手段よりもガス流方向上流側に設けられガスの流量を予め定められた値に制限する流量制限ノズルとを備える。ガス供給手段から分岐接続具へのガスの供給が途絶したとき、逆止弁が閉じることによって、ガス冷却手段から第1管路に向う方向へのガス流を止めるので、環境有害物質等を含む作業環境中の大気が、呼吸具へ侵入することを防止できる。
【0014】流量制限ノズルは、ガス冷却手段に向うガス流量すなわち作業者の身体を冷却するために使用するガス流量を、予め定められた値以下に制限するので、ガス供給手段から供給されるガス流量の中から身体冷却用に余剰にガスを消費することがない。したがって、ガス供給手段から供給されるガス流量のうち、身体冷却用に使用されるガス流量の残余のガス流量である呼吸具に供給されるガス流量は、流量制限ノズルによって定まる流量以下に減少することがないので、作業者の呼吸に支障がないようにガス流量を確保することができる。
【0015】また本発明は、前記ガス冷却手段は、ボルテックスチューブを含むことを特徴とする。
【0016】本発明に従えば、ガス冷却手段にはボルテックスチューブが用いられる。ボルテックスチューブは、使用時間の経過にかかわらずガスを冷却する能力の低下することがないので、作業者の身体周辺の温度環境を良好な状態に維持し、作業の長時間継続を可能にする。
【0017】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の一形態である冷却防護服10の構成を簡略化して示す斜視図であり、図2は図1に示す冷却防護服10に備わるガス供給手段11の構成の概略を示す斜視図である。
【0018】冷却防護服10は、ガスを供給するガス供給手段11と、一端部がガス供給手段11に接続され、他端部が作業者9の装着する呼吸具33に接続される第1管路12と、第1管路12に設けられてガスを分岐する分岐接続具13と、分岐接続具13によって分岐されたガスを冷却するガス冷却手段14と、作業者の身体を覆う防護服本体15であって、少なくとも一部が2層構造からなり身体に近接する側である内層部には身体に向けてガスを噴出する噴出孔16を有する防護服本体15と、可撓性を有し一端部がガス冷却手段14に接続され他端部が防護服本体15に接続される第2管路17と、可撓性を有し一端部が分岐接続具に接続され他端部がガス冷却手段に接続される第3管路18とを含む。
【0019】図2には、冷却防護服10に備わるガス供給手段11の構成の概略とともに、作業者が冷却防護服10を装着して作業する空間であって、環境有害物質が浮遊する作業空間を有する施設の一例である焼却炉20および排ガス処理設備35の構成の概略をも示す。
【0020】焼却炉20は、大略的に直方体状に形成され、地上から立上がる焼却炉本体21と、焼却炉本体21の外壁面から突出し上下方向に間隔をあけて各階層毎に設けられる複数の作業用足場22と、焼却炉20の設置面23および最上階の作業用足場22a間にわたって設けられ、各階の作業用足場22毎に停止して昇降可能な昇降手段24と、設置面23から最上階の作業用足場22aにわたって設けられる梯子25とを有する。前記昇降手段24は、たとえばエレベータによって実現されてもよく、機材の搬入および搬出用のエレベータコンベアによって実現されてもよい。
【0021】焼却炉本体21には、内部の燃焼室26に作業者9が出入りするための出入口27が各階毎に設けられ、各出入口27に隣接してアウトレット28が設置される。アウトレット28は、詳細を後述するガス供給手段11からのガスが前記外壁に沿って延びる第1管路12cによって導かれるソケット端子29を有し、各アウトレット28には第1管路12cの他端部が接続され、ガス供給手段11には第1管路12cの一端部が接続されて、ガス供給手段11からガスが各アウトレット28に個別に供給される。出入口27は、焼却炉本体21の炉壁30に形成される開口部31と、開口部31に開閉可能に設けられる扉32とを有する。
【0022】排ガス処理設備35は、焼却炉20に隣接して設けられ、設置面23から上方へ突出する略直方体状の処理設備本体36の外壁37には、設置面23に近接してアウトレット28およびこのアウトレット28に近接して出入口38が設けられ、このアウトレット28には第1管路12cによってガス供給手段11からガスが供給される。また出入口38には、焼却炉20の出入口27と同様に、開口部39と、この開口部39を開閉自在に塞ぐ扉40とを有し、作業者9がこの出入口38を介して処理設備本体36の内部空間41に保守管理などのために出入りすることができる。
【0023】図3は、ガス供給手段11の概略的構成を示す系統図である。ガス供給手段11は、作業者9の装着する呼吸具33に呼吸用の空気を供給するための装置であり、プレフィルタ45、コンプレッサ46、温度湿度調整手段47、エアフィルタ48、除菌フィルタ49、圧力調整器50および脱臭フィルタ51がこの順序で設けられる。プレフィルタ45は、コンプレッサ46の外気を取込む入力ポートの前段に設けられ、空中に浮遊する埃などの比較的大きな塵埃を除去する。コンプレッサ46の出力ポートから吐出される空気は、温度湿度調整手段47を通過して、予め設定した温度および湿度に調整される。この温度湿度調整手段47は、アフタークーラとも呼ばれる冷却器と、エアドライヤとも呼ばれる除湿器とを含んで構成される。
