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【発明の名称】 作業服
【発明者】 【氏名】沢田 順次
【住所又は居所】大阪市中央区南船場2丁目10番14号 原田産業株式会社内

【要約】 【課題】着用時の動作性などを阻害することなく、上記のような袖口から肘までの部分の擦れを抑制し得る、新規な構造を作業服に付与すること。

【解決手段】作業服の袖口1から肘部2までの間の1以上(図1では2箇所)の設置箇所に、弾性的に伸縮可能な紐状部材3、4を、腕の外周を部分的に取り巻く方向に設置する。該紐状部材は、自然長へ収縮しようとするものであり、それによって設置箇所の袖は小径化している。該紐状部材は、着用者が当該作業服を着用し手の甲を上にして腕を前に出したとき、該紐状部材が少なくとも袖の下側を通過しない範囲に設置されており、これによって、袖の下側は、広範囲に凹凸が無くなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 袖口から肘部までの間の1以上の設置箇所に、弾性的に伸縮可能な紐状部材が、腕の外周を部分的に取り巻く方向に設置され、該紐状部材は自然長へ収縮しようとするものであり、それによって設置箇所の袖は小径化しており、かつ、該紐状部材は、着用者が当該作業服を着用し手の甲を上にして腕を前に出したとき、少なくとも袖の下側を通過しない範囲に設置されていることを特徴とする作業服。
【請求項2】 紐状部材を伸ばして設置箇所の袖を最大口径まで拡張したとき、該紐状部材の長さが、袖の全周長さの3%〜50%である、請求項1記載の作業服。
【請求項3】 紐状部材が、袖口から肘部までの間に、2cm〜10cmの間隔をおいて、2箇所設けられている請求項1記載の作業服。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、長袖を有する作業服に関するものであり、特に、衛生的であることを求められる工場において用いられる作業服に関する。
【0002】
【従来の技術】食品、医薬品、衛生的であるべき器具等を製造する工場では、設備だけでなく、作業者の身体や、着用している作業服に対しても衛生管理が強く求められ、特に、作業服には、衛生的な状態であるよう、種々の工夫が施される。以下、食品工場を例に挙げて説明すると、このような工場では、作業者の腕などが食品に直接接触しないように、図3に例示するように、作業服の袖部分は衛生のために長袖とされる。
【0003】以下、本明細書では、作業服の袖部分を説明するに際し、従来品・本発明品共に、全て、人が作業服を着用し、手の甲を上にして腕を水平に出した状態(例えば、図1、3に示すような状態)において、各部の説明を行なう。従って、上下の方向が特に重要であって、この状態における袖の上側とは、袖のうちの天井に向く側である。袖の下側とは、床側または作業テーブル面に向く側である。付言すると、手の甲を上にして腕を水平に出した状態で規定した〔袖の上側〕は、その状態では天井を向いており、手の甲の側と一致しているが、この状態から所謂〔気をつけ〕の姿勢へと変化させると、手の甲は体の側面において外側を向くが、〔袖の上側〕であった部分は、手の甲の回転に必ずしも完全には追従せず、体の側面の外側から微量だけ体の前側に移動した位置となる場合がある。
【0004】従来、上記のような工場では、作業服の袖口に、手首に弾性的にフィットする伸縮部分21が設けられる。例えば、単にゴムを環状に通したものや、これは、袖口が、作業中に下に垂れて作業テーブル面上の食品に触れることを防止するためである。清潔な袖口が最初に食品に触れることは特に問題はないが、一度食品に触れた袖口は、経時的に非衛生的な状態となっている場合が多い。また、袖口の伸縮部分は、作業服内部から体毛・塵等が放出されるのを防止する作用も果たす。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、本発明者が、作業服各部の状態をさらに詳しく調べたところ、袖の部分にさらに改善すべき次の問題が存在することが新たにわかった。即ち、作業服の袖口については、上記のように弾性的な伸縮部分が設けられているが、図3に一点鎖線で囲んだA部で示したように、袖口から肘までの間の部分に関しては、テーブル上の食品への擦れについて何らの考慮もされておらず、擦れ易い形態となっているという問題である。この袖口から肘までの部分には、逆に、着用の際に手・腕を通すためのゆとりや、着用時の動作においてつっぱり感を与えないためのゆとりが考慮されており、それによるたるみがテーブル上の食品へのこすれをより助長している。このゆとりのために、袖口から肘までの部分が食品に擦れ易くなっているのである。
【0006】上記の袖口から肘までの部分の擦れを防止するために、作業服の袖を単純に細くすると、着脱が困難となる。これに対しては、伸縮性を有するニット素材を用いて、腕に全面的にぴったり密着するような細い袖とする態様が考えられるが、そのような作業服は、腕全体に締めつけ感が生じるので着心地が悪い。また、通常、食品加工の工程に好ましいような、目が極細で撥水性を有しかつ安価であるような素材は、十分な伸縮性を有しない場合が多い。そのため、袖を単純に細くすると、腕の曲げ動作において肘部につっぱり感を感じるので好ましくない。
【0007】以上のように、従来の作業服では、着脱性や腕の曲げ動作性にのみ意識が向けられており、肘部を中心に袖口から上腕にかけて広い範囲にゆとりを持たせている。そのために、袖口から肘までのゆとり部分が下に垂れるが、それが食品に触れることについては、全く問題とされていないのである。
【0008】本発明の課題は上記問題を解決し、着用時の動作性などを阻害することなく、上記のような袖口から肘までの部分の擦れを抑制し得る、新規な構造を作業服に付与することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は以下の特徴を有するものである。
(1)袖口から肘部までの間の1以上の設置箇所に、弾性的に伸縮可能な紐状部材が、腕の外周を部分的に取り巻く方向に設置され、該紐状部材は自然長へ収縮しようとするものであり、それによって設置箇所の袖は小径化しており、かつ、該紐状部材は、着用者が当該作業服を着用し手の甲を上にして腕を前に出したとき、少なくとも袖の下側を通過しない範囲に設置されていることを特徴とする作業服。
【0010】(2)紐状部材を伸ばして設置箇所の袖を最大口径まで拡張したとき、該紐状部材の長さが、袖の全周長さの3%〜50%である、上記(1)記載の作業服。
【0011】(3)紐状部材が、袖口から肘部までの間に、2cm〜10cmの間隔をおいて、2箇所設けられている上記(1)記載の作業服。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照して具体例を示しながら、本発明をより詳細に説明する。本発明による作業服(以下、「当該作業服」とも呼ぶ)は、長袖を有するものであって、図1に一例を示すように、袖口1から肘部2までの間の1以上の設置箇所(同図では2箇所)に、弾性的に伸縮可能な紐状部材3、4が設置されている。同図の態様では、該紐状部材3、4は、袖の内側に縫い付けられており、外側には現れていない。
【0013】紐状部材3、4は、腕を取り巻く方向となるように、かつ袖の全周に対して部分的になるよう、袖に取り付けられている。該紐状部材3、4は、自然状態(外力が作用していない状態)では自然長へ収縮しており、それによって設置箇所の袖は小径化している。そして、該紐状部材3、4は、図1に示すように、少なくとも袖の下側を通過しないような範囲に設置されている。
【0014】本発明の構成によって、先ず、作業服の素材が伸縮性を有しないものであっても腕にフィットさせることができ、従来着目されていなかった袖口から肘までの部分のたるみが無くなる。よって、図1に示すように、袖口から肘までの部分の下側が作業テーブル上の食品に意図せず擦れることが抑制される。しかも、紐状部材が伸縮性を有するので、袖が小径化していても、着脱の障害にはならない。
【0015】また、とりわけ重要な構成は、紐状部材を腕回りの全周ではなく部分的に設け、かつ少なくとも袖の下側を通過しない範囲に設置する構成(以下、この構成を〔紐状部材の上側設置構成〕と略記する)にある。〔紐状部材の上側設置構成〕の重要な点は、紐状部材の全長が袖の全周長に対して部分的であるという点である。これによって、紐状部材は、設置箇所の袖を周方向に引っ張って小径化させるだけではなく、図2(a)に矢印で示したように、設置箇所を中心として袖の下側部分を放射状の方向に引張るので、袖の下側は、広範囲にわたってたるみが解消され、腕のラインにぴったり沿った凹凸の無い状態になる。
【0016】即ち、〔紐状部材の上側設置構成〕は、図2(b)に示したような構成(袖が下に垂れるのを防止するために、その部分に全周を取り巻く輪ゴムをはめた構成)に対して、構成自体が異なるだけでなく、作用効果が根本的に異なる。例えば、図2(b)のように、袖の全周にわたる環状の紐状部材30を設けた場合、該紐状部材30の上側部分が示す引張りは、下側部分の引張りによって打ち消され、単に設置箇所が全周にわたって局所的に収縮しただけの状態となり、紐状部材30を挟んだ両側P、Q部分には、たるみ(ふくらみ)が生じ、テーブル上の食品に触れやすくなって、本発明の目的は達成されないのである。
【0017】また、〔紐状部材の上側設置構成〕は、紐状部材が袖の全周にわたっていないので、袖の下側の紐状部材がとぎれている部分には収縮による段差がなく、その部分が抜け道となって、手が通しやすいというメリットもある。