【0024】このような温度湿度調整手段47によって温度および湿度が最適に調整された空気は、エアフィルタ48によって、前記プレフィルタ45によって除去されなかった塵埃が除去され、たとえばヘパフィルタなどによって実現される除菌フィルタ49によって除菌され、さらに圧力調整器50によって所定の圧力、たとえば0.6MPaに調圧された後、脱臭フィルタ51を通過して臭い成分が除去された後、第1管路12cへそれぞれ導かれ、各アウトレット28に供給される。
【0025】図4は、アウトレット28の一例を示す分解斜視図である。アウトレット28は、複数(本実施の形態では3)のソケット端子29と、各ソケット端子29が横一列に等間隔をあけて収容される横長の中空直方体状のケーシング52と、ケーシング52内で第1管路12cのガス流方向下流側の一端部に接続されるヘッダ53とを有する。
【0026】ケーシング52は、一側面が開口する中空箱状のケーシング本体54と、このケーシング本体54の開口周縁部に複数のビス55によって着脱可能に取付けられる前面パネル56とを有する。前面パネル56には、各ソケット端子29が前面パネル56の長手方向である横方向に等間隔をあけて設けられるとともに、前記長手方向一端部寄りには、警報ランプ57が設けられる。この警報ランプ57は、各ソケット端子29のうちいずれか1つの圧力が所定の圧力未満に低下したとき、点灯または点滅し、第1管路12の破損などによってガスが漏洩するなどの異常状態を報知し、燃焼室26または内部空間41内で作業する作業者9に対して、ガスが正常に供給されていないことを外部から認識することができるように構成されている。
【0027】各ソケット端子29は、使用時に第1管路12bの一端部に設けられるプラグ端子58を挿入する挿入口59を有し、この挿入口59にプラグ端子58を押込んで装着することによって、プラグ端子58の外周部に形成される係止溝60に図示しない係止片が嵌まり込んで係止し、第1管路12bの張力によってソケット端子29からプラグ端子58が容易に離脱されないように構成される。またプラグ端子58をソケット端子29から抜取るには、前面パネル56から突出する環状のロック解除部材61を押圧操作することによって前記係止片を係止溝60から離脱させて係止状態を解除し、挿入口59からプラグ端子58を抜取ることができる。
【0028】ここで第1管路12bは、可撓性を有するたとえばゴムホースからなる第1管路12の一部を構成するガスの流通管路である。第1管路12bの一端部にはプラグ端子58が設けられてアウトレット28のソケット端子29に接続され、他端部は前記分岐接続具13に接続される。プラグ端子58が挿入口59に挿入されて係止された状態では、プラグ端子58の先端部62がソケット端子29に内蔵される吸気弁の弁体を開く方向に押圧しており、ソケット端子29からプラグ端子58を介して第2管路12bにガスが導かれる。
【0029】前記ヘッダ53は、第1管路12cの一端部に接続される直円筒状のヘッダ本体63と、このヘッダ本体63の外周面から突出する複数(本実施の形態では3)のニップル64とを有する。各ニップル64には可撓性を有する接続管65の一端部が接続され、各接続管65の他端部は各ソケット端子29に接続される。
【0030】図1に戻って作業者9の装備について説明する。作業者9は、身体には頭部まで覆う防護服本体15、足には防護靴71、手には防護手袋72、顔面には呼吸具33を装着し、腰には腰バンド73を締める。また作業者9の頭部には防護ヘルメットが装着されてもよい。呼吸具33は、防塵/防毒フィルタを備えるマスク74および肺力弁75などを備え、作業者9の顔面を気密に覆うことによって、作業空間の大気から遮断された状態で作業者9が呼吸できるようにする。
【0031】呼吸具33には中圧ホースである第1管路12aの他端部が接続され、第1管路12aの一端部は分岐接続具13に接続される。すなわち一端部がガス供給手段11に接続され他端部がアウトレット28に接続される第1管路12c、一端部がアウトレット28に接続され他端部が分岐接続具13に接続される第1管路12bおよび一端部が分岐接続具13に接続され他端部が呼吸具33に接続される第1管路12aが、アウトレット28および分岐接続具13を介して1本のガス流通管路を形成する。このことによって、一端部がガス供給手段11に接続され、他端部が作業者9の装着する呼吸具33に接続される1本のガス流通管路である第1管路12が構成されるので、呼吸具33にはガス供給手段11から第1管路12を通して清浄なガスである呼吸用の空気が供給される。
【0032】図5は分岐接続具13の構成を簡略化して示す概略断面図であり、図6は図5の拡大図である。分岐接続具13は、ガス流方向に延びる軸線111を有しガスを分岐する第1分岐接続部材112と、第1分岐接続部材112からガス冷却手段14へガスを導入する方向に開放する逆止弁113と、逆止弁113よりもガス流方向下流側かつガス冷却手段14よりもガス流方向上流側に設けられガスの流量を予め定められた値に制限する流量制限ノズル114とを備える第2分岐接続部材115とを含む。
【0033】第1分岐接続部材112は、アルミニウム合金などからなる金属製の略円筒状の形状を有する部材である。第1分岐接続部材112の半径方向内方において軸線111に平行に延びる空所は、ガス供給手段11から作業者9の装着する呼吸具33に送給される呼吸用のガスが流過する第1ガス流路116である。第1分岐接続部材112の軸線111方向である長手方向のほぼ中間には、第1ガス流路116にほぼ直交し軸線111に垂直な断面が扇状の空所である第2ガス流路117a,117bが形成される。第2ガス流路117a,117bは、第1分岐接続部材112を軸線111に対してほぼ垂直な方向に貫通して形成される。第1ガス流路116と第2ガス流路117a,117bとは、両者の交差部においてガスが流通可能に形成されるので、ガス供給手段11から送給されるガスは、第1分岐接続部材112中において第1流路116から第2ガス流路117a,117bへと分岐される。
【0034】また第1分岐接続部材112の外周面には、長手方向の中間付近に第2ガス流路117a,117bを挟み軸線111に垂直な平面内において円形を呈する第1および第2環状凹所119,120が間隔をあけて形成され、第1および第2環状凹所119,120には、シール部材であるオーリング121が設けられる。第1分岐接続部材112の一端部の内周には雌ねじ部118が形成され、他端部の外周には雄ねじ部109が形成される。
【0035】第1分岐接続部材112は、第1管路12に挿入されてガス供給手段11から送給されるガスを第1ガス流路116から第2ガス流路117a,117bへと分岐する。より詳細には、第1分岐接続部材112は、第1管路12bと第1管路12aとの間に挿入されるけれども、本実施の形態では第1管路12bと分岐接続具13との間にさらに中継接続具122が挿入される構成である。中継接続具122は、管継手部123と警笛発生部124とを含み、管継手部123を流過するガスの圧力が予め定める圧力以下に低下したとき、警笛発生部124へガスが導かれて警笛音を発生する構成であり、ガス供給手段11のコンプレッサ46の故障などの異常が発生したことを作業者9本人および周囲の作業者に報知するために用いられる。
【0036】したがって、本実施の形態では第1管路12bの他端部は中継接続具122に接続され、中継接続具122の他端部に形成される雄ねじ部と第1分岐接続部材112の一端部に形成される前記雌ねじ部118とが接続される。また第1分岐接続部材112の他端部に形成される雄ねじ部109には、第1管路12aの一端部に設けられる第1接続部材125が接続されて、分岐接続部材13の第1管路12への挿入が実現される。
【0037】第2分岐接続部材115は、アルミニウム合金などからなる金属製の部材であり、部材本体部126とキャップ部127とを含む。部材本体部126は、前記逆止弁113の弁箱を構成する。弁箱でもある部材本体部126内には、逆止弁113の弁室128が形成され、弁室128には弁体129と弁座130とが設けられる。弁体129は、予め定める方向に延びる移動軸線131を有し、弁室128内で移動軸線131に沿って往復変位可能に設けられる。弁座130は、弁体129が着座および離間する台座であり、弁座130には弁孔132が形成される。弁孔132は、移動軸線131の延長線上に軸線を有し、移動軸線131の延長線上であって部材本体部126の外部に向って形成される開口部133に通じて第3ガス流路134を形成する。
【0038】キャップ部127は、略円柱状の形状を有し、一端部には円柱状の第1空所135とキャップ部127の他端部寄りに第1空所135に隣接し第1空所135よりも径の小さい円柱状の第2空所136とが穿たれる。第1空所135には、前記移動軸線131上に軸線を有するばね部材137が装着される。前記弁体129は円錐台形状に形成され、弁体129の弁座130と反対側には移動軸線131に沿って延びる案内棒138が固定され、案内棒138は前記ばね部材137に嵌込まれる。このことによって、弁体129は、ばね部材137の弾発力によって移動軸線131方向に移動して弁座130に着座し弁孔132を塞ぐ。
【0039】ばね部材137の弾性係数は、ガス供給手段11から送給されるガスの圧力、たとえば前述したような0.6MPaが弁体129に負荷されたとき、ガスの圧力によってばね部材137が圧縮されるように選択される。すなわちガス供給手段11から送給され、第1管路12から分岐されて第2ガス流路117aを通り、弁孔132に達したガスの圧力によって、弁体129は移動軸線131に沿ってキャップ部材127の他端部方向に移動し、弁孔132が開かれてガスが弁室128内に流入する。ガスの圧力が弁体129に負荷されていない状態では、前述のようにばね部材137の弾発力によって、弁体129が弁座130に着座し弁孔132が塞がれる。