【0018】〔紐状部材の上側設置構成〕において、紐状部材が少なくとも袖の下側を通過しない範囲とは、上記説明のとおり、腕のラインにぴったり沿わせるべき袖の下側を避けた範囲である。これは、紐状部材の全長(=袖の全周のうちどれだけ占有するか)と、周方向の設置(=周方向へのずれの程度)によって決定される。紐状部材が長すぎると、図2(b)のような環状の態様に近づいてしまい、図2(a)に矢印で示した広範囲に引張る作用が低下する。また、紐状部材を短くしても、周方向の設置が偏って、紐状部材の一端が袖の最下点に接近しているのでは、袖の下側はフラットにはならない。また、紐状部材が短かすぎると、伸縮のストロークが十分に得られず、袖の下側を引張る量が低下する上、着用時の伸びが少ないので、着脱が困難になる。
【0019】よって、紐状部材の周方向の長さとしては、該紐状部材を伸ばして設置箇所の袖を最大口径まで拡張したときに、袖の全周長さの3%〜50%程度を占有する長さが好ましく、より好ましくは10%〜50%程度、さらに、伸縮のストローク量と、図2(a)に矢印で示した広範囲に引張る作用とをより十分に確保する点では、20%〜35%程度とするのが最も好ましい。袖を最大口径まで拡張したときに、紐状部材が伸びの限界に達している必要はない。上記のように決定された紐状部材の全長の中点を、袖の最上点に一致させるのが好ましい態様である。これによって、紐状部材は、袖の下側を通過しない態様のなかでも、特に好ましい態様となり、図2(a)に矢印で示した広範囲に引張る作用効果を十分に示す。
【0020】本発明でいう〔袖の全周長さ〕とは、通常のゆとりをもって縫製された通常の作業服の袖を対象として、該袖を長手方向に垂直に切断したときに現れる環状断面の周長である。この周長は、Sサイズ〜Lサイズなどのサイズの段階や、縫製デザインによっても異なるが、特殊なサイズやデザインを除けば、25cm〜30cm程度である。
【0021】該紐状部材は自然状態では自然長へ収縮しており、それによって設置箇所の袖は小径化しているが、そのときの小径化した袖の口径(または、周長)は、たるみを無くすという作用を奏するためには、着用者の腕の外径(または腕周り長さ)よりも小さくすべきである。着用者の腕周り長さは、性別や体格によって異なるが、概ね15cm〜25cm程度である。小径化した袖の周長は、前記着用者の腕周り長さよりも、0.5cm〜1cm程度だけ小さくしておくのが好ましい。
【0022】紐状部材の設置箇所は、1箇所以上であればよいが。1つの紐状部材が引張る範囲と、袖の長さを鑑みると、袖口から肘部までの間に2〜3箇所、特に、2cm〜10cm程度の間隔をおいて、2箇所配置する態様が、設置数が少なくてしかも効果的な態様である。
【0023】紐状部材は、弾性的に伸縮し得るよう形成された紐であればよく、ゴムからなる単線であっても、ゴム紐のようにゴム編みされたものであってもよい。紐状部材の断面形状は、円形状でも、扁平状でもよいが、作業服の袖に凹凸無く添って、取り付けやすいという点では、帯状に平編みされたゴム紐が好ましい。帯状に平編みされたゴム紐を用いる場合、その帯びの幅は1.5cm〜3.0cm程度が好ましい。紐状部材に適した具体的な素材としては、ソフトオペロンが挙げられる。
【0024】紐状部材を袖に取り付ける方法は限定されず、縫製、接着など、如何なる方法であってもよい。また、紐状部材は、袖の内側、外側の何れに設けてもよく、パイピングを形成してその中を通して両端だけを取り付けてもよいが、袖の内側に紐状部材の全長に渡って縫い付ける態様が好ましい。このような態様は、作業服の模様を紐状部材が覆うことがなく、また袖が均等に収縮するので機能的であり外観上も美しく仕上がる。
【0025】本発明による作業服の袖口には、テーブル面の食品への接触を防止すべく、従来の作業服と同様に、手首に弾性的にフィットする伸縮部分5(図1)を設けるのが好ましい。
【0026】作業服の本体は、どのようなデザインであってもよく、ズボンと一体化されたつなぎ型であってもよい。また、本体の素材に限定はなく、従来公知のものを用いてもよい。
【0027】本発明の作業服は、食品、医薬品、衛生的であるべき器具等を製造する工場において特に有用性が顕著となり、また、作業服の袖が製品に接触することを好まない、全ての生産工程においても有用な作業服となり得る。
【0028】
【発明の効果】本発明の作業服は、上記説明のとおり、袖の上側に、弾性的に伸縮可能な紐状部材を取り付けたので、単に輪ゴムをはめたような場合とは異なり、袖の下側が広範囲に引張り上げられて、たるみや凹凸が無くなり、袖が作業テーブル上の製品に触れることが十分に抑制される。
【出願人】 【識別番号】591145483
【氏名又は名称】原田産業株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区南船場2丁目10番14号
【出願日】 平成13年6月26日(2001.6.26)
【代理人】 【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
【公開番号】 特開2003−13314(P2003−13314A)
【公開日】 平成15年1月15日(2003.1.15)
【出願番号】 特願2001−193600(P2001−193600)