【0040】キャップ部127には、第2空所136にほぼ直交しキャップ部127を貫通する第4ガス流路139が形成される。第4ガス流路139が形成されることによって、弁孔132を通って弁室128内に流入したガスは、弁室128内のガス圧力分布を均質化するように移動することができる。キャップ部127は、キャップ部127の外周面に形成される雄ねじ部140が部材本体部126の内周面に形成される雌ねじ部141と螺合されて、部材本体部126に装着される。このとき部材本体部126とキャップ部127との間には、シール部材であるオーリング142が装着されるので、ガスの漏れが防止される。
【0041】また部材本体部126の第4ガス流路139を臨む位置には、流量制限ノズル114が設けられる。流量制限ノズル114は、開口面積を一定に固定した絞り部であり、ガスの使用圧力に対応してガスの通過流量が予め定められた値になるように絞り部の径が定められる。
【0042】流量制限ノズル114のガス流方向下流側には、前記第4ガス流路139の延長方向に部材本体部126を貫通する第5ガス流路143が形成される。第5ガス流路143の流量制限ノズル114の反対側には、雌ねじ部144が形成され、前記雌ねじ部144には、第3管路18の一端部に設けられる第2接続部材145の雄ねじ部146が螺合して接続され、流量制限ノズル114を通過したガスは、第5ガス流路143および第3管路18を経てガス流方向下流側に設けられるガス冷却手段14に供給される。なお部材本体部126と第2接続部材145との間には、シール部材であるオーリング147が装着され、ガス漏れを防止する。
【0043】このように流量制限ノズル114は、ガス冷却手段14に向うガス流量すなわち作業者9の身体を冷却するために使用するガス流量を、予め定められた値以下に制限するので、ガス供給手段11から供給されるガス流量の中から身体冷却用に余剰にガスを消費することがない。したがって、ガス供給手段11から供給されるガス流量のうち、身体冷却用に使用されるガス流量の残余のガス流量である呼吸具33に供給されるガス流量は、流量制限ノズル114によって定まる流量以下に減少することがないので、作業者9の呼吸に支障がないようにガス流量を確保することができる。
【0044】部材本体部126のキャップ部127が螺合される側の反対側は環状に形成され、環状に形成される部位148(以後、環状部位と略称する)の内径d1は、前記第1分岐接続部材112の第2ガス流路117a,117bが形成される部位の外径と同一またはわずかに大きく形成される。したがって、第2分岐接続部材115の環状部位148に、第1分岐接続部材112を挿入することができる。第1分岐接続部材112が挿入された第2分岐接続部材115の環状部位148の一端部は、第1分岐接続部材112に形成される係止部149に当接して係止され、環状部位148に対して第1分岐接続部材112の第1管路12a寄りの位置には、eリング150が装着されて第1分岐接続部材112が第2分岐接続部材115から離脱することを防止する。第1および第2分岐接続部材112,115を相互に装着した状態で、第2分岐接続部材115の部材本体部126に形成された第3ガス通路134の開口部133は、第1分岐接続部材112に形成される第2ガス流路117aと接続されるので、第1分岐接続部材112によって分岐されたガスは、開口部133を通って第2分岐接続部材115に流入することができる。
【0045】このように第2分岐接続部材115は、第1分岐接続部材112の軸線111まわりに摺動回転可能であり、第1および第2分岐接続部材112,115は回転継手を構成する。第1および第2分岐接続部材112,115の摺動回転部のガス漏れ防止は、前記オーリング121の装着によって実現される。したがって、作業者9の作業姿勢に対応して第2分岐接続部材115が回転移動することができるので、分岐接続具13に不所望な力が付加されることを防止し、分岐接続具13における損傷の発生を抑制することができる。
【0046】図7はガス冷却手段14の構成を簡略化して示す部分断面を含む正面図であり、図8は図7に示すガス冷却手段14の右側面図であり、図9は図7に示すガス冷却手段14の背面図である。
【0047】ガス冷却手段14は、ガスを冷却するボルテックスチューブ151と、ボルテックスチューブ151の損傷を防止する防護部材152と、ボルテックスチューブ151を作業者9に装着する装着部材153と、流量調整弁154とを含む。
【0048】ボルテックスチューブ151は、合成樹脂製の略円筒形状のガス冷却器である。ボルテックスチューブ151は、外周面にフィン155が形成されるフィン部材161と、フィン部材161の他端部165に螺合される螺合部材162とを含む。フィン部材161の一端部166付近のみは、外周面にフィンが形成されず側面にガス流入口159が形成され、ガス流入口159には、前記流量調整弁154が装着される。流量調整弁154は、ガス導入口156とガス排出口157とを備える。ガス導入口156には、分岐接続具13とボルテックスチューブ151とを接続するガス流路である第3管路18の他端部に設けられる第3接続部材158が接続され、第1管路12から分岐接続具13によって分岐されたガスが流入する。
【0049】ガス排出口157は、フィン部材161に形成される前記ガス流入口159に接続される。流量調整弁154を流過してボルテックスチューブ151に流入するガスの流量は、流量調整弁154に備わる調整ねじ160を回転させることによって調整することができるけれども、ガス流方向の上流側に配置される分岐接続具13に流量制限ノズル114が設けられるので、調整ねじ160を回転して流量調整弁154を全開にした場合でも、流量制限ノズル114によって定められる値に制限される。
【0050】ガス流入口159からボルテックスチューブ151内に流入したガスは、フィン部材161の一端部166付近の内周面と、フィン部材161の一端部166において半径方向内方に装着される略円筒状を有する嵌挿部材163の他端部付近の外周に形成された段差部167とによって形成され、フィン部材161の内周面に沿って周回する第3空所164を流過し、嵌挿部材163の他端部に形成された切欠き部168を通り、フィン部材161の外周面にフィンが形成されている部位の半径方向内方に形成された第4空所169へ渦巻き状に流入する。
【0051】フィン部材161の他端部165には、雄ねじ部が形成され前記螺合部材162の内周面には雌ねじ部が形成されるので、螺合部材162をフィン部材161に螺合させることができる。螺合部材162の内周面には、周方向に間隔をあけて複数の弁体保持部材170が固着され、弁体保持部材170に対してフィン部材161寄りに排気弁体171が配置される。螺合部材162を回転させボルテックスチューブ151の軸線172に沿って移動させることによって、排気弁体171と排気弁体171に対する弁座の機能を有するフィン部材161の他端部165との間隙Gの大きさを調整することができる。第4空所169は、間隙Gを介してボルテックスチューブ151の外部である作業空間の大気と連通する。
【0052】前述のように第4空所169に流入したガスは、フィン部材161の中で高速度の螺旋状の渦を巻きながら他端部165に向って流れる。このときボルテックスチューブ151の軸線172にほぼ一致する前記渦の中心軸部分では圧力が低く、フィン部材161の内周面に沿った渦の外周部分では圧力が高く、渦の外周部分と中心軸部分との間で圧力勾配が存在するので、ガスの一部分は順次渦の中心方向に移動し膨張して温度が低下する。また渦の中心軸付近では、軸線172方向の圧力勾配に起因し、ガス流は軸方向の流れの向きを反転し一端部166に向って流れる。このようにして渦の中心軸付近の温度が低下したガスは、フィン部材161すなわちボルテックスチューブ151の一端部166の半径方向内方に装着されるに嵌挿部材163によって形成される第5空所173を経て、冷気流出口174から矢符175方向に向って流出する。
【0053】一方渦の外周部のガスは、圧力が中心軸付近に比べて高く圧縮され、またフィン部材161の内周面との摩擦によって温度が上昇するので、暖気となる。この渦の外周部の暖気は、軸線172方向に沿ってフィン部材161の他端部165に向って流れ、前記間隙Gを通って、螺合部材162の他端部に形成される暖気流出口176から矢符177方向に大気中へ排出される。
【0054】このようにボルテックスチューブ151は、冷却媒体を用いることなく、ボルテックスチューブ151内にガスを流過させることのみによって、ガスの温度を低下し冷気を防護服本体15に送給することができる。したがって、ボルテックスチューブ151は、使用時間の経過にかかわらずガスを冷却する能力の低下することがないので、作業者9の身体周辺の温度環境を良好な状態に維持し、作業の長時間継続を可能にする。
【0055】図7〜図9に示すボルテックスチューブ151には、一端部166に第4接続部材178が螺合され、第4接続部材178にフレキシブルチューブ179が接続される構成である。たとえば合成樹脂などからなる管にコルゲート加工されて形成されたフレキシブルチューブ179の一端部に前記第4接続部材178が挿入され、フレキシブルチューブ179の半径方向外方にホースバンド180を締付けることによって固定されている。フレキシブルチューブ179の他端部には、合成樹脂製のボス181が挿入され、ホースバンド180を締付けることによって装着されている。
【0056】このようにフレキシブルチューブ179が第2管路17を構成してもよく、また図1に示すように、第2管路17は、ゴムホース182からなりゴムホース182の両端部に第5および第6接続部材183,184を設け、第5接続部材183をボルテックスチューブ151に接続するように構成され、フレキシブルチューブ179を含まなくてもよい。
【0057】防護部材152は、合成樹脂製の略6角形の薄板である。なお防護部材152の素材は、合成樹脂に限定されることなく、皮および厚紙などであってもよい。防護部材152の大きさは、図7に示す正面図のように配置した状態で、ボルテックスチューブ151と防護部材152とを図7の紙面に対して垂直に投影したとき、ボルテックスチューブ151の投影図が防護部材152の投影図の中に包含される大きさに選択される。
【0058】装着部材153は、アルミニウム合金製の略矩形の薄板である。装着部材153には、ボルテックスチューブ151の軸線172に沿って延びる一対の長孔185a,185bが形成される。一対の長孔185a,185bには、前記腰バンド73が挿通される。
【0059】ボルテックスチューブ151の一端部付近には半径方向外方に突出して支持片188が形成される。支持片188は、防護部材152に形成される図示しない貫通孔を挿通し、装着部材153に当接する。支持片188および装着部材153のそれぞれに形成される2つの貫通孔を整合させて、安全ボルト186を挿通し、安全ボルト186をナット187で締付けることによって、ボルテックスチューブ151と装着部材153と防護部材152とを一体化して固定した。このことによって、装着部材153に形成された一対の長孔185a,185bに腰バンド73を挿通し、その腰バンド73を作業者9の腰に周回させて装着することによって、ガス冷却手段14が作業者9に装着され、作業者9はガス冷却手段14を腰に装着した状態で作業を行い移動することができるので、ガス冷却手段14によって作業者9の行動が拘束または制限されるという不具合がない。またガス冷却手段14は防護部材152を備え、防護部材152の大きさはボルテックスチューブ151よりも大きく形成されるので、ボルテックスチューブ151が防護部材152に装着されるとき、防護部材152によってボルテックスチューブ151の熱および暖気排出口176から排出される熱風から作業者9および防護服本体15が防護される。
【0060】さらにガス供給手段11からのガス供給が途絶えるというような異常状態が発生した場合、流量調整弁154の調整ねじ160を締め忘れると、ボルテックスチューブ151の暖気流出口176、流量調整弁154および第3管路18を経て、作業空間中の環境有害物質等を含有する大気が分岐接続具13にまで侵入する。しかしながら、前述したように分岐接続具13には逆止弁113が備わるので、前記異常状態の発生によって呼吸用のガス圧力が低下すると逆止弁113が閉じられ、作業空間中の環境有害物質等を含有する大気が、作業者9の呼吸具33に通じる第1管路12に侵入することが阻止される。このことによって、異常状態が発生した場合、作業者9は環境有害物質等を含有する空気を呼吸することなく、たとえば呼吸具33に備わる防塵/防毒用フィルタを濾過した空気を呼吸しながら安全な呼吸環境まで移動することができる。
【0061】図10は防護服本体15の正面図であり、図11は図10に示す防護服本体15の上半身部分81の背面図であり、図12は図11に示す防護服本体15の上半身部分の内側からみた部分正面図であり、図13は図12の切断面線XIII−XIIIからみた断面図である。
【0062】防護服本体15は、たとえばPVCレザー製であり、上半身部分81といわゆるズボンである下半身部分82とからなる。防護服本体15は、PVCレザー製の布を気密的に縫製しただけでもよく、また布の一方の表面にアルミニウム蒸着処理が施されたものであってもよい。
【0063】防護服本体15の上半身部分81は、作業者9の頭部を覆うフード部83と、胴部84と、袖部85とを含む。またフード部83の正面側には、作業者9の呼吸と視界とを確保するための貫通孔であるフェース孔86が形成される。フェース孔86に臨むフード部83の周縁部分には、フェース孔86を周回するように、たとえばゴムなどの弾性材料を薄く被覆した被覆部87が設けられる。被覆部87の形状は、前記マスク74の周縁部の形状にほぼ一致し、作業者9がマスク74を装着するとき、被覆部87とマスク74の周縁部とが密着して環境有害物質の侵入を防止できる。
【0064】フェース孔86の右側方(図10では、図に向って左側方)には、頭部バンド88の一端部を固定する第1固定具89が設けられ、フェース孔86の左側方(図10では、図に向って右側方)には、環状部材90を固定する第2固定具91が設けられる。一端部が第1固定具89に固定された頭部バンド88は、作業者9の頭部を周回し、フード部83の背面側に設けられた頭部バンド保持具92を通って環状部材90に達する。頭部バンド88の他端部には、面状ファスナが設けられ、他端部を環状部材90に挿通した後、面状ファスナをとじることによって、作業者9の頭部まわりに頭部ベルト88を装着することができる。
【0065】このように作業者9の頭部を周回して装着される頭部バンド88を締めつけることによって、フード部83のたるみを頭部背面側に集約させてフェース孔86の面積を充分に確保することができるので、作業者9の呼吸および視界が妨げられることがない。
【0066】袖部85の端部である袖口93は折返して管状になるように縫製され、管状部分の中にはたとえば紐状のゴムが挿通され、ゴムの弾性によって袖口93を締付けて袖口からの環境有害物質の侵入を防止することができる。
【0067】胴部84の内表面側には、作業者9が防護服本体15を装着した状態で背中部分に相当する位置に、背当部材94が設けられる。背当部材94は、略台形状にカットされたPVCレザー製の布であり、その周縁部が溶着によって胴部84の内表面に固定される。このことによって、胴部84の背中部分は2層構造となり、背当部材94は2層構造部分の内層部を構成する。背当部材94には、厚さ方向に貫通して複数の噴出孔16が形成される。また背当部材94は、図12中にスポット96で示すように、周縁部に加えて中央部が局所的に胴部84に溶着固定されてもよい。また胴部84と背当部材94との空間に通気性クッション等を入れ、体の動きにより噴出孔16が塞がれないようにしてもよい。
【0068】胴部84の右背部分には、ガスを防護服本体15に導入するための貫通孔である導入孔97が形成される。胴部84の外表面側には、PVCレザー製で導入孔97の直径に近い直径を有し、筒状に縫製された導入接続部98が設けられる。導入接続部98には、他端部側にフランジ部99が形成され、フランジ部99の周縁部付近が胴部84に溶着固定される。導入接続部98の一端部には、アルミニウム合金製で円筒状の口金190が挿入され、導入接続部材98の半径方向外方に設けられるホースバンド180を締付けることによって、導入接続部98に装着される。口金190には、長手方向の中間にフランジ部192が形成される。
【0069】口金190の矢符194にて示すガス流方向上流側には、合成樹脂製で円筒状の袋ナット191が、口金190の軸線の延長線上に軸線を有するように設けられる。袋ナット191の他端部には半径方向内方に突出して環状突出部195が形成され、この環状突出部195が口金190に形成されるフランジ部192に当接するように設けられる。袋ナット191は、袋ナット191に形成される環状突出部195が口金190のフランジ部192と摺動しながら軸線まわりに回転することができる。
【0070】一方フレキシブルチューブ179によって構成される第2管路17の他端部には、前述したように合成樹脂製のボス181が挿入され、フレキシブルチューブ179の半径方向外方に設けられるホースバンド180を締付けることによって装着される。ボス181と袋ナット191とは、袋ナット191を軸線まわりに回転させて、ボス181に形成された雄ねじ部と袋ナット191に形成された雌ねじ部とを螺合させることによって接続される。このときボス181と袋ナット191との間には、ガスケット193を介在させてガス漏れを防止する。このように口金190、袋ナット191およびボス181とを含んで前記第6接続部材184が構成され、第6接続部材184によって第2管路17が防護服本体15に接続される。
【0071】第2管路17が防護服本体15に接続されていない状態では、袋ナット191には蓋体103が装着されて、埃等が防護服本体15内に侵入することを防止する。第2管路17を防護服本体15に接続するとき、蓋体103の外面に設けられた引き手部材104を引張ることによって、蓋体103を袋ナット191から離脱させることができる。
【0072】また防護服本体15の下半身部分82、いわゆるズボンは、腰部105が折返して管状になるように縫製され、管状部分の中にはたとえば紐状のゴムが挿通され、ゴムの弾性によって腰部105を締付けて、作業者9がズボン82を装着したとき、ズボン82が足首の方向にずり落ちないようにしている。またズボン82の腰部付近には、正面および背面に腰バンド保持具106が設けられ、腰バンド保持具106に前記腰バンド73を通して腰まわりに周回させ、腰部を締付けることによって、ズボン82の装着をより確実にすることができる。
【0073】ズボン82の足首部分には、足部バンド107の一端部が固定され、足部バンド107の一端部には環状部材108が設けられる。足部バンド107の他端部には、面状ファスナが設けられ、足部バンド107を足首まわりに周回し、足部バンド107の他端部を環状部材108に通して面状ファスナをとじることによって、作業者9がズボン82を装着したとき、ズボン82の足首部分を締付けることができる。
【0074】分岐接続具13によって分岐されたガスである空気は、第3管路18を通ってガス冷却手段14に導かれ、ガス冷却手段14によって冷却された後、第2管路17を通って前述のように構成される防護服本体15内に導入される。防護服本体15内に導入されたガスは、胴部84と背当部材94とによって袋状の2層構造に形成された内部へ導かれ、背当部材94に形成された噴出孔16から作業者9の背中に向けて噴出し、防護服本体15内および作業者9の身体を冷却する。
【0075】このように防護服本体15内および防護服本体15を装着する作業者9の身体を冷却する機能を防護服本体15に保有させることによって、作業者9は防護服本体15の内部に身体を冷却するたとえば冷却チョッキなどをさらに装着する必要がなく、防護服本体15のみの装着によって防護服本体15内の温度を下げ身体の冷却を実現することができる。また呼吸具33に供給されるガスを分岐接続具13によって分岐し、分岐されたガスを防護服本体15内の冷却に使用するので、呼吸用のガスと冷却用のガスとを1つのガス供給手段11によって供給することが可能となり、簡易な構成にすることができる。このことによって、ガスの供給設備が削減され、作業者9は呼吸用と冷却用とを兼ねるガスの供給管路1つを装着するだけで作業することが可能になるので、作業性が向上する。
【0076】(実施例)以下本発明の実施例を説明する。本実施の形態の冷却防護服10を準備し、以下の表1に示す条件において、防護服本体15内の温度および湿度を測定した。比較例として冷却機能を備えていない防護服を装着し、表1に示す条件と同一の条件において、防護服内の温度および湿度を測定した。
【0077】
【表1】

【0078】測定結果を本実施の形態の冷却防護服10と冷却機能を備えていない防護服とにおいて比較すると、冷却機能を備えていない防護服に比べて冷却防護服10の防護服本体15内の温度は4〜5℃低下し、湿度は40〜50%低下し、作業環境の改善効果が明らかとなった。
【0079】以上に述べたように、本実施の形態では、ガス供給手段11は、コンプレッサ46等からなる構成であるけれども、これに限定されることなく、空気ボンベに圧力調整弁および流量調整弁を装着し、ボンベ台車に搭載するものなどであってもよい。また分岐接続具13に逆止弁113および流量制限ノズル114を一体に設ける構成であるけれども、これに限定されることなく、分岐接続具13と逆止弁113および流量制限ノズル114とが個別に構成されてもよい。またガス冷却手段14は、ボルテックスチューブ151であるけれども、これに限定されることなく、たとえば氷などを封入した冷却媒体にガス管路であるゴムホースを周回させて熱交換する構成であってもよい。また防護服本体15の2層構造部分は、作業者9の背中部分のみであるけれども、これに限定されることなく、その他の部分であってもよく、その他の部分が付加されてもよい。
【0080】
【発明の効果】本発明によれば、少なくとも一部が2層構造からなり身体に近接する側である内層部には身体に向けてガスを噴出する噴出孔を有する防護服本体によって作業者は身体を覆われ、この防護服本体には、第1管路を通るガスが分岐接続具によって分岐されガス冷却手段によって冷却された後に供給される。防護服本体に供給されたガスは、防護服本体に備わる噴出孔から噴出して防護服本体内の作業者の身体を冷却する。したがって、作業者は、防護服本体の内部に身体を冷却するたとえば冷却チョッキなどをさらに装着する必要がなく、防護服本体のみの装着によって防護服本体内の温度を下げ身体の冷却を実現することができる。
【0081】また呼吸具に供給されるガスを分岐接続具によって分岐し、分岐されたガスを防護服本体内の冷却に使用するので、呼吸用のガスと冷却用のガスとを1つのガス供給手段によって供給することが可能となり、簡易な構成にすることができる。このことによって、ガスの供給設備が削減され、作業者は呼吸用と冷却用とを兼ねるガスの供給管路1つを装着するだけで作業することが可能になるので、作業性が向上する。
【0082】また本発明によれば、分岐接続具は、ガス冷却手段へガスを導入する方向に開放する逆止弁と、逆止弁よりもガス流方向下流側かつガス冷却手段よりもガス流方向上流側に設けられガスの流量を予め定められた値に制限する流量制限ノズルとを備える。ガス供給手段から分岐接続具へのガスの供給が途絶したとき、逆止弁が閉じることによって、ガス冷却手段から第1管路に向う方向へのガス流を止めるので、環境有害物質等を含む作業環境中の大気が、呼吸具へ侵入することを防止できる。
【0083】流量制限ノズルは、ガス冷却手段に向うガス流量すなわち作業者の身体を冷却するために使用するガス流量を、予め定められた値以下に制限するので、ガス供給手段から供給されるガス流量の中から身体冷却用に余剰にガスを消費することがない。したがって、ガス供給手段から供給されるガス流量のうち、身体冷却用に使用されるガス流量の残余のガス流量である呼吸具に供給されるガス流量は、流量制限ノズルによって定まる流量以下に減少することがないので、作業者の呼吸に支障がないようにガス流量を確保することができる。
【0084】また本発明によれば、ガス冷却手段にはボルテックスチューブが用いられる。ボルテックスチューブは、使用時間の経過にかかわらずガスを冷却する能力の低下することがないので、作業者の身体周辺の温度環境を良好な状態に維持し、作業の長時間継続を可能にする。
【出願人】 【識別番号】390010342
【氏名又は名称】川重防災工業株式会社
【住所又は居所】兵庫県神戸市西区高塚台3丁目2番地16
【識別番号】000145507
【氏名又は名称】株式会社重松製作所
【住所又は居所】東京都千代田区外神田3丁目13番8号
【出願日】 平成13年7月16日(2001.7.16)
【代理人】 【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎 (外3名)
【公開番号】 特開2003−27312(P2003−27312A)
【公開日】 平成15年1月29日(2003.1.29)
【出願番号】 特願2001−215622(P2001−215622)